JPH08254691A - 高分子液晶素子の製造方法、その方法により製造された高分子液晶素子及びそれらを用いたディスプレイスクリーン - Google Patents

高分子液晶素子の製造方法、その方法により製造された高分子液晶素子及びそれらを用いたディスプレイスクリーン

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JPH08254691A
JPH08254691A JP24945095A JP24945095A JPH08254691A JP H08254691 A JPH08254691 A JP H08254691A JP 24945095 A JP24945095 A JP 24945095A JP 24945095 A JP24945095 A JP 24945095A JP H08254691 A JPH08254691 A JP H08254691A
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Katsumi Yoshino
野 勝 美 吉
Skaap Kent
スカープ ケント
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単かつ安価に高分子液晶素子を形成し得
る方法を提供する。 【解決手段】基板上に高分子液晶溶液を塗布し、溶媒を
蒸散させて高分子液晶層を形成する。 【効果】 高性能の高分子液晶素子を安価かつ大量に
供給し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶素子、特に機能を発
揮する活性層となる単層または多層の高分子液晶層を有
する高分子液晶素子及びその新規な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶素子、特にディスプレイを形成する
液晶素子や、各種の光学素子、導波路素子などとして用
いられる液晶素子に於いては、一対の電極間に良質の高
配向液晶薄膜を形成することが不可欠である。
【0003】この高配向液晶薄膜を形成するため、通常
は二枚一対のガラス、石英等の表面に、それぞれ、例え
ばインジウム−酸化錫被膜から成る透明電極を形成し、
それらの表面に後に導入される液晶の分子を整列させる
機能を有する不活性な高分子物質をコートし、適宜の処
理を施した後、それら一対の電極面を微小距離隔てゝ相
対向させ、キャピラリー作用を利用してその間隙内に液
晶を吸引させる方法が採用されている。
【0004】この方法は低分子液晶素子の製造には広く
用いられ実用化されているが、基板の上に予め不活性な
高分子物質をコートする必要があり、工程が複雑な上、
高分子液晶は低分子液晶に比べて粘度が高いため、キャ
ピラリー作用による液晶の吸引が困難であり、又、圧力
をかけて強引に注入しても良好な配向性が得られないと
言う問題がある。
【0005】然しながら、この高分子コートを形成する
物質は使用する液晶の種類、配向条件により異なるの
で、液晶材料や配向条件が変わる毎に新たに開発する必
要があるが、高分子液晶の場合、適切な表面処理物質が
得られなかった。又、上記の従来公知の方法では、所要
の配向条件と液晶の種類に応じて、基板に予め透明電極
などを形成するため、適宜の導電性被膜物質を選定し、
コーティングを行わなければならない。
【0006】又更に、この方法自体が、基板表面に透明
電極材などをコーティング処理した後、これに不活性な
高分子物質をコートし、ラビング処理を施すなど、複雑
で多段階に渡る工程を必要とし、素子の製造に大掛かり
な装置と長い時間を要するため、この方法ではコストが
嵩み、液晶素子を安価かつ大量に供給し得ないと言う問
題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的とすると
ころは、これらの不活性な高分子物質のコートを必要と
せず、基板表面の化学的、物理的状態の如何によらず、
活性層として機能する高分子液晶層を基板表面に直接形
成することができ、そのため簡単かつ安価に高品位の高
分子液晶層を製造し得る方法、及び、その方法により製
造された高分子液晶素子を提供することにある。
【0008】
【発明が解決する為の手段】本発明の上記の目的は、高
分子液晶を適当な溶剤に溶解して得た高分子液晶溶液を
を直接基板の上に塗布し、溶剤を蒸散させ、液晶層を形
成することにより達成される。本発明の上記の他の目的
は、上記の方法により高分子液晶層を形成した液晶素子
により達成される。
【0009】高分子液晶としては、特に制約はなく、適
宜の溶剤に溶解し、機能を発揮する活性層を形成し得る
ものであれば、如何なるものであっても良く、例えば、
構造式1
【化1】 を有する高分子液晶などによって構成し得る。
【0010】更に具体的に言えば、上記の高分子液晶層
は、例えば上記の高分子液晶1.5 gを、クロロホルム10
mlに溶解し、洗浄後乾燥したガラスの基板上に供給
し、始めは回転数300 r.p.m.で5秒間、続いて3,000 r.
p.m.で25秒間スピンコーティングすることによって得ら
れる。この方法では厚さ 2.7μmの高分子液晶薄膜が得
られるが、この高分子液晶薄膜を偏光顕微鏡で観察した
結果、良好なホメオトロピック配向膜が得られたことが
確認されている。
【0011】更に温度を低下させながらその相を確認し
たところ、130 ℃で等方液体からスメチックA相、110
℃でカイラルスメスチックC相(強誘電層)に転移し、
−5℃までその状態が維持されることが確認された。こ
の方法は、高分子液晶を溶解せしめ得る適当な溶媒が見
い出されれば、如何なる高分子液晶にも適用可能であ
り、基板に高分子液晶溶液の薄層又は被膜を構成しつ
ゝ、溶媒を蒸発させれば、良好な配向高分子液晶層が得
られる。
【0012】特に高配向を実現する上では、基板上の高
分子液晶溶液の流れを一方向に整流させながらコーティ
ングする方法、例えばスピンコーティング法や自然流下
法等によることが推奨されるが、スクリーン印刷法など
により、基板上に所望の液晶パターンを形成することも
可能である。
【0013】溶液中の高分子液晶の濃度は、液晶の性質
及び素子の使用目的、所期の液晶層の厚みなど応じて選
択するが、特定の濃度範囲に限定されるものではなく、
また高分子液晶以外の他の物質も同時に溶媒中に溶解あ
るいは混合することによりドーパント分子或いは適当な
粒子等を含む高分子液晶薄膜を得ることもある。又、本
発明は高分子液晶の種類を問わず、例えば、側鎖型高分
子液晶、主鎖型高分子液晶、カイラルスメチック液晶、
ネマチック液晶、コレステリック液晶、強誘電体液晶、
反強誘電体液晶、フェリ誘電体液晶等の如何なる種類の
液晶にも適用し得るものである。
【0014】又、液晶の種類に応じ、製造条件を適切に
管理することにより、液晶分子の配向を制御することを
得るものである。例えば、スピンコーティングの場合で
は、その回転数により配向を制御することが可能とな
る。例えば側鎖形スメチック高分子液晶をスピンコーテ
ィングする場合、通常は液晶分子の側鎖メソゲン基が基
板に垂直となり、高分子主鎖が基板表面に平行になるよ
うなホモジニアス配向にすることも可能であるが、回転
数によってはホメオトロピック配向や他の配向とするこ
とも可能である。
【0015】又、機能として電気光学効果を利用する電
気光学効果素子とする場合、利用する電気光学効果とし
ては、光学的性質の変化をもたらす強誘電スイッチ、例
えば分子軸の配向変化による複屈折変化や、ヘリカル構
造の歪変化などを挙げることができ、又エレクトロクリ
ニック効果、ソフトモード型の素子や、過渡散乱型(TS
M 型)、ツイストネマチック型(TN型)、スーパーツイ
ストネマチック型(STN 型)等の電気光学効果素子、及
び相転移を利用するタイプの電気光学効果素子などとす
ることも可能である。
【0016】又、素子の特性としては、導波路型素子、
非線形光学素子、焦電効果素子、圧電効果素子などとし
て利用できるものであり、液晶層も単層のみでなく、多
層高分子液晶として構成することもある。又、液晶層の
厚みは、特に制約はないが、特別な用途に用いるものを
除き、通常は0.5μm以上、1000μm以下、望ましくは
2ないし10μm程度とすることが推奨される。
【0017】基板としては通常ガラス、石英基板等が推
奨されるが、基板材料には何等特別な限定はなく、シリ
コンウエファなどの半導体基板も使用でき、高分子液晶
素子の種類、機能に応じて任意に選択されるものであ
る。又、基板表面に予め他の表面処理物質、例えば電極
材料、他の液晶、保護層材料などの被膜を設けたり、集
積回路を形成したりした後、その上に高分子液晶層を形
成することも勿論可能であり、例えば、ITO(インジウム
−錫酸化物)などの透明電極層を設けたもの、又は、 I
TOにより適当な電極パターンを形成したもの、金、アル
ミニウム、銅等の金属膜を蒸着やスパッタ等により形成
したもの、更には各種半導体素子、例えばアモルファス
シリコンの薄膜トランジスタ(TFT) などを基板として用
いることも可能である。
【0018】従って、本明細書及び請求の範囲の記載に
於いて、基板とは上記の総て、即ちその表面上に高分子
液晶層が形成されるプレート、ボード、バー、フィル
ム、エンブレム、電極、材料又は部品の総てを包含する
ものである。
【0019】本発明方法によって形成された高分子液晶
配向膜は、基板に設置した電極間に電圧を印加する事に
より駆動することができるが、この時高分子液晶膜の上
部に保護、安定化等様々な目的で他のガラス板、プラス
チック板、石英板等の第二の基板を設置する場合もあ
る。又、この高分子液晶膜を成形した基板面に、所望の
形状に形成された電極層を有する板材を対置して基板上
の電極と対向板上の電極関に電圧を印加して駆動する事
もある。
【0020】この高分子液晶素子を光素子として利用す
る場合には、通常は基板に垂直あるいは適当な角度をも
って光を入射させ、透過光あるいは反射光の強度変化を
出力として利用することが多いが、基板上に形成した高
分子液晶膜に平行に、高分子液晶膜内、又はその膜に対
置された基板その他の内部に光を通す所謂、導波路形式
の素子としても利用できるものである。又更に、入射光
の波長に応じて定まる間隔で整列する多数対の平行電極
を設けた上に高分子液晶膜を形成すれば、エレクトロク
リニック効果により光の回折角が変化するので、位相回
折格子として作動する液晶素子が得られる。これはスメ
スチックA相での複屈折の変化を利用したものであり、
これによれば光の方向を制御することができる。
【0021】又更に、本発明に係る高分子液晶は、単一
の高分子液晶膜を有するもののみでなく、各種の高分子
液晶膜、導電性高分子膜、絶縁性高分子膜などを交互に
積層して成る所謂多層高分子液晶素子を包含するもので
ある。而して、上記の総ての液晶素子は、ディスプレイ
用の画素や、光の制御に利用できるものである。
【0022】
【本発明を実施するための最良の態様】以下、図面によ
り本発明を具体的に説明する。図1は本発明に係る単層
高分子液晶素子の第一実施例の構成を示す平面図、図2
はその中央横断面図、図3は図1及び図2に示した第一
実施例素子の電界変化/透過光量変化の相対関係を示す
グラフ、図4はその印加電界変化/応答時間特性の温度
変化を示すグラフ、図5は応答時間の温度特性を示すグ
ラフ、図6は上記とは別異の第二実施例素子の電界変化
/透過光量変化の相対関係を示すグラフ、図7はその履
歴曲線、図8はその印加電界変化/応答時間特性の温度
変化を示すグラフ、図9は応答時間の温度特性を示すグ
ラフ、図10は高分子位相回折格子として作動する高分子
液晶の構成を示す説明図、図11は図10に示した高分子位
相回折格子を画素として使用したディスプレイ装置の構
成を示す説明図である。
【0023】〔実施例1〕図1及び図2に於いて、1は
単層式の高分子液晶素子であり、10はそのガラス基板、
12、14はインジュウム−酸化スズから成る一対の透明電
極層、16は高分子液晶層、16aはその活性化部、18、19
はそれぞれ透明電極層12及び14に接続された端子であ
る。この高分子液晶層16は、特別な高分子コートを介す
ることなく、透明電極層12、14の上に直接コートされる
ものであり、活性層として機能するものである。
【0024】而して、この高分子液晶素子1は次のよう
にして製造された。先ず、縦40mm、横幅55mmのガラス基
板10の表面にインジュウム−酸化スズから成る透明電極
層を形成し、その中央部を幅 0.5mmに渡りエッチングし
て除去し、二分割して一対の透明電極層12、14を形成し
た後、その上面に前記と略同様にして高分子液晶層16を
形成し、次いで端子18及び19を設けた。但し、スピンコ
ーティングの条件は、最初の6秒間は回転数300 r.p.
m.、続く24秒間は3,000r.p.m. であった。
【0025】この素子1の端子18及び19を電源に接続し
て電圧をかけ、高分子液晶層16に垂直に波長 6,328オン
グストロームのHe−Neレーザー光を照射して、活性化部
16aの電界/透過光量特性を調べた。図3に示すよう
に、電界の極性をステップ状に反転させたところ、110
℃以下の温度に於いて、図4に示すように極性反転時に
透過光量がパルス的に減少することが確認された。これ
は透過光散乱形(TSM) 電気光学素子の特性である。又、
その応答時間は電界上昇と共に短くなった。図5及び図
6に示すように、応答時間は強誘電相で温度低下ととも
に長くなることが知られた。
【0026】〔実施例2〕実施例1と同一条件で製造し
た素子に 100℃で図6のようにステップ電圧を印可した
ところ透過光量が上昇した。これはカイラルスメチック
C相に特徴的なヘリカル構造が消失したための応答特性
であり、ヘリカル変歪型と呼ばれる電気光学効果であ
る。100Vを印加した時の応答時間は約40m秒であっ
た。強誘電相で温度低下と共に応答時間は遅くなった。
【0027】〔実施例3〕電極間隔のみが 0.3mmである
他は実施例1と同様の液晶素子をスピンコーティング方
で製造した。これを偏光面が直交する2枚の偏光子で挟
み波長6,328 オングストロームのHe−Neレーザー光の透
過の電圧変化を測定した。この場合、図7の挿入図に示
すように素子はレーザー光に対して約20度傾いている。
この時の透過光量は電圧の電極によって 101℃に於いて
図7のように変化した。
【0028】これはヘリカル構造が電界により消失し、
液晶分子が層に対してある角度だけ傾いた状態にある
が、この傾き方向が電界の極性に伴って反転し、そのた
めに生じる複屈折条件の変化に起因する電気光学効果で
ある。
【0029】〔実施例4〕実施例1と同様の電極間隔
で、スピンコーティング条件を初期の5秒間 250r.p.
m.、続く20秒間を3,500 r.p.m.に変えてホメオトロピッ
ク配向した液晶素子を作成した。偏光面を直交させた2
枚の偏光子でこの素子を挟み、透過光量の変化を測定し
た。スメチックA相において電圧0では透過光量は0で
あったが、電圧を増大すると共に透過光量が増大した。
【0030】これは電界により液晶分子のチルトが生じ
る現象、即ち、電界誘起チルトのためであり、所謂、エ
レクトロクリニック効果である。パルス電圧を印加して
その応答時間を調べたところ、数秒以下の高速応答であ
った。図8は応答時間の電界依存性を示す図である。図
9に示すように、応答時間は温度上昇と共に急激に短く
なり、μ秒領域の高速応答となった。
【0031】〔実施例5〕実施例1と同様にしてスピン
コーティングして、その上にもう一枚のガラス板をの
せ、ガラス板で挟んだ形状の素子を作成し、実施例1と
同様95℃に於いて電界極性をステップ状に反転させたと
ころ、上記と全く同一の TSM型の電気光学効果が観測さ
れた。
【0032】〔実施例6〕実施例1と同一の素子を作成
して、素子下方から波長1.06μmの NdYAGレーザー光を
入射させた。その結果、 100℃以下の強誘電相で電圧を
印加すると、2倍高調波である波長0.53μmの光が得ら
れた。2倍高調波の強度は、入射光の入射方向及び偏光
方向に依存し、位相整合が生じていることが確認され
た。110 ℃以上のスメクチックA相では、この現象は観
測されなかった。
【0033】〔実施例7〕石英基板上にポリビニルアル
コール膜をスピンコーティング法により形成し、その上
に幅5mmのスリット状の隙間を残して金を蒸着し、一
対の平行電極を設け、更にこの上から実施例1と同様の
方法で高分子液晶をスピンコーティングして液晶素子を
作製した。プリズムカップラーによりHe−Neレーザー光
をポリビニルアルコール膜内に導入して透過させ、20mm
透過の後、第二のプリズムカップラーから光を取り出し
強度を観測した。
【0034】90℃の温度で、金電極の電圧を+80Vとす
ると強い透過光が得られたが、−80Vを印加したとこ
ろ、光の透過が遮断された。これはポリビニルアルコー
ル膜と高分子液晶膜の界面での全反射条件が変化したた
めであり、導波路スイッチとして作動していることを示
すものである。応答時間は約10msecであった。同様の実
験を115 ℃で行ったところ、20μsec の応答が得られ
た。これは高分子液晶でエレクトロクリニック効果が生
じ、これに伴って界面での全反射条件が変化したためで
ある。このように本素子は導波路素子として使用するこ
とができる。
【0035】〔実施例8〕ガラス板を約20度傾け、上部
から実施例1で用いたのと同様の高分子液晶溶液を滴下
し、自然流下で乾燥させ、高分子液晶がホメオトロビッ
ク配向した液晶被膜を得た。更に、実施例1と同様にガ
ラス板上にインジュウム−酸化スズから成る透明電極層
を形成し、その電極層を幅0.5 mm、長さ4cmのスリット
状にエッチッグして除去して得た一対の電極を有するネ
サガラスを基板として、この基板を30度傾けてその上に
上記高分子液晶溶液を同様に滴下し、自然流下中に乾燥
させてコーティングし、高分子液晶素子を作製した。
【0036】この液晶層に垂直に、波長6328オングスト
ロームのHe−Neレーザー光を照射してその透過特性を測
定した。実施例1と同様に正、負の極性反転パルスを印
可したところ、110 ℃以下のカイカルスメクチックC相
に於いて過渡光散乱型(TSM) 電気光学効果を確認した。
この素子の応答時間は実施例1の素子に比べて10%遅く
なることが知られた。
【0037】次に図10及び図11に就いて説明する。図10
は位相回折格子として機能するよう構成される高分子液
晶素子の構成を示す斜視図である。而して、図中、2は
高分子液晶素子であり、石英ガラス20の表面に、多数対
の平行電極21、22、23、24、25、26、27、28と、それら
の平行電極を交互に正極及び負極となるよう接続する回
路とを形成し、更に、その上面に高分子液晶膜29を設け
て成る。
【0038】これらの平行電極21、22、23、24、25、2
6、27、28の間隔は、使用する液晶の材質及び光の波長
に応じて適切に選定される。例えば、平行電極の間隔を
20μm、長さを 200μmとし、実施例1と同様の方法で
高分子液晶溶液をスピンコーティングしつゝ、溶媒を蒸
散させ、ホメオトロピックに配向した高分子液晶膜29を
形成すると、高分子位相回折格子が得られる。
【0039】この石英ガラス20の裏面に垂直に、波長63
28オングストロームのHe−Neレーザー光L0 を当て、平
行電極対の電圧を変化させつゝ、その透過光の回折角を
観測すると、110 ℃のスメスチックA相に於いて、図中
に示す如く、透過光の方向が電圧に応じてL1からL2
間で変化することが確認された。即ち、この素子は高分
子位相回折格子であり、これによれば電圧の変化により
光の方向を制御し得るので、様々なディスプレイスクリ
ーン用の画素として利用することができる。
【0040】図11は、図10に示した液晶素子を多数用い
たディスプレイ装置の構成を示す説明図であり、図中3
は、大型のガラス基板30の上に、多数の高分子位相回折
格子311、 312、 313、 314、 321、 322、 323、 32
4、 331、 332、 333、 334、341、 342、 343、 344、
351、 352、 353、 354をモザイク状に配置して成るデ
ィスプレイスクリーンであり、4は入力装置、5は CP
U、6は出力バッファ、7は表示すべきキャラクタパタ
ーンなどを記録した ROMである。尚、この図では、図を
簡明にするために、液晶膜や、信号線とアース線の間に
形成される絶縁層などは図示を省略してある。
【0041】この図には、20個の高分子位相回折格子し
か示されていないが、これだけでも0〜9の数字と相当
数の英文字を表示し得ることは直ちに理解されよう。実
際には、スクリーン上には用途に応じて多数の画素を配
置するものであり、これにより、極めて高画質の映像を
提供できるものである。又、この装置は透過光の回折角
を制御するものであるから、見る角度によってそれぞれ
異なった画素群からの透過光が視聴者の眼に入るように
することができ、従って、例えば、動画を表現できるホ
ログラフや、裸眼で三次元画像を認識できる平面ディス
プレイなどに利用できるものである。
【0042】又、一つの画素のサイズは数cm角以上に
も、数ミクロン以下にもでき、要求されるスクリーンの
面積と視聴者との距離に応じて適宜に選定される。本発
明は叙上の如く構成されるから、本発明によるときは、
極めて簡単な方法により、高分子液晶素子を安価かつ大
量に供給し得るものである。
【0043】尚、本発明の構成は叙上の実施例に限定さ
れるものでなく、特に液晶物質や、溶液を製造する際の
溶媒の種類、溶液の濃度、粘度、溶液を均一に塗布し、
溶媒を蒸散させる手段、基板及び電極の材質及び形状、
高分子液晶膜を保護するための被覆方法、外部電源との
結合方式、外部回路などは、自由に選定又は設計変更し
得るものであり、本発明はそれらの総てを包摂するもの
である。
【0044】以上のように、本発明に係る液晶素子は、
非常に微細なものから相当の大きさのもの迄、極めて簡
単かつ安価に提供できるものであり、種々様々な光電変
換、電光変換、光制御やディスプレィなどに広く使用で
きるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る単層高分子液晶素子の第一実施例
の構成を示す平面図である。
【図2】図1に示した高分子液晶素子の中央横断面図で
ある。
【図3】図1及び図2に示した第一実施例素子の電界変
化/透過光量変化の相対関係を示すグラフである。
【図4】図1及び図2に示した第一実施例素子のの印加
電界変化/応答時間特性の温度変化を示すグラフであ
る。
【図5】図1及び図2に示した第一実施例素子のの応答
時間の温度特性を示すグラフである。
【図6】上記とは別異の第二実施例素子の電界変化/透
過光量変化の相対関係を示すグラフである。
【図7】第二実施例素子の電界変化/透過光量変化の履
歴曲線である。
【図8】第二実施例素子の印加電界変化/応答時間特性
の温度変化を示すグラフである。
【図9】第二実施例素子の応答時間の温度特性を示すグ
ラフである。
【図10】高分子位相回折格子として作動する高分子液晶
の構成を示す説明図である。
【図11】図10に示した高分子位相回折格子を画素として
使用したディスプレイ装置の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・・・単層式の高分子液晶素子 10・・・・・ガラス基板 12、14・・・一対の透明電極 16・・・・・高分子液晶層 16a・・・・活性化部 18、19・・・端子 2・・・・・位相回折格子として機能するよう構成され
る高分子液晶素子 20・・・・・石英ガラス 21、22、23、24、25、26、27、28・・・多数対の平行電
極 29・・・・・高分子液晶膜 3・・・・・ディスプレイスクリーン 30・・・・・大型のガラス基板 311、 312、 313、 314、 321、 322、 323、 324、 33
1、 332、 333、334、 341、 342、 343、 344、 351、
352、 353、 354・・・・・・・高分子位相回折格子 4・・・・・入力装置 5・・・・・CPU 6・・・・・出力バッファ 7・・・・・ROM
フロントページの続き (72)発明者 ケント スカープ スウェーデン国,リンドーメ,S437 42, ブレッカーベーゲン 45,

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性層として機能する高分子液晶層の形成
    が、基板上に直接高分子液晶溶液を塗布し、溶媒を蒸散
    させることにより行われることを特徴とする高分子液晶
    素子製造方法。
  2. 【請求項2】高分子液晶溶液の塗布が、スピンコーティ
    ング法によってなされることを特徴とする請求項1に記
    載の高分子液晶素子製造方法。
  3. 【請求項3】高分子液晶溶液の塗布が、自然流下法によ
    ってなされることを特徴とする請求項1に記載の高分子
    液晶素子製造方法。
  4. 【請求項4】高分子液晶層の形成が、高分子液晶溶液を
    用いてスクリーン印刷法により所望のパターンを基板表
    面に印刷、形成し、溶媒を蒸散させることにより行われ
    ることを特徴とする請求項1に記載の高分子液晶素子製
    造方法。
  5. 【請求項5】請求項1ないし4の何れか一に記載の方法
    により製造された高分子液晶素子。
  6. 【請求項6】高分子液晶が側鎖型高分子液晶である請求
    項5に記載の高分子液晶素子。
  7. 【請求項7】高分子液晶が主鎖型高分子液晶である請求
    項5に記載の高分子液晶素子。
  8. 【請求項8】高分子液晶が不斉炭素を有するカイラルス
    メチック液晶である請求項5に記載の高分子液晶素子。
  9. 【請求項9】高分子液晶が不斉炭素を有するネマチック
    液晶である請求項5に記載の高分子液晶素子。
  10. 【請求項10】高分子液晶が不斉炭素を有するコレステ
    リック液晶である請求項5に記載の高分子液晶素子。
  11. 【請求項11】高分子液晶が強誘電性液晶である請求項
    5に記載の高分子液晶素子。
  12. 【請求項12】高分子液晶が反強誘電性液晶である請求
    項5に記載の高分子液晶素子。
  13. 【請求項13】高分子液晶がフェリ誘電性液晶である請
    求項5に記載の高分子液晶素子。
  14. 【請求項14】液晶分子がホメオトロピックに配向され
    た請求項5ないし13の何れか一に記載の高分子液晶素
    子。
  15. 【請求項15】液晶分子がホモジニアスに配向された請
    求項5ないし13の何れか一に記載の高分子液晶素子。
  16. 【請求項16】電気光学効果素子である請求項5ないし
    15の何れか一に記載の高分子液晶素子。
  17. 【請求項17】電気光学効果として、光学的性質の変化
    をもたらす強誘電スイッチングを利用する請求項16に記
    載の高分子液晶素子。
  18. 【請求項18】強誘電スイッチングとして、分子軸の配
    向変化による複屈折変化を利用する請求項17に記載の高
    分子液晶素子。
  19. 【請求項19】強誘電スイッチングとして、ヘリカル構
    造の歪変化を利用する請求項17に記載の高分子液晶素
    子。
  20. 【請求項20】電気光学効果がエレクトロクリニック効
    果、ソフトモード型である請求項16に記載の高分子液晶
    素子。
  21. 【請求項21】電気光学効果が TSM型(過渡散乱型)で
    ある請求項16に記載の高分子液晶素子。
  22. 【請求項22】電気光学効果がTN型(ツイストネマチッ
    ク)である請求項16に記載の高分子液晶素子。
  23. 【請求項23】電気光学効果が STN型(スーパーツイス
    トネマチック)である請求項16に記載の高分子液晶素
    子。
  24. 【請求項24】電気光学効果が相移転を利用するタイプ
    である請求項16に記載の高分子液晶素子。
  25. 【請求項25】導波路型素子である請求項5ないし24の
    何れか一に記載の高分子液晶素子。
  26. 【請求項26】非線形光学素子である請求項5ないし24
    の何れか一に記載の高分子液晶素子。
  27. 【請求項27】焦電効果を利用する素子である請求項5
    ないし24の何れか一に記載の高分子液晶素子。
  28. 【請求項28】圧電効果を利用する素子である請求項5
    ないし24の何れか一に記載の高分子液晶素子。
  29. 【請求項29】多層高分子液晶素子である請求項5ない
    し28の何れか一に記載の高分子液晶素子。
  30. 【請求項30】高分子液晶層の厚みが0.5μm以上、10
    00μm以下である請求項5ないし29の何れか一に記載の
    高分子液晶素子。
  31. 【請求項31】透明な基板上に、中心間距離が0.5μm
    以上、300 μm以下となるように平行線状電極を多数設
    け、それらを交互にそれぞれ正負の入力端子に接続して
    正極及び負極として複数対の平行電極を形成し、その上
    に高分子液晶層を設け、位相回折格子として作動するよ
    う構成された請求項5に記載の高分子液晶素子。
  32. 【請求項32】画素が、請求項4ないし31の何れか一に
    記載の高分子液晶素子により構成されたディスプレイス
    クリーン。
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