JPH08252303A - 尿路感染防止方法及びそれに用いる採尿バッグ - Google Patents

尿路感染防止方法及びそれに用いる採尿バッグ

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JPH08252303A
JPH08252303A JP8023425A JP2342596A JPH08252303A JP H08252303 A JPH08252303 A JP H08252303A JP 8023425 A JP8023425 A JP 8023425A JP 2342596 A JP2342596 A JP 2342596A JP H08252303 A JPH08252303 A JP H08252303A
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urine
antibacterial
collection bag
antibacterial agent
urine collection
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JP8023425A
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Sumio Shinoda
純男 篠田
Kenichi Tomochika
健一 友近
Tamon Kimura
太門 木村
Makoto Hayakawa
信 早川
Mitsumasa Sugano
充誠 菅野
Keiichiro Norimoto
圭一郎 則本
Toshiya Watabe
俊也 渡部
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Toto Ltd
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医療従事者の負担とならない方法で、導尿セ
ット使用患者における尿路感染、及び医療従事者におけ
る導尿セットから尿を除去する作業時の院内感染を有効
に防止しうる方法を提供する。 【解決手段】 導尿セットの一部品を構成する採尿バッ
グ中に、抗菌性金属を含む抗菌剤を挿入する尿路感染防
止方法である。導尿セットのうち、細菌の流入口であ
り、かつ細菌が増殖しやすい尿の貯留部である採尿バッ
グに抗菌剤を挿入することにより、尿中細菌数が抑制さ
れる。また、抗菌剤として抗菌性金属を含む抗菌剤を使
用することにより、有機系消毒剤と比較して長期にわた
り効果が持続するようになるので、医療従事者による採
尿バッグの防染管理が容易になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、手術後の患者や寝
たきり老人等の排尿障害患者が排尿時に使用する導尿セ
ットに関係する尿路感染の防止方法、及び、それに用い
る採尿バッグに関する。なお、尿路感染における菌の膀
胱への侵入経路には、導尿カテーテルの外面と尿道の間
を伝って侵入するのものと、採尿バッグからカテーテル
の内孔を伝って侵入するものの二つがある。尿路感染に
伴う菌は、導尿セットから尿を除去する作業等を行う医
療従事者を介して他の患者に運ばれ、いわゆる院内感染
を引き起こす。そのため、尿路感染防止は現在の医療現
場において極めて重大なテーマの一つとなっている。
【0002】
【従来の技術】尿路は院内感染を誘発する一般的経路の
一つである。尿路を通じての感染の約80%が、尿道カ
テーテルの留置等の尿路への器具の挿入後に発生してい
る。尿路感染に羅患する危険性は、カテーテル留置の方
法や期間、カテーテルのケアの質、患者の抵抗力によっ
て左右される。
【0003】導尿セットは、導尿カテーテル、接続チュ
ーブ及び採尿バッグから構成されており、それらの各器
具の感染防御力を高める工夫は、従来から進められてき
た。しかし、現在でも感染防御力は完全でなく、採尿バ
ッグからの排尿の過程において採尿バッグの排尿口から
細菌が採尿バッグ内に混入し、バッグ内が汚染され、尿
路感染の原因となっていることが多い。成人の1日当り
の排尿量は約1.5リットルに達し、採尿バッグの容量
は一般的に2リットルであるので、1日に最低1回はバ
ッグからの排尿が必要になる。さらに、利尿剤を使用し
ている場合には、排尿量は1日3リットルを超えること
もあるので、1日2回以上の排尿が必要となる場合もあ
る。現在の医療現場の人員構成では、毎日の排尿時に消
毒操作を十分に行うには困難を伴う。また、バッグは通
常3〜4週間継続して使用するので、結果として、ほと
んどの患者に接続された導尿セットにおいて、バッグ内
での細菌増殖が観察されることになる。
【0004】患者の尿路に直接挿入される導尿カテーテ
ル部の尿路感染防止対策としては、以下の4方法等が提
案されている。 (1)感染の場としての尿道粘膜の損傷を防ぐ目的で、
摩擦係数の低い素材をカテーテルの外面にコーティング
することにより、尿道粘膜組織の障害を低減する。 (2)カテーテル素材への菌付着を阻止するため、カテ
ーテルの表面に銀をコーティングしたり、カテーテルの
材料として抗菌性を有するとされているチタニア混練素
材を使用する(第21回日本防菌防黴学会予稿集、19
94)。
【0005】(3)採尿バッグから尿道への尿の逆流を
防ぐ逆流防止弁を導尿セットに設ける(特公平7−28
885)。 (4)カテーテル表面における尿の滞留を防ぐため、カ
テーテル表面に親水性または疎水性コーティングを行
う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような工
夫にもかかわらず、尿路感染の減少にはあまり成功して
いない(参照:British Journal of Urology, 1990, Vo
l. 65, 379-81 、又は、Eur. Urol. 1990, Vol. 17, 23
6-40など)。またカテーテルの改善のみでは、医療従事
者が導尿セットから尿を除去する作業時において採尿バ
ッグ内に貯蓄されている尿から医療従事者へと感染する
院内感染の根本的解決は、本質的に図れない。
【0007】さらに尿路感染症の診断基準としては尿中
細菌数が104/ml以上であるので、採尿バッグ内の尿中
の細菌数をこのレベル以下に抑制する必要がある。その
ためには、採尿バッグに有機系の消毒剤を入れておいて
殺菌する方法がある。しかし、有機系の消毒剤は採尿バ
ッグの繰り返し使用時における効果の持続性が乏しく、
また、消毒剤を液化して作用しなければならないので、
尿の排出の度毎に消毒剤をバッグ内に注入しなければな
らないという管理の煩雑さが問題となる。さらに、消毒
剤耐性菌の出現等、実用上解決すべき問題が多すぎる。
【0008】本発明では、上記事情に鑑み、医療従事者
の負担とならない方法であって、導尿セット使用患者に
おける尿路感染、及び、医療従事者における導尿セット
から尿を除去する作業時の院内感染の双方を有効に防止
しうる方法を提供することを目的とする。また、そのよ
うな方法に用いる、繰り返し使用時における抗菌性に優
れた採尿バッグを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
解決すべく、導尿セットの一部品を構成する採尿バッグ
中に、抗菌性金属を含む抗菌剤を挿入することを特徴と
する尿路感染防止方法を提供する。また、抗菌性金属を
含む抗菌剤を内部に有することを特徴とする採尿バッグ
を提供する。
【0010】導尿セットのうち、細菌の主要な流入口で
あり、かつ細菌が増殖しやすい尿の貯留部である採尿バ
ッグに抗菌剤を挿入することにより、尿中細菌数が抑制
される。
【0011】また、抗菌性金属を含む抗菌剤を使用する
ことにより、有機系消毒剤と比較して、固形物に徐放
性を有する形で固定できるので、尿の排出の度毎に入れ
替える必要がない、消毒剤耐性菌が出現しないという
利点を有するとともに、長期にわたり効果が持続するよ
うになるので、医療従事者による採尿バッグの防染管理
が容易になる。なお、抗菌剤を適切に選択することによ
り、抗菌剤を取り替えることなく数週間の間一つの採尿
バッグを繰り返し使用した場合においても、採尿バッグ
内の尿中細菌数を尿路感染症の診断基準である104/ml
以下に抑制することもできる。
【0012】さらに医療従事者が採尿バッグから尿を排
出する際にも、感染源である尿中の細菌数が抑制されて
いるので、尿を除去する作業に起因する医療従事者の院
内感染をも未然に防止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに具体的に説
明する。代表的な導尿セットの構成を図1に示す。カテ
ーテル1は中空の細い棒(外径4〜10mm)であって、
患者の尿道に挿入される。排尿時に、尿はカテーテル1
及びシリコーンチューブ2を通って採尿バッグ3に貯留
される。採尿バッグ3は、通常塩化ビニル製のバッグで
あり、シリコーンチューブ2及び排出口4との接続部を
除いて密封されている。採尿バッグ3内に尿がある程度
貯留された後、採尿バッグの排出口4のドレインバルブ
5を開いて尿を排出する。このとき外気と採尿バッグ内
の尿とが接触することになるので細菌が採尿バッグ内に
侵入する。
【0014】採尿バッグ中に抗菌性金属を含む抗菌剤を
挿入する具体的態様としては、抗菌性金属を担持した担
体又は抗菌性金属化合物を採尿バッグ中に挿入するのが
代表的である。しかし、これに限られず、採尿バッグ内
壁に、抗菌性金属や抗菌性金属を担持した担体、若しく
は抗菌性金属化合物を固定することとしてもよい。
【0015】採尿バッグの繰り返し使用(採尿・排出の
繰り返し)が前提とされるので、抗菌性金属イオンによ
る効果をより長期に維持するためには以下が必要であ
る。 (1)抗菌剤が抗菌性金属又はそのイオンをより多く保
有すること。 (2)抗菌性金属イオンが、適度な尿中への溶出速度を
有すること。 (3)尿中に含有される他のイオン種の影響を受けにく
いこと。かかる構造を実現しやすいのは、上記態様のう
ち、抗菌性金属を担持した担体を採尿バッグ中に挿入す
る方法、又は、採尿バッグ内壁に抗菌性金属を担持した
担体を固定する方法である。
【0016】この二態様の中でも、抗菌性金属を担持し
た担体を採尿バッグ中に挿入する方法は、採尿バッグ中
に担持体を配置すればよいだけであり、採尿バッグ製造
上工数が少なく簡便であるので好ましい。
【0017】抗菌性金属及び/又はそのイオンを担持し
た担体を採尿バッグ中に挿入する態様においては、図1
における採尿バッグ3内の排出口4に近い部分に該担体
を配置すると、細菌の主要な流入口であるその部分に抗
菌性金属イオンが多く放出されることになるので、より
抗菌性が増す。
【0018】抗菌性金属とは、銀、銅、亜鉛又はそのイ
オンのことである。このうち、細菌に対する効果は銀が
最も大きく、真菌に対する効果は銅が最も大きい。担体
には、ゼオライト、リン酸カルシウム、リン酸アルミニ
ウム、アパタイト、ガラス、粘土、活性炭、チタニア、
酸化亜鉛、酸化第二鉄等の無機材料、プラスチック、ゴ
ム等の有機材料、金属材料、またはそれらの複合材料の
いずれをも使用できる。
【0019】担体は、多孔体等の開気孔を多量に有する
材料、吸着剤等からなることが好ましい。抗菌性金属を
より多量に担持できるからである。ここで多孔体の例と
しては、多孔質セラミックス、多孔質焼結金属、スポン
ジ、紙等を挙げることができる。吸着剤の例としては、
比表面積の大きな素材なら基本的に材質を問わず使用す
ることができる。特にゼオライト、活性炭、粘土、アル
ミナ、シリカ、チタニア等が好適に使用できる。
【0020】また、担体が次のような二重構造を有する
ようにしてもよい。例えば、下地には球状、棒状、平板
状、円柱状、角柱状等の定型性をもたせるために緻密な
基体を採用し、その基体の表面に抗菌性金属をより多量
に担持しやすい材料(開気孔を有する材料、吸着剤等)
からなる担持層を形成してもよい。
【0021】さらに、この担持層の表面に、抗菌性金属
イオンの拡散速度を低下させ適度な溶出速度に制御する
層(溶出抑制層)を設けるようにしてもよい。このよう
にすると、尿中に含有される他のイオン種の影響も受け
にくくなる。ここで他のイオン種の影響とは、例えば尿
中に固有に含まれている塩素イオンと溶液中に溶出され
た抗菌性の銀イオンが反応して抗菌性のほとんどない塩
や錯イオンになるような現象である。かかる現象の生じ
る割合は、Ag+ +Cl- ←→AgCl、AgCl+C
- ←→[AgCl2- 、[AgCl2- +Cl-
←→[AgCl32-の平衡のため、完全にAg+ が消
滅する形では生じない。したがってAg+ がある程度消
滅することを勘案して固形物からの徐放を決定すること
により解決できる。
【0022】溶出抑制層の構造としては、例えば下地は
開気孔率の大きな材料とし、表面により小さな開気孔か
らなる層を設けたものが考えられる。このような構造の
材料は、例えば、以下のようにして簡便に得られる。ま
ず多孔質セラミックからなる下地表面にチタニアを固定
する。さらにその上から抗菌性金属イオンを含む液体を
チタニアの層を通して多孔質セラミック中に含浸させ、
表面を光照射する。このようにするとチタニアの光触媒
作用により,チタニアを固定した表面部のみ抗菌性金属
がチタニア上に還元固定され、表面により小さな開気孔
からなるイオン溶出抑制層が設けられる。
【0023】
【実施例】実施例1(アルミナ、チタニア、硝酸銀) 径5mm、吸水率65%のアルミナ多孔体(試料)の表面
に、平均粒径10nmのチタニアゾル(石原産業製のST
S−11)を塗布した。この試料を750℃で2時間焼
成しその後、冷却した。続いて、この試料を1重量%硝
酸銀溶液に1時間浸漬させ、同時に試料表面に光を照射
した。このようにして得た、チタニア層を介して銀が担
持されている試料(抗菌剤)を用いて以下に示す評価実
験を行った。
【0024】(評価実験1:18時間放置)大腸菌(E.
coli)及び黄色ブドウ球菌(S. aureus)の菌液を人工尿
培地で107 〜101 CFU/mlに調製したものを1ml試験
管に採取し、そこに抗菌剤試料を1個入れ、30℃で1
8時間放置した。このときの菌の生存率について評価し
た。表1に人工尿の組成を示す。また評価の指標を下記
に示す。
【0025】
【表1】
【0026】一次評価指標: 3+:抗菌剤試料を入れないときと培地の懸濁・沈殿状
態が変わらない。 2+:培地の懸濁は少なく管底に沈殿を認める。 1+:培地の懸濁は無く、管底に沈殿を認める。 − :沈殿もなく、菌はないと断定できる。 ただし、−を示した試料においても菌の生残は不明なの
で、反応残液10μlを新たな人工尿培地5mlに再接種
し、残存する菌による増殖の有無を確認した。この二次
評価指標を下記に示す。
【0027】二次評価指標: *印有=残存する生菌はない。 *印無=残存する菌あり。
【0028】結果を表2に示す。大腸菌、黄色ブドウ球
菌ともに初期菌数105 CFU/ml以下では−となり菌の増
殖は観察されなかった。一般的に尿は無菌であり、ま
た、尿路感染の判定は尿中菌数104 CFU/ml以上で感染
有りと判定するので、銀を固定させた抗菌剤の初期の抗
菌能力は採尿バッグ中の抗菌剤として使用するのに充分
な効力を有すると考えられる。
【0029】
【表2】
【0030】(評価実験2:18時間放置×10回)大
腸菌および黄色ブドウ球菌の菌液を人工尿培地で107
〜101 CFU/mlに調製したものを1ml試験管に採取し
た。そこに、評価実験1で使用した抗菌剤試料を洗浄後
オートクレーブ(121℃、20分)滅菌したものを1
個入れ、30℃で18時間放置する工程を、滅菌を含め
て10回繰り返した。その後その抗菌剤を使用して抗菌
試験を行ったときの菌の生存について検討した結果を表
3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】大腸菌、黄色ブドウ球菌ともに105 CFU/
ml以下では−となり菌の増殖は観察されなかった。この
結果は評価実験1の結果と変わりなかったので、上記方
法で銀を固定させた抗菌剤は、採尿バッグ内にいれて取
り替えることなく繰り返し使用する場合であっても、複
数回並びに長期間(4週間)の使用に充分耐え得ること
が判明した。
【0033】(評価実験3:8週間浸漬)本実施例の抗
菌性試料の長期使用性を調べるために、以下に示す評価
実験を行った。即ち、評価実験2の複数回使用試験に使
用した抗菌性試料を、108 CFU/mlの大腸菌の菌液に8
週間浸漬させ、その後洗浄し、オートクレーブ(121
℃、20分)で滅菌した。その後、この抗菌剤試料1個
を、大腸菌の菌液を人工尿培地で105 CFU/mlに調製し
た液1mlの中に入れ、30℃で18時間放置した。この
時の菌の生存率について評価した。この結果、判定は−
となり、良好な結果を示した。尿路感染の判定は尿中菌
数104 CFU/ml以上で感染有りと判定するので、本実施
例の抗菌剤の長期使用後の抗菌能力は採尿バッグ中の抗
菌剤として使用するのに充分な効力を有すると考えられ
る。
【0034】(評価実験4:8週間放置)評価実験1で
使用した最初に105 CFU/mlに調製していた培地から抗
菌剤試料を抜き取り、8週間放置したが、その培地から
は全く菌の増殖は認められず、判定は−であり、抗菌性
試料から溶出された銀イオンの効果が長期に亘り残存し
ていることが判明した。したがって、本実施例の抗菌剤
の使用後の抗菌持続能力は、採尿バッグ中の抗菌剤とし
て使用するのに充分な効力を有すると考えられる。
【0035】(評価実験5:消毒剤耐性菌)評価実験1
で用いた大腸菌などに比べ、高い消毒剤耐性を示す緑膿
菌(P.aeruginosa、 NCTC10490 株)、シュードモナス属
細菌(P. cepacia、 Q13 株、及びP. putida、 RM238
株)、キサントモナス属細菌(X. maltophilia、 Q36
株)及び霊菌(S.marcescens, IFO3736 株)の菌液を人
工尿培地で107 〜101CFU/mlに調製したものを1ml
試験管に採取し、そこに抗菌剤試料を1個入れ、30℃
で18時間放置した。このときの菌の生存率について評
価した。結果を表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】3種のシュードモナス属細菌、1種のキサ
ントモナス属細菌および1種の霊菌ともに初期菌数10
5 CFU/ml以下で−となり菌は観察されなかった。したが
って、本実施例の抗菌剤の抗菌能力は、高い消毒剤耐性
を示す菌類に対しても、採尿バッグ中の抗菌剤として使
用するのに充分な効力を有すると考えられる。
【0038】(評価実験6:真菌)真菌のカンジダ(C.
albicans、 IID867 株)を0.5%のグルコースを含む
普通ブイヨン培地(栄研化学製)で107 〜101 CFU/
mlに調製したものを1ml試験管に採取し、そこに抗菌剤
試料を1個入れ、30℃で18時間放置した。このとき
の菌の生存率について評価した。結果を表5に示す。そ
の結果、103 CFU/ml以下では−となり良好な結果を示
した。
【0039】
【表5】
【0040】実施例2(アルミナ、チタニア、酢酸銅) 実施例1と同様に、径5mm、吸水率65%のアルミナ多
孔体(試料)の表面に、平均粒径10nmのチタニアゾル
を塗布した。この試料を750℃で2時間焼成しその
後、冷却した。続いて、この試料を5重量%酢酸銅溶液
に1時間浸漬させ、同時に試料表面に光を照射した。こ
のようにして得た、チタニア層を介して銅が担持されて
いる試料(抗菌剤)を用いて以下に示す評価実験を行っ
た。
【0041】(評価実験7:18時間放置)大腸菌(E.
coli)、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、緑膿菌(P. aer
uginosa、NCTC10490株)、シュードモナス属細菌(P. ce
pacia、 Q13 株、及びP. putida、RM238株)、キサントモ
ナス属細菌(X. maltophilia、 Q36 株)及び霊菌(S. m
arcescens、 IFO3736株)の菌液を人工尿培地で107
101 CFU/mlに調製したものを1ml試験管に採取し、そ
こに抗菌剤試料を1個入れ、30℃で18時間放置し
た。このときの菌の生存率について評価した。結果を表
6に示す。
【0042】
【表6】
【0043】全ての菌について105 CFU/ml以下で−と
なり菌は観察されなかった。したがって、抗菌性金属に
銅を用いた場合も銀同様の効果が期待できた。
【0044】(評価実験8:真菌)真菌のカンジダ(C.
albicans、 IID867 株)を0.5%のグルコースを含む
普通ブイヨン培地で107 〜101 CFU/mlに調製したも
のを1ml試験管に採取し、そこに抗菌剤試料を1個入
れ、30℃で18時間放置した。このときの菌の生存率
について評価した。結果を表5に示す。その結果、10
4 CFU/ml以下で−となり、銀の場合と比較して真菌では
より良好な結果を示した。
【0045】実施例3(銀耐性菌) 銀耐性菌の検討を次のように行った。2×108 の大腸
菌を2ml普通ブイヨン培地(銀を含む)に植菌し、3時
間、37℃にて培養した。その後、遠心分離して菌を回
収し、回収した菌を銀を含まない新しい普通ブイヨン培
地にて1夜培養した。その後、このブイヨン培地に銀を
加えて、さらに3時間培養した。これを5回繰り返して
最終の生菌数を測定し、以下の結果を得た。 銀濃度(AgNO3) 菌数 0 2.3X109 (40μMに移しても菌の増殖なし) 10μM 1.4X108 (40μMに移しても菌の増殖なし) 20μM 0.8X107 (40μMに移しても菌の増殖なし) 40μM 0 60μM 0 この結果は、銀の場合には耐性菌がまったく出現しない
ことを意味している。
【0046】実施例4(人工尿中での銀静菌濃度) 硝酸銀を超純水に溶解して銀量換算で100mg/リット
ルの溶液を調製した。この溶液を人工尿で希釈すること
により銀濃度の異なる何種類かの培地を調製した。この
培地2mlに大腸菌(E. coli)の菌液を0.1ml添加し、
菌濃度105CFU/mlになるようにした。次いで、培地を
30℃フラン器中で18時間置き、菌に銀を作用させ
た。その後、培地に1g/リットルのヨウ化カリウム水
溶液を加えて、銀をヨウ化銀として沈殿回収した後、試
験後の生菌数を測定した。
【0047】図2は、銀濃度と生菌数との関係を示すグ
ラフである。このグラフより、溶液中の銀濃度が0.1
mg/リットル以上になると、人工尿のような多くの塩素
イオン(0.17mol/リットル)を含む溶液系であって
も、充分な抗菌効果が発現することが判明した。
【0048】実施例5(大容積適用) 実施例1と同様にして得た、チタニア層を介して銀が担
持されている抗菌剤を用いて以下に示す大容積適用実験
を行った。なお、ここで使用した抗菌剤の表面積は0.
75cm2 であった。
【0049】(評価実験9)大腸菌(E. coli)及び黄色
ブドウ球菌(S. aureus)の菌液をブイヨン培地で106
〜103 CFU/mlに調製したものを種々の体積採取し、そ
こに抗菌剤試料を所定個数挿入し、30℃で18時間放
置した。このときの菌の生存率について評価した。結果
を表7に示す。
【0050】
【表7】
【0051】表7より以下のことが判る。 (1)必要な固形物の量、すなわち必要担持銀量は初期
に混入した菌濃度と水量に依存する。 (2)採尿バッグの容量である1リットルオーダーの水
量においても上記試料(抗菌剤)が10個以上あれば充
分な抗菌力を発揮する。
【0052】実施例6:各種担体 アルミナ多孔体表面にチタニア層を介して銀イオンを浸
漬後光照射固定法により担持させた試料A、アルミナ多
孔体に銀イオンを含浸固定法により担持させた試料B、
ゼオライトにイオン交換により銀イオンを固定させた試
料C、アパタイト多孔体に銀イオンをイオン交換吸着法
により担持させた試料Dについて、以下に示す評価を行
った。各試料の表面積は24cm2 であった。
【0053】(評価実験10:24時間浸漬)A〜Dそ
れぞれの試料を大腸菌(E. coli)の菌液を人工尿培地で
103 CFU/mlに調製したもの200ml中に30℃で24
時間浸漬させた。このときの各試料の生菌数を求めた。
結果を表8に示す。試料A、B、Cでは生菌数は<30
CFU/mlと非常に良好な結果を示し、試料Dでも生菌数は
1.8×103 CFU/mlと良好な結果を示した。
【0054】
【表8】
【0055】(評価実験11:初期溶出量)A〜Dそれ
ぞれの試料の使用前における銀溶出量を調べた。銀溶出
量は100ml純水中に24時間浸漬させた後、溶媒中の
銀量を原子吸光法にて調べることにより評価した。結果
を表9に示す。試料A、B、Cではいずれも0.5ppm
以上の銀量が溶出したのに対し、試料Dでは0.11pp
m の銀量しか溶出しなかった。このことが、評価実験1
0で試料Dのみ生菌数がやや高かったことに対応してい
るものと思われる。
【0056】
【表9】
【0057】(評価実験12:4週間浸漬後溶出量)A
〜Dそれぞれの試料を30℃に維持した人工尿2000
mlに4週間浸漬させた後、この溶液中の銀溶出量を調べ
た。結果を表10に示す。試料A、B、Cの銀溶出量は
良好であったが、試料Dでは人工尿中の銀溶出量が十分
でなかった。
【0058】
【表10】
【0059】(評価実験13:4週間浸漬)評価実験1
2で使用した試料を大腸菌(E. coli)の菌液を人工尿培
地で103CFU/mlに調製したもの200ml中に30℃で
24時間浸漬させた。このときの各試料の生菌数と銀溶
出量を調べた。結果を表11に示す。イオン交換により
銀イオンを固定させた試料Cとイオン交換吸着法により
担持させた試料Dでは、抗菌剤を入れない対照と菌数が
同レベルであり、抗菌性の寿命が尽きていることが観察
された。それに対し、試料Aでは菌の減少が観察され、
抗菌性を維持していることがわかった。試料Bでも対照
と比較して静菌性を示すことがわかった。また、銀溶出
量を比較すると、試料C、Dでは銀がほとんど溶出され
ておらず、抗菌性が悪化した原因と考えられる。それに
対し、試料Aでは人工尿浸漬前後で銀の溶出量に大きな
変化がみられず、そのために長期にわたり抗菌性を維持
し、BではC、Dほど銀の溶出量が低下せず静菌性を示
したものと考えられる。
【0060】したがって、尿を留置する目的で使用する
採尿バッグ中の抗菌に使用する抗菌剤としては、イオン
交換法により銀イオンを固定させた試料よりも多孔体に
銀イオンを固定した試料のほうが優れているといえる。
【0061】
【表11】
【0062】(評価実験14:抗菌性回復)30℃に維
持した人工尿2000mlに4週間浸漬させた試料Bをオ
ートクレーブ(121℃、20分)で滅菌し、その後、
大腸菌(E. coli)の菌液を人工尿培地で103 CFU/mlに
調製したもの200ml中に30℃で24時間浸漬させ
た。このときの試料の生菌数を求めたところ、30CFU/
ml未満と非常に良好な結果を示した。したがって、アル
ミナ多孔体に銀イオンを担持させた試料では、長期使用
後、オートクレーブ処理すると抗菌特性が回復すること
がわかった。
【0063】(評価実験15:くりかえし使用性)A、
C、Dそれぞれの試料を30℃に維持した人工尿100
mlに24時間浸漬させ、その後、新たに調整した人工尿
100mlに移し、さらに24時間浸漬させる操作を毎日
繰り返した。ここで用いた試料の表面積は、0.75cm
2 とした。そして各24時間浸漬した人工尿中に溶出さ
れた銀濃度を求めた。結果を図3に示す。その結果、試
料C、Dでは1週間以内で抗菌寿命が尽きたが、試料A
では1か月経過してなお0.3ppm の溶出が認められ
た。したがって、尿を交換しながらの使用を考慮したと
き、試料Aが最も優れることが確認された。なお、図3
において、“シルウェル”は富士シリシア社製の抗菌剤
の商品名であり、“ゼオミック”はシナネン社製の抗菌
剤の商品名であり、“アパサイダーPO5”、“アパサ
イダーB10”はサンギ社製の抗菌剤の商品名である。
【0064】
【発明の効果】導尿セットの一部品を構成する採尿バッ
グ中に、抗菌性金属を含む抗菌剤を挿入することによ
り、医療従事者の負担とならない方法で、導尿セット使
用患者における尿路感染、及び、医療従事者における導
尿セットから尿を除去する作業時の院内感染を有効に防
止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】代表的な導尿セットの概略構成を示す図であ
る。
【図2】実施例4における銀濃度と生菌数との関係を示
すグラフである。
【図3】人工尿中におけるAg溶出量の経時変化を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 カテーテル、 2 シリコーンチューブ、 3 採
尿バッグ 4 尿排出口、 5 ドレインバルブ
フロントページの続き (72)発明者 早川 信 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 菅野 充誠 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 則本 圭一郎 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 渡部 俊也 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導尿セットの一部品を構成する採尿バッ
    グ中に、抗菌性金属を含む抗菌剤を挿入することを特徴
    とする尿路感染防止方法。
  2. 【請求項2】 前記抗菌剤は、多孔体担体に抗菌性金属
    を固定した抗菌剤であることを特徴とする請求項1に記
    載の尿路感染防止方法。
  3. 【請求項3】 前記抗菌剤は、チタニア層を介して抗菌
    性金属を固定した抗菌剤であることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の尿路感染防止方法。
  4. 【請求項4】 抗菌性金属を含む抗菌剤を内部に有する
    ことを特徴とする採尿バッグ。
  5. 【請求項5】 前記抗菌剤が、基体とそれに固定された
    抗菌性金属イオンとからなる請求項4記載の採尿バッ
    グ。
  6. 【請求項6】 前記抗菌剤が、多孔体担体とそれに担持
    された抗菌性金属イオンとからなる請求項4記載の採尿
    バッグ。
  7. 【請求項7】 前記抗菌剤が、多孔体担体と、その表面
    に形成された同じく多孔質の光触媒層と、これらの多孔
    体担体及び光触媒層に担持された抗菌性金属イオンとか
    らなる請求項4記載の採尿バッグ。
  8. 【請求項8】 前記抗菌性金属イオンの一部が前記多孔
    体担体に還元固定されている請求項6記載の採尿バッ
    グ。
  9. 【請求項9】 前記抗菌性金属イオンの一部が前記光触
    媒層に還元固定されている請求項7記載の採尿バッグ。
  10. 【請求項10】 前記抗菌剤が、採尿バッグの排尿口近
    傍に配置されている請求項4〜9いずれか1項記載の採
    尿バッグ。
  11. 【請求項11】 前記抗菌性金属が銀、銅又は亜鉛から
    なる群より選ばれた1又は2以上の金属である請求項4
    〜9いずれか1項記載の採尿バッグ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016509923A (ja) * 2013-03-15 2016-04-04 オブザーヴ・メディカル・オペエス 改善された尿測定の装置及び方法

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