JPH08231351A - 養毛料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ペルー国アンデス産の生薬に用いられる植物
体からの抽出物を有効成分として含んでなる養毛料。植
物体は、ベニノキ科（Bixaceae）のビクサ オレルラー
ナ エル.（Bixa orellana L.）に由来する。 【効果】 ヒトを始めとする哺乳動物において優れた脱
毛防止効果及び発毛促進効果を有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は優れた脱毛防止、発毛効
果等の養毛作用を持つ養毛料に関する。より具体的に
は、本発明はペルー国産の生薬用植物体からの抽出物を
有効成分として含んでなる養毛料に関する。本発明の養
毛料は、特に医薬品、医薬部外品、或は化粧品分野にお
いて利用される。

【０００２】

【従来の技術】従来より、禿や脱毛の原因としては、毛
根、皮脂腺等の器官における男性ホルモンの活性化、毛
包への血流量の低下、皮脂の分泌過剰、過酸化物の生成
等による頭皮の異常等が考えられている。このため従来
の養毛料には、前記の原因を取り除いたり、または、軽
減する作用を持つ化合物が一般に配合されている。

【０００３】例えば、ビタミンＢ、ビタミンＥ等のビタ
ミン類、セリン、メチオニン等のアミノ酸類、センブリ
エキス、アセチルコリン誘導体などの血管拡張剤、紫根
エキス、ヒノキチオール等の抗炎症剤、エストラジオー
ルなどの女性ホルモン剤、セフアランチンなどの皮膚機
能亢進剤などが配合され、脱毛症の予防および治療に用
いられている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
ように種々の試みがなされているにもかかわらず、従来
の養毛剤ではその脱毛防止、発毛効果等の養毛作用は必
ずしも充分なものではなかつた。これはおそらく、脱毛
の原因がさまざまであり、また発毛の機構も非常に複雑
であるためと考えられている。このような脱毛の原因の
多様性を考慮すれば、さらなる新規養毛料の提供が望ま
れるであろう。

【０００５】従つて、本発明の目的は、前記多様な脱毛
の原因に対処すべく、優れた脱毛防止効果及び発毛促進
効果を有する養毛料を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記観点
から、有効物質の探索対象を広く海外にも求めて検討を
行つてきた。その結果、ペルー国アンデス地方に生育す
るベニノキ科（Bixaceae）の特定の植物に由来する植物
体からの抽出物が優れた脱毛防止及び発毛促進効果を有
することを見い出した。

【０００７】従つて、上記課題は、本発明に従う、ベニ
ノキ科（Bixaceae）科のビクサ オレルラーナ エル.（B
ixa orellana L.）由来の植物体からの抽出物を有効成
分として含んでなる養毛料の提供によつて解決される。

【０００８】ビクサ オレルラーナ エル．は、アンデス
地方で見い出される生薬アチヨテ（Achote）の原料植物
であるものと信じられている。なお、本明細書にいう
「生薬」の語は、必ずしも特定の当局によつて認証等が
されていることを意味せず、いわゆる広く民間療法等に
使用されている場合も包含する概念で使用している。

【０００９】本発明の有効成分は、ビクサ オレルラー
ナ エル．の新鮮な又は乾燥した全草又はその構成部分
のいずれかから常法により抽出できる。従つて、本発明
にいう「植物体」は、上記植物に由来する全草又はその
いずかの構成部分であつて、その乾燥物又は未乾燥物の
すべてを包含する。しかし、全草の乾燥物を使用するの
が有利である。

【００１０】本発明で用いられる植物体からの抽出物の
調製方法としては植物体を溶媒、例えば、熱水やメタノ
ール、エタノール等の低級アルコールあるいは含水低級
アルコールあるいはプロピレングリコール、１−３ブチ
レングリコール等の多価アルコールあるいは含水多価ア
ルコール等の含水アルコール等で抽出する方法が使用で
きる。

【００１１】本発明で用いられる植物体からの抽出物の
配合量は、養毛料全量中、乾燥物として０.００５〜２
０重量％、好ましくは０.０１〜５重量％である。０.０
０５重量％未満であると、本発明でいう効果が十分に発
揮されず、２０重量％を超えると製剤上好ましくない。

【００１２】本発明に係る養毛料には上記成分のほか、
化粧品、医薬部外品、医薬品等に一般に用いられる各種
成分、例えば、油分、例えば高級脂肪酸、固形パラフイ
ン、流動パラフイン、シリコーン油、スクワラン等；保
湿剤、例えばヒアルロン酸、プロピレングリコール、マ
ルチトール、アテロコラーゲン、乳酸ナトリウム等；増
粘剤、マルメロ粘質物、カルボキシビニールポリマー、
キサンタンガム等；モノオレイン酸グリセリル等の油
分、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、ビタミン
Ｅアセテート、センブリ抽出物、塩化カルプロニウム、
センブリエキス、アセチルコリン誘導体等の血管拡張
剤、セリン、メチオニン等のアミノ酸類、ビタミンＢ
６、ビタミンＥ及びその誘導体、ビオチン等のビタミン
類、パントテン酸及びその誘導体グリチルレチン酸及び
その誘導体、ニコチン酸ベンジルなどのニコチン酸エス
テル類、セフアランチン等の皮膚機能亢進剤、エストラ
ジオール等の女性ホルモン剤等を同時に配合してもよ
い。さらに、通常、養毛料に用いられる添加剤、例え
ば、ヒノキチオール、ヘキサクロロフエン、ベンザルコ
ニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ウンデ
シレン酸、トリクロロカルバニリドおよびビチオノール
等の抗菌剤、メントール等の清涼剤、サリチル酸、亜鉛
およびその誘導体、乳酸およびそのアルキルエステルな
どの薬剤、クエン酸等の有機酸類、アルギニン等のアミ
ノ酸類、オリーブ油、スクワラン、流動パラフイン、イ
ソプロピルミリステート、高級脂肪酸、高級アルコール
等の油分、グリセリン、プロピレングリコール等の多価
アルコール、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、
エタノール、水、保湿剤、増粘剤等が本発明の効果を損
なわない範囲で適宜配合することができる。

【００１３】本発明の養毛料の性状は、液状、乳液、軟
膏など外皮に適用できる性状のものであればいずれでも
よい。

【００１４】本発明の養毛料は皮膚に直接塗布または散
布する経皮投与による投与方法をとる。また、本発明の
養毛料の至適投与量は、年齢、個人差、病状等により変
化するので明確には特定できないが、一般的には、ヒト
に投与する場合の投与量は体重１ｋｇおよび１日当り
０.０１〜１００ｍｇ、好ましくは０.１〜１０ｍｇであ
り、この量を１日１回または２〜４回に分けて投与する
ことができる。

【００１５】こうして調製された本発明の養毛料は、優
れた脱毛作用と共に、発毛及び育毛作用を有し、ヘアー
ケアー用の医薬又は化粧料として有用である。

【００１６】

【実施例】次に実施例をあげて本発明の養毛料の製法お
よび養毛作用をさらに具体的に説明する。本発明はこれ
により限定されるものではない。特記しない限り、配合
量は重量％を意味する。

【００１７】例１：抽出物の調製 アチヨテの全乾燥物５００ｇメタノール７.５ ｌ、５日
間にて処理するメタノール冷浸抽出法にかけ、メタノー
ルエキス乾燥物を５４.１ｇ、得た。

【００１８】例２：養毛料の調製 例１で得たメタノールエキス乾燥物１.０％を、７０％
エタノール９０％、硬化ヒマシ油エチレンオキシド（４
０モル）付加物１.０％及びイオン交換水（残余）と混
合撹拌して溶解させた。さらにイオン交換水（１０％）
を溶液に添加し、再度混合撹拌して液状の養毛料１を得
た。

【００１９】例３：抽出物の調製 例１のメタノールに代え、７０％エタノールを用いて同
様の操作を繰り返した。こうして、７０％エタノールエ
キス乾燥物４０.５ｇを得た。

【００２０】例４：養毛料の調製 例３で得た７０％エタノールエキス乾燥物０.１％を、
７０％エタノール９０％、オレイン酸ナトリウム０.０
１％、ドデシルベンゼンスルホン酸０.４９％、硬化ヒ
マシ油エチレンオキシド（４０モル）付加物０.５％及
びイオン交換水（残余）と混合撹拌して溶解させた。こ
の溶液へさらにイオン交換水（１０％）添加し、再度混
合撹拌して液状の養毛料２を得た。

【００２１】例５：抽出物の調製 例１のメタノールに代え、酢酸エチルを用いて同様の操
作を繰り返し、酢酸エチルエキス乾燥物を３５.１ｇ得
た。

【００２２】例６：養毛料の調製 例５で得た酢酸エチルエキス乾燥物０.０５％を、７０
％エタノール９０％、ラウリルジメチルアミンオキシド
０.１％、硬化ヒマシ油エチレンオキシド（６０モル）
付加物０.９％及びイオン交換水（残余）と混合撹拌し
て溶解させた。この溶液へさらにイオン交換水（１０
％）を添加混合して、液状の養毛料３を得た。

【００２３】例７：抽出物の調製 例１のメタノールに代え、アセトンを用いて同様の操作
を繰り返した。こうして、アセトンエキス乾燥物を３
２.９ｇを得た。

【００２４】例８：養毛料の調製 例７で得たアセトンエキス乾燥物０.１％を、７０％エ
タノール９０％、セスキオレイン酸ソルビタン０.４
％、硬化ヒマシ油エチレンオキシド（４０モル）付加物
０.６％及びイオン交換水（残余）と混合撹拌して溶解
した。さらにイオン交換水（１０％）を得られた溶液に
添加し、撹拌して、液状の養毛料４を得た。

【００２５】例９：抽出物の調製 例１のメタノールに代え、４０％エタノール水溶液を用
い、同様の操作を繰り返した。こうして、４０％エタノ
ールエキス乾燥物を２９.７ｇを得た。

【００２６】例１０：養毛料の調製 例９で得た４０％エタノールエキス乾燥物０.３％、７
０％エタノール９０％、ラウロイルタウリン０.１％、
塩化セチルピリジウム０.０１％、硬化ヒマシ油エチレ
ンオキシド（４０モル）付加物０.８９％及びイオン交
換水（残余）と混合撹拌して溶解させた。この溶液へさ
らにイオン交換水（１０％）を添加混合し、液状の養毛
料５を得た。

【００２７】発毛試験例 対照試料として７０％エタノールを用い、本発明の液状
の養毛料１〜５について下記の発毛試験を行つた。

【００２８】実験動物として毛周期の休止期にあるＣ３
Ｈ／ＨｅＮＣｒＪマウスを用い、小川らの方法（ノーマ
ル アンド アブノーマル エピダーマル デイフアレンシ
エーシヨン［Normal and Abnormal Epidermal Differen
tiation］、M. Seiji およびI. A. Bernstein 編集、第
１５９〜１７０ページ、１９８２年、東大出版）により
行なつた。

【００２９】すなわち、マウスを１群１０匹とし、それ
ぞれ、被験試料と対照試料用の６群に分け、バリカンお
よびシエーバーでマウスの背部を剃毛し、それぞれの試
料を１日１回、０.１ｍｌずつ塗布した。２５日後に毛
の再生面積を測定した結果を下記表１に示す（数値は平
均値である）。

【００３０】 表１より明らかなように、本発明の養毛料は、マウスの
発毛試験において有意な効果を有する。

【００３１】養毛作用試験例 本発明の養毛料の脱毛防止、発毛効果等の養毛作用を調
べるために、ヒトに対して、以下の方法でトリコグラム
試験を実施した。被験試料及び対照試料は、上記発毛試
験例に用いた、養毛料１及び対照としての７０％エタノ
ールである。

【００３２】養毛料の使用前と使用後の抜去毛髪の毛根
を顕微鏡下で観察し、毛根の形態から休止期毛根数を計
数し、その割合の増減によつて養毛料の養毛作用を比較
した。休止期毛根とは成長の止まつた毛の毛根であり、
脱毛を訴える人は正常な人よりもこの休止期毛根の割合
が多いことが認められている。

【００３３】被験試料及び対照試料の各養毛料をそれぞ
れ男性被験者１０名の頭皮に１日２回、１回２ｍｌずつ
６ケ月間連続して塗布し、塗布直前および６ケ月間塗布
終了直後に被験者１名につき１００本ずつ毛髪を抜去
し、それぞれの毛根を調べ、実使用テストを行つた。結
果を表２に示す。

【００３４】表 ２ 試 料 休止期毛根の割合 養毛効果の (対照及び 20%以上減少 ±20% 20%以上増加 評 価養毛料番号) (%) (%) (%) 対照 10 50 40 無効 1 60 30 10 有効 表２より明らかなように、本発明の養毛料はヒトのトリ
コグラム試験において、有意な養毛効果を有する。

【００３５】製剤例 例２、４、６、８及び１０の他に、本発明に従う別の態
様の製剤の調製について以下に例示する。

【００３６】例１１ （Ａ相） アチヨテの７０％エタノールエキス乾燥物 １.０ ポリオキシエチレン（６０モル）付加硬化ヒマシ油 ２.０ グリセリン １０.０ ジプロピレングリコール １０.０ １,３−ブチレングリコール ５.０ ポリエチレングリコール１５００ ５.０ （Ｂ相） セチルイソオクタネート １０.０ スクワラン ５.０ ワセリン ２.０ プロピルパラベン ２.０ （Ｃ相） カルボキシビニルポリマー１％水溶液 ３０.０ ヘキサメタリン酸ソーダ ０.０３ イオン交換水 ８.３５ （Ｄ相） イオン交換水 ４.５ （Ｅ相） カセイカリ ０.１２ イオン交換水 ５.０ （製造法）Ａ相、Ｂ相をそれぞれ６０℃で加熱溶解し、
混合してホモミキサー処理しゲルを作る。これにＤ相を
徐々に添加しホモミキサーで分散する。

【００３７】次にこれに溶解したＣ相を加え、最後に溶
解したＥ相を添加しホモミキサーで乳化してＯ／Ｗ乳液
型の養毛料を得た。

【００３８】この養毛料を上記養毛料１と同様に人に対
して、実使用テストを行つたところ、その養毛作用が優
れていることが確認された。

【００３９】例１２ （Ａ相） 流動パラフイン ５.０ セトステアリルアルコール ５.５ グリセリルモノステアレート ３.０ ＥＯ（２０モル）−２−オクチルドデシルエーテル ３.０ プロピルパラベン ０.３ 香料 ０.１ （Ｂ相） アチヨテのメタノールエキス乾燥物 ５.０ グリセリン ８.０ ジプロピレングリコール ２０.０ ポリエチレングリコール４０００ ５.０ ドデシル硫酸ナトリウム ０.１ ヘキサメタリン酸ソーダ ０.００５ イオン交換水 ４５.０９５ （製造法）Ａ相、Ｂ相をそれぞれ加熱溶解して混合し、
ホモミキサーで乳化してクリーム状養毛料を得た。この
養毛料を上記養毛料１と同様に人に対して、実使用テス
トを行つたところ、その養毛効果が優れていることが確
認された。

【００４０】例１３ アチヨテのエタノールエキス乾燥物 ０.５ ステアリルジメチルアミンオキシド ０.５ 硬化ヒマシ油エチレンオキシド（４０モル）付加物 １.０ ９５％エタノール ５４.０ イオン交換水 残部 （製造法）９５％エタノールにイオン交換水を加え、こ
れに硬化ヒマシ油エチレンオキシド（４０モル）付加物
およびステアリルジメチルアミンオキシドを加えた後各
植物抽出物を加え、撹拌溶解する。この養毛料を上記養
毛料１と同様に人に対して、実使用テストを行つたとこ
ろ、その養毛効果が優れていることが確認された。 例１４ Ｎ−ヤシラウリル−β−アミノプロピオン酸ソーダ ０.２ アチヨテのメタノールエキス乾燥物 １.０ ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム ０.５ 硬化ヒマシ油エチレンオキシド（４０モル）付加物 １.０ ９５％エタノール ５４.０ イオン交換水 残部 （製造法）９５％エタノールにイオン交換水を加え、こ
れに硬化ヒマシ油エチレンオキシド（４０モル）付加
物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびＮ−
ヤシラウリル−β−アミノプロピオン酸ソーダを加えた
後各植物抽出物を加え、撹拌溶解する。この養毛料を上
記養毛料１と同様に人に対して、実使用テストを行つた
ところ、その養毛効果が優れていることが確認された。

【００４１】

【発明の効果】本発明は、植物起源から得られた養毛料
を提供する。この養毛料は、ヒトを始めとする哺乳動物
において優れた脱毛防止効果及び発毛促進効果を有す
る。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベニノキ科（Bixaceae）のビクサ オレ
   ル ラーナ エル.（Bixa orellana L.）由来の植物体か
   らの抽出物を有効成分として含んでなる養毛料。
2. 【請求項２】 前記植物体が、ペルー国アンデス地方に
   見られる生薬アチヨテ（Achote）の全草乾燥物である請
   求項１記載の養毛料。