JPH0822949B2 - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物

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JPH0822949B2
JPH0822949B2 JP32763288A JP32763288A JPH0822949B2 JP H0822949 B2 JPH0822949 B2 JP H0822949B2 JP 32763288 A JP32763288 A JP 32763288A JP 32763288 A JP32763288 A JP 32763288A JP H0822949 B2 JPH0822949 B2 JP H0822949B2
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典正 山谷
正博 太田
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は耐衝撃性と靭性に優れた新規な熱硬化性樹脂
組成物に関する。
[従来の技術] 従来から、イミド構造を有する熱硬化性樹脂は電気絶
縁性、耐熱性、成形品の寸法安定性に優れた性能を有す
るため、産業上広く利用されている。
しかしながら、芳香族系ビスマレイミドを使用してな
る熱硬化性樹脂は不溶不融で、しかも耐熱性に優れた素
材であるが、耐衝撃性及び靭性に乏しいという欠点があ
った。
このため、芳香族系ビスマレイミドの耐衝撃性及び靭
性を改良する方法として、芳香族系ビスマレイミドに芳
香族系ジアミンを使用する試みがある。例えば、N,N′
−(4,4,′−メチレンジフェニレン)ビスマレイミドと
4,4′−ジアミノジフェニルメタンとからなるポリアミ
ノビスマレイミド樹脂(ローヌ・プーラン社製、商品名
キネル)は耐衝撃性及び靭性が芳香族系ビスマレイミ
ド単独のものよりも優れているため、成形品として、構
造部材及び摺動部材等に広く用いられている。しかしな
がら、これらの熱硬化性樹脂は、いまだ耐衝撃性及び靭
性の面から満足のいくものではなかった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、従来の耐熱性を維持し、しかも耐衝
撃性及び靭性に優れた熱硬化性樹脂組成物を提供するこ
とにある。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を
行った結果、ビスマレイミド化合物と芳香族アミン樹脂
よりなるポリアミノビスマレイミド樹脂と特定量の炭素
繊維よりなる熱硬化性樹脂組成物が特に有効であること
を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の熱硬化性樹脂組成物は式(I) で表されるN,N′−4,4′−ジフェニルメタンビスマレイ
ミドと一般式(II)で表される芳香族アミン樹脂 (式中、Aはフェニレン基、アルキル置換フェニレン
基、ジフェニレン基、ジフェニルエーテル基またはナフ
チレニル基を示し、R1はハロゲン原子、水酸基、炭素数
4以下の低級アルコキシ基または炭素数5以下の低級ア
ルキル基を示し、かつR1は互いに同一であっても異なっ
てもよく、環を形成してもよい。lは1または2を示
し、mは0〜3の整数を示し、nは0〜300の整数を示
す。) よりなるポリアミノビスマレイミド樹脂100重量部と炭
素繊維10〜400重量部よりなる熱硬化性樹脂組成物であ
る。
前記式(I)で表されるN,N′−4,4′−ジフェニルメ
タンビスマレイミドは通常公知の方法により4,4′−ジ
アミノジフェニルメタンと無水マレイン酸を縮合・脱水
反応して、容易に製造できる。
本発明で使用される一般式(II)で表わされる芳香族
アミン樹脂は 一般式(IV) R2OCH2−A−CH2OR2 (IV) (式中、Aはフェニレン基、アルキル置換フェニレン
基、ジフェニレン基、ジフェニルエーテル基またはナフ
チレニル基を示し、R2は水素原子、アシル基または炭素
数4以下の低級アルキル基を示す。)で表されるアラル
キルアルコール誘導体1モルに対し、 一般式(III) (式中、R1はハロゲン原子、水酸基、炭素数4以下の低
級アルコキシ基または炭素数5以下の低級アルキル基を
示し、かつR1は互いに同一であっても異なってもよく、
環を形成してもよい。lは1または2を示し、mは0〜
3の整数を示す。)で表される芳香族アミン化合物を1
〜15モルの割合で反応させて得られる(特願昭62−2525
17)新規な樹脂である。
原料のアラルキルアルコール誘導体を示す一般式(I
V)中のAは で表わされるフェニレン基、 および で表わされるアルキル置換フェニレン基、 で表わされるジフェニレン基、 で表わされるジフェニルエーテル基、 で表わされるナフチレン基などであり、R2は水素原子、
アシル基またはアルキル基である。一般式(IV)で表わ
される化合物は具体的にはα,α′−ジヒドロキシ−o
−キシレン、α,α′−ジヒドロキシ−m−キシレン、
α,α′−ジヒドロキシ−p−キシレン、α,α′−ジ
アセトキシ−o−キシレン、α,α′−ジアセトキシ−
m−キシレン、α,α′−ジアセトキシ−p−キシレ
ン、α,α′−ジプロピオノキシ−p−キシレン、α,
α′−ジ−n−ブチロキシ−p−キシレン、α,α′−
ジメトキシ−o−キシレン、α,α′−ジメトキシ−m
−キシレン、α,α′−ジメトキシ−p−キシレン、
α,α′−ジエトキシ−o−キシレン、α,α′−ジエ
トキシ−m−キシレン、α,α′−ジエトキシ−p−キ
シレン、α,α′−ジイソプロポキシ−o−キシレン、
α,α′−ジイソプロポキシ−m−キシレン、α,α′
−ジイソプロポキシ−p−キシレン、α,α′−ジ−n
−プロポキシ−p−キシレン、α,α′−ジ−n−ブト
キシ−m−キシレン、α,α′−ジ−n−ブトキシ−p
−キシレン、α,α′−ジ−sec−ブトキシ−p−キシ
レン、α,α′−ジイソブトキシ−p−キシレン、4,
4′−ジヒドロキシメチルジフェニルエーテル、4,4′−
ジヒドロキシメチルジフェニル、2,6−ジヒドロキシナ
フタレン、4,4′−ジアセトキシメチルジフェニルエー
テル、4,4′−ジアセトキシメチルジフェニル、2,6−ジ
アセトキシメチルナフタレン、4,4′−メトキシメチル
ジフェニルエーテル、4,4′−メトキシメチルジフェニ
ル、4,4′−ジエトキシメチルジフェニルエーテル、4,
4′−ジイソプロポキシメチルジフェニル、4,4′−ジイ
ソブトキシメチルジフェニルエーテル、α,α′−ジメ
トキシ−2−メチル−p−キシレン、α,α′−ジメト
キシ−3−メチル−m−キシレン、α,α′−ジヒドロ
キシ−2,5−ジメチル−p−キシレン、α,α′−ジメ
トキシ−2,5−ジメチル−p−キシレン、α,α′−ジ
メトキシ−2,4−ジメチル−1,3−キシレン、α,α′−
ジメトキシ−2,4−ジメチル−1,5−キシレン等を挙げる
ことができる。その中で好適な化合物は、α,α′−ジ
メトキシ−p−キシレンである。
また芳香族アミン化合物を表わす一般式(III)中のR
1はハロゲン原子、水酸基、炭素数4以下の低級アルコ
キシ基、または炭素数5以下の低級アルキル基であり、
これらは0〜3個あり、互いに同じであっても異なって
もよく、環を形成してもよい。アミノ基は1または2個
である。一般式(III)で表わされる化合物は具体的に
はアニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−ト
ルイジン、o−エチルアニリン、m−エチルアニリン、
p−エチルアニリン、o−イソプロピルアニリン、m−
イソプロピルアニリン、p−イソプロピルアニリン、o
−n−プロピルアニリン、o−tert−ブチルアニリン、
p−tert−ブチルアニリン、o−n−ブチルアニリン、
p−sec−ブチルアニリン、2,3−キシリジン、2,4−キ
シリジン、2,6−キシリジン、3,4−キシリジン、3,5−
キシリジン、2−メチル−3−エチルアニリン、2−メ
チル−4−イソプロピルアニリン、2,6−ジエチルアニ
リン、2−エチル−5−tert−ブチルアニリン、2,4−
ジイソプロピルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリ
ン、4−クロロアニリン、4−ブロモアニリン、4−フ
ルオロアニリン、3−クロロアニリン、3−ブロモアニ
リン、3,4−ジクロロアニリン、3−クロロ−o−トル
イジン、3−クロロ−p−トルイジン、2,6−ジメチル
−4−クロロアニリン、0−アミノフェノール、m−ア
ミノフェノール、p−アミノフェノール、2−アミノ−
4−クレゾール、4−アミノ−2−tert−ブチルフェノ
ール、2,6−ジメチル−4−アミノフェノール、2,6−ジ
クロ−4−アミノフェノール、2−アミノ−1,3−レゾ
ルシン、4−アミノ−1,3−レゾルシン、2−アミノハ
イドロキノン、2−メトキシアニリン、3−メトキシア
ニリン、4−メトキシアニリン、2−イソプロポキシア
ニリン、2,4−ジメトキシアニリン、o−フェニレンジ
アミン、m−フェニレナジアミン、p−フェニレンジア
ミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエ
ン、2,4−ジアミノエチルベンゼン、2,6−ジアミノエチ
ルベンゼン、2,4−ジアミノイソプロピルベンゼン、2,4
−ジアミノ−tert−ブチルベンゼン、2,6−ジアミノ−t
ert−ブチルベンゼン、2,4−ジアミノ−1,3−ジメチル
ベンゼン、1,1−ジメチル−4−アミノインダン、1,1−
ジメチル−4,6−ジアミノインダン等を挙げることがで
きる。好適な化合物はアニリン、トルイジン類、キシリ
ジン類、アミノフェノール類およびジアミン類であり、
特に好適なものはアニリンである。
アラルキルアルコール誘導体(IV)と芳香族アミン化
合物(III)との反応は塩酸等の酸触媒の存在下にアラ
ルキルアルコール誘導体1モルに対して、芳香族アミン
化合物1〜15モル、好ましくは1.1〜10モルの割合で170
〜240℃の温度で10〜40時間縮合反応を行う。反応終了
後、反応混合物をアルカリ例えば苛性ソーダを用いて中
和し、水洗を行った後に過剰の芳香族アミン化合物を減
圧除去することによって前記式(II)の芳香族アミン樹
脂を得ることができる。
得られる芳香族アミン樹脂の分子量範囲は300〜60,00
0程度であり、樹脂は常温で液状〜軟化点250℃程度であ
る(JIS K−2548による環球法軟化点)。
上記式(I)で表されるN,N′−4,4′−ジフェニルメ
タンビスマレイミドと式(II)で表される芳香族アミン
樹脂よりポリアミノビスマレイミド樹脂を得るが、この
場合、以下に示す各種の方法が採用できる。
(1)ビスマレイミドと芳香族アミン樹脂を固体−固体
状で粉砕混合したもの、固体−液状で混合したもの、あ
るいはこれらを加熱処理してプレポリマーとしたものを
粉砕してペレット又は粉状にする。この場合の加熱条件
はプレポリマーの段階まで部分硬化させる条件がよく、
一般には70〜220℃の温度で5〜240分、望ましくは80〜
200℃の温度で10〜180分とすることが適当である。
(2)ビスマレイミドと芳香族アミン樹脂を有機溶媒に
溶解させ、次いで貧溶媒中に排出し析出してきた結晶を
濾過乾燥してペレットまたは粉状とするか、又は有機溶
媒に溶解後、加熱処理によりプレポリマーの段階まで部
分硬化させた後、貧溶媒中に排出し析出してきた結晶を
濾過乾燥してペレットまたは粉状とする。この場合の条
件も(1)に準ずる。
使用可能な有機溶媒としては両成分と実質的に反応し
ない溶媒という点で制限を受けるが、このほかに両反応
成分に対する良溶媒であることが望ましい。通常、用い
られる反応溶媒は塩化メチレン、ジクロロエタン、トリ
クロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソプロピ
ルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、メチルセロソルブなどのエーテル類、ベンゼン、
トルエン、クロロベンゼンなどの芳香族化合物、アセト
ニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2
−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
などの非プロトン性極性溶媒などである。
式(II)で表される芳香族アミン樹脂の配合量は、式
(I)で表されるN,N′−4,4′−ジフェニルメタンビス
マレイミド100重量部に対して、5〜100重量部、好まし
くは10〜80重量部の割合である。
芳香族アミン樹脂が5重量部未満であると、硬化物に
した場合、きわめて脆く満足な曲げ強度が得られない。
また100重量部を超えると硬化物の耐熱性が悪くなる。
上記のポリアミノビスマレイミド樹脂と炭素繊維より
熱硬化性樹脂組成物が得るが、炭素繊維はポリアクリル
ニトリル、石油ピッチ等を主原料とし、炭化して得られ
る高弾性、高強度を示す繊維であり、本発明ではポリア
クリルニトリル系、石油ピッチ系のいずれも使用でき
る。炭素繊維は補強効果及び混合性等より、適当な直径
と適当なアスペクト比(長さ/直径の比)を有するもの
を用いる。炭素繊維の直径は、通常5〜20μ、特に8〜
15μ程度のものが好ましい。またアスペクト比は1〜60
0、特に混合性と補強効果より、100〜350程度が好まし
い。アスペクト比が小さいと補強効果が小さく、またア
スペクト比が大きいと混合性が悪くなり、良好な成形品
が得られない。また該炭素繊維の表面を種々の処理剤、
例えばエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、ポリアセタール樹脂等で処理したもの、その他
目的に応じ公知の表面処理剤を使用したものも用いられ
る。
本発明における炭素繊維はポリアミノビスマレイミド
樹脂100重量部に対して、10〜400重量部、好ましくは20
〜300重量部を使用できる。10重量部未満では本発明の
特徴とする炭素繊維特有の補強効果は得られない。ま
た、逆に400重量部を超えて使用すると組成物の成形時
の流動性が悪くなり満足な成形品を得ることが困難とな
る。
本発明による熱硬化性樹脂組成物は通常公知の方法に
より製造できるが特に次に示す方法が好ましい。
(1)ポリアミノビスマレイミド樹脂粉末、炭素繊維を
乳鉢、ヘンシェルミキサー、ドラムブレンダー、タンブ
ラーブレンダー、ボールミルなどを利用して混合し、必
要に応じて熔融混合機、熱ロール等で混練したのち、ペ
レット又は粉状にする。
(2)ポリアミノビスマレイミド樹脂粉末をあらかじめ
有機溶媒に溶解、あるいは懸濁させ、この溶液あるいは
懸濁液に炭素繊維を浸漬し、その後、溶媒を熱風オーブ
ン中で除去したのち、ペレット又は粉状にする。この場
合混練に要する温度又は時間は使用するポリアミノビス
マレイミド樹脂の性状によって異なるが、組成物の軟化
温度が70℃乃至180℃、ゲル化時間が200℃で30〜180秒
の範囲に入るように適宜調整する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は必要に応じて重合触媒
を添加してもよい。該触媒の使用量は特に限定しないが
重合物全重量を基準として0.001〜10重量%、特に0.1〜
5重量%の範囲が好ましい。重合触媒としては、過酸化
ベンゾイル、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミル
パーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビ
スシクロヘキサンカルボニトリル等の公知のフリーラジ
カル触媒が有効である。なお重合触媒は適宜組合せて用
いても良い。
また、本発明組成物に対して、本発明の目的をそこな
わない範囲で、酸化防止剤および熱安定剤、紫外線吸収
剤、難燃助剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤などの通常の
添加剤を1種以上添加することができる。
また、他の熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂、
エポキシ樹脂など)、熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネー
ト、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテ
ルエーテルケトン、変性ポリフェニレンオキシド、ポリ
フェニレンサルファイド、フッ素樹脂など)または、ガ
ラス繊維、芳香族ポリアミド繊維、アルミナ繊維、チタ
ン酸カリウム繊維などの補強材やクレー、マイカ、シリ
カ、グラファイト、ガラスビーズ、アルミナ、炭酸カル
シウムなどの充填材もその目的に応じて適当量を配合す
ることも可能である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、圧縮成形法、トラン
スファー成形法、押出成形法、射出成形法等公知の成形
法により成形され実用に供される。
[実施例] 以下、本発明を実施例により説明する。
合成例1 撹拌機、温度計およびディーンスターク共沸蒸留トラ
ップを装着した反応容器に、一般式(III)で表される
芳香族アミン化合物としてのアニリン1116g(12.0モ
ル)、一般式(IV)で表されるアラルキルアルコール誘
導体としてのα,α′−ジメトキシ−p−キシレン665g
(4.0モル)および触媒としての35%塩酸水溶液626g
(6.0モル)を装入し、窒素ガスを通気させながら昇温
した。内温110℃ぐらいからトラップに留出する水を系
外へ除去した。更に昇温すると約130℃よりメタノール
の留出が認められ、生成するメタノールを留去しながら
昇温をつづけ、170℃に達したのち3時間同温度に保っ
た。メタノールの発生がほとんどなくなり、このあとひ
きつづき昇温して190〜200℃で12時間反応させた。
次いで、冷却して内温を95℃に下げ、これに15%苛性
ソーダ水溶液1680gを加え、撹拌中和を行った。静置
後、下層の水層を分液除去し、飽和食塩水3000gを加え
洗浄分液を行った。次に、窒素気流下で加熱脱水を行っ
たのち、加圧濾過して無機塩等を除いた。これを2〜3m
mHgの真空下で真空濃縮して未反応のアニリン519gを回
収した。残量を排出して淡黄褐色のアニリン樹脂945gを
得た。
以上のようにして得た芳香族アミン樹脂を、高速液体
クロマトグラフィーにより組成分析した結果、一般式
(II)のn=0は28、n=1は16.8、n=2は10.5、n
=3は7.8、n≧4は36.9(モル%)であった。
また、この樹脂のアミン当量(過塩素酸−氷酢酸法)
は0.578当量/(100g)であり、JIS K−2548による環球
法軟化点測定装置で測定した軟化点は68℃であり、平均
分子量は960であった。
合成例2 アニリン745g(8.0モル)とα,α′−ジメトキシ−
p−キシレン664g(4.0モル)および触媒として35%塩
酸水溶液420g(4.0モル)を用いて、以下合成例1と同
様にして反応させ、淡黄褐色のアニリン樹脂747gを得
た。
以上のようにして得た芳香族アミン樹脂を、高速液体
クロマトグラフィーにより組成分析した結果、一般式
(II)のn=0は17.0、n=1は14.5、n=2は13.2、
n≧3は55.2(モル%)であった。
また、この樹脂のアミン当量は0.520当量/(100g)
であり、軟化点は61℃であり、平均分子量は2100であっ
た。
合成例3 一般式(III)で表される芳香族アミン化合物として
2,4−ジアミノトルエン244.4g(2.0モル)を用い、触媒
として35%塩酸209g(2.0モル)を用いた以外は実施例
1と同様にして反応させ、132gの赤褐色油状のジアミノ
トルエン樹脂を得た。
以上のようにして得た芳香族アミン樹脂を、高速液体
クロマトグラフィーにより組成分析した結果、一般式
(II)のn=0は44.5、n=1は29.7、n=2は14.6、
n≧3は11.2(モル%)であった。
また、この樹脂のアミン当量は1.204であり、軟化点
は46℃であり、平均分子量は550であった。
合成例4 一般式(III)で表される芳香族アミン化合物として
アニリン121.1g(1.3モル)を用い、一般式(IV)で表
されるアラルキルアルコール誘導体としてα,α′−ジ
ヒドロキシ−m−キシレン138.2g(1.0モル)を用い、
触媒として濃硫酸33g(0.325モル)を用いた以外は合成
例1と同様にして反応させ、淡黄褐色のアニリン樹脂15
1gを得た。
以上のようにした得た芳香族アミン樹脂のアミン当量
は0.496であり、JIS K−2548による環球法軟化点測定装
置で測定した軟化点は118℃であり、平均分子量は6500
であった。
合成例5 反応容器に一般式(III)で表される芳香族アミン化
合物としてのp−アミノフェノール109g(1.0モル)、
一般式(IV)で表されるアラルキルアルコール誘導体と
してのα,α′−ジアセトキシ−p−キシレン110.2g
(0.5モル)、触媒としての塩化亜鉛6.8g(0.05モル)
とp−トルエンスルホン酸19g(0.1モル)を装入し、水
流ポンプによる減圧下で反応させた。反応は130℃ぐら
いから始まり3時間で170℃まで昇温した。途中、生成
する酢酸は深冷トラップで回収した。同温度で3時間保
持したのち、更に反応温度を200℃まで上げ、200〜210
℃で1時間熟成を行って終了した。95℃まで冷却してか
ら、トルエン300mlを加え、撹拌溶解させ、これにトリ
エチルアミン20.2gを加えたのち、水200mlを加え撹拌
後、静置して下層である水層を分液除去した。更にもう
一回、水200mlで水洗分液を行ったのち、真空濃縮して
トルエンおよび未反応のp−アミノフェノールを除去し
た。得られた残渣の褐色樹脂としてp−アミノフェノー
ルの共縮合樹脂138gを得た。
以上のようにして得た芳香族アミン樹脂のアミン当量
は0.525であり、JIS K−2548による環球法軟化点測定装
置で測定した軟化点は94℃であり、平均分子量は2200で
あった。
合成例6〜14 一般式(III)で表される芳香族アミン化合物の種
類、一般式(IV)で表されるアラルキルアルコール誘導
体の種類と量、触媒の種類と量および反応条件を表−1
に示すようにした以外は合成例1と同様に反応させ、表
−1に示すような各種芳香族アミン樹脂を得た。
実施例1〜5 撹拌機、還流冷却器および窒素導入管を備えたステン
レス製反応容器にN,N′−4,4′−ジフェニルメタンビス
マレイミドと合成例1で得られた芳香族アミン樹脂を各
々表−2に示した重量部で装入して、180℃で20分加熱
溶融し、さらに150℃で減圧下(10〜15mmHg)、30分脱
泡を行った後、室温まで冷却し、褐色透明なガラス状に
固化した反応生成物を砕いて取り出し、さらに乳鉢で粉
砕して60メッシュのフルイに通し、部分硬化したポリア
ミノビスマレイミド樹脂の黄色微粉末を得た。軟化温度
が98℃で、ゲル化時間は200℃で65秒であった。
得られたポリアミノビスマレイミド樹脂粉100重量部
に対して、平均直径12μm、長さ3mm、アスペクト比250
を有する炭素繊維(東レ社製、商品名トレカT−300)
を表−2に示した量添加し、小型ドラムブレンダー混合
機(川田製作所製)で混合し、熱硬化性樹脂組成物を得
た。
該組成物を、180℃に熱した金型(10×80×4t)に加
熱熔融させながら充填した後、圧力50kg/cm2、200℃で3
0分保持し圧縮成形した。その後室温まで冷却し金型内
より成形物を取り出し、さらに250℃の熱風ギャーオー
ブン中で4時間ポストキュアーして、アイゾット衝撃試
験片及び曲げ試験片を得た。アイゾット衝撃試験(ノッ
チ無し)、曲げ試験及び熱変形温度(18.5kg/cm2)の測
定はJIS K−6911に準じて行い、表−2の結果を得た。
実施例6 実施例2と同様にして得られたポリアミノビスマレイ
ミド樹脂100重量部に対してアセトン150重量部を加えて
懸濁溶液として、これに、平均直径12μm、長さ3mm、
アスペクト比250を有する炭素繊維(東レ社製、商品名
トレカT−300)100重量部を添加し、均一に分散させ
た。さらに、これを60℃で熱風オーブン中で20時間予備
乾燥後、減圧乾燥器で50℃5時間減圧乾燥して溶媒のア
セトンを完全に除去し、炭素繊維含浸パウダーを得た。
以下実施例1〜5と同様の操作をした圧縮成形により、
物性測定用試験片を得た。得られた試験片は実施例1〜
5と同様の測定をして表−2の結果を得た。
実施例7〜19、比較例1〜3 表−2に示したビスマレイミド化合物66.7重量部と芳
香族アミン樹脂33.3重量部より得られたポリアミノビス
マレイミド樹脂100重量部に対して実施例1〜5で使用
した炭素繊維(東レ社製、商品名トレカT−300)を表
−2に示した量添加した。以下、実施例1〜5と同様の
操作によって表−2の結果を得た。
[発明の効果] 本発明の熱硬化性樹脂は優れた耐熱性、耐衝撃性及び
可撓性を有しており、電気、電子部品、各種構造部材、
摺動部品など広くその用途が期待され、産業上の利用効
果は大きい。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(I) で表されるN,N′−4,4′−ジフェニルメタンビスマレイ
    ミドと式(II)で表される芳香族アミン樹脂 (式中、Aはフェニレン基、アルキル置換フェニレン
    基、ジフェニレン基、ジフェニルエーテル基またはナフ
    チレニル基を示し、R1はハロゲン原子、水酸基、炭素数
    4以下の低級アルコキシ基または炭素数5以下の低級ア
    ルキル基を示し、かつR1は互いに同一であっても異なっ
    てもよく、環を形成してもよい。lは1または2を示
    し、mは0〜3の整数を示し、nは0〜300の整数を示
    す。) よりなるポリアミノビスマレイミド樹脂100重量部と炭
    素繊維10〜400重量部よりなる熱硬化性樹脂組成物。
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