JPH08217670A - 脳機能改善剤 - Google Patents
脳機能改善剤Info
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- JPH08217670A JPH08217670A JP2496595A JP2496595A JPH08217670A JP H08217670 A JPH08217670 A JP H08217670A JP 2496595 A JP2496595 A JP 2496595A JP 2496595 A JP2496595 A JP 2496595A JP H08217670 A JPH08217670 A JP H08217670A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- formula
- cells
- spermine
- nerve cells
- active ingredient
- Prior art date
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- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 下記の一般式(1)で示されるポリアミンを
有効成分として含有する脳機能改善剤。 【化1】 [式(1)中、R1、R2、R3、R4、はそれぞれ独立し
て水素原子または基 【化2】 (ただし、R5、R6はそれぞれ独立して水素原子または
炭素数1〜4の枝分れしてもよいアルキル基を表し、n
は0〜4の整数を表す。)を表す。] 【効果】 上記化合物は損傷を受けた脳神経細胞の修復
促進作用を有し、脳機能改善剤として有用である。
有効成分として含有する脳機能改善剤。 【化1】 [式(1)中、R1、R2、R3、R4、はそれぞれ独立し
て水素原子または基 【化2】 (ただし、R5、R6はそれぞれ独立して水素原子または
炭素数1〜4の枝分れしてもよいアルキル基を表し、n
は0〜4の整数を表す。)を表す。] 【効果】 上記化合物は損傷を受けた脳神経細胞の修復
促進作用を有し、脳機能改善剤として有用である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は神経細胞の再生を促進す
る物質および用途に関するものであり、その用途とし
て、脳機能障害の予防および治療剤を提供せんとするも
のである。
る物質および用途に関するものであり、その用途とし
て、脳機能障害の予防および治療剤を提供せんとするも
のである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】近
年、老令人口の増加に伴い、老人性痴呆症を始めとする
高次脳機能障害の予防・治療剤の開発は、社会的にも学
術的にも重要な課題となっている。
年、老令人口の増加に伴い、老人性痴呆症を始めとする
高次脳機能障害の予防・治療剤の開発は、社会的にも学
術的にも重要な課題となっている。
【0003】成人期以降に見られる高次脳機能障害は、
後天的、知的適応障害であり、その中心は記憶・学習・
情緒障害である。
後天的、知的適応障害であり、その中心は記憶・学習・
情緒障害である。
【0004】記憶・学習・情緒等の機構は全くと云って
よいほど解明されていないが、これらの発現は、脳にお
ける神経回路網を介して行われており、障害は回路網を
構成している神経細胞群のどこかの神経細胞の機能低下
または、神経細胞の死に起因していると考えられる。
よいほど解明されていないが、これらの発現は、脳にお
ける神経回路網を介して行われており、障害は回路網を
構成している神経細胞群のどこかの神経細胞の機能低下
または、神経細胞の死に起因していると考えられる。
【0005】神経細胞の機能低下による障害は機能を正
常化することで治療が可能であるが、神経細胞死による
障害は、残存している神経細胞や移植した神経細胞の代
償効果に期待がかかっているが、治療は現在不可能であ
る。
常化することで治療が可能であるが、神経細胞死による
障害は、残存している神経細胞や移植した神経細胞の代
償効果に期待がかかっているが、治療は現在不可能であ
る。
【0006】神経細胞は、一般細胞と異なり、成熟する
と細胞分裂による再生はできない。従って、これらの障
害に対し治療のみで対応するのではなく、予防面からの
対応がより重要と考えられる。
と細胞分裂による再生はできない。従って、これらの障
害に対し治療のみで対応するのではなく、予防面からの
対応がより重要と考えられる。
【0007】すなわち、神経細胞の生存を高め、再生を
促進し、また機能を高める薬物が高次脳機能障害の予防
・治療薬となり得る可能性がある。
促進し、また機能を高める薬物が高次脳機能障害の予防
・治療薬となり得る可能性がある。
【0008】変性した神経細胞自身の再生、神経突起の
発芽、標的細胞への突起伸展、分岐形成、シナプス形成
および可塑性を促進させることにより神経回路とその機
能を再生させる薬剤が求められているが、このような薬
剤はまだない。
発芽、標的細胞への突起伸展、分岐形成、シナプス形成
および可塑性を促進させることにより神経回路とその機
能を再生させる薬剤が求められているが、このような薬
剤はまだない。
【0009】これまでに、塩基性線維芽細胞成長因子
(bFGF)、インターロイキン2、トランスホーミン
グ グロスファクターβなどのサイトカインが、培養神
経細胞、長期増強ならびにin vivo実験系などの
薬物評価系によって、神経細胞の生存・再生・機能維持
に重要な役割を果していることが知られている。
(bFGF)、インターロイキン2、トランスホーミン
グ グロスファクターβなどのサイトカインが、培養神
経細胞、長期増強ならびにin vivo実験系などの
薬物評価系によって、神経細胞の生存・再生・機能維持
に重要な役割を果していることが知られている。
【0010】その他の生体物質として、ポリアミン、
3,5,3′−トリヨードチロニン、非生体内物質とし
て、合成ポリアミンアナローグ(BESPM)、薬用人
参サポニン、カロチノイド色素、ビタミンE、ビタミン
Cなどにも効果が認められている。
3,5,3′−トリヨードチロニン、非生体内物質とし
て、合成ポリアミンアナローグ(BESPM)、薬用人
参サポニン、カロチノイド色素、ビタミンE、ビタミン
Cなどにも効果が認められている。
【0011】ポリアミンは、3個以上のアミノ基を持つ
非蛋白性の脂肪族アミンで、核酸、蛋白合成を介して各
種細胞の増殖分化に重要な役割を果していることが知ら
れている。しかし、脳神経細胞に対する作用はほとんど
知られていなかった。
非蛋白性の脂肪族アミンで、核酸、蛋白合成を介して各
種細胞の増殖分化に重要な役割を果していることが知ら
れている。しかし、脳神経細胞に対する作用はほとんど
知られていなかった。
【0012】最近、スペルミン、スペルミジン、プトレ
シンなどのポリアミンが、ラット培養海馬神経細胞の軸
索突起の伸展を促進する作用のあることが知られた
(P.J.Chu他,Neuroscience Re
search,19(1994)155〜160)。
シンなどのポリアミンが、ラット培養海馬神経細胞の軸
索突起の伸展を促進する作用のあることが知られた
(P.J.Chu他,Neuroscience Re
search,19(1994)155〜160)。
【0013】また、スペルミンが、ラット胎児初代培養
海馬神経細胞の生存を高める作用があるのに対して、ス
ペルミジンやPutrescineなど他のポリアミン
にはこのような神経細胞の生存を高める作用のない(神
経細胞の生存に影響を及ぼさない)ことが最近知られた
(K.Abe他,Brain Research 60
5(1993),322〜326)。
海馬神経細胞の生存を高める作用があるのに対して、ス
ペルミジンやPutrescineなど他のポリアミン
にはこのような神経細胞の生存を高める作用のない(神
経細胞の生存に影響を及ぼさない)ことが最近知られた
(K.Abe他,Brain Research 60
5(1993),322〜326)。
【0014】これらのことから、ポリアミンの作用点は
複数存在し、ポリアミンにより、神経細胞等に対する作
用点をそれぞれ異にすることが考えられるが、その作用
様式や作用本態あるいはそれらの活性と化学構造との関
連性についてはまったく未知であった。
複数存在し、ポリアミンにより、神経細胞等に対する作
用点をそれぞれ異にすることが考えられるが、その作用
様式や作用本態あるいはそれらの活性と化学構造との関
連性についてはまったく未知であった。
【0015】アルツハイマー病やパーキンソン病などの
脳機能障害はそのほとんど全てが神経細胞の変性・脱落
に起因するものと考えられる。
脳機能障害はそのほとんど全てが神経細胞の変性・脱落
に起因するものと考えられる。
【0016】一般に脳が障害を受けたり虚血状態になる
と神経細胞は突起の損傷、切断などにより逆行性に軸索
変性の状態に至る。神経細胞は一般的細胞と異なり、成
熟すると細胞分裂という形で再生することができない。
と神経細胞は突起の損傷、切断などにより逆行性に軸索
変性の状態に至る。神経細胞は一般的細胞と異なり、成
熟すると細胞分裂という形で再生することができない。
【0017】従って、このような神経疾患の治療法とし
ては、変性した神経細胞自身の再生、神経突起の発芽、
標的細胞への突起伸展およびシナプスの形成など神経回
路網の再生を促すことが必要であると考えられる。
ては、変性した神経細胞自身の再生、神経突起の発芽、
標的細胞への突起伸展およびシナプスの形成など神経回
路網の再生を促すことが必要であると考えられる。
【0018】このような脳機能修復改善に関係すると考
えられる、損傷を受け機能の低下した脳神経細胞に対す
るポリアミンの修復・再生作用の有無については、これ
までまったく知られていなかった。また、その作用を的
確にかつ能率的に検定する方法論も確立していなかっ
た。
えられる、損傷を受け機能の低下した脳神経細胞に対す
るポリアミンの修復・再生作用の有無については、これ
までまったく知られていなかった。また、その作用を的
確にかつ能率的に検定する方法論も確立していなかっ
た。
【0019】
【問題を解決するための手段】本発明者は、薬物の、傷
ついた神経細胞の修復作用を評価するための独得の手法
を開発し研究を進めた結果、本発明のポリアミンが、お
どろくべきことに、突起損傷後の神経細胞からの突起の
再伸展を促進する作用のあること、すなわち、傷ついた
神経細胞の修復作用のあることを初めて見出した。
ついた神経細胞の修復作用を評価するための独得の手法
を開発し研究を進めた結果、本発明のポリアミンが、お
どろくべきことに、突起損傷後の神経細胞からの突起の
再伸展を促進する作用のあること、すなわち、傷ついた
神経細胞の修復作用のあることを初めて見出した。
【0020】例えば、既存の神経栄養因子であるbFG
F(basic fibroblast growth
factor)は、神経細胞の樹状突起の伸展(分枝
形成や樹状突起の伸長)を促進はするが、神経細胞の軸
索の再伸展を促す効果はない。
F(basic fibroblast growth
factor)は、神経細胞の樹状突起の伸展(分枝
形成や樹状突起の伸長)を促進はするが、神経細胞の軸
索の再伸展を促す効果はない。
【0021】これに対して、本発明のポリアミンは、分
枝形成や樹状突起の伸展には影響を及ぼさないが、損傷
部位からの軸索の再伸展を特異的に促進する。従って、
本発明のポリアミンと既存の神経栄養因子、例えば、b
FGFとを併用することにより、損傷部位からの再伸展
と分枝形成の両方が促進されたうえ、再生された軸索に
おける分枝数に関し相乗的な併用効果もあることが示さ
れた。
枝形成や樹状突起の伸展には影響を及ぼさないが、損傷
部位からの軸索の再伸展を特異的に促進する。従って、
本発明のポリアミンと既存の神経栄養因子、例えば、b
FGFとを併用することにより、損傷部位からの再伸展
と分枝形成の両方が促進されたうえ、再生された軸索に
おける分枝数に関し相乗的な併用効果もあることが示さ
れた。
【0022】このことは、軸索の再伸展と分岐形成がそ
れぞれ独立したメカニズムにより調節されていることを
示唆するものである。 すなわち、本発明のポリアミン
が他の、作用機序の異なる脳機能改善剤と併用した場合
にも有効であろうとの示唆を与えるものである。
れぞれ独立したメカニズムにより調節されていることを
示唆するものである。 すなわち、本発明のポリアミン
が他の、作用機序の異なる脳機能改善剤と併用した場合
にも有効であろうとの示唆を与えるものである。
【0023】本発明者はまた、この作用を有するために
必要とされる化学構造要求性、すなわち構造活性相関に
関しても検討を進めた結果、図7に示したように特定の
部分化学構造が損傷後の神経細胞の修復増強作用発現に
必須であることを見出した(図7)。
必要とされる化学構造要求性、すなわち構造活性相関に
関しても検討を進めた結果、図7に示したように特定の
部分化学構造が損傷後の神経細胞の修復増強作用発現に
必須であることを見出した(図7)。
【0024】さらには、本発明のポリアミンの中でも、
スペルミンは多彩な作用、すなわち、脳神経細胞の生存
を高める作用、突起損傷後の突起の再伸展を促進する作
用、腹側中脳神経細胞のドパミン取込みを増強する作用
(抗パーキンソン病作用)などの作用を有することを見
出した。
スペルミンは多彩な作用、すなわち、脳神経細胞の生存
を高める作用、突起損傷後の突起の再伸展を促進する作
用、腹側中脳神経細胞のドパミン取込みを増強する作用
(抗パーキンソン病作用)などの作用を有することを見
出した。
【0025】以上の如くして、本発明は以下の式(1)
【化3】 〔式(1)中、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立
して水素原子または基
して水素原子または基
【化4】 (ただし、R5 、R6 はそれぞれ独立して水素原子また
は炭素数1〜4の枝分れしてもよいアルキル基を表し、
nは0〜4の整数を表す。)を表す。〕で示される化合
物を有効成分として含んでなる脳機能改善剤を提供せん
とするものであり、以上にその概要を述べた新しい知見
に基づいてなされたものである。
は炭素数1〜4の枝分れしてもよいアルキル基を表し、
nは0〜4の整数を表す。)を表す。〕で示される化合
物を有効成分として含んでなる脳機能改善剤を提供せん
とするものであり、以上にその概要を述べた新しい知見
に基づいてなされたものである。
【0026】本発明の化合物は抗痴呆薬をはじめとする
脳機能改善薬として有用な医薬となり得るものである。
適用疾患の例としては、多発梗塞性痴呆、アミロイド
アンギオパチー性痴呆などの脳血管性痴呆、アルツハイ
マー型痴呆、ビック病などの脳実質性痴呆、脳機能障害
による痴呆、以上の痴呆に随伴する症候などが挙げられ
る。
脳機能改善薬として有用な医薬となり得るものである。
適用疾患の例としては、多発梗塞性痴呆、アミロイド
アンギオパチー性痴呆などの脳血管性痴呆、アルツハイ
マー型痴呆、ビック病などの脳実質性痴呆、脳機能障害
による痴呆、以上の痴呆に随伴する症候などが挙げられ
る。
【0027】さらに、スペルミンは、そのドパミン取込
み促進作用より、パーキンソン病などの神経細胞シナプ
スにおけるドパミンの放出や取込みの減弱、ドパミンニ
ューロンの欠失、ドパミン作動神経のドパミン感受性の
減弱などに関連した疾病の治療ないし予防薬としても有
用である。
み促進作用より、パーキンソン病などの神経細胞シナプ
スにおけるドパミンの放出や取込みの減弱、ドパミンニ
ューロンの欠失、ドパミン作動神経のドパミン感受性の
減弱などに関連した疾病の治療ないし予防薬としても有
用である。
【0028】本発明の化合物を製剤化するためには、製
剤の技術分野における通常の方法を用いて製剤化するこ
とができる。
剤の技術分野における通常の方法を用いて製剤化するこ
とができる。
【0029】投与量は、剤形によっても異なるが、経口
投与の場合、一般に成人一日当りの投与量は0.1〜2
0g程度であり、注射剤の場合は、一般に成人一日当た
りの投与量は0.01〜2g程度である。
投与の場合、一般に成人一日当りの投与量は0.1〜2
0g程度であり、注射剤の場合は、一般に成人一日当た
りの投与量は0.01〜2g程度である。
【0030】経口投与の剤型は、特に限定されるもので
はないが、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤と
することができるが、必要に応じて、主薬の他に賦形
剤、結合剤、崩解剤、滑沢剤、着色剤などを加えて、常
法により、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤
などとすることができる。
はないが、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤と
することができるが、必要に応じて、主薬の他に賦形
剤、結合剤、崩解剤、滑沢剤、着色剤などを加えて、常
法により、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤
などとすることができる。
【0031】また、本発明の薬剤は非経口的にも投与で
き、その場合は、薬物は溶液または懸濁液の状態で注射
剤として投与することができる。
き、その場合は、薬物は溶液または懸濁液の状態で注射
剤として投与することができる。
【0032】製剤とする場合、有機酸または無機酸との
薬理学的に許容される塩の形で用いられてもよい。
薬理学的に許容される塩の形で用いられてもよい。
【0033】この場合に用いられる酸は、通常塩基性薬
物を製剤上好ましい形の酸との塩を形成させるために用
いられる各種の有機酸や無機酸が用いられ、塩形成の技
術も通常のアミン塩の製造技術により行なうことができ
る。
物を製剤上好ましい形の酸との塩を形成させるために用
いられる各種の有機酸や無機酸が用いられ、塩形成の技
術も通常のアミン塩の製造技術により行なうことができ
る。
【0034】本発明の化合物は、哺乳動物に対する毒性
が低く安全性の高い化合物である。
が低く安全性の高い化合物である。
【0035】
【実施例】 実施例1 傷ついた神経細胞に対するポリアミンの効果
【0036】〔方法〕培養液と試薬 神経細胞の培養には2種の培地を用いた。細胞単離操作
中と単離後培養プレートに細胞を接着させるまでのイン
キュベーション中は、グルコースを増量し血清を添加し
た修正Eagle’s MEM(培地A)を用いた。し
かし、血清を含む培地は薬物効果の検討を複雑にするの
で、薬物投与時は、transferrin、insu
lin、progesteroneを加えた無血清の修
正Eagle’s MEM(培地B)を用いた。これら
培地の具体的な組成は次の通りである。
中と単離後培養プレートに細胞を接着させるまでのイン
キュベーション中は、グルコースを増量し血清を添加し
た修正Eagle’s MEM(培地A)を用いた。し
かし、血清を含む培地は薬物効果の検討を複雑にするの
で、薬物投与時は、transferrin、insu
lin、progesteroneを加えた無血清の修
正Eagle’s MEM(培地B)を用いた。これら
培地の具体的な組成は次の通りである。
【0037】 培地A(血清入り) Eagle's MEM Nissui 7.24mg/ml glucose 8.20mg/ml L−glutamine 0.29mg/ml NaHCO3 1.70mg/ml sodium pyruvate 99.00mg/ml penicillin G 87.00units/ml streptomycin 90.00μg/ml fetal bovine serum 10%(v/v) 培地B(無血清) Eagle's MEM Nissui 7.24mg/ml glucose 8.20mg/ml L−glutamine 0.29mg/ml NaHCO3 1.70mg/ml sodium pyruvate 99.00mg/ml penicillin G 87.00units/ml streptomycin 90.00μg/ml human transferrin 5.00μg/ml bovine insulin 5.00μg/ml progesterone 20.00nM
【0038】本発明で用いたポリアミンSpermin
e、Spermidine、Putrescine(S
IGMA,Chemical Co.)は、すべてph
osphate−buffered salineに溶
かし、10-2M溶液を調製し、これをstock溶液と
して分注し、−20℃で保存した。それぞれ、使用直前
に培地Bで適当に希釈して用いた。
e、Spermidine、Putrescine(S
IGMA,Chemical Co.)は、すべてph
osphate−buffered salineに溶
かし、10-2M溶液を調製し、これをstock溶液と
して分注し、−20℃で保存した。それぞれ、使用直前
に培地Bで適当に希釈して用いた。
【0039】スペルミンとの作用比較および併用効果の
実験で用いたbFGFは、武田薬品工業株式会社より提
供された組み換え型ヒトbFGFのmuteinのひと
つCS23である。CS23は構造変化による活性低下
を防ぐために天然型ヒトbFGF分子中の70と88番
目の2つのシステイン残基をセリン残基に変えた修飾タ
ンパクである(天然型ヒトbFGF分子は26、70、
88、93番目の位置に4つのシステイン残基をもって
いる)。CS23の生物活性については天然型ヒトbF
GFとほとんど同じであることが確認されている。bF
GFの凍結乾燥品を1mg/mlウシ血清アルブミンを
添加したphosphate−buffered−sa
lineに溶解し10μg/ml溶液を調製し、これを
stock溶液として分注し−20℃で保存した。使用
直前に培地Bで適当な濃度に希釈して用いた。
実験で用いたbFGFは、武田薬品工業株式会社より提
供された組み換え型ヒトbFGFのmuteinのひと
つCS23である。CS23は構造変化による活性低下
を防ぐために天然型ヒトbFGF分子中の70と88番
目の2つのシステイン残基をセリン残基に変えた修飾タ
ンパクである(天然型ヒトbFGF分子は26、70、
88、93番目の位置に4つのシステイン残基をもって
いる)。CS23の生物活性については天然型ヒトbF
GFとほとんど同じであることが確認されている。bF
GFの凍結乾燥品を1mg/mlウシ血清アルブミンを
添加したphosphate−buffered−sa
lineに溶解し10μg/ml溶液を調製し、これを
stock溶液として分注し−20℃で保存した。使用
直前に培地Bで適当な濃度に希釈して用いた。
【0040】培養基質 神経突起伸展の実験では、poly−L−lysine
コートした35mmディシュ(Falcon,I0cm
2 /dish)、神経突起再生の実験では、レーザー光
のエネルギーを熱に変換する特殊フィルムをコートした
スライドガラス(メリディアン)を、35mmディシュ
にシリコングリースで貼ったものを用いた。
コートした35mmディシュ(Falcon,I0cm
2 /dish)、神経突起再生の実験では、レーザー光
のエネルギーを熱に変換する特殊フィルムをコートした
スライドガラス(メリディアン)を、35mmディシュ
にシリコングリースで貼ったものを用いた。
【0041】脳神経細胞の単離と培養 実験には胎生18日齢のWistar系ラットを用い
た。エーテル麻酔下、無菌的に胎児より全脳を取り出し
これより切り出した海馬をメスで細切した後、0.25
%トリプシンを含むMagnesium,Calciu
m free phosphate−buffered
saline(PBS(−))中で、20分間インキ
ュベートしたこの酵素処理を2回行なった後、酵素液と
等量の馬血清を加えてトリプシンを失活させ、1200
rpm、5分間の遠心操作で組織片を分離した。上清を
捨て、10%牛胎児血清を含む培地A4mlを加えて、
ピペットマン用1mlチップを先端につけたプラスチッ
クメスピペットで泡立てないように20回ピペッティン
グを行ない、次第に組織片より細胞を単離した。さらに
滅菌したナイロンメッシュ(43μm)2枚で細胞液を
濾過して、分散されずに残った細胞塊を取り除いて、単
離細胞分散液を得た後、0.3%nigrosine染
色により生存細胞数を記測した。単離細胞は培地A(血
清入り)で細胞濃度を2500cells/mlに調製
した。ここに得られた細胞分散液をそれぞれpoly−
L−lysineコートした35mmディシュおよびス
ライドガラス(メリディアン)を貼ったものに2500
cells/cm2 でまき、培地A中で24時間培養し
た後、培地Bに交換してさらに24時間培養した。
た。エーテル麻酔下、無菌的に胎児より全脳を取り出し
これより切り出した海馬をメスで細切した後、0.25
%トリプシンを含むMagnesium,Calciu
m free phosphate−buffered
saline(PBS(−))中で、20分間インキ
ュベートしたこの酵素処理を2回行なった後、酵素液と
等量の馬血清を加えてトリプシンを失活させ、1200
rpm、5分間の遠心操作で組織片を分離した。上清を
捨て、10%牛胎児血清を含む培地A4mlを加えて、
ピペットマン用1mlチップを先端につけたプラスチッ
クメスピペットで泡立てないように20回ピペッティン
グを行ない、次第に組織片より細胞を単離した。さらに
滅菌したナイロンメッシュ(43μm)2枚で細胞液を
濾過して、分散されずに残った細胞塊を取り除いて、単
離細胞分散液を得た後、0.3%nigrosine染
色により生存細胞数を記測した。単離細胞は培地A(血
清入り)で細胞濃度を2500cells/mlに調製
した。ここに得られた細胞分散液をそれぞれpoly−
L−lysineコートした35mmディシュおよびス
ライドガラス(メリディアン)を貼ったものに2500
cells/cm2 でまき、培地A中で24時間培養し
た後、培地Bに交換してさらに24時間培養した。
【0042】ACAS(adherent cell analysis syste
m) 470 Work Station ACASはコンピュータ、顕微鏡、レーザーシステムの
3つの部位から構成されている。ステージドライブモジ
ュールを介して、コンピュータにより顕微鏡のステージ
の位置を制御、記憶し、目的とする視野を正確に呼び出
すことができる。レーザーシステムはアルゴンイオンレ
ーザー(488nm)を搭載、レーザー強度はレーザー
の出力およびacoust−opuc−modulat
o−(AOM)により決定し、この両者はコンピュータ
により制御される。
m) 470 Work Station ACASはコンピュータ、顕微鏡、レーザーシステムの
3つの部位から構成されている。ステージドライブモジ
ュールを介して、コンピュータにより顕微鏡のステージ
の位置を制御、記憶し、目的とする視野を正確に呼び出
すことができる。レーザーシステムはアルゴンイオンレ
ーザー(488nm)を搭載、レーザー強度はレーザー
の出力およびacoust−opuc−modulat
o−(AOM)により決定し、この両者はコンピュータ
により制御される。
【0043】神経突起伸展の評価法 培地Bに交換してさらに24時間培養した後、ACAS
Work Stationを用いて突起を形成した細
胞を選び、その位置をコンピュータに記憶させた。薬物
を添加し、添加直前、24および48時間後の同一細胞
の写真を撮影し、デジタイザーを用いて各種形態パラメ
ーターを測定した。細胞は各群25〜30細胞を選択
し、48時間後に生存していた細胞のみを測定対象とし
た。
Work Stationを用いて突起を形成した細
胞を選び、その位置をコンピュータに記憶させた。薬物
を添加し、添加直前、24および48時間後の同一細胞
の写真を撮影し、デジタイザーを用いて各種形態パラメ
ーターを測定した。細胞は各群25〜30細胞を選択
し、48時間後に生存していた細胞のみを測定対象とし
た。
【0044】神経突起伸展の形態的パラメータ 本実験において測定した神経細胞の形態的パラメータは
以下の5つである。1)細胞あたりの突起数、2)軸索
の長さ、3)樹状突起の長さ、4)軸索における分岐
数、5)軸索における分岐の長さである。
以下の5つである。1)細胞あたりの突起数、2)軸索
の長さ、3)樹状突起の長さ、4)軸索における分岐
数、5)軸索における分岐の長さである。
【0045】神経突起再生の評価法 神経突起伸展と同様に、培地Bに交換後24時間で細胞
を選択し、写真撮影後、神経突起の成長円錐の基部にレ
ーザー光を照射し、突起の切断を行った。レーザー強度
は40mW、AOM35%とした。切断直後に薬物を添
加し、24および48時間後の同一細胞の写真を撮影
し、デジタイザーを用いて各種形態パラメーターを測定
した。本実験でも48時間後まで生存しなかった細胞は
測定対象から除外した。
を選択し、写真撮影後、神経突起の成長円錐の基部にレ
ーザー光を照射し、突起の切断を行った。レーザー強度
は40mW、AOM35%とした。切断直後に薬物を添
加し、24および48時間後の同一細胞の写真を撮影
し、デジタイザーを用いて各種形態パラメーターを測定
した。本実験でも48時間後まで生存しなかった細胞は
測定対象から除外した。
【0046】神経突起再生の形態的パラメータ 本実験においてのパラメータは8つである。1)細胞体
からレーザー切断点までの軸索の長さ、2)レーザー切
断点から再生した軸索の長さ、3)再生した部分にある
分岐数、4)分岐を含む再生した軸索の長さ、5)レー
ザー切断点より細胞体に近い部分の分岐数、6)レーザ
ー切断点より細胞体に近い部分の分岐の長さ、7)細胞
体あたりの数、8)細胞体あたりの突起の長さである。
からレーザー切断点までの軸索の長さ、2)レーザー切
断点から再生した軸索の長さ、3)再生した部分にある
分岐数、4)分岐を含む再生した軸索の長さ、5)レー
ザー切断点より細胞体に近い部分の分岐数、6)レーザ
ー切断点より細胞体に近い部分の分岐の長さ、7)細胞
体あたりの数、8)細胞体あたりの突起の長さである。
【0047】[結果]まずコントロール条件下での海馬
神経細胞の形態に対するレーザーの影響を図1に示す。
図の左のカラムはIntact(無処置)群で、右のカラ
ムはレーザー照射群である。海馬神経細胞の軸索の成長
円錐にレーザー照射を行った場合、軸索の伸展が停止し
た。他は、何ら神経細胞の形態に変化は認められなかっ
た。
神経細胞の形態に対するレーザーの影響を図1に示す。
図の左のカラムはIntact(無処置)群で、右のカラ
ムはレーザー照射群である。海馬神経細胞の軸索の成長
円錐にレーザー照射を行った場合、軸索の伸展が停止し
た。他は、何ら神経細胞の形態に変化は認められなかっ
た。
【0048】次に、図2に、神経細胞損傷後の軸索の再
伸展に対するポリアミン効果を示す。スペルミン、スペ
ルミジン、プトレシン共、10-8Mの濃度で、損傷後の
軸索の再伸展を強く促進した。また3種のポリアミンの
用量依存性および最大効果の大きさも類似していた。
伸展に対するポリアミン効果を示す。スペルミン、スペ
ルミジン、プトレシン共、10-8Mの濃度で、損傷後の
軸索の再伸展を強く促進した。また3種のポリアミンの
用量依存性および最大効果の大きさも類似していた。
【0049】図3に、再生した軸索における分岐数に対
するポリアミンの効果を示す。スペルミン、プトレシン
に促進作用が見られた。
するポリアミンの効果を示す。スペルミン、プトレシン
に促進作用が見られた。
【0050】図4に、レーザー切断点から再生した部分
を含む総突起長に対するポリアミンの効果を示す。3種
のポリアミンはいずれも顕著な促進効果が認められた。
を含む総突起長に対するポリアミンの効果を示す。3種
のポリアミンはいずれも顕著な促進効果が認められた。
【0051】以上、3つのポリアミンはいずれも単独で
突起再伸展促進効果を示したが、スペルミンとスペルミ
ジンまたはスペルミンとプトレシンを併用した場合は単
独添加と同程度の効果が認められ、併用による相加効果
は観察されなかった。
突起再伸展促進効果を示したが、スペルミンとスペルミ
ジンまたはスペルミンとプトレシンを併用した場合は単
独添加と同程度の効果が認められ、併用による相加効果
は観察されなかった。
【0052】培養海馬神経細胞の突起再伸展に対するポ
リアミン、bFGFの併用効果 図5にそれぞれ最大効果を示す濃度のbFGF(1ng
/ml)とスペルミン(10-8M)を併用した場合の8
つのパラメータを示している。図6にはスペルミン、b
FGFおよび両者の併用時の作用パターンを模式化して
示している。bFGFはスペルミンと異なり損傷部位か
らの再伸展の長さおよび分岐を含む総突起長について
は、まったく影響がなかったが、新しく形成された分岐
数とその伸展を顕著に促進した。またスペルミンとbF
GFを同時に添加すると、再生した軸索における分岐数
での相乗効果が認められた。
リアミン、bFGFの併用効果 図5にそれぞれ最大効果を示す濃度のbFGF(1ng
/ml)とスペルミン(10-8M)を併用した場合の8
つのパラメータを示している。図6にはスペルミン、b
FGFおよび両者の併用時の作用パターンを模式化して
示している。bFGFはスペルミンと異なり損傷部位か
らの再伸展の長さおよび分岐を含む総突起長について
は、まったく影響がなかったが、新しく形成された分岐
数とその伸展を顕著に促進した。またスペルミンとbF
GFを同時に添加すると、再生した軸索における分岐数
での相乗効果が認められた。
【0053】構造活性相関 図7に突起再伸展促進作用の構造要求性を示す。末端の
アミノ基が1級アミンで活性が強まること、また、中央
の2つの窒素原子にはさまれた炭素数(窒素原子間の距
離)が、再伸展促進作用を決定していると考えられる。
アミノ基が1級アミンで活性が強まること、また、中央
の2つの窒素原子にはさまれた炭素数(窒素原子間の距
離)が、再伸展促進作用を決定していると考えられる。
【0054】実施例2 神経細胞へのドパミン(DA)
の取込みに対するスペルミンの効果 〔方法〕培養液 細胞単離操作中と単離後培養プレートに細胞を接着させ
るまでのインキュベーション中は、グルコースを増量し
血清を添加した修正Eagle’s培地(a)を使用し
た。薬物を添加する際には、血清を含まない完全合成培
地として、DF培地にtransferrin,ins
ulin,progesterone(TIP)など神
経細胞の生存維持に有効とされる添加物を加えたDF/
TIP培地(b)を使用した。
の取込みに対するスペルミンの効果 〔方法〕培養液 細胞単離操作中と単離後培養プレートに細胞を接着させ
るまでのインキュベーション中は、グルコースを増量し
血清を添加した修正Eagle’s培地(a)を使用し
た。薬物を添加する際には、血清を含まない完全合成培
地として、DF培地にtransferrin,ins
ulin,progesterone(TIP)など神
経細胞の生存維持に有効とされる添加物を加えたDF/
TIP培地(b)を使用した。
【0055】 (a)修正Eagle's培地(血清添加) Eagle's MEM 粉末(Nissui) 7.42mg/ml glucose 8.2 mg/ml L−glutamine 0.29mg/ml NaHCO3 1.7mg/ml penicillin G 87 units/ml streptomycin 90 μg/ml ウシ胎児血清 10%(v/v)
【0056】(b)DF/TIP培地(無血清) Dulbecco’s modified Eagl
e’s medium(Gibco)とHam’s n
utrient mixture F−12(Gibc
o)の等量混合液に以下のものを添加。 NaHCO3 1.85mg/ml Na2SeO3 30 nM HEPES-NaOH buffer(pH 7.4) 15 mM penicillin G 50 units/ml streptomycin sulfate 100 μg/ml human transferrin 5 μg/ml bovine insulin 5 μg/ml progesterone 20 nM
e’s medium(Gibco)とHam’s n
utrient mixture F−12(Gibc
o)の等量混合液に以下のものを添加。 NaHCO3 1.85mg/ml Na2SeO3 30 nM HEPES-NaOH buffer(pH 7.4) 15 mM penicillin G 50 units/ml streptomycin sulfate 100 μg/ml human transferrin 5 μg/ml bovine insulin 5 μg/ml progesterone 20 nM
【0057】培養基質 あらかじめ、ポリスチレン製の培養プレートに0.1m
g/ml poly−L−Lysine・HCl水溶液
を各培養ウェル中にいれて24時間放置した後、蒸留水
でよく洗い、乾燥させて細胞が接着しやすいようにして
使用した。
g/ml poly−L−Lysine・HCl水溶液
を各培養ウェル中にいれて24時間放置した後、蒸留水
でよく洗い、乾燥させて細胞が接着しやすいようにして
使用した。
【0058】脳神経細胞の単離と培養 Wistar系ラット18日齢(DAの取り込み実験で
は16日齢)胎児より無菌的に全脳を取り出し、海馬h
ippocampus、小脳cerebellum、中
隔野septum、腹側中脳ventral midb
rainといった各実験の目的部位を切り分けた。各組
織をメスで細切りして、0.25% trypsin、
0.01% DNase I、0.5% glucos
eを含むphosphate−buffered sa
line(PBS)中、37℃で20分間インキュベー
トし、酵素処理した。十分量の馬血清を添加して酵素反
応を停止させた後、1,200rpmで5分間遠心して
組織片を分離した。上澄みを捨て、10%ウシ胎児血清
を含む修正Eagle’s培地を加えて再び組織を分散
させ、先端径1mmのプラスチック製チップをつけたピ
ペットで分散液を吸い上げて吐き出すことを20回繰り
返して、次第に組織片より細胞を単離した。この細胞分
散液を35〜40μm目のナイロン網(2枚重ね)を通
して残存する組織片を除いて単離細胞分散液を得た。細
胞分散液の一部を0.3% nigrosine溶液を
混合して、血算盤を用いて分散液中に含まれる生存細胞
密度を算出した。この計数結果をもとに、10%ウシ胎
児血清を含む修正Eagle’s培地を加えて細胞分散
液をさらに希釈して、一定密度(生存評価時には2×1
05 cells/ml、ChAT活性測定時には1.6
×106 cells/ml、DA取り込み測定時には2
×106 cells/ml)の生存細胞を含む分散液を
調整した。polylysineでcoatingした
培養プレートに、1ウェル(底面積1cm2 <DAの取
り込み実験では2cm2 >)あたり500μlずつ細胞
分散液をまいた。培養プレートを湿った5% CO2 −
95%空気を循環させた培養インキュベータに静置し
た。24時間後に、培養液を血清を含まないDF/TI
P培地に交換した。薬物はこの培地交換と同時に添加し
た。その後、培養インキュベータ中でさらに3日間培養
した。
は16日齢)胎児より無菌的に全脳を取り出し、海馬h
ippocampus、小脳cerebellum、中
隔野septum、腹側中脳ventral midb
rainといった各実験の目的部位を切り分けた。各組
織をメスで細切りして、0.25% trypsin、
0.01% DNase I、0.5% glucos
eを含むphosphate−buffered sa
line(PBS)中、37℃で20分間インキュベー
トし、酵素処理した。十分量の馬血清を添加して酵素反
応を停止させた後、1,200rpmで5分間遠心して
組織片を分離した。上澄みを捨て、10%ウシ胎児血清
を含む修正Eagle’s培地を加えて再び組織を分散
させ、先端径1mmのプラスチック製チップをつけたピ
ペットで分散液を吸い上げて吐き出すことを20回繰り
返して、次第に組織片より細胞を単離した。この細胞分
散液を35〜40μm目のナイロン網(2枚重ね)を通
して残存する組織片を除いて単離細胞分散液を得た。細
胞分散液の一部を0.3% nigrosine溶液を
混合して、血算盤を用いて分散液中に含まれる生存細胞
密度を算出した。この計数結果をもとに、10%ウシ胎
児血清を含む修正Eagle’s培地を加えて細胞分散
液をさらに希釈して、一定密度(生存評価時には2×1
05 cells/ml、ChAT活性測定時には1.6
×106 cells/ml、DA取り込み測定時には2
×106 cells/ml)の生存細胞を含む分散液を
調整した。polylysineでcoatingした
培養プレートに、1ウェル(底面積1cm2 <DAの取
り込み実験では2cm2 >)あたり500μlずつ細胞
分散液をまいた。培養プレートを湿った5% CO2 −
95%空気を循環させた培養インキュベータに静置し
た。24時間後に、培養液を血清を含まないDF/TI
P培地に交換した。薬物はこの培地交換と同時に添加し
た。その後、培養インキュベータ中でさらに3日間培養
した。
【0059】培養腹側中脳神経細胞のDA取り込みの測
定 培養終了に当たり、培養液を除いてPBSで1度洗い、
各well 0.5mlずつPBSを加えて37℃の温
浴上でプレインキュベーションを行った。各wellに
3HでラベルしたDA(0.9KBq/μl)を10.
5μl添加し37℃で20分間インキュベートした。プ
レートごと氷浴上に移し、氷冷したPBSで洗って取り
込みを止めた。0.2% Triton X−100を
各well 0.3ml添加し、ホモジナイザーを用い
て細胞を粉砕した。各well 600μlずつバイヤ
ルに移し、Aquasol 5mlを加えて液体シンチ
レーションカウンターを用いて放射活性を測定した。残
ったホモジナイザーを用いて、Bradford法によ
りタンパク量を測定してタンパク量当りの放射活性を求
めた。
定 培養終了に当たり、培養液を除いてPBSで1度洗い、
各well 0.5mlずつPBSを加えて37℃の温
浴上でプレインキュベーションを行った。各wellに
3HでラベルしたDA(0.9KBq/μl)を10.
5μl添加し37℃で20分間インキュベートした。プ
レートごと氷浴上に移し、氷冷したPBSで洗って取り
込みを止めた。0.2% Triton X−100を
各well 0.3ml添加し、ホモジナイザーを用い
て細胞を粉砕した。各well 600μlずつバイヤ
ルに移し、Aquasol 5mlを加えて液体シンチ
レーションカウンターを用いて放射活性を測定した。残
ったホモジナイザーを用いて、Bradford法によ
りタンパク量を測定してタンパク量当りの放射活性を求
めた。
【0060】[結果]培養腹側中脳神経細胞のDA取り込みに対するsper
mineの効果 spermineは図8に示されるように、1nM〜1
00nMの濃度範囲において濃度依存的にDA取り込み
を増殖させ、100nMでは無添加群にくらべて有意な
増強作用を示した。
mineの効果 spermineは図8に示されるように、1nM〜1
00nMの濃度範囲において濃度依存的にDA取り込み
を増殖させ、100nMでは無添加群にくらべて有意な
増強作用を示した。
【図1】 コントロール条件下での神経細胞の形態に対
するレーザー照射の影響を示す。
するレーザー照射の影響を示す。
【図2】 再生した軸索の長さに対するポリアミンの効
果を示す。
果を示す。
【図3】 再生した部分にある分岐数に対するポリアミ
ンの効果を示す。
ンの効果を示す。
【図4】 分岐を含む再生した軸索の長さに対するポリ
アミンの効果を示す。
アミンの効果を示す。
【図5】 神経突起再伸展におけるポリアミンとbFG
Fとの併用効果を示す。
Fとの併用効果を示す。
【図6】 スペルミンとbFGFとの併用効果パターン
の模式図である。
の模式図である。
【図7】 突起再伸展促進作用の構造要求性を示す。
【図8】 スペルミンのドパミンの取り込みに対する影
響を示す。
響を示す。
Claims (9)
- 【請求項1】 下記の式(1) 【化1】 〔式(1)中、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立
して水素原子または基 【化2】 (ただし、R5 、R6 はそれぞれ独立して水素原子また
は炭素数1〜4の枝分れしてもよいアルキル基を表し、
nは0〜4の整数を表す。)を表す。〕で示される化合
物を有効成分として含んでなる脳機能改善剤。 - 【請求項2】 式(1)中のR1 、R3 が共に水素原子
である請求項1記載の脳機能改善剤。 - 【請求項3】 式(1)中のR1 、R2 が共に水素原子
であり、nが3である請求項1記載の脳機能改善剤。 - 【請求項4】 式(1)中のR1 、R3 、R5 が共に水
素原子であり、nが3である請求項1記載の脳機能改善
剤。 - 【請求項5】 式(1)の化合物がスペルミン、スペル
ミジン、プトレシンまたはN,N′−ビス〔3−(エチ
ルアミノ)−n−プロピル〕−1,4−ブタンジアミン
である請求項1記載の脳機能改善剤。 - 【請求項6】 式(1)の化合物がスペルミンである請
求項1記載の脳機能改善剤。 - 【請求項7】 請求項1記載の化合物を有効成分とする
損傷神経細胞の修復促進剤。 - 【請求項8】 請求項5記載の化合物を有効成分とする
損傷神経細胞の修復促進剤。 - 【請求項9】 スペルミンを有効成分とするパーキンソ
ン病治療剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2496595A JPH08217670A (ja) | 1995-02-14 | 1995-02-14 | 脳機能改善剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2496595A JPH08217670A (ja) | 1995-02-14 | 1995-02-14 | 脳機能改善剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08217670A true JPH08217670A (ja) | 1996-08-27 |
Family
ID=12152695
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2496595A Pending JPH08217670A (ja) | 1995-02-14 | 1995-02-14 | 脳機能改善剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08217670A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003043616A3 (en) * | 2001-11-16 | 2003-10-16 | Als Therapy Dev Foundation Inc | Treatment of neurodegenerative disorders through the modulation of the polyamine pathway |
US7087648B1 (en) | 1997-10-27 | 2006-08-08 | The Regents Of The University Of California | Methods for modulating macrophage proliferation using polyamine analogs |
AU2002343609B2 (en) * | 2001-11-16 | 2008-12-11 | Als Therapy Development Foundation, Inc. | Treatment of neurodegenerative disorders through the modulation of the polyamine pathway |
JP2013184956A (ja) * | 2012-03-09 | 2013-09-19 | Kyodo Milk Industry Co Ltd | 学習・記憶能力を増強するための食品 |
-
1995
- 1995-02-14 JP JP2496595A patent/JPH08217670A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7087648B1 (en) | 1997-10-27 | 2006-08-08 | The Regents Of The University Of California | Methods for modulating macrophage proliferation using polyamine analogs |
US8008353B2 (en) | 1997-10-27 | 2011-08-30 | The Regents Of The University Of California | Methods for modulating macrophage proliferation using polyamine analogs |
WO2003043616A3 (en) * | 2001-11-16 | 2003-10-16 | Als Therapy Dev Foundation Inc | Treatment of neurodegenerative disorders through the modulation of the polyamine pathway |
AU2002343609B2 (en) * | 2001-11-16 | 2008-12-11 | Als Therapy Development Foundation, Inc. | Treatment of neurodegenerative disorders through the modulation of the polyamine pathway |
JP2013184956A (ja) * | 2012-03-09 | 2013-09-19 | Kyodo Milk Industry Co Ltd | 学習・記憶能力を増強するための食品 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060613 |