JPH08217490A - 波長変換ガラス材 - Google Patents

波長変換ガラス材

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JPH08217490A
JPH08217490A JP7051788A JP5178895A JPH08217490A JP H08217490 A JPH08217490 A JP H08217490A JP 7051788 A JP7051788 A JP 7051788A JP 5178895 A JP5178895 A JP 5178895A JP H08217490 A JPH08217490 A JP H08217490A
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JP
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chloride
mol
glass
glass material
wavelength
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JP7051788A
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Masaharu Ishiwatari
正治 石渡
Akira Okubo
晶 大久保
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Mitsubishi Materials Corp
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Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 塩化ガドリニウムをガラス形成剤とし、アル
カリ土類塩化物をガラス形成助剤とする塩化物ガラス母
材に発光中心源の塩化エルビウムおよび増感剤の塩化イ
ッテルビウムを含有させてなる波長変換ガラス材。 【効果】 従来のフッ化物系波長変換ガラス材よりも緑
色〜紫色域の光変換効率が格段に優れており、しかも結
晶体の波長変換材料よりも製造が容易である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は赤外光(770〜1100nm) お
よび赤色光(640〜665nm)をより短い波長の可視光に変換
する波長変換材料に関する。より詳しくは、変換効率お
よび取扱性に優れ、しかも製造が容易であり、ディスプ
レイ用蛍光体、赤外光検知体あるいはアップコンバージ
ョンレーザーの材料等に幅広い応用が可能である波長変
換ガラス材に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】一般に蛍光発光においては放出
光は入射光(励起光)より波長が長くなるが、希土類イ
オン含有物質の中には励起光よりも短波長の光を放出す
るアップコンバージョンによる蛍光を示すものがある。
これは、希土類イオンの電子が光子の2段階吸収などに
よって励起されることによるものである。例えば、赤外
光を励起光とし可視光を発する蛍光体が知られており、
肉眼では見えない赤外光の光路を識別する材料として用
いられているほか、ディスプレイ用蛍光体、あるいは、
赤外ないし赤色域の半導体レーザーとの組合せによるコ
ンパクトな可視光レーザー光源としての利用が期待され
ている。
【0003】特に、最近では光記憶の高密度化に対応し
てより短波長の光を放出するアップコンバージョン材料
が求められ、赤外光あるいは赤色光を励起光として緑色
ないし青色光を発する蛍光体の検討が進められている。
例えばBaY2 8 にYb3+およびEr3+を含有させた
単結晶でアップコンバージョンによる緑色の発光が認め
られている(Appl. Phys.Lett.,23, 第173 項以下, 197
3) 。しかし、結晶はファイバー等の任意の形態に成型
することが困難であり、また、単結晶は大きなものを製
造するには困難が多い。さらに、結晶は配位子場の対称
性が高いために発光遷移確率が低く、また、吸収幅が狭
いため、半導体レーザーのように励起光の波長が変動し
やすいレーザーで励起する場合には吸収効率の変動が大
きいという問題点がある。
【0004】このため、近年、非晶質の、すなわちガラ
ス質の蛍光体が提案されている。透明ガラス材料からな
る蛍光体は、(i) 結晶に比べて可視光発生の際の損失や
散乱が少ない材料を作製しやすい、(ii)ファイバー等の
任意の形態に成型できる、また(iii) 励起光の波長ゆら
ぎに伴う吸収効率の変動が小さいので、温度や電流等の
影響により出力波長が変動しやすい半導体レーザーを励
起光として用いた場合でも比較的安定した出力が得られ
る等の利点がある。この種のガラス蛍光体としては、フ
ッ化ジルコニウムガラスにHo3+をドープした蛍光体が
知られており、室温での緑色レーザー発振の報告例があ
る(Electron. Lett., 26, 261-263,1990) 、あるいはフ
ッ化物ガラスにTm3+をドープし、さらにYb3+を増感
剤として添加した蛍光体(特開平5-319855号)が知られ
ている。また、ZBLAN(Zr,Ba,La,Al,Naの各フッ化
物を原料とするフッ化ジルコニウムを主成分とするガラ
ス)にTm3+をドープし、あるいはさらにEu3+を増感
剤として添加した蛍光体が提案されている(例えば、S.
G.Grubb et al., Electron. Lett., 28, 1243, 1992)。
また、フッ化アルミニウムガラスにYb3+およびEr3+
を含有させた物質でアップコンバージョンによる青色及
び緑色の発光が認められている(J. Appl. Phys.,74, N
o.7, 4703f, 1993)。
【0005】しかし、可視光レーザー発振への応用を考
えた場合、上記ガラス材料では励起光からアップコンバ
ージョン蛍光への波長変換効率が不十分である。すなわ
ち、フッ化物ガラスでは、格子振動の最大エネルギーが
上記ZBLANでも400〜500cm-1と大きいが、一
般に格子振動エネルギーが大きいと多フォノン緩和時間
が短くなるという問題が生じる(J. P. van der Ziel et
al. J. Appln. Phys.60, (1986) 4262-67) 。つまり、
発光源イオンの電子は、励起光によって直接または増感
剤を介してエネルギーを受け励起されるが、格子振動エ
ネルギーが大きい場合には励起準位での平均滞留時間が
短く、このため、さらに励起エネルギーを吸収してより
高いエネルギー準位にまで励起される2段階励起の過程
が起こり難くなりアップコンバージョン効率が低下す
る。
【0006】
【発明の解決課題】本発明は、波長変換材料として有用
なアップコンバージョンガラスにおける上記問題を解決
し、ガラス化が容易で、かつ発光強度が強く、 770〜11
00nmの赤外ないし 640〜 665nmの赤色レーザー光を励起
光としても実用に耐える強度および安定性で緑色或いは
青色光を生じる波長変換ガラス材の提供を目的とする。
【0007】
【課題解決の手段】本発明は従来知られているフッ化ガ
ラスに代えて塩化物ガラスを母材とし、しかも単独では
ガラス化しない塩化ガドリニウム(GdCl3 :塩化G
d)をガラス母材に用い、これに発光中心となるエルビ
ウム(Er)イオンおよび増感剤となるイッテルビウム
(Yb)イオンを含有させることにより青色発光強度の
強い波長変換ガラス材を達成したものである。塩化Gd
は単独ではガラス化しないため、従来、塩化Gdを母材
とする塩化物ガラスは知られていないが、本発明者等は
ガラス形成助剤としてアルカリ土類塩化物を用いること
により塩化物ガラスが得られることを見出した(特願平
6-95477 号)。本発明は、上記知見に基づき、この塩化
Gd−アルカリ土類塩化物系ガラスに発光中心のErイ
オンと増感剤のイッテルビウム(Yb)イオンを含有さ
せることにより、緑色ないし青色波長域の発光強度が高
いガラス材が得られることを見出した。本発明は上記知
見に基づき、従来の問題を解決した波長変換ガラス材を
提供するものである。
【0008】すなわち、本発明によれば以下の波長変換
ガラス材が提供される。 (1)塩化ガドリニウムをガラス形成剤とし、アルカリ
土類塩化物をガラス形成助剤とする塩化物ガラス母材に
発光中心源の塩化エルビウムおよび増感剤の塩化イッテ
ルビウムを含有させてなる波長変換ガラス材。 (2)塩化エルビウムの含有量が0.01〜5モル%で
あり、かつ塩化イッテルビウムの含有量が1モル%以上
であり、かつ塩化イッテルビウムの濃度が塩化エルビウ
ムに対して0.2倍以上である上記(1) の波長変換ガラ
ス材。 (3)上記ガラス形成助剤が、塩化バリウム、塩化スト
ロンチウム、塩化カルシウムの1種または2種以上の組
合せである上記(1) の波長変換ガラス材。 (4)塩化ガドリニウム40〜88モル%、塩化バリウ
ム10〜45モル%、および塩化エルビウムと塩化イッ
テルビウムの合計量が30モル%以下からなる上記(2)
の波長変換ガラス材。 (5)塩化ガドリニウム50〜78モル%、塩化ストロ
ンチウム20〜40モル%、および塩化エルビウムと塩
化イッテルビウムの合計量が19モル%以下からなる上
記(2) の波長変換ガラス材。 (6)塩化ガドリニウム50〜78モル%、塩化カルシ
ウム20〜40モル%、および塩化エルビウムと塩化イ
ッテルビウムの合計量が17モル%以下からなる上記
(2) の波長変換ガラス材。 (7)塩化ガドリニウム40〜88モル%、塩化バリウ
ムと塩化ストロンチウムの合計量10〜45モル%、お
よび塩化エルビウムと塩化イッテルビウムの合計量が3
0モル%以下からなる上記(2) の波長変換ガラス材。 (8)塩化ガドリニウム40〜88モル%、塩化バリウ
ムと塩化カルシウムの合計量10〜45モル%、および
塩化エルビウムと塩化イッテルビウムの合計量が30モ
ル%以下からなる上記(2) の波長変換ガラス材。 (9)塩化ガドリニウム50〜78モル%、塩化ストロ
ンチウムと塩化カルシウムの合計量20〜40モル%、
および塩化エルビウムと塩化イッテルビウムの合計量が
19モル%以下からなる上記(2) の波長変換ガラス材。 (10)塩化ガドリニウム40〜88モル%、塩化バリ
ウムと塩化ストロンチウムと塩化カルシウムの合計量1
0〜45モル%および塩化エルビウムと塩化イッテルビ
ウムの合計量が30モル%以下からなる上記(2) の波長
変換ガラス材。
【0009】
【具体的な説明】本発明のガラス材では、塩化Gdをガ
ラス形成剤とする。塩化Gdは、ガラス母材の主成分と
しての量が必要であり、ガラス材の全組成中、少なくと
も約35モル%、通常は50モル%以上の割合を占め
る。塩化物ガラスはフッ化物ガラスよりも多フォノン緩
和速度が小さいので、可視光変換において高い変換効率
が実現される。なお従来知られている塩化物ガラスの代
表例は塩化亜鉛(ZnCl2 )をガラス母材とするものであ
るが、塩化亜鉛は潮解性が著しいという実用上の難点が
ある。本発明の塩化Gdを母材とするガラス材はこのよ
うな欠点を有しない。
【0010】すでに述べたように塩化Gdは単独ではガ
ラス化しないが、本発明者らが特願平6-95477 号で明ら
かにしたように、塩化Gdと共に一定量のアルカリ土類
塩化物をガラス形成助剤として併用することにより塩化
Gdをガラス化することができる。併用されるアルカリ
土類塩化物としては、塩化Ba、塩化Sr、塩化Caが
好適である。これらは2種以上併用しても良い。これら
を2種以上用いたものはさらに安定なガラス材を得るこ
とができる。塩化Baは塩化亜鉛系ガラスなどにおいて
ガラス形成助剤として常用されているが、塩化Ba自体
はガラス化せず、塩化Gdとの併用例も従来は知られて
いない。塩化Gdと塩化Baとからなるガラス材は本発
明者等により初めて提案された(上記特願平6-95477
号)。塩化Srはガラス形成助剤として従来使用されて
いるが、塩化Gdと併用した例は知られていない。塩化
Caについても同様である。これらのガラス形成助剤の
中では、ガラス転移点の最も高く安定なガラス材料が得
られる塩化Baが最も好ましい。
【0011】上記ガラス材は発光中心としてErイオン
を含有し、緑色ないし青色の増感剤としてYbイオンを
含有する。Erイオンは赤外域(約800nm,980nm )およ
び赤色域(約655nm )に吸収帯を有し赤外光( 780nm〜
840nm, 840nm 〜1100nm)あるいは赤色光( 640nm〜 6
65nm)により青色光(約410nm,450nm )および緑色光
(約550nm )を生じる発光中心となる。Ybイオンは 9
80nm付近を中心とした幅広い吸収帯を有し入射光の捕獲
能が大きいうえ、エネルギーを受け渡しする役割を担っ
ている。
【0012】励起光が780nm 〜840nm の場合、通常の励
起以外に図7のようにErイオンの49/2 或いは 4
11/2準位からYbイオンの 25/2 準位へエネルギー移
動がおこり、引き続いてYbイオンの 25/2 準位から
Erイオンの 411/2準位へ再びエネルギー移動が起こ
る。このため 411/2準位に励起されているErイオン
の濃度が大きくなり、約 450nmの強い青色光が得られ
る。励起光が640nm 〜665nm の場合も同様に、図8に示
すように、 4I 11/2準位に励起されているErイオンの
濃度が大きくなり、約 410nmの強い青紫色光が得られ
る。更に強い青色光を得るためには約 800nmおよび 980
nmあるいは約 980nmおよび655nmの2波長で励起すれば
よいが、光学系が複雑になるので実用的でない。励起光
が 840nm〜1100nmの場合、YbイオンからErイオンへ
のエネルギー移動により約 550nmの強い緑色光が得られ
る。
【0013】上記いずれの場合もErイオン含有量は塩
化Er換算で0.01モル%以上5モル%以下が好ましい。
0.01モル%より小さくなると濃度稀薄なため十分な発光
強度が得られず、5モル%を越えると濃度消光を伴う。
通常 0.1モル%以上4モル%以下が好ましい。一方、塩
化Ybは含有量が多ければそれだけ十分な増感効果は得
られ、少なくとも、塩化Er換算で1モル%以上が好ま
しい。1モル%より小さいと十分な増感効果は得られな
い。通常5モル%以上が好ましい。また、塩化Erと塩
化Ybの合計量は30モル%以下が好ましい。30モル
%を越えると結晶化速度が急速に速くなり、ガラス透明
体を得るのが難しくなる。
【0014】塩化Erに対する塩化Ybの量比によって
増感される波長域が異なり、 780nm〜 840nm励起で約 4
50nmの青色発光を得る場合および 640nm〜 665nm励起で
約 410nmの紫青色発光を得る場合には、塩化Erに対す
る塩化Ybの量比は0.2倍量以上とするのが好まし
い。0.2倍量より少ないと、塩化Ybによる青色増感
効果は大きく発揮されない。なお塩化Ybを1.25倍
量以上とするのがより好ましい。 840nm〜1100nm励起で
約 550nmの緑色発光を得る場合には塩化Ybを4倍量以
上とするのが好ましい。4倍量より少ないと、塩化Yb
による緑色増感効果は大きく発揮されない。なお10倍
量以上とするのがより好ましい。
【0015】本発明に係る緑色あるいは青色発光ガラス
材の組成範囲の一例を図1に示す。図1はGdCl3
BaCl2 −(Er,Yb)Cl3 からなる系における
ガラス化範囲を示す3元系グラフであり、本発明のガラ
ス材は図1の斜線部の組成範囲において得られる。同図
から明らかなように、ErイオンおよびYbイオンは発
光中心ないし増感剤であり、ガラス形成成分ではない
が、この含有量が増すと塩化Gdおよび塩化Baのガラ
ス化が妨げられる。ガラス形性能に対する影響はErイ
オンもYbイオンも大きな差がないため、図1ではこれ
らの合計量を示した。ErイオンとYbイオンの含有比
によっては多少の変動はあるが、斜線部の組成範囲から
外れると結晶化速度が非常に大きくなるため、原料を加
熱溶融後に急冷してもガラス化が困難となり失透(結晶
化)する。斜線部における範囲のうちGdCl3 :40
〜88モル%、BaCl2 :10〜45モル%、ErC
3とYbCl3 の合計量:1.01〜30モル%が好適で
ある。とくに塩化Gd40〜74.9モル%、塩化Ba20
〜35モル%および塩化Erと塩化Ybの合計量 5.1〜
30モル%の範囲で緑色或いは青色光の発光強度が高
く、この組成範囲が最も好適である。
【0016】なお、本明細書および添付図面においてガ
ラス組成をGdCl3 、BaCl2およびErCl3
の塩化物により表記しているが、これはガラス中の陽イ
オン(GdイオンおよびBaイオン等ならびにErイオ
ンおよびYbイオン)と陰イオン(塩化物イオン)の含
有比を塩化物換算で示したものであり、ガラス形成成分
は通常のガラス構造と同様に相互に結合した網目構造を
形成している。
【0017】本発明のガラス材について、塩化Baに代
えて塩化Srおよび塩化Caをガラス形成助剤として用
いた場合の好適な組成範囲を以下に示す。(1) GdCl3 −SrCl2 −ErCl3 −YbCl3 塩化Gd:50〜78モル%、好ましくは50〜68モ
ル% 塩化Sr:20〜40モル%、好ましくは25〜35モ
ル% 塩化Er+塩化Yb:1.01〜19モル%、好ましくは 5.1
〜19モル%
【0018】(2) GdCl3 −CaCl2 −ErCl3 −YbCl3 塩化Gd:50〜78モル%、好ましくは50〜68モ
ル% 塩化Ca:20〜40モル%、好ましくは25〜35モ
ル% 塩化Er+塩化Yb:1.01〜17モル%、好ましくは 5.1
〜17モル%
【0019】ガラス形成助剤を2種以上用いることによ
りさらに安定なガラス材を得ることができる。但しガラ
ス形成助剤の合計量は50モル%未満である。このよう
なガラス材としてはGd−Ba−Sr−Er−Yb、G
d−Ba−Ca−Er−YbもしくはGd−Sr−Ca
−Er−Ybの各塩化物からなる5元系ガラス、あるい
はGd−Ba−Sr−Ca−Er−Ybの各塩化物から
なる6元系ガラスが挙げられる。
【0020】本発明のガラス材について、これら2種以
上のガラス形成助剤を有する場合の好適な組成範囲を以
下に示す。(3) GdCl3 −BsCl2 −SrCl2 −ErCl3 −YbCl3 塩化Gd:40〜88モル%、好ましくは40〜74.9モ
ル% 塩化Er+塩化Yb:1.01〜30モル%、好ましくは 5.1
〜30モル% 塩化Ba+塩化Sr:10〜45モル%、好ましくは2
0〜35モル%
【0021】(4) GdCl3 −BaCl2 −CaCl2 −ErCl3 −YbCl3 塩化Gd:40〜88モル%、好ましくは40〜74.9モ
ル% 塩化Er+塩化Yb:1.01〜30モル%、好ましくは 5.1
〜30モル% 塩化Ba+塩化Ca:10〜45モル%、好ましくは2
0〜35モル%
【0022】(5) GdCl3 −SrCl2 −CaCl2 −ErCl3 −YbCl3 塩化Gd:50〜78モル%、好ましくは50〜68モ
ル% 塩化Er+塩化Yb:1.01〜19モル%、好ましくは 5.1
〜19モル% 塩化Sr+塩化Ca:20〜40モル%、好ましくは2
5〜35モル%
【0023】(6) GdCl3 −BaCl2 −SrCl2 −CaCl2 −ErCl3 −YbCl3 塩化Gd:40〜88モル%、好ましくは40〜74.9モ
ル% 塩化Er+塩化Yb:1.01〜30モル%、好ましくは 5.1
〜30モル% 塩化Ba、塩化Sr、塩化Ca合計量:10〜45モル%、好まし
くは20〜35モル%
【0024】上記ガラス形成助剤(BaCl2 、SrCl2 、Ca
Cl2 )と共にLiCl、NaCl、KCl、RbCl、
CsCl、PbCl2 およびTlClを併用すれば更に
安定なガラス材を得ることができる。これらの添加量は
約40モル%以下である。上記ガラス形成助剤(BaC
l2 、SrCl2 、CaCl2 )と共にこれらLiCl、NaC
l、KCl、RbCl、CsCl、PbCl2 およびT
lClをガラス組成に導入するとガラス転移点が低くな
る。
【0025】本発明の塩化物ガラス材は、精製乾燥した
原料の塩化物粉末を所定量調合した混合粉末を塩素ガス
雰囲気または真空下で加熱溶融し、ガラス転移点以下に
急冷して得られる。冷却速度は、60 K/s以上である。
冷却速度が上記の値未満だと一部に結晶が生じるなどし
て失透する場合がある。得られた急冷体のX線回折曲線
は、図2に例示するように、結晶体に見られるような特
定のピークが認められず、ガラス質であることがわか
る。また各原料塩の組成に対応するピークも認められ
ず、これらの単なる混合物ではないことが確認できる。
さらに図3の示差熱分析曲線に例示されるようにガラス
転移点が認められ、これによってもガラス質であること
が分かる。なお、本発明のガラスは、上記のような融液
の冷却過程による他、例えば、気相成長法等の既知の非
晶質形成方法によっても製造することができる。
【0026】
【実施例および比較例】以下に本発明の実施例を比較例
と共に示す。なお、本実施例は例示であり、本発明の範
囲を限定するものではない。
【0027】実施例1 ガラス母材のGdCl3 およびErCl3 粉末とYbC
3 粉末は、それぞれ市販のGd2 3 ,Er2 3
たはYb2 3 から常法により合成した後に加熱溶融し
て塩素ガスを吹き込み完全に脱水精製したものを用い
た。また、ガラス形成助剤のBaCl2 は320℃の乾
燥容器中で2日間乾燥した高純度の無水結晶を用いた。
これらの原料粉末をGdCl3 40.8モル%、BaC
2 44.1モル%、ErCl3 0.1モル%、YbC
3 15.0モル%の割合に調合した混合粉末を透明石
英ガラス管(内径1.5mm,肉厚0.6mm,長さ200mm )に真空
封入してアンプルを作成し、これを加熱炉にて600℃
で15分間溶融させた。得られた融液をアンプルごと直
ちに250℃まで冷却し(冷却速度80K/s)2時間
のアニール後、そのまま1K/min で徐冷を行なって薄
いピンク色の透明体を得た。得られた透明体を肉眼で確
認したところ、内部及び表面に結晶の析出は認められな
かった。また、この透明体をX線回折により測定したと
ころ、その散乱強度の曲線は図2に示すように、結晶体
に見られるような鋭いピークが認められず、ガラス質で
あることが確認された。さらに、この透明体の示差熱分
析曲線は、図3に示すように250℃付近でガラス転移
点(Tg)が認められ、この測定からもガラス質であること
が確認された。
【0028】実施例2〜37 実施例1と同一のGdCl3 、BaCl2 、ErCl3
およびYbCl3 粉末を用い、実施例1と同様に処理し
たSrCl2 及びCaCl2 粉末を表1に示すモル比に
調合し、この混合粉末を実施例1と同様にして処理して
以下のガラス材を得た。 GdCl3 −BaCl2 −ErCl3 −YbCl3 GdCl3 −SrCl2 −ErCl3 −YbCl3 GdCl3 −CaCl2 −ErCl3 −YbCl3 GdCl3 −BaCl2 −SrCl2 −ErCl3 −Y
bCl3 GdCl3 −SrCl2 −CaCl2 −ErCl3 −Y
bCl3 GdCl3 −CaCl2 −BaCl2 −ErCl3 −Y
bCl3 得られたガラス材は透明であり、肉眼で観察したとこ
ろ、内部にも表面にも結晶の析出は認められなかった。
実施例1と同様にして透明体がガラス体であることを確
認した。
【0029】
【表1】
【0030】発光スペクトルの測定 実施例6で得られたガラス材を石英アンプルから取り出
して長さ約5mmの円柱状に切断し、切断部を面研磨した
試料に、波長810nm,655nm及び980nmのレーザ
(20mW)を照射したところ、ガラス材内部で青緑色発光す
ることが確認された。この発光スペクトルを図4〜6に
実線で示す。また、常法に従って製造したフッ化物ガラ
ス(48ZrF4 ・22BaF2 ・4LaF3 ・3AlF3 ・2NaF・4NaCl・
0.6InF3・1.0ErF3 ・15.4Yb3 )を同一形状に作製し、
切断して面研磨して得た比較試料についても同様に測定
した。この結果を図4、図5及び図6の破線に示した。
【0031】図4、図5および図6に示すように、実施
例5で得たガラス材は、810nmの励起光により530
nmおよび550nm付近の波長(緑色域)及び450nm付
近(青色域)を有する蛍光を生じ、青緑色に発光する。
また、このガラス材は655nmの励起光によって410
nm付近(紫色域)および550nm付近(緑色域)の波長
を有する蛍光を生じ、両波長域における発光強度はほぼ
同程度であった。また980nmの励起光により530nm
及び550nm付近の波長を有する蛍光を生じ、緑色に発
光する。
【0032】一方、従来の上記フッ化物ガラスは810
nmの励起光による発光強度は低く、さらに655nmの励
起光によっても緑色域(550nm 付近)の発光強度は低
い。980nmに関しても同様である。因みに、実施例5
のガラス材の550nm付近の発光強度(励起波長980nm
)は上記フッ化物ガラスの約10倍、410nm付近の
発光強度(励起波長655nm )は上記フッ化物ガラスの約
8倍であり、450nm付近の発光強度(励起波長810nm
)は上記フッ化物ガラスの約6倍である。他の実施例
の試料についても同様の発光スペルトルを測定し、この
結果を表1に纏めて示した。いずれの場合も緑色〜紫色
の発光を有し、その強度は従来のフッ化物ガラスの3〜
10倍であった。
【0033】
【発明の効果】本発明の波長変換材はガラス材であるの
で、結晶体の波長変換材料よりも製造が容易であり、フ
ァイバー等の種々の形状の製品に加工することが可能で
ある。また、吸収幅がブロードであるために、励起光の
波長ゆらぎがあっても吸収効率の変動が小さく、よって
発光効率の変動が少ない。従って、温度や電流等の影響
により出力波長が変動しやすい半導体レ−ザーを励起光
として用いた場合でも、比較的安定した出力が得られ
る。また、本発明ではガラス母材として塩化Gdおよび
アルカリ土類金属の塩化物を用いているため、かつガラ
ス転移点が200℃以上であり、従来の塩化物ガラス
(ガラス転移点が175 ℃程度)に比べてガラス転移点が
格段に高く、安定である。さらに本発明の波長変換ガラ
ス材は、最大の特長として、従来のフッ化物系波長変換
ガラス材よりも緑色或いは青色域の光変換効率が格段に
優れている。このためにディスプレイやアップコンバー
ジョン方式による緑色或いは青色レーザー等、幅広い分
野への応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る塩化Gd2 −塩化Ba−塩化(E
r,Yb)のガラス化範囲を示すグラフ。
【図2】実施例1のガラス材のX線回折チャート。
【図3】実施例1のガラス材の示差熱分析曲線を示すグ
ラフ。
【図4】実施例6のガラス材と従来のフッ化物ガラスの
波長810nm の励起光に対する発光強度を示すスペクトル
図。
【図5】実施例6のガラス材と従来のフッ化物ガラスの
波長655nm の励起光に対する発光強度を示すスペクトル
図。
【図6】実施例6のガラス材と従来のフッ化物ガラスの
波長980nm の励起光に対する発光強度を示すスペクトル
図。
【図7】励起発光のモデル図。
【図8】励起発光のモデル図。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ガドリニウムをガラス形成剤とし、ア
    ルカリ土類塩化物をガラス形成助剤とする塩化物ガラス
    母材に発光中心源の塩化エルビウムおよび増感剤の塩化
    イッテルビウムを含有させてなる波長変換ガラス材。
  2. 【請求項2】塩化エルビウムの含有量が0.01〜5モ
    ル%であり、かつ塩化イッテルビウムの含有量が1モル
    %以上であり、かつ塩化イッテルビウムの濃度が塩化エ
    ルビウムに対して0.2倍以上である請求項1の波長変
    換ガラス材。
  3. 【請求項3】上記ガラス形成助剤が、塩化バリウム、塩
    化ストロンチウム、塩化カルシウムの1種または2種以
    上の組合せである請求項1の波長変換ガラス材。
  4. 【請求項4】塩化ガドリニウム40〜88モル%、塩化
    バリウム10〜45モル%、および塩化エルビウムと塩
    化イッテルビウムの合計量が30モル%以下からなる請
    求項2の波長変換ガラス材。
  5. 【請求項5】塩化ガドリニウム50〜78モル%、塩化
    ストロンチウム20〜40モル%、および塩化エルビウ
    ムと塩化イッテルビウムの合計量が19モル%以下から
    なる請求項2の波長変換ガラス材。
  6. 【請求項6】塩化ガドリニウム50〜78モル%、塩化
    カルシウム20〜40モル%、および塩化エルビウムと
    塩化イッテルビウムの合計量が17モル%以下からなる
    請求項2の波長変換ガラス材。
  7. 【請求項7】塩化ガドリニウム40〜88モル%、塩化
    バリウムと塩化ストロンチウムの合計量10〜45モル
    %、および塩化エルビウムと塩化イッテルビウムの合計
    量が30モル%以下からなる請求項2の波長変換ガラス
    材。
  8. 【請求項8】塩化ガドリニウム40〜88モル%、塩化
    バリウムと塩化カルシウムの合計量10〜45モル%、
    および塩化エルビウムと塩化イッテルビウムの合計量が
    30モル%以下からなる請求項2の波長変換ガラス材。
  9. 【請求項9】塩化ガドリニウム50〜78モル%、塩化
    ストロンチウムと塩化カルシウムの合計量20〜40モ
    ル%、および塩化エルビウムと塩化イッテルビウムの合
    計量が19モル%以下からなる請求項2の波長変換ガラ
    ス材。
  10. 【請求項10】塩化ガドリニウム40〜88モル%、塩
    化バリウムと塩化ストロンチウムと塩化カルシウムの合
    計量10〜45モル%、および塩化エルビウムと塩化イ
    ッテルビウムの合計量が30モル%以下からなる請求項
    2の波長変換ガラス材。
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