JPH08214700A - 苗の育苗方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明では、農家での播種作業や育苗作業を
解消する新規技術を提供するものである。 【構成】 本発明は、玄米６を挿入した円筒状カプセル
１７や板状カプセル１の生育室２にウレタン粒１１を封
入し、肥料農薬混合水１２を散布しながら、育苗箱５で
育成せしめ、均一に成長した健苗を水田に移植するもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、稲苗の育苗カプセル
（容器）とその利用方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、国内では稲作の大規模化が促進さ
れつつあるが、現行技術による育苗や田植え方式では、
育苗作業自体やその後の育苗箱運搬作業あるいは田植え
機への苗補給作業などで、家族にとって過酷な労働を強
いられることになる。

【０００３】また、将来において、稲作の大規模化が進
むと、大区画内での歩行作業が益々困難になり大規模化
のネックとなる。

【０００４】そこで、直撒き栽培への移行が考えられる
が、種籾は、直接水田表面に蒔くので、鳥害を受け易い
ことと、表土剥離や悪天候による発芽不良や、生育遅れ
などや、播種量が多くなってムダが多くなることや、苗
の生長点が地表面にあるので、過剰分げつになり安定多
収が期待出来ないことや、倒伏抵抗性がなく強風時に倒
伏しやすくなり、安定多収が困難であることなど問題点
が多いようである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】最近、この直撒き方式
の問題点を一挙に解決するカプセル方式や帯状ロール方
式等が開発されているが、これらの技術に対して、苗の
均一安定化と、より低コスト化が望まれている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そこで、請求項１に記載
した本発明については、円筒状の絶縁紙３で構成された
カプセル１７内にウレタンマット１５を挿入した後、玄
米６を播種し、その上をウレタン粒１１とウレタンキヤ
ップ１６で覆い、育苗箱５にいれて肥料農薬混合水１２
を散布しながら、育成することによって、低コスト化を
図ったことを特徴とした育苗技術である。

【０００７】請求項２に記載した本発明は、先願技術
（特願平７−１００１５）の欠陥として明きらかになっ
た事例を改善したものである。

【０００８】すなわち、先願の事例では、生育室２内で
生育した苗７の根１０が隣接の根１０と絡んで、移植時
にカプセル１から、剥離しにくいことが判ったので、本
発明では、プレス抜きしたスリツト４内に除草剤１３を
含む絶縁紙３を挿入構築して、根１０が干渉しないよう
にしたことと、カプセル１側面に、プラスチック樹脂１
４を塗布して隣接する根１０に干渉しないようにしたこ
とである。

【０００９】なお、スリット４内にプラスチック樹脂１
４を挿入したり、カプセル１側面に絶縁紙３を挟んで隣
接根１０の干渉を阻害した場合ても同様の間切り効果が
期待できる。なお、カプセル１の材質は、ウレタン製の
他に最近普及されている水溶性のスポンジ状の発泡性プ
ラスチックでも良い。

【００１０】請求項３に記載した本発明は、現行の種籾
を使用する播種栽培方法をやめて、胚乳を貯蔵した状態
の玄米６を、カプセル１内の生育室２に播種し、育苗箱
５に入れ肥料農薬水１２を散布しながら、育成すること
によって、従来の種籾使用方法に比べて、育苗面積を１
／４程度に小さくすることができる育苗技術である。

【００１１】これらの播種作業や育苗作業は、専用工場
で行い各農家に供給することによって、これまでの播種
作業を農家から一切省略できるようになる。

【００１２】

【作用】本発明の作用については、図１と図２を参照し
ながら説明する。

【００１３】請求項１に記載した本発明の場合には、ま
ず、円筒状カプセル１７内に胚乳を貯蔵した玄米６を挿
入し、ウレタン粒１１とウレタンキヤップ１６で覆った
後、育苗箱５に移して肥料農薬混合水１２を散布しなが
ら栽培する。

【００１４】中苗または成苗で移植する場合には、葉９
と根１０を適量カットしてから、田植え機にセットして
水田に移植する。

【００１５】請求項２に記載した本発明の場合には、ま
ず、板状カプセル１の生育室２内に玄米６を挿入してか
ら、板状カプセル１の側面とスリツト４内に除草剤１３
を含む絶縁紙３を接着剤あるいはプラスチツク樹脂１４
でコーティングした後、育苗箱５に入れて、肥料農薬混
合水１２を散布しながら育成する。

【００１６】また、請求項３に記載した玄米６で播種す
る場合は、バカナエ病などの病気にかかり易いので、従
来の肥料土は使わずに、板状カプセル１の生育室２に入
れた後、ウレタン粒１１で封入し、肥料農薬混合水１２
を散布しながら育苗する。

【００１７】なお、播種後の種子入り板状カプセル１や
円筒状カプセル１７を５℃程度の低温で貯蔵すると、種
子の発芽力が弱まり、隔年の種子を利用ができるので、
種子の安定確保と播種作業の周年化が可能である。

【００１８】このような、本発明の育苗方法を採用する
ことによって、育苗設備と農作業者の弾力的有効利用が
可能となり、コストダウンに繋がる。

【００１９】

【実施例】本発明の実施例を図３から図４に示す。

【００２０】図３には、本発明の玄米播種と、従来の種
籾による播種の場合を比較したものであるが、本発明の
玄米播種の方が、播種密度が高くなり、育苗面積を軽減
できる。

【００２１】また、本発明の播種方法と育苗技術を採用
した場合の農作業総労働時間は、図５のように、大幅に
短縮できる。

【００２２】

【効果】請求項１に記載した本発明の円筒状カプセルを
採用した場合の効果としては、構造が簡単なことから、
カプセルの製造コストが安価であることと、移植機構の
簡易化が可能であることから、利用価値は高い。

【００２３】請求項２に記載した本発明の板状カプセル
を採用した場合の効果としては、隣接する根と干渉せず
成長するので、活着力が高いことと絡まらないので、カ
プセルからの移植が容易であることなどの利点がある。

【００２４】請求項３に記載した本発明の玄米播種法
は、種籾播種法に比べて、播種密度を上げられ、育苗面
積を１／４程度に縮少できるので、水田単位面積当たり
の苗箱数が軽減でき、育苗や苗の運搬作業労力を低減で
きることや、吸水が早く種子の予措期間を短縮できるこ
とや、バカ苗などの籾殻伝染病にかかり難いことなど利
点が多い。

【００２５】なお、低温貯蔵法を採用することによっ
て、長期間の種子保存が可能となり、安定確保と播種作
業の周年化できるので、育苗設備や田植え機の弾力的有
効利用と農作業員の効率的運用によるコスト削減が可能
である。

【００２６】本発明のカプセル容器と育苗方法を大規模
専用工場で採用して、各農家に稲苗を供給した場合、各
農家では、労働の厳しい播種作業や育苗作業から一切解
放され、かつ各農家で育苗した場合よりも苗作コストが
安いことや、集中育苗化により、地域全体に同質の苗種
を供給できるので、安定した品質の稲を生産し、常に付
加価値の高い産地米を収穫できることなどの点で利用価
値は大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１には、本発明の板状カプセルによる育苗方
法について示す。

【図２】図２には、本発明の円筒状カプセルによる育苗
方法について示す。

【図３】図３には、本発明の玄米播種による育苗面積の
短縮効果を示す。

【図４】図４には、本発明の玄米播種による農作業総労
働時間の比較を示す。

【符号の説明】

１．板状カプセル ２．生育室 ３．絶縁紙 ４．スリット ５．育苗箱 ６．玄米 ７．苗 ８．発芽 ９．葉 １０．根 １１．ウレタン粒 １２．肥料農薬混合水 １３．除草剤 １４．接着剤およびプラスチック樹脂 １５．ウレタンマット １６．ウレタンキヤップ １７．円筒状カプセル １８．ガイド

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 絶縁紙３で構成された円筒状カプセル１
   ７内にウレタンマット１５を挿入した後、玄米６を播種
   し、その上をウレタン粒１１とウレタンキヤップ１６で
   覆い、育苗箱５に入れて、肥料農薬混合水１２を散布し
   ながら育成することを特徴とした育苗技術。
2. 【請求項２】 生育室２を有する育苗用板状カプセル１
   の側面を接着剤あるいはプラスチック樹脂１４でコーテ
   ィングした後、除草剤１３を含む絶縁紙３を張って、隣
   接する根１０の絡まりを防止することと、スリット４内
   に防草剤１３を含む絶縁紙３を挿入して、隣接する根１
   ０の絡まりを防止することを特徴とした育苗技術。
3. 【請求項３】 請求項２に記載した板状カプセル１の生
   育室２内に玄米６を挿入し、ウレタン粒１１で封入した
   後、育苗箱５に入れて、肥料農薬混合水１２を散布しな
   がら育成することによって、育苗面積を縮少することを
   特徴とした育苗技術。
4. 【請求項４】 請求項１から請求項３に記載した育苗技
   術を専用工場において、一括採用し、各農家より播種作
   業や育苗作業を解消するすることを特徴とした一括育苗
   システム。