JPH08205709A - アブラナ科採種圃場を利用したマメコバチの増殖方法 - Google Patents

アブラナ科採種圃場を利用したマメコバチの増殖方法

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JPH08205709A
JPH08205709A JP1710295A JP1710295A JPH08205709A JP H08205709 A JPH08205709 A JP H08205709A JP 1710295 A JP1710295 A JP 1710295A JP 1710295 A JP1710295 A JP 1710295A JP H08205709 A JPH08205709 A JP H08205709A
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泰生 前田
Katsuo Goukon
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アブラナ科作物の採種圃場に巣箱を配置し、
そこに適当な営巣材料を設置してマメコバチの越冬成虫
を放飼し、営巣活動完了後に子孫を多量に得ることを特
徴とするマメコバチの増殖方法。 【効果】 マメコバチの大量増殖が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マメコバチ Osmia cor
nifrons の増殖方法に関し、特に、本種の増殖源として
アブラナ科作物の採種圃場を利用するマメコバチの増殖
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マメコバチは、現在、リンゴ、オウト
ウ、ナシ、モモなどのバラ科落葉果樹の送粉昆虫として
北日本を中心に利用されている。最近では、イチゴにお
いても送粉昆虫としての有効性が証明され、今後、適用
範囲は拡大していくものと考えられている。
【0003】現在、マメコバチの増殖地となっているの
はリンゴ園のみである。ここでの増殖は、リンゴの送粉
目的で飼養された結果生じたものであり、特に意図的に
行われている訳ではない。また、マメコバチを増殖する
場合、リンゴ園の近くに十分な花粉源植物(アブラナ
等)を植裁するという方法が示されたことがある(小林
森巳著、「園芸作物の受粉と花粉媒介昆虫−その増殖と
利用」、誠文堂新光社発行、77〜109頁(1981
年))。しかし、この方法は次の4つの理由からマメコ
バチの大量増殖には向かない。
【0004】リンゴ園と隣接するため、農薬の影響を
受けやすい。 周辺にマメコバチを利用している園があれば、そこか
ら天敵が侵入する可能性がある。 周辺にマメコバチを利用している園があれば、そこの
マメコバチも誘引してしまう可能性があるため、その園
のリンゴの送粉を妨げることがある。 リンゴ園の近くに別の餌資源植物を多量に栽培するこ
とは困難であり、そのようなことができる場所も少な
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】リンゴ園においてマメ
コバチを増殖することには次のような問題点がある。 (1)リンゴ園でのリンゴの開花日数(品種構成が豊富
で開花期間が長い園でも2週間以下)では、マメコバチ
が本来もっている営巣能力(有効営巣日数:25〜35
日)を十分に発揮できない。 (2)また、リンゴの開花期には天候不順な日が多いた
め、マメコバチが訪花活動を行うことのできる日数(有
効営巣日数)は、さらに短縮され、平均5〜7日しかな
い。
【0006】(3)各リンゴ農家単位ではマメコバチの
生態を考慮した十分な飼養管理が行えない。このため、
マメコバチを利用しているリンゴ園では、累代的に飼育
・増殖することによって天敵類が蔓延し、増殖率が低く
抑えられている。 (1)、(2)の結果、マメコバチの増殖率(健全なメ
ス子孫数/放飼メス数)は十分に管理したリンゴ園でも
2.2〜3.1にしかならない、さらに(3)の結果か
ら、飼養管理が十分に行われていない多くのリンゴ園で
は増殖率は通常2以下となり、ほとんど増殖していな
い。
【0007】以上のようにリンゴ園でマメコバチの増殖
を行うことは非効率的で、大量増殖には不適当である。
このため、マメコバチの増殖に重点を置き、特定の餌資
源植物を利用した飼養管理を行う必要があると考えられ
る。新たに利用する餌資源候補植物は、次の特徴を合わ
せもつことが望ましい。 マメコバチの自然状態での成虫の活動期は、島根県で
は4月上旬〜5月中旬、長野県では4月下旬〜6月上旬
であるので(前田泰生著、「シリーズ地球共生系4 花
に引き寄せられる動物−花と送粉者の共進化」、平凡社
発行、195〜232頁(1993年);前田泰生・北
村泰三著、「落葉果樹の受粉のためのマメコバチのマネ
ージメント マメコバチの上手な飼い方、使い方」、ア
スク工業株式会社発行、16頁(1974年))、この
時期(春季)に開花する植物である。
【0008】開花期間がマメコバチのメス成虫の有効
営巣日数(25〜35日)をカバーし、できれば飛翔活
動期間(40〜50日)に匹敵するくらい開花期の長い
植物である。 マメコバチが好んで訪花し、その花の花粉・花蜜を利
用することで子孫を正常に生産できる植物である。 マメコバチの成虫の活動期間中、農薬の散布を中止で
きる、あるいは農薬散布の必要のない植物である。
【0009】餌資源植物の栽培方法としては施設栽培も
考えられるが、これには集約的で効率がよい反面、生産
コストが高くなるという問題もある。また、大量増殖す
るためには大面積が必要となることもあり、マメコバチ
の増殖だけの目的での施設栽培は、実質不可能である。
このため、前記〜以外に次の〜の3つの条件の
うちいずれか1つを満たす植物であることが好ましい。 既に何らかの目的で大面積で栽培されている。 これから新たに栽培する場合、マメコバチの増殖以外
の目的を合わせ持つことが可能となる植物。 野外において人手が加えられることなく、既に大群落
形成して生育している植物。 以上のような条件をもつ植物が解明されれば、マメコバ
チの大量増殖は可能となる。しかし、このようなマメコ
バチの大量増殖に関する研究報告は、これまでに行われ
ていなかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上のよ
うな課題を解決するために、さまざまな植物を利用して
マメコバチの増殖試験を行った結果、アブラナ科植物を
利用することによりマメコバチの大量増殖が可能となる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発
明は、アブラナ科作物の採種圃場に巣箱を配置し、そこ
に適当な営巣材料を設置してマメコバチの越冬成虫を放
飼し、営巣活動完了後に子孫を多量に得ることを特徴と
するマメコバチの増殖方法である。本発明は、マメコバ
チを大量増殖するのにアブラナ科植物を利用するもので
あるが、特に採種目的で既に施設内外で大面積で栽培さ
れているものを利用するものである。
【0011】アブラナ科植物(Cruciferae)、特にアブ
ラナ属 Brassica 、ダイコン属 Raphanus の2属には多
くの有用植物が含まれ、野菜、飼料作物、油料作物、香
辛料植物、観賞用植物として広く栽培されている(前記
餌資源植物の条件又はを満たす)。このなかで、マ
メコバチの増殖源となり得るものは、開花させて利用す
る作物で、種子から油を採る油料作物(セイヨウアブラ
ナ Brassica napus など)、種子からカラシを採る香辛
料植物(例えば、シロガラシ Sinapis alba など)、花
壇に植えられる観賞用植物(ハナナ Brassica rapa va
r. amplexicaulis など)、又は種苗会社などが品種改
良や種苗販売の目的で栽培している野菜類、となる。観
賞用植物を除き、これらの多くは採種を目的に栽培され
るため、既に何らかの送粉昆虫(ほとんどは、セイヨウ
ミツバチ Apis mellifera )が利用されており、開花期
に殺虫剤等の農薬を散布されることは極めて希である
(前記餌資源植物の条件を満たす)。また、基本的に
陽地性植物であり、作物として導入された後に、栽培環
境から逸出しやすく、大群落を形成することもある(例
えば、カラシナ Brassica juncea。前記条件のを満た
す)。
【0012】アブラナ科植物の開花期は通常、春季で、
開花期間が1カ月程度のものが多い(前記条件の、
を満たす)。また、バラ科落葉樹以外の植物で、マメコ
バチが訪花性をもつものとしては、第1にレンゲが、次
いでアブラナ Brassica rapaが報告されている(S. Miya
moto; Science Reports of Hyogo University of Agric
ulture, Series: Agricultural Biology, 4(1), 35-40
(1959))。B.rapaに属する栽培植物は多く(アブラナ、
カブ、ハクサイ、ハナナなど)、従って、前記餌資源植
物の条件ののうち、訪花性に関しては主要なアブラナ
科作物では条件を満たすものと考えられる。前記の餌資
源植物の条件のうち、その植物を利用することでマメ
コバチが正常に子孫を残せるか、という観点での研究
は、アブラナ科植物では行われたことがなかった。
【0013】採種目的で栽培されているアブラナ科植物
のうち、香辛料植物のシロガラシは日本では栽培されて
いない。したがって、油料植物のセイヨウアブラナか、
種苗会社の栽培している採種用野菜類が栽培面積が大き
く、マメコバチの大量増殖に適している。また、カラシ
ナは現在に日本では、野菜としてよりむしろ河川敷等に
大群落を形成する帰化植物として知られている。カラシ
ナの大群落を利用したマメコバチの大量増殖も可能と考
えられる。しかし、このような行為は帰化植物の繁殖を
助けることにつながり、生態系保存の観点からは、好ま
しくない。本発明に用いる営巣材料としては、特に制限
はなく、例えばヨシ筒、竹筒、マメコバチ用に開発され
た人工巣などが挙げられる。
【0014】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるも
のではない。
【0015】(実施例1)1994年、宮城県鳴瀬町宮戸島
と宮城県塩釜市朴島のハクサイ採種圃場でマメコバチの
増殖試験を行った。調査地としたハクサイ採種圃場で
は、自家不和合性を利用した一代雑種(F1 )品種の種
子生産を行っていた。送粉昆虫としては、既にセイヨウ
ミツバチが導入されていた。ここに巣箱を各島5個ずつ
配置し,巣箱内には営巣材料となるヨシ筒を設置した。
放飼成虫数は、各島、メス1,115 頭で、オスはメスの約
2倍数、ヨシ筒は放飼メス数の3倍数とした.試験結果
を下記表1に示す。表1には、比較のため1973年〜1981
年のうち8年間に岩手県の(飼養管理が十分に行われ
た)リンゴ園で調査した増殖状況(前田泰生著、「シリ
ーズ地球共生系4 花に引き寄せられる動物−花と送粉
者の共進化」、平凡社発行、195〜232頁(199
3年))も合わせて示した.
【0016】
【表1】 ハクサイ採種圃場とリンゴ園におけるマメコバチの増殖状況の比較 ───────────────────────────────── ハクサイ(宮城県,1993) リンゴ園 調査項目 ──────────── (岩手県, 朴島 宮戸島 1973-75,78-81 ) ───────────────────────────────── a 雌比率 0.469 0.440 0.511 b 子孫の生存率(%) 87.2 88.3 90.6 c 増殖率 4.5 3.5 2.2 d 平均繭重(mg)メス 99.8 97.1 90.7 オス 56.8 50.6 52.3 ─────────────────────────────────
【0017】表1に示したように、ハクサイ採種圃場で
はリンゴ園に比べて増殖率が高く、リンゴに代わる増殖
源植物としてハクサイは有効だということが証明され
た。さらに生産された繭の重量も重くなり、餌資源植物
として質的にも良好であることが分かった。増殖を決定
するさまざまな要因のうち、定着率と子孫の生存率は人
為的に操作可能であり、これらの要因を改善すること
と、セイヨウミツバチを排除した採種圃場を利用するこ
とによって、増殖率はさらに増加させることができると
考えられる。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、マメコバチの大量増殖
が可能となる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アブラナ科作物の採種圃場に巣箱を配置
    し、そこに適当な営巣材料を設置してマメコバチの越冬
    成虫を放飼し、営巣活動完了後に子孫を多量に得ること
    を特徴とするマメコバチの増殖方法。
JP1710295A 1995-02-03 1995-02-03 アブラナ科採種圃場を利用したマメコバチの増殖方法 Expired - Lifetime JP2748965B2 (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105145088A (zh) * 2015-09-17 2015-12-16 江苏省农业科学院 一种萝卜种质资源的种植方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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