JPH08196524A - 音声聞き取り能力評価方法 - Google Patents

音声聞き取り能力評価方法

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JPH08196524A
JPH08196524A JP838895A JP838895A JPH08196524A JP H08196524 A JPH08196524 A JP H08196524A JP 838895 A JP838895 A JP 838895A JP 838895 A JP838895 A JP 838895A JP H08196524 A JPH08196524 A JP H08196524A
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JP
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voice
listening ability
evaluation
signal
evaluating
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JP838895A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Miyata
裕之 宮田
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Publication date
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  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 相対強度振幅変調伝達指数に基づいて評価対
象者の音声の聞き取りに関係する試験結果の予測をする
音声聞き取り能力評価方法を提供する。 【構成】 音声聞き取り能力測定用の音源信号を使用
し、評価対象者について音源信号の最小可聴値を測定
し、最小可聴値から音声聞き取り能力を示す知覚される
強度変調の度合を測定し、ここで、強度変調の度合に対
する平均検知限レベル曲線を予め求めておき、評価対象
者の検知限レベルと平均検知限レベル曲線とを比較対照
して相対強度振幅変調伝達指数を求め、相対強度振幅変
調伝達指数に基づいて評価対象者の音声信号の音響心理
空間上における音像の品質を算出してこれを音声聞き取
り能力の評価に使用する音声聞き取り能力評価方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、音声聞き取り能力評
価方法に関し、特に、音声聞き取り能力を容易正確に予
測評価する音声聞き取り能力評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の音声聞き取り能力評価方法につい
て説明する。 (i) 単音節、単語、文章その他の音声を使用する方法 無意味な数字、単音節その他の音節を送話する語音明瞭
度試験、単語/文章了解度試験の様に、音声を使用して
試験を行い、その正解率から評価対象者の聞き取り能力
を評価する方法である。この方法は直接的な簡易な方法
ではあるが、次の様な2つの欠点がある。
【0003】(1) 試験するのに多くの時間を要する。試
験音声の数を減少して試験時間を節約して試験を簡易化
すると評価に大きな誤差を生ずる。(2) 試験音声の選択
が難しい。単語/文章了解度試験を実施する場合、評価
対象者の年齢、生活環境、その他の条件が相違すると試
験単語、試験文章の難易性もを異なり、試験成績が必ず
しも音声の聞き取り能力を反映したものにはならない。
このために、評価対象者毎に単語、文章を選択変更する
ことが考えられるが、これは容易ではない。
【0004】(ii) 評価対象者の聴覚特性から算出する
方法 この方法の内の代表的なものとして、電話の伝送通話装
置の品質評価をする目的で開発されたAI(Articulatio
n Index)法を基本とする方法がある。AI法は音声信号
の周波数特性およびマスキング特性その他の人の聴覚特
性を考慮し、電話の伝送通話装置について各周波数帯域
毎のS/N比を重み付け平均することにより伝送通話装
置の品質を評価する方法であり、健聴者が通話すること
を前提とし、聴覚特性は健聴者の一般的な平均値を採用
している。AI法を使用する音声の聞き取り能力評価方
法は、AI法において各周波数帯域毎のS/N比を算出
するに際して、評価対象者の最小可聴値、マスキング特
性を考慮することにより算出された値により評価対象者
の音声の聞き取り能力を評価するものである。
【0005】この方法においては、評価対象者の最小可
聴値のみを使用して聞き取り能力を評価することがで
き、この様にする方法がより一般的ではある。しかし、
評価対象者の最小可聴値のみを使用するこの方法に依る
と、評価誤差は大きくなる。そして、評価対象者のマス
キング特性をも考慮して評価する場合、評価対象者のマ
スキング特性を測定しておくことは不可欠であり、結
局、評価に多くの時間を要することになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、音声の代
りに帯域ノイズその他の音響信号を使用して聞き取り能
力の評価に要する時間を短縮すると共に、評価対象者の
相違に対応して試験音声を変更する必要をなくし、更
に、評価対象者の最小可聴値およびマスキング特性につ
いての詳細な聴覚特性を不要とした、簡易正確に音声聞
き取り能力を予測評価する音声聞き取り能力評価方法を
提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】入力音響信号の強度振幅
変調伝達関数を求めてこれを音声聞き取り能力の評価に
使用する音声聞き取り能力評価方法を構成した。そし
て、100%強度変調した入力音響信号を受聴したとき
に知覚される強度変調の度合を測定する音声聞き取り能
力評価方法を構成した。
【0008】また、音声聞き取り能力測定用の音源信号
を使用し、評価対象者について音源信号の最小可聴値を
測定し、最小可聴値から音声聞き取り能力を示す知覚さ
れる強度変調の度合を測定する音声聞き取り能力評価方
法を構成した。更に、音声聞き取り能力評価の基準とさ
れるべき者の強度変調の度合に対する平均検知限レベル
曲線を予め求めておき、評価対象者の検知限レベルと平
均検知限レベル曲線とを比較対照して相対強度振幅変調
伝達指数を求める音声聞き取り能力評価方法を構成し
た。
【0009】また、相対強度振幅変調伝達指数は音源信
号の周波数帯域の分割帯域信号と強度変調周波数の組み
合わせ条件に基づいて求めるものである音声聞き取り能
力評価方法を構成した。そして、下記の式により相対強
度振幅変調伝達指数に基づいて評価対象者の音声信号の
音響心理空間上における音像の品質を算出してこれを音
声聞き取り能力の評価に使用する音声聞き取り能力評価
方法を構成した。
【0010】 但し、A:音声信号の音響心理空間上における音像の品
質 Wij:音像の品質に影響する各分割帯域、変調周波数に
対する重み係数 mij:相対強度振幅変調伝達指数 H(mij):mijの関数 i、j:正の整数 また、音声聞き取り能力評価の基準とされるべき者の音
声信号の音響心理空間上における音像の品質に対応する
平均音節明瞭度を求めておき、評価対象者の音声信号の
音響心理空間上における音像の品質を求めてこれと平均
音節明瞭度とを比較対照して予測音節明瞭度を求める音
声聞き取り能力評価方法を構成した。
【0011】更に、音声聞き取り能力評価の基準とされ
るべき者の音声信号の音響心理空間上における音像の品
質に対応する平均単語/文章了解度を求めておき、評価
対象者の音声信号の音響心理空間上における音像の品質
を求めてこれと平均単語/文章了解度とを比較対照して
予測単語/文章了解度を求める音声聞き取り能力評価方
法を構成した。
【0012】
【実施例】この発明は、評価対象者の音声の聞き取り能
力は、音声信号が評価対象者の音響心理空間上に形づく
る音響的な写像である音像の鮮明さに依存するという考
え方に基づいて評価対象者の音声の聞き取り能力を評価
するものである。音声信号の音響心理空間上に形づくる
写像である音像の性質を知り或は評価するには、音声を
構成する音響的信号要素の音響心理空間上への伝達関数
である強度振幅変調伝達関数を測定することが有効であ
り、音像の総合的な鮮明さは音声を構成する各音響的信
号要素の伝達関数から算出することができる。この考え
方は、基本的には、伝達装置であるレンズ装置の品質評
価を行う方法として採用されているOTF(Optical Tra
nsfer Function) の手法と類似している(「印写工
学」、井上英一 編、共立出版 発行、参照)。このO
TFは対象物から結像に到る伝達装置の伝達関数であ
り、このOTFを測定することにより伝達装置の評価を
することができる。但し、この写像工学におけるOTF
は直接的に物理測定することができるが、この発明にお
いて測定しようとする音響心理空間上への伝達関数は直
接的に物理測定することはできない。ここで、この発明
は、心理実験により基準となる値、例えば多数の健聴者
について実施した測定値の平均値と評価対象者の測定値
との間の相対的な関係から写像工学におけるOTFに対
応する伝達関数を求めることにした。
【0013】以下、この発明の実施例を具体的に説明す
る。写像の対象音源となる音声を音響信号として統計的
な立場から見た場合、その特徴は、周波数成分はおよそ
0〜8kHzの範囲内にあり、その強度振幅変調成分は
会話音声の強度の時間的変化に対応するおよそ0〜30
Hzの範囲にある。この様な特徴を有する音声の写像の
全体的な品質を評価するには、周波数帯域が0〜8kH
zであり、強度振幅変調周波数が0〜30Hzの範囲の
音響信号成分の音響心理空間上への伝達関数を測定する
必要がある。これを以下の様にして測定する。
【0014】0〜8kHzの周波数帯域を有する音源、
例えば雑音信号Sを使用して音響心理空間上への強度振
幅変調伝達関数を測定する。実際には、この雑音音源信
号Sを多数の帯域に分割してs1 、s2 、s3 、・・
・、sn とし、各分割帯域信号毎の強度振幅変調伝達関
数を求め、これらの値から周波数全体の伝達関数を算出
する。分割幅は、基本的には人の聴覚研究から知られて
いる臨界帯域幅、1/3オクターブバンドを使用する
が、評価精度と測定の簡易性の兼ね合いから分割区分を
決定することができる。変調周波数Fは上述した会話音
声の強度振幅変調成分である0〜30Hzの範囲から幾
つかの周波数f1 、f2 、f3 、・・・flを選択す
る。測定は各分割帯域と選択された変調周波数の組み合
せ条件とに基づいて行う。各条件についての強度振幅変
調伝達関数の測定法を説明する。
【0015】先ず、強度振幅変調伝達関数について説明
する。式(1)は、信号強度Iinの時間平均値がI^in
であり、変調周波数Fであって100%の正弦波強度変
調した入力信号である。 I^in[1+cos 2πFt] (1) これに対して、その出力信号Iout が、 I^out[1+m(F)cos 2πF(t−θ)]、 (2) 但し、θは位相のずれ、I^outは出力信号Iout の時
間平均値で表わされるとき、m(F)で表わされた関数
を入力から出力までの伝達装置の強度振幅変調伝達関数
と呼び、変調周波数Fにおける値を、その変調周波数F
の変調指数と呼ぶ。この変調指数は、100%強度変調
された入力信号が出力側に伝達される変調度の度合を示
している。これは図1における[出力信号の谷の深さ
(S)]を[出力信号強度の時間平均値(I^out =S
+N)]により除算した S/S+N に対応する。出力側におけるこの変調指数の大小により
入力側から出力側に到る伝達装置の品質が左右される
(上述の文献「写像工学」、参照)。この文献「写像工
学」において対象とする伝達装置であるレンズ装置の場
合、伝達関数m(F)は物理的測定により得ることがで
きる。この発明において問題としている音響心理空間上
への伝達関数であるこの変調指数は以下の様に測定す
る。
【0016】結局、音声聞き取り能力の評価対象者が1
00%強度変調した音響信号を受聴したときに知覚され
る変調の度合を測定することになるが、この知覚された
変調度合である変調指数を直接に測定して数値化するこ
とは困難であり、測定したとしても測定誤差は大きくな
る。このために、図2に示される様な信号を使用したマ
スキング実験を行い、間接的に評価対象者が知覚してい
る変調度合である変調指数を測定する。100%強度変
調した音響信号であるマスカーに対して、強度変調した
音響信号の谷の部分がちょうど含まれる様にマスキー信
号を加算し、このマスキー信号の検知限を測定する。こ
のマスキー信号の検知限レベルの高低により評価対象者
が知覚している変調度合を測定する。
【0017】このマスキー信号の検知限レベルから変調
度合(変調指数)への変換を図3を参照して説明する。
予め、多数の健聴者に対して既知の様々の変調度合で強
度変調した音響信号を使用した上述したマスキング実験
を実施し、図3に示される様な健聴者の強度変調度合に
対する平均検知限レベル曲線を求めておく。評価対象者
の100%強度変調したマスカーに対するマスキー信号
の検知限レベルからの変調度合(変調指数)への変換
は、健聴者のこの平均検知限レベル曲線を比較対照し
て、評価対象者の100%強度変調したマスカーに対す
るマスキー信号の検知限レベルに対応する変調度合(指
数)を求めることにより行う。以上の方法において求め
られた変調度合(変調指数)は、健聴者を基準とする相
対的な値であり、評価対象者の音響心理空間上への強度
振幅変調伝達指数である。
【0018】この測定法により、上述の各分割帯域信号
i と各変調周波数fj の組み合わせ条件に対する相対
強度振幅変調伝達指数mijを求めることができる。評価
対象者の音声信号の音響心理空間上での写像(音像)の
鮮明さ(品質)(=A)は、これらの相対強度振幅変調
伝達指数mijを使用して式(3)により算出することが
できる。
【0019】 但し、Wijは写像の鮮明さ(品質)に影響する各分割帯
域、変調周波数要素に対する重み係数を表わし、H(m
ij)はmijの関数を表わしている。
【0020】このAの値は音声信号の評価対象者の音響
心理空間上における写像(音像)の鮮明さ(品質)を数
値化(定量化)したものであり、評価対象者の聞き取り
能力を表わしていると考えられる。以上の通りにして、
結局、評価対象者の聞き取り能力の評価をすることがで
きる。なお、ここにおいては、主として聴覚伝導路上に
何らかの障害を有する難聴者を評価対象者としており、
知識言語処理能力の評価をすることは含まれていない。
中枢神経系例えば知識言語処理過程に障害を有する者の
音声の聞き取り能力の評価については、ここにおいて求
められた値Aの他に更にに知識言語処理過程における知
識処理能力の評価を必要とする。
【0021】上述した音声聞き取り能力評価方法におい
ては、各分割帯域信号、強度振幅変調周波数条件下の相
対強度振幅変調伝達指数を求めるマスキング実験におい
て、マスカーとしてマスキー信号と同一の分割帯域信号
を使用する方法が説明されているが、音声の聞き取り能
力評価に評価対象者の周波数分解能力をより的確に反映
させるには、マスカーとして分割帯域信号の代りに、よ
り広帯域の信号例えば分割前の信号Sを使用すると好適
である。この場合、健聴者の平均検知限レベル曲線を求
めるマスキング実験においても、マスカーとしてこの広
帯域の信号を使用する。
【0022】次に、式(3)から算出された評価値Aに
基づいて、評価対象者が音節明瞭試験、単語/文章了解
度試験その他の能力評価試験を行った場合に予想される
試験成績を算出する方法、即ち、音声を使用した日常の
コミュニケーションにおいて評価対象者が理解すること
ができる実際の程度を知る方法について説明する。評価
値Aの評価対象者の試験成績の予測は、以下に述べる様
に健聴者の試験成績に対応させて行う。評価値Aは分割
帯域信号si と変調周波数fj の多数の組み合わせ条件
下における評価対象者の相対強度振幅変調伝達指数mij
から算出されている。この相対強度振幅変調伝達指数m
ijは、既知の様々の変調度合により強度変調した音響信
号条件下における多数の健聴者の、強度変調度合に対す
る平均検知限レベル曲線に基づいて求められたものであ
る。評価値Aの評価対象者の試験成績は評価値Aに相当
する条件下である分割帯域信号si(i=1,...,
n)と変調周波数fj (j=1,..,l)の条件下に
おいて強度振幅変調伝達指数がmijに等しくなる条件、
即ち、音声信号が評価対象者と健聴者の音響心理空間上
に形づくる音響的な写像(音像)の鮮明さが同じになる
と考えられる条件における健聴の試験成績に対応すると
考えられる。既知の様々のAの値に対応する条件下にお
いて、多数の健聴者に対して音節明瞭度試験、或は単語
/文章了解度試験を実施し、Aの様々な値に対する健聴
者の平均音節明瞭度、平均単語/文章了解度を求めてお
き、このAの値対平均音節明瞭度、或はAの値対平均単
語/文章了解度の関係を利用する。評価対象者のAの値
に対応する平均音節明瞭度、或は平均単語/文章了解度
が評価対象者の予測音節明瞭度、或は予測単語/文章了
解度となる。以上の方法により、評価対象者のAの評価
値から予測音節明瞭度或は予測単語/文章了解度を求め
ることができる。同様の方法により、Aの評価値から評
価対象者の他の音声の聞き取りに関係する試験の予測を
することができる。
【0023】この発明により評価対象者の聞き取り能力
を評価するに際して、以下の条件を付してAの値を算出
した。 (i) 音響信号として擬似音声雑音を用いた。 (ii) 図6に示す分割帯域信号si と変調周波数fj
の9つの組み合わせ条件における相対強度振幅変調伝達
指数mijを用いた。
【0024】(iii) mijの測定におけるマスカーとし
て全帯域の擬似音声雑音を用いた。 (iv) 式(3)の重み係数Wijはすべての組み合わせ
条件において1/9とした。 (v) 式(3)のH(mij)は、以下に示す関数を用
いた。 (vi) 単音節明瞭度試験は拗音を除く67単音節を用
いた。
【0025】
【数1】
【0026】(iv)、(v)の条件から評価値Aは、健
聴者の聞き取り能力を1とし、最低値を0とする0〜1
までの規格化された指数として表わされる。図3は健聴
者4名の測定から得られた平均検知限レベル曲線の1例
を示す。 測定条件: 分割帯域信号;中心周波数2kHzの1/1オクターブ
バンドフィルターでフィルターされた擬似音声雑音 変調周波数;5.6Hz 検知限レベルの基準;中心周波数2kHzの1/1オク
ターブバンドフィルターでフィルターされた擬似音声雑
音の強度を0dB 図7は、感音性難聴者1名の上述の9つの組み合わせ条
件における100%強度変調時のマスキー信号の検知限
レベルと健聴者の平均検知限レベル曲線から求めた相対
強度振幅変調伝達指数mijを示す。この相対強度振幅変
調伝達指数mijから算出されるAの値は0.775と計
算される。この値はこの感音性難聴者の音声の聞き取り
能力を示す指数である。
【0027】次に、図4を参照してこの感音性難聴者の
単音節明瞭度試験の成績の予測を行う。健聴者につい
て、様々なAの値に対応した条件下の単音節明瞭度試験
を実施し、Aの値対平均音節明瞭度の関係を求めた。図
4は拗音を除く67単音節を試験音とした単音節明瞭度
試験の様々なAの値に対する健聴者4名の平均音節明瞭
度を示す。Aの値の調節は音声に擬似音声雑音を加算す
ることにより行った。加算前の67単音節と擬似音声雑
音の各々の時間平均音圧レベルの比、S/N(dB)を
変えることによりmij、即ちAの値を変化させる。mij
およびAとS/N(dB)の関係は以下の式で与えられ
る。ここで、図1においては、出力信号の山と谷の1/
2がS成分、出力信号の底から谷までがN成分であると
考えることができる。67単音節と擬似音声雑音は時間
平均的にみて同じ周波数特性を有するので、67単音節
と擬似音声雑音の時間平均音圧レベルの比S/N(d
B)はすべての分割帯域において同じS/N(dB)値
となる。
【0028】
【数2】
【0029】ここで、(iv)、(v)の条件と(3)式
から
【0030】
【数3】
【0031】となる。図4に示される健聴者4名のAの
値対平均音節明瞭度の曲線を使用して、この感音性難聴
者の音声の聞き取り能力を示す指数Aの値0.775か
ら予測音節明瞭度82%を推定することができる。な
お、この感音性難聴者の実際の単音節明瞭度試験の結果
は82.09%であり、両測定結果は近似している。
【0032】図5は、混合性難聴、感音性難聴、先天性
難聴の者を含む5名の難聴者の音節明瞭度試験の結果を
示す。なお、実線は健聴者4名の平均値を示す。難聴者
の音節明瞭度試験の結果には左右耳の試験結果、様々な
S/N条件下の試験結果が含まれている。図5(a)
は、横軸を受聴条件である単音節明瞭度試験における音
源のS/N(dB)とする単音節明瞭度試験結果を示す
図、図5(b)は、横軸を聞き取り能力指数(A)とす
る単音節明瞭度試験結果を示す図である。図5(b)か
ら明らかな如く、聞き取り能力指数Aと単音節明瞭度試
験結果の間に良好な対応関係があることが判る。
【0033】この発明の音声聞き取り能力評価方法の好
適な適用分野としては、難聴者の聞き取り能力の評価の
分野が先ず考えられる。この分野における補聴器のフィ
ッティングに際して、この評価方法を利用することによ
り、簡単にしかも最適なフィッティングを行うことがで
きる。
【0034】
【発明の効果】以上の通りであって、評価対象者の聞き
取り能力指数Aと単音節明瞭度試験結果の間には良好な
対応関係があるところから、この聞き取り能力指数Aに
基づいて評価対象者の音節明瞭度試験の結果を予測する
ことができ、同様に、単語或は文章の了解度についても
聞き取り能力指数Aに基づいてこれを予測することがで
きる。また、他の音声の聞き取りに関係する試験の予測
をもすることができる。
【0035】更に、この発明の音声聞き取り能力評価方
法は、音声の代りに帯域ノイズその他の音響信号を使用
して聞き取り能力の評価に要する時間を短縮すると共
に、評価対象者の相違に対応して試験音声を変更する必
要をなくし、更に、評価対象者の最小可聴値およびマス
キング特性についての詳細な聴覚特性を不要とした簡易
正確に音声聞き取り能力を予測評価することができるも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】強度振幅変調伝達関数を説明する図である。
【図2】評価対象者が知覚している強度変調度合を測定
するマスキング実験を説明する図である。
【図3】健聴者の強度変調度合に対する平均検知限レベ
ル曲線を示す図である。
【図4】健聴者の平均単音節明瞭度曲線を示す図であ
る。
【図5】単音節明瞭度試験結果を示す図であり、(a)
は横軸を単音節明瞭度試験における音源のS/N(d
B)とする単音節明瞭度試験結果を示す図、(b)は横
軸を聞き取り能力指数(A)とする単音節明瞭度試験結
果を示す図である。
【図6】分割帯域信号と変調周波数の組み合わせ条件を
示す図である。
【図7】感音性難聴者の相対強度振幅変調伝達指数mij
を示す図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力音響信号の強度振幅変調伝達関数を
    求めてこれを音声聞き取り能力の評価に使用することを
    特徴とする音声聞き取り能力評価方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載される音声聞き取り能力
    評価方法において、100%強度変調した入力音響信号
    を受聴したときに知覚される強度変調の度合を測定する
    ことを特徴とする音声聞き取り能力評価方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載される音声聞き取り能力
    評価方法において、音声聞き取り能力測定用の音源信号
    を使用し、評価対象者について音源信号の最小可聴値を
    測定し、最小可聴値から音声聞き取り能力を示す知覚さ
    れる強度変調の度合を測定することを特徴とする音声聞
    き取り能力評価方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載される音声聞き取り能力
    評価方法において、音声聞き取り能力評価の基準とされ
    るべき者の強度変調の度合に対する平均検知限レベル曲
    線を予め求めておき、評価対象者の検知限レベルと平均
    検知限レベル曲線とを比較対照して相対強度振幅変調伝
    達指数を求めることを特徴とする音声聞き取り能力評価
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載される音声聞き取り能力
    評価方法において、相対強度振幅変調伝達指数は音源信
    号の周波数帯域の分割帯域信号と強度変調周波数の組み
    合わせ条件に基づいて求めるものであることを特徴とす
    る音声聞き取り能力評価方法。
  6. 【請求項6】 下記の式により相対強度振幅変調伝達指
    数に基づいて評価対象者の音声信号の音響心理空間上に
    おける音像の品質を算出してこれを音声聞き取り能力の
    評価に使用することを特徴とする音声聞き取り能力評価
    方法。 但し、A:音声信号の音響心理空間上における音像の品
    質 Wij:音像の品質に影響する各分割帯域、変調周波数に
    対する重み係数 mij:相対強度振幅変調伝達指数 H(mij):mijの関数 i、j:正の整数
  7. 【請求項7】 請求項6に記載される音声聞き取り能力
    評価方法において、音声聞き取り能力評価の基準とされ
    るべき者の音声信号の音響心理空間上における音像の品
    質に対応する平均音節明瞭度を求めておき、評価対象者
    の音声信号の音響心理空間上における音像の品質を求め
    てこれと平均音節明瞭度とを比較対照して予測音節明瞭
    度を求めることを特徴とする音声聞き取り能力評価方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載される音声聞き取り能力
    評価方法において、音声聞き取り能力評価の基準とされ
    るべき者の音声信号の音響心理空間上における音像の品
    質に対応する平均単語/文章了解度を求めておき、評価
    対象者の音声信号の音響心理空間上における音像の品質
    を求めてこれと平均単語/文章了解度とを比較対照して
    予測単語/文章了解度を求めることを特徴とする音声聞
    き取り能力評価方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110719461A (zh) * 2019-10-24 2020-01-21 深圳创维-Rgb电子有限公司 音视频设备测试方法、装置及计算机可读存储介质

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