JPH0819632B2 - 黒液のガス化 - Google Patents

黒液のガス化

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JPH0819632B2
JPH0819632B2 JP61222234A JP22223486A JPH0819632B2 JP H0819632 B2 JPH0819632 B2 JP H0819632B2 JP 61222234 A JP61222234 A JP 61222234A JP 22223486 A JP22223486 A JP 22223486A JP H0819632 B2 JPH0819632 B2 JP H0819632B2
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ロツクウエル インタ−ナシヨナル コ−ポレ−シヨン
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    • DTEXTILES; PAPER
    • D21PAPER-MAKING; PRODUCTION OF CELLULOSE
    • D21CPRODUCTION OF CELLULOSE BY REMOVING NON-CELLULOSE SUBSTANCES FROM CELLULOSE-CONTAINING MATERIALS; REGENERATION OF PULPING LIQUORS; APPARATUS THEREFOR
    • D21C11/00Regeneration of pulp liquors or effluent waste waters
    • D21C11/12Combustion of pulp liquors
    • D21C11/125Decomposition of the pulp liquors in reducing atmosphere or in the absence of oxidants, i.e. gasification or pyrolysis

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は黒液のガス化に関するものであり、特に可燃
ガスの製造を目的とした溶融塩による水溶性黒液の制御
可能なガス化のための装置及び製法に関するものであ
る。
硫酸ナトリウム法や亜硫酸ナトリウム法を用いてパル
プ及び紙を生産する際に、アルカリ水溶液による木材分
解の結果廃液または黒液として知られる副産物が生じ
る。以後これを黒液と称する。パルプ製造プロセス全体
の経済性を実現するためには、この副産物も廃物として
処分されてはならず、有用な製品に転換されなければな
らない。特に、硫化ナトリウムを再生することが望まれ
る。これは、該プロセスのパルプ分解ステツプのため
の、活性溶液を再構成するために用いることができるか
らである。また、黒液をエネルギー源として用いること
が望ましい。
最も広く行なわれている黒液処理法は、トムリンソン
回収炉(トムリンソン回収ボイラーとも称する)を利用
するものである。この方式では濃縮された黒液を特別設
計によるボイラーの炉の中で焼成させて蒸気を生成す
る。溶融塩生成品は一般に溶融物または融成物と称さ
れ、炭酸ナトリウム及び亜硫酸ナトリウムを含んでお
り、さらに不燃性の排煙も含んでいるが、これは適当な
浄化の後、大気中に放出される。該トムリンソン・ボイ
ラーを使用する方法は、ほぼ50年にわたつてパイプ・製
紙産業に役立つてきたにもかかわらず、この方法には依
然として重大な欠陥がある。大量の排煙は浄化が難しい
し、また環境問題ともなりうるものである。また、回収
されるエネルギーはすべて蒸気の形態となるが、蒸気は
有用性に限界がある。そして、もしボイラーの管が漏
れ、水が溶融物に接触することになれば、爆発が起りう
る。さらに、硫黄化合物の硫化物への還元が不完全であ
る。
トムリンソン炉の修正または改善を含む各種のプロセ
スが、黒液を有用な製品に転換するために利用され又は
提案されてきた。
米国特許第1,808,773号は、2個の燃焼ゾーンを有す
る黒液回収炉を用いるプロセスを開示している。第1の
高温燃焼ゾーンの中では、炉中に噴霧された黒液は、脱
水されて実質的に完全燃焼する。第2のゾーンは第1の
ゾーンと炉の底部との間に位置しており、黒液を追加す
るには硫酸ナトリウムと共に炉の中に噴霧して行ない、
この第2ゾーンでは、黒液の水分は、蒸発によつて除去
される。黒液の部分的燃焼は、結果として、炉底に黒液
からのアルカリ性残留物及び追加された硫酸ナトリウム
と混合した海綿状炭素の固体溶融層を形成する。該炉の
底部に維持される還元状態により硫酸塩が硫化物に還元
される結果となる。溶融塩は、海綿状炭素の層を介して
滴下し、底部ドレンを介して該炉を離脱する。この方法
は、トムリンソン回収ボイラー使用の代替法とはなる
が、2個の分離した燃焼ゾーンを要するので煩雑な装置
を必要とする。また、熱回収設備が存在しないため黒液
の発熱量の損失が結果として生じる。さらに、この方法
では硫酸ナトリウムから硫化ナトリウムへの転換と黒液
の燃焼とが生ずるものの、転換されない硫酸塩の比率は
8%から12%と、比較的高い。
米国特許第1,931,536号は、溶融炉内での噴霧黒液及
び粉末黒液の両者が燃焼させられるゾーンを制御するた
めのプロセスを示している。不活性ガスは、該噴霧黒液
または乾燥黒液粉末の進入位置で、またはその近くで、
該溶融炉に導入される。この不活性ガスは黒液の揮発性
成分の燃焼を遅らせ且つ噴霧された濃縮液または乾燥黒
液粉末が、該黒液の有機質及び炭素質の含有量の燃焼が
該溶融炉の中の比較的深い層の中で発生する前に、いく
らかの距離を該溶融炉の中に向かつて進入することを可
能にする。この方法は、従来のトムリンソン回収ボイラ
ーの改良をなすものであるが、基本的に同一の限界を有
している。つまり、黒液が完全燃焼して、大量の不純な
排煙が発生し、かつ、蒸気のみが生成されることであ
る。
米国特許第2,056,266号は、黒液からアルカリ金属価
を回収し、かつ、その際の熱含量を利用するために、ト
ムリンソン・ボイラーによく似た、溶融炉とボイラーの
組合せの使用が示されている。固体乾燥黒液が固体燃料
層ゾーンに供給され、そのゾーンでは還元雰囲気内で固
体乾燥黒液が燃焼させられ、結果として部分燃焼ガスが
燃料層から生じる。この部分燃焼ガスは、その後該層の
上の燃焼ゾーンへの空気の流れの導入によつて完全燃焼
させられる。その燃焼ゾーンは、蒸気を生成するための
ボイラー管を複数個含んでいる。燃焼ゾーンで生成され
た排煙は上昇することを許容され、かつ燃料層から上昇
するガスへの固形物のエントレインメントすなわち混入
を防止することと、両ゾーンの間に明確な分離線を引く
ことを目的として、不活性ガスが燃料層の上に吹き下ろ
される。溶融アルカリ価は、層の底部から流出させられ
る。この方法は、燃料層ゾーンへの導入に先立つて、黒
液から固体黒液への転換を必要とする。さらに、この方
法の実行に必要な装置は複雑であり、かつ、別に黒液乾
燥の手段を必要とする。
米国特許第2,182,428号は、オイル、タール、ピツ
チ、アスフアルトまたはワツクスのような熱伝達手段の
表面上にパルプ廃液を噴霧して蒸発させるという該廃液
の乾燥方法を開示している。該熱伝達手段は不活性であ
つて、何らの燃焼も還元反応も発生しないので、蒸発さ
せられる液から何ら有用な生成物を回収できず単に該廃
液を蒸発させるにすぎない。
米国特許第3,639,111号及び第3,718,446号は、クラフ
ト紙黒液のような有機物質の高温蒸留及び熱分解により
クリーン燃焼燃料を生成する方法を開示している。該熱
分解ゾーンでの所要のクラツキング温度を達成するため
に、制御された量の酸素含有ガス(完全燃焼に要する量
の約15%まで)が、該クラツキング動作中に導入され
る。その酸素含有ガス、熱分解中の黒液及び生成ガスは
該装置を介して同時に流れるものであり、しかも、該生
成ガスは流入する物質に熱を伝えずに反応温度を維持し
て離脱するものであるから、該方法は熱効率が悪い。さ
らに、間接的な熱交換と直接的な燃焼の両者を要するの
で、比較的大型かつ複雑な装備を必要とする結果とな
る。
米国特許第3,916,617号は、炭素質物質のガス化及び
部分的酸化によつてBtu即ちイギリス熱単位の低いガス
を生成するための、溶融塩の使用を示している。炭素質
物質は、空気が該炭素質物質の部分的燃焼のためにこの
溶融塩ゾーンに流入させられる時に、所望の還元雰囲気
を供給するために、該溶融塩ゾーン内に維持される。空
気と黒液が溶融塩反応ゾーンに導入される時には、該黒
液中の水分を蒸発させるのに必要な熱が完全燃焼によつ
て供給されなければならない。このために、高い空気/
黒液比率と低品質ガス(典型的には70Btu/scf即ち2.6×
106ジュール/m3以下)の生成とが必要となる。結果とし
て、この特許の方法は主に石炭その他比較的乾燥した炭
素質物質のガス化に有用なものとなつている。
米国特許第4,441,959号は、流動層反応室の利用によ
りパルプ廃液から熱量及び化学成分を回収する方法を示
している。濃縮されたパルプ廃液が、最低1種は他より
も微細は粒子となつている複数の不活性な固体粒子物質
を有する流動層の中で、空気と共に燃焼させられる。燃
焼に続いて、微細な粒子寸法を有する該粒子物質は、熱
を回収し、かつ、該燃焼により生成された期待生成物及
び固体生成物から該微細粒子を分離するために、外側の
流動層熱交換器の中で処理される。該固体生成物はその
後、溶融塩還元材の中で処理され、その結果、硫化ナト
リウム及びその他の塩を含む溶融物が生成される。該気
体生成物は、基本的には、不燃性の排煙を有し、その排
煙の熱含量は蒸気の生成に使用される。そこで結果的に
生ずる冷却された排煙は、適当な浄化の後に大気中に放
出されることが可能である。この方法によればパルプ廃
液から熱及び化学成分の一部は回収できるものの、該固
体燃焼生成物は該流動層の中では還元されない。それゆ
え、この方法の複雑さに加えて、別体の溶融塩還元剤が
必要とされることになる。
したがつて従来利用可能だつた方法は、どれも、黒液
のエネルギー及び化学的含量の実質的に全部を高価値の
製品として、便宜に、かつ、効率的に回収する能力があ
るものとは解されない。
該従来技術の一部とは考えられないが、本発明者及び
その同僚は以前に黒液のガス化のためのその他の方法を
複数提案している。
たとえば、乾燥させた黒液の固体を溶融塩プールの中
でガス化することが提案された。そのような方法では、
可燃性のオフガスが生成され、かつ、黒液の固体の硫黄
含量の硫化物への高水準の還元が実現される。しかし、
第一に、該溶融塩プールへの供給に要する黒液の固体を
形成するために黒液を乾燥することが必要である。この
ために、該方法の複雑さとコストが増すことになる。
1984年11月2日出願の米国特許出願第06/667,937号に
おいて、本発明者は、ガス化ゾーンの上方に乾燥ゾーン
を含む反応器を利用することによつて黒液のエネルギー
及び化学的含量を回収する方法を提案した。該反応器
は、該ガス化ゾーンの中に多孔質の固体炭素質物質の層
を含む。該ガス化ゾーンの中に酸素含有ガスが導入され
るのであるが、その量は、該ガス化ゾーン内の固体炭素
質物質の層の上部表面での温度を約870℃乃至1200℃の
範囲に維持するに十分な程度の部分的燃焼及びガス化反
応を生じさせ、かつ、該ガス化ゾーンから上昇する高温
の可燃ガスを形成させるための、副化学量論的量であ
る。アルカリ金属酸化硫黄化合物を含む濃縮された黒液
は、乾燥ゾーンに導入され、そこに含まれている水分
は、該ガス化ゾーンから上昇する高温ガスとの接触によ
つて、蒸発させられる。該乾燥ゾーン内には、温度を減
少させた生成ガスと、該ガス化ゾーン内の該層の表面上
に落下する乾燥した固体黒液とが、生成されている。乾
燥黒液の固体は、該ガス化ゾーンから上昇する高温の可
燃ガスと、溶融し、かつ、層を介して浸透するアルカリ
金属塩とに転換される。該生成ガスは該乾燥ゾーンの上
方部分から引き出される。硫黄含量の少なくとも約80%
がアルカリ金属硫化物の形態となつている融成物は、該
ガス化ゾーンの下方部分から回収される。この方法の、
ガス化及び硫黄還元反応の促進という有利な特徴にもか
かわらず、発生する反応は、空気と固体炭素との接触が
比較的乏しいために、効率が悪い。また、固体炭素質物
質の層が動作条件の僅かな変動によつて高さに変化が生
じうる点で、動作特性も不確実である。
1985年2月8月出願の米国特許第06/699,498号におい
て、本発明者は、溶融塩プールを使用した水性黒液のガ
ス化を示した。酸素含有ガスは溶融塩プールの表面下に
導入されるが、該プールは、包囲されたガス化層の内部
に含まれるアルカリ金属炭素及びアルカリ金属硫化物を
含むものであつて、ガスの導入速度は、該プールの中で
高い程度の乱流を発生させるのに十分なものとされる。
粗い噴霧の形態での黒液は、該プール上方に上昇する高
温のガスの中に導入される。それによつて、水性黒液か
ら水分が該高温ガスの中へ蒸発させられて、温度を減少
させた生成ガスと、該プール表面上に落下して中に分散
される乾燥黒液の固体とが生成される。該乾燥黒液固体
は該プールの中で、該プールの外へ上昇する高温の可燃
ガスと、該プール中に既に存在する塩に合体するアルカ
リ金属塩とに転換される。無水ベースで少なくとも約90
Btu即ち3.35×106ジュール/m3scfの高発熱量を有する生
成ガス1本の流れは、硫黄含量が少なくとも約90%はア
ルカリ金属硫化物の形態となつている溶融塩生成物と共
に、該ガス化槽から回収される。この方法は、可燃ガス
と、アルカリ金属硫化物が支配的となつている溶融塩生
成物とを生成するという所望の結果を生ずる点において
は有用であるが、該方法は一定の問題を生ずることもあ
る。溶融塩の乱流プールを使う場合には、封じ込め物質
の腐食及び破壊は一般に固有なものとなる。また、該プ
ールの外へ上昇するガスの中への溶融塩の混入が発生す
ることもある。このため、該プールを通過するガスの速
度を制限することが必要となる。さらに、黒液中の炭素
質物質の一部は、その粒子が該プールに到達する前にガ
ス化されることが認められている。その結果として、該
炭素質物質の一部分しか該プールに進入しない。もし、
黒液のガス化に要する空気の全量が該プールの表面下に
供給されると、該プール内はあまりにも強度な酸化状態
となり、硫黄化合物の効果的な還元は発生しなくなる場
合がある。
本発明は米国特許出願第06/699,498号に示された発明
及び米国特許出願第06/667,937号に開示された発明の改
良をなすものである。本発明は、前述の諸問題を緩和す
ると共に、上記2件の同時係属出願に説明されている基
本的な黒液ガス化方法の有利な特徴を維持している。
本発明は、以上の点に鑑み、なされたものであつて、
上述した如き欠点を解消し、与えられたガス化器寸法に
おいて、非常に高いガス化速度での動作を許容するとい
う一層著しい利点を与えることを目的とするものであ
る。
広義においては、本発明は、可燃ガスが生成され、か
つ、黒液の硫黄含量が実質的に完全に硫化物に転換され
るような黒液ガス化のための、改良された装置及び方法
からなる。包囲された、垂直に長尺状のガス化槽は、そ
の底部の水溜の中にアルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金
属硫化物からなる溶融塩の比較的浅いプールを維持する
ため、内部に設備を有している。濃縮された水性黒液が
該槽の頂部近くの内部へ噴霧される。酸素含有ガス、好
適には空気、を該ガス化槽の中へ2か所の相異なる位置
−一方は該溶融塩プールの表面下、他方はガス用スペー
スの下方部分の中へ向けて該融成物の表面の上方−で、
制御可能な供給を行なうための手段が設けられている。
該ガス化器の中への空気供給の分配は、該ガス化器の
中に3個のゾーンを独特に作り出せるように、制御され
ている。すなわち、(1)該槽の上方部分に位置する黒
液乾燥ゾーン、(2)該乾燥ゾーンの下方に位置する黒
液固体のガス化ゾーン、及び(3)該溶融塩プールを有
する溶融塩硫黄還元ゾーン、である。
酸素含有ガス(好適には空気)が、該溶融塩プールの
本体(硫黄還元ゾーン)の中へ直接に、また該プールの
表面上方からガス用スペース(ガス化ゾーン)の中へ、
各々制御可能で供給されることは、本発明の肝要な特徴
の一つである。空気供給の分配は、現実に融成物プール
に進入する炭素質物椎の完全な破壊を確保するために必
要な量だけが該溶融塩プールの中の硫黄還元ゾーンの中
に供給されるように、制御される。典型的には、これは
該ガス化槽の中に供給される空気の総量の約30乃至70%
となる。空気の残量は該プールの直上のガス化ゾーンの
中へ供給される。したがつて、該ガス化槽に供給される
空気の総量のうち、約30乃至70%が該ガス化ゾーンに供
給される。本発明の目的は、黒液をガス化して、硫黄価
を回収するのみならず可燃ガスを生成することであるか
ら、該ガス化槽に供給される空気の総量は、典型的に
は、黒液供給量の完全燃焼に要する量の約25乃至55%で
ある。典型的には、ガス化器への空気供給総量は、約12
0乃至450℃(250乃至840゜F)、好適には150乃至400℃
(300乃至750゜F)、の範囲内の温度まで予熱される。
該ガス化ゾーンの中で生成される、可燃成分が主に水
素と一酸化炭素である可燃ガスは、適当な浄化の後に、
黒液供給のエネルギー価値を最大限に利用するためにガ
ス・タービンの中で使用されることが可能である。該溶
融塩プールの中で生成されるアルカリ金属硫化物は、水
溶液として回収して、緑液として製紙工程に再循環させ
ることが可能である。
黒液は、典型的には製紙工程の一部としての木材−パ
ルプ製造操作から得られるものであつて、可燃性の有機
物質、アルカリ金属硫化物及びアルカリ金属の水酸化物
を、各種のアルカリ金属酸化硫黄化合物と共に、含んで
いる。典型的には、これらの酸化硫黄化合物は、硫酸
塩、チオ硫酸塩及びナトリウムの硫酸塩である。製紙工
程の経済性からは、実質的にすべての可燃性物質が除去
され、アルカリ金属及び硫黄価が黒液から回収され、さ
らに当初存在するアルカリ金属硫化物を酸化させずに該
工程に復帰させるために酸化硫黄化合物からアルカリ金
属硫化物に転換させることが要請される。
本発明を実施する際には、少なくとも重量で約45%の
固形分を含み、かつ、最低約3200Btu/1b即ち7.44×106
ジュール/kgの高発熱量(HHV)を有する、濃縮された水
性黒液が、典型的には粗目の噴霧として乾燥ゾーンに導
入される。該乾燥ゾーンは黒液の下降水滴と該ガス化ゾ
ーンから上昇するガスの流れとの間の直接接触による熱
交換を与える。水は、上昇するガスの流れからの対流に
よる熱の吸収のために、濃縮黒液から蒸発させられる。
熱は、該水滴に対し、高温の成分からの放射によつても
供給される。この乾燥ゾーンの中のガスの温度は、乾燥
ゾーンの頂部近くで約500℃乃至約800℃、底部近くでは
約800℃乃至約1000℃の範囲である。
乾燥した固体黒液は、水性黒液がガス化ゾーンから上
昇するガスと乾燥ゾーンの中で接触する結果として、乾
燥ゾーンの中で形成される。固体黒液のガス化ゾーンの
中では、乾燥ゾーンから落下する乾燥粒子の中の炭素質
物質のうちの相当の部分が、ガスに転換される。このガ
ス生成反応には、揮発性の炭化水素の放出を伴う熱分
解、炭素から二酸化炭素と水蒸気によつて一酸化炭素と
水素を生成するガス化、及び双方のガスと固相成分の、
このゾーンの中に注入される酸素含有ガス内に損する酸
素との反応による燃焼、を含む。部分的燃焼反応の結果
として熱が放出され、このゾーン内の温度が900乃至120
0℃の範囲で上昇する。固体粒子は該ガス化ゾーンを介
して落下する比較的短時間の間しか反応の対象とならな
いので、その一部がガス化されるにすぎない。典型的に
は、該ガス化槽に進入する黒液中に存在する有機炭素の
25乃至75%が該ガス化ゾーの中でガス化される。これと
同様の比率またはより高い比率の有機水素も、このゾー
ン内で気体成分に転換される。反応を経ていない炭素質
物質は、最初の黒液供給からの無機物質の大部分と共
に、このゾーンから硫黄還元ゾーン内へと落下する。該
硫黄還元ゾーンは、該ガス化槽の底部の浅い水溜の中に
含まれる溶融アルカリ金属塩のプールを有する。
本質的には、落下する粒子の中に存在する硫黄化合物
は全て、該溶融塩硫黄還元ゾーンの中で硫化物に還元さ
れるか、もしそれらの化合物がすでに硫化物の形態で存
在しているのであれば硫化物として維持される。空気
は、進入する炭素質物質の全部をガス化するのに必要と
される酸素を供給するに十分ではあるが、完全燃焼に要
する量よりは著しく少ない量で、このゾーンに供給され
る。典型的には必要な酸素の量は、炭素を二酸化炭素と
し、水素を水とし、硫黄化合物を硫酸塩の形態とする完
全燃焼に必要とされる量の25乃至55%の範囲にある。こ
の量の酸素のみを供給することにより、該融成物プール
内は高度に還元的な状態となり、生成融成物の中の硫黄
化合物のうち少なくとも約90%は硫化物の形態である。
本発明は、数種の著しい利点を有する。黒液供給の中
の炭素質物質の一部のみが溶融塩プールに進入し、か
つ、空気の一部のみがそれと反応させるために該プール
の中に供給されるので、該プールを比較的浅く−典型的
には、深さ1乃至4フイート(0.3〜1.2m)と−するこ
とが可能である。浅いプールの使用により、該ガス化器
のライナとして使用しなければならない高価な、融成物
耐性を有する耐火材の使用量が減少する。本発明の別の
利点は、ガス化器の能力の向上である。プール型のガス
化器の中では、ガスの速度は、該プールを離脱するガス
の表面速度が毎秒2乃至3フイート(0.6〜0.9m)を超
える場合には、過度の混入及び乱流という問題によつ
て、通常は限定される。そして、このことが今度は、あ
る与えられた直径のガス化器の能力を限定する。本発明
においては、該ガスの一部のみが該プールを貫通する。
したがつて、たとえば該ガスの半分が表面で毎秒2.5フ
イート(0.75m)の表面速度で該プールを貫通し、他の
半量は該ガス化ゾーンの中で形成される場合には、ガス
のその合計量が該乾燥ゾーンに毎秒約5フイート(1.5
m)の表面速度で進入するが、これは、ガスが中で継続
相となつている気体/固体反応器または気体/液体反応
器にとつてはきわめて満足のゆくものである。結果とし
て、ある与えられた直径のガス化器の能力は、米国特許
出願第06/699,498号に含まれる発明に本件の発明を一体
化することにより、非常に増大する。
2件の該同時係属特許出願の願書に示したごとく、該
反応ゾーンからの熱損失は最小とされなければならな
い。したがつて、高圧での動作が好適である。けだし、
これによつて、コストのみならず熱損失も低下させるた
めに必要とされるガス化槽の寸法が縮小されるからであ
る。
溶融塩ガス化槽及び本発明の方法を用いた典型的な装
置を、図面を参照して説明する。なお、図中同一の部品
には同一の参照番号を付してある。
第1図を参照して説明すると、そこに示されているの
は、本発明の好適実施例を示す、ガス・タービンと組合
せたサイクル・システムと共に用いられる溶融塩ガス化
槽である。いずれかの適当な供給源から来る廃材は、導
管2及び弁4を介して、固定ホツパ6に取り入れられ
る。そこから廃材は、弁8を通過して第2の固定ホツパ
10に取り入れられる。該固定ホツパは、加圧受液器に固
体物を供給するために用いられる従来の態様による加圧
ガスによつて作動される。固定ホツパ10から、廃材は導
管12及び供給器弁14を通過して、圧縮空気が貫通するバ
ルブ付導管に至る。廃材は、圧縮空気によつて運ばれ、
溶融塩ガス化槽20の底部の水溜に含まれる溶融塩プール
の表面下に、圧縮空気と共に注入される。空気はまた、
バルブ付導管21を介して融成物の表面上方にも噴射され
る。導管16を介して融成物の中に供給される空気の量
は、典型的には、ガス化槽に供給される空気の総量の30
乃至70%である。導管21を介して融成物の表面上方に供
給される空気の量は、総量の30乃至70%を引いた残量と
なる。
溶融塩ガス化槽20は、本発明にかかる方法の実施を独
特の形式で可能にするものであつて、第2図との関連で
より詳細に説明される。
再び第1図を参照して説明すると、そこには、製紙工
程から生ずる黒液が導管22及びノズル24を介して槽20の
頂部近辺から該槽の中に噴霧される。この噴霧された水
溶性黒液は典型的には約45乃至75%の固体濃度を有す
る。槽20からの気体生成物は、導管26を介して熱除去装
置28に流出するが、該装置には蒸気発生器が設けられる
ことがあり、その後、導管30を介して、吸収器32に至
る。吸収剤は、導管34を介して吸収器32に取り入れられ
る。該吸収剤は、アルカリ性の製紙ミル溶剤またはエタ
ノールアミン溶液のごとき従来の吸収剤でもよい。この
吸収剤は、該ガスから硫化水素(H2S)その他の望まし
くない成分を除去するために用いられる。使用される吸
収器装置は、該生成ガスが相当な量の(10乃至15%)二
酸化炭素(CO2)を含んでいるため、二酸化炭素の存在
下では硫化水素を選択的に吸収するように設計されるの
が好適である。使用済吸収剤は導管36を介して吸収器32
から流出する。一部精製された、吸収器32からのガス
は、さらに精製するために、導管38を介して、フユーム
・スクラツバー40へと導かれる。フユーム・スクラツバ
ー40には、水が導管42を介して導入され、導管44を介し
て流出する。洗浄されたガスは、導管46を介してガス・
タービン燃焼器48へと流出する。フユーム・スクラツバ
ー40は、可溶性塩の極微粒子を除去するための典型的な
装置として図示されている。布フイルターを該微粒子の
除去のために用いることもできる。空気は導管50、圧縮
機52及び導管53を介して燃焼機48に供給される。圧縮機
52からの空気は、導管54を介してブースター圧縮機56へ
も供給され、その後圧縮空気ライン58に至る。これは導
管16及び21に供給し、これから各々、可溶融塩プールの
中及びその上方に、空気が導かれる。熱した洗浄な燃焼
ガスは導管59を介して燃焼器48から流出し、ガス・ター
ビン60に供給される。このガス・タービンが発電機62及
び圧縮機52に動力を与える。ガス・タービン60からの膨
張ガスは、導管64を介して、廃熱ボイラー66へ導かれる
が、該ボイラーの中へは導管68を介して蒸気転換のため
の水が導入されている。廃熱ボイラー66の中で生成され
た蒸気は導管70を介して蒸気タービン72へと流出し、該
タービンが発電機74に動力を与える。プロセス蒸気は、
導管75を介して蒸気タービン72から供給される。廃熱ボ
イラー66からの排気ガスは、大気中に放出するために、
導管76を介して煙突77へ流出する。
槽20からの融成物オーバーフローは、導管78を介し
て、急冷タンク80に流入する。水が導管82を介して急冷
タンク80に導入される。融成物の急冷の結果として生ず
る水溶液は、導管84、ポンプ86及び導管88を介して急冷
タンク80から除去される。その除去された水溶液の一部
は、導管90を介して該急冷タンク80に再循環され、導管
78から流出する融成物の下降流を分断する役目を果す。
該水溶液の別の一部は、導管88から導管92を介して緑液
貯蔵タンク94へ供給される。導管96は該緑液を、貯蔵タ
ンク94から製紙工程中の適当な時点、たとえば硫酸塩
(クラフト)加工工場のかせい化段階、へ導く。
第2図は、本発明の溶融塩ガス化槽とそれに関連する
急冷タンク及びそれらの動作をより詳細に示している。
ガス化槽100は該槽の上方部分に位置する黒液乾燥ゾー
ン102、該乾燥ゾーンの下方に位置する固体黒液ガス化
ゾーン104、及び該槽の底部の水溜内に位置する溶融塩
プール108を有する硫黄還元ゾーン106、を含む。該槽10
0は、その内部の温度と環境に耐える能力を有する絶縁
耐火材112で裏張りされた金属製外壁閉じ込めシエル110
からなるものとして図示されている。絶縁耐火材112
は、実際的な程度まで槽100内部からの熱損失を最小と
するために充分なだけの厚さを与えられる。溶融塩プー
ル108は、さらに、ガス化ゾーン104の少なくとも一部を
越えて上方へ延在する溶融物に対する耐性のある耐火材
ライナ113の内部に収納されている。
処理すべき黒液114は(不図示の供給源から)導管116
を介してポンプ118に導入される。該黒液は、ポンプ118
から乾燥ゾーン102の上方部分へ複数個の噴霧ノズル122
を介して濃縮水性黒液を粗い噴霧として射出する。噴霧
装置120を介して槽100の中へ導かれる。
槽100のためのガス供給装置は、酸素含有ガス(典型
的には空気)のための吸気用導管124を含み、該導管
が、モーター128によつて駆動される圧縮機126の中に通
じるものとされている。好適には、該酸素含有ガスを圧
縮し、該ガスの温度はそれによつて上昇する。代替的に
は、所望の水準まで酸素含有ガスの温度を上昇させるた
めにガス・タービンを使うことも可能である。加圧され
た酸素含有ガスは、導管130を介して圧縮機126から流出
し、1乃至2以上の定量弁を含むエア・フロー分配制御
装置132に至る。これらが圧縮空気の、導管134を介する
還元ゾーン106(溶融塩プール108)への直接の流れと、
導管136を介する溶融塩プール上方のガス化ゾーンへの
流れとを選択的に制御する役割を果す。導管134及び136
は一般的に、還元ゾーン106及びガス化ゾーン104への圧
縮空気の各々の供給のためのガス注入用ポートの周方向
配列を構成する。
本発明の主要な特徴にもとづき、空気供給の分配は非
常に制御されるので、現実に融成物プールに進入する炭
素質物質の分解を確保するのに必要な量の空気だけしか
溶融塩還元ゾーン106の中に供給されない。その量は、
典型的には、槽100に供給される空気の総量の30乃至70
%である。該槽に供給される空気の残部は、該プールの
直上のガス化ゾーン104の中へ供給される。可燃ガスが
生成されるので、該槽に供給される空気総量は典型的に
は、原料の総供給量の完全燃焼に要する量の25乃至55%
である。第1図に示したごとく、廃材のようなその他の
原料を、圧縮空気によつて溶融塩プールの中へ直接に供
給することも可能である。
融成物のオーバーフロー・アウトレツト138は閉鎖型
の急冷タンク140に通じている。通常の動作中は、溶融
塩生成物の融成物141は、融成物用アウトレツト138を介
してプール108から急冷タンク140の中に排出される。水
または再循環される緑液のごとき好適な塩溶液が、導管
142を介して該急冷タンク140に導入される。この水は、
黒液から化学的塩類の減少した緑液のプール144を形成
するために該急冷タンクに進入してくる融成物を粉砕
し、急冷する役割を果す。該緑液は、導管146を介し
て、典型的にはパルプ製造工程へ戻すために、回収され
る。緑液生成物の一部は、融成物141の粉砕を補助する
ために導管142に再循環させることも可能である。融成
物141の急冷の間に、主に水蒸気を有する熱ガスが生成
され、その水蒸気は導管148を介して急冷タンク140から
回収される。ガス化槽100内で生成されるガスの小部分
は、排出される融成物と共に融成物アウトレツト138を
貫流させることも可能であり、また、このガスは導管14
8を介して急冷タンク140からの回収もなされる。導管14
8を介して急冷タンク140から回収されるガスの流れの総
量は、好適には、導管148の中のガスを、第1図の導管3
0のような生成ガス冷却・浄化装置の中の適当な段階へ
向かわせるか、またはガスの最終的冷却段階前にガスの
該流れの中に向かわせることによつて、生成ガスの主要
な流れに加えられる。
再び槽100に戻ると、熱生成ガスは、該乾燥ゾーン上
方の該槽上端部に位置するガス・アウトレツト導管150
を介して、該槽から除去される。第1図に述べたよう
に、槽100を流出する該生成ガスは熱回収装置を貫通
し、その後該ガスからH2Sその他の望ましくない成分を
除去するために吸収器を貫通するようにすることも可能
である。第1図における熱除去装置28には、蒸気発生
器、給水加熱器またはその他の熱交換手段を含ませるこ
とも可能である。典型的には、熱除去の最終段階は冷却
水を用いた熱交換によつて達成され、結果として水蒸気
が凝縮して液体の水が形成される。この凝縮された水
は、好適には、導管142を介して急冷タンク140に戻され
る。
米国特許出願第06/667,937号の同時係属出願に示した
ように、該ガス化槽100に、動作開始前に槽100を予熱す
べく熱ガスの流れを与えるため、またオプシヨンとして
動作中の追加的熱源を与えるために、バーナ組立体を設
けることが好適な場合もある。また、第1図に示すよう
に、ガス・タービンまたはその他の目的用の燃料として
好適なものとなしうるように、該生成ガスから硫化水素
その他のごとき有害な酸性ガスを除去するための、吸収
剤と該生成ガスとの接触部を与えるために、酸性ガス吸
収装置32を設けることも可能である。
加熱器、蒸気発生器、コンデンサ及び吸収器の操作
は、現在の技術水準に属するものであるから、この黒液
ガス化装置と共に用いられるこれらの関連部品について
は詳細な説明は要しない。
処理動作の間、ガス化ゾーン104の中では比較的一定
の温度、たとえば溶融塩プール108の上方表面の隣接ゾ
ーンの部分で1000℃、を維持することが望ましい。これ
は、空気と黒液との比率を増減し、それによつて所望の
数値を維持するのに必要とされる程度を温度を上下させ
るように調節することにより達成されうる。もし、黒液
の組成、空気予熱及び熱損失といつたような他のパラメ
ーターが変化しなければ、この態様の動作は、比較的一
定の組成及び発熱量を有する生成ガスを、結果的に生成
する。その生成ガス発熱量は、所望により、石油または
石油コークスのような高発熱量の燃料のガス化ゾーンへ
の導入、供給される空気の温度の上昇、または、たとえ
ば断熱剤を加えることによる熱損失の減少、によつて増
大させることが可能である。天然ガスまたは揮発性の炭
化水素のような気体燃料は、もちろん、該生成ガスの発
熱量を増加させるために直接該生成ガスに加えることが
可能である。
槽100から急冷タンク140へ流出する溶融塩生成融成物
141は水に溶解して緑液を形成する。急冷タンクは、溶
融塩に対して圧力制御弁が動作する必要を避けるため
に、該ガス化器と同一の圧力で動作させることが好適で
ある。該緑液は、溶解した硫化ナトリウムを含んでお
り、パルプ製造工程に再循環させることも、その他の目
的に用いることも可能である。
ガス化ゾーン104から上昇するガスは一酸化炭素(C
O)、水素(H2)、水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、メ
タン(CH4)、並びに、もし空気が用いられる場合には
窒素(N2)に加えて各種の微量成分及び不純物を含んで
おり、約870゜乃至1200℃(1600゜乃至2200゜F)の範囲
の温度となる。不純物のうち特に重要なものが2つあ
り、それは黒液供給の中の硫黄から誘導されるH2Sと、
炭酸ナトリウムや硫化ナトリウムのごとく蒸発及び反応
現象によつて生成されるナトリウム塩の微粒子とであ
る。そして該ガスは、乾燥ゾーン102を貫通するにつれ
て、乾燥ゾーン進入時のガスの温度、黒液中の水分及び
関連要素により約350゜乃至850℃までの範囲の温度に冷
却される。好適には該ガスは、ナトリウム塩の分子が固
体である温度−典型的な塩組成では約790℃以下−まで
冷却される。
上に指摘したように、酸素含有ガスは、黒液中の炭素
質物質の部分的酸化、必要な高温の発生、及び所望の生
成物の生成のために、槽100のガス化ゾーン104及び還元
ゾーン106に、制御可能な状態で導入される。この酸素
含有ガスは、空気であることが適切であり、かつ、好適
である。そして、もし必要であれば、酸素濃縮空気また
は純粋酸素の使用も可能である。本発明の方法において
純粋酸素の利用は可能であるが、空気または酸素濃縮空
気よりは望ましくない。なぜなら酸素はコストが高く、
かつ、黒液ガス化装置の近くに酸素工場を置く必要が生
じるからである。一般に、ガス化ゾーンを離脱するガス
の上向速度は、毎秒約20フイート(9m)を超えてはなら
ず、毎秒2乃至15フイート(0.6〜4.5m)の範囲内であ
ることが好適である。
ガス化槽100の内部の圧力は、約1乃至50気圧の範囲
内とすべきであり、特に超大気圧が望ましい。約3乃至
30気圧を用いることが好適である。超大気圧の使用は、
多くの理由から望ましいものである。プロセスの安全性
が超大気圧の使用によつて向上する。なぜなら、融成物
を急冷する過程で融成物と水を混合する際に生じうる爆
発が、圧力を増すことによつて抑制されるからである。
生成ガスの体積とそこから必然的に該プロセスを行なう
に必要となる装置の寸法とは、超大気圧が使用される際
には20:1もの率で減少する。これによつて、コストも熱
損失も減少する。さらに、塩の蒸発が減少するので、該
プロセス中に生成されるガスについて大規模な浄化の必
要がなくなる。吸収プロセスまたは吸着プロセスの使用
による、生成ガスからの硫化水素のごとき気相の不純物
の除去は、圧力の増加によつて容易になる。加圧状態で
該プロセスを動作させることのもう一つの利点は、融成
物の熱エネルギーが部分的に回収されることによる熱効
率の向上であつて、これは圧力の上昇につれて急冷タン
ク溶液の沸点が上昇することによつて可能となる。他の
利点としては、生成ガスが、ガス・タービンのインレツ
トのごときその後の動作での使用のために必要な程度の
圧力で得られるということである。
溶融塩プール108の上方表面に隣接するガス化ゾーン1
04の中の温度は、約870乃至1200℃(1600乃至2200゜F)
の範囲に維持されるが、約900乃至1070℃(1650乃至195
0゜F)に維持するのが公的である。留意すべきは、該ガ
ス化ゾーンが完全に均一な温度で動作するものではな
い、という点である。このゾーン内の最高温度となるの
は、通常、注入された酸素が炭素と反応する溶融塩プー
ルの表面近くである。ガス化ゾーンの頂部近くの温度
は、該ガスが乾燥ゾーンに近づくにつれて低下する。
ガス化ゾーンから上昇する高温のガスは、乾燥ゾーン
を貫通する間に約350゜乃至850℃の温度に冷却される。
この冷却効果は、それによつて、上昇するガスの中に混
入しうる溶融塩の小滴を、該反応器から離脱する前に凝
固させるという点において、本発明の更なる利点となつ
ている。結果として生ずる固体粒子は、熱伝達表面及び
ガス生成プロセス装置内の他の装備品に対して、付着し
たり腐食させたりすることはない。溶融塩プールの還元
ゾーン内の温度は、該還元ゾーン内で生じる吸熱硫黄還
元反応のために、ガス化ゾーン内の温度よりも、多少低
くなることがある。しかし、該還元ゾーン内の温度は、
塩の凝固を発生させないことと、該還元反応の高速度の
進行を可能とすることを確保するために十分な程度の高
水準に維持されなければならない。約860乃至1100℃(1
580乃至2000゜F)の範囲が有用であり、また溶融塩プー
ルの還元ゾーンは約870乃至1050℃(1600乃至1920゜F)
の範囲が好適である。
該ガス化ゾーン及び還元ゾーンの内部では熱が保持さ
れることが、きわめて重要である。そうでないと、熱損
失のために、温度を維持するための空気対黒液の供給比
率を高めることが必要となる。その空気対黒液比率が増
加するにつれて、より完全な燃焼が、特にCO及びH2から
CO2及びH2Oへの高発熱反応が生じる。これによつて熱損
失は補償されるが、生成ガスの発熱量は減少する。乾燥
ゾーンからの熱損失は生成ガスの発熱量ではなく温度を
主に低下させるように作用するので、乾燥ゾーンからの
熱損失を最小とすべきことは、多少重要性が低い。3種
のゾーン全部からの熱損失は、絶縁材112の使用により
減少する。この目的のためには、便宜な絶縁材であれば
何でも使用しうる。たとえば、絶縁ブランケツト、キヤ
スタブル耐火物、耐火れんが、ガラス繊維及びタイルが
適切である。高温の溶融塩及び塩の蒸気と接触する材料
は、それらの作用物質に耐性のあるものでなければなら
ない。たとえば、高純度の融解鋳造品のアルミナ・ブロ
ツクは、溶融物に耐性のある耐火ライナとしての使用
に、きわめて効果的であると認められている。
熱損失のコントロールは、本発明の重要な特徴の一つ
であつて、反応器内のボイラー管の中で水から蒸気への
転換のために、黒液の燃焼中に生成される熱を利用する
トムリンソン・ボイラーまたはそれと均等の物を用いる
方法とは著しく対照的である。この態様によつて熱を除
去するよりも、より高い所要の発熱量を有する可燃ガス
生成物を生成するためには、熱が失われることを防止す
ることが肝要であると認められている。特に、少なくと
も約90Btu/scf即ち3.35×106ジュール/m3の生成ガスの
ための“高発熱量(HHV)”を有することが望まれる場
合には、ガス化ゾーン及び還元ゾーンからの熱損失の総
量が黒液の供給1ポンド当り約600Btu即ち633×103ジュ
ールを下回るように、また好適には500Btu/1bを即ち1.1
6×106ジュール/kg下回るように、該装置を設計する必
要がある。
冷却乾燥ゾーンへの上向放射によつてこれらのゾーン
からの熱損失を制限するためには、ガス化ゾーン頂部で
の該槽の断面積を制限することが望ましい。たとえば、
黒液供給が約0.009ft2/1b/hr即ち18.432cm2/kg/hr以下
の断面積では、典型的な動作条件で黒液約500Btu/1b即
ち1.16×106ジュール/kg以下まで放熱損失を制限する。
該槽の壁面及び床面を介しての伝導による多少の熱損失
も予想されうるので、黒液供給約0.008ft2/1b/hr即ち1
6.384cm2/kg/hr以下となる断面積が、通常は必要とされ
る。したがつて、黒液供給が100トン/日(8333 1b/h
r)を処理すべき商業用装置には、ガス化ゾーン頂部の
断面積を66.7ft2即ち61.96×103cm2以下とするか、また
は円形断面積の内径を約9ft即ち2.74m以下とすることを
要するであろう。さらに小さい断面積(たとえば、約0.
006ft2/1b/hr即ち12.288cm2/kg/hr以下)も好適であつ
て、ガス許容速度により、高められた圧力での動作をな
すことによつて便宜的にこれを達成することが可能であ
る。断面積を減少させることは、他の条件が変化しなけ
れば、結果として必然的に該ガス化器中のガス速度の増
加を生じる。したがつて、好適な範囲内での断面積によ
る動作中における適度の速度を避けるためには、該ガス
化器を高められた圧力で動作させることが望ましい。
上述のところにいう熱損失または熱除去は、上向放射
または壁面の中へのもしくは壁面を介しての伝導により
ガス化ゾーン及び還元ゾーンから離脱する熱であつて、
それゆえ適切な装置設計によつて制御可能な熱のみを指
称するものである。さらに、熱が水分蒸発に消費される
ことのないようにするために黒液はガス化ゾーンに進入
する前にほぼ完全に乾燥されていることと、下方の両ゾ
ーンに対する空気供給は、その空気の温度を上げるため
に要する熱を最小とするために予熱することが、重要で
ある。しかし、一定の熱損失は避けられず、生成ガスの
発熱量に転換されうる黒液発熱量の約75%に上限が設定
される。この不可避の熱損失は、生成ガス中及び生成融
成物中の顕熱と、該融成物中の硫化物の発熱量とを含
む。
本発明の方法によつて水溶性黒液の所要のガス化を達
成するためには、水溶性黒液は、高温ガスの上昇流と直
接に接触する黒液表面の面積が適切であつて、かつ、接
触時間が適切となるような態様によつて槽100の乾燥ゾ
ーン102に導入される。該黒液は、該ガス化ゾーンから
上昇するガスにより黒液が該乾燥ゾーンを離脱する前に
黒液から水分を蒸発して乾燥させるべき下降水滴を形成
するように、該槽の中に噴霧することも可能である。噴
霧による水滴は、該乾燥ゾーンの中で該槽の内壁に衝突
させることも可能であつて、この場合水滴は付着し乾燥
して炭素質物質及び塩類のデポジツトを形成するが、こ
のデポジツトはやがてガス化ゾーン及び還元ゾーンの中
へ壁面から落下する。しかし黒液は、噴霧による小滴ま
たはその結果生ずる乾燥した微細に分割された固体黒液
が、該ガス化槽を介して上昇する高温ガスの中に混入す
るほどに微細を噴霧として導入することは望ましくな
い。噴霧の粗さは、混入が最小で適切な乾燥が行なわれ
るように調整される。
固体黒液のガス化の結果として生成されるガスは、主
としてCO、H2及びCH4の存在により、最低約90Btu/scf即
ち3.35×106ジュール/m3という、無水ベースの高発熱量
を有する。該生成ガスが黒液乾燥ゾーンを介して上昇す
るにつれて、その水蒸気含有量が増加し、また、黒液か
らの水分の蒸発の結果としてその温度が低下する。さら
に、水蒸気の増加により、水性ガス転化反応が次のよう
に生じる。
CO+H2O=CO2+H2 この結果、ガスの組成に変化が生じ、乾燥ゾーンの頂
部から離脱するガスは、ガス化ゾーンから離脱するガス
よりもCOが少なく、H2が多くなる。しかし、その高発熱
量は、該反応によつて実質的に変化させられることはな
い。
乾燥ゾーンから離脱するガスは多数の方法によつて処
理することが可能である。好適には、その顕熱は蒸気発
生器またはその他の暖房サービスのための蒸気の生成用
に用いられる。多くの適用例において、該ガスを使用す
る前にガスから水蒸気、塩の微粒子及びH2Sを除去する
ことが望ましい。これらの過程は、水蒸気除去用に凝縮
器、H2S吸収用にアルカリ溶液を用いた吸収用接触器、
及び微粒子物質の除去用にフユーム・スクラツパーまた
は織物フイルター、といつたような従来の装備品によつ
て達成することも可能である。そのような過程により回
収された水分、塩及び硫黄は、パルプ製造所またはガス
化プロセスに再利用することが可能である。場合によつ
ては、ガス及び水蒸気の中の顕熱及び圧縮エネルギーを
ガス・タービンまたはその他のエネルギー転換装置内で
利用しうるようにするために、生成ガスがガス化器から
離脱する時にそれ以上の冷却をせずに該ガスを洗浄する
ことが望ましい場合もある。
指摘したごとく、排出された融成物141は槽100から導
管138を介して急冷タンク140に流入し、そこでガス化器
の圧力で水に溶解する。該融成物は、排出ノズルとの接
触中に約760℃(1400゜F)未満への冷却が許容される
と、凝固して流路をふさぐ。したがつて、ガス化ゾーン
からの高温ガスの一部を融成物排出ラインを介して流れ
させ、このライン内の高い温度を維持する助けとするこ
とが望ましい。このガスは、急冷タンク140に流入し、
そこから該ガス化器の下方の一点で該生成ガス装置に逃
がすことが可能である。融成物の流れのための、障害物
のない通路を維持するために、複数個の補助バーナ及び
機械式ブレーカ装置を含むその他の手段を使用すること
も可能である。
以下の例は、本発明の例示であつて本発明の範囲を限
定することを目的とするものではない。
例 濃縮された水溶性黒液の溶融塩ガス化に係わる基本的
な化学的方法は、以前に本発明者により一連のベンチ・
スケール・テストによつて明示されている。このテスト
は、壁面を介する熱損失を最小限にして動作することの
可能な電気炉と共に設置された、内径6インチ(15.2c
m)のベンチ・スケールのガス化器の中で行なわれた。
生成ガスの高発熱量(HHV、無水ベース)は、黒液の組
成その他の変数に依存して、約4.47×106乃至5.22×106
ジュール/m3の範囲であつた。該融成物から回収された
硫黄は一般的に、90%以上が硫化ナトリウムの形態であ
つた。基本的な化学作用に対する圧力の効果も、テスト
・プログラムによつて以前に明示されている。
溶融塩黒液ガス化方法の商業的見込を更に示すため
に、多目的溶融塩試験設備(MSTF)を修正して、パイロ
ツト・プラント・レベルで本件の方法を実際に示す能力
のある黒液ガス化槽とした。該修正により、水溶性黒液
乾燥ゾーン、固体黒液ガス化ゾーン、及び溶融塩硫黄還
元ゾーンからなる、3ゾーン型ガス化槽が与えられた。
使用されたMSTFは、内径約33インチ(83.8cm)内部の高
さ約167インチ(424.2cm)の槽からなる。低い方の96イ
ンチ(243.8cm)の部分は約6インチ(15.2cm)の厚さ
の溶融キヤスト・アルミナれんがで裏打ちされており、
この裏打ちは約0.5インチ(1.3cm)の高アルミナ質キヤ
スタブル耐火物によつて裏当てされている。これらの材
料は、高温の溶融塩による悪影響に対して非常に耐性が
あるが、耐熱ほど効果的なものではない。ガス化ゾーン
及び還元ゾーンからの熱損失を減少させるために、1/8
インチ(0.3cm)厚の鉱物繊維断熱紙の層が、該金属槽
の外側に取り付けられた。しかし、もつと効果的なこれ
より厚い層を使用すると、該金属槽の許容温度を超える
ことにならざるを得なかつた。
以前の黒液ガス化試験及び分析研究では、本発明者
は、100Btu/scf即ち3.73×106ジュール/m3を上回るHHV
を有し、かつ、90%の硫化物への還元を、上回る融成物
還元を有する可燃ガスを生成するための主要な必要条件
として、結合されたガス化ゾーン及び還元ゾーンから失
なわれる熱が、典型的な黒液組成については好適には約
500Btu/1b即ち1.16××106ジュール/kg以下とすべきこ
とが必要であると、明示した。該MSTF槽の本来の目的
は、原料投入量を最大とするために完全燃焼による化学
的廃棄物処理を試験することであつたので、該ユニツト
は、壁面を介しての非常に高率の熱損失(約600,000乃
至800,000Btu/h即ち633×106乃至844×106ジュール/h)
を許容するように設計されていた。それによつて、該MS
TF槽の当初の高い熱損失のために、パイロツト・プラン
ト・レベルでの黒液ガス化プログラムの主要な目的は、
比較的大規模な装置の動作可能性を証明することと、ベ
ンチ・スケール・テスト及び分析研究にもとづく性能の
予測可能性を立証すること、に限定された。
2個の主要な構造的修正が、本発明にもとづいて、該
MSTF槽に加えられた。該槽の床から76インチ(193cm)
上方に位置する融成物除去ポートは、セラミツク製の鋳
ぐるみで閉塞され、打抜きフランジでおおわれている。
新たに融成物オーバフロー噴出口が、試験運転のために
設計されて組立てられ、該槽の床14インチ(35.6cm)上
方に取り付けられた。この融成物除去ポートを下げるこ
とによつて、融成物のインベントリーが減少し、かつ、
比較的浅いプールが与えられた。
溶融塩プール内への空気注入用に用いられる従来から
の4個のノズルに加えて、注入される空気の一部分を該
融成物プールの上方に注入できるようにするために、新
たに6個のノズルが、該槽の床から20インチ(58.8cm)
高い位置に設けられた。これら新設のノズルは、該槽の
円周の周囲に均等の間隔で配置され、かつ、空気が溶融
塩プールの表面の方向に向けられるように45゜の角度で
下向かつ内向するものとされた。釣合いオリフイスが、
各々の空気ポートに対する空気の分配を均等にするため
に、各ノズルに使用された。黒液注入装置にも、黒液の
流れを増大させ、かつ、維持することを目的として、変
更が加えられた。
合計運転時間は、当初の黒液供給から装置の停止まで
の動作約46時間からなり、14回の試験を含む。黒液約1
9,000ポンド(8,550kg)がガス化されたが、黒液の流れ
は、全体の運転時間の間継続的だつたわけではない。
該ガス化器は、初めに空気の流れを全負荷状態、たと
えば980℃(1800゜F)で5fps(1.5m/s)の公称表面ガス
速度、の公称値にセツトして起動された。該ガス化槽へ
の空気分配の総量は、当初、該空気の約40%が頂部の6
個のノズル(該融成物の上方)へ、また該空気の60%は
底部の4個のノズルへ(該融成物の中へ)供給されるよ
うにセツトされた。しかし、この比率は試験10乃至14で
は逆転させられた。上方の6個のノズルは予熱された空
気を受け入れ、底部の4個のノズルは周囲温度の空気を
受け入れた。一時的に、天然ガス・バーナが該ユニツト
を予熱するために該槽の頭部に取り付けられた。該ガス
化器は、運転に先立つて930乃至980℃(1700乃至1800゜
F)に予熱された。第1表は、該試験に用いられた黒液
の分析を示している。
試験結果の分析から、該生成ガスは定常動作中に無水
で52.3Btu/scf即ち1.95×106ジュール/m3の最大HHVを有
し、また、該融成物中の硫黄還元につき67.4%という最
大値を有していたことが示された。前述したように、該
MSTF槽の構成上の理由で、運転中に該槽に断熱を追加す
るとか、黒液供給速度を上げる等により、もつと近い空
気/燃料比率での動作を許容するような変化を与えるこ
とによつて、これらの価値を著しく上げることは適当で
はなかつた。
試験10及び13(第2表参照)は本発明にかかる構成に
よる該MSTFの性能の典型的な例である。比較のために、
異なる構成により以前に行なわれた試験の結果が、試験
Aとして該表に含まれている。この以前の試験の間、空
気はすべて、深い溶融塩プールの表面下に供給されてい
た。
ほぼ同一の空気/黒液比率で行なわれた試験13と試験
Aとの比較からは、該溶融塩プールの深さを76インチ
(193cm)から14インチ(35.6cm)に減少しても生成ガ
スの発熱量には何ら不利な影響がなかつたことが示され
ている。硫黄還元効率は、試験Aよりも、試験10及び試
験13の両者において著しく高いことが理解される。これ
は、空気の37%だけが溶融塩プールを貫通し、その残り
はガス化ゾーンの中に注入されるという、試験10及び13
の分割的空気供給方法を理由とするものである。この供
給方法は、試験10及び13の間、融成物小滴の過度の混入
を生ずることなく、より多くの空気総量(及びそれに応
じて、より多くの黒液)の該ガス化器内への供給をも許
容する。結果として、該ユニツトは試験1の間、より低
い空気/黒液比率で動作しても、試験Aに使用された構
成で可能だつたよりも高い発熱量のガスを生成すること
が可能であつた。
試験10は、原料投入量、生成ガス発熱量及び硫黄還元
に関する最終的な構成による、MSTFの最大定常動作能力
を示している。該原料投入量は、許容ガス速度によつて
制限され、また、動作圧力を上げることにより、または
程度を少なくして、より低い空気/黒液供給比率で動作
することによつて、増加させることが可能である。生成
ガス発熱量及び硫黄還元効率も、より低い空気/黒液比
率で動作することによつて高めることが可能である。し
かし、この方式の動作は、供給量1ポンド(0.45kg)当
りの熱損失が減少させられない限り、該装置の温度低下
を招くことになる。この熱損失の減少は、熱損失の総量
の(たとえば、追加的断熱の使用による)減少、または
許容供給速度の(たとえば、圧力の増加による)増加
の、いずれかによつて達成することが可能である。
該MSTF槽内で得られる状態では、溶融塩プールの上方
に注入された空気の相当部分(30乃至70%)を用いての
動作は、結果として、該プールの表面下に注入された空
気の100%を用いての動作よりも硫黄還元において効率
的であり、しかも、より高いガス生成速度での動作を可
能にするものであることを、該試験結果は示している。
該結果はまた、非常に浅い(深さの公称値約14インチ
(35.6cm))融成物プールが、黒液ガス化について、深
いプール(76インチ(193cm))と同様に効果的である
ことも示している。
今回の試験は、ベンチ・スケール及びパイロツト・ス
ケールの両レベルでの以前の試験と比較すると、空気の
黒液に対する比率の低下は、生成ガスのHHVと融成物の
硫黄還元効率の両者の上昇という結果をもたらすことを
実証している。該データによれば、90%を超える硫黄還
元効率は、空気/黒液比率を該ガスのHHVが約60Btu/scf
即ち2.24×106ジュール/m3を超えるところまで減少させ
た時に、得られるということが示されている。このこと
から、パイロツト・スケールでの結果にもとづいて、商
業用プラントでも100Btu/scf即ち3.73×106ジュール/m3
を超えるHHVを有するガスと、硫黄含量が90%を上回つ
て硫化物の形態となつている融成物とを生成するであろ
うとの推定をなすことが可能となる。
クラフト・パルプの製造方法は約100年の歴史を有す
るものである。セルローズ原料の処理のための液体組成
のクツキングに使用される化学薬品が高価すぎて捨てて
しまうことができないので、クラフト製法の始まつた時
から、これら煮込用材料の回収のための多くの試みが、
木材から溶出した液状の有機物質を燃焼させることによ
る付随的な熱回収と共に、なされてきた。トムリンソン
・ボイラーは、その所望の回収を達成するために約50年
前に導入された。トムリンソン・ボイラーの前述のごと
き短所のために、多くの修正や置換が提案されてきた。
本件の方法は、予備乾燥、酸化、加水分解またはその他
の供給用原料の準備を要せずに、同一の濃縮黒液を供給
用原料として使用する点で、他の提案にかかる方法の不
利な点を回避するものである。また本件の方法は、トム
リンソン・ボイラーによつて生成される溶融物と基本的
に同一な溶融物を生成するものである。上記の有利な特
徴のゆえに、その単一部品としての槽の使用と相まつ
て、本件の方法がトムリンソン・ボイラーに取つて替わ
り、またはそれを補充するものとして、既存のポンプ・
ミル・システムに容易に一体化されること可能なのであ
る。
黒液回収の分野での長年の教訓を利用した各種の修正
は、該槽の構成に対しても、また本発明の精神から逸脱
することなく行なわれる本発明の方法の実施に対して
も、加えることが可能である。たとえば、該槽は、ガス
化ゾーン及び還元ゾーンからの放熱を減少させるため
に、乾燥ゾーンの直径をこれらのゾーンよりも小さく設
計することが可能である。また、他のガス化槽の形状
を、例示のごとき一定の直径を有する垂直長尺状の壁に
代えて使用することも可能である。さらに、黒液供給
は、スニピング・デイスク型噴霧器、蒸気噴霧器、また
は流れ分配装置を、図示のごときスプレー用ノズルに代
えることによつて、分配することも可能である。このよ
うに、本発明の原則、好適な構成及び好適な動作を説明
し、現在その最適な実施例を表わすと考えられているも
のを例示し説明を加えてきたが、付属の特許請求の範囲
において、特に例示し説明した以外にも実施しうるもの
であることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の方法の好適実施例を説明した流れ線
図、第2図は、本発明のガス化槽及び関連する急冷タン
クを一部横断面図とした立面図である。 (符号の説明) 100:ガス化槽、102:黒液乾燥ゾーン 104:黒液ガス化ゾーン、106:黒液硫黄還元ゾーン 108:溶融塩プール

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可燃ガス及び硫化物に富む融成物を形成す
    るために濃縮された水性黒液を処理するための方法にお
    いて、(a)1〜50気圧に維持され、かつ、底部に溶融
    塩プールを含むガス化槽であって、(I)その上方部分
    に黒液乾燥ゾーン、(II)該乾燥ゾーンの下方に位置す
    る黒液固体ガス化ゾーン、及び(III)前記溶融塩プー
    ルを有する溶融塩硫黄還元ゾーン、を有するガス化槽を
    与え、(b)炭素質物質及びアルカリ金属硫黄化合物を
    含む濃縮された水性黒液を前記乾燥ゾーンの中へ落下す
    る乾燥黒液の固体と水蒸気を含む冷却された可燃ガスと
    を生成するために、前記水性黒液を該ガス化ゾーンから
    上昇する高温のガスに接触させることによって前記乾燥
    ゾーンの中の前記水性黒液から水分を蒸発させ、(d)
    高温の可燃ガスを形成するために、前記ガス化ゾーンを
    介して落下する前記乾燥黒液固体の中の炭素質物質の一
    部を部分的に酸化し、かつ、ガス化すべく、該溶融塩プ
    ールの直上の該ガス化ゾーンの中のガス用スペースの中
    へ酸素含有ガスの第1の部分を導入し、(e)前記酸素
    含有ガスの第2の部分を、該ガス化ゾーンから該プール
    に進入する炭素質物質を基本的に全部ガス化するには十
    分であるが、該プール及び該プールから上昇する形成さ
    れたガスの中に酸化状態を創出するには十分ではない量
    で、前記溶融塩プールの中に導入し、酸素含有ガスの第
    1及び第2の部分の合計量は該黒液供給の完全燃焼に必
    要とされる酸素含有ガスの量の25乃至55%を構成してお
    り、(f)前記の冷却された可燃ガスを前記乾燥ゾーン
    の上方部分から回収し、(g)該溶融塩還元ゾーンか
    ら、硫黄含量が圧倒的にアルカリ金属硫化物の形態とな
    っている融成物を回収する、ことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項において、該酸素含
    有ガスの前記第1及び第2の部分の各々が、該槽に供給
    される酸素含有ガスの総量の30乃至70%を構成すること
    を特徴とする方法。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第2項において、該酸素含
    有ガスが空気を有することを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第1項において、前記ガス
    化槽が3乃至30気圧の範囲内の圧力に維持され、かつ、
    該槽に供給される濃縮された水溶性黒液が少なくとも45
    重量%の固体を有し少なくとも744.32×103ジュール/kg
    の高発熱量を有することを特徴とする方法。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第1項において、該ガス化
    ゾーンから離脱する高温ガスが870乃至1200℃の温度で
    あって、かつ、該乾燥ゾーンから離脱する冷却された可
    燃ガスが350乃至850℃の温度であることを特徴とする方
    法。
  6. 【請求項6】特許請求の範囲第1項において、該還元ゾ
    ーン内の温度が860乃至1100℃であることを特徴とする
    方法。
  7. 【請求項7】特許請求の範囲第1項において、前記ガス
    化ゾーン及び還元ゾーンからの熱損失の総量が、該ガス
    化槽に供給される黒液0.454キログラム当たり633×103
    ジュール以下であることを特徴とする方法。
  8. 【請求項8】可燃ガス及び硫化物に富む融成物を形成す
    るために濃縮された水溶性黒液を処理する装置であっ
    て、(I)ガス化槽の上方部分に黒液乾燥ゾーン、(I
    I)前記乾燥ゾーンの下方に黒液固体ガス化ゾーン及び
    (III)前記ガス化ゾーンの下方に溶融塩硫黄還元ゾー
    ンを有する包囲された垂直長尺状のガス化槽と、前記溶
    融塩硫黄還元ゾーンを有するアルカリ金属溶融塩のプー
    ルを収納するために前記槽の底部の中に設けられた水溜
    領域と、前記乾燥ゾーンに前記黒液を供給するために前
    記槽の上方部分に配置された入口手段と該溶融塩プール
    の高さを定め、かつ、前記水溜領域からの溶融塩のオー
    バーフローを除去するために該水溜領域の上方且つ該槽
    の下方部分に配置された出口手段と、該溶融塩プールの
    直上の該ガス化ゾーンのガス用スペースの中へ酸素含有
    ガスを供給するために該ガス化ゾーン内に設けられたガ
    ス用出口手段の第1の組と、該溶融塩プールの中に直接
    に酸素含有ガスを供給するために該槽の該水溜領域の中
    に配置されたガス用入口手段の第2の組と、該槽から可
    燃ガスを除去するために該槽の頂部に該乾燥ゾーンの上
    方部分に連絡して配置された出口手段と、を有すること
    を特徴とする装置。
  9. 【請求項9】特許請求の範囲第8項において、更に前記
    酸素含有ガス用の入口手段の第1及び第2の組への該酸
    素含有ガスの供給を制御可能に分配するための手段を含
    むことを特徴とする装置。
  10. 【請求項10】特許請求の範囲第9項において、少なく
    とも1台の空気圧縮機がガス用入口手段の第1及び第2
    の組への供給のために加圧された酸素含有ガスを与える
    ことを特徴とする装置。
  11. 【請求項11】特許請求の範囲第8項において、該水溜
    領域からの出口手段が、該槽の水溜領域からの融成物の
    オーバーフローを受けるために急冷タンクに接続されて
    いることを特徴とする装置。
  12. 【請求項12】特許請求の範囲第11項において、該急冷
    タンクがそれへの水源を供給するための入口用導管を含
    み更に該急冷タンクからガスを回収するためのガス用出
    口手段を含むことを特徴とする装置。
  13. 【請求項13】特許請求の範囲第8項において、該黒液
    入口手段が該濃縮水溶性黒液を該乾燥ゾーンの上方部分
    の中に粗い噴霧として注入するための噴霧装置を含むこ
    とを特徴とする装置。
  14. 【請求項14】特許請求の範囲第8項において、該槽
    が、該槽の内部の温度及び環境に対する耐性を与え且つ
    該槽からの熱損失を最小とするために、断熱性耐火材で
    ライニングされた外壁金属閉じ込め容器を有することを
    特徴とする装置。
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