JPH08179685A - 演奏練習装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 どのような楽器にでも適用できる上、自然な
形で演奏操作を案内することができる演奏練習装置を実
現する。 【構成】 検出部２は発信部１が発生する磁界に応じた
検出信号を発生し、制御部６がこの検出信号に基づき発
信部１を基準とした演奏者の頭部位置および姿勢を算出
する。制御部６は、外部ＲＯＭ７から演奏指示情報を読
み出してフレット指板Ｆ上にポインタ表示するための案
内画像を生成する。制御部６は、算出した演奏者の頭部
位置および姿勢に基づき、生成された案内画像に対して
投影変換処理および視差算出処理を施し、その結果をデ
ィスプレイ３に投影表示する。これにより、ディスプレ
イ３には、実際に見えるフレット指板Ｆ上に、演奏指示
情報に対応したポインタが案内画像としてスーパーイン
ポーズでされる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば、ギター等の演
奏練習に用いて好適な演奏練習装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、ピアノやオルガン等の鍵盤楽
器に取り付けられ、演奏者に対して次に弾くべき鍵を案
内指示する演奏練習装置が知られている。この種の装置
は、各鍵毎に設けられて駆動信号に応じて発光する光源
と、演奏情報に基づいて駆動信号を発生し、対応する光
源に供給する制御回路とから構成される。このような構
成において、予め記録しておいた演奏情報を再生するよ
う指示すると、制御回路は当該演奏情報に従って押鍵す
べき鍵に対応して配置される光源を点灯し、これにより
演奏者に「弾くべき鍵」が案内指示されることになる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】さて、上述した従来の
演奏練習装置では、演奏操作を案内するためのハードウ
ェアを楽器本体とは別体として配設したり、内蔵させた
りする場合が多い。しかしながら、例えば鍵盤楽器に適
用する場合を考えると、楽器機種によっては鍵数や鍵幅
が異なり、演奏操作を案内するためのハードウェアを汎
用的に使用することが難しいという弊害がある。また、
鍵盤楽器以外に適用する場合を考えると、例えば、ギタ
ー等の撥弦楽器ではネック部分に演奏操作を案内するた
めのハードウェアを設ける必要があり、やはり汎用性に
欠けるという問題が生じる。また、演奏操作を案内する
形態としても、光の点滅で演奏すべき鍵を指定する等、
いまひとつ不自然さのある演奏練習となっている。その
ため、どのような楽器にでも適用でき、自然な形で演奏
操作を案内し得る演奏練習装置が待望されている。

【０００４】本発明は、上述した事情に鑑みてなされた
もので、どのような楽器にでも適用できる上、自然な形
で演奏操作を案内することができる演奏練習装置を提供
することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１に記載の発明では、楽器の演奏操作部に設
けられた基点に対する演奏者の視線位置および視線方向
を検出する検出手段と、入力される演奏指示情報に基づ
いて前記演奏操作部で行うべき演奏操作を示す案内画像
を生成する案内画像生成手段と、前記検出手段によって
検出される演奏者の視線位置および視線方向に応じて前
記案内画像を前記演奏操作部へ投影したように画像変換
する画像変換手段と、この画像変換手段によって画像変
換された案内画像を、演奏者が視る演奏操作部像に重ね
合うよう投射表示する投射表示手段とを具備することを
特徴としている。

【０００６】上記請求項１に従属する実施態様である請
求項２に記載の発明によれば、前記検出手段は、前記基
点に設けられ、磁界を発生する発信コイルと、前記演奏
者に設けられ、前記磁界によって電磁誘導される検出コ
イルと、この検出コイルが検出する誘導電流に応じて前
記基点に対する演奏者の視線位置および視線方向を算出
する空間位置算出手段とを具備することを特徴とする。
また、請求項３に記載の発明によれば、前記投射表示手
段は、ゴーグル形状をなして前記演奏者の顔面に装着さ
れる透過型ディスプレイで構成されることを特徴とす
る。さらに、請求項４に記載の発明によれば、前記画像
変換手段は、案内画像に対して投影変換処理および視差
算出処理を施すことを特徴とする。また、請求項５に記
載の発明によれば、前記案内画像生成手段は、前記演奏
操作部でなされる運指操作を位置表示すると共に、当該
位置表示を変化させて奏法を指示することを特徴とす
る。

【０００７】

【作用】本発明による演奏練習装置では、検出手段が楽
器の演奏操作部に設けられた基点に対する演奏者の視線
位置および視線方向を検出し、案内画像生成手段が入力
される演奏指示情報に基づいて前記演奏操作部で行うべ
き演奏操作を示す案内画像を生成すると、画像変換手段
が前記検出手段によって検出される演奏者の視線位置お
よび視線方向に応じて前記案内画像を前記演奏操作部へ
投影したように画像変換し、投射表示手段がこの画像変
換手段によって画像変換された案内画像を、演奏者が視
る演奏操作部像に重ね合うよう投射表示する。これによ
り、演奏者が演奏操作部を視ると、あたかも演奏操作部
上に演奏操作が表示されるから、どのような楽器にでも
適用でき、しかも実際の演奏形態に即した自然な形で演
奏操作を案内することが可能になる。

【０００８】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。 Ａ．実施例の概略 図１は、本発明の一実施例による演奏練習装置をギター
Ｇに適用した場合の概略構成を示す外観図である。この
図において、１はギターＧのネック第０フレット（ナッ
ト）位置に装着される発信部であり、フレット指板Ｆの
基準位置を表わす磁界を発生する。２は演奏者の頭部に
装着される検出部であり、発信部１が発生する磁界を検
出して検出信号を発生する。この検出信号は、上記第０
フレット位置を基準とした時の演奏者の頭部位置（３次
元位置）および基準からの離間距離を表わすものとな
り、その意図するところについては後述する。

【０００９】３はゴーグル型に形成され、演奏者の顔面
に装着される透過型ディスプレイ（以下、ディスプレイ
と略称する）である。ディスプレイ３は、前方視界を確
保しながら、透明パネル上に画像表示するものであり、
実視野像に表示画像をスーパーインポーズし得るように
構成されている。したがって、ディスプレイ３を装着し
た演奏者は、フレット指板Ｆ上に仮想的にスーパーイン
ポーズされる案内画像（後述する）を見ながら演奏練習
することになる。

【００１０】４は装置本体であり、発信部１を駆動する
一方、検出部２から供給される検出信号に基づき、フレ
ット指板Ｆに立体的にスーパーインポーズされる案内画
像を生成し、これをディスプレイ３に表示する。ここで
言う案内画像とは、演奏者が見ている実際のフレット指
板Ｆに重ね合わされる画像であって、運指操作を指定す
るフレット／弦位置、つまり、ギター演奏する際に押え
るべきフレットの弦位置をポインタ表示した画像であ
る。なお、この運指操作を指定する弦位置は、装置本体
４に装着される外部ＲＯＭ７（後述する）に記憶される
演奏指示情報によって規定される。

【００１１】Ｂ．電気的構成 次に、図２を参照して本実施例の電気的構成について説
明する。なお、この図において、図１に示す各部と共通
する部分には同一の番号を付している。発信部１は、直
交三軸毎に巻回された発信コイルと、後述する制御部６
の指示に従って所定周期毎に、これら各軸のコイルを励
磁する駆動回路とからなる。検出部２は、この発信コイ
ルと同様に直交三軸毎に巻回された検出コイルと、この
検出コイルが発生する誘導電流をレベル信号に変換した
後、ノイズ除去してサンプリングしてなる検出信号を出
力する信号処理回路とから構成される。つまり、検出コ
イルは、発信部１の発信コイルが各軸毎に時分割に発生
する磁界によって誘導される電流を発生し、信号処理回
路がこの誘導電流に対応した検出信号を生成して制御部
６に供給する。

【００１２】ディスプレイ３は、装着者の両眼に対向配
置されるファインダ３−１，３−２から形成される。各
ファインダ３−１，３−２は、それぞれ制御部６から供
給される画像信号に基づいて案内画像を表示する液晶パ
ネルと、この液晶パネルに表示された案内画像をハーフ
ミラーを介して透明パネル面に投影する光学系とを備え
ており、当該透明パネルを隔てて見る実視界像Ｌ，Ｒと
案内画像とをスーパーインポーズする。

【００１３】装置本体４は、本体パネル面に配設される
操作子５と、ＣＰＵ，ＲＯＭおよびＲＡＭ等を具備し、
装置各部を制御する制御部６と、演奏指示情報を記憶す
る外部ＲＯＭとから構成される。操作子５は、例えば、
演奏練習に先立ってなされる調整を指示するキャリブレ
ーションスイッチや、演奏練習開始時に操作されるスタ
ートスイッチ等を有している。制御部６は、上述した発
信コイルから磁界を発生させるよう発信部１に励磁指示
する一方、検出部２の検出コイルに誘導される電流に従
って生成される検出信号から上記発信コイルと検出コイ
ルとの相対的な位置関係を算出する。すなわち、ギター
Ｇのネック第０フレット位置を原点とした３次元座標に
おける演奏者頭部の３次元位置および姿勢角とを算出す
る。また、制御部６は、算出した演奏者の頭部位置と姿
勢角とに基づき、演奏者が見る実視界像に案内画像をス
ーパーインポーズさせるべく、投影変換処理および視差
算出処理を行い、これら処理が施された案内画像をディ
スプレイ３の各ファインダ３−１，３−２に供給する。
これにより、ディスプレイ３には実視界像に対して重な
り合う案内画像が立体視される。

【００１４】外部ＲＯＭ７に記憶される演奏指示情報
は、図３に示すように、演奏タイミング毎に運指操作す
べきフレット／弦位置を表わすコマンドから形成されて
いる。フレット／弦位置は、図４に図示するＸＹ座標位
置として定義される。すなわち、前述した発信部１が装
着される第０フレット端がＸ＝０となり、第２４フレッ
ト端がＹ＝０とした指板平面座標にてフレット／弦位置
が指定される。指板平面座標は、制御部６においてなさ
れる投影変換処理により得られる。投影変換処理では、
前述した検出信号に基づいて算出される演奏者の頭部３
次元位置と姿勢角とを元に、現在の視線方向に対するフ
レット指板の姿勢と位置とを幾何的に算出する。

【００１５】演奏指示情報を形成するフレット／弦位置
は、「四角ＯＮ」、「丸ＯＮ」、「四角ＯＦＦ」および
「丸ＯＦＦ」の４つのコマンドで識別されると共に、そ
の位置が指板平面座標値（Ｘ，Ｙ）で表現される。これ
らコマンドの内、「四角ＯＮ」は、次に押えるフレット
／弦位置のポインタ表示を指示し、「丸ＯＮ」は、現在
押えるフレット／弦位置のポインタ表示を指示する。ま
た、「四角ＯＦＦ」は次に押えるフレット／弦位置のポ
インタ消去を指示し、「丸ＯＮ」は、現在押えるフレッ
ト／弦位置のポインタ消去を指示する。

【００１６】Ｃ．実施例の動作 次に、上記構成による実施例の動作について図１、図２
および図５を参照して説明する。いま、図１に示す形態
で演奏練習装置が演奏者およびギターＧにセットアップ
され、この状態で操作子５に配設されるキャリブレーシ
ョンスイッチが操作されたとする。そうすると、制御部
６はこれに従ってキャリブレーションモードとなり、第
０フレット端をＸ＝０、第２４フレット端をＹ＝０とす
る指板平面座標を設定する一方、発信部１と検出部２と
の関係より演奏者の３次元位置および基準からの離間距
離などを逐次算出する。

【００１７】次に、キャリブレーション完了後、演奏練
習を開始するため、操作子５に設けられるスタートスイ
ッチがオン設定されると、制御部６は外部ＲＯＭ７から
演奏指示情報を読み出し、演奏タイミングｔ１，ｔ２，
…の順に各タイミング毎のフレット／弦位置を表わす上
記コマンドを読み出し、当該コマンドに応じてフレット
指板Ｆ上にポインタ表示するための案内画像を生成す
る。

【００１８】そして、制御部６は、算出した演奏者の頭
部位置と姿勢角とに基づき、生成された案内画像に対し
て投影変換処理および視差算出処理を施し、その結果を
ディスプレイ３の各ファインダ３−１，３−２に供給す
る。この結果、ディスプレイ３には、図５に図示するよ
うに、実際に見えるフレット指板Ｆ上に、演奏指示情報
に対応したポインタが案内画像としてスーパーインポー
ズでされる。

【００１９】しかして、本実施例によれば、演奏者がデ
ィスプレイ３を介してフレット指板Ｆを見ると、あたか
もフレット指板Ｆ上に運指操作すべきフレット／弦位置
が演奏タイミング毎にポインタ表示されるため、実際の
演奏形態に即した自然な形で演奏操作が案内される。し
かも、上述した構成では、位置基準となる発信部１をフ
レット指板Ｆの第０フレットに装着すれば、どのような
弦楽器にでも適用可能となり、汎用性に優れる。さらに
は、フレット指板Ｆに替えて、鍵盤の基準位置に発信部
１を装着し、かつ、鍵盤楽器用の演奏指示情報を外部Ｒ
ＯＭ７に登録しておけば、鍵盤楽器用の演奏練習が可能
になる。

【００２０】なお、上述した実施例にあっては、フレッ
ト／弦位置を固定的にポインタ表示したが、これに加え
て、ポインタ表示を微妙に位置変化すれば、ビブラート
やチョーキング等の奏法を練習することも可能になる。
また、案内画像には、ポインタ表示の他、譜面を表示し
たり、ピッキング（撥弦操作）の強弱に応じてポインタ
の表示色を異ならせる等の付加的な情報を取入れること
も可能であり、そうすることにより一層効果的な演奏練
習を実現することができる。

【００２１】

【発明の効果】本発明によれば、検出手段が楽器の演奏
操作部に設けられた基点に対する演奏者の視線位置およ
び視線方向を検出し、案内画像生成手段が入力される演
奏指示情報に基づいて前記演奏操作部で行うべき演奏操
作を示す案内画像を生成すると、画像変換手段が前記検
出手段によって検出される演奏者の視線位置および視線
方向に応じて前記案内画像を前記演奏操作部へ投影した
ように画像変換し、投射表示手段がこの画像変換手段に
よって画像変換された案内画像を、演奏者が視る演奏操
作部像に重ね合うよう投射表示する。したがって、演奏
者が演奏操作部を視ると、あたかも演奏操作部上に演奏
操作が表示されるので、どのような楽器にでも適用で
き、しかも実際の演奏形態に即した自然な形で演奏操作
を案内することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による一実施例の全体構成を示す外観図
である。

【図２】同実施例の電気的構成を示すブロック図であ
る。

【図３】同実施例における外部ＲＯＭ７に記憶される演
奏指示情報の内容を説明するための図である。

【図４】同実施例における指板平面座標を説明するため
の図である。

【図５】同実施例の動作を説明するための図である。

【符号の説明】

１ 発信部（検出手段） ２ 検出部（検出手段） ３ 透過型ディスプレイ（投射表示手段） ４ 装置本体 ５ 操作子 ６ 制御部（検出手段、案内画像生成手段、画像変換手
段） ７ 外部ＲＯＭ（案内画像生成手段）

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 楽器の演奏操作部に設けられた基点に対
   する演奏者の視線位置および視線方向を検出する検出手
   段と、 入力される演奏指示情報に基づいて前記演奏操作部で行
   うべき演奏操作を示す案内画像を生成する案内画像生成
   手段と、 前記検出手段によって検出される演奏者の視線位置およ
   び視線方向に応じて前記案内画像を前記演奏操作部へ投
   影したように画像変換する画像変換手段と、 この画像変換手段によって画像変換された案内画像を、
   演奏者が視る演奏操作部像に重ね合うよう投射表示する
   投射表示手段とを具備することを特徴とする演奏練習装
   置。
2. 【請求項２】 前記検出手段は、前記基点に設けられ、
   磁界を発生する発信コイルと、 前記演奏者に設けられ、前記磁界によって電磁誘導され
   る検出コイルと、 この検出コイルが検出する誘導電流に応じて前記基点に
   対する演奏者の視線位置および視線方向を算出する空間
   位置算出手段とを具備することを特徴とする請求項１記
   載の演奏練習装置。
3. 【請求項３】 前記投射表示手段は、ゴーグル形状をな
   して前記演奏者の顔面に装着される透過型ディスプレイ
   で構成されることを特徴とする請求項１記載の演奏練習
   装置。
4. 【請求項４】 前記画像変換手段は、案内画像に対して
   投影変換処理および視差算出処理を施すことを特徴とす
   る請求項１記載の演奏練習装置。
5. 【請求項５】 前記案内画像生成手段は、前記演奏操作
   部でなされる運指操作を位置表示すると共に、当該位置
   表示を変化させて奏法を指示することを特徴とする請求
   項１記載の演奏練習装置。