JPH08173155A - 化合物解析方法および装置 - Google Patents

化合物解析方法および装置

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JPH08173155A
JPH08173155A JP32659294A JP32659294A JPH08173155A JP H08173155 A JPH08173155 A JP H08173155A JP 32659294 A JP32659294 A JP 32659294A JP 32659294 A JP32659294 A JP 32659294A JP H08173155 A JPH08173155 A JP H08173155A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 遺伝的アルゴリズムを用いて、化合物の安定
な構造式を効率よく求める化合物解析方法およびその装
置を提供する。 【構成】 まず化合物の構造に関するデータを遺伝子情
報として、化学的に安定な原子配置に対応する複数の染
色体を生成する(ステップS1)。次に、各染色体が表
す構造における原子や結合の重なりをチェックする(ス
テップS2)。次に、2つの染色体の遺伝子情報を比較
して類似性の高い染色体を取り除き(ステップS3)、
残された染色体に交叉操作を施す。また、染色体が表す
構造を複数の部分構造に分割し(ステップS4)、各部
分構造の歪みエネルギーを算出して(ステップS5)、
最も大きな歪みエネルギーを持つ部分構造の遺伝子に突
然変異を起こさせる(ステップS6)。これにより、化
合物の最安定な3次元構造式の探索が効率化される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は化学および薬学の分野に
係り、薬物等の化合物の構造を解析し、その安定な3次
元構造を求める化合物解析方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】化学および薬学の分野において、化合物
分子の3次元安定構造(特にグローバルミニマ)を求め
ることは非常に重要な作業の1つである。薬物等の化合
物の最安定構造式の計算により、その活性や様々な物性
を予測することが可能になる。
【0003】産業上においては、化合物研究の際その原
データを求める為に3次元構造の解析が行われることが
多い。一般に、化合物は3次元空間内で様々な形をとる
ことができるが、現実的にはただ1つまたは数個の安定
な3次元構造の間を入れ代わり変化している。このよう
な化合物を対象とした場合、まず実際に存在しているで
あろう化合物の3次元的形態を求め、その形を出発点と
して研究を行う必要がある。ところが、実在している化
合物の分子は他の分子との相互作用等の外的影響を受け
ているため、その出発点の3次元構造式を正確に求める
ことはほとんど不可能である。
【0004】しかし、化合物が真空中に常温かつ単体で
存在するという理想状態を考えると、歪みエネルギーを
算出することにより、安定な3次元構造式を求めること
が可能になる。また、多くの化合物において、歪みエネ
ルギーの少ない安定な3次元構造式を求めることは様々
な研究の出発点となるものである。
【0005】化合物の3次元安定構造式を求める従来の
解析方法としては、分子力学法や分子軌道法がある。分
子力学法は、化合物の原子と原子間の結合とを基本と
し、古典的なニュートン力学を適用して化合物の歪みエ
ネルギーを計算する方法である。この方法では、歪みエ
ネルギーを減少させるように化合物の3次元的な形状を
変化させて、安定構造式を求めている。分子力学法にお
ける化合物の歪みエネルギーEは次式で与えられる。
【0006】 E=結合長歪みエネルギー+結合角歪みエネルギー +2面体角歪みエネルギー+非結合反発エネルギー …(1) 分子軌道法は、化合物の電子雲の状態を基本とし、その
電子雲の重なり状態を計算して化合物の3次元的形状を
調整していく方法である。この方法では、電子雲の状態
を表す関数をΨ、歪み部分のハミルトニアンをHとする
と、歪みエネルギーEは次式で与えられる。
【0007】 E=HΨ …(2) この場合、一般的にはMOPACやGAUSSIAN等
の分子軌道法プログラムを用いて化合物の安定構造式を
求めている。
【0008】このような従来の解析方法では、化合物を
構成する原子間の結合軸のうち回転自由な結合軸(自由
結合軸)を取り出し、取り出した各結合軸の回りに原子
を少しずつ(例えば10度ずつ)回転させた形状(配
座)の歪みエネルギーを計算していた。
【0009】図18は、簡単な化合物の原子と結合軸の
関係を示している。図18(a)に示す化合物は原子
A、Bと結合軸AX1から構成されている。この時、原
子AおよびBは結合軸AX1に固定されているのではな
く、ちょうど車の車輪とおなじような感じで繋がってお
り、結合軸AX1のまわりに自由に回転できると考えて
構わない。
【0010】図18(b)に示す化合物の場合、結合軸
AX2のまわりにその両端の原子A、Bが回転できる
が、図18(c)に示す化合物の場合、原子Aと原子C
とが結合されているために結合軸AX3のまわりの回転
が束縛される。図18(a)の結合軸AX1や図18
(b)の結合軸AX2のように、その両端の原子または
部分構造が回転可能なとき、その結合軸を回転可能な結
合軸、あるいは回転自由な結合軸と呼ぶ。
【0011】このような回転自由な結合軸は一般に化合
物分子の中に複数存在し、各々の回転自由な結合軸のま
わりの回転により得られる形状のすべての組み合わせを
考慮する必要がある。そして、これらの組み合わせの中
から歪みエネルギーが最小となる配座を求め、その化合
物の最安定な3次元構造式を決めていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述のような従来の分
子力学法や分子軌道法は、化合物の構造式が比較的リジ
ッドで回転等の自由度が高くないときに極めて有効な手
法であり、それらの化合物の大部分について正確な3次
元安定構造式を算出することができる。しかしながら、
このような従来の最適化手法には以下のような問題点が
ある。
【0013】歪みエネルギーのローカルミニマ(極小
値)が探し出され、真の目的であるグローバルミニマ
(最小値)の情報が得られない。したがって、歪みエネ
ルギーの極小点における化合物構造式は求められるが、
目的とする最小点での化合物構造式を求めることはほと
んど不可能である。
【0014】現存する化合物の安定構造を求めるアプロ
ーチ(アルゴリズム)では、基本的に最安定構造(最小
点における構造)を直接求めることができない。これ
は、現在のアプローチは全て歪みエネルギーのエネルギ
ーマップの局所のみを観察し、その結果に従って周辺上
で相対的に安定な位置を探し出すという処理を繰り返し
ているためである。
【0015】このようなアプローチでは、図19に示す
ように解析の出発点と最安定点(最小点)とが近接して
いて、出発点のまわりに他の極小点がない場合にのみ、
その最安定点を探し出すことが可能になる。これに対し
て、図20に示すように出発点の近くにいくつかの極小
点があり、最安定点が出発点から離れている場合は、こ
れらのアプローチにより最安定点を直接発見することが
困難となる。これは、解析の途中でエネルギーマップ上
の極小点の部分に落ち込み、最終目的である最安定点に
到達するのが難しいからである。
【0016】特に化合物中に自由に回転する結合軸が多
数存在し、したがって化合物構造自体の自由度が高い場
合には多数の極小点が存在するため、最安定点に到達す
ることはますます困難になる。
【0017】また、解析対象の回転の異なる化合物分子
(配座異性体)を発生するとき、単に回転自由な結合軸
の回りに一定角度ずつ回転させると、このような結合軸
が多数ある場合には天文学的な数の配座異性体が発生す
る。これは、歪みエネルギーを求める対象となる配座異
性体の数が、1つの回転自由な結合軸のまわりの回転位
置の数の巾乗に従って急速に増大するためである。
【0018】例えば、1つの回転自由な結合軸のまわり
に10度ずつ回転させたならば、その結合軸を中心とし
て36個の配座異性体が発生する。このとき、回転自由
な結合軸の数をnとすると配座異性体の総数は36n
なる。ちなみに配座異性体の総数は、n=2のとき36
2 =1296となり、n=3のとき363 =46656
となり、n=4のとき364 =1679616となり、
n=5のとき365 =60466176となる。nが大
きくなるとスーパーコンピュータといえども最安定構造
式の算出に何百年もかかってしまう。
【0019】今、仮に1つの配座異性体の歪みエネルギ
ー算出に0.01秒かかるとすると、5個の回転自由結
合を持った化合物の歪みエネルギーの計算には約1週間
かかることになる。通常の化合物では回転自由な結合軸
を数個持つのは常識であり、なかには10〜数十個持つ
ような化合物も存在する。ちなみに10個だけ回転自由
な結合軸を持てば、その化合物の歪みエネルギー計算に
は約120万年かかることになる。
【0020】回転自由な結合軸の数が10個以下であっ
ても、精度を上げるべく回転角のピッチをより小さくと
ればさらに時間がかかることになる。このようなレベル
になれば配座異性体の数はもはや天文学的レベルを越え
てしまい、その探索過程でCPU時間を取り過ぎるの
で、現存する計算機のレベルでは事実上計算不可能であ
る。
【0021】ここで、従来の方法のように歪みエネルギ
ーのローカルミニマに落ち込むことを避けるために、探
索手法として遺伝的アルゴリズムを採用することが考え
られる。これは、遺伝的アルゴリズムの特徴であるグロ
ーバルミニマを探し出す可能性が高いという利点を利用
するものである。
【0022】しかしながら、化合物の配座解析に遺伝的
アルゴリズムを適用する際には次のような問題が生じ
る。 (1)配座異性体を発生させるのに、従来のアプローチ
のように回転自由な結合軸まわりに一定の回転角ずつ強
制的に回転させる方法では、化学的に何ら工夫がなく、
また精度をあげるべく回転角を小さくすると天文学的な
数の配座異性体が発生する。 (2)計算機上で仮想的に作りだされる化合物の配座異
性体は、必ずしも3次元的に正しい構造を持つとは限ら
ない。化合物によっては3次元空間内で原子同士が重な
りあったり、結合軸が重なったりして、実際にはあり得
ない3次元構造式の化合物も生成されることがある。こ
のような現実に存在し得ない化合物を排除する必要があ
る。 (3)遺伝的アルゴリズムを実行するとき、交叉等の操
作の対象となる2つ以上の染色体が必要である。これら
の操作対象となる染色体は、一般に互いの遺伝子構造が
類似していない方が望ましい。
【0023】しかし、配座解析という特性を考えたと
き、交叉等の適用対象となる低歪みエネルギーの配座異
性体は互いにその構造が似てくることが多い。この事実
を考慮せずに単純に低歪みエネルギーの配座異性体(染
色体)を用いて遺伝的アルゴリズムを適用しても良好な
解析結果が得られる可能性は低い。染色体の構造が似て
いるときは、交叉等を行っても新たな展開、すなわち、
新たに形成される染色体の歪みエネルギー等の特性に大
きな変化(改善)を期待することはできないからであ
る。
【0024】したがって、遺伝的アルゴリズムを効率良
く実行する上では、適用対象となる染色体の選択に工夫
が必要となる。 (4)交叉の結果得られた配座異性体がローカルミニマ
に落ち込んでおり、最安定な配座異性体ではないとき、
一般的には突然変異等の処置を行う。この突然変異によ
り、それまでとは全く異なる系列の染色体(配座異性
体)を発生させてローカルミニマからの脱出を試みる。
ここで、突然変異が発生するということは、突然変異の
起こった後の染色体はその前の親染色体と構造が大きく
異なることを意味する。
【0025】このとき、突然変異前の染色体において良
性の特性を持つ部分は保存し、悪性の特性を持つ部分は
良性のものに変化させることが望ましい。例えば、遺伝
的アルゴリズムで一般的に行われているように、単に乱
数等を用いて染色体上で無作為に突然変異を発生させる
のは、子孫の繁栄という観点から好ましくない。また、
ここで目的としている配座解析においても良好な解を得
ることは期待できない。
【0026】したがって、突然変異を起こす場所の選択
は、遺伝的アルゴリズムを実行する上で非常に重要なも
のとなり、解析目的に応じて何らかの工夫がないと良い
結果が得られない。
【0027】本発明は、化学および薬学の分野におい
て、化合物の安定な構造式を効率よく求める化合物解析
方法およびその装置を提供することを目的とする。より
詳しくは、遺伝的アルゴリズムを用いて計算機による化
合物の3次元安定構造式の計算を高速化することを目的
とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明は、化合物の歪み
エネルギーを計算して、その安定な3次元構造式を求め
るための化合物解析方法およびその装置である。
【0029】図1は、本発明の化合物解析方法の原理を
示すフローチャートである。図1において処理が開始さ
れると、まず化合物の構造に関するデータを遺伝子情報
として、化学的に安定な原子配置に対応する複数の染色
体を生成する(ステップS1)。
【0030】次に、上記複数の染色体の各々が表す構造
における原子または結合の重なりをチェックする(ステ
ップS2)。次に、上記複数の染色体の任意の2つの遺
伝子情報を比較して、類似性の高い染色体を取り除く
(ステップS3)。
【0031】次に、残された染色体が表す構造を2つ以
上の部分構造に分割し(ステップS4)、それらの部分
構造の各々の歪みエネルギーを求め(ステップS5)、
大きな歪みエネルギーを持つ部分構造の遺伝子情報に突
然変異操作を施す(ステップS6)。
【0032】これにより、化合物の最安定な3次元構造
式を探索して、終了条件が成立すれば処理を終了する。
ステップS1においては、化合物に含まれる回転自由な
結合に関する原子をねじれ型に配置して化学的に安定な
原子配置を求め、その回転自由な結合の結合軸に関する
回転角データを上記遺伝子情報としてコーディングし
て、上記複数の染色体を生成する。
【0033】ステップS2においては、上記複数の染色
体の各々が表す構造において、原子または結合に重なり
が生じているとき、対応する染色体を取り除く。ステッ
プS3においては、上記複数の染色体の任意の2つの遺
伝子情報を用いた計算により、それらの2つの染色体の
間の類似度を算出し、2つの染色体の類似性が高いとき
に一方の染色体を取り除く。そして、残された染色体を
用いて遺伝子操作を行う。
【0034】ステップS4においては、上記2つ以上の
部分構造の各々が回転自由な結合を少なくとも1つ含む
ように、上記残された染色体が表す構造を分割する。ス
テップS6においては、上記2つ以上の部分構造のうち
歪みエネルギーが最も大きい部分構造に含まれる回転自
由な結合の結合軸に関する回転角データを変更して、新
たな遺伝子情報を持つ染色体を生成する。
【0035】
【作用】化合物の構造に関するデータを遺伝子情報とし
て用いて、化学的に安定な原子配置に対応する染色体が
生成され、遺伝子アルゴリズムにおける初期の染色体と
なる(ステップS1)。化学的に不安定な染色体が初期
の染色体集団に含まれないので、遺伝子アルゴリズムに
よる探索の効率が良くなり、計算時間の大幅な短縮と精
度の向上を実現できる。。
【0036】特にステップS1において、化合物に含ま
れる回転自由な結合に関する原子を化学的に意味のある
ねじれ型に配置することにより、無意味な配座異性体を
表す染色体を初期集団から排除し、初期染色体の数を抑
えることができる。
【0037】このねじれ型配置は、配座異性体を回転自
由な結合軸のまわりに回転させるとき、化合物をより安
定な形に定性的に配置したものである。これは、結合を
形成するその両端の原子から出ている他の結合同士を、
互いに重なり合わないように配置するアプローチであ
る。
【0038】もし、配座異性体を回転自由な結合軸のま
わりに機械的に回転させて、初期の配座異性体を発生さ
せるならば、発生される配座異性体の数は膨大なものと
なりやすく、また化学的に意味のないアプローチとな
る。
【0039】また、各染色体が表す構造における原子ま
たは結合の重なりをチェックすることにより、現実には
ありえない異常な構造の化合物を取り除くことが可能に
なる(ステップS2)。
【0040】生成された染色体は、計算機により仮想的
に発生されたものである。したがって、実際には存在し
得ない構造を持つ配座異性体を表すものも含まれ得る。
これらの染色体を解析対象に加えることは、意味のない
ノイズデータを増やすことになる。
【0041】このような存在し得ない配座異性体とは、
例えば3次元空間内で原子や結合の重なりを起こしてい
る構造を持つものである。遺伝的アルゴリズムの実行過
程において原子や結合の重なりをチェックすることによ
り、こうした異常な配座異性体をダイナミックに解析対
象の染色体群から取り除くことができる。これにより、
化合物解析の効率が向上し計算が高速化される。
【0042】ここでは、例えば配座異性体の3次元座標
データを用いて、原子や結合の重なりがチェックされ
る。また、解析対象の染色体群から類似性の高い染色体
を取り除くことにより、遺伝子操作の効率が高まる(ス
テップS3)。
【0043】一般に、交叉等の遺伝子操作の対象となる
染色体群は、その遺伝子構造が互いに似ていないものが
望ましい。ここでは、任意の2つの染色体が持つ遺伝子
情報の間の類似性がチェックされ、解析対象となる染色
体として、互いにその構造が似ていないものが残され
る。
【0044】特にステップS3において、遺伝子情報を
用いた計算により2つの染色体の間の類似度を算出すれ
ば、機械的に2つの染色体の類似性を求めることができ
る。例えば、交叉や突然変異操作等の対象として取り出
された染色体間の類似度をあらかじめ決められた計算式
により算出し、その類似度の値の大きな2つの染色体の
いずれか一方を取り除き、代わりに類似度の低い染色体
を解析対象としてノミネートする。
【0045】このような処理により、遺伝的アルゴリズ
ムにおける解候補である染色体群の多様性が高まり、グ
ローバルミニマを見出す可能性を高く維持することがで
きる。
【0046】また、染色体が表す配座異性体の構造を2
つ以上の部分構造に分割し、それらのうち最も歪みエネ
ルギーの高い部分構造を特定し、その内部構造に対応す
る遺伝子情報に突然変異を発生させる(ステップS4、
S5、S6)。これらの処理により、突然変異操作の実
行効率が向上する。
【0047】遺伝的アルゴリズムにおいては、突然変異
操作を施すことで全く新たな進展を迎えることが可能と
なる。しかし、突然変異を無作為に染色体上の適当な位
置に発生させていては処理の効率が悪くなる。
【0048】突然変異操作においては、染色体中の良性
の部分の遺伝子を残し、悪性の部分の遺伝子に突然変異
を発生させるのが理想的である。ここでは、良性の部分
の遺伝子とは歪みエネルギーを小さくする効果を持つも
のであり、悪性の部分の遺伝子とは歪みエネルギーを大
きくする効果を持つものであると考えられる。
【0049】そこで、配座異性体中の部分構造につい
て、歪みエネルギーの小さなものと大きなものとを区別
し、歪みエネルギーの大きなものの遺伝子情報を変化さ
せることにより、効率的な突然変異が行われる。
【0050】特にステップS4において、各部分構造が
回転自由な結合を少なくとも1つ含むように分割し、ス
テップS6において、歪みエネルギーが最も大きい部分
構造に含まれる回転自由な結合の結合軸に関する回転角
データを変更することにより、その結合軸のまわりの原
子配置が変化する。したがって、ローカルミニマを抜け
出してグローバルミニマを見出す可能性が高くなる。
【0051】化合物の配座解析に単に遺伝的アルゴリズ
ムを適用するのではなく、上述のように、化学の分野に
遺伝的アルゴリズムを適用する時に生じるであろう種々
の問題を解決する工夫を行うことにより、実用性の高い
化合物解析方法が得られる。
【0052】遺伝的アルゴリズムを用いることで、化合
物の3次元構造に関するグローバルミニマを発見する可
能性が高まり、対応する最安定構造式を得ることが期待
される。これは、遺伝的アルゴリズムが他の最適化手法
よりグローバルミニマを探し出す可能性が高いという特
性を持つためである。この特性を配座解析に利用すれ
ば、ローカルミニマへの落ち込みを回避することができ
る。
【0053】
【実施例】以下図面を参照しながら、本発明の実施例に
ついて詳細に説明する。図2は、本発明による化合物解
析装置の一構成図である。図2において、CPU(中央
処理装置)1は、入出力ターミナル2から入力されるパ
ラメータにしたがって遺伝的アルゴリズムにより複数の
配座異性体を生成し、それらの歪みエネルギーを計算す
る。メモリ3は、上記パラメータの値や、CPU1から
バス4を介して転送される配座異性体の染色体データ、
歪みエネルギーの値等を保持する。化合物の配座解析が
終了すると、CPU1は得られた配座異性体のうち歪み
エネルギーが最も小さいものの3次元構造式を最安定な
解として入出力ターミナル2に出力する。
【0054】次に、化合物のねじれ型配置について説明
する。ねじれ型配置とは、1つの結合を形成する両端の
2つの原子から出ている他の結合の特定の向きに関す
る。図3は、ねじれ型配置をとる化合物分子の3次元構
造の一例を示している。図3の分子は原子A0、B0、
および置換基A1、A2、A3、B1、B2、B3から
成っている。このうちの2つの原子A0とB0を結ぶ結
合を、その結合軸の延長上にある視点から眺めたとき、
原子A0、B0から出ている他の結合軸の向きは図4に
示すようになる。
【0055】図4のねじれ型配置の模式図からわかるよ
うに、原子A0に結合している置換基A1、A2、A3
の結合軸の向きと、原子B0に結合している置換基B
1、B2、B3の結合軸の向きが、互いに重なりあわな
いようになっている。これが、化合物の静的な安定構造
を与える要因の1つになる。化合物が安定するには3次
元空間内で全ての原子が分散している状態が理想的であ
り、原子同士が互いに重なりあったり、接近していると
安定な状態とは言えない。
【0056】ねじれ型配置に対する他の配置として、図
5に示すような重なり型配置がある。図5では、原子A
0に結合している置換基A1、A2、A3と、原子B0
に結合している置換基B1、B2、B3とが3次元空間
内で互いに接近した位置にある。このとき、個々の置換
基は空間的に互いに接近しているため反発エネルギーが
大きくなり、安定構造からはかけ離れた構造となる。
【0057】このように、化合物を構成する原子等の配
置が問題になるのは、結合を挟む両側の原子が互いに自
由に回転できる場合である。本発明は化合物の配座解析
に遺伝的アルゴリズムを用いることを特徴とする。遺伝
的アルゴリズムとは生体における遺伝のメカニズムをシ
ミュレートするもので、工学的には最適化問題等の解決
に利用されている。このアプローチにおいては、解析対
象を線形の染色体の形に変換し、その染色体に対して様
々な操作(演算)を加えて、新たな最適点を探し出す。
【0058】遺伝的アルゴリズムにおいて染色体に施す
一般的な操作には、図6、7、8に示すようなものがあ
る。図6、7、8において、各短冊は1つの染色体を表
し、各短冊内の枡目は遺伝子座を表す。また、各枡目の
白黒のパターンは様々な染色体の遺伝子情報を表す。
【0059】図6は、選択操作の一例を示している。図
6においては、解析対象の複数の染色体CHR1、CH
R2、CHR3、CHR4から1つの染色体CHR3が
選択され、取り出される。
【0060】図7は、交叉操作の一例を示している。図
7においては、2本の染色体CHR1、CHR2のXで
示される位置を交叉ポイントとして、その右側の遺伝子
が入れ換えられ、染色体CHR1′、CHR2′が生成
される。
【0061】図8は、突然変異操作の一例を示してい
る。図8においては、染色体CHR1上のMで示される
位置の遺伝子が異なる他の遺伝子に変更され、染色体C
HR1″が生成される。
【0062】次に、図9から図13までを参照しなが
ら、CPU1による配座解析処理について説明する。図
9、10、11は、本実施例の配座解析処理のフローチ
ャートである。ここでは、各配座異性体は3次元構造に
関する情報をコーディングした染色体により表される。
【0063】図9においては、まず配座解析処理の準備
として、繰り返し回数R、最初に発生する配座異性体数
N、選択される上位配座異性体数n、交叉ポイント数C
およびそれらの位置の指定、突然変異時のグループ数M
および各グループの指定、突然変異時のねじれ型配置の
数O、類似度上限値Sが設定される。これらの設定は、
例えば入出力ターミナル2からユーザにより入力され、
メモリ3に保持される。
【0064】繰り返し回数Rは、遺伝的アルゴリズムの
実行回数に関するパラメータで、一般的にはトライアン
ドエラー的にユーザがこれを設定する。ここでは、例え
ばR=100に設定しておく。
【0065】最初に発生する配座異性体数Nは、解析対
象として保持する染色体の数であり、ここでは例えばN
=1000に設定しておく。選択される上位配座異性体
数nは、歪みエネルギーの小さい順に上位から取り出す
染色体の数であり、ここでは例えばn=10に設定して
おく。
【0066】交叉ポイント数Cは、交叉操作のために切
断する染色体上の切断位置の数であり、ここでは例えば
C=3に設定しておく。また、交叉ポイントの位置は、
例えば交叉対象となる染色体上の遺伝子座の識別番号を
用いて、(4,9,15)のように指定される。そし
て、指定された遺伝子座の左側または右側のいずれか片
方の境界を交叉ポイントとすることをあらかじめ決めて
おく。
【0067】突然変異時のグループ数Mは、突然変異操
作の対象となる染色体上に設ける遺伝子のグループの数
であり、ここでは例えばM=3に設定しておく。また、
各グループに属する遺伝子は、例えば染色体上の遺伝子
座の識別番号を用いて、(1〜6,7〜13,14〜2
1)のように指定される。これは、1番目から6番目ま
での遺伝子、7番目から13番目までの遺伝子、14番
目から21番目までの遺伝子をそれぞれ1つのグループ
とすることを意味する。
【0068】突然変異時のねじれ型配置の数Oは、突然
変異操作の際に1つの回転自由な結合について生成する
ねじれ型配置の数であり、ここでは例えばO=3に設定
しておく。
【0069】類似度上限値Sは、2つの染色体の間の類
似度の値に課される上限値であり、ここでは例えばS=
98%に設定しておく。類似度がS以上となる場合はど
ちらか一方の染色体が解析対象から除かれる。
【0070】以上の初期設定の後、CPU1は以下の順
序で処理を行う。まず、最初に用いる化合物の3次元構
造式を設定する(ステップS11)。これは化合物の初
期3次元座標データである。最初の配座異性体はこの初
期3次元座標データを用いて発生する。ここでは、X線
回析やNMR(nuclear magneticresonance:核磁気共
鳴)等から得られた実験データ、または分子力学法や分
子軌道法により得られた計算結果等により3次元座標デ
ータを得る。
【0071】次に、解析対象となる複数の配座異性体生
成のための準備を行う。具体的には、ステップS11で
得た化合物の3次元構造式の中から、配座異性体を創出
するために必要な回転自由な結合の情報を取り出す(ス
テップS12)。そして、取り出した回転自由な結合の
情報を基にして、ねじれ型配置による配座異性体を創出
し、その回転自由な結合軸のまわりの回転に関するデー
タを染色体上にコーディングする(ステップS13)。
【0072】化合物の一般的特性より、例えば図3の化
合物のように、4本の結合を持つ原子(A0、B0)で
構成される回転自由な結合に関して、ねじれ型配置は3
種類しか存在しない。これらの3種類の配置は、図4の
ねじれ型配置において、原子B0を回転自由な結合軸
(A0とB0の間の結合軸)のまわりに120度、およ
び240度回転させて得られる。
【0073】したがって、1つの回転自由な結合軸につ
いて3種類のねじれ型配置の配座異性体を創出すること
が可能である。これら3種類以外の配座異性体は化学的
にはあまり重要な意味を持たない形状を持つので、配座
解析の目的のためにはこれらの3種類の配座異性体のみ
で十分である。
【0074】化合物に含まれる回転自由な結合の数を
r、1つの回転自由な結合軸について存在するねじれ型
配置の数をQとすると、ここで生成される染色体の数は
r となる。例えばr=5、Q=3のときは、Qr =3
5 =243である。
【0075】次に、構造的に異常な化合物がないかどう
かチェックする(ステップS14)。ここでは、ステッ
プS13で創出された染色体が表す3次元構造式の原子
/結合間における空間的重なりを、分子力学等を用いて
チェックし、重なりの発生している化合物を取り除く。
【0076】化合物は原子と原子間の結合より形成され
ている。原子と結合は3次元空間内である体積を持って
いるが、CPU1による3次元構造式を変化させる計算
において、原子や結合の位置が変化して化合物の形が変
わってくると、原子や結合の重なりを頻繁に起こす場合
がある。このような実際に存在し得ない化合物は排除す
る必要がある。
【0077】ステップS13で創出された配座異性体
は、ねじれ型配置になるように回転自由な結合軸のまわ
りに仮想的に回転させて得られるものである。その結
果、原子や原子間結合の重なり合いが生じている可能性
がある。現実には、3次元空間内で原子同士や結合が重
なった分子はあり得ないので、これらに相当する染色体
があれば、ここで解析対象から取り除く。
【0078】次に、初期配座異性体のデータセットを作
成する(ステップS15)。ステップS14の処理の
後、残った染色体の数が指定された染色体の数Nよりも
大きいとき、乱数を用いてN個の染色体を選択する。
【0079】一般に回転自由な結合の数が多い場合に
は、ステップS13で発生する染色体の数は膨大なもの
になり、ステップS14で重なりの発生している染色体
をすべて除いたとしても、なおかなりの数が残る可能性
がある。このような場合、残った染色体のすべてを解析
対象にすることは不可能なので、解析対象となる初期染
色体を無作為にあらかじめ指定された数N(ここでは1
000個)だけ取り出す。そして、これらの染色体をメ
モリ3に保持する。
【0080】CPU1は、メモリ3に保持された染色体
に対して遺伝的アルゴリズムを適用して配座解析を行
う。まず、I=I+1とおく(ステップS16)。ただ
し、Iの初期値は0に設定されているものとする。そし
て、Iと繰り返し回数Rとを比較する(ステップS1
7)。IがR以上であれば処理を終了し、Rに満たない
ときはこの時点で保持されている染色体の各々につい
て、対応する配座異性体の歪みエネルギーを計算する
(ステップS18)。
【0081】歪みエネルギーの計算には、公知の分子力
学や分子軌道法等が利用できる。高速計算を目指すなら
ば分子力学が適している。本実施例では計算対象となる
配座異性体の3次元座標が決まっているので、歪みエネ
ルギーの計算を高速に行うことができる。ここでは、対
象となる1000個の染色体のすべてについて、歪みエ
ネルギーを求める。
【0082】次に、歪みエネルギーの小さな配座異性体
を得るために、各染色体の歪みエネルギーを比較して、
その値が小さい順に染色体を並べかえる(ステップS1
9)。そして、歪みエネルギーの小さなものから順に上
位n個(ここでは10個)の染色体を取り出す(図1
0、ステップS20)。
【0083】次に、取り出されたn個の染色体間の3次
元的類似性を求める(ステップS21)。3次元的類似
性を求めるには、種々の類似度算出アルゴリズムが利用
できるが、ここでは配座異性体を作成する際に用いた2
面体角(2面角)の情報を用いて計算する。2面体角と
は、回転自由な結合軸のまわりの回転を規定する角度で
ある。
【0084】図12は、化合物における2面体角の一例
を示している。図12のような4個の原子と3個の結合
から成る化合物の場合、3個の原子B、C、Dとそれら
の間の2個の結合軸により形成される面Fと、原子A、
Bの間の結合軸とが成す角αが2面体角である。以下
に、2面体角を用いた類似度の算出の例を示す。
【0085】図13は、一定の2面体角を成す回転自由
な結合の形状を基準として、その位置に対する相対的回
転角の値を遺伝子としてコーディングした染色体を示し
ている。図13において、回転角θ1、θ2、θ3、θ
4、θ5はそれぞれ異なる回転自由な結合軸のまわりの
回転角を表し、配座C1、C2、C3、C4はそれぞれ
異なる染色体を表す。
【0086】例えば、図13の配座CjとCkの間の類
似度を、
【0087】
【数1】
【0088】により定義する。ただし、j=1,2,
3,4、k=1,2,3,4、j≠kとする。(3)式
によれば、各回転角の差の絶対値の総和により2つの配
座の類似性が評価される。類似度が0のとき、これらの
配座の回転角データは完全に一致することになる。つま
り、2つの配座が類似しているほど(3)式の値は小さ
くなる。また、(3)式の値を回転角の数5で割れば類
似度の平均が得られる。
【0089】例えば、(3)式により配座C1とC2の
間の類似度を計算すると、 となる。
【0090】あるいは、配座CjとCkの間の類似度を
次式により定義することも可能である。
【0091】
【数2】
【0092】ここで、配座Cjの回転角θiの値と配座
Ckの回転角θiの値が一致するときFjk(θi)=0
とし、これらが一致しないときFjk(θi)=1とす
る。(4)式の場合は、Fjk(θi)は0または1の離
散的な値をとるため、類似度もまた離散的な値になる。
また、2つの配座が類似しているほど(4)式の値は小
さくなる。
【0093】(4)式により配座C1とC2の間の類似
度を計算すると、 となる。
【0094】本実施例では、(3)式または(4)式の
値が0のときを類似度100%、その値が最大になると
きを類似度0%として、新たに類似度を定義し直して用
いることにする。
【0095】次に、定義し直した類似度が予め設定され
た値S(ここでは98%)以上になるような2つの染色
体があるかどうかを調べる(ステップS22)。S以上
の類似度を持つ2つの染色体がある場合は、それらのう
ちの一方の染色体を上位10個の染色体のリストから取
り除き、代わりに次に歪みエネルギーが小さい染色体、
つまり11番目以降の染色体を順次取り出して用いる
(ステップS23)。そして、再びステップS21、S
22の処理を繰り返す。
【0096】このようにして、歪みエネルギーが小さい
染色体のリストから類似性の高い染色体を除いておけ
ば、遺伝子操作により染色体のパターンを改善する可能
性が高められる。逆に、類似性の高い染色体を残してお
くと、遺伝子操作による処理の効率が低下する。
【0097】ステップS22でS以上の類似度を持つ染
色体がなくなると、上位n個(ここでは10個)の染色
体の歪みエネルギーを求め、その最小値(最小歪みエネ
ルギー)とそれに対応する染色体のデータを保存する
(ステップS24)。これらのデータは、以下で行う交
叉操作後の染色体との比較のために保存しておく。
【0098】次に、今回得られた最小歪みエネルギーと
保存されている前回の最小歪みエネルギーを比較して、
交叉操作により最小歪みエネルギーがさらに減少したか
否か(改善されたか否か)をチェックする(ステップS
25)。最小歪みエネルギーが同じかまたは増大してい
れば(ステップS25、YES)、そのままステップS
26からS29までの交叉操作を実行する。もし、最小
歪みエネルギーが減少していれば(ステップS25、N
O)、図11のステップS30以降の処理を行う。I=
1のときは前回の最小歪みエネルギーが存在しないの
で、そのままステップS26の処理に移る。
【0099】ステップS26では、これまでに得られた
上位n個の染色体のうち任意の2個を交叉対象として取
り出す。ここでは、上位10個の染色体のうちの2個が
取り出される。そして、取り出した2個の染色体をC個
の指定された交叉ポイントで切断して、あらかじめ決め
られた規則に従って交叉操作を施し、新しい2個の染色
体を生成する(ステップS27)。
【0100】次に、ステップS14と同様にして、生成
された新しい染色体について原子/結合の重なりをチェ
ックし、3次元的に存在し得ない構造に対応する染色体
を取り除く(ステップS28)。
【0101】次に、n個の染色体から任意の2個を取り
出すすべての組み合わせについて交叉処理を終了したか
どうかをチェックし(ステップS29)、終了していな
ければ次の組み合わせについてステップS26以降の処
理を繰り返す。すべての組み合わせについて交叉処理を
終了したとき、図11のステップS30以降の処理を行
う。
【0102】図11のステップS30では、CPU1は
入出力ターミナル2を介してユーザに突然変異操作を実
行するかどうか問い合わせる。これは、ステップS25
で最小歪みエネルギーが改善されたとしても、対応する
配座異性体の3次元構造式がローカルミニマに落ち込ん
でいる可能性が残るためである。ローカルミニマに落ち
込んでいると見込まれる場合は、突然変異操作によりそ
こから脱出する必要がある。
【0103】問い合わせに対するユーザからの指示が突
然変異を行わない旨であれば、この時点で処理を終了す
る。ユーザからの指示が突然変異を行う旨であれば、そ
の準備として、各染色体に対応する化合物の3次元構造
の原子間結合を切断して、M個の指定されたグループ
(部分構造)に分割する(ステップS31)。このと
き、回転自由な結合はできるだけ切断しないように分割
する。ここでは、各染色体はあらかじめ指定された3個
の部分構造に分割される。
【0104】尚、部分構造への分割は、入出力ターミナ
ル2のディスプレイを見ながらユーザが指定することも
できる。次に、分割された個々の部分構造毎にその歪み
エネルギーを求める(ステップS32)。化合物を部分
構造に分割するとき分割位置の結合が切断されるが、こ
の切断箇所に水素原子を仮想的に配置すれば、分子力学
や分子軌道法により部分構造毎の歪みエネルギーを計算
できる。
【0105】次に、各部分構造の歪みエネルギーを比較
し、その値が最も大きい部分構造内に存在する回転自由
な結合軸を取り出す。そして、その結合軸のまわりの回
転角を新たにO個のねじれ型配置に対応する値に変更
し、O種類の新しい染色体を生成する(ステップS3
3)。ここでは、新たに3種類の染色体が生成される。
【0106】ステップS31で化合物を部分構造に分割
する目的は、染色体上で突然変異を起こす場所を特定す
ることである。染色体全体を対象として適当に突然変異
を起こしていては、歪みエネルギーの改善という点では
あまりよい結果が期待できない。化合物を複数の部分構
造に分割することにより、個々の部分構造について歪み
エネルギーを算出し、その値が最も大きい部分に対して
選択的に突然変異を起こすことができる。
【0107】したがって、各部分構造は、その目的から
回転自由な結合を少なくとも1つ含んでいる必要があ
る。最も高い精度で処理を行うには、各部分構造が回転
自由な結合を1つずつ含むように分割すればよい。
【0108】このように突然変異を起こす場所を特定し
ても、突然変異により生成される染色体が元の染色体よ
り必ずしも小さな歪みエネルギーを持つとは限らない。
ここではむしろ、機械的にねじれ型配置を持つ配座異性
体を発生させて、ローカルミニマから脱出することによ
り、より歪みエネルギーの小さなグローバルミニマを探
し出す可能性を高めることに重点が置かれる。
【0109】遺伝的アルゴリズムにおいては、交叉等の
通常の操作により良好な解が得られなくなったとき、新
たな展開を求めて突然変異が実行される。次に、突然変
異により生成された各染色体について、その全体の歪み
エネルギーを算出する(ステップS34)。そして、こ
れらの算出された歪みエネルギーを基にして、歪みエネ
ルギーの小さい方から順に上位2個の染色体を取り出
し、再びステップS27以降の処理を行う。
【0110】そして、ステップS24で取り出された最
小歪みエネルギーがそれ以上減少しなくなれば、その時
の最小歪みエネルギーに対応する配座異性体の構造式が
最安定候補となる。この構造式は配座解析処理により最
終的に出力される安定構造式であり、理論的な最安定構
造式と同じとは限らないが、遺伝的アルゴリズムの特性
から最安定構造式に非常に近いものであることが期待で
きる。
【0111】次に、図14から図17までを参照しなが
ら、本実施例における配座解析処理によるデータの変化
について説明する。図14は、交叉操作による染色体の
回転角データの変化を示している。図14において、回
転角θ1、θ2、θ3、θ4、θ5、θ6は、解析対象
の化合物に含まれる6つの回転自由な結合軸のまわりの
各回転角を表し、配座C1、C2は交叉操作の対象とな
る2つの配座異性体の染色体を表す。
【0112】ここで、配座C1、C2は6つの回転自由
な結合のすべてまたは一部がねじれ型配置の配座異性体
に相当する。ねじれ型配置であるか否かは個々の回転自
由な結合毎に決められるが、すべての回転自由な結合が
ねじれ型配置である配座異性体が必ずしも最安定構造式
に対応するとは限らない。実際の計算においては、1つ
の配座異性体に含まれる回転自由な結合のうち、あるも
のはねじれ型配置であり、あるものは重なり型配置等の
他の配置であることが多い。
【0113】配座C1とC2において、回転角θ2とθ
3の間を交叉ポイントとして切断し、回転角θ3からθ
6までの回転角データを入れ換える。このような遺伝子
の組み換えにより、配座C1′、C2′が新たな2つの
染色体として生成される。
【0114】図15は、交叉操作による歪みエネルギー
の変化を示している。交叉による組み換え前では、配座
C1、C2の歪みエネルギーはそれぞれ100、70で
あるのに対して、組み換え後の配座C1′、C2′の歪
みエネルギーはそれぞれ130、65となっている。
【0115】この場合、組み換え後の歪みエネルギーが
組み換え前の歪みエネルギーよりも小さくなっている配
座2′の遺伝子情報が有効と判定されて保存される。一
方、配座1′の遺伝子情報は不良遺伝子として、例えば
解析対象から除かれる。
【0116】歪みエネルギーの改善された染色体群を用
いて、再び交叉等の遺伝子操作が行われる。この処理
は、安定構造式に対応する適切な配座異性体が発見され
るまで続けられる。
【0117】図16は、突然変異操作による染色体の回
転角データの変化を示している。図16において、回転
角θ1、θ2、θ3、θ4、θ5、θ6の意味について
は図14と同様である。配座C1は突然変異操作の対象
となる配座異性体の染色体を表す。
【0118】ここでは、化合物の3次元構造をグループ
G1とG2の2つの部分構造に分割し、これらの部分構
造内の歪みエネルギーが調べられる。そして、歪みエネ
ルギーが大きい方の部分構造内に含まれる遺伝子に突然
変異を起こさせる。グループ単位の歪みエネルギーのチ
ェックの結果、グループG1、G2の歪みエネルギーが
それぞれ186Kcal、103Kcalであったとす
ると、より歪みエネルギーの大きなグループG1の回転
角データが変更されることになる。
【0119】グループG1には回転角θ1、θ2、θ3
のデータが含まれるので、例えばこれらの回転角データ
を1つずつ0度に変更して、新たに3つの配座C1
(1)、C1(2)、C1(3)を生成する。
【0120】図17は、突然変異操作による歪みエネル
ギーの変化を示している。突然変異の前では配座C1の
歪みエネルギーは100であるのに対して、突然変異の
後の配座C1(1)、C1(2)、C1(3)の歪みエ
ネルギーはそれぞれ90、115、154となってい
る。
【0121】このうち、突然変異後の歪みエネルギーが
改善されている配座C1(1)が次世代の染色体として
選択される。もし、歪みエネルギーの改善された染色体
が生成されなければ、代わりに突然変異後の歪みエネル
ギーが最も小さいものを次世代の染色体として選択す
る。
【0122】次に、従来の手法による配座解析処理と本
実施例の遺伝的アルゴリズムを用いた配座解析処理との
比較結果について説明する。ただし、実際の計算機を用
いた比較は困難なため、机上での計算により比較を行っ
た。
【0123】処理に要する時間は配座解析のプログラム
実行中に発生する染色体の数に比例するものとする。実
際の処理においては、発生した個々の染色体の歪みエネ
ルギーの計算に最もCPUを必要とし、それ以外の処理
に要する時間は比較的短いと考えられる。したがって、
処理時間は染色体の数に比例すると考えてほぼ間違いな
い。
【0124】配座解析の諸条件は次の通りである。 〔1〕化合物に含まれる回転自由な結合の数 5 〔2〕1回に回転させる回転角 10度 〔3〕1つの染色体の歪みエネルギーの計算時間 0.01秒 〔4〕遺伝的アルゴリズムに関するパラメータ (a)初期染色体数N 1000 (b)選択染色体数n 10 (c)交叉ポイント数C 2 (d)交叉による再発生染色体数 180(10×9×2) (e)繰り返し回数R 1000回 (f)突然変異回数 5回 これらの条件を用いて従来の手法により配座解析を行う
と、発生する染色体の数と計算に要する時間は、それぞ
れ次のようになる。 発生染色体数=(360度/10度)5 =60466176 計算時間=0.01秒×60466176≒604661秒≒167.9時間 また、本実施例の遺伝的アルゴリズムにより配座解析を
行うと、発生する染色体の数と計算に要する時間は、そ
れぞれ次のようになる。 発生染色体数=1000+180×1000×5=901000 計算時間=0.01秒×901000=9010秒≒2.50時間 したがって、従来の手法の本実施例の方法に対する処理
時間の比は、 従来手法の計算時間/本実施例の遺伝的アルゴリズムの計算時間 =167.9時間/2.50時間 =67.19 となり、遺伝的アルゴリズムを適用することにより、処
理時間が大幅に削減されることがわかる。
【0125】尚、図9から図11に示す配座解析処理の
フローは本発明の一例に過ぎない。ねじれ型配置の配座
異性体に対応する染色体を生成し、原子等の重なりチェ
ック処理、類似度算出処理、および部分構造単位の歪み
エネルギーの算出処理を適当に組み合わせることによ
り、別の配座解析処理のフローを得ることもできる。
【0126】
【発明の効果】本発明によれば、配座解析に遺伝的アル
ゴリズムを導入することが可能になり、化合物の最安定
構造式を見い出す可能性が飛躍的に向上する。より詳し
くは、以下のような効果が得られる。
【0127】遺伝的アルゴリズムを適用するにあたり、
初期染色体として化学的に安定と考えられるねじれ型配
置の配座異性体を選び、生成された染色体間の類似度を
チェックすることにより、解析対象から余分な配座異性
体が排除される。したがって、単純に遺伝的アルゴリズ
ムを適用する場合よりも、化学的かつ内部アルゴリズム
的に計算時間を節約することができる。
【0128】また、突然変異を起こさせる前に、化合物
をより小さな構造単位(グループ)に分割し、これらの
グループのうち最も歪みエネルギーの大きなものについ
てのみ突然変異を起こさせる。したがって、突然変異の
効率が高まり、さらに計算時間が節約される。
【0129】遺伝的アルゴリズムを用いない従来の手法
では、化合物の最安定構造式を求めることは困難であ
り、歪みエネルギーの極小点に対応する準安定構造式を
求めるにも膨大なCPUパワーを必要とすることが多か
った。このような配座解析問題に遺伝的アルゴリズムを
適用することにより、最安定構造式または準安定構造式
が高速に得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理図である。
【図2】実施例の化合物解析装置の構成図である。
【図3】化合物の3次元構造を示す図である。
【図4】ねじれ型配置の模式図である。
【図5】重なり型配置の模式図である。
【図6】選択操作を示す図である。
【図7】交叉操作を示す図である。
【図8】突然変異操作を示す図である。
【図9】実施例の配座解析処理のフローチャート(その
1)である。
【図10】実施例の配座解析処理のフローチャート(そ
の2)である。
【図11】実施例の配座解析処理のフローチャート(そ
の3)である。
【図12】2面体角を示す図である。
【図13】回転角データを示す図である。
【図14】交叉事例の回転角データを示す図である。
【図15】交叉による歪みエネルギーの変化を示す図で
ある。
【図16】突然変異事例の回転角データを示す図であ
る。
【図17】突然変異による歪みエネルギーの変化を示す
図である。
【図18】結合軸を示す図である。
【図19】最安定点に到達可能なエネルギーマップを示
す図である。
【図20】最安定点に到達不可能なエネルギーマップを
示す図である。
【符号の説明】
1 CPU 2 入出力ターミナル 3 メモリ A0、B0、A、B、C、D 原子 A1、A2、A3、B1、B2、B3 置換基 CHR1、CHR2、CHR3、CHR4、CHR
1′、CHR2′、CHR1″ 染色体 C1、C2、C3、C4、C1′、C2′、C1
(1)、C1(2)、C1(3) 配座(染色体) θ1、θ2、θ3、θ4、θ5、θ6 回転角

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化合物の歪みエネルギーを計算して安定
    な3次元構造式を求める方法において、 前記化合物の構造に関するデータを遺伝子情報として、
    化学的に安定な原子配置に対応する複数の染色体を生成
    し、 該複数の染色体の各々が表す構造における原子または結
    合の重なりをチェックし、 前記複数の染色体の任意の2つの前記遺伝子情報を比較
    して、類似性の高い染色体を取り除き、 残された染色体が表す構造を2つ以上の部分構造に分割
    し、 前記2つ以上の部分構造の各々の歪みエネルギーを求
    め、 大きな歪みエネルギーを持つ部分構造の前記遺伝子情報
    に突然変異操作を施して、 前記化合物の最安定な3次元構造式を探索することを特
    徴とする化合物解析方法。
  2. 【請求項2】 前記化合物に含まれる回転自由な結合に
    関する原子をねじれ型に配置して前記化学的に安定な原
    子配置を求め、該回転自由な結合の結合軸に関する回転
    角データを前記遺伝子情報としてコーディングして、前
    記複数の染色体を生成することを特徴とする請求項1記
    載の化合物解析方法。
  3. 【請求項3】 前記複数の染色体の各々が表す構造にお
    いて、前記原子または結合に重なりが生じているとき、
    対応する染色体を取り除くことを特徴とする請求項1記
    載の化合物解析方法。
  4. 【請求項4】 分子力学を用いた計算により、前記原子
    または結合の重なりをチェックすることを特徴とする請
    求項3記載の化合物解析方法。
  5. 【請求項5】 前記複数の染色体の任意の2つの遺伝子
    情報を用いた計算により、該2つの染色体の間の類似度
    を算出し、該類似度が設定値以上のときに該2つの染色
    体のうちの一方を取り除き、 残された染色体を用いて遺伝子操作を行うことを特徴と
    する請求項1記載の化合物解析方法。
  6. 【請求項6】 前記2つ以上の部分構造の各々が回転自
    由な結合を少なくとも1つ含むように、前記残された染
    色体が表す構造を分割することを特徴とする請求項1記
    載の化合物解析方法。
  7. 【請求項7】 前記残された染色体が表す構造の切断箇
    所に仮想的な原子を配置して、分子力学を用いた計算に
    より前記2つ以上の部分構造の各々の歪みエネルギーを
    算出することを特徴とする請求項1記載の化合物解析方
    法。
  8. 【請求項8】 前記突然変異操作において、前記2つ以
    上の部分構造のうち歪みエネルギーが最も大きい部分構
    造に含まれる回転自由な結合の結合軸に関する回転角デ
    ータを変更して、新たな遺伝子情報を持つ染色体を生成
    することを特徴とする請求項1記載の化合物解析方法。
  9. 【請求項9】 前記突然変異操作において、前記歪みエ
    ネルギーが最も大きい部分構造に含まれる回転自由な結
    合の結合軸のまわりの原子配置がねじれ型配置になるよ
    うに、前記回転角データを変更することを特徴とする請
    求項8記載の化合物解析方法。
  10. 【請求項10】 化合物の歪みエネルギーを計算して安
    定な3次元構造式を求める方法において、 前記化合物に含まれる回転自由な結合に関する原子をね
    じれ型に配置して化学的に安定な原子配置を求め、 該回転自由な結合の結合軸に関する回転角データを遺伝
    子情報としてコーディングして、前記化学的に安定な原
    子配置に対応する染色体を生成し、 該染色体に遺伝子操作を施して、 前記化合物の最安定な3次元構造式を探索することを特
    徴とする化合物解析方法。
  11. 【請求項11】 化合物の歪みエネルギーを計算して安
    定な3次元構造式を求める方法において、 前記化合物の構造に関するデータを遺伝子情報として、
    化学的に安定な原子配置に対応する染色体を生成し、 該染色体が表す構造における原子または結合の重なりを
    チェックし、 該染色体が表す構造において前記原子または結合に重な
    りが生じているとき、該染色体を取り除き、 該染色体が表す構造において前記原子または結合に重な
    りが生じていないとき、該染色体を残して、 前記化合物の最安定な3次元構造式を探索することを特
    徴とする化合物解析方法。
  12. 【請求項12】 化合物の歪みエネルギーを計算して安
    定な3次元構造式を求める方法において、 前記化合物の構造に関するデータを遺伝子情報として、
    化学的に安定な原子配置に対応する複数の染色体を生成
    し、 該複数の染色体の任意の2つの遺伝子情報を用いた計算
    により、該2つの染色体の間の類似度を算出し、 該2つの染色体の類似性が高いとき、該2つの染色体の
    うちの一方を取り除き、 残された染色体を用いて遺伝子操作を行って、 前記化合物の最安定な3次元構造式を探索することを特
    徴とする化合物解析方法。
  13. 【請求項13】 化合物の歪みエネルギーを計算して安
    定な3次元構造式を求める方法において、 前記化合物の構造に関するデータを遺伝子情報として、
    化学的に安定な原子配置に対応する染色体を生成し、 該染色体が表す構造を2つ以上の部分構造に分割し、 前記2つ以上の部分構造の各々の歪みエネルギーを求
    め、 大きな歪みエネルギーを持つ部分構造の前記遺伝子情報
    に突然変異操作を施して、 前記化合物の最安定な3次元構造式を探索することを特
    徴とする化合物解析方法。
  14. 【請求項14】 前記2つ以上の部分構造の各々が回転
    自由な結合を少なくとも1つ含むように、前記染色体が
    表す構造を分割し、 前記突然変異操作において、前記2つ以上の部分構造の
    うち歪みエネルギーが最も大きい部分構造に含まれる前
    記回転自由な結合の結合軸に関する回転角データを変更
    して、新たな遺伝子情報を持つ染色体を生成することを
    特徴とする請求項13記載の化合物解析方法。
  15. 【請求項15】 化合物の歪みエネルギーを計算して安
    定な3次元構造式を求める装置において、 前記化合物の構造に関するデータを遺伝子情報として、
    化学的に安定な原子配置に対応する複数の染色体を生成
    する手段と、 該複数の染色体の各々が表す構造における原子または結
    合の重なりをチェックする手段と、 前記複数の染色体の任意の2つの前記遺伝子情報を比較
    して、類似性の高い染色体を取り除く手段と、 残された染色体が表す構造を2つ以上の部分構造に分割
    して、該2つ以上の部分構造の各々の歪みエネルギーを
    求め、大きな歪みエネルギーを持つ部分構造の前記遺伝
    子情報に突然変異操作を施す手段とを備えることを特徴
    とする化合物解析装置。
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