JPH08169846A - Il−6産生に起因する疾患の治療剤 - Google Patents
Il−6産生に起因する疾患の治療剤Info
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- JPH08169846A JPH08169846A JP27289395A JP27289395A JPH08169846A JP H08169846 A JPH08169846 A JP H08169846A JP 27289395 A JP27289395 A JP 27289395A JP 27289395 A JP27289395 A JP 27289395A JP H08169846 A JPH08169846 A JP H08169846A
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Abstract
治療剤の提供。 【構成】 インターロイキン−6レセプターに対する抗
体(IL−6R抗体)を含んで成る、インターロイキン
−6の産生に起因する疾患の予防治療剤。IL−6R抗
体としては、マウス、ラット等のヒト以外の動物の抗
体、これらとヒト抗体とのキメラ抗体、再構成ヒト抗体
等が使用できる。 【効果】 IL−6産生に起因する疾患として、例えば
プラズマサイト−シス、抗IgG1血症、貧血、腎炎等
の予防・治療のために有用である。
Description
6レセプター(IL−6R)に対する抗体(抗IL−6
R抗体)を含んで成る、インターロイキン−6(IL−
6)の産生に起因する疾患の予防又は治療剤に対する。
ンで、免疫、血液、急性期反応等の様々な段階で作用し
〔Taga, T.ら、Critical Reviews in Immunol.1992;11:
265-280.〕、多発性骨髄種の増殖因子として作用するに
加え種々の疾患、例えば、リウマチ〔Hirano, T.ら、Eu
r J Immunol.1988;18:1797-1801; Houssiau, F.A. らAr
th Rheum.1988;31:784-788. 〕Castleman's disease
〔Yoshizaki, K. らBlood1989;74:1360-1367; Brant,
S.J.らJ Clin Invest.1990;86:592-599.〕のようなプラ
ズマサイト−シスがみられる病気、あるいはメサンギウ
ム細胞増殖性腎炎〔Ohta, K.らClin Nephrol.(Germany)
1992;38:185-189; Fukatsu, A.らLab Invest.1991;65:6
1-66; Horii, Y. らJ Immunol.1989;143:3949-3955.
〕、腫瘍増殖に伴う悪液質〔Strassmann, G.らJ Clin
Invest.1992;89:1681-1684.〕などでも重要な役割をは
たしていると考えられている。
(hIL−6)を過剰発現させたH−2Ld hIL−6
トランスジェニックマウス(IL−6 Tgm)ではI
gG1プラズマサイト−シス、メサンギウム増殖性腎
炎、貧血、血小板減少症、自己抗体の出現などが観察さ
れ〔宮井達也ら:第21回日本免疫学会発表「H−2L
d hIL−6トランスジェニックマウスの加齢に伴う血
液および血清学的変化」;1991〕、IL−6の多彩
な疾患に対する関与が示唆された。しかしながら、イン
ターロイキン−6レセプターに対する抗体が、インター
ロイキンの生産に対する疾患に対して有効であることは
知られていない。
ターロイキン−6の生産に起因する疾患の予防又は治療
剤を提供しようとするものである。
め、本発明はインターロイキン−6レセプターに対する
抗体を含んで成る、インターロイキン−6の生産に起因
する疾患の予防又は治療剤を提供する。インターロイキ
ン−6の生産に起因する疾患としては、例えばプラズマ
サイト−シス、例えばリウマチ、キャスルマン病(Ca
stleman’s disease);高イムノグロ
ブリン血症;貧血;腎炎、例えばメサンギウム増殖性腎
炎;悪液質等が挙げられる。
体は、IL−6によるシグナル伝達を遮断し、IL−6
の生物学的活性を阻害するものであれば、その由来およ
び種類(モノクローナル、ポリクローナル)を問わない
が、特に哺乳動物由来のモノクローナル抗体が好まし
い。この抗体はIL−6Rと結合することにより、IL
−6とIL−6Rの結合を阻害して、IL−6のシグナ
ル伝達を遮断し、IL−6の生物学的活性を阻害する抗
体である。
哺乳類であれば特に制限されず、ヒト抗体またはヒト以
外の哺乳動物由来であってよい。ヒト以外の哺乳動物由
来のモノクローナル抗体としては、その作成の簡便さか
らウサギあるいはげっ歯類由来のモノクローナル抗体が
好ましい。げっ歯類としては、特に制限されないが、マ
ウス、ラット、ハムスターなどが好ましく例示される。
は、MR16−1抗体(Tamura, T.ら、Proc.Natl.Aca
d.Sci.U.S.A.90,11924-11928,1993)、PM−1抗体(H
irata, Y.ら、J.Immunol.143,2900-2906,1989)などが
挙げられる。モノクローナル抗体は、基本的には公知技
術を使用し、以下のようにして作成できる。すなわち、
IL−6Rを感作抗原として使用して、これを通常の免
疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の
細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のス
クリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞
をスクリーニングすることによって作成できる。
成するには次のようにすればよい。例えば、前記感作抗
原としては、欧州特許出願公開番号EP325474号
に開示されたヒトIL−6Rの遺伝子配列を用いること
によって得られる。ヒトIL−6Rの遺伝子配列を公知
の発現ベクター系に挿入して適当な宿主細胞を形質転換
させた後、その宿主細胞中または、培養上清中から目的
のIL−6Rタンパク質を精製し、この精製IL−6R
タンパク質を感作抗原として用いればよい。また、マウ
ス由来の前記感作抗原としては、日本特許出願公開番号
特開平3−155795に開示されたマウスIL−6R
の遺伝子配列を用い、上記ヒトIL−6Rの遺伝子配列
を用いたのと同様な方法にしたがえばよい。
の他に細胞膜より離脱している可能性のもの(sIL−
6R)が抗原として使用できる。sIL−6Rは細胞膜
に結合しているIL−6Rの主に細胞外領域から構成さ
れており、細胞膜貫通領域あるいは細胞膜貫通領域と細
胞内領域が欠損している点で膜結合型IL−6Rと異な
っている。感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特
に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細
胞との適合性を考慮して選択するのが好ましく、一般的
にはマウス、ラット、ハムスター、ウサギ等が使用され
る。
法にしたがって行われる。例えば、一般的方法として、
感作抗原を哺乳動物に腹腔内または、皮下に注射するこ
とにより行われる。具体的には、感作抗原をPBS(P
hosphate−Buffered Saline)
や生理食塩水等で適当量に希釈、懸濁したものを所望に
より通常のアジュバント、例えば、フロイント完全アジ
ュバントを適量混合し、乳化後、哺乳動物に4−21日
毎に数回投与するのが好ましい。また、感作抗原免疫時
に適当な担体を使用することができる。
ベルが上昇するのを確認した後に、哺乳動物から免疫細
胞が取り出され、細胞融合に付されるが、好ましい免疫
細胞としては、特に脾細胞が挙げられる。前記免疫細胞
と融合される他方の親細胞としての哺乳動物のミエロー
マ細胞は、すでに、公知の種々の細胞株、例えば、P3
(P3x63Ag8.653)(J.Immunol.123:1548, 1
978), p3−U1 (Current Topics in Micro-biology
and Immunology 81:1-7, 1978), NS−1 (Eur.J.Immu
nol.6:511-519, 1976), MPC−11 (Cell, 8:405-41
5, 1976): SP2/0 (Nature, 276:269-270, 1978),
FO (J.Immunol.Meth.35:1-21, 1980),S194 (J.Ex
p.Med.148:313-323,1978), R210 (Nature, 277:131
-133, 1979)等が好適に使用される。
合は基本的には公知の方法、たとえば、ミルステインら
の方法 (Milsteinら、Methods Enzymol.73:3-46, 1981)
等に準じて行うことができる。より具体的には、前記細
胞融合は例えば、細胞融合促進剤の存在下に通常の栄養
培養中で実施される。融合促進剤としては例えば、ポリ
エチレングリコール(PEG)、センダイウィルス(H
VJ)等が使用され、更に所望により融合効率を高める
ためにジメチルスルホキシド等の補助剤を添加使用する
こともできる。
は、例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1−1
0倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液
としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適
なRPMI1640培養液、MEM培養液、この他、そ
の種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用可能で
あり、さらに、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併
用することもできる。
胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め、37
℃程度に加温したPEG溶液、例えば、平均分子量10
00−6000程度のPEG溶液を通常、30−60%
(w/v)の濃度で添加し、混合することによって目的
とする融合細胞(ハイブリドーマ)が形成される。続い
て、適当な培養液を逐次添加し、遠心して上清を除去す
る操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好
ましくない細胞融合剤等を除去できる。
液、例えば、HAT培養液(ヒポキサンチン、アミノブ
テリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することに
より選択される。当該HAT培養液での培養は、目的と
するハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅す
るのに十分な時間、通常数日〜数週間継続する。つい
で、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生
するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クロー
ン化が行われる。
抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継
代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期
保存することが可能である。当該ハイブリドーマからモ
ノクローナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマ
を通常の方法にしたがい培養し、その培養上清として得
る方法、あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある
哺乳動物に移植して増殖させ、その腹水として得る方法
などが採用される。前者の方法は、高純度の抗体を得る
のに適しており、一方、後者の方法は、抗体の大量生産
に適している。
ローナル抗体は、塩析法、ゲル濾過法、アフィニテイー
クロマトグラフィー法等の通常の精製手段を利用して高
純度に精製することができる。このようにして、作成さ
れるモノクローナル抗体は、放射免疫測定法(RI
A)、酵素免疫測定法(EIA,ELISA)、蛍光抗
体法(Immunofluorescence Ana
lysis)等の通常の免疫学的手段により抗原を高感
度かつ高精度で認識することを確認することができる。
は、ハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体に限
られるものではなく、ヒトに対する異種抗原性を低下さ
せること等を目的として人為的に改変したものであって
よい。例えば、ヒト以外の哺乳動物、例えば、マウスの
モノクローナル抗体の可変領域とヒト抗体の定常領域と
からなるキメラ抗体を使用することができ、このような
キメラ抗体は、既知のキメラ抗体の製造方法、特に遺伝
子組換技法を用いて製造することができる。
ヒト抗体を本発明に用いることができる。これはヒト以
外の哺乳動物、たとえばマウス抗体の相補性決定領域に
よりヒト抗体の相補性決定領域を置換したものであり、
その一般的な遺伝子組換手法も知られている。その既知
方法を用いて、本発明に有用な再構成ヒト型抗体を得る
ことができる。
性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように抗体
の可変領域のフレームワーク(FR)領域のアミノ酸を
置換してもよい(Satoら、Cancer Res.53:1-6, 1993)。
このような再構成ヒト抗体としてヒト型化PM−1(h
PM−1)抗体が好ましく例示される(国際特許出願公
開番号WO92−19759を参照)。
阻害するかぎり抗体の断片、たとえばFabあるいはF
v,H鎖とL鎖のFvを適当なリンカーで連結させたシ
ングルチェインFv(scFv)をコードする遺伝子を
構築し、これを適当な宿主細胞で発現させ、前述の目的
に使用することができる。(例えば、Birdら、TIBTECH,
9:132-137, 1991; Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.US
A, 85, 5879-5883, 1988 を参照) 。さらに、scFv
を作成するために用いるH鎖およびL鎖のFvには、上
記再構成された抗体のV領域を用いることができる。
分とするIL−6の生産に起因する疾患の予防治療剤
は、IL−6のシグナル伝達を遮断し、IL−6の生産
に起因する疾患に有効である限り、本発明において使用
することができる。本発明の予防治療剤は、好ましくは
非経口的に、たとえば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔
内注射、皮下注射等により全身あるいは局部的に投与す
ることができる。さらに、少なくとも一種の医薬用担体
または希釈剤とともに医薬組成物やキットの形態をとる
ことができる。
は患者の病態、年齢あるいは投与方法により異なるが、
適宜適当な量を選択することが必要である。例えば、お
よそ1−1000mg/患者の範囲で4回以下の分割用量
を選択することができる。また、1−10mg/kg/週の
用量で投与することができる。しかしながら、本発明の
予防治療剤はこれらの投与量に制限されるものではな
い。
剤化することができる。たとえば、注射用製剤は、精製
されたIL−6R抗体を溶剤、たとえば、生理食塩水、
緩衝液などに溶解し、それに、吸着防止剤、たとえば、
Tween80、ゼラチン、ヒト血清アルブミン(HS
A)などを加えたものであり、または、使用前に溶解再
構成するために凍結乾燥したものであってもよい。凍結
乾燥のための賦形剤としては例えばマンニトール、ブド
ウ糖などの糖アルコールや糖類を使用することができ
る。
具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。参考例1. B6Ld −IL−6トランスジェニックマ
ウスの作製 H−2Ld プロモーターと連結したヒトIL−6cDN
Aを含有する3.3kbp のSphI−XhoI断片(L
d −IL−6)(Suematsuら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.
S.A.,86,7547,1989)を、Yamamuraら、J.Biochem.96,35
7,1984 に記載されている方法に従ってC57BL/6
J(B6)マウス(日本クレア)からの受精卵の前核に
マイクロインジェクションにより注入した。
マウスの卵管内に移植した。その後、生まれたマウスに
ついて、ヒトIL−6cDNAの組込みをEcoRI消
化した尾部DNAのサザンブロット分析により、プロー
ブとしてヒトIL−6cDNAの32P−標識TaqI−
BanII断片を用いてスクリーニングした。組込みが認
められた個体とB6マウスを交配して同じ遺伝子型を持
つマウスのラインを確立した。
製 マウス可溶性IL−6R生産性CHO細胞を Saitoら、
J.Immunol.147,168-173,1991に記載されているようにし
て調製した。この細胞を、5%ウシ胎児血清(FBS)
を含有するαMEM中で37℃にて、空気中5%CO2
の加湿雰囲気下で培養した。馴化 (condition
ed)培地を回収し、そしてマウスsIL−6R調製物
として使用した。培地中のマウスsIL−6Rの濃度
は、サンドイッチELISAにより、モノクローナル抗
マウスIL−6R抗体RS15(Saito ら、J.Immunol.
147,168-173,1991)及びラビットポリクローナル抗−マ
ウスIL−6R抗体を用いて測定した。
調製物から、モノクローナル抗マウスIL−6R抗体
(RS12)を吸着させたアフィニテイーカラムにより
精製した。フロインドの完全アジュバント中50μgの
精製マウスsIL−6RによりWisterラットを皮
下注射免疫し、次に2週間後から1週間に1回、フロイ
ンドの不完全アジュバント中50μgのマウスsIL−
6Rにより4回皮下に追加免疫した。最後の追加免疫か
ら1週間後、ラットに100μlのリン酸緩衝液(PB
S)中50μgのマウスsIL−6Rを静脈内投与し
た。
ポリエチレングリコール(ベーリンガーマンハイム)を
用いて、ラットの脾細胞とマウスp3U1ミエローマ細
胞とを10:1の比で融合処理した。96−ウエルプレ
ート(Falcon3075)のウエル中37℃にて、
10%FBSを含有するRPMI1640培地100μ
l中で一夜インキュベートした後、ヒトIL−6を含有
するヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジン(HA
T)含有培地100μlを各ウエルに添加した。4日間
にわたり毎日、培地の半分をHAT培地により置換し
た。
ハイブリドーマをマウスsIL−6R−結合アッセイ
(ELISA)により選択した。要約すれば、ハイブリ
ドーマの培養上清100μlを60分間、ラビットポリ
クローナル抗−ラットIgG抗体を1μg/mlでコート
したプレート中でインキュベートした。プレートを洗浄
し、そして100μg/mlのマウスsIL−6Rと共に
インキュベートした。洗浄後、ラビットポリクローナル
抗−マウスIL−6R抗体を2μg/mlで加え、そして
プレートを洗浄し、そしてアルカリ性ホスファターゼ−
結合ヤギポリクローナル抗−ラビットIgG抗体(Ta
go)と共に60分間インキュベートした。
スファターゼの基質(Sigma104;p−ニトロフ
ェニルホスフェート)と共にインキュベートし、そして
405nmにてプレートリーダー(東ソー)を用いて読み
取った。マウスsIL−6Rを認識するハイブリドーマ
を限界希釈法により2回クローニングした。腹水の作製
のため、BALB/c nu/nuマウスに0.5mlの
プリスタンを2回注射し、そして3日後に3×106 個
の樹立されたハイブリドーマ細胞を腹腔内注射した。1
0〜20日後に腹水を集め、そして腹水からプロテイン
Gカラム(Oncogene Science)を用い
てモノクローナル抗体MR16−1を精製した。
−6に対する中和効果を、MH60.BSF2細胞 (Ma
tsuda ら、Eur.J.Immunol.18:951-956, 1988) による 3
H−チミジンの取り込みにより試験した。MH60.B
SF2細胞を96−ウエルプレートに1×104 細胞/
200μl/ウエルの量で分配し、マウスIL−6(1
0pg/ml)とMR16−1又はRS12抗体とをウエル
に加え、そして細胞を37℃にて5%CO2 中で44時
間培養した。次に、各ウエルに 3H−チミジン(1 mci
/ウエル)を加え、4時間後に 3H−チミジンの取り込
みを測定した。
IL−6トランスジェニックマウス(B6IL−6
Tgm)を自家繁殖したヒトIL−6 cDNAを持つ
トランスジェニックマウス31匹及びヒトIL−6 c
DNAを持たない正常同腹仔11匹(いずれも4週齢;
雄性)を用いた。B6 IL−6 Tgmは6匹づつ5
群(第1〜5群)に分け、第1群のみ7匹とした。また
正常同腹仔に第6群5匹及び第7群6匹に分けた。
日)にラットIgG1抗体(KH5)(対照抗体)を2
mg/0.2ml静脈内注射し、5週齢(実験第8日)以
降、週2回づつ(3ないし、4日毎)100μgのKH
5抗体を皮下注射した。 第2群(B6 IL−6 Tgm):4週齢にMR16
−1抗体を2mg/0.2ml静脈内注射し、5週齢以後週
2回づつ100μgのMR16−1を皮下注射した。
齢にリン酸緩衝液0.2mlを静脈内注射し、そして5週
齢以降週2回づつ100μgのMR16−1を皮下注射
した。 第4群(B6 IL−6 Tgm):4週齢に2mg/
0.2mlのMR16−1を静脈内注射し、そして5週齢
以降2週間ごとに400μgのMR16−1を皮下注射
した。
齢に2mg/0.2mlのMR16−1を静脈内注射し、そ
して5週齢以降2週間ごとに1mgのMR16−1を皮下
注射した。 第6群(B6 同腹仔):4週齢に対照抗体KH5を2
mg/0.2ml静脈内注射し、そして5週齢以降週2回づ
つ100μgのKH5を皮下注射した。 第7群(B6 同腹仔):4週齢に2mg/0.2mlのM
R16−1を静脈内注射し、そして5週齢以降週2回づ
つ100μgのMR16−1を皮下投与した。
りである。体重および尿蛋白測定 :毎週体重測定ならびに尿蛋白試
験紙(Combistics三共)による尿蛋白測定を
行った。尿蛋白は3+(100−300mg/dl)以上を
陽性とした。採血 :実験開始時(4週齢)より隔週に眼窩静脈叢より
採血を行い、実験終了時(18週齢)には後大静脈より
全採血を行った。
unter(Sysmex F−800)により、白血
球数(WBC)、赤血球数(RBC)、血小板数(PL
T)ならびにヘモグロビン量(HGB)を測定した。ま
た、実験終了時には一部の群(1,2,6,7群)につ
いて血液塗抹標本を作製し、白血球分画を行って百分比
を算出した。
としてmyeloma proteinを用いたマウス
IgG1特異的ELISAで測定を行った。血中hIL−6濃度測定 :hIL−6特異的ELISA
で測定を行った。血中抗ラットIgG抗体価(IgG class)測
定 :投与抗体はマウスにとって異種抗体であるため投与
抗体に対する抗体産生の有無をラットIgGを抗原とし
たELISAで測定を行った。測定はラット抗体を投与
されたadultのIL−6 Tgm血清をstand
ardとし、ユニット化して表示した。
について、総蛋白質(TP)、アルブミン(Alb)、
グルコース(Glu)、トリグリセライド(TG)、ク
レアチニン(CRE)、血中尿素窒素(BUN)、カル
シウム(Ca)、アルカリフォスファターゼ(AL
P)、グルタミン−オキサロ酢酸トランスアミナーゼ
(GOT)およびグルタミン酸−ピルビン酸トランスア
ミナーゼ(GPT)の各値をオートアナライザー(CO
BAS FARAII,Roche社)で測定した。
実験終了時に1,2,6,7群各1匹づつの骨髄ならび
に脾細胞を採取し、FACScan(ベクトン・ディッ
キンソン)による細胞表面抗原の解析を実施した。使用
した抗体は各々Gr−1(骨髄細胞)、CD4,CD
8,B220(脾細胞)に対する抗体(ファーミンジェ
ン社)である。剖検 :実験終了時に剖検を実施し、脾重量の測定ならび
に主要臓器の肉眼的観察を行った。
では体重増加が観察された。他の群には体重変化の違い
は観察されなかった。尿蛋白 :1群では13週齢より尿蛋白陽性個体が出現し
(図2)、剖検時までに7匹中4匹(16週齢で2匹、
17週齢で2匹)が死亡したが他の群では死亡例は観察
されなかった。3群でも実験終了時までに6例中2例で
尿蛋白陽性個体が出現したが、それ以外の群では認めら
れなかった。
量(図3)および赤血球数(図4)の減少が認められ、
加齢とともにその程度は著しいものとなった。血小板数
(図5)は一端増加したのち急激に減少した。3群で
は、1群よりやや遅れて同様の傾向が観察された。一
方、2,4,5群では何れの群においてもヘモグロビン
量、赤血球数の減少、血小板数の増加およびそれに続く
減少は認められなかった。末梢血塗抹による白血球分画
の観察では、1群で好中球および単球の増加、それにと
もなうリンパ球比率の減少が認められたが2群はほぼ正
常値を示した(表1)。また、6群と7群の間には有意
な差は存在しなかった。
後より著明な血中IgG1濃度の上昇が観察され最終的
には正常マウスの100倍程度の濃度に達した(図
7)。3群は1群よりやや遅れてIgG1濃度の上昇が
観察された。これに対し、2,4,5群ではIgG1濃
度の上昇は観察されず、実験期間中ほぼ一定の濃度であ
った。また、正常マウスでは抗体投与にともなう変化は
観察されなかった。
(図8)は、IgG1と同様に推移し、1群および3群
で血中濃度の上昇が観察されたのに対し、他の群では実
験期間中ほぼ一定であった。血中抗ラットIgG抗体価 :1,3および6群ではラッ
トIgGに対する抗体が検出された(表2)。1および
3群では全例高い抗体価を示したが、6群で抗体価が上
昇していたのは5匹中2匹であった。一方、その他の群
では有意の上昇は観察されなかった。
た。TGとALPは、1群と3群で低下し、1群ではG
luの低下もみられた。2群ではこれらの変化はみられ
なかった。
る骨髄細胞(BM)および脾細胞(sp)の解析を行っ
たところ1群のBM細胞では顆粒球系前駆細胞であるG
r−1陽性細胞の比率が極端に増加していた(図9、図
10)が2群では同腹仔と同様の値を示した。また、6
群と7群の間にはほとんど差がなかった。sp中のCD
4,CD8,B220陽性細胞の比率は1群で形質細胞
の増加によるCD8およびB220陽性細胞の減少が認
められた以外は各群間に差は認められなかった(表
4)。
パ節の腫脹、脾臓の膨張が顕著であり(図11)、腎臓
の退色も著明であった。一部、肝臓の腫大も観察され
た。これらの変化はその他の群では観察されず、2,
4,5群は同腹仔とくらべて脾臓が軽度に腫脹している
以外は著変はみられなかった。次に、この実験の結果を
説明する。コントロール抗体投与IL−6 Tgm(1
群)では、IgG1プラズマサイト−シス、貧血、血小
板増加、血小板減少、腎不全、血清生化学値の異常など
多彩な病態が観察されたが、これらの発症をMR16−
1はほぼ完全に抑制し得ることが明らかとなった。
せることが知られており〔Muraguchi, A. らJ Exp Med.
1988;167:332-344. 〕、IL−6 TgmはIL−6産
生により、血中のIgG1濃度が上昇し、血清中のTP
値の増加およびAlb値の低下がみられた。これらのこ
とは、IgG1プラズマサイト−シスが発症したことを
示している。
リンパ系組織が著明に腫大することが、1および3群で
病状進行により全身状態が悪化しているにも関わらず体
重増加が観察された原因であろう。MR16−1はこれ
らの症状を完全に抑制すると同時に血中IL−6濃度の
増加も抑制した。したがって、IL−6 Tgmで認め
られる加齢に伴う血中IL−6濃度の増加はプラズマサ
イト−シスの進行と直接関係していることが確認され
た。すなわち、増殖した形質細胞自身がIL−6を盛ん
に産生することによってさらに形質細胞が増殖し、結果
的にIL−6が大量に産生されることにあると考えられ
た。
血小板増加作用〔Ishibashi, T. らProc Natl Acad Sci
USA 1989;86:5953-5957; Ishibashi, T. らBlood 198
9;74:1241-1244.〕や小球性貧血を引き起こす作用〔Haw
ley, R.G.らJ Exp Med.1992;176:1149-1163. 〕が知ら
れている。IL−6 Tgmではこれらに加えて多クロ
ーン性B細胞活性化(polyclonal B ce
ll activation)進行に関連した自己免疫
性と考えられる〔宮井達也ら、前掲〕、加齢に伴う血小
板減少が観察される。
および間接的な血球系に対する作用を完全に抑制したが
同腹仔の血球数には影響しなかった。したがって、正常
状態において抗IL−6レセプター抗体は血球系になん
ら影響を及ぼさないことが確認できた。また、IL−6
Tgmでは骨髄中の顆粒球系前駆細胞と考えられるG
r−1陽性細胞比率の増加および末梢好中球比率の増加
が観察された。IL−6が好中球を増加させることは知
られているもののその詳細な機序は未だ明らかになって
いない。今回の検討でこの作用が骨髄の前駆細胞レベル
ですでに起こっている現象であることが判明した。ここ
でもMR16−1はIL−6の作用を完全に抑制し、骨
髄と末梢血中の好中球レベルには影響を与えなかった。
れる腎炎の発症も抑制した。IL−6はメサンギウム細
胞のオートクライン増殖因子としてメサンギウム増殖性
腎炎の発症に密接に関与していると報告されており、I
L−6 Tgmの腎炎も組織学的にメサンギウム増殖性
腎炎であることが確認されているが、IL−6によって
亢進された免疫系の関与も否定できない〔勝目朝夫ら:
第21回日本免疫学会発表「SCID×(SCID×H
−2Ld hIL−6 transgenicmous
e)マウスの特性」;1991〕。いずれにしても今回
の実験で尿蛋白出現および腎炎による死亡の抑制がみら
れたことから、IL−6産生に起因する腎炎発症の抑制
に抗IL−6レセプター抗体が有効であることが明らか
となった。
る血清中Glu値とTg値の著しい低下が観察された。
今回の実験では、1群ではGlu値とTg値が低下し、
2群ではこれらの値がほぼ正常と同程度に回復したこと
から、MR16−1抗体の投与が悪液質の改善に効果が
あることが示された。MR16−1はラットIgG1
で、マウスにとっては異種蛋白であるため投与抗体に対
する抗体が産生され投与抗体が無効になることが容易に
想像される。
暴露されることによって免疫学的寛容が誘導されること
を期待して初回に2mg/mouseの抗体を静脈内投与
した群を設定した。MR16−1投与群の内この処置を
施した群(2,4,5群)では投与間隔、投与量に関係
なく抗ラットIgG抗体は検出されず、完全な発症抑制
効果が観察されたが、3群は抗ラットIgG抗体が上昇
しコントロール抗体投与群である1群よりやや発症が遅
れたのみで結局は同様の病態を呈した。
に有効であったと考えられるが、抗ラットIgG抗体は
同様のスケジュールでコントロール抗体を投与した1群
の全例および6群の2/5例でも検出された。IL−6
Tgmはプラズマサイト−シスが進行するとpoly
clonal B cell activationが
起こるため、1群および3群で検出された抗ラットIg
G抗体が投与抗体特異的抗体であると断定はできない
が、2,4,5群では初回感作時に大量の抗原に暴露さ
れたことによる免疫学的寛容誘導効果と大量のMR16
−1投与による特異抗体産生抑制作用〔斉藤浩之ら、前
掲〕とが相まって完全な寛容が誘導されたのではないか
と考えられた。今回の実験で、抗IL−6レセプター抗
体が正常レベルには影響を与えずにIL−6産生に起因
する種々の疾患に対して極めて有効であることが明らか
となった。
ルに対するマウスIL−6レセプター抗体の効果を検討
した。マウスは6週齢の雄性BALB/cを用い、実験
開始日にcolon26の2mm角のブロックをマウスの
側腹部皮下に移植した。マウスIL−6レセプター抗体
MR16−1(参考例2参照)は、実験開始日のcol
on26移植直前に2mg/マウスを静脈内投与し、それ
以降7,11,14,18日目に0.5mg/マウスを皮
下投与した(n=7)。
する中和抗体が出現しづらいことを以前の実験で確認し
ている。なお、担癌コントロール群には、ラットIgG
lコントロール抗体(KH5)を同様のスケジュールで
投与した(n=7)。また、非担癌コントロール群とし
てPBS投与群を設置した(n=7)。実験開始後、連
日体重を測定し、実験開始11および15日目に血清生
化学的値および血中イオン化カルシウム濃度を測定し
た。
非担癌コントロール群に比べ著明な体重減少が観られた
が、MR16−1投与群では部分的な体重減少抑制効果
を示した(図12)。11日目の血中トリグリセリド濃
度および15日目の血中グルコース濃度を各々、図1
3、図14に示す。これらの値は担癌コントロール群で
は非担癌コントロール群に比べ顕著に減少したが、MR
16−1投与群では、グルコースについては抑制傾向
が、トリグリセリドについては有意な抑制効果が観察さ
れた。
は、担癌コントロール群で非担癌コントロール群に比べ
顕著に上昇したが、MR16−1投与群では有意な抑制
効果を示した(図15)。上記実験と同様のスケジュー
ルで延命効果を確認する実験を行った(n=10)。そ
の結果、MR16−1投与群では、延命効果があること
が認められた(図16)。
−1誘導悪液質モデルに対するIL−6レセプター抗体
の効果を検討した。マウスは、6週齢の雄性ヌードマウ
スを用い、実験開始日にヒト口腔底癌細胞株occ−1
をマウスの側腹部皮下に移植した。マウスIL−6レセ
プター抗体MR16−1(参考例2参照)は、実験開始
日のocc−1移植直前に2mg/マウスを静脈内投与
し、それ以降7および10日目に100μg/マウスを
皮下投与した。(n=6)。
する中和抗体が出現しづらいことを以前の実験で確認し
ている。なお、担癌コントロール群には、ラットIgG
lコントロール抗体(KH5)を同様のスケジュールで
投与した(n=6)。また、非担癌コントロール群とし
てPBS投与群を設置した(n=7)。実験開始10お
よび12日目に体重および血中イオン化カルシウム濃度
を測定した。担癌コントロール群では、体重減少が観察
されたが、MR16−1投与群では非担癌コントロール
群と同様の体重の推移を示し、体重減少が抑制された
(図17)。血中イオン化カルシウム濃度は、担癌コン
トロール群で非担癌コントロール群に比べ著明な上昇が
認められたが、MR16−1投与群では上昇が強く抑制
された(図18)。
グラフである。
グラフである。1群及び3群以外の群では尿蛋白質の陽
性率は0であった。
すグラフである。
ある。
ある。
ある。
グラフである。
を示すグラフである。
G及びGr−1抗体による、蛍光抗体セルソーティング
の結果を示す図である。
IgG及びGr−1抗体による、蛍光抗体セルソーティ
ングの結果を示す図である。
量を示すグラフである。
ラフである。
グリセリド濃度を示すグラフである。
コース濃度を示すグラフである。
ン化カルシウム濃度を示すグラフである。
である。
ウスの体重を示すグラフである。
ウスの血中イオン化カルシウム濃度を示すグラフであ
る。
Claims (14)
- 【請求項1】 インターロイキン−6レセプターに対す
る抗体を含んでなる、インターロイキン−6の産生に起
因する疾患の予防または治療剤。 - 【請求項2】 前記インターロイキン−6の産生に起因
する疾患がプラズマサイト−シスである、請求項1に記
載の予防または治療剤。 - 【請求項3】 前記インターロイキン−6の産生に起因
する疾患が高イムノグロブリン血症である、請求項1に
記載の予防または治療剤。 - 【請求項4】 前記インターロイキン−6の産生に起因
する疾患が貧血である、請求項1に記載の予防または治
療剤。 - 【請求項5】 前記インターロイキン−6の産生に起因
する疾患が腎炎である、請求項1に記載の予防または治
療剤。 - 【請求項6】 前記インターロイキン−6の産生に起因
する疾患が悪液質である、請求項1に記載の予防または
治療剤。 - 【請求項7】 前記プラズマサイト−シスがリウマチに
より惹起される、請求項2に記載の予防または治療剤。 - 【請求項8】 前記プラズマサイト−シスがキャッスル
マン病により惹起される、請求項2に記載の予防または
治療剤。 - 【請求項9】 前記腎炎がメサンギウム増殖性腎炎であ
る、請求項5に記載の予防または治療剤。 - 【請求項10】 前記抗体が、モノクローナル抗体であ
る、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の予防また
は治療剤。 - 【請求項11】 前記抗体が、PM−1抗体である、請
求項10に記載の予防または治療剤。 - 【請求項12】 前記抗体が、キメラ抗体である、請求
項10に記載の予防または治療剤。 - 【請求項13】 前記抗体が、再構成ヒト抗体である、
請求項10に記載の予防または治療剤。 - 【請求項14】 前記抗体が、再構成ヒトPM−1抗体
である、請求項13に記載の予防または治療剤。
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JP (1) | JP3827350B2 (ja) |
Cited By (1)
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WO2001024782A2 (de) * | 1999-10-06 | 2001-04-12 | Max-Delbrück-Centrum für Molekulare Medizin | Pharmazeutisches mittel zur behandlung von kachexie und/oder kardiogenem schock |
-
1995
- 1995-10-20 JP JP27289395A patent/JP3827350B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2001024782A2 (de) * | 1999-10-06 | 2001-04-12 | Max-Delbrück-Centrum für Molekulare Medizin | Pharmazeutisches mittel zur behandlung von kachexie und/oder kardiogenem schock |
WO2001024782A3 (de) * | 1999-10-06 | 2002-04-11 | Max Delbrueck Centrum | Pharmazeutisches mittel zur behandlung von kachexie und/oder kardiogenem schock |
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