JPH08168382A - ウイルス不含タンパクを生産する為の不死化リンパ球 - Google Patents

ウイルス不含タンパクを生産する為の不死化リンパ球

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JPH08168382A
JPH08168382A JP7224475A JP22447595A JPH08168382A JP H08168382 A JPH08168382 A JP H08168382A JP 7224475 A JP7224475 A JP 7224475A JP 22447595 A JP22447595 A JP 22447595A JP H08168382 A JPH08168382 A JP H08168382A
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ebv
plasmid
recombinant plasmid
immortalized
human
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William M Sugden
ウィリアム・エム・サグデン
Wolfgang F Hammerschmidt
ヴォルフガング・エフ・ハンマーシュミット
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒトリンパ球の不死化を達成する手段を提供
する。 【解決手段】 ヒトリンパ球の不死化に関与するエプス
タイン−バールウイルス(EBV)の遺伝情報を有する
が、EBVの溶菌的複製に関与する1以上の遺伝子を有
さない組換えプラスミドを構築する。その組換えプラス
ミドは、感染性EBV粒子を作ることが不可能でありな
がら、ヒトリンパ球を不死化することができるという利
点を有する。本発明はその組換えプラスミドが首尾よく
感染した、不死化したヒトリンパ球をも提供する。これ
らのヒトリンパ球のクローンは所望のタンパク質を作る
細胞工場として、および遺伝子治療用の運搬ビークルと
して使用できる。さらに、本発明は感染性EBV粒子を
作ることなく、所望のタンパク質を不死化した細胞工場
で製造する方法を確立する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は組換えDNA技術に
関する。本発明は、ヒトリンパ球を不死化する(immort
alize)ことはできるが感染性ウイルス粒子を産生でき
ないエプスタイン−バールウイルス(EBV)から誘導
される組換えプラスミドを提供する。その不死化したリ
ンパ球クローンは、ウイルスを含まないタンパク質を産
生する細胞工場として、またはヒト遺伝子治療のための
運搬ビークルとして用いることができる。
【0002】
【従来の技術】最近の10年に真核生物の組換えDNA
技術の開発および応用における進歩が見られている。例
えば外来遺伝子を或る真核生物宿主に運ぶレトロウイル
スベクターが開発された。ヒトのBリンパ球に用いるに
適したベクター系の開発においても進歩があった。それ
らの純粋な研究における利用とは別に、これらの進歩は
治療上の利用可能性を有する。しかし更なる進歩が必要
である。特にヒトのリンパ球を不死化できるベクターを
開発するのが望ましい。そのような不死化細胞系は、望
ましいタンパク質の製造のための細胞工場として、およ
びヒトの遺伝子治療のための運搬ビークルとして用いる
ことができるであろう。
【0003】EBVはヒトのリンパ球を、培養中に無限
に増殖する細胞系に転換する能力を有する。しかしなが
ら、EBVは潜在性および溶菌性の複製サイクルを有す
るので、EBVにより不死化されたヒトリンパ球は、内
在する潜在性EBVが溶菌的複製に入る場合にはいつも
感染性のEBV粒子を作り得る。感染性粒子を作るとい
うこの危険性のために、EBVにより不死化された細胞
を治療的に利用するのが不適切になる。したがって、ヒ
トのリンパ球の不死化に関与するEBV遺伝子情報を有
するが、EBVの溶菌的複製に必要な1以上の遺伝子を
欠いている組換えプラスミドを開発する必要がある。感
染性EBV粒子により汚染されていない所望のタンパク
質を産生できる、不死化したヒトリンパ球を作る為にそ
のようなプラスミドを用いるという必要性もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は組換えプラス
ミド、その組換えプラスミドにより不死化されたヒトリ
ンパ球、および様々な治療上の利用に役立つウイルスを
含まないタンパク質を製造する方法に関する。この組換
えプラスミドは、もとのウイルスの溶菌性の複製を許す
ことなくヒトリンパ球を不死化することができるウイル
スDNAを含んでいる。
【0005】
【課題を解決するための手段】その組換えプラスミド
は、選択したエプスタイン−バールウイルス(「EBV」)
DNAセグメントを、原核生物プラスミド骨格にクロー
ンすることにより形成される。その組換えプラスミド
は、ヒトリンパ球の不死化またはEBVの潜在的複製に
関与する遺伝子およびシス作用性エレメントを含む。一
方、その組換えプラスミドはEBVの溶菌的複製に関与
する1以上の遺伝子を欠く。その結果、そのプラスミド
はヒトリンパ球を不死化させる能力を保持する一方、E
BVの溶菌的複製に入りそのため感染性のEBVを作る
能力を欠いている。従って、そのプラスミドはヒトのリ
ンパ球を形質転換するための、および所望のタンパク質
をコードする外来遺伝子を導入するための有用なベクタ
ーである。
【0006】本発明の第2の態様は、本発明の組換えプ
ラスミドによって首尾よく感染され、不死化されたヒト
リンパ球を提供する。そのプラスミドにより感染された
ヒトリンパ球のクローンは、EBVの溶菌的複製に関与
する遺伝子情報のいくつかを欠いているので、そのクロ
ーンは感染性のEBV粒子を作り、放出することが本来
的に出来ない。そのヒトリンパ球クローンはそれ故、所
望のタンパク質の製造のための細胞工場として、および
ヒトの遺伝子治療のための運搬ビークルとして用いるこ
とができる。
【0007】本発明の第3の態様は、感染性のEBV粒
子により汚染されていない所望のタンパク質を製造する
方法に関する。この方法にはいくつかの変型がある。1
つの変型では、不死化ヒトリンパ球を、タンパク質生成
物、すなわち抗体またはリンホカインを製造するための
細胞工場として単に用いる。所望の特異性を有する抗体
を製造するためには、Bリンパ球を病人または抗原を投
与(チャレンジ)した人から得なければならない。生じ
たB細胞クローンを、よく確立された免疫技術を用いて
次にスクリーニングし、所望の特異性を有する抗体を産
生するクローンを同定する。これらの抗体は、受動免疫
を促進するために用いることができる。
【0008】該方法の他の変型は、所望のタンパク質生
成物をコードする遺伝子を、本発明に開示する組換えプ
ラスミドに、またはヒトのリンパ球クローンのゲノムに
クローンすることを含む。その組換えプラスミドが首尾
よく感染することにより、不死化したヒトリンパ球は、
感染性のEBV粒子を作ることなく、コードされたタン
パク質を製造できるであろう。
【0009】本発明で開示される方法の第3の変型は、
ヒト遺伝子治療のためのビークルとして、不死化したリ
ンパ球を用いることを含む。このアプローチは不死化し
た細胞を、ヒト受容体(レシピエント)に注入すること
を必然的に伴う。所望のタンパク質が抗体、リンホカイ
ンであるか、またはプラスミドにクローンされた外来遺
伝子の産物であるかに拘わらず、その不死化ヒトリンパ
球は所望のタンパク質を本来の場所で産生するであろ
う。ヒトリンパ球は、通常、リンパ球クローンを後に受
け取る同じ人から取り出されるので、注入された細胞の
ヒト受容体の免疫的な認識から生ずる複雑さは回避され
るであろう。
【0010】一般的記述 本発明は、ヒトリンパ球の不死化に関与するEBVの遺
伝子情報を含むが、EBVの溶菌的複製に関与する1以
上の遺伝子を欠いている組換えプラスミドを包含する。
その組換えプラスミドは溶菌的複製ができないので、感
染性のEBV粒子を作ることができない。本発明はま
た、本発明の組換えプラスミドによって首尾よく感染さ
れた不死化リンパ球クローンをも包含する。本発明はさ
らにEBVの感染性粒子を含まない所望のタンパク質を
製造する方法をも提供する。
【0011】組換えプラスミド 本発明は、ヒトリンパ球の不死化に、およびプラスミド
の潜在的複製に関与するEBV遺伝子およびシス作用性
エレメントを含む組換えプラスミドを提供する。その組
換えプラスミドはEBVの溶菌的複製に関与する1以上
のEBV遺伝子を欠いている。その組換えプラスミドは
EBVゲノムの一部分のみを含むので、ミニEBVと呼
ばれる。
【0012】その組換えプラスミドに含まれるリンパ球
を不死化するEBV遺伝子は、LMP1、EBNA2、
EBNA3a、EBNA3cおよびEBNA1である。こ
れらの遺伝子の開示およびさらなる記述については、Be
ttina Kempkes等の Immortalization of Human B Lymp
hocytes by a Plasmid Containing 71 Kilobase Pairs
of Epstein-Barr Virus DNA、 J. of Virol. 61巻、2
31〜38頁(1955)(以下「Kempkes等」とい
う);Panl J. Farrell、 Tumorigenic DNA Viruses、Adv
ances in Viral Oncology、第8巻、103〜27頁(G
eorge Klein編、1989)、およびElliot Kieff およ
び David Liebowitz、 Epstein-Barr Virusand lts Repl
ication、 Fields Virology、第2巻、1989〜192
0頁(Bernard. N. Fields 等編、第2版、1990)
を参照。これらの論文のすべては本明細書の一部を構成
する。LMP2a、LMP2b、EBER1、EBER
2、EBNA−LPおよびEBNA3b遺伝子は同様に
組換えプラスミド中に含まれ得るが、ヒトリンパ球はそ
れらがなくても不死化できる。
【0013】組換えプラスミド中に存在するシス作用性
エレメントは、TR、oriPおよびoriLytである。ori
Lytは、組換えプラスミドがヘルパー細胞の助けによ
り、ヒトリンパ球に容易に感染できるウイルス粒子中に
パッケージされるのを可能にする。上に引用したKempk
es等はこれらの遺伝子エレメントを同定し、記載してお
り、その開示は本明細書の一部を構成する。本発明の組
換えプラスミドはEBVの溶菌的複製に関与する1以上
の遺伝子を欠いている。それらの遺伝子はBALF5、
BALF2、BMRF1、BSLF1、BBLF4、B
BLF2/3、BcLF1、BZLF1、BRLF1お
よびBMLF1である。これらの遺伝子のいずれか一つ
が存在しない結果として組換えプラスミドは溶菌的複製
が本来的に不可能となる。Elizabeth D. Fixman等、tra
ms−Acting Requirements for Replication of Epstein
−Barr Vivrus OriLyt、 J. of Virol、 66巻、503
0頁(1992年8月)は、それらの機能および位置を
含めこれらの遺伝子を詳細に記載しており、この開示は
本明細書の一部を構成する。ある意味では、その存在ま
たは不存在によって本発明が定義される、上に述べた様
々なEBV遺伝子は、この先行技術において議論されて
おり、よくキャラクタライズされている。同書、Paul
J. Farrell、 Tumorigenic DNA VirusesAdvance in Vi
ral Oncology、8巻、103〜27頁(George Klein
編、1989年)およびElliot Kieff および David Li
ebowitz、 Epstein-Barr Virus and lts Replication. F
ields Virology、 2巻、1889〜1920頁(Bernar
d N. Fields 等編、第2版、1990年)参照。これら
は本明細書の一部を構成する。
【0014】A.組換えプラスミドの調製 組換えプラスミドを構築するのに用いるすべての材料は
特記しない限り商業的に入手し得る。組換えプラスミド
は、潜在的(latent)複製およびヒトリンパ球不死化に
関与するEBV遺伝子およびシス作用性エレメントを、
原核生物のプラスミド骨格に良く知られたクローニング
技術を用いてクローニングすることにより構築される。
原核生物プラスミド骨格は、すべての機能的に有意な遺
伝子を取り除いた原核生物プラスミドを含んでなり、残
りのDNAはその原核生物プラスミドにクローンされる
他のDNA配列の受け皿として働く。多段階染色体構築
(マルチステップクロモソーマルビルディング)と呼ば
れるクローニング技術が特に好ましい。何故なら、その
技術は、大きいが慎重に選択されたEBVセグメントが
原核生物骨格に付加されることを可能にするからであ
る。この技術の詳細について O'Connor 等、Constructi
on of Large DNA Segments in Escherichia coli、 Scie
nce、 244巻、1307〜1312頁参照。その開示
は本明細書の一部を構成する。その技術は部分的に重複
したDNAセグメントの最初のプラスミドへの逐次付加
(sequential addition)を含み、そのセグメントのそ
れぞれは異なったシャトルベクタープラスミドにより付
加される。上書およびKempkes等、J. of Virol.、61
巻、232〜233頁参照。これらの文献は本明細書の
一部を構成する。染色体構築技術はかくして一定の組成
を有する組換えプラスミドの段階的構築を可能にする。
【0015】その好ましい染色体構築技術を用いて、E
BVゲノムの大きいが慎重に選択した領域をF因子E.
Coliをベースにしたプラスミドにクローニングするこ
とにより組換えプラスミドを構築する。EBVの不死化
したコンピテントB95−8株からの9つのプラスミド
をE.Coliにおいて確立する。そのF因子プラスミドp
931.12は、次のシャトルプラスミド、すなわちp9
35.1と共にE.Coliにおける相同的組換えについて
の受容体として働く。
【0016】好ましい態様においてp935.1プラスミ
ドおよび他のすべての組換えプラスミドは、pMBO9
6クローニングベクターを用いて作られる。相同的組換
えは、recAアンバー対立遺伝子および温度感受性アン
バーサプレッサーを有するrecA+E.Coli RVsmc
中、またはrecAアンバー対立遺伝子並びに温度感受性
アンバーサプレッサーを有するrecA E.Coli CB
TS中で行われる。中間のプラスミドはresD発現プラ
スミドを用いることにより、コインデクレート(共挿
入)中に存在する2つのrfsF部位を介してリゾルブ(r
esolve)され、F因子原核生物骨格はEBV組換え挿入
物と共に保持される。部分的に重複したプラスミドを連
続した工程で付加すると、各プラスミドは、相同的組換
えにより生長中の組換え骨格構造に結合するDNAセグ
メントを付加する。
【0017】好ましいアプローチから生ずるp1244.
8組換えプラスミドはLMP1、LMP2a、LMP2
b、EBER1、EBER2、EBNA−LP、EBN
A2、EBNA3a、EBNA3b、EBNA3cおよび
ENNA1遺伝子およびTR、oriPおよびOriLytシ
ス作用性エレメントを含む。しかし、p1244.8aプ
ラスミドは、BALF5、BALF2、BBLF2/3
およびBcLF1遺伝子を欠いている。これらの4つの
遺伝子のそれぞれはEBVの溶菌的複製に関与するの
で、プラスミドp1244.8aは溶菌的複製をすること
ができず、従って、感染性EBV粒子を作ることができ
ない。しかしながら、EBVの溶菌的複製ができないこ
とは、EBVの溶菌的複製に関与する1以上の遺伝子の
どのようなセットを省略しても成し遂げ得るであろう。
【0018】ヘルパーウイルスの助けなしにヒトリンパ
球の不死化を開始し、維持することができる組換えプラ
スミドは、ヘルパーウイルスの検出可能な根痕を欠いて
いるリンパ球クローンから組換えプラスミドを救出(re
scue)することにより創出することができる。より詳細
についてはKempkes等、J.of Virol.61巻、23
3頁を参照。同文献は本明細書の一部を構成する。ヒト
のリンパ球の不死化を開始し、維持する救出されたプラ
スミドの能力は、リンパ球をウイルスストックの連続的
な希釈物にさらし、感染した細胞を半固体の培地にプレ
ーティングし、増殖したコロニーの数をウイルスストッ
クの連続的な希釈の関数としてプロットすることにより
試験できる。得られる「ワンヒットカイネティックス」
により単独の組換えプラスミドがヘルパウイルスの助け
なしに不死化を行い得るか否かが明らかになる。詳細に
ついてはKempkes等、J.of Virol、61巻、233
頁参照。同文献は本明細書の一部を構成する。
【0019】根痕のP3HR1ヘルパーウイルスも有し
ないBリンパ球のクローンを、それらのそれぞれのミニ
EBVを、E.Coliに救出し、それらの配列を決定す
ることにより研究した。これらの救出されたプラスミド
を広範囲に分析することにより、それらの構造がEBN
A3の遺伝子座を除きもとのp1244.8の組換えプラ
スミドと同じであることが明らかになる。変化したプラ
スミドはB細胞の不死化を開始することができ、野性型
のEBNA3遺伝子がそのような開始に必要であること
を示す。これらの組換えプラスミドは、ヒトリンパ球の
不死化を開始する固有の能力、および維持する固有の能
力を有するので好ましい。野性型ENBA3は標準的な
クローニング技術によってp1244.8aに挿入された
が、このアプローチは特に好ましい。
【0020】要約すると、ヒトのリンパ球の不死化の開
始および維持に関与するEBV遺伝子は含んでいるが、
EBVの溶菌的複製に関与する1以上の遺伝子を欠いて
いる組換えプラスミドは、他のいかなる遺伝情報の存在
とは関係なしに、本発明の範囲内にある。本発明を、好
ましい態様において使用するF−因子プラスミド系およ
びシャトルベクターにより例示するが、これらに限定さ
れない。適当なシャトルプラスミドが確立される限り、
事実上いかなる原核生物プラスミドも用い得る。
【0021】B.組換えプラスミドの使用 本発明により提供される組換えプラスミドは、以下に議
論するようにヒトリンパ球を不死化するのに用いること
ができる。そのプラスミドは外来遺伝子をヒトリンパ球
に運ぶベクターとしても用いることができる。その組換
えプラスミドは、不死化の過程並びにEBVの潜在的お
よび溶菌的複製サイクルを明らかにする研究手段として
も用いることができる。
【0022】不死化したヒトリンパ球 本発明の第2の態様は、上に議論し、本発明において開
示する組換えプラスミドに感染し、不死化したヒトリン
パ球クローンを提供する。そのクローンはEBVの溶菌
的複製に関与する遺伝的情報のいくつかを欠いているの
で、それらは感染性のEBV粒子を産生し、放出するこ
とが本来的にできない。それ故、そのヒトリンパ球クロ
ーンは、所望のタンパク質製造のための細胞工場とし
て、およびヒトの遺伝子治療のための運搬ビークルとし
て用いることができる。
【0023】A.不死化ヒトリンパ球の調製 ヒトリンパ球はDNAの取り込みおよび発現に一般に抵
抗性である。使用を容易にするため、組換えプラスミド
をウイルス粒子にパッケージし、即ち「キャプシドに入
れ」て、ヒトリンパ球に感染させる。oriLytおよびT
R(ターミナルリピート)シス作用性エレメントを組換
えプラスミドに入れることにより、プラスミドの増幅と
次のパッケージングが可能になる。
【0024】oriLytは溶菌的複製のためのEBVの起
点である。Lytic Origin of Replication for Epstein-
Barr Virus(EBV)、 米国特許第5,194,601号
(1993年3月16日発行)を参照。その開示は本明
細書の一部を構成する。組換えプラスミド中に oriLyt
が存在すると、プラスミドが増幅されるのを可能にす
る。TR(ターミナルリピート)エレメントが存在する
と増幅したプラスミドが解裂し、内在(endogeneous)
ヘルパーウイルスを有するリンパ芽球状ヘルパー細胞に
より、ウイルス粒子にパッケージされる。詳細について
はW.Hammerschmidtおよび B.Sugden、Nature
340巻、393頁を参照。その開示は本明細書の一部
を構成する。一度キャプシドに入れられると、組換えプ
ラスミドはヒトのリンパ球に容易に感染する。
【0025】ヘルパー細胞系は、組換えプラスミドを複
製し、パッケージするのに必要なすべてのトランス作用
性遺伝子を有するEBVの非不死化株に潜在的に感染し
た細胞のクローンである。Kempkes等、J.of Viro
l、61巻、232〜33頁参照。その開示は本明細書
の一部を構成する。好ましい態様において、HH514
ヘルパー細胞クローンと呼ぶ、P3HR1の感染したバ
ーキットリンパ腫のヘット(het)を含まない細胞クロ
ーンを用いる。L.Hesten、New Epstein-Barr Virus Vav
iants from Cellnlar Subclones of P3J−HR−1
Burkitt Lymphoma、Nature、 295巻、160〜163
頁(1982参照)。その開示は本明細書の一部を構成
する。これらのHH514細胞は10%のウシ胎児血清
を補ったRPMI培地中で増殖する。
【0026】組換えプラスミドは電気穿孔法または他の
適当な技術により適当なヘルパー細胞に導入する。更な
る詳細についてはKempkes等、J.of Virol、61
巻、232〜33頁参照。その開示は本明細書の一部を
構成する。プラスミドは好ましくはウイルストランス作
用性遺伝子BZLF1と共に導入して、EBVライフサ
イクルの溶菌相を誘発する。数日後、溶菌した細胞から
遊離されたウイルス粒子を収穫する。上書。各ウイルス
粒子はゲノム性ヘルパーウイルスDNA、組換えプラス
ミドのキャプシドに入ったコピー、または両者の間の可
能な組換え物を含む。ウイルスのストックを濾過して細
胞を除き、ヒトリンパ球、好ましくは一次ヒトBリンパ
球に感染させるのに用いる。B細胞をコード血液、成人
の末梢血液のバフィーコート画分または他のよく知られ
た源から収穫する。
【0027】ウイルス粒子にさらした後、ヒトリンパ球
を致死的に照射した(irradiated)ヒトの繊維芽細胞支
持細胞層上に限界希釈でプレートする。不死化したリン
パ球のクローンは、組換えプラスミドが単独で、または
ヘルパーウイルスと共に感染したリンパ球から発生する
が、ヘルパーウイルスのみが感染した細胞からは発生し
ない。不死化リンパ球のクローンが組換えプラスミドを
単独で有するのか、ヘルパーウイルスDNAと一緒に有
するのかを決定するために、標準的なサザーンブロット
およびPCR分析を用いてクローンをスクリーニングす
る。これらのよく知られた分析に関する詳細については
Kempkes、J.of Virol、61巻、232〜33頁を
参照。その開示は、本明細書の一部を構成する。30,
000細胞ゲノム当たり5分子未満のヘルパーウイルス
DNAというPCR分析を用いる感度レベルで、検出可
能なヘルパーウイルスの根痕を含まないクローンを見い
出すことができる。そのクローンは安定的に不死化して
いる。
【0028】キャプシドに入っていない組換えプラスミ
ドも、電気穿孔法または他の適当な技術によりBリンパ
球中に直接導入できる。B細胞クローンの増殖は、裸の
プラスミドDNAの導入後に培養において起こるが、B
細胞に感染させるのに用いる前に組換えプラスミドをパ
ッケージし、またキャプシドに入れる場合より効率が悪
い。従って、パッケージング工程を含めるのが好まし
い。
【0029】どのように注入しても、組換えプラスミド
は予期されるように、感染したリンパ球内部で染色体外
で複製する。これはGardellaのゲル技術を用いればわ
かる。一般的に、T.Gardella等、Detection of Circul
ar and Linear HerpesvirusDNA Molecule in Mammalian
Cells by Gel Electrophoresis、 J. of Virol、50
巻、248〜54頁(1984)参照。その開示は本明
細書の一部を構成する。
【0030】B.不死化ヒトリンパ球の使用 本発明は組換えプラスミドにより首尾よく感染され、不
死化したヒトリンパ球を提供する。そのクローンは組換
えプラスミド上のEBV遺伝子の存在により安定に不死
化しているが、その細胞はEBV溶菌相に入り、感染性
EBV粒子を作る能力を本質的に欠いている。従って、
その不死化ヒトリンパ球は有用な、EBVを含まないタ
ンパク質の製造に、およびヒトの遺伝子治療における運
搬ビークルとして著しく適している。
【0031】EBV汚染のない所望のタンパク質を製造
する方法 本発明の第3の態様は、EBVの感染性粒子を含まない
所望のタンパク質を製造する方法に関する。その方法は
いくつかの変型を含む。 (1)ヒトリンパ球本来の所望のタンパク質−一般的に
は抗体またはリンホカインの製造、(2)ヒトリンパ球
に導入された外来遺伝子によりコードされた所望のタン
パク質の製造、および(3)不死化された宿主リンパ球
がヒト受容体に実際に挿入されタンパク質がその場で製
造され、運搬される、所望のタンパク質(本来または外
来の)の製造。
【0032】3つの変型のすべては、ヒトのリンパ球の
不死化に関与するEBVの遺伝情報を有するが、EBV
の溶菌的複製に関係する1以上遺伝子を欠いている組換
えプラスミドにヒトリンパ球が感染することを必要とす
る。従って、3つの変型のすべては上に議論した技術ま
たは他のよく知られたクローニング技術による組換えプ
ラスミドの構築を必要とする。あるいは組換えプラスミ
ドは商業的に入手し得る。
【0033】どんな方法で得ても、その組換えプラスミ
ドは次に電気穿孔法または上に議論した他の適当な技術
により、ヘルパー細胞に導入し、EBV複製の溶菌相を
誘発する。数日後、キャプシドに入ったEBVウイルス
粒子を収穫し、ヒトのリンパ球に感染させるのに用い
る。3つの変型方法は重要な点でも異なる。
【0034】第1の変型は、不死化リンパ球を用いて大
量のそれらの共通のタンパク質生成物、すなわち、抗体
またはリンホカインを製造することを含む。抗体の場合
には、所望の特異性を有する抗体を製造し得る様に、抗
原をチャレンジしたそれぞれの個体からヒトB細胞を取
り出すことが要求され、かつそれが好ましい。例えば、
HIVウイルスの抗原に特異的な抗体をつくるために
は、B細胞をHIV陽性の人から取り出す。次にこれら
のB細胞を、上に議論したように本発明の組換えプラス
ミドの感染により不死化させる。
【0035】生じた不死化B細胞をよく知られた免疫的
技術を用いて次にスクリーニングし、関係するHIVエ
ピトープに特異的な抗体を産生するクローンを同定す
る。E.Harlowおよび D.Lanp、Antibodies、139〜
241頁(Cold Spring HarlorLaboratory、 1988)
参照。その開示は本明細書の一部を構成する。所望のB
細胞クローンを限界希釈および繰り返すサザーンブロッ
トおよびPCR分析に供し、HIV DNAが完全にな
いことを確認する。同書を参照。これらの分析を行うた
めにHIVウイルスに由来するDNA断片を利用しなけ
ればならないだろう。この変型方法は一般化できる。す
なわち、その方法は事実上すべてのよく知られた病原体
のエピトープに特異的なモノクローナル抗体を製造する
手段を提供する。その抗体はヒトの患者におけるまたは
実験目的のための受動免疫を確立するのに用いることが
できる。
【0036】第2の変型方法は、所望のタンパク質生産
物をコードする外来遺伝子を上述の組換えプラスミドま
たは宿主のリンパ球のゲノムにクローニングすることを
含む。どのようなよく知られた技術も所望の遺伝子を挿
入するのに用いることができる。J. Sambrook等、 Molec
ular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory、 19
89)参照。その開示は本明細書の一部を構成する。こ
の変型方法はクローンされた遺伝子によりコードされた
タンパク質の不死化ヒトリンパ球による大量生産を可能
にする。詳細については以下の実施例5参照。
【0037】第3の変型方法は不死化ヒトリンパ球をヒ
トレシピエント(受容体)に注入することを含む。不死
化ヒトリンパ球は、所望のタンパク質を、 それが抗体、
リンホカインであれ、クローン化された遺伝子の生産物
であれ、その場で産生できる。その方法で用いる主なヒ
トリンパ球は、不死化したリンパ球クローンを後に受け
取る同じ人から一般的に得られるであろうから、レシピ
エントの免疫系による免疫的な認識は回避される。詳細
についてはK. W. Culver、 Gene Therapy、4章(Mary A
nn Liebart、 1994)参照。その開示は本明細書の一
部を構成する。以下の実施例6も参照。
【0038】本発明においてはヒトリンパ球の不死化に
関与するすべてのEBV遺伝子要素は含むが、EBVの
溶菌的複製に必須の1以上の遺伝子を欠いている組換え
プラスミドが作られた。これらの組換えプラスミドは、
ヒトリンパ球の不死化を開始し、維持する能力を有する
が、溶菌的複製サイクルに入り、感染性のEBV粒子を
作る能力を本質的に欠いている。本発明はそのような組
換えプラスミドが首尾よく感染した不死化ヒトBリンパ
球をも提供する。さらに、本発明はEBVの感染性粒子
を含まない所望のタンパク質を製造する方法を提供す
る。
【0039】本発明は好ましい態様において記述した特
定の種の組換えプラスミドに限定されない。むしろ、付
加的な遺伝情報の存在または組換えプラスミド中に含ま
れる遺伝子の空間的な順序とは関係なく、不死化の開始
および維持に必要なEBV遺伝子を含むが、溶菌的複製
に必要な1以上の遺伝子を欠いているすべての組換え遺
伝子を含む。特許請求の範囲に記載された組換えプラス
ミドに関してなされたこれらの観察および制限は、特許
請求の範囲に記載された不死化されたヒトリンパ球およ
び方法に必然的にあてはまる。
【0040】
【実施例】
実施例1p1244.8aプラスミドの構築 プラスミドp1244.8aを、EBVゲノムの大きいが
慎重に選択した部分をF因子プラスミドに、染色体構築
技術を用いてクローニングすることにより構築した。E
BVの不死化−コンピテントB95−8株からの9つの
プラスミドをE.coliで確立した。F因子プラスミドp
931.12は、次のシャトルプラスミド、すなわちp9
35.1による、E.coli中の相同的組換えのための受
容体として働いた。p935.1プラスミドおよび他のす
べての組換えプラスミドはpMBO96クローニングベ
クターを用いて作った。
【0041】相同的組換えは、recAアンバー対立遺伝
子および温度感受性アンバーサプレッサーを有するrec
+E.coli RVsmc中またはrecA E.coli CB
TS中で行った。一緒にしたプラスミドをコインテグレ
ート中に存在する2つのrfsF部位を介してrecD発現プ
ラスミドを用いて分け(resolve)、F因子原核生物骨
格は、EBVの組換えた挿入物と共に保持された。隣接
し、部分的に重複したプラスミドを逐次工程で加えた。
加えたプラスミドは相同的組換えにより生長している組
換え骨格構造に連続的に結合し、生じたプラスミドを次
に分けた。
【0042】多段階染色体構築技術から究極的に生じた
p1244.8プラスミドは83,851bpの長さであ
り、原核細胞骨格と本発明では役割を果たさないマーカ
ー遺伝子を含む。加えた全EBV DNAはそれ自体は
約165kpbの長さであるEBVゲノムのうちの71kbp
に達する。プラスミドp1244.8はLMP1、LMP
2a、LMP2b、EBER1、EBER2、EBNA−
LP、EBNA2、EBNA3a、EBNA3b、EBN
A3cおよびEBNA1遺伝子、並びにTR、oriP、お
よびOriLytシス作用性エレメントを含む。p1244.
8aプラスミドはBALF5、BALF2、BALF2
/3およびBcLF1遺伝子を有さない。従って、プラ
スミドp1244.8aはEBVの溶菌的複製を支持する
ことが本来的に不可能である。しかし、それはB細胞の
不死化を維持することができる。
【0043】実施例2ヒトBリンパ球の不死化 p1244.8aプラスミドは実施例1および本明細書の
他の個所で詳述したようにして構築した。HH514ヘ
ルパー細胞クローンのサンプルを購入した。それはP3
HR1バーキットリンパ腫細胞系のhet−不含細胞クロ
ーンである。プラスミドp1244.8a DNA 10
μgを、10μgのpCMV−BZLF1と共に電気穿孔
法によりHH514細胞中に一時的に導入し、溶菌的ラ
イフサイクルを誘発した。HH514ヘルパー細胞を、
10%胎児牛血清を補ったRPM1培地中で増殖させ
た。放出されたウイルス粒子を5日後収穫した。
【0044】溶菌したヘルパー細胞から放出されたウイ
ルス粒子はゲノムP3HR1ヘルパーウイルスDNA、
p1244.8aのキャプシドに入ったコピー、またはそ
れらの間の可能な組換え物のいずれかを含んでいた。こ
のウイルスストックを次に滅菌し、濾過し、コード血
液、または成人の末梢血液のバフィーコート画分に由来
する一次ヒトB細胞に感染させるのに用いた。
【0045】感染させたB細胞を、96−ウエルクラス
タープレート中、致死的に照射した(irradiated)ヒト
の繊維芽細胞支持細胞層上に限界希釈でプレートした。
不死化B細胞クローンはp1244.8aプラスミドが感
染したB細胞からは生じたが、P3HR1ヘルパーウイ
ルスのみが感染した細胞からは生じなかった。
【0046】実施例3p1244.8a−6.6およびp1244.8a−8.4プラ
スミドの救出 最初の実験において、47の不死化B細胞クローンのう
ちの7つは、P3HR1ヘルパーウイルスの検出可能な
根痕をも有さないことが見い出された。さらに、p12
44.8aおよびP3HR1 DNAの両方が2重に感染
した1つのクローンは時間がたつと徐々にヘルパーウイ
ルスDNAを喪失した。これらの観察によりp1244.
8aはP3HR1の不存在下において不死化を開始する
ことができる可能性を生じた。
【0047】成人のBリンパ球を、p1244.8aを有
するウイルス粒子を含むウイルスストックの連続的な希
釈物にさらした。感染した細胞を半固体培地にプレート
し、増殖しているコロニーの数をウイルスストック連続
希釈物の函数としてプロットした。結果は「ツーヒット
カイネティックス(two−hit Kinetics)」であり、これ
は単独のp1244.8aプラスミドは不死化を開始でき
ないことを示した。P3HR1ヘルパーウイルスはp1
244.8aを伴わなければBリンパ球の増殖を開始する
ことができない。
【0048】P3HR1ヘルパーウイルスの検出可能な
根痕をも有しないB細胞クローンの2つを、それらのそ
れぞれのミニ−EBVをE.coliに救出し、それらの配
列を決定することによりさらに研究した。これらのプラ
スミドの広範な分析により、それらの構造はEBNA3
遺伝子座での構造を除き、p1244.8a親プラスミド
と同じであることがわかる。その2つの改変したプラス
ミドをBe253.30およびBe253.33細胞クロー
ンから救出し、それぞれp1244.8a−6.6およびp
1244.8a−8.4と名付けた。これらの改変プラス
ミドはB細胞不死化を開始し維持することができるとわ
かり、野性型のEBNA3遺伝子がそのような開始に非
常に関与していることを示した。B細胞不死化を開始
し、維持できるプラスミドは、野性型のEBNA3遺伝
子をp1244.8aにクローニングすることによっても
調製される。
【0049】実施例4不死化B細胞を用いたHIVエンベロープタンパク質に
特異的な抗体の発生 HIVエンベロープタンパク質に特異的な抗体を分泌す
る不死化B細胞を発生させるために、HIV陽性のドナ
ーからのB細胞を本発明のパッケージされた組換えプラ
スミドで感染させる。感染した細胞を限界希釈条件下、
マイクロリッターディッシュ中、照射した支持細胞層上
にプレートする。増殖しているB細胞クローンを有する
各ウエルを、ELISAまたは他の適当な免疫的分析を
用いて、HIVエンベロープタンパク質に特異的な抗体
について試験する。
【0050】陽性であるとわかったクローンを有するウ
エルをマイクロリッターディッシュにサブクローンし、
適当な特異性を有する抗体の存在につき再試験する。同
定したウエルからのすべてのクローン化した子孫がHI
Vエンベロープタンパク質に対する抗体を分泌すること
が見い出されるまでのこの方法を繰り返す。有用なクロ
ーンをPCRにより次にスクリーニングし、不要なEB
Vの溶菌性遺伝子およびHIVの存在を検出する。これ
らの不純物を含まない細胞のみを更に用いる。本実施例
で引用した技術は十分確立されている。E. Harlow およ
び D. Lane、 Antibodies、 139〜241頁(Cold Spr
ing Harbor Laboratory、 1988)参照。その開示は
本明細書の一部を構成する。
【0051】実施例5p1244.8aを用いる外来遺伝子のヒトBリンパ球へ
のクローニング その翻訳ターミネーターを有する組織プラスミノーゲン
活性化因子(TPA)遺伝子を、組換えプラスミドを構
築するのに用いるプラスミド誘導体にクローンすること
ができるであろう。TPA遺伝子は有効なプロモーター
の後部にクローンされねばならない: ヒトのサイトメガ
ロウイルスの即時の初期プロモーターが有効であろう。
【0052】外来の発現遺伝子を収容できる組換えプラ
スミド内部の1つの可能な部位はEBNA−1およびL
PMについての読み取り枠(オープン・リーディング・
フレーム)の間にある。約50kpのEBV DNAを組
換えプラスミド中のこの領域から除去し、必要な転写は
野性タイプEBVのこの領域をトラバースしない。TP
Aを含み発現するプラスミド誘導体(例えば、p124
2.1の)が構築できるであろう。この誘導体を多段階
染色体構築技術に用い、TPA遺伝子はp1244.8a
プラスミドのEBNA−1およびLMP間の領域に導入
されるであろう。外来遺伝子を含む組換えプラスミド誘
導体を構築し、試験するのに用いる技術の詳細について
は、J. Sambrook等、 Molecular Cloning(Cold Spring
Harbor Laboratory、 1989)参照。その開示は本明
細書の一部を構成する。
【0053】実施例6ヒトの遺伝子治療用ベクターとしての不死化ヒトBリン
パ球の使用 アデニンデアミナーゼ(ADA)欠損の患者からのBリ
ンパ球に、実施例5に記載の技術に従い、ADAのヒト
遺伝子がクローンされ、それが有効に発現する組換えプ
ラスミドを感染させる。J. Sambrook等、 Molecular Clo
ning(Cold Spring Harbor Laboratory、 1989)に
記載のタンパク質およびRNAについての試験によるA
DA発現レベルについて不死化細胞を分析する。上記開
示は本明細書の一部を構成する。ヘルパーウイルスを有
さず、所望のレベルのADAを発現するB細胞クローン
を患者に再導入して、治療的レベルのADAをその場で
提供する。詳細については、K.,W. Culver、 Gene Thera
py、 第4章(Mary Ann Liebart、 1994)参照。その
開示は本明細書の一部を構成する。
【0054】本発明のこれらのおよび他の目的並びに利
点は、実施例および好ましい態様を含む、上述の概要お
よび詳細な記述の部で議論され、説明され、サポートさ
れている。しかしながら、その態様は本発明の全範囲を
定義するものではなく、本発明は特許請求の範囲によっ
て主に定義される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/00 C 9452−4B // A61K 48/00 (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/00 C12R 1:91) (C12N 5/00 B C12R 1:91) (72)発明者 ウィリアム・エム・サグデン アメリカ合衆国53711ウィスコンシン州マ ディソン、フォックス・アベニュー2130番 (72)発明者 ヴォルフガング・エフ・ハンマーシュミッ ト ドイツ連邦共和国デー−81377ミュンヘン、 シュレーメル・シュトラーセ4番

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 LMP1、EBNA2、EBNA3a、
    EBNA3cおよびEBNA1を含む一組のEBV遺伝
    子、並びにTR、oriPおよびoriLytを含む一組のEB
    Vシス作用性エレメントを含んでなるDNAセグメント
    に結合した原核生物のプラスミド骨核を含んでなる、組
    換えプラスミドであって;該組換えプラスミドは、BA
    LF5、BALF2、BMRF1、BSLF1、BBL
    F4、BBLF2/3、BcLF1、BZLF1、BR
    LF1およびBMLF1またはそれらの組合せよりなる
    群から選択される少なくとも1つのEBVの溶菌遺伝子
    を含まない組換えプラスミド。
  2. 【請求項2】 それぞれの含まれるEBV遺伝子がその
    野生型のEBVプロモーターと関連している請求項1に
    記載の組換えプラスミド。
  3. 【請求項3】 LMP2a、LMP2b、EBER1、
    EBER2、EBNA−LP、およびEBNA3b、ま
    たはそれらの組み合わせを含む群より選択されるEBV
    遺伝子をさらに含んでなる、請求項1に記載の組換えプ
    ラスミド。
  4. 【請求項4】 LMP1、EBNA2、EBNA3a、
    EBNA3cおよびEBNA1を含む一組のEBV遺伝
    子、並びにTR、oriPおよびoriLytを含む一組のEB
    Vシス作用性エレメントを含んでなるDNAセグメント
    に結合した原核生物のプラスミド骨核を含んでなる組換
    えプラスミドが感染したヒトリンパ球を含んでなる不死
    化ヒトリンパ球であって、 該組換えプラスミドは、BALF5、BALF2、BM
    RF1、BSLF1、BBLF4、BBLF2/3、B
    cLF1、BZLF1、BRLF1およびBMLF1ま
    たはそれらの組合せよりなる群から選択される少なくと
    も1つのEBVの溶菌遺伝子を含まない不死化ヒトリン
    パ球。
  5. 【請求項5】 該組換えプラスミドが、LMP2a、L
    MP2b、EBER1、EBER2、EBNA−LPお
    よびEBNA3bまたはそれらの組み合わせから選択さ
    れるEBV遺伝子をさらに含んでなる請求項4に記載の
    不死化ヒトリンパ球。
  6. 【請求項6】 不死化ヒトリンパ球を用いてEBVの感
    染性粒子を含まない所望のタンパク質を製造する方法で
    あって、該方法は、(a)LMP1、EBNA2、EB
    NA3a、EBNA3cおよびEBNA1を含む一組の
    EBV遺伝子、並びにTR、oriPおよびoriLytを含む
    一組のEBVシス作用性エレメントを含んでなるDNA
    セグメントに結合した原核生物のプラスミド骨格を含ん
    でなる組換えプラスミドを得て(該組換えプラスミド
    は、BALF5、BALF2、BMRF1、BSLF
    1、BBLF4、BBLF2/3、BcLF1、BZL
    F1、BRLF1およびBMLF1またはそれらの組合
    せよりなる群から選択される少なくとも1つのEBVの
    溶菌遺伝子を含まない。)、(b)ヘルパー細胞を得
    て、(c)該組換えプラスミドを該ヘルパー細胞中に導
    入し、(d)ヘルパー細胞内部でEBVライフサイクル
    の溶菌相を誘発し、(e)溶菌したヘルパー細胞から放
    出されたウイルス粒子の集団を採集し、(f)ヒトリン
    パ球を得て、(g)該ヒトリンパ球にウイルス粒子の集
    団を感染させて、ヒトリンパ球の不死化したクローンを
    形成し、(h)ヒトリンパ球の該不死化したクローンを
    培養し、そして(i)所望のタンパク質を産生する該不
    死化クローンを選択する、ことを含んでなる方法。
  7. 【請求項7】 組換えプラスミドが、LMP2a、LM
    P2b、EBER1、EBER2、EBNA−LP、お
    よびEBNA3bまたはそれらの組合せよりなる群から
    選択されるEBV遺伝子をさらに含んでなる請求項6に
    記載の方法。
  8. 【請求項8】 所望のタンパク質生成物をコードする遺
    伝子が、工程(a)の組換えプラスミドにクローンされ
    ている請求項6に記載の方法。
  9. 【請求項9】 不死化ヒトリンパ球をヒト受容体に挿入
    して所望のタンパク質をそこで製造する請求項6に記載
    の方法。
  10. 【請求項10】 不死化ヒトリンパ球をヒト受容体に挿
    入して所望のタンパク質をそこで製造する請求項8に記
    載の方法。
JP7224475A 1994-07-30 1995-07-28 ウイルス不含タンパクを生産する為の不死化リンパ球 Pending JPH08168382A (ja)

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DE4427117A DE4427117C1 (de) 1994-07-30 1994-07-30 Plasmid und damit transfizierte Zellen
US504494 1995-07-20
US08/504,494 US5716845A (en) 1995-07-20 1995-07-20 Immortalized lymphocytes for production of viral-free proteins
US4427117-4 1995-07-20

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021507712A (ja) * 2017-12-20 2021-02-25 グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム エプスタインバールウイルス抗原構築物

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JP2021507712A (ja) * 2017-12-20 2021-02-25 グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム エプスタインバールウイルス抗原構築物

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