JPH08156498A - 墨汁用簡易硯およびそのパック - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 後処理が容易な墨汁用簡易硯を提供する。 【構成】 上面に窪みを有する硯池１ａと平らな硯丘１
ｂと周囲に上縁１ｃを有し、側面１ｅを傾斜させた硯台
１と、この硯台１の前記上面の硯池１ａと硯丘１ｂと上
縁１ｃおよび側面１ｅの形状に沿って形成された硯池２
ａと硯丘２ｂと上縁２ｃと側面２ｅとを有し前記硯台１
を被覆するパック２とから構成される、墨汁用簡易硯で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、墨汁用簡易硯に関し、
より詳しくは使用した硯の後処理が容易な、墨汁用簡易
硯に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、筆に墨をつけて墨書するときは、
まず石などで作られた硯台の上面の窪みに形成した硯池
に水を入れ、この水を固形の磨墨（するすみ）の先端に
つけて同硯の上面の平らな硯丘上で磨って墨汁をつく
り、その墨汁を筆の先につけることによって墨書してい
た。また、最近では、固形の墨を磨（す）ることなく、
最初から市販の墨汁を窪んだ硯池に入れ、その硯池にお
いて筆の先に必要な分量の墨をつけていた。また、前記
平らな硯丘は、前記筆先につけ過ぎた場合に墨汁を適宜
に取り除いて調整したり、または筆先の形状を整える場
合などに用いられていた。そして、このようにして使用
された前記硯の後処理としては、硯池に残留する墨汁
を、別に用意された墨壺に集めて回収した後、その硯台
になおも付着している無用な墨汁を、水道の水で洗い流
して後処理をしていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来の硯
台では、使用後に硯台の窪んだ硯池や平らな硯丘に付着
している墨汁を水道の水で洗い流すなどの後処理、いわ
ゆる硯洗い作業が面倒であるばかりでなく、墨汁は元来
落ちにくいものなので、その墨汁による汚染部分をきれ
いにするためには水道の水が多量に消費される、という
水資源に対する課題があった。本発明は、このような課
題を解決することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は次のような墨汁用簡易硯およびそのパック
を提供する。すなわち本発明は、上面に窪みを有する硯
池と平らな硯丘とを有する硯台と、この硯台の前記上面
の硯池と硯丘との形状に沿って形成され、前記硯台を被
覆するパックとからなる墨汁用簡易硯、および硯台の前
記上面の硯池と硯丘との形状に沿って形成された硯池と
硯丘とを有し、前記硯台に被覆可能に構成された、墨汁
用簡易硯のパックである。

【０００５】

【作用】上記構成において、パックは、硯台にかぶせ、
パックの硯池に墨汁を入れて使用する。また、使用後
は、前記パックは墨汁が付着したまま硯台から外し、そ
の墨汁の付着したパックは廃棄し、使い捨てとする。

【０００６】

【実施例】本発明の実施例について、以下、図面にした
がって本発明の構成が実際上どのように具体化されるか
を、その作用とともに説明する。図１は、本発明の一実
施例の分解斜視図であり、図中、１は硯台で、石または
瀬戸物、あるいはプラスチックなどでつくられる。この
硯台１は平面が方形をなし、上面に墨汁を溜める形状の
窪みの硯池１ａと、墨を磨るのに適した形状の平らな硯
丘１ｂと、外周をやや高めに構成した上縁１ｃとを有
し、上縁１ｃの四隅には、少し窪ませた溝１ｄを設けて
筆を置き易いように形成している。また、硯台１の側面
１ｅや硯池１ａの側面１ａｅ、硯丘１ｂの側面１ｂｅな
どは垂直とはせず、すべてやや台形状に傾斜させて形成
している。この硯台１の上方には、少し離れてパック２
が描かれている。このパック２は、前記硯台１に上方か
ら被せて使用するものであり、薄い一枚の合成樹脂製の
ものを前記硯台１の硯池１ａ、硯丘１ｂ、上縁１ｃ、溝
１ｄ、側面１ｅ、硯池１ａの側面１ａｅ、硯丘１ｂの側
面１ｂｅに沿ってそれぞれ対応する硯池２ａ、硯丘２
ｂ、上縁２ｃ、溝２ｄ、側面２ｅ、硯池２ａの側面２ａ
ｅ、硯丘２ｂの側面２ｂｅなどが形成され、これらによ
って被覆用のパック２が構成される。このパック２の前
記側面２ｅ、硯池２ａの側面２ａｅ、硯丘２ｂの側面２
ｂｅなども垂直とせず、傾斜させてやや台形状に形成さ
れているので、硯台１に対してパック２の着脱が容易で
ある。これらの硯台１とパック２とは、本発明の墨汁用
簡易硯を構成する。

【０００７】図２は、同実施例の使用状態を示す断面説
明図であり、硯台１の上に、その形状に沿って形成され
たパック２が被せてある。このパック２には、窪みであ
る硯池２ａがあり、この硯池２ａには墨汁３を溜めるこ
とができる。また、その硯池２ａに隣接する平らな硯丘
２ｂは、その表面上において筆４の筆先４ａに含まれた
余分な墨汁３を取り去るとか、同筆先４ａの形状を整え
るなどに使用される。パック２の側面２ｅ、硯池２ａの
側面２ａｅ、硯丘２ｂの側面２ｂｅは傾斜状に形成され
ているので、硯台１に対して着脱が容易である。この墨
汁用簡易硯は、使用後は水で洗う必要がなく、墨汁のつ
いたパック２を取り外して廃棄するだけでよい。

【０００８】図３は同実施例のパック２を多数枚重ね合
わせた説明図であり、側面２ｅなど縦方向の面は垂直と
せず、斜面状（台形状）に形成したので、パック２自身
を多数枚互いに隙間なく重ね合わせることが可能であ
り、重ね合わせた場合の容積が少なくて済むから、商品
として包装・運搬する場合に都合がよいものである。

【０００９】図４は、本発明の他の実施例を示す断面説
明図であり、この図が前記一実施例と異なる点は、硯台
１の硯池１ａが硯丘１ｂの中央に設けられ、パック２の
硯池２ａと硯丘２ｂがこれに沿って構成されている点で
ある。このような構造としたことにより、筆先の余分な
墨汁３を取り除くときや、筆先の形状を整えるときは、
パック２の硯池２ａの周囲左右に硯丘２ｂがあるから、
前記筆に含まれた余分の墨汁を取り除くときや、筆先の
形状を整えるときなど、硯池２ａから硯丘２ｂに移動す
る際の筆の操作に便利である。

【００１０】図５は、本発明のさらに他の実施例を示す
斜視説明図であり、この実施例が前記二つの実施例と異
なる点は、前記二つの実施例は、硯台１およびパック２
の平面形状が方形を基調としているのに対して、この実
施例はその平面形状が円形を基調としている点である。
すなわち、硯台１の硯池１ａ、硯丘１ｂ、上縁１ｃ、側
面１ｅの上に、それぞれパック２の硯池２ａ、硯丘２
ｂ、上縁２ｃ、側面２ｅが被覆されているが、これらの
形状がすべて円形をなしている点である。この硯池２ａ
の周囲すべてが硯丘２ｂで囲まれているので、筆先の前
記操作はいっそう便利である。そしてこのような円形状
とすることによって、暖かみや柔軟性など、趣味性を広
げて感じさせることもできる。

【００１１】図６は本発明のさらに他の実施例を示す分
解斜視説明図で、この図が前述の実施例と異なる点は、
硯台１およびパック２の硯池１ａおよび２ａに、それぞ
れ仕切り５および６を設け、その両面にそれぞれ小池５
ａ・５ｂおよび小池６ａ・６ｂを形成させていることで
ある。この仕切り５および６は、硯池１ａ・２ａの中に
それぞれ設けられ、その高さが硯１ｂ・２ｂより低くな
るように設けられている。すなわち、前記仕切り５およ
び６より低い領域はそれぞれ小池として用いることがで
きるが、硯丘１ｂ・２ｂより低い領域は、前記小池を含
めてすべて通常の硯池１ａ・２ａとして用いることがで
きるものである。このような構造にしたことにより、も
し墨汁を少ししか必要としない子筆を使用する場合は、
前記パック２の小池６ａまたは６ｂのいずれか一方を使
用することとし、墨汁は仕切りの高さを越えない程度に
入れておく。また、墨汁が沢山必要なときは、パック２
の前記仕切り６を越える量の墨汁を入れれば前記仕切り
のない実施例と同様に大きな硯池２ａとして使用するこ
とができる。なお、前記仕切り５および６は前記硯池１
ａ・２ａの中央に設け、左右の小池５ａ・５ｂおよび６
ａ・６ｂを同一の大きさとしてもよいが、その仕切り５
および６を図のように中央より左右いずれかに偏在させ
ることにより、小池５ａ・５ｂおよび６ａ・６ｂの左右
の大きさを変えれば、硯池は大・中・小と３種類に使い
分けができ、容量の選択性がさらに向上して便利にな
る。また同仕切り５・６のうち、硯台１の方について
は、仕切り５は取り付けないでおいて、パック２の仕切
り６だけとしても小池６ａ・６ｂは形成されること勿論
である。

【００１２】図７は本発明のさらに他の実施例の斜視説
明図で、この実施例が前述の実施例と異なる点は、硯台
１の側面に溝７・７を設けた点である。このような構造
としたため、硯台１に被せてあったパック２を取り外す
際に、その硯台１とパック２との間に同溝７・７をとお
って空気が容易に入り、パック２を剥がし易くなる。ま
た、パック２を硯台１に被せるときも、パック２と硯台
１との間の空気がこの溝７・７をとおって外に排出され
るから、パック２を容易に被せることができる。そのほ
か、図示しないが、他の実施例として硯台の硯池または
硯丘のいずれか一方、または両方に、底部に貫通する空
気孔をあけることによっても空気の通り道が形成され、
前記同様硯台に対するパックの着脱が容易となる。以
上、実施例について説明したように、本発明は硯池と硯
丘とを有する硯台と、この硯台の上面の硯池と硯丘との
形状に沿って形成され、前記硯台を被覆するパックとで
墨汁用簡易硯を構成し、使用後はそのパックを破棄すれ
ばよいので、硯台を洗う手間が省け、使用者にとって便
利である。また、洗わなくて済むから洗い水が不要とな
り、水資源を節約することができる。さらに、硯台およ
びパックは側面などが斜めの台形をなし、垂直部分がな
いから、硯台とパックとの重ね合わせが容易に行うこと
ができまた、パックだけの複数の重合わせも合理的にで
き商品としての包装や運搬時の効率をよくしている。そ
のほか、硯池を硯丘の中央に配置することによって、筆
を整える動作を便利にしたり、硯の平面形状を方形から
円形にして趣味性をもたせたり、硯池を仕切りで２分
し、子筆など墨汁の容量の少ない場合にも柔軟に適応さ
せたり、硯台の方の側面に溝による空気の通り道を設
け、または硯台側の硯池や硯丘に底部に貫通する図示し
ない空気孔を設けることにより、パック着脱を容易にす
ることができる。

【００１３】

【発明の効果】本発明の墨汁用簡易硯は、上面に窪みを
有する硯池と平らな硯丘とを有する硯台と、この硯台の
前記上面の硯池と硯丘との形状に沿って形成され前記硯
台を被覆するパックとから構成されたので、使用後はパ
ックのみを廃棄すればよく、硯台を洗う手間を省くこと
ができるから、後処理が便利である。また、硯台は洗わ
なくて済むから、洗い水が不要であり、水資源を節約す
ることができる。さらに、パックは側面などが傾斜した
台形をなして垂直部分がないように形成したので、多数
のパックを互いに隙間なく重ね合わせることができ、場
所をとらないからパックの包装・運搬時の効率がよい、
などの効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の分解斜視説明図である。

【図２】同実施例の使用状態を示す断面説明図である。

【図３】同実施例のパック２を多数枚重ね合わせた説明
図である。

【図４】本発明の他の実施例を示す断面説明図である。

【図５】本発明のさらに他の実施例を示す斜視説明図で
ある。

【図６】本発明のさらに他の実施例を示す分解斜視説明
図である。

【図７】本発明のさらに他の実施例を示す分解斜視説明
図である。

【符号の説明】

１ 硯台 １ａ １の硯池 １ｂ １の硯丘 ２ パック ２ａ ２の硯池 ２ｂ ２の硯丘

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上面に窪みを有する硯池と平らな硯丘とを
   有する硯台と、 この硯台の前記上面の硯池と硯丘との形状に沿って形成
   された硯池と硯丘とを有し前記硯台を被覆するパックと
   からなる、墨汁用簡易硯。
2. 【請求項２】硯台の上面の硯池と硯丘との形状に沿って
   形成された硯池と硯丘とを有し、前記硯台に被覆可能に
   構成された墨汁用簡易硯のパック。