JPH08153085A - 配送計画問題の最適解探索方法及びその装置 - Google Patents

配送計画問題の最適解探索方法及びその装置

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JPH08153085A
JPH08153085A JP29188194A JP29188194A JPH08153085A JP H08153085 A JPH08153085 A JP H08153085A JP 29188194 A JP29188194 A JP 29188194A JP 29188194 A JP29188194 A JP 29188194A JP H08153085 A JPH08153085 A JP H08153085A
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Jiichi Igarashi
治一 五十嵐
Hironao Kawashima
弘尚 川嶋
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 配送計画問題をエネルギー関数の最小化問題
として定式化してシミュレーテッド・アニーリング法を
用いてこのエネルギー関数の最小状態を求めることによ
り、配車と配送順序との最適解を探索するようにした配
送計画問題の最適解探索方法又は装置において、エネル
ギー関数における重み係数を試行錯誤によらず、自動的
に調節できるようにすること。 【構成】 具体的に目標値を設定し得る制約条件を表す
制約項と、制約条件以外の最小にしたいコスト関数を表
すコスト項とに分けて定義されたエネルギー関数中の制
約項に関して、重み係数の調節手段8によって、その重
み係数の値をパラメータ更新則によって自動的に調節す
るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、配送計画問題に対して
与えられる各種の制約条件が満たされ、かつ、コストを
極力抑えることができるような最適な配車と配送順序と
を探索する配送計画問題の最適解探索方法及びその装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】複数の車両を用いて多数の荷物を各々の
配送先に配送するには、どの車両にどの荷物を積み込み
(配車)、かつ、各車両が割り当てられた配送先をどの
ような順序で回るか(配送順序又は配送経路)という2
つの問題が解かれなければならない。特に、配送先にお
いて、配送時刻の指定や乗り入れ可能な車両種に関する
制限、車両積載量の上限、車両の出発時刻や帰着点など
の種々の制約条件が課される場合がある。その場合に
は、これらの制約条件を全て満たし、かつ、与えられた
目的関数を最小化する解が求められる必要がある。目的
関数としては、実用的には、各車両が費やした配送時間
の総計や偏差、或いは、全ての配送が完了する時刻など
が必要とされている。
【0003】このような配送計画問題の具体的な例とし
ては、例えば、トラックによる食品、飲料品、衣類、部
品、生産物などの荷物を、飲食店、商店、工場、一般家
庭などに配送する場合が挙げられる。このような配送計
画問題では、最適な組み合せを探索して最適な配送計画
を立案することが必要となる。
【0004】そこで、従来における配送計画問題につい
て最適解を探索する方式として、各種手法が研究され、
例えば、以下のように提案・報告されている。
【0005】第1の従来例として、“Routing and Sc
heduling of Vehicles and Crews”(Bodin L.,Go
lden B.,Assad A.,and Ball B., Comput. & Op
s.Res.,10,2,pp.63-211(1983))(文献1)に示される
ような手法がある。この文献1では、従来からのOR的
なアプローチ法のレビューがなされており、配送計画問
題を配車と配送順序との2つの決定問題に分割する「2
段階法」に属する方法の代表例として、スイープ法(S
weep法)や一般化割当法などが示されている。前者のス
イープ法は、デポ(配送センタ)を中心とした角度を基
に、時計回りに扇状の領域でグループ化(配車)してい
く方法であり、後者の一般化割当法は、車両台数個の種
点となる配送先とデポとの往復路に配送先を挿入するこ
とにより発生する利得でグループ化を評価する方法であ
る。
【0006】これらの2段階法は、配車と配送順序との
相互関係を無視しているので、現実の配送計画問題に付
随する制約条件をどの段階で用いるかという点に関して
は、経験に頼る要素が大きく、制約条件や目的関数の変
更・追加に柔軟に対処できるとはいい難い手法である。
【0007】2段階法以外の従来の代表例として、セー
ビング法(Saving法) も文献1中で挙げられている
が、この手法の場合も同様の欠点がある。特に、総移動
距離の最小化に重点が置かれているので、他の目的関数
を考慮しにくく、汎用性に欠けるものである。
【0008】第2の従来例として、論文「ロジスティク
ス高度化のための配車・配送計画」(川嶋弘尚、国府方
久史、齋藤公一朗、佐野方俊;交通工学、28,5,pp.21-2
8(1993))(文献2)に報告されているように、2段階法
の各段階で、決定論的な動作をするアナログニューラル
ネットワークモデルを用いた手法がある。この手法は、
かなり複雑な制約条件を持った現実の配車・配送計画問
題に適用されて、現実によい結果が得られている。即
ち、この手法では、配車・配送計画問題を、制約条件と
目的とをエネルギー関数で表現し、エネルギー最小化の
問題に帰着させており、汎用性に優れている。
【0009】しかし、この手法の場合、問題を2段階に
分割すること自体がかなり大きな近似であることを意味
しており、2つの段階で取り扱われる問題の相互作用を
無視していることには変わりがない。例えば、第1段階
(配車)では正確な配送経路が決定されていないので、
配送時刻指定や各車両間の配送時間の均等化を考慮して
配車を行う、というようなことはできない。また、同一
の車両を回転して使用する場合や車両毎に帰着地点が異
なるような場合にも対処しにくい。
【0010】第3の従来例として、“Metastrategy si
mulated annealing and tabu search algorithms for t
he vehicle routing problem”(Osman I.H.Annal
s ofOperations Research,41,pp.421-451(1993))(文
献3)に示されるような手法がある。文献3では、エネ
ルギー関数を定義して、このネルギー関数をシミュレー
テッド・アニーリング法を用いて最小化する手法が示さ
れている。
【0011】しかし、この手法の場合、動き得る範囲を
実行可能解に限定しており、かつ、エネルギー関数も総
移動距離のみを考慮しているに過ぎず、汎用性に欠け
る。
【0012】第4の従来例として、「配送問題における
最適な配車と配送順序の探索装置および探索方法」(特
願平5-319743号)として出願され、「シミュレーテッド
・アニーリング法を用いた配送計画支援システム」(五
十嵐治一、1994年度人工知能学会全国大会(第8回)1994
年6月22日 pp.373-376)(文献4)として報告された手法
がある。この手法は、まず、制約条件とコストとを表現
した項の線形和によりエネルギー関数(計画案が妥当で
ない程度を数値的に表現している)を定義し、かつ、そ
のエネルギー最小化の手法としてシミュレーテッド・ア
ニーリング法を用いている点を特徴としている。即ち、
制約項、コスト項からなるエネルギー関数の最小状態を
シミュレーテッド・アニーリング法を用いて探し出すよ
うにしたものであり、2段階法のような近似法に依らな
いため、汎用性・柔軟性に富む手法といえる。
【0013】より詳細には、エネルギー関数中の制約項
は、例えば、積載量の上限に対する超過量の総和を表す
項、各配送先に設定された配送時刻に関する制約条件を
表す項、各配送先に設定された受け入れ車両のサイズに
関する制約条件を表す項などからなり、コスト項は、各
車両が配送に要した時間の総和を表す項、全ての配送先
での積み下ろし作業が完了するまでの全配送完了時間を
表す項、指定した車両間での配送時間の標準偏差を表す
項などからなり、各項の重み係数の値を各制約条件と各
コストの重要さの度合いに応じて設定することが可能な
手法とされている。そして、エネルギー関数自体は、制
約項とコスト項との線形和で表されており、制約が満た
されてコストが小さくなればエネルギー関数が小さな値
をとるように定義されている。また、他の従来例でも例
示したシミュレーテッド・アニーリング法は、組み合わ
せ最適化問題の1つの解決法であって多くの分野で応用
が試みられているもので、処理が簡単で、かつ、必ずし
もニューロンの集団により問題を定式化する必要がな
い、という特徴を持つ。よって、解の表現を工夫するこ
とにより、冗長性をなくして、探索空間を制限すること
で、計算時間を短縮できる利点が得られる。
【0014】しかし、文献4に示される手法において
は、エネルギー関数中の重み係数の設定に関しては、何
も規定されておらず、現実には、試行錯誤で重み係数を
決定するしかなく、不便である。即ち、エネルギー関数
中の重み係数を試行錯誤で変更し、繰り返し最小化をシ
ミュレーテッド・アニーリング法などで実行する必要が
ある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】結局、これらの第1〜
4の従来例の問題点を簡単にまとめると、 第1の従来例;制約条件や目的関数の変更・追加に柔軟
に対処できず、システムとしての汎用性・柔軟性に欠け
る。 第2の従来例;2段階法で用いた近似による誤差が大き
く、得られる解の精度が悪くなる可能性が高い。 第3の従来例;扱う目的関数が総移動距離だけであるの
で、問題が多目的の場合に対処できない。 第4の従来例;エネルギー関数中の重み係数の設定が試
行錯誤に頼っている。となる。
【0016】本発明は、これらの点を考慮し、基本的に
第4の従来例に示されるような手法を踏襲して、配送計
画問題をエネルギー関数の最小化問題に帰着させてエネ
ルギー最小化という枠組みを用いることによって、目的
や制約条件の変更・追加に柔軟に対処し得るとともに、
エネルギー関数について、具体的に目標値を設定し得る
制約条件を表す制約項と、制約条件以外の最小にしたい
コスト関数を表すコスト項とに分けることにより、配送
計画者が理想的な計画の範囲を指定できるようにした上
で、制約項の重み係数に関して自動的に調節し得るよう
にすることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の配
送計画問題の最適解探索方法は、多数の荷物を複数の車
両で複数の配送先に配送する配送計画問題をエネルギー
関数の最小化問題として定式化して配送計画案のエネル
ギー値を演算し、シミュレーテッド・アニーリング法を
用いてこのエネルギー関数の最小状態を求めることによ
り、前記多数の荷物を前記各車両に割り振る配車と前記
各車両が割り振られた配送先に各荷物を配送する配送順
序との最適解を探索するようにした配送計画問題の最適
解探索方法において、前記エネルギー関数を、具体的に
目標値を設定し得る制約条件を表す制約項と、制約条件
以外の最小にしたいコスト関数を表すコスト項とに分け
て定義し、前記エネルギー関数中の前記制約項の重み係
数の値をパラメータ更新則によって調節して、シミュレ
ーテッド・アニーリング法による最適解の探索を行い、
調節された重み係数の値を持つ制約項に関して設定され
た目標値を満足し、かつ、コスト項を最小とする状態を
示す配車と配送順序との最適解を求めるようにした。
【0018】請求項2記載の発明の配送計画問題の最適
解探索方法は、請求項1記載の発明の配送計画問題の最
適解探索方法において、エネルギー関数中の制約項の制
約条件が配送先又は配送車両毎に設定されているとき、
各制約項が満足すべき目標値である制約目標値関数を前
記配送先又は配送車両毎に設定するようにした。
【0019】請求項3記載の発明の配送計画問題の最適
解探索方法は、請求項2記載の発明の配送計画問題の最
適解探索方法における制約目標値関数を、ある有限区間
の値をとるアナログ関数により表現するようにした。
【0020】請求項4記載の発明の配送計画問題の最適
解探索方法は、請求項1,2又は3記載の発明の配送計
画問題の最適解探索方法における重み係数の値を調節す
るパラメータ更新則の適用に際して、初期温度における
制約条件満足度の目標値の値を前記初期温度における制
約条件満足度と同一又は近傍の値に設定するようにし
た。
【0021】請求項5記載の発明の配送計画問題の最適
解探索装置は、多数の荷物を複数の車両で複数の配送先
に配送する配送計画問題をエネルギー関数の最小化問題
として定式化して配送計画案のエネルギー値を演算手段
により演算し、シミュレーテッド・アニーリング法を用
いる最小化手段よりこのエネルギー関数の最小状態を求
めることにより、前記多数の荷物を前記各車両に割り振
る配車と前記各車両が割り振られた配送先に各荷物を配
送する配送順序との最適解を探索するようにした配送計
画問題の最適解探索装置において、前記エネルギー関数
について、具体的に目標値を設定し得る制約条件を表す
制約項と、制約条件以外の最小にしたいコスト関数を表
すコスト項とに分けて定義する項決定手段と、前記最小
化手段による最小化過程で前記エネルギー関数中の前記
制約項の重み係数の値をパラメータ更新則によって調節
する重み係数調節手段とを有する構成とした。
【0022】請求項6記載の発明の配送計画問題の最適
解探索装置は、請求項5記載の発明の配送計画問題の最
適解探索装置における重み係数調節手段が、配送先又は
配送車両毎に設定された制約目標値関数の値を演算する
演算部を有する構成とした。
【0023】請求項7記載の発明の配送計画問題の最適
解探索装置は、請求項6記載の発明の配送計画問題の最
適解探索装置における重み係数調節手段が、演算された
制約目標値関数の値を用いて制約条件満足度を演算する
演算部を有する構成とした。
【0024】
【作用】請求項1記載の発明の配送計画問題の最適解探
索方法においては、コスト項と分けて定義されたエネル
ギー関数中の制約項に関してその重み係数の値をパラメ
ータ更新則によって調節するので、最適解の探索中に、
制約項に関する目標値を満足し、かつ、コスト項を最小
とする最適解が求まるような最適なパラメータ値に重み
係数が自動的に調節される。
【0025】請求項5記載の発明の配送計画問題の最適
解探索装置においては、最小化手段による最小化過程で
エネルギー関数中の制約項の重み係数の値をパラメータ
更新則によって調節する重み係数調節手段を備えること
により、重み係数の自動的な調節が実現される。
【0026】請求項2記載の発明の配送計画問題の最適
解探索方法においては、各配送先、各配送車両毎に制約
目標値関数を設定することにより、制約項に対する配送
計画者の複雑な要求を、各配送先、各配送車両毎にきめ
細かく表現できるので、配送計画者の意図に即した配送
計画が得られる。例えば、配送時刻の指定を表現した制
約項を考え、指定時刻よりも5分遅れの計画がシステム
により立案された場合を想定する。システムは、この時
点での重み係数の妥当性を制約目標値関数により判断す
る。ある配送先では、5分の到着遅れは問題とならず1
0分以上の遅れであれば大きな影響が出るが、別の配送
先では、5分以内の到着遅れしか許容できない、といっ
たように、配送先毎に制約を満足しているか否かの妥当
性の基準がばらばらのケースが考えられる。このよう
に、配送の現場において、制約を満足しているか否かの
妥当性の基準が異なっている場合には、配送先や配送車
両毎に制約目標値関数を定義すれば柔軟に対処できる。
【0027】請求項6記載の配送計画問題の最適解探索
装置においては、重み係数調節手段が、配送先又は配送
車両毎に設定された制約目標値関数の値を演算する演算
部を備えることにより、設定された制約目標値関数が重
み係数の調節に反映される。
【0028】請求項3記載の発明の配送計画問題の最適
解探索方法においては、制約項の満足すべき制約目標値
関数として、ある有限区間(例えば、“0”から
“1”)の値をとるアナログ関数を用いて表現している
ので、制約項に対する配送計画者の要求をアナログ的に
きめ細かく表現できるので、配送計画者の意図に即した
配送計画が得られる。仮に、ある制約項に対する制約目
標値関数を“0”又は“1”の2値で表現すると、その
制約目標値関数に対応する制約条件がわずかでも満たさ
ないと、不適格な非実行可能解と判定されてしまうが、
アナログ関数を用いた表現であれば、違反量の大小をき
め細かく表現できるので、その時点での重み係数の妥当
性をきめ細かく評価できる。また、重み係数の調節にお
いては、探索中に出現する状態(解)の妥当性のデータ
を集計する必要があるが、制約目標値関数としてアナロ
グ関数を用いることにより、解の妥当性をきめ細かく評
価できるので、必要なデータの個数が少なくても重み係
数に対する評価を高精度に行うことができる。同時に、
パラメータ更新則を適用する際に、必要な計算量(時間
平均操作を行う際のサンプリング回数)も削減すること
ができる。
【0029】請求項4記載の発明の配送計画問題の最適
解探索方法においては、初期温度における制約条件満足
度の目標値の値を、初期温度における制約条件満足度の
値と同一又はその近傍の値に設定するようにしたので、
パラメータ更新則の適用回数を減らすことができ、処理
時間が短縮される。即ち、初期温度における制約条件満
足度の目標値を予め推定することは困難であり、仮に、
初期温度において制約条件満足度とその目標値とが著し
く異なっていれば、パラメータ更新則によるパラメータ
の微小変化の繰り返しにより、この差異をなくすために
はかなりの計算時間を費やすが、このような不都合を生
じない。
【0030】請求項7記載の発明の配送計画問題の最適
解探索装置においては、重み係数調節手段が、演算され
た制約目標値関数の値を用いて制約条件満足度を演算す
る演算部を備えることにより、制約条件満足度の目標値
の設定が可能となり、請求項4記載の発明が実現され
る。
【0031】
【実施例】本発明の一実施例を図面に基づいて説明す
る。
【0032】<総論> A.配送計画問題の最適解探索装置の概略構成 配送計画問題の最適解探索装置の概略構成を図1ないし
図3のブロック図により説明する。まず、装置全体を制
御する制御部1が設けられている。また、配送計画問題
に関して最適解の検索に必要なデータを取り込むための
データ入力部2が設けられている。このデータ入力部2
には、エネルギー関数を定義する演算部3、エネルギー
関数を最小化する最小化部4及び演算結果出力部5が接
続されている。前記演算部3には配送計画案の作成部6
とコスト項と制約項との決定部7とが接続されている。
前記作成部6は本システム(又は、本最適解探索装置)
が乱数を用いて、配車と配送順序とが示される配送計画
案を作成する部分である。前記決定部7は項決定手段と
して機能し、エネルギー関数を構成する複数の制約項と
複数のコスト項とを決定する部分である。演算部3は演
算手段として機能し、作成部6で立案された配送計画案
と決定部7で決定された項情報とに基づき、エネルギー
関数を定義し、配送計画案の持つエネルギー値を演算す
る部分である。前記最小化部4は最小化手段として機能
し、シミュレーテッド・アニーリング法を用いて、演算
部3で定義されたエネルギー関数の最小状態を求める部
分である。シミュレーテッド・アニーリング法(S.Ki
rkpatrick,C.D.Gelatt Jr.,M.P.Vecchi:“Opt
imization by Simulated Annealing”,Science,Vo
l.220,No.4598,pp.671-680(1983))は、あるシステム
(体系)のエネルギー最小状態を求める1つの手法であ
る。前記演算結果出力部5は最小化部4で得られた最適
解を出力する部分である。さらに、最小化部4には重み
係数の調節部8が接続されている。この調節部8は重み
係数調節手段として機能し、最小化部4によるエネルギ
ー最小化の過程において、エネルギー関数中の重み係数
の値を適切な値に調節する部分である。
【0033】ここで、前記最小化部4は、図2に示すよ
うに、乱数発生部9とパラメータ格納部10と温度制御
部11とを備えた構成とされている。乱数発生部9は、
シミュレーテッド・アニーリング法で状態の受理確率を
計算する際に用いる乱数を生成する部分である。パラメ
ータ格納部10はエネルギー関数における重み係数や温
度などのパラメータの格納部である。重み係数は、前記
調節部8によって後述するようにエネルギー最小化の過
程で更新される。温度制御部11はシミュレーテッド・
アニーリング法で定義された体系の温度を制御する部分
である。
【0034】また、前記調節部8は、図3に示すよう
に、演算部12〜14を備えた構成とされている。制約
目標値関数の演算部12は、立案された配送計画案に対
して、配送計画者により定義された制約目標値関数の値
を計算する演算部として機能する。制約条件満足度の演
算部13は、演算部12で演算された制約目標値関数の
値を用いて制約条件満足度を演算する演算部として機能
する。重み係数更新量の演算部14は、これらの演算部
12,13で演算された結果と、各時刻での制約項の値
とを用いて、エネルギー関数中の制約項の各重み係数の
値の更新量を計算する部分である。この重み係数更新量
の演算部14の演算結果によって前記パラメータ格納部
10に格納された重み係数の値が更新される。
【0035】B.配送計画問題の最適解探索のアルゴリ
ズム 基本的には、配送計画案を、配送先の店舗を表す記号等
による2次元又は1次元の行列で表現し、これを体系の
状態と称する。この体系の状態におけるエネルギー関数
を定義し、エネルギー関数の最小状態をシミュレーテッ
ド・アニーリング法により求めることを基本とする。前
述した第4の従来例では、配送計画案を2次元の行列で
表現することが示されているが、そのエネルギー関数中
の重み係数の値の設定法については言及されておらず、
最適解として出力された結果が、配送計画者の所望とす
る計画案に十分に近いという保証がなかった。この点、
本実施例では、配送計画者が理想的であると考える計画
案の性質を、制約目標値関数で各配送先、各配送車両毎
に、アナログ関数を用いてきめ細かく表現する機能を有
している。こうして表現された条件を制約条件として、
与えられた目的関数(コスト項)を最小にする解を求め
るようにした。
【0036】このような配送計画問題の最適解探索のア
ルゴリズムについて、図4に示す全体の処理のフローチ
ャートを参照して説明する。まず、データ入力部2から
の情報に基づき、各配送先間(店舗間)の最短移動時間
(又は、最短移動距離)とその経路とをDijkstra 法な
どによって計算する(S1)。次いで、温度スケジュー
ル、制約項とコスト項の重み、乱数のシードなどの必要
なパラメータをデータ入力部2から入力する(S2)。
このような入力データには、例えば、各配送先に関する
データ(停車時間、乗り入れ可能な車両の種類、荷物
量、到達指定時刻の上限及び下限、など)、各車両に関
するデータ(積載可能トン数、積載可能な荷物量、帰着
条件、など)なども含まれる。さらに、体系の初期状態
を設定する(S3)。体系の状態は、作成部6により行
列xで表現されているものとする。この後、シミュレー
テッド・アニーリング法で用いる体系の温度列Ti を設
定し、現在の温度を初期値に設定する(S4)。次に、
制約条件満足度の目標値の初期値を設定する(S5)。
制約条件満足度の目標値は、温度の関数として配送計画
者が予め設定するが、最初の温度(T=T0
start )での値は、その温度でメトロポリス法により
体系の状態遷移を行って制約条件満足度を計算し、その
値を目標値の初期値とする。ステップS6では、メトロ
ポリス法により体系の状態Xを遷移させ、熱平衡状態に
到達させる。そして、ステップS7では、一定回数、体
系を動かして、パラメータ更新則に基づいて重み係数の
値の更新量を計算し、重み係数の値の更新を行う。この
ステップ6,7の処理を繰り返して、その温度におい
て、制約条件満足度の値が十分に目標値に近づいたと判
断されれば、ステップS8で温度を下げていく。温度を
下げるということは、具体的には、温度列{Ti }(i
=0,1,…,n)を設定しておき(S4)、i→i+
1として下げていけばよい。そして、i>nでなけれ
ば、その温度でステップS6,7の処理を繰り返す。も
し、温度が最終温度であれば、ステップS9の判定を経
て、検索処理が終了する。
【0037】<各論>まず、配送計画案の表現とエネル
ギー関数とを定義する必要がある。エネルギー関数は、
配送計画案の妥当性を数値で表現した関数であり、シミ
ュレーテッド・アニーリング法によりその最小状態を見
つけ出す。以下の説明では、配送計画案の表現として、
1次元行列を用いた例で説明するが、前述した第4の従
来例のように2次元行列を用いて表現した場合でも全く
同様である。
【0038】A.配送計画案の表現 配送計画案を、例えば、配送先を表す記号の1次元行列
で表現する。図5にその具体例を示す。図示例は、例え
ば、3台の車両で、9軒の配送先に配送する例を示して
いる。9軒の配送先を“1”から“9”の数字で表現
し、デポ(荷物の配送センタ)を“0”で表現してい
る。“0”の個数は、(最大車両台数+1)個である。
また、本実施例では、例えば、全ての車両はデポから荷
物を受け取り、与えられた配送順序に従って配送を行う
ものとする。ただし、使用する車両台数は固定されてお
らず、その最大数だけが与えられているものとする。図
5に示す例では、最大車両台数=3である。図5に示す
ような1次元行列において、“0”と“0”との間の記
号列が、1台分の配送先の割当(配車)と配送順序とを
表している。もし、“0”と“0”とが連続していれ
ば、それは、未使用車両の存在を表しており、使用車両
台数を1台分減らした配送計画案を表現していることに
なる。
【0039】B.エネルギー関数 エネルギー関数は、解くべき配送計画問題の定義に応じ
ていろいろな種類のものが考えられるが、例えば、「N
店舗の配送先に最短の総配送時間で配送を行いたい。た
だし、使用車両台数を最小限にし、かつ、各車両の配送
時間をなるべく均等にしたい。また、配送先の一部に
は、午前中という配送時間の指定がある。なお、全ての
車両は、同一のデポから出発し、配送完了後にはこのデ
ポに戻らなければならない。」という配送計画問題を考
える。ただし、ここでの配送時間とは、1台の車両がデ
ポから出発し、帰着するまでの時間である。
【0040】この場合、エネルギー関数E(x)として、
例えば、(1)式に示すような関数が考えられる。ただ
し、式中のxは、図5に示したような1次元行列を表し
ている。
【0041】
【数1】
【0042】
【外1】 約項とは、配送計画者がその制約項に関する理想的な状
態を定量的に表現できる項であり、具体的に要求をきめ
細かく設定したい事項も含む。一方、コスト項は、具体
的に要求を表現できないが、なるべく最小にしたいと希
望する項である。例えば、配送時刻の指定条件は、5分
遅れなら少し困る、10分遅れならかなり困る、15分
以上の遅れならば絶対に困る、というように、定量的に
配送計画者の要求を表現できるので、制約項に含めるこ
とができる。一般的には、店舗(配送先)に関する制約
条件と、車両(トラック)に関する制約条件との2種類
がある。また、総配送時間に関しては、配送計画者から
具体的な要求がなく、なるべく短時間であるのが望まし
いという場合が多いので、コスト項に含めることができ
る。以下に、制約項とコスト項との詳細例を説明する。
【0043】C.制約項の例
【外2】 とすると、
【数2】 で定義する。ただし、Nは配送先の総数である。このよ
うに定義しておけば、到着時刻の制約から外れるとこの
制約項の値は大きくなる。
【0044】
【外3】 ルティの大きさとして用いる。即ち、配送計画案xにお
いて車両iの
【外4】
【数3】 で定義する。ただし、Mは配送計画案xで使用している
車両台数である。このように定義しておけば、制約条件
から外れる重量状態になると、この制約項の値は増大す
る。
【0045】
【外5】 数の値を用いる。
【0046】
【外6】 配送時間の標準偏差の値を用いる。
【0047】D.コスト項の例
【外7】 から帰着時までの時間の総和を用いる。
【0048】E.制約項の扱い 制約項に対しては、配送計画者の要求をアナログ関数で
きめ細かく表現するこ
【外8】 称する。この制約目標値関数は、配送計画案が制約項に
記述された制約条件をどの程度満たしていれば、配送計
画者がよしとするかを表した関数であり、その制約項に
関する計画者の要求を“0”から“1”のアナログ関数
を用いて表現した関数である(請求項3記載の発明の関
数表現法に相当する)。この関数の値が“1”に近いほ
ど配送計画者の要求は満たされており、“0“に近いほ
ど要求は満たされていないことを表している。また、制
約項で表現された制約条件が、配送車両や配送先毎に異
なる場合には、制約目標値関数を各配送車両や各配送先
毎に定義することにより対処することができる(請求項
2記載の発明の関数設定法に相当する)。
【0049】F.制約目標値関数の例
【外9】 …,N)毎に定義する。制約目標値関数は、“0”から
“1”までのアナログ値をとるアナログ関数である。
【0050】図6に示す例では、配送計画案xに対し
て、配送先kに到着した時刻tk(x)
【外10】 Δtは、到着時刻に関する違反量(指定時間帯からのず
れ)を表しているが、図6に示した例では、|Δt|≦
Δt1 であれば指定時間帯からのずれを許容し、|Δt
|>Δt2 であれば配送計画者は完全に拒絶することを
表している。
【0051】もっとも、到着時刻制約に関する制約目標
値関数は、図6に示したようなものに限られず、対象と
する配送問題に応じて配送計画者が自由に定義できる。
つまり、“0”から“1”のアナログ値をとる任意のア
ナログ関数であれば同様に適用できる。
【0052】
【外11】 図7に示す例では、積載重量を3.8tが理想的とし、
4.0t以上になる配送計画案は絶対に認めないという
配送計画者の要求を表現している。
【0053】
【外12】 図8に示す例では、配送荷物の総重量と1台当りの積載
重量の上限から、必要最小限の車両台数がMmin台と推
定され、かつ、使用できる車両台数の上限がMmax台と
予め判っている場合である。使用する車両台数は少ない
ほど、良質の配送計画案とされる。
【0054】
【外13】 にその一例を示す。ここに、もし、配送計画者が配送時
間の偏りが極めて少ない配送計画案を要求しているので
あれば、標準偏差SD1,SD2間の幅を狭くし、かつ、
標準偏差SD1 の値を小さくすればよい。例えば、SD
1 =10,SD2=30(分)と設定すれば、標準偏差
は10分以内が望ましく、30分以上である配送計画案
は絶対に許されないという配送計画者の要求を表現して
いることになる。逆に、配送時間の偏りがあまり問題に
ならず、総配送時間や使用車両台数、配送時刻指定など
の他の項目を優先させたいときには、標準偏差SD1
SD2の値を大きくとればよい。配送計画者が、配送問
題の状況に応じて、配送時間の偏り(標準偏差)の、望
ましい値(SD1 )と許される上限値(SD2 )とを自
由に表現できる。
【0055】G.制約項の重み係数の値の更新処理 本実施例では、上述したように、配送計画者が各制約項
に対する要求(望ましい値と許容される上限値)を制約
目標値関数という形で表現できる。ところで、第4の従
来例では、配送計画者がエネルギー最小化により最適解
を求めるときには、所望の性質を持った解を得るため
に、エネルギー関数中の重み係数を、試行錯誤で変更
し、繰り返し最小化(アニーリング)をシミュレーテッ
ド・アニーリング法などにより実行する必要があった。
本実施例に対比させて説明すれば、(1)式の
{ai },{bj }の値を、試行錯誤で調節し、その度
に、シミュレーテッド・アニーリング法によりエネルギ
ー最小状態を求めて、再度、{ai },{bj }の値の
調節を行うことに相当する。この点、本実施例において
は、2層確率場モデルのパラメータ更新則を用いること
により(請求項1記載の発明の調節方法に相当する)、
何回もアニーリングを繰り返し実行することなく、自動
的に、エネルギー関数中の制約項の重み係数の値を調節
することができる。よって、制約目標値関数で表現され
た配送計画者の要求を満足するような配送計画案を、1
回のシミュレーテッド・アニーリング法の実行過程にお
いて高頻度で出現させることが可能となる。特に、どの
重み係数が、配送計画者のどの要求に対応するかが不明
確或いは複雑な場合には、このパラメータ更新則は有効
である。このような重み係数をパラメータ更新則により
更新する処理は、図4に示したフローチャート中のステ
ップS7で行われる。以下に、バラメータ更新則の詳細
を説明する。
【0056】H.パラメータ更新則 2層確率場モデルとパラメータ更新則については、巡回
セールスマン問題に関してであるが、既に、特開平5−
120252号公報(文献5)や、「シミュレーテッド
・アニーリング法におけるエネルギー関数中のパラメー
タ値の決定法」(五十嵐治一、電子情報通信学会論文誌
D-II,Vol.J75-D-II,No.7,pp.1232-1240(1992))
(文献6)中で説明されている。本実施例では、配送計
画問題に対してこのような2層確率場モデルとパラメー
タ更新則を適用する。
【0057】本実施例では、制約条件満足度を「シミュ
レーテッド・アニーリング法のある温度での熱平衡状態
において出現する体系の状態(ここでは、配送計画案)
が、制約条件をどの程度満足しているかを“0”から
“1”のアナログ値で表現した値の時間平均値」と定義
する。
【0058】この定義を満足する関数の一例を挙げる
と、(4)式のようになる。 Π(T,{ai},{bi})≡ <f(ω,ω0)> …………(4)
【0059】ここで、Π(T,{ai},{bi})が制約条件
満足度を表し、体系の温度Tとエネルギー関数中の重み
係数{ai},{bi}との関数で表される。式中、右辺の関
数f(u,v)は、2つのベクトルuとvとの類似度を
表す関数である。類似度を表す関数としては、例えば、
ベクトル間の内積を用いればよい。また、右辺の“<
>”は時間平均操作を表している。
【0060】(4)式のωは、体系に出現している状態
x(行列で、1つの配送計画案を表現)から計算される
ベクトルで、2層確率場モデルでの上層の状態に相当す
る。なお、状態xが2層確率場モデルの下層に相当す
る。
【0061】上例であれば、写像x→ωとして、制約目
標値関数を用いることにより(5)式に示す関数ω
(x)を用いる。
【数4】
【0062】(5)〜(9)式の定義から判るように、
配送計画案xが全ての制約条件を満足していれば、ベク
トルωの全ての要素の値は“1”になる。逆に、全ての
要素の値が“0”であれば、全ての制約条件を最も満足
していない状態を表している。ベクトルωの全ての要素
の値が“1”である状態をω0 で表す。従って、関数f
(ω,ω0 )は、現在の体系の状態xが表している配送
計画案が、制約目標値関数により具体的に定められた制
約条件を、どの程度満足しているかを、“0”から
“1”の実数値で表した関数といえる。体系の状態x
は、シミュレーテッド・アニーリング法の過程では時間
的に変動するので、この時間平均値をとった値を、上記
のように制約条件満足度と定義している。
【0063】次に、各温度での目標値を与える関数Π
0(T)を定義する。この関数Π0(T)の一例を図10に
示す。図中、Πinitは制約条件満足度の目標値の初期値
を示す。本実施例では、シミュレーテッド・アニーリン
グ法におけるアニーリング開始温度Tstart(=T0
で、体系の状態を一定時間観測して、制約条件満足度を
計算し、その値をΠinitと設定する(請求項4記載の発
明の設定法に相当する)。
【外14】 の変化の大きさを目安として、各々、配送先間の移動時
間の内の最大値と最小値との値を用いればよい。
【0064】このように定義された制約条件満足度Π
(T,{ai},{bi})とその目標値を与える関数Π0(T)
との相違度Uを、 U({ai},{bi};T)≡{Π(T,{ai},{bi})−Π0(T)}2/2 …………………………………(10) で定義する。そして、各温度毎に、この相違度Uが最小
となるように、最急降下法により、重み係数{ai},{b
i}の値を更新する。即ち、(11)式により、重み係数θ
i の値を更新する。
【0065】
【数5】 ただし、θi はai やbi を表している。また、関数E
はエネルギー関数であり、本実施例の場合であれば、前
述した(1)式のエネルギー関数を代入すればよい。右
辺中の“<>”は時間平均操作を表している。このよう
な(11)式が、2層確率場モデルにおけるパラメータ更
新則を表している。
【0066】このパラメータ更新則により、各温度で重
み係数の値を更新する。(11)式の右辺では、熱平衡時
の時間平均操作が必要なので、熱平衡状態を作り出す操
作と、重み係数を(11)式により微小変化させる操作と
を交互に繰り返す。(11)式の右辺の値が殆ど“0”に
収束するか、或いは、この繰り返し回数を一定回数で打
ち切ることにより、重み係数の値の更新処理を終了す
る。なお、体系を熱平衡状態に到達させるには、図4中
のステップS6のようににメトロポリス法を用いればよ
い。
【0067】また、制約項の強さは、制約条件を満たす
だけの必要最低限の大きさが望ましいので、制約項の重
み係数{ai} の初期値は、コスト項の重み係数
{bi} の初期値に比べて小さく設定される。
【0068】<実験結果の一例>実験結果の一例を表1
に示す。
【0069】
【表1】
【0070】表1では、車両毎の配送時間の偏り(標準
偏差)に関する制約目標値関数において、 ケース1…SD1 =10,SD2 = 30(分)に設定 ケース2…SD1 =60,SD2 =120(分)に設定 の場合に、前述したような本実施例方式により最適な計
画として得られた配送計画案の特徴を表している。ケー
ス1の例では、配送時間の偏りの少ない案を要求したの
で、総配送時間は長くなるが、標準偏差の小さい配送計
画を得ることができたものである。一方、ケース2の例
では、配送時間の偏りに対する制約を極めてゆるくした
ので、標準偏差が大きく偏った解ではあるが、総配送時
間はケース1の場合よりは小さい配送計画を得ることが
できたものである。
【0071】なお、本実施例では、配送計画案xを図5
に示したように1次元行列で表現した場合への適用例と
して説明したが、例えば、少ない台数の車両を何回も回
転させて使用する場合や、車両毎に、帰着地点、積載重
量、車両サイズなどの制約条件が異なる場合には、第4
の従来例中に示されるような2次元行列を用いて配送計
画案を表現したほうが便利である。即ち、2次元配列に
おける各行に各車両を割り当て、各列には配送順序を割
り当て、各配列要素には、出発地点を表す記号、各配送
先を表す記号などを用いるようにすればよい。2次元行
列により配送計画案を表現した場合であっても、制約目
標値関数の導入やパラメータ更新則は同様に適用でき
る。
【0072】また、本実施例では、配送手段として機能
する車両としては、トラックの他、対象とする問題に応
じて、自動車、船舶、航空機、鉄道などの各種手段を用
い得る。また、配送先も店舗などに限られず、会社、公
共施設、一般家庭など任意である。
【0073】さらには、荷物の配送だけでなく、荷物を
集荷する問題や、セールスマン・サービスマンなどの訪
問スケジュールの計画問題、スクールバスなどの送迎ル
ートの計画問題、ゴミ収集車の経路決定問題、道路清掃
車の計画問題など、各種問題に対しても、本発明方式
は、同様に適用できる。
【0074】
【発明の効果】請求項1記載の発明の配送計画問題の最
適解探索方法によれば、配送計画問題をエネルギー関数
の最小化問題として定式化してシミュレーテッド・アニ
ーリング法を用いてこのエネルギー関数の最小状態を求
めることにより、配車と配送順序との最適解を探索する
ようにした配送計画問題の最適解探索方法において、具
体的に目標値を設定し得る制約条件を表す制約項と、制
約条件以外の最小にしたいコスト関数を表すコスト項と
に分けて定義されたエネルギー関数中の制約項に関して
その重み係数の値をパラメータ更新則によって調節する
ようにしたので、試行錯誤を繰り返すことなく、最適解
の探索中に、制約項に関する目標値を満足し、かつ、コ
スト項を最小とする最適解が求まるような最適なパラメ
ータ値に重み係数を自動的に調節することができる。
【0075】請求項5記載の発明の配送計画問題の最適
解探索装置によれば、最小化手段による最小化過程でエ
ネルギー関数中の制約項の重み係数の値をパラメータ更
新則によって調節する重み係数調節手段を備えることに
より、請求項1記載の発明の方法による重み係数の自動
的な調節を実現できる。
【0076】請求項2記載の発明の配送計画問題の最適
解探索方法によれば、請求項1記載の発明の配送計画問
題の最適解探索方法において、エネルギー関数中の制約
項の制約条件が配送先又は配送車両毎に設定されている
とき、各制約項が満足すべき目標値である制約目標値関
数を前記配送先又は配送車両毎に設定するようにしたの
で、制約項に対する配送計画者の複雑な要求を、各配送
先、各配送車両毎にきめ細かく表現でき、よって、配送
計画者の意図に即して柔軟に対処できる配送計画を得る
ことができる。
【0077】請求項6記載の配送計画問題の最適解探索
装置によれば、重み係数調節手段が、配送先又は配送車
両毎に設定された制約目標値関数の値を演算する演算部
を備えているので、請求項2記載の発明の方法により設
定された制約目標値関数を重み係数の調節に反映させる
ことができる。
【0078】請求項3記載の発明の配送計画問題の最適
解探索方法によれば、請求項2記載の発明の配送計画問
題の最適解探索方法における制約目標値関数を、ある有
限区間の値をとるアナログ関数により表現するようにし
たので、制約項に対する配送計画者の要求をアナログ的
にきめ細かく表現することができ、よって、配送計画者
の意図に即して柔軟に対処できる配送計画を得ることが
でき、さらには、制約目標値関数としてアナログ関数を
用いるので、解の妥当性をきめ細かく評価でき、よっ
て、必要なデータの個数が少なくても重み係数に対する
評価を高精度に行うこともでき、さらには、パラメータ
更新則を適用する際に、必要な計算量も削減することが
できる。
【0079】請求項4記載の発明の配送計画問題の最適
解探索方法によれば、請求項1,2又は3記載の発明の
配送計画問題の最適解探索方法における重み係数の値を
調節するパラメータ更新則の適用に際して、初期温度に
おける制約条件満足度の目標値の値を前記初期温度にお
ける制約条件満足度と同一又は近傍の値に設定するよう
にしたので、パラメータ更新則の適用回数を減らすこと
ができ、処理時間を短縮させることができる。
【0080】請求項7記載の発明の配送計画問題の最適
解探索装置によれば、重み係数調節手段が、演算された
制約目標値関数の値を用いて制約条件満足度を演算する
演算部を備えているので、制約条件満足度の目標値の設
定が可能となり、請求項4記載の発明の方法による設定
法を容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の全体構成を概略的に示すブ
ロック図である。
【図2】最小化部の構成を示すブロック図である。
【図3】重み係数の調節部の構成を示すブロック図であ
る。
【図4】全体の処理制御を示すフローチャートである。
【図5】配送計画案を示す説明図である。
【図6】配送時刻の時間帯指定に関する制約目標値関数
の例を示す特性図である。
【図7】積載重量の上限に関する制約目標値関数の例を
示す特性図である。
【図8】使用する車両台数に関する制約目標値関数の例
を示す特性図である。
【図9】車両毎の配送時間の偏りに関する制約目標値関
数の例を示す特性図である。
【図10】関数Π0(T)を示す特性図である。
【符号の説明】
3 エネルギー値の演算手段 7 項決定手段 8 重み係数調節手段 12 制約目標値関数の演算部 13 制約条件満足度の演算部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の荷物を複数の車両で複数の配送先
    に配送する配送計画問題をエネルギー関数の最小化問題
    として定式化して配送計画案のエネルギー値を演算し、
    シミュレーテッド・アニーリング法を用いてこのエネル
    ギー関数の最小状態を求めることにより、前記多数の荷
    物を前記各車両に割り振る配車と前記各車両が割り振ら
    れた配送先に各荷物を配送する配送順序との最適解を探
    索するようにした配送計画問題の最適解探索方法におい
    て、前記エネルギー関数を、具体的に目標値を設定し得
    る制約条件を表す制約項と、制約条件以外の最小にした
    いコスト関数を表すコスト項とに分けて定義し、前記エ
    ネルギー関数中の前記制約項の重み係数の値をパラメー
    タ更新則によって調節して、シミュレーテッド・アニー
    リング法による最適解の探索を行い、調節された重み係
    数の値を持つ制約項に関して設定された目標値を満足
    し、かつ、コスト項を最小とする状態を示す配車と配送
    順序との最適解を求めるようにしたことを特徴とする配
    送計画問題の最適解探索方法。
  2. 【請求項2】 エネルギー関数中の制約項の制約条件が
    配送先又は配送車両毎に設定されているとき、各制約項
    が満足すべき目標値である制約目標値関数を前記配送先
    又は配送車両毎に設定するようにしたことを特徴とする
    請求項1記載の配送計画問題の最適解探索方法。
  3. 【請求項3】 制約目標値関数を、ある有限区間の値を
    とるアナログ関数により表現するようにしたことを特徴
    とする請求項2記載の配送計画問題の最適解探索方法。
  4. 【請求項4】 重み係数の値を調節するパラメータ更新
    則の適用に際して、初期温度における制約条件満足度の
    目標値の値を前記初期温度における制約条件満足度と同
    一又は近傍の値に設定するようにしたことを特徴とする
    請求項1,2又は3記載の配送計画問題の最適解探索方
    法。
  5. 【請求項5】 多数の荷物を複数の車両で複数の配送先
    に配送する配送計画問題をエネルギー関数の最小化問題
    として定式化して配送計画案のエネルギー値を演算手段
    により演算し、シミュレーテッド・アニーリング法を用
    いる最小化手段よりこのエネルギー関数の最小状態を求
    めることにより、前記多数の荷物を前記各車両に割り振
    る配車と前記各車両が割り振られた配送先に各荷物を配
    送する配送順序との最適解を探索するようにした配送計
    画問題の最適解探索装置において、前記エネルギー関数
    について、具体的に目標値を設定し得る制約条件を表す
    制約項と、制約条件以外の最小にしたいコスト関数を表
    すコスト項とに分けて定義する項決定手段と、前記最小
    化手段による最小化過程で前記エネルギー関数中の前記
    制約項の重み係数の値をパラメータ更新則によって調節
    する重み係数調節手段とを有することを特徴とする配送
    計画問題の最適解探索装置。
  6. 【請求項6】 重み係数調節手段が、配送先又は配送車
    両毎に設定された制約目標値関数の値を演算する演算部
    を有することを特徴とする請求項5記載の配送計画問題
    の最適解探索装置。
  7. 【請求項7】 重み係数調節手段が、演算された制約目
    標値関数の値を用いて制約条件満足度を演算する演算部
    を有することを特徴とする請求項6記載の配送計画問題
    の最適解探索装置。
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