JPH08150515A - ワイヤ放電仕上げ加工方法及びワイヤ放電仕上げ加工用電源回路 - Google Patents

ワイヤ放電仕上げ加工方法及びワイヤ放電仕上げ加工用電源回路

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JPH08150515A
JPH08150515A JP33042794A JP33042794A JPH08150515A JP H08150515 A JPH08150515 A JP H08150515A JP 33042794 A JP33042794 A JP 33042794A JP 33042794 A JP33042794 A JP 33042794A JP H08150515 A JPH08150515 A JP H08150515A
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electric discharge
machining
discharge
powder
power supply
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JP33042794A
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Yoshitsugu Ui
余始次 宇井
Yuji Kaneko
雄二 金子
Tatsuo Kuroda
達雄 黒田
Minoru Nakayama
中山  実
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Sodick Co Ltd
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Sodick Co Ltd
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  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】ワイヤ放電加工の仕上げ加工を、シリコン等の
粉末混入加工液を用いた加工方法とした場合に、高寸法
形状精度で精加工面粗度の鏡面状の光沢面に確実に仕上
る加工方法及び該加工方法の実施に使用するワイヤ放電
加工仕上げ加工用電源回路を得ること。 【構成】加工液は0.5〜1.3μmφの微細粉末を炭
化水素油に混合したものを用い、加工用電圧パルス電源
とワイヤ電極、被加工体間の放電回路の給電線を低キャ
パシタンス給電線に切換えて、パルス幅が1〜4μsで
電流振幅が2〜4Aの放電パルスが形成されるように前
記電圧パルス電源から間歇的な微小電圧パルスを供給
し、前期放電間隙近くの放電回路に直列に、放電電流波
形成形にインダクタンス線輪と抵抗体との直列体を挿入
接続する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ワイヤ放電加工の仕上
げ加工の際にシリコン等の半導体や抵抗体の粉末を混入
した加工液を用いて高寸法形状精度及び精加工面粗度で
光沢ある鏡面状に確実に仕上げるためのワイヤ放電仕上
げ加工方法及び該ワイヤ放電仕上げ加工方法の実施に使
用するワイヤ放電仕上げ加工用電源回路に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、特開平2−83119号公報や
特開平3−277421号公報等に記載の如き放電加工
面を最終仕上げの放電加工工程の処理により、光沢ある
鏡面状に仕上げる粉末(通常20〜40μmφ又は5〜
10μmφのシリコン)混入放電加工がワイヤ放電加工
の分野に於いても適用され、適用被加工体の材質等には
形彫放電加工の場合と同様な制約があるものの、その加
工効果は順次形彫放電加工の場合と同様に達成されつつ
ある。例えば、本発明者等又は本発明出願人等も先に、
A、平成5年特許願第153054号「ワイヤカット放
電加工方法」やB、平成6年特許願第50047号「ワ
イヤカット放電加工方法」の如く、粉末混入放電加工を
ワイヤ放電加工に適用した際の特有の各種の加工方法等
に特許出願をしたところである。
【0003】尤も一般的な粉末混入ワイヤ放電加工は、
例えば、特開昭58−102631号公報に記載されて
いるように知られており、又被加工体の加工面質を改善
するために粉末としてシリコンを使用混入した誘電体加
工液を用いるワイヤ放電加工も、1994年5月24日
に特許された米国特許第5315087号明細書及び図
面に記載されているように公知である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
放電被加工面を高寸法精度及び精加工面粗度の光沢ある
鏡面状に確実に仕上げるための必要条件、或いは更には
充分条件が判然とせず、加工条件の選択設定に多数回の
試行錯誤を余儀なくされていた。
【0005】又、従来通常行われている粉末混入加工液
を用いる放電加工に於いては、総型電極を用いるラム型
放電加工の場合に限らずワイヤカット放電加工の場合に
もワイヤ電極と被加工体間の放電間隙が必ず顕著に広く
なる(例えば前記1994年5月24日付で米国で特許
された米国特許第5315087号明細書及び図面)と
考えられていた為、本発明者等も下記の如きワイヤカッ
ト放電加工方法を上記Bの特許出願により提案したとこ
ろである。
【0006】上記Bの特許出願発明は、「一対の間隔を
置いて配置したガイド間に所定の状態に張架したワイヤ
電極を軸方向に更新送り移動せしめつつ前記軸方向と略
直角方向から被加工体を微小間隙を介して相対向せし
め、該間隙に加工液を供給介在させた状態で両者間に加
工電圧を印加し発生する放電により加工を行ない、前記
ワイヤ電極と被加工体間に前記直角方向の平面上におけ
る所定の加工成形すべき輪郭線形状に沿う相対的加工送
りを与えるワイヤカット放電加工において、(a)前記
ファーストカット放電加工後、前記加工液として油系加
工液に粉末を混入した粉末混入油系加工液を用い、被加
工体の材質、板厚、及び加工の目的等に応じて選択設定
された加工条件で、最初の加工溝を加工形成するファー
ストカット加工工程と、(b)前記ワイヤカット加工工
程を、前記加工液を粉末を混入していない油系加工液に
切換えると共に、前記設定加工条件を所定のセカンドカ
ット、及びサードカット等の複数の加工工程の加工条件
に順次切換えて、前記被加工体がその加工面粗度がより
小さい所定値になるまで、かつ、特に加工面の太鼓が加
工により加工修正されて所定の寸法精度となるまで加工
工程を追って順次に加工処理する中仕上げ加工工程と、
(c)前記中仕上げ加工工程の後、前記加工液を粉末を
混入した油系加工液に切換え、前記設定加工条件を最終
仕上げ加工条件に切換えて前記中仕上げ加工面を少なく
とも1回以上加工処理する光沢付け加工処理工程の加工
を順次に行なうことから成ることを特徴とする前記のワ
イヤカット放電加工方法。」即ち、(a)のファースト
カット加工工程と、(c)の光沢付け加工処理工程の各
加工に於いて、粉末を混入した油系加工液を用いなが
ら、その中間の(b)の中仕上げ加工工程に於いて、わ
ざわざ粉末が混入してない油系加工液に切換えて加工を
行なうことが必要と考えて実行していた。即ち、之は粉
末混入加工液を用いるセカンドカット等の加工処理で
は、放電間隙が粉末混入のない加工液を用いる場合より
も広いため、被加工体の特に太鼓(真直度)や形状等の
寸法精度が容易には仕上がらないと考えられていたもの
である。
【0007】よって、本発明の目的は、中仕上げ加工に
より所定の寸法形状精度及び加工面粗度に仕上げた被加
工体を粉末混入加工液を使用する仕上げ加工により光沢
ある鏡面状に確実に仕上げることができる当該最終仕上
げ加工方法、及び前記最終仕上げ加工を可能とする一連
のワイヤ放電加工方法、並びに前記最終仕上げ加工用電
源回路を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前述の本発明の目的は、
(1)粉末混入加工液をワイヤ電極と被加工体間の放電
間隙に介在させた状態で両者間に休止時間を置いた間歇
的な電圧パルスを印加し、発生する放電により最終仕上
げ加工するワイヤ放電加工方法に置いて、前記被加工体
を前工程までのワイヤ放電加工によって所定の寸法形状
精度、及び面粗度に仕上げた後、加工液として、平均粒
径が略1μmφ又はそれ以下の微細紛粒の多結晶シリコ
ン粉末を重量百分比で0.5%以上10%以下混合した
炭化水素系鉱物油を用い、前記間歇的な電圧パルスとし
て、無負荷電圧が100Vよりも高く、電圧パルスの幅
が2μs以内、短絡電流が1〜4Aの電圧パルスを低キ
ャパシタンス給電線を介し、かつワイヤ電極と被加工体
との放電間隙直近に設けたインダクタンス線輪と抵抗体
とを直列に介して供給するワイヤ放電加工方法とするこ
とにより、(2)又前記本発明の目的は、前記(1)の
ワイヤ放電仕上げ加工方法に於いて、前記被加工体を所
要の寸法・形状精度、及び面粗度に仕上げる前記前工程
迄の荒加工のファーストカット加工工程及び中仕上げ加
工のセカンドカット等1又は複数の加工工程の各工程の
加工を、前記炭化水素系の鉱物油に前記多結晶シリコン
粉末を混入した粉末混入加工液を使用したワイヤ放電加
工方法とすることにより、(3)又、前記(1)に記載
の加工条件の最終仕上げ加工を、ほぼ同一のオフセット
値で、加工面粗度が所望の0.5〜2.0μmRmax
となる迄複数回繰り返す粉末混入加工液を使用したワイ
ヤ放電仕上げ加工方法とすることにより、(4)又、前
記(1)に記載の加工条件の前記電圧パルスの無負荷電
圧が100Vよりも高く、短絡電流が1〜4Aで、パル
ス幅が2μs以内の電圧パルスを放電間隙に供給する供
給回路が、切換えられた低キャパシタンス給電線と直列
に挿入されたインダクタンス線輪と抵抗体との直列回路
から成り、放電間隙に供給される放電電流パルスが波形
形成される粉末混入加工液を使用したワイヤ放電仕上げ
加工方法とすることにより達成される。(5)又、前記
本発明の目的は、前記(1)のワイヤ放電仕上げ加工方
法の加工液に混入するシリコン粉末の粒度分布のピーク
が0.5〜1.3μmφであって、4〜5μmφ以上の
粉末の割合が20%を越えない粉末とすることにより、
(6)又、前記(5)に記載のシリコン粉末を粒度分布
のピークが20μmφよりも大きいシリコン粉末を炭化
水素油と混合し、該混合物中に於いて少なくとも一対の
金属電極を間隔を置いて対向させ、前記混合物を攪拌し
つつ前記電極間に間歇的な電圧パルスを印加し、放電を
発生させて放電粉砕処理によって得ることによって達成
される。(7)又、前記本発明の目的は、粉末混入加工
液を使用する放電加工により被加工体の加工面を所要の
寸法・形状精度と面粗度の光沢面に仕上げるワイヤ放電
仕上げ加工用電源回路であって、直流電源と電流制限抵
抗とオンオフ制御装置によって制御される電子スイッチ
素子とを直列に接続した電圧パルス供給回路と、該電圧
パルス供給回路の両端出力をワイヤ電極と被加工体とか
ら成る放電間隙に並列に接続する給電線であって、低イ
ンダクタンス給電線と切換え接続可能に設けられた低キ
ャパシタンス給電線と、該低キャパシタンス給電線と前
記放電間隙間の放電回路中に切離し可能に直列に挿設さ
れたインダクタンス線輪と、同じく前記放電回路中に切
離し可能に直列に挿設された波形成形抵抗体と、から成
る構成のワイヤ放電仕上げ加工用電源回路とすることに
より、(8)又、前記本発明の目的は、前記(7)のワ
イヤ放電仕上げ加工用電源回路に於いて、前記インダク
タンス線輪と抵抗体及び之等の選択切換えスイッチを収
納し、外壁面に給電線の接続端子を設けた函体をワイヤ
電極と被加工体の加工部近傍の加工槽廻りに配置した構
成のワイヤ放電仕上げ加工用電源回路とすることによ
り、(9)又、前記本発明の目的は、前記(7)又は
(8)のワイヤ放電仕上げ加工用電源回路に於いて、前
記インダクタンス線輪及び抵抗体の両方又は何れか一方
が可変インダクタンス線輪及び可変抵抗体である構成の
ワイヤ放電仕上げ加工用電源回路とすることにより、
(10)又、前記本発明の目的は、前記(7)、
(8)、又は(9)のワイヤ放電仕上げ加工用電源回路
に於いて、前記対抗体の抵抗値を10〜100Ωとする
ことによりより良く達成されるものである。
【0009】
【作用】本発明のワイヤ放電仕上げ加工方法は、上述の
ような構成であるから、放電間隙が狭くて、太鼓(真直
度)を含む寸法形状精度の高い加工が可能であって、従
って、荒加工から仕上げ加工までの複数の加工工程を追
う一連の加工工程中に加工液を粉末混入加工液から非混
入加工液に交換したりする面倒がなく、又粉末混入加工
液使用の仕上げ加工に於いて、放電電流波形を所望に制
御して高面粗度の鏡面状の光沢付け加工を確実に行なう
ことができ、又本発明のワイヤ放電仕上げ加工回路は、
上述のような構成であるから、仕上げ加工用電圧パルス
供給回路と放電間隙の給電回路を低キャパシタンス回路
として、インダクタンス線輪と抵抗体との直列回路によ
り放電電流パルスの波形を所望に制御することができ、
簡単な回路構成で、粉末混入加工液使用のワイヤ放電仕
上げ加工の目的を確実に達成させることができる。
【0010】
【実施例】図1は、本発明のワイヤ放電仕上げ加工方法
の実施例に使用するワイヤ放電仕上げ加工用電源回路の
実施例説明図で、1は一対の間隔を置いて配置した位置
決めガイド2A、2B間を所定の張力を付与した状態で
軸方向に更新送り移動させられるワイヤ電極、3は図示
しないxyクロステーブルに載置したワークスタンド4
に取り付けられ、ワイヤ電極軸方向と略直角方向から微
小放電間隙を介して相対向せしめられる被加工体で、図
示しない加工液供給手段による加工液供給介在の下に両
者間に印加される間歇的な電圧パルス等の加工電圧によ
り放電を生ぜしめて加工が行われる。5は前記間歇的な
電圧パルス供給回路で、通常加工の間歇的な電圧パルス
供給回路6と、前記通常加工の電圧パルスよりも高い電
圧で小電流容量の電圧パルスを供給する間歇的な第2の
電圧パルス供給回路8とが並設されており、前述通常所
謂荒加工条件の被加工体3に最初に加工溝を加工形成す
るファーストカットの加工工程や、該ファーストカット
の加工工程後に、最終的な仕上げ加工をする前に、セカ
ンドカット等の1又は複数回の加工工程からなる寸法形
状精度出し、及び加工面粗度改善の中仕上げ加工工程等
に於いて使用する、特に加工電流増加用回路の類の回路
は省略して示していない。
【0011】而して、前記通常加工の電圧パルス供給回
路5は、約60〜260Vと可変であるが、例えば通常
は約80V程度のほぼ一定電圧として使用される直流電
圧源6Aと、電流容量に応じて複数個が並列に接続され
るMOS−FETトランジスタ等の電子スイッチ素子6
Bと、例えば約100Ω等の切換え可能な電流制限抵抗
6Cと、及び逆電圧防止整流器6Dとの直列回路から成
る、従来最も通常の間歇的な電圧パルスの生成供給回路
6であって、前記ファーストカットの加工工程及び中仕
上げの加工工程二おいては、切換スイッチ9A、9Bを
介して同軸ケーブル等の低インダクタンス給電線10A
を介してワイヤ電極1と被加工体3間の放電間隙へ接続
され、前記間歇的な電圧パルスは、パルス制御装置7に
よるスイッチ素子6Bの制御により所望に生成される。
【0012】即ち、制御装置7の前記スイッチ素子6B
の制御装置部分としては、スイッチ素子6Bを放電間隙
の放電状態検出信号による変更制御をする場合を除き、
あらかじめ選択設定した一定のオン時間信号τONとオ
フ時間信号τOFFとを規則的に交互に繰り返して電圧
パルスを制御供給する場合と、スイッチ素子6Bのオン
時間信号を放電間隙に電圧パルスの印加開始後放電間隙
で放電が開始するまでの該放電開始遅延期間の関数とし
増大する、即ち各放電パルスの放電持続時間を設定の一
定値とするよう電圧パルス印加開始後放電間隙での放電
開始時より前記オン時間信号の計測を開始し、計測完了
によりスイッチ素子6Bをオフとしてオフ時間に移行さ
せる制御をするもの等があり、以下の説明では、主とし
て前記後者の場合について説明を加えるが、本発明は何
等これに限定されるものではない。又、前記給電線10
Aと10Bを切換える切換えスイッチ9の接点9A、9
Bを正負の両給電回路の一方の側にのみ設け、他方の側
の給電線10Bを低インダクタンス給電線10Aの一方
に常時兼用させた接続構成とすることもできる。
【0013】又、前記第2の電圧パルス供給回路8は、
可変直流電圧源8Aとスイッチ素子8Bと電流制限抵抗
8C及び逆電圧防止整流器8Dとの直列回路からなるも
う一つの電圧パルス供給回路であって、該第2の電圧パ
ルス供給回路9は、開閉スイッチ8Eにより所望に応じ
て使用されるものであるが、例えば、直流電圧源8A
は、通常出力電圧が一定の直流電圧源6Aの約80〜2
60Vに対し、可変で電圧値は同等以上の約100〜3
50V、例えば約150Vであり、電流制限抵抗8C
は、抵抗6Cに対し大きな設定、例えば約1kΩで、回
路8の電流容量を小さなものとし、スイッチ素子8Bを
パルス制御装置7により、例えばスイッチ素子6Bとオ
ン・オフ同期印加、又は遮断等と称して前記電圧パルス
印加に先だって電圧印加を開始し、放電間隙での放電開
始を検出してスイッチ素子8オフとすることにより電圧
印加を遮断するなどの制御をする等して、間隙の平均加
工電圧を高めることにより放電開始を促進させると共
に、間隙電圧検出によりるサーボ制御作動をやりやすく
して安定加工を維持させるなどの作用をする副電源であ
って、本発明の実施に必須のものではない。
【0014】以上の如き間歇的な電圧パルス供給回路5
は、本発明の仕上げ加工を行なうに際しては、切換えス
イッチ9、9A、9Bにより前記の低インダクタンス供
給線10Aから撚線や単線等の低キャパシタンス供給線
10B、10Bに切換えられて放電間隙に接続される
が、本発明は更にその接続放電回路中に直列にインダク
タンス線輪11と抵抗体12とを挿入し、放電電流の波
形形成を行なうよう、前記インダクタンス線輪11と抵
抗体12とを加工部の放電間隙のより近い位置に設けた
ものである。13と14は夫々前記インダクタンス線輪
11と抵抗体12とを放電回路中に直列に入り、切りす
るための開閉スイッチであり、そして前記インダクタン
ス線輪11としては選択設定される加工条件、特に放電
パルスのパルス幅τONと放電電流振幅が狭い限られた
範囲のものであるから、適当な値、例えば約7〜10μ
H(約250mmφで4ターン)の固定インダクタンス
であっても良いが、勿論可変型のもの、例えば約10μ
Hと約5μH(約250mmφで4ターント2ターン)
であっても良く、之に対し抵抗体12は波形成形の波形
調整上切換設定等が可能な可変抵抗体、例えば約20
Ω、約45Ω、及び約75Ωであることが望ましい。
【0015】図2は前記インダクタンス線輪11と抵抗
体12の一実施例の詳細回路図で電圧パルス供給回路5
の一方の端子から切換えスイッチ9及び低キャパシタン
ス給電線10Bの一方を介してワークスタンド4から被
加工体3に接続される正極回路の側に前記インダクタン
ス線輪11及び開閉スイッチ13が、又電圧パルス供給
回路5他方の端子が切換えスイッチ9及び低キャパシタ
ンス給電線10Bの他方を介して図示しない給電子及び
ワイヤ電極1に接続される負極回路の側に前記抵抗体1
2及び開閉スイッチ14が設けられ、前記インダクタン
ス線輪11には之を2段に切換えスイッチ11Aが又抵
抗体12側には3個設けられた抵抗12−1、12−
2、12−3、を切換選択するリレー型等の選択スイッ
チ12A−1、12A−2、12A−3が設けられ、所
望に切換え設定して、仕上げ加工時の電圧パルス供給回
路5出力電圧パルスによる三角波状乃至矩形波状の放電
電流を所望に、即ち放電電流の急峻な立上がりを押さえ
ると共に放電電流パルス幅を伸長させるが如き波形成形
をする。
【0016】図3は、前記インダクタンス線輪11、抵
抗体12−1〜3、開閉スイッチ13、14、切換えス
イッチ11A、及び選択スイッチ12A−1〜3等の構
成、配置状況を説明するための実施例説明図で、被加工
体3を載置するワークスタンド4は、図示しないベッド
上のxyクロステーブル上に取り付けられた加工槽内に
設けられ、被加工体3は必要に応じて加工槽内加工液中
に浸漬された状態で、ガイド2A、2Bを内包する加工
液噴射ノズル16A、16B間を更新送り移動するワイ
ヤ電極1により切断、切抜き、そして仕上げ等のワイヤ
放電加工されるものである。
【0017】而して、前記インダクタンス線輪11及び
抵抗体12−1〜3や各種スイッチ等は、平板状の取付
板、又は図示の如き直方体状の函体15内壁面に配置取
り付けられ、前記切換えスイッチ9B出力の給電線9C
を接続する端子が設けられている図示しない函体15壁
表面側に設けられた各端子から、一方はリード線18A
を介して、ノズル16A、16B内でワイヤ電極1と接
触する図示しない給電子の接続端子19A、19Bに、
又他方はリード線18Bを介して前記ワークスタンド4
に接続される。そして上記のインダクタンス線輪11及
び抵抗体12−1〜3は加工部近くに、前記リード線1
8A、18Bの長さを出来る丈短くして設置されること
が望ましいものである所から、前記函体15は、例えば
図示しない加工槽の側壁外面とか、側壁上縁、又は上部
加工液噴射ノズル16Aを取り付ける加工ヘッド下面部
等に取り付けられ、又函体15内の抵抗体12−1〜3
を冷却する必要がある場合であって、前記抵抗体12−
1〜3等の収納体が炭化水素系加工液と接触設置が可能
な場合には、前記函体15側壁に加工液が流通する適宜
の穴を明けて、加工槽内、或いは更に加工槽内加工液中
に浸漬等して配置するものである。
【0018】勿論、函体15を加工槽外壁等に設けた場
合にも、前記の如く側壁に穴を設け、例えばファン等の
空冷手段を付設するようにしたも良い。なお、図示の場
合の抵抗体12−1〜3は、放熱容易な平型又は角板型
のものとしてあるが、何等之に限るものではない。以下
本発明を具体的な加工実験例により説明する。 被加工体 材質 SKD61焼入材 板厚 10mm ワイヤ電極 材質 35−65黄銅 線径 0.2mmφ 付与張力 1.150kgf 加工液 種類 炭化水素油(第3類第四石油類) 粘度 1.885 cSt/40℃ 引火点 100℃ 全酸化 0.01 加工液混合粉末 材質 多結晶シリコン 平均粒径 約1μmφ 添加混合量 約1.2wt%(約1.5vol%) 加工液吐出ノズル 上下ノズル口径 各6mmφ 加工の態様 攪拌状態の粉末混入加工液中に被加工体を浸漬した状態
で、上下のワイヤ電極同軸ノズルから同加工液を噴出さ
せる。
【0019】
【表1】
【0020】表1は、上述以外の設定加工条件を示した
もので、電圧パルス源6は図1の前述電圧パルス供給回
路6に、又電圧パルス源8は電圧パルス供給回路8に夫
々対応し、又電流パルス供給回路は前述図1では省略し
たが、電圧パルス供給回路5と並列に設けられる電圧可
変直流電源とオンオフ電子スイッチ素子と逆電圧防止整
流器との直列接続回路からなり、該直列回路中に電流制
限抵抗を有しない回路であって、該スイッチ素子のオン
時間は、電圧パルス供給回路6の電圧パルスによる間隙
放電開始を検出して所定遅延後にオンとなり、回路6の
電圧パルス、オン時間終了前にオフとなるように短いオ
ン時間信号が加えられるように制御され、又その電流振
幅は前記オン時間信号の間に立ち上がる電流値で、電圧
パルス供給回路6及び8、即ち電圧パルス供給回路5に
よる間歇的な放電の際に高電流を増大供給し、主に同一
加工面粗さに対する加工速度等の加工性能を向上させる
ものである。
【0021】加工工程の1stは、通常高速荒加工条件
の所謂ファーストカット等と言われている被加工体に最
初の所望輪郭形状の加工溝を加工形成して行く加工であ
って、表記加工条件の場合、加工面粗度約25〜30μ
mRmax、又太鼓(真直度)を含む加工形状の寸法精
度約15〜25μm程度で加工される。次の加工工程の
前記電流パルス供給回路を併用する2nd及び3rdの
加工工程は、放電エネルギの供給量は、なお比較的多い
加工条件で、通常セカンドカット等と言われる加工の寸
法形状精度出し、及び加工面粗度改善の加工を行なう中
加工又は中仕上げ加工であって、上記3rd加工工程の
後本発明に於いては従来の約11〜15μmRmax、
及び6〜8μmに対し、加工面粗度は約10〜13μm
Rmax、又太鼓を含む加工形状の寸法精度は約2.5
μm前後に仕上がるのであるが、これは上記表記した電
気加工条件等の設定に起因している点もなくはないが、
その多くの原因及び理由は加工液中に添加混合したシリ
コン粉末の寸法、大きさの点にあるものと考えられる。
【0022】例えば、前述本願出願人の特許出願Bに於
いて、被加工体の、特に寸法形状精度出しのセカンドカ
ット及びサードカット等の中仕上げ加工工程に於いて、
加工液を粉末混入加工液から粉末を混入していない油系
加工液にわざわざ切換え交換する必要があったのは、上
記特許出願Bに於けるファースツカットの加工工程と最
終仕上げの光沢付け加工処理工程で用いている粉末混入
加工液の前記混入粉末の大きさが、平均粒径約5μmφ
と、本発明のそれと比較して約2倍以上、体積比で約1
5倍以上も大きく、このため加工放電間隙が広く、電気
的加工条件等を変更設定して何度加工しても太鼓(真直
度)を含む形状寸法精度が所望に仕上がらなかったから
と思惟される。
【0023】そして、このことは、粉末(金属)を混入
した油系加工液、例えば加工屑含有油系加工液の放電特
性として、一定放電間隙に於いて粉末の寸法が大きくな
ると放電開始電圧が低下すると言うこと、そしてサーボ
制御される放電加工間隙に付いて言えば、混入粉末の寸
法が大きくなると加工間隙が広くなると言うこと(例え
ば、昭和58年8月25日付けで第2版第1刷が(株)
未踏から発行された井上潔著「放電加工の原理」第52
〜59頁)と合致するものである。
【0024】即ち、本発明は油系加工液に混入する粉末
の寸法が従来のものに比べて小さい、大きくても約2μ
mφ以下,好ましくは約1.0μmφ前後でより好まし
くは約0.8μmφ前後であって、約4〜5μmφ以上
の大きな粒子の含有割合を低く、少なくとも20%を越
えないようにし、かかる粉末粒子の寸法とすることによ
り、加工液へ混入粉末の量を、例えば重量比約10%以
上の如く格別多くしない以上、放電加工の際の放電間隙
が広がらず、粉末の混入がない場合に近い間隙長の状態
でその他の粉末混入の効果を享受して加工が行なわれ、
加工の寸法形状精度及び加工面粗さが所望に仕上がって
いくこととなるものである。
【0025】而して、次の加工工程4th及び5th
は、前段の中仕上げにより太鼓を含む寸法形状精度が所
望に近い相当程度に仕上がると共に加工面粗度が相当程
度改善された加工面を、次の加工工程の微小面粗度の鏡
面状光沢付け加工処理のための面付け、特に加工面粗度
微細化の面粗度仕上げを行う加工工程で前記電流パルス
供給回路は最早使用されず、又表記の如く電圧パルス供
給回路6の無負荷電圧を約80V一定でなく約150V
に変更設定し得る電源構成の場合には、電圧パルス供給
回路8は必須のものではないかが、確実安定加工のため
には、内部インピーダンスの大きい該回路8の付設が好
ましいものである。そして、この工程の加工により、次
の6th及び7thの加工工程の鏡面状光沢付け加工に
移行するのに必要な寸法形状精度約1μm程度以内、お
よび加工面粗度約3.5〜5.5μmRmax程度に仕
上げるのである。そしてこの場合も、加工液中に混入し
てある粉末の大きさ寸法が約1μmφと小さいことか
ら、比較的狭い放電間隙状態で、加工面が荒れることが
なく加工面粗度が仕上がっていくものである。
【0026】次の6th及び7th(各2回)の加工面
の鏡面状の光沢付け加工工程に於いては、加工面から放
電加工によって被加工体材を加工し除去する加工量又は
加工取り量は、殆どない位の極めて僅少量で良く、どち
らかと言うと加工液中に混入した粉末を放電により加工
面に一部合金化等被着コーティングする(例えば、前述
特開平2−83119号公報等、及び特開昭53−10
0932号公報)ものであるから、高い放電電流のピー
クは不要と言うより、勿論有害であるから、加工用電源
の電圧パルス供給回路5からワイヤ電極1と被加工体3
間の放電加工部迄の給電線を放電回路のキャパシタンス
が約1600nF程度ある状態となっている低インダク
タンス給電線10Aから、約10nF前後程度となる低
キャパシタンス給電線10Bにスイッチ9A、9Bによ
り切換え、開閉スイッチ13を開として放電電流立ち上
がりを低減させる約10μHのインダクタンス11を放
電回路に直列に挿入すると共に、放電電流の立ち上がり
を押さえ、かつ前記インダクタンス線輪11と共に放電
ピークを低減させると共に、伸長させる放電電流パルス
の波形成形をする抵抗体12、抵抗値約20Ωを開閉ス
イッチ14を開として放電間隙に直列に、かつ前記図3
で説明したように放電加工部の直近の位置に於いて挿入
するものである。なお、又この場合、加工制御送りのサ
ーボ基準電圧SVとして加工した。
【0027】そして、この7th加工工程の放電電圧及
び放電電流波形は、図4のAにその典型的な線図を示し
たように、図4のBのシンクロスコープ写真図の如きも
ので(6thの加工工程の場合も電流を除くとほぼ同
様)、この6thと7thの各2回の工程の加工によ
り、太鼓を含む寸法形状精度が約0.5μm以内で加工
面粗度0.9μmRmaxの鏡面状の光沢面に仕上り、
走査型電子顕微鏡(SEM)による加工面の観察による
と、約25〜30μmφの混入粉末の被着コーティング
と思われる薄い円板状の放電クレータが一部重積した面
であった。そして図4によれば、放電電流パルス幅は約
1.5μmで、電圧パルス供給回路(6)の設定オン時
間0.5μsの約3倍、放電電流振幅の最大値は約3A
で、電圧パルス供給回路5出力端での短絡電流パルスの
パルス幅約0.5μs、短絡電流振幅約2Aに対比し、
前記挿入インダクタンス線輪11と抵抗体12による放
電電流パルスの波形形成効果の大きいことが判る。
【0028】
【表2】
【0029】表2は前記表1の7th(2回)の加工工
程後の複数種の加工工程の条件を示したもので、8th
−1(2回)は上記7thの加工条件でオフ時間を1.
5μsと変更した外に抵抗体12として約45Ωの抵抗
を挿入した場合、8th−2(2回)は同様に抵抗体1
2として約75Ωの抵抗を挿入した場合、又8th−3
はオフ時間1.0μsで、抵抗体12を0Ωに設定した
場合であり、図5のA、B、図6のA、B、及び図7の
A、Bは前記各加工工程8th−1、8th−2、及び
8th−3に対応する放電電圧と放電電流の典型的な波
形線図とシンクロスコープ写真図である。
【0030】上記8th−1の加工は図5に示すように
前述挿入抵抗体12が20Ωの7thの加工工程の場合
と放電電流電圧波形に大きな差が生せず、加工寸法形状
精度は約0.2μm以内と同程度以上で、加工面粗度は
約0.55μmRmaxに仕上り放電クレータの大きさ
が約20〜25μmφ程度で、加工面の鏡面状態も向上
した。
【0031】又、上記8th−2の加工は、挿入抵抗体
12を75Ωに更に増大した場合で、図6に示すように
放電電流のピークが約2Aに低く押さえられ放電電流パ
ルスの幅が約2μs強程度に増加した外は大きな変化は
なく、加工の寸法形状精度約0.1μm以内で、加工面
粗度約0.4μmRmaxに仕上り、放電クレータの大
きさが約20μmφ弱程度で、加工面の鏡面状態は更に
向上した。
【0032】又更に上記挿入抵抗体12の抵抗値を約1
50Ω、及び約300Ωとして加工を行なった所、他の
電気条件は前記8th−1、2と同一の場合には、放電
は発生しているものの、前記7th(2回)の加工面に
対して、2回程度の加工処理では殆ど変化を与え得ない
状態であった。
【0033】又、上記8th−3の加工は、放電回路に
インダクタンス線輪11は挿入されているものの抵抗体
12を0Ω、即ち挿入しなかった場合で、その他の加工
条件は実質上同一であるが、図7に示すように放電電流
のパルス幅は約1.5μsで大きな変化はないもののそ
の電流ピークが放電回路の浮遊容量のためか、前述短絡
電流約2Aに対して、約6A近くに大きく立ち上がって
おり、加工寸法形状精度が約1.5μmに悪化し、そし
て加工面粗度は約1.5μmRmaxと大幅に悪化し、
放電クレータは約30μmφ程度であったが、面性状が
変化し、加工面の鏡面状態は前述7th(2)の加工処
理面に対して大幅に悪化した。
【0034】即ち、上述の如き放電加工条件に於いて
は、放電回路の直列挿入抵抗体12としては、少なくと
も約20Ω前後以上のものとして、放電電流の振幅を約
4A程度以下押さえることが必要であると認められる。
なお、インダクタンス線輪11については、放電電流の
立ち上がりを滑らかにすると共に、前記抵抗体12との
相互作用により放電電流のパルス幅を電圧パルスを供給
するスイッチ素子のオン時間(約0.5μs)よりも長
く(約数μs以内)するために、また上述の如き電流値
が低くてパルス幅の大きい放電を確実に行なわせるため
に必要なものである。
【0035】
【表3−1】
【0036】
【表3−2】
【0037】次に被加工体3の板厚が約60mmtと大
きい場合の実験例に付き表3−1〜2及び表4により説
明する。即ち、加工された被加工体3の太鼓(真直度)
を含む寸法形状精度は、被加工体の板厚に応じて大き
く、悪くなる傾向にあり、従来の加工液混入シリコン粉
末の粒度分布のピークが約10μmφのものを使用によ
る寸法形状精度の仕上げ加工が必要であったのである
が、本発明の特に混入シリコン粉末の粒度分布のピーク
が約0.8〜1.2μmφであって、約4〜5μmφ以
上の粉末の割合が約20%を越えない粉末を使用する
と、被加工体の板厚が約60mmの場合でも、太鼓(真
直度)量が片側で約2〜3μmに容易に仕上るものであ
る。
【0038】
【表5】
【0039】図8の特性曲線A、Bは2種類のシリコン
粉末の粒度分布を示したもので、あの粒度分布を有する
粉末は本発明に於いて使用する粉末として適するもので
あるが、Bの粉末は約1.5μmφ以上の粉末につき,
なお粉砕処理をすることが望ましいものいである。而し
て、シリコン粉末の細粒化は、前述の通常機械的手段に
よる粉砕の外、以下のような液中放電による粉砕手段を
も利用することができる。約3〜5μmφのシリコン粉
末約30ccを約30ccのケロシンで良く練った後、
約2lのケロシンに溶かし良く攪拌(噴射式)する。約
30mm厚で、約100mm×100mmの銅とS55
C鉄材の電極を対向させ、表5の1回目の放電加工条件
で放電処理し、強制的に一部手動で時間を置いて良く攪
拌(2時間間隔で2時間攪拌を複数回)した後、表5の
2回目の放電加工条件で約18時間放電処理すると中濃
ソース状態となる。次いで攪拌と放電処理とを各約10
分毎に約10時間行なってトマトケチャップ状の液を得
る。この液を静置し、表面に形成した凹部に溜まった油
を汲み出すようにした油抜きを約72時間にわたって行
なった所、粒径のピークは約0.8〜1.3μmφで、
約24時間後の沈降厚さが、放電処理前の沈降厚さの約
5倍で、凝固しない微細シリコン粉末原料が得られ、放
電加工油に溶解して使用することができた。
【0040】而して、油系加工液に混入するシリコン粉
末の量(重量百分比、又は体積百分比)であるが、以下
に説明する実験例に使用した粉末混入加工液は、前述第
1の実験例(1st〜8th)の加工(但し、1stの
荒加工の時間の割合は約20%前後)に約1000時間
使用したものであって、その加工結果によれば、加工液
中の残留シリコン粉末の量(濃度)に不足を感じること
なく加工することができた。
【0041】よって、ここで加工液中の混入(残留)シ
リコン粉末の量(濃度)の点に付き検討すると、従来約
5〜15μmφのシリコン粉末を使用していたときに
は、粉末がその一部以上が沈降偏在、又は分離等し易い
ためか、加工中の濃度の維持管理が問題であって、約2
%前後の濃度維持のために強制攪拌でも防げない沈降凝
固を補うための追加投入がしばしば必要であったのであ
る。
【0042】しかるに、本発明によれば、前述の如く粉
末混入加工液は長寿命であって、之は、粉末粒径が大き
いことにより、前記5〜15μmφのサイズの場合、仮
に放電間隙(又は放電部位)に濃度的に1個しか粉末が
存在し得なかった場合にも、本発明の微小粉末サイズ約
1μmmφとすると、同一濃度で125〜3375倍の
個数存在し得る訳で、従って本発明の場合、混入濃度に
対して濃度低下の変化が生じても、放電間隙(放電部
位)には、相当数粉末が介在している可能性が高いの
に、従来例の場合濃度低下が、即ち放電間隙の粉末介在
不足につながるからであると考えられる。
【0043】以上のようなことから、本発明の場合に
は、粉末混入量が重量百分比で0.5%程度でも有効に
使用可能なものであり、そしてその混入量の上限は必ず
しも判然としないものの、加工液が泥状化乃至流動性が
悪化しない約10%程度とするのが好ましいようであ
る。
【0044】以下の加工条件は、前記表3−1〜2中に
記載していない、かつ前述板厚10mmの実験例の場合
と異なる加工条件を示すものである。 被加工体 材質 SKD61焼入材 板厚 60mm 加工液 前述実験例で1000時間使用した後の粉末混入加工液 加工の態様外 加工形状は10mm角の8角柱で、形状寸法の測定はx
軸方向に行なった。
【0045】
【表4】
【0046】而して、表4は、上述表3に示した加工条
件による1st乃至9th−2の14加工工程毎の被加
工体の上部、中部、及び下部の各加工仕上り寸法μm
と、各面粗度μmRmax及び太鼓量(真直度)μm
(片側)を示したもので、前記太鼓量(真直度)は1s
t加工工程後の2nd(セカンドカット)加工工程でほ
ぼ所定の値近く迄改善されており、以後の加工では殆ど
形状変化はなく、加工工程を追う毎に加工仕上り寸法、
及び加工面粗度が改善されて仕上がっていくことが判
る。そして6thの加工工程で主として寸法形状精度出
しと、面粗度改善の加工処理を終えた被加工体に対し、
次の放電回路にインダクタンス線輪(1ターン)のみを
直列に挿入した7th−1〜4のオフセット量を含む加
工条件を一定とした4回の繰り返し加工によりスパーク
アウト状態として、次の面粗度仕上げ、及び鏡面状光沢
付け加工のための加工面下地調整加工を行ない、次いで
放電回路に抵抗体を直列に挿入した8th−1〜2、及
び9th−1〜2の加工工程の加工で、加工面粗度が急
速に仕上っていることが判り、本発明の上記抵抗体をイ
ンダクタンス線輪と共に直列に挿入した低キャパシタン
ス回路が仕上げ加工上有効なことが伺える。
【0047】
【発明の効果】本発明のワイヤ放電仕上げ加工方法は、
上述のような構成であるから、放電間隙が狭くて、太鼓
(真直度)を含む寸法形状精度の高い加工が可能であっ
て、従って荒加工から仕上げ加工迄の複数の加工工程を
追う一連の加工工程中に加工液を粉末混入加工液と非混
入加工液とを交換したりする面倒がなく、又粉末混入加
工液使用の仕上げ加工に於いて、放電電流波形を所望に
制御して高面精度の鏡面状の光沢付け加工を確実に行な
うことができ、又本発明のワイヤ放電仕上げ加工回路
は、上述のような構成であるから、仕上げ加工用電圧パ
ルス供給回路と放電間隙間の給電回路を低キャパシタン
ス回路として、インダクタンス線輪と抵抗体との直列回
路により放電電流パルスの波形を所望に制御することが
でき、簡単な回路構成で粉末混入加工液使用のワイヤ放
電仕上げ加工の目的を確実に達成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のワイヤ放電仕上げ加工方法に使用する
加工用電源回路の実施例説明図。
【図2】本発明の加工用電源回路の一部の実施例詳細回
路図。
【図3】本発明の加工用電源回路の一部の構成及び配置
を説明するための実施例説明図。
【図4】A、及びBは、本発明の一実施例の加工の加工
工程に於ける放電電圧と放電電流の典型的な波形線図と
シンクロスコープ写真図。
【図5】A、及びBは、本発明の他の実施例の加工の加
工工程に於ける放電電圧と放電電流の典型的な波形線図
とシンクロスコープ写真図。
【図6】A、及びBは、本発明の又他の実施例の加工の
加工工程に於ける放電電圧と放電電流の典型的な波形線
図とシンクロスコープ写真図。
【図7】A、及びBは、従来例の比較例の加工の加工工
程に於ける放電電圧と放電電流の典型的な波形線図とシ
ンクロスコープ写真図。
【図8】2種類の加工液混入粉末の粒度分布の例を説明
するための特性曲線図。
【符号の説明】
1,ワイヤ電極 2A,2B,位置決めガイド 3,被加工体 4,ワークスタンド 5,電圧パルス供給回路 6,電圧パルス供給回路 6A,直流電圧源 6B,8B,電子スイッチ素子 6C,8C,電流制限抵抗 6D,8D,逆電圧防止整流器 7,パルス制御装置 8,第2の電圧パルス供給回路 8A,可変直流電圧源 8E,開閉スイッチ 9,9A,9B,切換えスイッチ 10A,低インダクタンス供給線 10B,低キャパシタンス供給線 11,インダクタンス線輪 12,抵抗体 13,14,開閉スイッチ 15,函体 16A,16B,加工液噴射ノズル 18A,18B,リード線 19A,19B,接続線
【手続補正書】
【提出日】平成6年12月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年3月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のワイヤ放電仕上げ加工方法に使用する
加工用電源回路の実施例説明図。
【図2】本発明の加工用電源回路の一部の実施例詳細回
路図。
【図3】本発明の加工用電源回路の一部の構成及び配置
を説明するための実施例説明図。
【図4】A、及びBは、本発明の一実施例の加工の加工
工程に於ける放電電圧と放電電流の典型的な波形線図と
オシロ波形写真図。
【図5】A、及びBは、本発明の他の実施例の加工の加
工工程に於ける放電電圧と放電電流の典型的な波形線図
とオシロ波形写真図。
【図6】A、及びBは、本発明の又他の実施例の加工の
加工工程に於ける放電電圧と放電電流の典型的な波形線
図とオシロ波形写真図。
【図7】A、及びBは、従来例の比較例の加工の加工工
程に於ける放電電圧と放電電流の典型的な波形線図とオ
シロ波形写真図。
【図8】2種類の加工液混入粉末の粒度分布の例を説明
するための特性曲線図。
【符号の説明】 1,ワイヤ電極 2A,2B,位置決めガイド 3,被加工体 4,ワークスタンド 5,電圧パルス供給回路 6,電圧パルス供給回路 7,パルス制御装置 8,第2の電圧パルス供給回路 8A,可変直流電圧源 8E,開閉スイッチ 9,9A,9B,切換スイッチ 10A,低インダクタンス供給線 10B,低キャパシタンス供給線 11,インダクタンス線輪 12,抵抗体 13,14,開閉スイッチ 15,函体 16A,16B,加工液噴射ノズル 18A,18B,リード線 19A,19B,接続線
フロントページの続き (72)発明者 黒田 達雄 神奈川県横浜市都筑区仲町台3丁目12番地 1号 株式会社ソディック技術研修センタ ー内 (72)発明者 中山 実 神奈川県横浜市都筑区仲町台3丁目12番地 1号 株式会社ソディック技術研修センタ ー内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末混入加工液をワイヤ電極と被加工体
    間の放電間隙に介在させた状態で両者間に休止時間を置
    いた間歇的な電圧パルスを印加し発生する放電により最
    終仕上げ加工する方法に於いて、前記被加工体を前工程
    迄のワイヤ放電加工によって所要の寸法・形状精度及び
    面粗度に仕上げてなり、加工液として炭化水素系の鉱物
    油を用い、混入粉末として平均粒径が0.5〜2.0μ
    mφのシリコンを用い該シリコン粉末を前記鉱物油に重
    量百分比で0.5%以上、10%以下混合し、前記電圧
    パルスとして短絡電流1〜4Aで、無負荷電圧が100
    Vよりも高く、パルス幅が2μs以内の電圧パルスの供
    給により、パルス幅が1〜4μs、電流振幅が2〜4A
    の放電パルスを間歇的に発生させながら放電加工するこ
    とを特徴とするワイヤ放電仕上げ加工方法。
  2. 【請求項2】 前記被加工体を所要の寸法・形状精度、
    及び面粗度に仕上げる前記前工程迄の荒加工のファース
    トカット加工工程及び中仕上げ加工のセカンドカット等
    1又は複数の加工工程の各工程の加工を、前記炭化水素
    系の鉱物油に前記シリコン粉末を混入した粉末混入加工
    液を使用したワイヤ放電加工としたことを特徴とする前
    記請求項1に記載のワイヤ放電仕上げ加工方法。
  3. 【請求項3】 前記請求項1に記載の加工条件の最終仕
    上げ加工を、ほぼ同一のオフセット値で、加工面粗度が
    所望の0.5〜2.0μmRmaxとなる迄複数回繰り
    返すことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電仕上
    げ加工方法。
  4. 【請求項4】 前記電圧パルスの無負荷電圧が100V
    よりも高く、短絡電流が1〜4Aで、パルス幅が2μs
    以内の電圧パルスを放電間隙に供給する供給回路が、切
    換えられた低キャパシタンス給電線と直列に挿入された
    インダクタンス線輪と抵抗体との直列回路から成ること
    を特徴とする請求項1、2、又は3に記載のワイヤ放電
    仕上げ加工方法。
  5. 【請求項5】 前記混入シリコン粉末の粒度分布のピー
    クが0.5〜1.3μmφであって、4〜5μmφ以上
    の粉末の割合が20%を越えない粉末であることを特徴
    とする粉末混入ワイヤ放電加工用シリコン粉末。
  6. 【請求項6】 粒度分布のピークが20μmφよりも大
    きいシリコン粉末を炭化水素油と混合し、該混合物中に
    於いて少なくとも一対の金属電極を間隔を置いて対向さ
    せ、前記混合物を攪拌しつつ前記電極間に間歇的な電圧
    パルスを印加し、放電を発生させて放電粉砕処理をする
    ことを特徴とする請求項5に記載の粉末混入ワイヤ放電
    加工用シリコン粉末。
  7. 【請求項7】 粉末混入加工液を使用する放電加工によ
    り被加工体の加工面を所要の寸法・形状精度と面粗度の
    光沢面に仕上げるワイヤ放電仕上げ加工用電源回路であ
    って、直流電源と電流制限抵抗とオンオフ制御装置によ
    って制御される電子スイッチ素子とを直列に接続した電
    圧パルス供給回路と、該電圧パルス供給回路の両端出力
    をワイヤ電極と被加工体とから成る放電間隙に並列に接
    続する給電線であって、低インダクタンス給電線と切換
    え接続可能に設けられた低キャパシタンス給電線と該低
    キャパシタンス給電線と前記放電間隙間の放電回路中に
    切離し可能に直列に挿設されたインダクタンス線輪と、
    同じく前記放電回路中に切離し可能に直列に挿設された
    波形成形抵抗体と、から成ることを特徴とするワイヤ放
    電仕上げ加工用電源回路。
  8. 【請求項8】 前記インダクタンス線輪と抵抗体及び之
    等の選択切換えスイッチを収納し、外壁面に給電線の接
    続端子を設けた函体をワイヤ電極と被加工体の加工部近
    傍の加工槽廻りに配置して成ることを特徴とする前記請
    求項7に記載のワイヤ放電仕上げ加工用電源回路。
  9. 【請求項9】 前記インダクタンス線輪及び抵抗体の両
    方又は何れか一方が可変インダクタンス線輪及び可変抵
    抗体であることを特徴とする前記請求項7又は8に記載
    のワイヤ放電仕上げ加工用電源回路。
  10. 【請求項10】 前記対抗体の抵抗値が10〜100Ω
    であることを特徴とする前記請求項7、8、又は9に記
    載のワイヤ放電仕上げ加工用電源回路。
JP33042794A 1994-11-24 1994-11-24 ワイヤ放電仕上げ加工方法及びワイヤ放電仕上げ加工用電源回路 Pending JPH08150515A (ja)

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