JPH08138719A - 燃料電池の保守点検方法 - Google Patents

燃料電池の保守点検方法

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JPH08138719A
JPH08138719A JP6279013A JP27901394A JPH08138719A JP H08138719 A JPH08138719 A JP H08138719A JP 6279013 A JP6279013 A JP 6279013A JP 27901394 A JP27901394 A JP 27901394A JP H08138719 A JPH08138719 A JP H08138719A
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JP
Japan
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laminated body
fuel cell
rotation
rotating jig
maintenance
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JP6279013A
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Takamasa Mitsuzuka
隆正 三塚
Takehiro Kayano
武広 茅野
Hiroyuki Kimura
弘之 木村
Shinichi Ikeda
紳一 池田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃料電池の保守点検時に、部品の破損を抑制
しかつ高い信頼性を確保しながら容易に積層体下部を解
体可能とする。 【構成】 積層体1の四方の側面S1 〜S4 に、反応ガ
ス供給・排出用のガスマニホールド4を、シール材5を
介して取り付ける。積層体1の上下の締付板2に横梁1
1を取り付け、上下の横梁11の端部間に縦梁12を取
り付ける。縦梁12の長さ方向および幅方向のほぼ中央
部に、回転軸13を取り付ける。縦梁12に、積層体1
を水平方向に取り囲む枠14を取り付ける。積層体1の
回転時に下側になる側面S3 のガスマニホールド4と枠
14の間に荷重計15を取り付け、反対側の側面S4
ガスマニホールド4と枠14の間に変位計16を取り付
ける。積層体1または回転治具10にバランスウェイト
17を取り付け、積層体構造物20を構成する。回転軸
13を回転させて積層体1を上下逆転させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃料電池に係り、特
に、燃料電池の保守点検時に、積層体の下部の解体を高
い信頼性で容易に行うための保守点検方法に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、燃料を電気化学プロセスで
酸化させることにより、この酸化反応に伴って放出され
る化学エネルギーを、直接電気エネルギーに変換する装
置である。このような燃料電池を使用した発電システム
は、比較的小さな規模でも発電の熱効率が40〜50%
にも達し、新鋭の火力発電システムをはるかにしのぐ発
電システムとして期待されている。
【0003】また、このような燃料電池は、近年大きな
社会問題になっている公害要因であるSOx、NOxの
排出が極めて少ない、発電装置内に燃料サイクルを含ま
ないので大量の冷却水を必要としない、振動が小さく、
騒音・排ガスなどの環境問題が少ない、などの利点を持
っている。さらに、負荷変動に対して応答性が良い、原
理的に高い変換効率が期待できると共に、発電と同時に
熱も利用するコジェネシステムに向いている、などの特
徴があることから、その研究開発に期待と関心が寄せら
れ、実用化は目前に迫っている。
【0004】この種の燃料電池としては、例えば、特開
昭60−93765号公報で開示されたものが知られて
いる。図4は、このような燃料電池の電池本体の典型的
な一例を示す図である。すなわち、この図4に示すよう
に、電池本体は、発電のための多数のセルと、セルで発
生する熱を排出するための冷却板を積層してなる積層体
1、積層体1をその上下から積層方向に締め付ける上下
の締付板2、積層体1と上下の締付板2の間に挿入する
スペーサ3、反応ガス供給・排出用のガスマニホールド
4、ガスマニホールド4と積層体1の間をシールするシ
ール材5を備えている。また、図示していないが、電池
本体はさらに、冷媒供給・排出用の冷媒マニホールド、
電気出力取出し用ブスバーなどを備えている。
【0005】そして、積層体1のセルには、天然ガスな
どの燃料ガスと空気などの酸化剤ガスが、外部からガス
マニホールド4を介して供給・排出され、積層体1の冷
却板には水等の冷媒が、外部から冷媒マニホールドを介
して供給、排出されるようになっている。なお、このよ
うな燃料電池の積層体1は、一般に、炭素を主成分とす
る多数のセル、セパレータ板、および冷却板を多数個積
層して構成されており、各セルには一定量のリン酸など
の電解液が含浸されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図4に示す
ような燃料電池の積層体1においては、燃料電池の長時
間の運転に伴い、材料の劣化などにより、その構成部品
の一部に不適合が生じる場合がある。そのため、従来で
は、周期的に積層体1の構成部品の保守点検を行ってい
る。すなわち、積層体1を上から順に解体して構成部品
の点検を行い、不適合部品がある場合には部品交換を行
っている。
【0007】しかしながら、積層体1の構成部品は機械
的強度上破損し易く、また、長時間の使用による機械的
強度の低下により、解体によって信頼性が低下する恐れ
がある。特に、積層体1の下部の構成部品を点検・交換
する場合には、多数の交換部品と長い修理時間が必要と
なる。このことはコストの増大にもつながる。
【0008】本発明は、以上のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであり、その目的は、
燃料電池の保守点検時に、部品の破損を抑制しかつ高い
信頼性を確保しながら容易に積層体下部を解体可能とし
て、交換部品の削減と修理時間の短縮を可能とすること
により、信頼性が高く、コストも低減可能な、優れた燃
料電池の保守点検方法を提供することである。
【0009】より具体的に、請求項1記載の発明の目的
は、解体部品数を少なくして、部品の解体に伴う部品の
破損の発生を抑制し、高い信頼性を確保するとともに、
修理時間を短縮することである。請求項2記載の発明の
目的は、回転時における積層体の変形と応力集中を抑制
し、かつ積層体をスムーズに回転させることにより、回
転時における積層体の信頼性を向上するとともに、回転
治具の構成をできる限り小型・簡略化することである。
請求項3記載の発明の目的は、回転時において積層体を
横方向から支持することにより、回転時における積層体
の信頼性を向上することである。請求項4記載の発明の
目的は、回転時において積層体を横方向から支持すると
ともに、積層体の荷重を検出して回転治具の回転を適切
に制御することにより、回転時における積層体の信頼性
を向上することである。請求項5記載の発明の目的は、
回転時における積層体の変位を検出して回転治具の回転
を適切に制御することにより、回転時における積層体の
信頼性を向上することである。
【0010】請求項6記載の発明の目的は、ターニング
ローラによって回転治具の制御をより適切に行うことに
より、回転時における積層体の信頼性を向上することで
ある。請求項7記載の発明の目的は、ターニングローラ
の駆動電源負荷、駆動トルクを検出して回転治具の回転
を適切に制御することにより、回転時における積層体の
信頼性を向上することである。
【0011】請求項8記載の発明の目的は、回転時にお
いて積層体を横方向から支持することにより、回転時に
おける積層体の信頼性を向上することである。請求項9
記載の発明の目的は、回転時における積層体の横方向の
支持力をより増大することにより、回転時における積層
体の信頼性をより向上することである。請求項10記載
の発明の目的は、ガスマニホールドと積層体との間に十
分な固定力を確保することにより、ガスマニホールドを
含めた積層体構造物全体の信頼性を向上することであ
る。
【0012】請求項11記載の発明の目的は、上下の締
付板による締付支持力を増大することにより、回転時に
おける積層体の信頼性を向上しながらしかも回転治具の
構成をできる限り小型・簡略化することである。請求項
12記載の発明の目的は、回転中心と積層体構造物全体
の重心のずれを小さくして積層体をスムーズに回転させ
ることにより、回転時において積層体の横方向に加わる
荷重を極力低減し、かつ安定させて、回転時における積
層体の信頼性を向上することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明による燃料電池の
保守点検方法は、電解液が含浸された複数のセルと、セ
ル間に挿入されるセパレータ板と、冷却板とが複数個積
層されて積層体が形成され、この積層体がその上下に取
り付けられた上下の締付板によって積層方向に締め付け
られてなる燃料電池の保守点検方法において、特に積層
体の下部を保守点検するための方法である。
【0014】請求項1記載の方法は、積層体に回転治具
を取り付けてこの回転治具を回転させることにより、積
層体を正規状態と上下反対になるように回転させ、この
回転によって上部となった正規の下部部分から順に積層
部品を解体、点検することを特徴としている。
【0015】請求項2記載の方法は、請求項1記載の方
法において、さらに回転治具が次のように構成されたこ
とを特徴としている。すなわち、請求項2記載の方法に
おいて、回転治具は、積層体の第1の側面と対向するよ
うに配置されて上下の締付板間を接続する梁と、この梁
のほぼ中央に取り付けられた回転軸を備える。そして、
この回転軸の回転によって回転治具全体が回転するよう
に構成される。
【0016】請求項3記載の方法は、請求項2記載の方
法において、さらに回転治具が次のように構成されたこ
とを特徴としている。すなわち、請求項3記載の方法に
おいて、回転治具は、梁に取り付けられて積層体を水平
方向に取り囲む枠を備え、この枠によって、積層体の第
1の側面と直交する第2の側面を支持するように構成さ
れる。
【0017】請求項4記載の方法は、請求項3記載の方
法において、さらに回転治具の回転を次のように制御す
ることを特徴としている。すなわち、請求項4記載の方
法において、回転治具は、枠によって、積層体の第2の
側面を荷重計を介して支持するように構成される。そし
て、この荷重計による荷重の検出値に基づいて回転治具
の回転を制御する。
【0018】請求項5記載の方法は、請求項2記載の方
法において、さらに回転治具の回転を次のように制御す
ることを特徴としている。すなわち、請求項5記載の方
法においては、積層体の第1の側面と直交する第2の側
面の撓みまたは滑りによる変位を検出し、その変位量に
基づいて回転治具の回転を制御する。
【0019】請求項6、7記載の方法は、請求項1記載
の方法において、さらに回転治具を次のように回転させ
ることを特徴としている。請求項6記載の方法は、回転
方向および回転速度が可変の駆動装置を有するターニン
グローラによって回転治具を回転させることを特徴とし
ている。請求項7記載の方法は、請求項6記載の方法に
おいて、さらに、ターニングローラの駆動電源負荷、ま
たは駆動トルクを検出し、その検出量によって回転治具
の回転を制御することを特徴としている。
【0020】請求項8〜10記載の方法は、請求項1記
載の方法において、さらに積層体にマニホールドを取り
付けたことを特徴としている。請求項8記載の方法は、
積層体の側面に反応ガス供給排出用のガスマニホールド
を配置し、このガスマニホールドの上下端を上下の各締
付板にそれぞれ固定することを特徴としている。請求項
9記載の方法は、請求項8記載の方法において、さら
に、ガスマニホールド内に反応ガス仕切板を取り付け、
この反応ガス仕切板が下側になるようにして回転治具を
回転させることを特徴としている。請求項10記載の方
法は、請求項8記載の方法において、ガスマニホールド
による積層体の締付力をFb、積層体の質量をm、重力
加速度をgとした場合に、Fb>mgの関係を有するこ
とを特徴としている。
【0021】請求項11、12記載の方法は、請求項1
記載の方法において、さらに次のような特徴を有する。
請求項11記載の方法は、上下の締付板による積層体の
締付力をFa、積層体を構成する各部材間の静止摩擦係
数の最小値をμ、積層体の質量をm、重力加速度をgと
した場合に、μFa>mgの関係を有することを特徴と
している。請求項12記載の方法は、積層体または回転
治具にバランスウェイトを取り付けることを特徴として
いる。
【0022】
【作用】以上のような構成を有する本発明の作用は次の
通りである。すなわち、請求項1記載の方法において、
積層体下部の構成部品を点検・交換する場合には、回転
治具によって積層体全体を上下逆転後、この時点で上部
となる正規の下部部分から順次積層体を解体することが
できる。そのため、正規の上部部分から解体する場合に
比べて、少数の部品の解体により構成部品の点検と不適
合部品の交換を容易に行うことができる。そして、点検
・交換を終了した時点で積層体を再度積層した後、この
積層体を再び回転治具によって上下逆転し、元の正規状
態に戻せばよい。したがって、解体部品数が少なくなる
ため、部品の解体に伴う部品の破損の発生を抑制し、高
い信頼性を確保することができ、また、修理時間を短縮
することができる。
【0023】請求項2記載の方法においては、上下の締
付板間に回転治具を取り付けることにより、回転時にお
ける積層体の変形と応力集中を抑制することができるた
め、回転時における積層体の信頼性を向上することがで
きる。また、梁のほぼ中央に回転軸を取り付けているた
め、回転中心と回転治具を含めた積層体構造物全体の重
心とを近付けることができ、積層体をスムーズに回転さ
せることができる。したがって、回転時において積層体
に加わる荷重を極力低減し、かつ安定させることができ
るため、この点からも、回転時における積層体の信頼性
を向上することができる。さらに、梁と回転軸によって
回転治具をできる限り小型・簡略に構成することができ
る。
【0024】請求項3記載の方法においては、積層体の
回転軸と平行となる第2の側面を、枠によって支持する
ことができる。したがって、この枠により、積層体の回
転時における横方向への荷重と変位をある程度支持し、
吸収することができ、回転時における積層体の信頼性を
向上することができる。
【0025】請求項4記載の方法においては、積層体の
回転軸と平行となる第2の側面を、枠により、荷重計を
介して支持することができる。したがって、積層体の回
転時に仮に積層体が横方向に滑った場合や大きな撓みが
生じた場合に、この側面を荷重計によって十分に支持
し、吸収することができるため、回転時における積層体
の信頼性をより向上することができる。また、荷重計に
よって、回転時に積層体から加わる荷重を検出すること
ができるため、この検出値に応じて回転治具の回転を適
切に制御することができる。そして、検出値が許容値を
越える場合には、回転治具を逆回転させて速やかに積層
体を正規状態に戻し、バランスの確認や各部の点検を行
うことができるため、回転時における積層体の信頼性を
より向上することができる。
【0026】請求項5記載の方法においては、積層体の
回転軸と平行となる第2の側面の撓みまたは滑りによる
変位を検出することができるため、検出した変位量に応
じて回転治具の回転を適切に制御することができる。そ
して、変位量が許容値を越える場合には、回転治具を逆
回転させて速やかに積層体を正規状態に戻し、バランス
の確認や各部の点検を行うことができるため、回転時に
おける積層体の信頼性をより向上することができる。
【0027】請求項6記載の方法においては、ターニン
グローラによって、回転治具の回転方向および回転速度
を容易に変化させることができるため、回転治具の制御
を適切に行うことができる。したがって、回転時におけ
る積層体の信頼性を向上することができる。
【0028】請求項7記載の方法においては、ターニン
グローラの駆動電源負荷、または駆動トルクを検出し、
その検出量によって回転治具の回転を適切に制御するこ
とができる。そして、検出量が許容値を越える場合に
は、回転治具を逆回転させて速やかに積層体を正規状態
に戻し、バランスの確認や各部の点検を行うことができ
るため、回転時における積層体の信頼性をより向上する
ことができる。
【0029】請求項8記載の方法においては、ガスマニ
ホールドによって積層体の側面を支持することができ
る。したがって、このガスマニホールドにより、積層体
の回転時における横方向への荷重と変位をある程度支持
し、吸収することができ、回転時における積層体の信頼
性を向上することができる。
【0030】請求項9記載の方法においては、ガスマニ
ホールドに取り付けた反応ガス仕切板が下側になるよう
にして回転治具を回転させることにより、積層体の回転
時における横方向の支持力をより増大することができ、
回転時における積層体の信頼性をより向上することがで
きる。
【0031】請求項10記載の方法においては、ガスマ
ニホールドによって積層体全体の重量より十分大きい力
で積層体を横方向から締め付けることができるため、ガ
スマニホールドと積層体との間に十分な固定力を確保で
きる。したがって、回転時において、仮に積層体の全重
量がガスマニホールドに作用した場合でも、上側になっ
たガスマニホールドが積層体から浮き上がることはな
く、ガスマニホールドを含めた積層体構造物全体の信頼
性を向上することができる。
【0032】請求項11記載の方法においては、上下の
締付板によって十分な力で積層体を締め付けることがで
きるため、積層体を横方向から支持しなくても、積層体
を十分に支持することができる。したがって、積層体の
回転時における締付支持力を増大することができ、回転
時における積層体の信頼性を向上しながらしかも回転治
具の構成をできる限り小型・簡略化することができる。
【0033】請求項12記載の方法においては、積層体
または回転治具にバランスウェイトを取り付けることに
より、回転中心と回転治具を含めた積層体構造物全体の
重心のずれを小さくすることができ、積層体をスムーズ
に回転させることができる。したがって、回転時におい
て積層体に加わる荷重を極力低減し、かつ安定させるこ
とができるため、回転時における積層体の信頼性を向上
することができる。
【0034】
【実施例】以下には、本発明による燃料電池の保守点検
方法の一実施例について、図1〜図3を参照して具体的
に説明する。
【0035】[1]実施例の構成 まず、図1は、本発明を適用した保守点検方法の代表的
な一実施例を示す図である。この図1に示すように、積
層体1の正規状態における下部部分を点検・交換する場
合には、積層体1にマニホールド4を取り付けたままの
状態で、回転治具10を取り付けて、積層体構造物20
を構成する。すなわち、図1および図2に示すように、
積層体1の四方の側面S1 〜S4 には、反応ガス供給・
排出用のガスマニホールド4が、シール材5を介して取
り付けられている。このガスマニホールド4は、その上
下端に固定されている支持板6によって上下の各締付板
2に支持されている。また、各ガスマニホールド4内に
は、反応ガス仕切板7が取り付けられている。
【0036】この場合、積層体1は、各ガスマニホール
ド4によって、積層体1全体の重量より十分大きな力で
その横方向から締め付けられている。また、積層体1
は、上下の締付板2によって、積層体1の横方向に加わ
る負荷より十分大きな力でその上下方向から締め付けら
れている。すなわち、積層体1は、上下の締付板2によ
る積層体1の締付力をFa、積層体1を構成する各部材
間の静止摩擦係数の最小値をμ、積層体の質量をm、重
力加速度をgとした場合に、μFa>mgとなるような
締付力Faで、締め付けられている。
【0037】そして、このようにガスマニホールド4が
取り付けられた積層体1に対して、横梁11、縦梁1
2、回転軸13、および枠14からなる回転治具10を
取り付ける。すなわち、図2に示すように、積層体1の
上下の締付板2の上面および下面に各2本の横梁11を
それぞれ取り付け、上下の各2本の横梁11の同じ側の
端部間に縦梁12をそれぞれ取り付ける。この結果、積
層体1の対向する一対の側面S1 ,S2 に配置された各
ガスマニホールド4の外面に、各ガスマニホールド4と
対向する形で、各2本の縦梁12がそれぞれ配置される
ことになる。そして、図1に示すように、同一のガスマ
ニホールド4に対向する2本の縦梁12の長さ方向およ
び幅方向のほぼ中央部に、回転軸13を取り付ける。さ
らに、縦梁12には、図1および図2に示すように、積
層体1を水平方向に取り囲む枠14を取り付ける。
【0038】また、図1に示すように、積層体1の一対
の側面S1 ,S2 と直交する一対の側面S3 ,S4 のう
ち、積層体1の回転時に下側になる方の側面S3 に配置
されたガスマニホールド4と枠14の間には、荷重計1
5を取り付ける。そして、積層体1の荷重計15と反対
側の側面S4 に配置されたガスマニホールド4と枠14
の間には、変位計16を取り付ける。さらに、積層体1
または回転治具10のいずれかにバランスウェイト17
を取り付け、積層体構造物20を構成する。なお、図1
においては、回転治具10の横梁11部分にバランスウ
ェイト17を取り付けた状態を示している。
【0039】以上のようにして、積層体1の周囲に、横
梁11、縦梁12、回転軸13、および枠14からなる
回転治具10を取り付け、さらに、荷重計15、変位計
16、およびバランスウェイト17を取り付けて、積層
体構造物20を構成した状態で、図2および図3に示す
ように、回転治具10の回転軸13をターニングローラ
30によって支持する。そして、このターニングローラ
30によって、回転軸13を図中矢印で示す順方向Fに
180度回転させる。この結果、回転治具10およびこ
れに取り付けられた積層体1およびガスマニホールド4
を含む積層体構造物20全体が順方向Fに180度回転
する。すなわち、積層体1の正規状態における上下が逆
転し、正規の下部部分が上部に位置し、正規の上部部分
が下部に位置する形となる。なお、ターニングローラ3
0は、回転方向および回転速度が可変の駆動装置を有す
る。
【0040】また、ターニングローラ30による積層体
1の回転時には、荷重計15によって、積層体1の横方
向に加わる荷重を測定するとともに、変位計16によっ
て、積層体1の撓みや滑りによる変位を測定する。この
場合、ターニングローラ30の駆動電源負荷または駆動
トルクの検出も同時に行う。そして、これらの検出量に
よって、ターニングローラ30の回転方向および回転速
度を制御する。
【0041】[2]実施例の作用と効果 以上のような構成を有する本実施例の保守点検方法によ
れば、次のような作用と効果が得られる。
【0042】まず、積層体1の下部の構成部品を点検・
交換する場合には、前述したような操作で、ターニング
ローラ30によって積層体構造物20全体を180度回
転させることにより、積層体1を上下逆転させる。この
時点で、正規状態における下部部分は上部に位置するた
め、この部分から順次積層体1を解体し、点検・交換を
行うことができる。そのため、正規の上部部分から解体
していた従来方法に比べて、必要最小限の部品の解体の
みにより、構成部品の点検と不適合部品の交換を容易に
行うことができる。そして、このような必要最小限の部
品の解体による点検・交換を終了した時点で、積層体1
を再度積層し、この後、積層体1をターニングローラ3
0によって再び上下逆転することにより、積層体1を元
の正規状態に容易に戻すことができる。したがって、従
来に比べて解体部品数が少なくなるため、その分だけ部
品の解体に伴う部品の破損の発生を抑制し、高い信頼性
を確保することができ、また、修理時間を短縮すること
ができる。
【0043】ところで、積層体1を構成するセルは、リ
ン酸などの電解液を含んだ炭素などの脆い材料で構成さ
れているので、このセルを積層したまま回転する際に
は、起動、停止時に大きな荷重が加わらないように、起
動、停止速度を低速とする必要がある。その一方で、セ
ルに含まれたリン酸などの電解液が漏出しないように、
回転時間を極力短縮する必要がある。これに対して、本
実施例では、ターニングローラ30によって、回転治具
10の回転方向および回転速度を容易に変化させること
ができるため、回転治具10の制御を適切に行うことが
でき、回転時における積層体1の信頼性を向上すること
ができる。特に、ターニングローラ30としては、イン
バータモータなどを使用した無段変速可能なものを使用
することが望ましい。
【0044】また、以上のような構成を有する積層体1
の回転時には、積層体1の変形を小さくし、かつ応力集
中をできるだけ回避してセルの破損を防止することが必
要である。これに対して、本実施例においては、上下の
締付板2間に縦梁12を取り付けているため、回転時に
おける積層体1の変形と応力集中を抑制することがで
き、回転時における積層体1の信頼性を向上することが
できる。さらに、積層体1の側面S1 ,S2 に配置され
た各2本の縦梁12の幅方向および長さ方向のほぼ中央
に回転軸13を取り付けるとともに、積層体1または回
転治具10にバランスウェイト17を取り付けているた
め、回転中心と積層体構造物20全体の重心とのずれを
できるだけ小さくでき、積層体1をスムーズに回転させ
ることができる。したがって、回転時において積層体1
に加わる荷重を極力低減し、かつ安定させることができ
るため、回転時における積層体1の信頼性を向上するこ
とができる。
【0045】さらに、図1に示すように、積層体1の一
対の側面S1 ,S2 と交差する回転軸13によって積層
体1を回転させる場合、積層体1の別の一対の側面
3 ,S4 には、回転に起因する横方向の荷重が加わる
ことになる。特に、回転時に下側となる側面S3 には、
回転に起因する荷重に加えて、重力に起因する荷重が相
乗的に加わることになる。これに対して、本実施例にお
いては、側面S3 ,S4 に加わる荷重を枠14により支
持することができる。そのため、この枠14により、積
層体1の回転時における横方向への荷重と変位をある程
度支持し、吸収することができる。特に、回転時に下側
となる側面S3 に加わる大きな荷重を、枠14により、
荷重計15を介して支持することができる。そのため、
積層体の回転時に仮に積層体1の側面S3 が横方向(下
方向)に滑った場合や大きな撓みが生じた場合には、こ
の側面S3 を枠14および荷重計15によって十分に支
持し、吸収することができる。したがって、回転時にお
ける積層体1の信頼性をより向上することができる。
【0046】一方、本実施例においては、以上のような
積層体1の回転時に、荷重計15と変位計16によって
積層体1の横方向の荷重や変位を測定するとともに、タ
ーニングローラ30の駆動電源負荷または駆動トルクの
検出を行っているため、これらの検出量によって、ター
ニングローラ30による積層体1の回転を適切に制御す
ることができる。そして、各検出量が許容値を越える場
合には、回転治具10を逆回転させて速やかに積層体1
を正規状態に戻し、バランスの確認や各部の点検を行う
ことができるため、回転時における積層体1の信頼性を
より向上することができる。
【0047】また、本実施例においては、積層体1の4
側面S1 〜S4 に、ガスマニホールド4をシール材5を
介して取り付けているため、このガスマニホールド4に
よって積層体1の各側面S1 〜S4 を支持することがで
きる。特に、本実施例においては、各ガスマニホールド
4内に、反応ガス仕切板7を取り付けているため、積層
体1の回転時における横方向の支持力をより増大するこ
とができる。さらに、本実施例においては、ガスマニホ
ールド4によって、積層体1全体の重量より十分大きい
力で積層体1を横方向から締め付けているため、積層体
1が90度回転してその横方向が上下方向に一致した際
に、万一積層体1の全重量がガスマニホールド4に作用
した場合でも、上側になったガスマニホールド4が積層
体から浮き上がることはない。したがって、このガスマ
ニホールド4を含めた積層体構造物20全体の信頼性を
向上することができ、それによって積層体1の信頼性を
向上することができる。
【0048】そしてまた、本実施例においては、上下の
締付板2による積層体1の締付力をFa、積層体1を構
成する各部材間の静止摩擦係数の最小値をμ、積層体1
の質量をm、重力加速度をgとした場合に、μFa>m
gとなるような締付力Faで積層体1を締め付けている
ため、この締付力Faだけで、積層体1を十分に支持す
ることができる。すなわち、積層体1が90度回転して
その横方向が上下方向に一致した場合でも、積層体1を
構成する各部材が横方向(下方向)にずれる恐れはな
く、回転時における積層体1の信頼性を向上できる。し
たがって、この締付力Faを保持することにより、図1
における枠14やマニホールド4を省略した場合でも、
回転時における積層体1の信頼性を十分に確保すること
ができる。
【0049】以上のように、本発明によれば、積層体1
の下部部分の点検・交換時に、この積層体1に回転治具
10を取り付けて積層体構造物20を構成し、この積層
体構造物20をターニングローラ30で回転させること
により、積層体1の信頼性を低下させることなしに、積
層体1を容易に上下逆転させることができる。そして、
このように上下逆転させた状態で、上部に位置している
正規の下部部分を解体することができるため、必要最小
限の部品の解体のみにより、構成部品の点検と不適合部
品の交換を容易に行うことができる。したがって、本実
施例の保守点検方法によれば、積層体1の交換部品を削
減し、修理時間を短縮しながら、しかも、信頼性の高い
保守点検を行うことができる。
【0050】[3]他の実施例 なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではな
く、他にも多種多様な変形例を実施可能である。すなわ
ち、対象となる積層体の寸法・重量などに応じて、回転
治具の具体的な構造やこの回転治具を回転させるための
具体的な方法は、適宜変更可能である。例えば、積層体
が比較的小型・軽量である場合などには、上下の締付板
により、前述した関係:μFa>mgを満たす締付力F
aによって積層体を締め付けるだけで、回転時における
積層体の信頼性を十分に確保することができる。このよ
うな場合には、前述したように、図1における枠14や
マニホールド4を省略することが可能である。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の燃料電池
の保守点検方法においては、積層体に取り付けた回転治
具を回転させ、それによって、積層体を正規状態と上下
逆転させることにより、部品の破損を抑制しかつ高い信
頼性を確保しながら容易に積層体下部を解体可能とし
て、交換部品を削減するとともに、修理時間を短縮する
ことができる。したがって、保守点検の信頼性を向上で
き、コストも低減可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した保守点検方法の一実施例にお
いて構成した積層体構造物を回転軸方向から示す側面
図。
【図2】図1の積層体構造物をターニングローラによっ
て支持した状態を回転軸と直交方向から示す側面図。
【図3】図2の状態を回転軸方向から示す側面図。
【図4】燃料電池の電池本体の典型的な一例を示す斜視
図。
【符号の説明】
1…積層体 2…締付板 3…スペーサ 4…ガスマニホールド 5…シール材 6…支持板 7…反応ガス仕切板 10…回転治具 11…横梁 12…縦梁 13…回転軸 14…枠 15…荷重計 16…変位計 17…バランスウェイト 20…積層体構造物 30…ターニングローラ
フロントページの続き (72)発明者 池田 紳一 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解液が含浸された複数のセルと、セル
    間に挿入されるセパレータ板と、冷却板とが複数個積層
    されて積層体が形成され、この積層体がその上下に取り
    付けられた上下の締付板によって積層方向に締め付けら
    れてなる燃料電池の保守点検方法において、 前記積層体に回転治具を取り付けてこの回転治具を回転
    させることにより、積層体を正規状態と上下反対になる
    ように回転させ、この回転によって上部となった正規の
    下部部分から順に積層部品を解体、点検することを特徴
    とする燃料電池の保守点検方法。
  2. 【請求項2】 前記回転治具は、前記積層体の第1の側
    面と対向するように配置されて前記上下の締付板間を接
    続する梁と、この梁のほぼ中央に取り付けられた回転軸
    を備え、この回転軸の回転によって回転治具全体が回転
    するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の
    燃料電池の保守点検方法。
  3. 【請求項3】 前記回転治具は、前記梁に取り付けられ
    て前記積層体を水平方向に取り囲む枠を備え、この枠に
    よって、積層体の前記第1の側面と直交する第2の側面
    を支持するように構成されたことを特徴とする請求項2
    記載の燃料電池の保守点検方法。
  4. 【請求項4】 前記回転治具は、前記枠によって、前記
    積層体の前記第2の側面を荷重計を介して支持するよう
    に構成され、この荷重計による荷重の検出値に基づいて
    回転治具の回転を制御することを特徴とする請求項3記
    載の燃料電池の保守点検方法。
  5. 【請求項5】 前記積層体の前記第1の側面と直交する
    第2の側面の撓みまたは滑りによる変位を検出し、検出
    した変位量に基づいて前記回転治具の回転を制御するこ
    とを特徴とする請求項2記載の燃料電池の保守点検方
    法。
  6. 【請求項6】 回転方向および回転速度が可変の駆動装
    置を有するターニングローラによって前記回転治具を回
    転させることを特徴とする請求項1記載の燃料電池の保
    守点検方法。
  7. 【請求項7】 前記ターニングローラの駆動電源負荷、
    または駆動トルクを検出し、その検出量によって前記回
    転治具の回転を制御することを特徴とする請求項6記載
    の燃料電池の保守点検方法。
  8. 【請求項8】 前記積層体の側面に反応ガス供給排出用
    のガスマニホールドを配置し、このガスマニホールドの
    上下端を前記上下の各締付板にそれぞれ固定することを
    特徴とする請求項1記載の燃料電池の保守点検方法。
  9. 【請求項9】 前記ガスマニホールド内に反応ガス仕切
    板を取り付け、この反応ガス仕切板が下側になるように
    して前記回転治具を回転させることを特徴とする請求項
    8記載の燃料電池の保守点検方法。
  10. 【請求項10】 前記ガスマニホールドによる前記積層
    体の締付力をFb、積層体の質量をm、重力加速度をg
    とした場合に、Fb>mgの関係を有することを特徴と
    する請求項8記載の燃料電池の保守点検方法。
  11. 【請求項11】 前記上下の締付板による積層体の締付
    力をFa、積層体を構成する各部材間の静止摩擦係数の
    最小値をμ、積層体の質量をm、重力加速度をgとした
    場合に、μFa>mgの関係を有することを特徴とする
    請求項1記載の燃料電池の保守点検方法。
  12. 【請求項12】 前記積層体または前記回転治具にバラ
    ンスウェイトを取り付けることを特徴とする請求項1記
    載の燃料電池の保守点検方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004327404A (ja) * 2003-04-30 2004-11-18 Hitachi Ltd 燃料電池の電源システム及びその支援ビジネスシステム
JP2009266760A (ja) * 2008-04-30 2009-11-12 Toyota Motor Corp 燃料電池の製造装置およびその方法

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