JPH0812591A - 副腎からのカテコールアミン分泌促進剤 - Google Patents

副腎からのカテコールアミン分泌促進剤

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JPH0812591A
JPH0812591A JP6146846A JP14684694A JPH0812591A JP H0812591 A JPH0812591 A JP H0812591A JP 6146846 A JP6146846 A JP 6146846A JP 14684694 A JP14684694 A JP 14684694A JP H0812591 A JPH0812591 A JP H0812591A
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organ
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microinjection
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JP6146846A
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Takuya Watanabe
卓也 渡辺
Norio Shimamoto
典夫 嶋本
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】副腎からのカテコールアミン分泌促進剤、薬物
に反応して臓器から分泌される生理活性物質を測定する
方法、および該測定方法に使用する生理活性物質測定用
装置を提供する。 【構成】PACAPまたはその塩を含有することを特徴
とする温血動物の生体内の副腎からのカテコールアミン
分泌促進剤、薬物投与用の微量注入用のカニューレの薬
物排出口が微小透析プローブの透析膜部分の近辺に固定
されていることを特徴とする装置を臓器中に設置した
後、微量注入用のカニューレから薬物を臓器に注入した
時に臓器から分泌される生理活性物質を、微小透析プロ
ーブの透析膜を通して微小透析プローブ中に浸透させ、
該生理活性成分を測定する方法、および該測定方法に使
用する生理活性物質測定用装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、下垂体アデニレートシ
クラーゼ活性化ペプチド(Pituitary Adenylate Cyclas
e Activating Polypeptide、以下PACAPと略称す
る)を活性成分とする温血動物の生体内の副腎からのカ
テコールアミン分泌促進剤に関する。さらに、本発明
は、薬物に反応して臓器から分泌される生理活性物質の
測定する方法、該方法に使用する生理活性物質測定用装
置および臓器から生理活性物質を分泌させる作用を有す
る化合物のスクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】PACAPは、ラット下垂体培養細胞に
おけるcAMP産生促進を指標としてヒツジの視床下部
から単離された生理活性ペプチドである。その配列は、 PACAP38: His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys Gln Arg Val Lys Asn Lys(配列番号:1) PACAP27: His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu(配列番号:2) で表される(Miyata, A ら バイオケミカル アンド バ
イオフィジカル リサーチコミュニケーションズ 164:5
67-574;1989、 Miyata, A ら バイオケミカル アンド
バイオフィジカル リサーチ コミュニケーションズ 17
0:643-648;1990)。両者は共通の前駆体に由来し (Ki
mura, C ら バイオケミカル アンド バイオフィジカル
リサーチ コミュニケーションズ 166: 81-89; 1990)、
PACAP38配列中の−Leu27−Gly28−Lys29−Arg30
−というアミド化プロセッシング構造部位での切断が起
こることによってPACAP27が生じる。この両者に
共通の27残基からなる配列に対して68%の相同性を
有するものとしてVIP(Vasoactive Intestinal Pept
ide)が存在するが、cAMP産生促進活性はPACA
Pの方が約1000倍強力である(Miyata, A ら バイオ
ケミカル アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニ
ケーションズ 164:567-574;1989)。
【0003】遺伝子レベルの解析から、ヒツジのものと
全く同じ構造のPACAPペプチドがヒト、ラットにも
存在することが明かになった(Kimura,C ら バイオケミ
カルアンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケー
ションズ 166:81-89;1990、Ohkubo,S ら DNA アン
ド セル バイオロジー 11: 21-30; 1992、 Ogi,K ら バ
イオケミカル アンド バイオフィジカル リサーチ コミ
ュニケーションズ 173:1271-1279; 1990)。また、PA
CAP成熟ペプチド部分だけでなく、その前駆体の一次
構造およびcDNAの塩基配列のレベルでも種間におけ
る保存性が極めて高いことが明かになった。これらの知
見は、PACAPが生体にとって重要な意味をもつペプ
チドであることを示唆する。PACAPの中枢神経系細
胞に対する作用として、(1)ラット下垂体初代培養細胞
におけるcAMPの産生促進(Miyata,A ら バイオケミ
カル アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケー
ションズ 164: 567-574; 1989)、(2)ラット下垂体スー
パーフュージョン法におけるGH、ACTH、PRL、
LHの分泌促進(Miyata,A ら バイオケミカル アンド
バイオフィジカル リサーチ コミュニケーションズ 16
4: 567-574; 1989)、(3)下垂体培養細胞におけるイン
ターロイキン−6の産生促進(Tatsuno,I ら エンドクリ
ノロジー 129: 1797-1804; 1991)、(4)アストロサイト
におけるcAMP産生促進と神経細胞死阻止作用の促進
(Tatsuno, I ら、バイオケミカル アンド バイオフィジ
カル リサーチ コミュニケーションズ 168: 1027-1033;
1990)など様々なものが報告されている。
【0004】PACAPの末梢における作用として、
(1)副腎髄質クロム親和性細胞腫由来細胞PC12hに
おけるcAMPの産生と神経突起伸長促進(Watanabe,T
ら バイオケミカル アンド バイオフィジカル リサーチ
コミュニケーションズ 173:252-258; 1990、 Okazaki,K
ら フェブス レターズ 298: 49-56; 1992)、(2)副
腎髄質培養細胞におけるcAMPと細胞内Ca2+の増加
およびカテコールアミンの分泌促進(Watanabe, T.ら
バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサー
チ・コミュニケーションズ、第182巻、403-411頁、1992
年)などが報告されている。また、ラット副腎の潅流系
で、PACAPによるカテコールアミンの分泌も観察さ
れている(Guo, X.ら ジャーナル・オブ・フィジオロ
ジー、第475巻、539-545頁、1994年)。しかしながら、
これらのPACAPの作用が実際に温血動物において有
効に発揮されているか否かは不明であった。一方、生体
内微小透析法は、中枢において開発された手法であり、
初期の報告としてUrgerstedt, U.ら、アドバンス ドー
パミン リサーチ、第37巻、219-231頁、1982年などが
ある。また、この生体内微小透析法は末梢臓器について
も適用されており、副腎髄質(Jarry, H.ら ニュウ
ロサイエンス・レターズ、第60巻、273-278頁、1985
年)、副腎皮質(Jarry, H.ら アクタ・エンドクラ
イノロジカ、第114巻、402-409頁、1987年)、卵巣
(Wolf, R.ら バイオロジー・オブ・リプロダクショ
ン、第35巻、599-607頁、1986年)などが知られてい
る。しかしながら、これらの方法は、薬物投与を透析チ
ューブからの拡散に頼っており、吸着性が高く、分子量
が大きい薬物の投与には全く適していない。
【0005】吸着性が高く、分子量が大きい薬物とし
て、例えばPACAPなどが知られている。PACAP
は、ラット下垂体培養細胞におけるcAMP産生促進を
指標としてヒツジの視床下部から単離された生理活性ペ
プチドである。その配列は、 PACAP38: His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys Gln Arg Val Lys Asn Lys (配列番号:1) PACAP27: His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu (配列番号:2) で表される(Miyata, A ら バイオケミカル アンド バ
イオフィジカル リサーチコミュニケーションズ 164:5
67-574;1989、 Miyata, A ら バイオケミカル アンド
バイオフィジカル リサーチ コミュニケーションズ 17
0:643-648;1990)。PACAPの末梢における作用と
して、副腎髄質培養細胞におけるcAMPと細胞内Ca
2+の増加およびカテコールアミンの分泌促進(Watanab
e, T.ら バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル
・リサーチ・コミュニケーションズ、第182巻、403-411
頁、1992年)などが報告されている。また、ラット副腎
の潅流系で、PACAPによるカテコールアミンの分泌
も観察されている(Guo, X.らジャーナル・オブ・フィ
ジオロジー、第475巻、539-545頁、1994年)。しかしな
がら、これらのPACAPの作用はin vitro実験で観察
されたものであり、これらのPACAPの作用がin viv
oで実際に確認できた例は全くない。このように、PA
CAPをはじめとする吸着性が高く、分子量が大きい薬
物の副腎における生理活性を生きた温血動物を用いて観
察できる生体内微小透析法はいまだ確立されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、温血動物の
生体内の副腎からのカテコールアミン分泌促進剤を提供
することを目的とする。さらに、本発明は、薬物に反応
して温血動物の臓器から分泌される生理活性物質を感度
よく測定する方法、該測定方法に使用する生理活性物質
測定用装置および臓器から生理活性物質を分泌する作用
を有する化合物のスクリーニング方法を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、副腎の潅
流系や培養細胞を用いたin vitroでの実験において知ら
れているPACAPの副腎からのカテコールアミンの分
泌作用が、実際に温血動物の生体内において生理作用と
して発揮されているか否かを調べるため、生体内微小透
析法を麻酔下ラットの副腎に適用した。本発明者らは、
この実験系において、薬物投与用の微量注入用のカニュ
ーレの薬物排出口を微小透析プローブの透析膜部分の近
辺に固定することにより、PACAP等の薬物を簡単に
注入することができることを見いだした〔図1〕。そし
て、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、PACAP
が温血動物の生体内の副腎から実際にカテコールアミン
の分泌を促進することを見いだした。さらに、本発明者
らは、PACAPがカテコールアミンの中でも特にアド
レナリンおよびノルアドレナリンの分泌をアドレナリン
とノルアドレナリンとの相対比を一定に保ったまま促進
するという予想外で、かつユニークな効果を有している
ことを見いだした。このような知見は、PACAPにつ
いてのin vitroでの実験からは全く予想ができない驚く
べきものである。本発明者らは、これらの知見に基づい
て、さらに研究を行った結果、本発明を完成するに至っ
た。
【0008】すなわち、本発明は、(1)PACAPま
たはその塩を含有することを特徴とする温血動物の生体
内の副腎からのカテコールアミン分泌促進剤、(2)P
ACAPがPACAP27またはPACAP38である
第(1)項記載のカテコールアミン分泌促進剤、および
(3)アドレナリンとノルアドレナリンとの相対比を一
定に保ったまま、アドレナリンおよびノルアドレナリン
の分泌を促進する第(1)項または第(2)項記載のカ
テコールアミン分泌促進剤を提供する。より具体的に
は、本発明は、(4)PACAP投与前のアドレナリン
分泌量に対するノルアドレナリン分泌量の割合(「ノル
アドレナリン/アドレナリン(前)」)に対する、PA
CAP投与後のアドレナリン分泌量に対するノルアドレ
ナリン分泌量の割合(「ノルアドレナリン/アドレナリ
ン(後)」)が、約0.5〜2.0、好ましくは約0.
67〜1.5、より好ましくは約0.75〜1.35で
ある第(1)項または第(2)項記載のカテコールアミ
ン分泌促進剤、および(5)抗低血圧剤、抗気管支喘息
剤、抗気管支炎剤または強心剤である第(1)項〜第
(4)項記載のカテコールアミン分泌促進剤を提供す
る。
【0009】本発明において用いられるPACAPは、
ヒト、ヒツジ、ラットなど何れの温血動物由来のもので
もよく、例えば (i)PACAP23 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu (配列番号:3) (ii)PACAP24 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala (配列番号:4) (iii)PACAP25 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala (配列番号:5) (iv)PACAP26 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val (配列番号:6) (v)PACAP27 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu (配列番号:7) (vi)PACAP28 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly (配列番号:8) (vii)PACAP29 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys (配列番号:9)
【0010】 (viii)PACAP30 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg (配列番号:10) (ix)PACAP31 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr (配列番号:11) (x)PACAP32 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys (配列番号:12) (xi)PACAP33 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys Gln (配列番号:13) (xii)PACAP34 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys Gln Arg (配列番号:14) (xiii)PACAP35 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys Gln Arg Val (配列番号:15)
【0011】 (xiv)PACAP36 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys Gln Arg Val Lys (配列番号:16) (xv)PACAP37 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys Gln Arg Val Lys Asn (配列番号:17) (xvi)PACAP38 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys Gln Arg Val Lys Asn Lys (配列番号:18) などが用いられる。また、上記のPACAP23〜PA
CAP38のN末端のアミノ酸が別のアミノ酸、例えば
Tyr、Pheまたはアセチルなどで置換されたPAC
AP誘導体なども用いることができる。さらに、本発明
のPACAPには下垂体アデニレートシクラーゼを活性
化するPACAP前駆体タンパクも含まれる。このよう
なPACAP前駆体タンパクとしては、例えばEP−A
3−0470604に記載のものなどが用いられる。本
明細書(特許請求の範囲も含む)を通じて単にPACA
Pと記す場合、PACAP23〜PACAP38のほ
か、前記の置換されたPACAP誘導体やPACAP前
駆体タンパクをも含むものとする。本発明に用いられる
PACAPとしては、特にPACAP38、PACAP
27などが好適である。
【0012】本発明のPACAPの塩としては、薬理的
に許容され得る塩などが用いられ、例えば無機酸(例え
ば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるい
は有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル
酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ
酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスル
ホン酸)との塩などが用いられる。本発明のPACAP
またはその塩の製造には、それ自体公知あるいはそれに
準じる方法が用いられる。すなわち、通常のペプチド合
成法、PACAPあるいはPACAP前駆体をコードす
るDNAを発現させて製造法する方法などが用いられ
る。具体的には、EP-A-0467279、EP-A-0
404652、EP-A-0470604などに記載の方
法などを用いて製造することができる。以上のようにし
て得られる本発明のPACAPまたはその塩は、温血動
物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ニワトリ、
ウサギ、イヌ、ヒツジ、ウシ、ブタ、ヒトなど)の生体
内の副腎からのカテコールアミンの分泌を促進すること
ができる。該カテコールアミンとしては、例えばアドレ
ナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどが挙げられ
る。特に、本発明のPACAPまたはその塩は、アドレ
ナリンとノルアドレナリンとの相対比を一定に保ったま
ま、アドレナリンおよびノルアドレナリンの分泌を促進
することができるというユニークな性質を有している。
【0013】すなわち、本発明のPACAPまたはその
塩を温血動物に投与した時、アドレナリンおよびノルア
ドレナリンの分泌は同じ割合で上昇するので、副腎から
分泌されるアドレナリンに対するノルアドレナリンの割
合(ノルアドレナリン/アドレナリン)は一定に保たれ
ている。より具体的に言えば、通常時において、副腎か
らのノルアドレナリンおよびアドレナリンの分泌量が少
なく、そしてアドレナリンの分泌量に対するノルアドレ
ナリンの分泌量の割合(ノルアドレナリン/アドレナリ
ン)が約0.25である患者にPACAPまたはその塩
を投与した場合、アドレナリンの分泌量に対するノルア
ドレナリンの分泌量の割合(ノルアドレナリン/アドレ
ナリン)を約0.25に保ったまま、ノルアドレナリン
およびアドレナリンの分泌量が上昇する。例えば、PA
CAP投与前のノルアドレナリン/アドレナリンを「ノ
ルアドレナリン/アドレナリン(前)」とし、PACA
P投与後のノルアドレナリン/アドレナリンを「ノルア
ドレナリン/アドレナリン(後)」とした場合、「ノル
アドレナリン/アドレナリン(前)」に対する「ノルア
ドレナリン/アドレナリン(後)」の割合、すなわち
「ノルアドレナリン/アドレナリン(後)」/「ノルア
ドレナリン/アドレナリン(前)」は約0.5〜2.
0、好ましくは約0.67〜1.5、より好ましくは約
0.75〜1.35である。
【0014】このように本発明のPACAPまたはその
塩は、生体内の副腎からのカテコールアミンの分泌を促
進することができるので、温血動物(例えば、ラット、
マウス、ニワトリ、サル、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヒトな
ど)に対する安全なカテコールアミン分泌促進剤として
使用でき、さらには低血圧症、気管支喘息または気管支
炎などの治療薬、強心剤などとしても使用できる。すな
わち、本発明のカテコールアミン分泌促進剤は、いわゆ
るin vitroでのカテコールアミンの分泌を促進するもの
ではなく、いわゆるin vivoでのカテコールアミンの分
泌を促進するものである。PACAPまたはその塩がin
vivoで副腎からのカテコールアミンの分泌を促進する
という効果は今までに全く知られていなかった効果であ
る。特に、本発明のPACAPまたはその塩は、前述の
とおり、投与前後のアドレナリンとノルアドレナリンの
相対比を一定に保ったまま、アドレナリンおよびノルア
ドレナリンの分泌量を上昇することができるので、本発
明のPACAPまたはその塩を前記の治療剤などとして
使用しても、アドレナリンとノルアドレナリンの相対比
の変動による副作用の危険性はない。本発明のPACA
Pまたはその塩を副腎からのカテコールアミンの分泌促
進剤などとして使用する場合、経口投与または非経口投
与の何れでも行うことができる。なかでも、非経口的
に、特に注射剤として用いることが望ましい。このよう
な剤の製造は、それ自体公知あるいはそれに準じる方法
によって製造することができる。そして、PACAPま
たはその塩の活性を阻害しないものであれば何れの添加
物をも混合することができる。例えば、生理食塩水また
は生理的に許容し得る緩衝液のような担体などが用いら
れる。その際、生理食塩水または生理的に許容し得る緩
衝液のような担体と、0.01〜5重量%、好ましくは
0.1〜2重量%の濃度で組み合わせて用いることがで
きる。投与量としては、1回につき0.1n mole/k
g〜1μg/kg、好ましくは1n mole/kg〜0.
1μg/kgを1日1〜3回程度投与するのが好まし
い。
【0015】一方、本発明者らは、副腎の潅流系や培養
細胞を用いたin vitroでの実験において知られているP
ACAPの副腎からのカテコールアミンの分泌作用が、
実際に温血動物の生体内において生理作用として発揮さ
れているか否かを調べるため、生体内微小透析法を麻酔
下ラットの副腎に適用した。本発明者らは、この実験系
において、薬物投与用の微量注入用のカニューレの排出
口を微小透析プローブの透析膜部分の近辺に固定するこ
とにより、PACAP等の吸着性が高く、分子量が大き
い薬物を簡単に注入することができることを見いだした
〔図1〕。そして、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結
果、PACAPが温血動物の生体内の副腎から実際にカ
テコールアミンの分泌を促進していることを確認するこ
とに成功した。さらに、本発明者らは、PACAPがカ
テコールアミンの中でも特にアドレナリンおよびノルア
ドレナリンの分泌をアドレナリンとノルアドレナリンと
の相対比を一定に保ったまま促進するという予想外で、
かつユニークな効果を有していることを見いだした。こ
のような知見は、PACAPについてのin vitroでの実
験からは全く予想ができない驚くべきものであったこと
から、本発明の生体内微小透析法が如何に定量性に優れ
た方法であるかが分かる。
【0016】より詳しくは、本発明者らは、PACAP
のラット副腎における作用を生体内微小透析法を用いて
検討した。麻酔下、ラットの左副腎の中心部に微小透析
装置を挿入し、集めた透析液のアドレナリンとノルアド
レナリンを電気化学検出器を備えた高速液体クロマトグ
ラフィーによって定量した。微小透析装置の挿入による
刺激のため、挿入直後に一時的なカテコールアミンの分
泌増加が認められたが、90分後には、ほぼもとの状態
に回復した。薬物は、微小透析膜の中央に固定した微小
注入管を用いて、副腎髄質に直接注入した。注入は透析
装置挿入後、90分経過し、副腎髄質からのカテコール
アミン分泌が安定してから行った。透析液中のノルアド
レナリンとアドレナリンの比は、薬物の刺激の前後で殆
ど変化しなかった。1.5nmolのPACAPを加え
ると急激なカテコールアミンの分泌増加がおこり、60
分間の総分泌量も有意に増加した。コリン作動性物質と
して30nmolのカルバコールを注入するとPACA
Pと同様に急激なカテコールアミンの分泌増加がおこっ
たが、PACAPの様な持続性の効果は認められなかっ
た。非コリン性の分泌刺激物質と想定されている vasoa
ctive intestinal polypeptide(VIP)は、PACA
Pの20倍量である30nmolを加えなければ、カテ
コールアミンの分泌刺激が認められなかった。30nm
olのカルバコールによる分泌刺激は、ニコチン拮抗薬
であるメカミラミン(10mM)とムスカリン拮抗薬で
あるアトロピン(1mM)の微小注入管からの同時投与
によって完全に阻害された。対照的に、1.5nmol
のPACAPで誘導されるカテコールアミンの分泌増加
は、これらの拮抗薬によって阻害されなかった。以上の
結果は、PACAPによるカテコールアミン分泌刺激が
アセチルコリンを介した反応ではなくPACAPの直接
作用によっていることを示すものである。さらに、PA
CAPの分泌刺激の有効濃度がVIPやカルバコールに
比較して20倍以上低いことから、PACAPがアセチ
ルコリンに匹敵する副腎髄質の非コリン性の分泌刺激物
質であることが強く示唆された。
【0017】本発明者らは、これらの知見に基づいて、
さらに研究を行った結果、本発明の測定方法を副腎だけ
でなくあらゆる臓器に適用できることを見いだし、さら
に研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すな
わち、本発明は、 (1)薬物投与用の微量注入用のカニューレの薬物排出
口が微小透析プローブの透析膜部分の近辺に固定されて
いることを特徴とする生理活性物質測定用装置、 (2)薬物に反応して臓器から分泌される生理活性物質
を測定する生体内微小透析法において、第(1)項記載
の装置を使用することを特徴とする薬物に反応して臓器
から分泌される生理活性物質の測定方法、 (3)(i)第(1)項記載の装置を臓器中に設置し、
あるいは薬物投与用の微量注入用のカニューレおよび微
小透析プローブを臓器内に設置し且つ該薬物投与用の微
量注入用のカニューレの排出口を該微小透析プローブの
透析膜部分の近辺に固定させ、(ii)微量注入用のカニ
ューレから薬物を臓器に注入した時に臓器から分泌され
る生理活性物質を、微小透析プローブの透析膜を通して
微小透析プローブ中に浸透させ、(iii)微小透析プロ
ーブ中に浸透した該生理活性物質を採取し、該生理活性
成分を測定することを特徴とする第(2)項記載の薬物
に反応して臓器から分泌される生理活性物質の測定方
法、 (4)臓器が副腎である第(2)項または第(3)項記
載の測定方法、 (5)薬物が吸着性が高く、分子量が大きい薬物である
第(2)項〜第(4)項記載の測定方法、 (6)吸着性が高く、分子量が大きい薬物がPACAP
またはその塩である第(5)項記載の測定方法、 (7)(i)第(1)項記載の装置を臓器中に設置し、
あるいは薬物投与用の微量注入用のカニューレおよび微
小透析プローブを臓器内に設置し且つ該薬物投与用の微
量注入用のカニューレの排出口を該微小透析プローブの
透析膜部分の近辺に固定させ、(ii)微量注入用のカニ
ューレから被検体化合物を臓器に注入した時に臓器から
分泌される生理活性物質を、微小透析プローブの透析膜
を通して微小透析プローブ中に浸透させ、(iii)微小
透析プローブ中に浸透した該生理活性物質を採取し、該
生理活性物質を測定することを特徴とする臓器から生理
活性物質を分泌させる作用を有する化合物またはその塩
のスクリーニング方法、
【0018】(8)第(7)項記載のスクリーニング方
法で得られる化合物またはその塩、および (9)第(8)項記載の化合物またはその塩を含有する
ことを特徴とする医薬組成物を提供する。より具体的に
は、本発明は、 (10)微量注入用のカニューレが融解シリカチューブ
の先端に針(例えば、33ゲージの針など)を接続させ
た微量注入用のカニューレである第(1)項記載の装
置、 (11)微小透析プローブがその一部または全部に透析
膜(例えば、セルロース膜、PVA膜、EVAL膜(川
澄化学工業)など)が設置されている融解シリカチュー
ブの先端に針(例えば、26ゲージの針など)を接続さ
せた微小透析プローブである第(1)項記載の装置、 (12)微量注入用のカニューレの薬物排出口と微小透
析プローブの透析膜部分との距離が通常約0〜100μ
m程度、好ましくは0〜50μm程度、より好ましくは
0〜20μm程度である第(1)項記載の装置、 (13)薬物がPACAPまたはその塩であり、臓器が
副腎であり、生理活性物質がカテコールアミンである第
(2)項記載の測定方法、および (14)(i)本発明の装置を臓器中に設置し、あるい
は薬物投与用の微量注入用のカニューレおよび小透析プ
ローブを臓器内に設置し且つ該薬物投与用の微量注入用
のカニューレの薬物排出口を該微小透析プローブの透析
膜部分の近辺に固定させ、(ii)微量注入用のカニュー
レから薬物および被検体化合物を臓器に注入した時に薬
物に反応して臓器から分泌される生理活性物質を、微小
透析プローブの透析膜を通して微小透析プローブ中に浸
透させ、(iii)微小透析プローブ中に浸透した該生理
活性物質を採取し、該生理活性物質を測定することを特
徴とする被検体化合物の薬物に対するアゴニスト活性ま
たはアンタゴニスト活性を評価する方法を提供する。
【0019】本発明の装置は、薬物投与用の微量注入用
のカニューレの薬物排出口が微小透析プローブの透析膜
部分の近辺に固定されていることを特徴とするものであ
る。該薬物投与用の微量注入用のカニューレとしては、
市販のものを使用することができ、例えば融解シリカチ
ューブ(エイコム社)などが挙げられる。該カニューレ
の口径は通常約10μm〜500μm、好ましくは約5
0μm〜100μmである。特に、融解シリカチューブ
の先端に針(例えば、33ゲージの針など)を接続させ
た微量注入用のカニューレは、臓器への挿入が容易であ
る。該微小透析プローブとしては、市販のものを使用す
ることができ、例えば融解シリカチューブ(エイコム
社)などが挙げられる。該プローブの口径は通常約10
μm〜500μm、好ましくは約50μm〜100μm
である。この微小透析プローブの一部または全体には透
析膜(例えば、セルロース膜、PVA膜、EVAL膜
(川澄化学工業)など)が設置されている。微小透析プ
ローブの一部に透析膜を設置する場合は、該透析膜が副
腎の中に位置するように調整する。特に、融解シリカチ
ューブの先端に針(例えば、26ゲージの針など)を接
続させた微小透析プローブは、臓器への挿入が容易であ
る。薬物投与用の微量注入用のカニューレと微小透析プ
ローブとの固定化は、市販の接着剤などを用いて行うこ
とができる。薬物投与用の微量注入用のカニューレの薬
物排出口を微小透析プローブの透析膜部分の近辺に固定
される場合の近辺とは、該薬物排出口と該透析膜部分と
の距離が、通常約0〜100μm程度、好ましくは約0
〜50μm程度、より好ましくは約0〜20μm程度、
特に約0〜10μm程度であることを意味する。したが
って、この距離が保たれれば固定化の態様は限定されな
いが、通常薬物投与用の微量注入用のカニューレと微小
透析プローブとが並列になるように固定するのが好まし
い。薬物投与用の微量注入用のカニューレおよび微小透
析プローブの長さは限定されないが、通常副腎の内部に
内蔵できる程度の長さが好ましい。薬物投与用の微量注
入用のカニューレ片端は、テフロンチューブ(エイコム
社)などと連結し、微量注入ポンプに接続する。もう一
方の片端(すなわち、薬物排出口)は、副腎内部(好ま
しくは、副腎中央部)に設置させる。微小透析プローブ
の片端は、テフロンチューブなどに連結し、微量注入ポ
ンプに接続され、もう一方の片端は副腎を通過した後、
あるいは副腎内部で、テフロンチューブなどに連結し、
フラクションコレクター(分画採集装置)などに導く。
【0020】該薬物投与用の微量注入用のカニューレ、
該微小透析プローブおよび該テフロンチューブの長さ
は、実験規模などに併せて適宜選択することができる。
本発明の装置の1例を〔図1〕に示した。本発明の装置
は、後述する生体内微小透析法に使用する生理活性物質
測定用装置として有用である。本発明の薬物に反応して
臓器から分泌される生理活性物質の測定方法は、薬物に
反応して臓器から分泌される生理活性物質を測定する生
体内微小透析法において、前述の本発明の装置などを使
用することを特徴とする方法である。より具体的には、
(i)前記の本発明の装置を臓器中に設置し、あるいは
薬物投与用の微量注入用のカニューレおよび小透析プロ
ーブを臓器内に設置し且つ該薬物投与用の微量注入用の
カニューレの薬物排出口を該微小透析プローブの透析膜
部分の近辺に固定させ、(ii)微量注入用のカニューレ
から薬物を臓器に注入した時に臓器から分泌される生理
活性物質を、微小透析プローブの透析膜を通して微小透
析プローブ中に浸透させ、(iii)微小透析プローブ中
に浸透した該生理活性物質を採取し、該生理活性成分を
測定することを特徴とする方法である。本発明の測定方
法に適用される生体内微小透析法としては、それ自体公
知あるいはそれに準じる方法、すなわちWesterinkらの
総説(Westerink, B.H.C.ら、ライフサイエンス、第4
1巻、1763−1776頁、1987年)などに記載
の方法などが挙げられる。本発明の測定方法の特徴の1
つは、薬物投与用の微量注入用のカニューレおよび微小
透析プローブを副腎に通過させる際に、薬物投与用の微
量注入用のカニューレの薬物排出口を微小透析プローブ
の透析膜部分の近辺に固定化させる点にある。この場
合、薬物投与用の微量注入用のカニューレの薬物排出口
を微小透析プローブの透析膜部分の近辺に固定化した本
発明の装置を使用してもよいし、あるいは両者を接着剤
などで直接固定することなく、臓器内で薬物投与用の微
量注入用のカニューレの薬物排出口が微小透析プローブ
の透析膜部分の近辺に位置するように配置させてもよ
い。この場合の近辺とは、前記と同意義を示す。
【0021】すなわち、従来の方法では、例えば吸着性
が高く、分子量が高い薬物を注入した場合、該薬物が
透析プローブへ吸着してしまうため、正確な量の薬物を
注入することができない、分子量が大きなものでは、
拡散速度が遅いため、透析プローブ周辺の組織にダメー
ジがある部分にしか作用しない、などの欠点があった。
しかしながら、本発明の測定方法において、薬物投与用
の微量注入用のカニューレの薬物排出口を微小透析プロ
ーブの透析膜部分の近辺に固定させることによって、上
記の欠点を解消することができ、透析膜の透過率に関係
なく全ての薬剤を一定量注入することができる。さら
に、本発明の測定方法の特徴として、生きている状態の
温血動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ニワ
トリ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ウシ、ブタ、ヒトなど)
の生体内の臓器からの生理活性物質の分泌を測定できる
点が挙げられる。すなわち、従来の臓器を用いた実験
は、温血動物から副腎などを露出し、副腎の血管にカニ
ューレを接続するという、いわゆるin vitroでの潅流系
システムであった。したがって、生きている温血動物の
副腎に対する薬物の作用を正確に、厳密に調べることが
できなかった。しかしながら、本発明の測定方法によれ
ば、副腎などの臓器は温血動物の血管に接続されたまま
であり、神経系も正常なままである。したがって、より
生きている状態に近い温血動物の臓器に対する薬物の作
用を正確に、厳密に調べることができる。本発明の測定
方法に適用できる温血動物の臓器としては、例えば副
腎、肝臓、腎臓、すい臓など、あらゆる臓器が挙げられ
るが、以後、副腎を代表例に挙げて詳細に説明する。
【0022】薬物投与用の微量注入用のカニューレおよ
び微小透析プローブとしては、前記と同様のものを使用
できる。薬物投与用の微量注入用のカニューレ片端は、
テフロンチューブ(エイコム社)などと連結し、微量注
入ポンプに接続する。もう一方の片端は、副腎内部(好
ましくは、副腎中央部)に設置させる。微小透析プロー
ブの片端は、テフロンチューブなどに連結し、微量注入
ポンプに接続され、もう一方の片端は副腎を通過した
後、あるいは副腎内部で、テフロンチューブなどに連結
し、フラクションコレクター(分画採集装置)などに導
く。薬物投与用の微量注入用のカニューレ、微小透析プ
ローブおよびテフロンチューブの長さは、実験規模など
に併せて適宜選択することができる。本発明の測定方法
の1例を〔図1〕に示した模式図で説明する。この方法
では、まず、微量注入ポンプ→テフロンチューブ→微小
透析プローブ→テフトンチューブ→フラクションコレク
ターの流路を作る。一方で、微量注入ポンプ→テフロン
チューブ→微量注入用のカニューレ(カニューレの先端
を副腎中央部に位置させる)の流路を作る。微量注入用
のカニューレと微小透析プローブは、副腎内部でお互い
に固定されている。通常、薬物を注入しない場合(いわ
るゆコントロール)として、微量注入ポンプから、例え
ば生理食塩水、リンガー液(147mM NaCl、4
mM KCl、2.3mM CaCl2)などを流通させ
る。ポンプの流速は、通常、約1μl/分〜50μl/
分程度、好ましくは約1μl/分〜10μl/分程度、
より好ましくは約1μl/分〜5μl/分程度である。
【0023】このシステムにおいて、微量注入ポンプを
作動させて、適当な濃度の薬物を流すと、微量注入用の
カニューレの先端から温血動物の副腎内部に該薬物が注
入される。そして、注入された薬物に反応した副腎から
生理活性物質(例えば、カテコールアミンなど)が分泌
されると、該生理活性物質は副腎内部に位置している微
小透析プローブの透析膜を通じて、微小透析プローブ中
に浸透してくる。浸透してきた生理活性物質はフラクシ
ョンコレクターに導かれ分取される。そして、フラクシ
ョンコレクターに分取した溶液中の生理活性物質の濃度
などを測定することによって、副腎から分泌される生理
活性物質の量、濃度などを測定することができる。した
がって、本発明の測定方法の好ましい態様は、(i)前
記の本発明の装置を臓器中に設置し、あるいは薬物投与
用の微量注入用のカニューレおよび微小透析プローブを
臓器内に設置し且つ該薬物投与用の微量注入用のカニュ
ーレの薬物排出口を該微小透析プローブの透析膜部分の
近辺に固定させ(この時、微量注入用のカニューレの片
端にチューブを連結して該チューブを微量注入ポンプに
導き、微量注入用カニューレの注入口は臓器の中央部に
配置する。一方、微小透析プローブの両端にチューブを
連結して一方のチューブを微量注入ポンプに導き、他方
のチューブをフラクションコレクターに導く。)、(i
i)微量注入ポンプを作動させて、微量注入用のカニュ
ーレから薬物を臓器に注入する、そして(iii)薬物に
反応して臓器から分泌される生理活性物質を微小透析プ
ローブの透析膜を通して微小透析プローブ中に浸透さ
せ、(iv)微小透析プローブ中に浸透した該生理活性物
質をチューブを通してフラクションコレクターに採取
し、該生理活性成分を測定することを特徴とする薬物に
反応して臓器から分泌される生理活性物質の測定方法で
ある。
【0024】前述したとおり、本発明の測定方法におい
ては、薬物投与用の微量注入用のカニューレの薬物排出
口を微小透析プローブの透析膜部分の近辺に固定させる
ことによって、臓器から分泌される生理活性物質の量、
濃度などを正確に測定することができる。以上の本発明
の測定方法に使用する器具、装置などを1つのキットと
して使用することもできる。本発明の測定方法に適用で
きる薬物としては、あらゆる水溶性の薬物などが挙げら
れる。例えば、アセチルコリン、ドーパミン、アドレナ
リン、ノルアドレナリン、アデノシン、グルタミン酸、
GABA、ヒスタミンなどの化合物、PACAP、VI
P、エンドセリンなどのペプチドなどが用いられる。本
発明の測定方法は、特に吸着性が高く、分子量が大きい
薬物の評価に好適である。従来の生体内微小透析法(Ja
rry, H.ら ニュウロサイエンス・レターズ、第60巻、
273-278頁、1985年、Jarry, H.ら アクタ・エンドク
ライノロジカ、第114巻、402-409頁、1987年、Wolf,
R.ら バイオロジー・オブ・リプロダクション、第35
巻、599-607頁、1986年など)では、薬物の臓器への投
与を透析チューブからの拡散に頼っているため、吸着性
が高く、分子量が大きい薬物は該透析チューブを浸透し
にくいという欠点があるため、吸着性が高く、分子量が
大きい薬物の投与には全く適していなかった。しかしな
がら、本発明の測定方法では、微量注入用のカニューレ
を直接臓器に挿入し、薬物を直接臓器に注入することが
できるので、吸着性が高く、分子量が大きい薬物をはじ
めとするあらゆる水溶性の薬物に適用することができ
る。吸着性が高く、分子量が大きい薬物としては、例え
ばPACAPまたはその塩、VIPまたはその塩などが
挙げられ、なかでもPACAPまたはその塩が好適であ
る。PACAPとしては、例えばヒト、ヒツジ、ラット
など何れの温血動物由来のものでもよく、例えばPAC
AP38(配列番号:1)、PACAP27(配列番
号:2)などが用いられる。
【0025】PACAPなどの塩としては、薬理的に許
容され得る塩などが用いられ、例えば無機酸(例えば、
塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有
機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、
マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、
蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸)との塩などが用いられる。PACAPまたはその塩
の製造には、それ自体公知あるいはそれに準じる方法が
用いられる。すなわち、通常のペプチド合成法、PAC
APをコードするDNAを発現させて製造法する方法な
どが用いられる。具体的には、EP-A-046727
9、EP-A-0404652、EP-A-0470604
などに記載の方法などを用いて製造することができる。
これらの薬物は、通常、水、生理食塩水、リンガー液
(147mM NaCl、4mM KCl、2.3mM
CaCl2)などに溶解して使用する。薬物の濃度は、
薬物の種類、対象臓器、対象生理活性成分などに応じ
て、適宜選択することができる。以上のように、本発明
の測定方法を用いることによって、薬物(あるいは被検
体化合物)がin vivoで臓器からどのような生理活性物
質の分泌を促進し、あるいは抑制することなどができる
かなどを調べることができる。臓器から分泌される生理
活性物質としては、例えば、副腎から分泌される生理活
性物質としては、例えばカテコールアミン(例えば、ア
ドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど)、副
腎皮質ホルモン(例えば、アンドロゲン、糖質コルチコ
イドなど)などが挙げられ、肝臓から分泌される生理活
性物質としては、例えばビタミンD、コレステロール、
ステロイドホルモンなどが挙げられ、すい臓から分泌さ
れる生理活性物質としては、例えばインスリンなど挙げ
られる。
【0026】前述のとおり、本発明の測定方法では、微
量注入用のカニューレおよび微小透析プローブを直接臓
器に挿入し、薬物を直接臓器に注入することができるの
で、吸着性が高く、分子量が大きい薬物をはじめとする
あらゆる薬物に適用することができ、かつ、分泌される
生理活性成分を感度良く定量することができる。したが
って、薬物のin vivoでの生理活性の評価などに有効に
使用することができる。さらに、この本発明の測定方法
は被検体化合物の生理作用(例えば、アゴニスト活性や
アンタゴニスト活性)などの評価にも使用することもで
きるので、臓器から生理活性物質を分泌させる作用を有
する化合物またはその塩のスクリーニング方法にも適用
できる。本発明のスクリーニング方法には、前述した本
発明の測定方法をそのまま適用することができ、薬物の
代わりに被検体化合物を投与すればよい。すなわち、本
発明のスクリーニング方法は、(i)本発明の装置を臓
器中に設置し、あるいは被検体化合物投与用の微量注入
用のカニューレおよび小透析プローブを臓器内に設置し
且つ該被検体化合物投与用の微量注入用のカニューレの
被検体化合物排出口を該微小透析プローブの透析膜部分
の近辺に固定させ、(ii)微量注入用のカニューレから
被検体化合物を臓器に注入した時に臓器から分泌される
生理活性物質を、微小透析プローブの透析膜を通して微
小透析プローブ中に浸透させ、(iii)微小透析プロー
ブ中に浸透した該生理活性物質を採取し、該生理活性物
質を測定することを特徴とする臓器から生理活性物質を
分泌させる作用を有する化合物またはその塩のスクリー
ニング方法である。
【0027】より具体的には、(i)前記の本発明の装
置を臓器中に設置し、あるいは被検体化合物投与用の微
量注入用のカニューレおよび微小透析プローブを臓器内
に設置し且つ被検体化合物投与用の微量注入用のカニュ
ーレの被検体化合物排出口を該微小透析プローブの透析
膜部分の近辺に固定させ(この時、微量注入用のカニュ
ーレの片端にチューブを連結して該チューブを微量注入
ポンプに導き、微量注入用カニューレの注入口は臓器の
中央部に配置する。一方、微小透析プローブの両端にチ
ューブを連結して一方のチューブを微量注入ポンプに導
き、他方のチューブをフラクションコレクターに導
く。)、(ii)微量注入ポンプを作動させて、微量注入
用のカニューレから被検体化合物を臓器に注入する、そ
して(iii)被検体化合物に反応して臓器から分泌され
る生理活性物質を微小透析プローブの透析膜を通して微
小透析プローブ中に浸透させ、(iv)微小透析プローブ
中に浸透した該生理活性物質をチューブを通してフラク
ションコレクターに採取し、該生理活性成分を測定する
ことを特徴とする臓器から生理活性物質を分泌させる作
用を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法で
ある。例えば、in vitroでの予備試験において、被検体
化合物がPACAPとPACAPレセプターとの結合を
阻害するという試験データが得られた場合、その被検体
化合物がPACAPアゴニストであるか、あるいはPA
CAPアンタゴニストであるかが問題となる。また、in
vivoで実際に生理作用を発揮できるか否かが問題にな
る。そこで、被検体化合物を本発明のスクリーニング方
法に適用した時に、被検体化合物が副腎からのカテコー
ルアミンの分泌を促進するという結果が得られた場合、
被検体化合物はPACAPアゴニストであると判断でき
る。逆に、被検体化合物が副腎からのカテコールアミン
の分泌を促進しないという結果が得られた場合、被検体
化合物はPACAPアンタゴニストであると判断でき
る。
【0028】また、薬物Aが温血動物の生体内のある臓
器Bからある生理活性物質Cを分泌することが明らかに
されている場合に、本発明のスクリーニング方法におい
て薬物Aと被検体化合物を同時に投与するか、あるいは
被検体化合物を薬物Aの投与の前後に投与した時に、薬
物Aによる臓器Bからの生理活性物質Cの分泌が抑制さ
れるという結果が得られた場合、被検体化合物は薬物A
に対するアンタゴニストである可能性が示唆される。具
体的には、例えば後述する実施例1〜5において、PA
CAPまたはその塩がin vivoで副腎からのカテコール
アミンの分泌を促進することが明らかになった。そこ
で、ある被検体化合物を本発明のスクリーニング方法に
適用した時に、PACAPまたはその塩と同様にカテコ
ールアミンを分泌できることが判明した場合、該被検体
化合物はPACAPアゴニストである可能性が示唆され
る。一方、ある被検体化合物をPACAPまたはその塩
と同時に投与した時、あるいはPACAPまたはその塩
の投与前後に投与した時に、カテコールアミンの分泌が
抑制された場合は、該被検体化合物はPACAPアンタ
ゴニストである可能性が示唆される。すなわち、本発明
は、(i)本発明の装置を臓器中に設置し、あるいは薬
物投与用の微量注入用のカニューレおよび小透析プロー
ブを臓器内に設置し且つ薬物投与用の微量注入用のカニ
ューレの薬物排出口を該微小透析プローブの透析膜部分
の近辺に固定させ、(ii)微量注入用のカニューレから
薬物および被検体化合物を臓器に注入した時に薬物に反
応して臓器から分泌される生理活性物質を、微小透析プ
ローブの透析膜を通して微小透析プローブ中に浸透さ
せ、(iii)微小透析プローブ中に浸透した該生理活性
物質を採取し、該生理活性物質を測定することを特徴と
する被検体化合物の薬物に対するアゴニスト活性または
アンタゴニスト活性を評価する方法を提供する。
【0029】より具体的には、(i)前記の本発明の装
置を臓器中に設置し、あるいは薬物投与用の微量注入用
のカニューレおよび微小透析プローブを臓器内に設置す
且つ薬物投与用の微量注入用のカニューレの薬物排出口
を該微小透析プローブの透析膜部分の近辺に固定させ
(この時、微量注入用のカニューレの片端にチューブを
連結して該チューブを微量注入ポンプに導き、微量注入
用カニューレの注入口は臓器の中央部に配置する。一
方、微小透析プローブの両端にチューブを連結して一方
のチューブを微量注入ポンプに導き、他方のチューブを
フラクションコレクターに導く。)、(ii)微量注入ポ
ンプを作動させて、微量注入用のカニューレから薬物お
よび被検体化合物を臓器に注入する、そして(iii)薬
物に反応して臓器から分泌される生理活性物質を微小透
析プローブの透析膜を通して微小透析プローブ中に浸透
させ、(iv)微小透析プローブ中に浸透した該生理活性
物質をチューブを通してフラクションコレクターに採取
し、該生理活性成分を測定することを特徴とする被検体
化合物の薬物に対するアゴニスト活性またはアンタゴニ
スト活性を評価する方法を提供する。このように、本発
明のスクリーニング方法は、臓器からの生理活性物質の
分泌を指標として、被検体化合物の生理活性(例えば、
アゴニスト活性、アンタゴニスト活性など)を評価する
ことができる。本発明のスクリーニング方法を用いて被
検体化合物のアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性
などを評価する場合、薬物および被検体化合物の濃度等
は使用する動物の種類、臓器の種類、薬物の種類、被検
体化合物の種類などによって異なるので、例えば予備試
験などを行うなどして適宜選択することができる。
【0030】本発明のスクリーニング方法で得られる化
合物またはその塩は、その化合物が有する生理活性に応
じて各種疾病の治療剤として使用することができる。例
えば、本発明のスクリーニング方法で得られる化合物が
PACAPと同様に生体内の副腎からのカテコールアミ
ンの分泌を促進する作用を有していれば、温血動物(例
えば、ラット、マウス、ニワトリ、サル、ブタ、ウシ、
ヒツジ、ヒトなど)に対する安全なカテコールアミン分
泌促進剤として使用でき、さらには低血圧症、気管支喘
息または気管支炎などの治療薬、強心剤などとしても使
用できる。該化合物の塩としては、薬理的に許容され得
る塩などが用いられ、例えば無機酸(例えば、塩酸、リ
ン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例
えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン
酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安
息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との
塩などが用いられる。本発明のスクリーニング方法で得
られる化合物またはその塩を各種疾病の治療目的で医薬
組成物として使用する場合、対象疾患、対象動物、その
化合物の作用の強さなどに応じて、適宜それ自体公知あ
るいはそれに準じる方法で錠剤、注射剤などに製剤化
し、経口投与または非経口投与することができる。例え
ば、非経口的に、特に注射剤として用いる場合、該化合
物の活性を阻害しないものであれば何れの添加物をも混
合することができる。例えば、生理食塩水または生理的
に許容し得る緩衝液のような担体などが用いられる。そ
の際、生理食塩水または生理的に許容し得る緩衝液のよ
うな担体と、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜
2重量%の濃度で組み合わせて用いることができる。投
与量としては、1回につき0.1n mole/kg〜1μ
g/kg、好ましくは1n mole/kg〜0.1μg/
kgを1日1〜3回程度投与するのが好ましい。さら
に、本発明のスクリーニング方法で得られた化合物をリ
ード化合物として、適宜該リード化合物の化学構造など
を変換して、より強い活性を有する化合物を合成するこ
ともできる。
【0036】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を詳細に説明す
るが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】微小透析装置の作製 PACAP38およびVIPはペプチド研究所(大阪)
より購入した。それ以外の化学物質はすべて分析用の等
級品であり、市販のものを購入した。微小透析装置:微
小透析装置(MI-FU-02、エイコム社)は微小透析
プローブと微量注入カニューレから構成されている〔図
1〕。微小透析プローブは2本の融解したシリカチュー
ブ(内径75μm、外径150μm)の間にしっかりと
固定したセルロース透析管(カットオフ分子量5000
0;長さ2mm、内径200μm、外径220μm)か
らできている。微小透析プローブの一方の先端に26ゲ
ージの針を装着し、反対側の先端をテフロンチューブに
つないでリンガー液(147mM NaCl、4mM K
Cl、2.3mM CaCl2)をチューブ内に注入し
た。微量注入カニューレの先端には33ゲージの針を装
着し、33ゲージの針は透析膜の中央にくるように設置
した。カニューレの反対側の先端はテフロンチューブに
連結してPACAP38、VIPおよびカルバコールの
投与に用いた。
【0037】
【実施例2】カテコールアミンの測定 体重350〜400gのSprague-Dawley系雄性ラットに
対し、α−クロラロースおよびウレタンを腹腔内に投与
して(それぞれ50および500mg/kg)麻酔をか
けた。微小透析プローブと微量注入カニューレをテフロ
ンチューブを介して2個の微量注入ポンプ(Pump11, Ha
rvard Apparatus, South Natick, MA)に接続し、微小
透析プローブ内にリンガー液を流速10μl/分で潅流
させた。左側開腹後に微小透析装置を副腎髄質内に挿入
し、セルロース膜が髄質の中央に位置するようにした。
テフロンチューブは26ゲージ針の先端に接続した〔図
1〕。テフロンチューブはラットの下10cmの地点で
緩やかに固定して、チューブの先端は分画採集装置に接
続した。実験中、チューブが動かないように注意を払っ
た。また、実験中、必要に応じて補助麻酔を導入した。
透析物(100μl)を10分ごとに氷上のチューブ内
に採した。チューブにはカテコールアミンを安定化する
ためにあらかじめ40mMの酢酸100μlを入れてお
いた。そして、それを高速液体クロマトグラフィー(H
PLC)装置に注入した。透析物中のカテコールアミン
は逆相カラム(ODS−120T、東ソー)を用いて分
離し、電気化学検出器(ECD)、EC-8011(東
ソー)を用い、Ag/AgCl電極に対して+450m
Vにセットして検出した。移動相には0.1Mリン酸緩
衝液(pH6.0)、400mg/l 1−オクタスル
ホン酸ナトリウム塩、50mg/l EDTA、10%
メタノールを用いた。ノルアドレナリンとアドレナリン
の量については標準試料の検量曲線のピーク面積を用い
て算出した。カルバコール、PACAP38またはVI
Pをリンガー液に溶解し、微量注入カニューレを通して
流速3μl/分で10分間(合計30μl)注入した。
いくつかの実験では、アセチルコリン拮抗剤(メカミラ
ミンおよびアトロピン)を微量注入カニューレからカル
バコール、PACAP38またはVIPと同時に投与し
た。コントロールとしてはリンガー液とともに注入し
た。実験終了時に、副腎を切開し、微小透析プローブが
その時点で髄質内に固定されていない動物については試
験から除外した。デ−タの解析は、結果を平均値±SE
で表した。分散の片側検定(ANOVA)を用いて4つの試
験群の平均値を比較し、その後の解析にはDunnettの多
重比較を行った。2つの試験群の平均値を比較するため
にF検定を用い、その後Studentt検定を行った。0.0
5より低い確率のものを有意であるとみなした。
【0038】
【実施例3】ノルアドレナリンおよびアドレナリンの基
本遊離量の測定 ノルアドレナリンとアドレナリンをそれぞれ100pg
含む標準試料から得られた典型的なクロマトグラフ像を
〔図2A〕に示した。微小透析プローブを用いて、微小
透析システムを副腎髄質に挿入してから90分後に得ら
れた10分間分画におけるアドレナリンとノルアドレナ
リンの自然分泌量を測定した〔図2B〕。微小透析シス
テムを副腎髄質に挿入することによって、最初急激にカ
テコールアミンの分泌量が増加した。しかし90分後に
は、分泌されるカテコールアミンの量は初期濃度の20
%にまで減少した。最初の90分が過ぎると、カテコー
ルアミンの自然遊離量は非常に緩慢に減少した。そこ
で、微小透析システムを挿入してから90分後というの
を薬剤投与の開始時間として採用することに決定した。
現状の条件下で、副腎髄質は少なくとも3時間にわたっ
てカテコールアミンを分泌し続けた。透析物中のノルア
ドレナリンとアドレナリンの比(NAd/Ad)は3時
間の試験期間中安定であった(NAd/Ad=0.22
±0.017)。
【0039】
【実施例4】カルバコール、VIPおよびPACAP3
8によるノルアドレナリンおよびアドレナリン遊離量の
測定 予備試験を行った結果、30nmolのアセチルコリン
を投与してもカテコールアミンの分泌を刺激しないこと
がわかった。これは、in vivoでアセチルコリンが不安
定であることによると考え、今回の試験では、アセチル
コリンレセプターアゴニスト(作用剤)としてカルバコ
ールを用いることにした。微量注入カニューレ挿入後9
0分に、カニューレを通して30nmolのカルバコー
ル(1mMカルバコールを流速3μl/分で10分間)
を注入することにより、ノルアドレナリンおよびアドレ
ナリン両方の分泌が増強された〔図3〕。注入後、直ち
にカテコールアミンの分泌が増強されている。カルバコ
ール注入後40分以内に、ノルアドレナリンおよびアド
レナリン濃度は基底濃度に戻った。カルバコール注入後
90分間、ノルアドレナリンおよびアドレナリン比は一
定で、コントロールの値と同じであった(NAd/Ad
=0.23±0.014)。1.5nmol PACA
P38(50μM PACAP38、3μl/分、10
分間)の注入によっても透析物中のアドレナリンおよび
ノルアドレナリン量は増加し、PACAP38注入後6
0分の間にほとんど影響は認められなかった((NAd
/Ad)後/(NAd/Ad)前=1.32)。アドレ
ナリン遊離の増強は60分間持続し、カルバコールによ
って誘導される増強よりもかなり長いものであった〔図
3および図4〕。それに対して、3nmolのVIPを
投与してもカテコールアミンの分泌増加は認められなか
った。カテコールアミンの分泌を増強するためにはPA
CAP38の20倍に及ぶ投与量である30nmolの
VIPが必要であった〔図4〕。次に、カルバコール、
PACAP38またはVIP投与後最初の10分間の分
画〔図5A〕と60分後に採集した分画〔図5B〕につ
いて、透析物中に分泌されたアドレナリンの量を比較す
ることにした。1.5nmol PACAP38または
30nmolカルバコールを注入することにより、最初
の10分間の分画中に遊離されたアドレナリン量は有意に
増加した(それぞれコントロール濃度の336%および
298%)。60分後に採集した分画中では、PACA
P38のみがアドレナリン分泌を増強しており、その量
はコントロール濃度の233%であった。30nmol
VIPをさらに追加しても、投与後10分以内または
60分後に統計的に有意なアドレナリン分泌の増強が誘
導されることはなかった。
【0040】
【実施例5】カルバコール、VIPおよびPACAP3
8によるノルアドレナリンおよびアドレナリン遊離に対
するアセチルコリン拮抗剤の影響 PACAP38が副腎髄質におけるカテコールアミンの
分泌を誘発する際にアエチルコリンの遊離が介在してい
るのかどうかを調べるために、ニコチン作働性およびム
スカリン作働性レセプターの拮抗剤(それぞれメカミラ
ミンおよびアトロピン)が、PACAP誘導性のカテコ
ールアミン分泌に及ぼす影響について試験を行った。
〔図6A〕に示すように、カルバコール(1mM、30
μl)の注入により誘発されたアドレナリンの分泌増加
は、メカミラミン(10mM)およびアトロピン(1m
M)の同時注入により完全に抑制された。カルバコール
とアセチルコリン拮抗剤を両方注入した試験群におい
て、分泌されたアドレナリン量の時間推移はコントロー
ル群のものと類似していた。しかし、メカミラミン(1
0mM)およびアトロピン(1mM)の同時投与によ
り、PACAP38によるアドレナリン分泌の増強は影
響を受けなかった〔図6B〕。上述の結果は、60分間
の総アドレナリン遊離量を算出することによって統計的
に立証された〔図7〕。
【0041】
【本発明の生体内微小透析法の評価】上記の実施例1〜
5は、in vivo微小透析法を用いており、PACAPの
局所投与により副腎髄質からのカテコールアミンの遊離
が誘発されることを最初に証明したものである。PAC
APによって刺激されたカテコールアミンの遊離はアセ
チルコリン拮抗剤であるメカミラミンおよびアトロピン
の投与により阻害されないことも明らかになった。上記
の実施例から、カルバコールおよびVIPもinvivoで副
腎髄質からのカテコールアミンの遊離を誘発することが
明らかになった。本発明の生体内微小透析システムの副
腎への挿入により、カテコールアミンの自然分泌が急激
に増強された。しかし、挿入により誘発されたカテコー
ルアミンの分泌増加は時間関数的に減少していった。そ
して挿入後90分には初期値の20%にまで濃度が回復
し、その後非常に緩慢に減少を続けた。このように、外
科手術による刺激でカテコールアミンは最初に増加し、
副腎髄質は少なくとも3時間にわたってカテコールアミ
ンの分泌を続けた。しかし前述のように、動物は微小透
析装置の挿入後90分で手術のストレスから回復し、試
験に用いることができた。透析物中のアドレナリン量は
ノルアドレナリンのおよそ5倍であり、結果としてNA
d/Adは非常に低い値となった。さらに、安静時にも
刺激を加えた状態でも透析物中のNAd/Adは一定で
あった〔図3〕。副腎髄質に生体内微小透析システムを
挿入した知覚ラットにおいても同様の結果が得られた
(透析物中NAd/Ad=0.36±0.07)。上述
の試験によって、末梢血におけるNAd/Adは高く
(NAd/Ad=8.30±1.8)、コリン作働性の
刺激により急激に低下することもわかっている。このよ
うに、副腎髄質内にプローブを設置していること、そし
て透析物中のNAd/Adが低いことから、透析物中の
カテコールアミンは副腎髄質に由来するもののみであ
り、もし他にわずかにあったとしても全身血に由来する
ものであることが示唆される。さらに、循環器系のパラ
メーター(心拍数および血圧)は試験中比較的安定であ
ることから、循環器系の変化による交感神経の刺激を通
して起こるカテコールアミンの遊離量の変化は、本発明
のシステムにとって重要な因子とならないことが示され
た。これらの結果からも、本発明の生体内微小透析シス
テムにより被検体化合物を外部から適用して、in vivo
で副腎髄質からのカテコールアミン遊離に関する分泌動
力学を調べることができることが明らかになった。
【0042】上述のように、NAd/Adは安静時にも
刺激を加えた状態でも一定であった。そのため、さまざ
まな薬剤の効果を比較するためにアドレナリンの遊離の
みに焦点をしぼって試験を行った。カルバコールとVI
Pは、in vivoで副腎髄質からのアドレナリンの分泌を
同程度の力で刺激した。この結果は、アセチルコリンと
VIPがin vitroで潅流副腎のカテコールアミン遊離を
増強するという過去の実験からも支持される。そこで、
アドレナリン分泌を刺激するPACAPの強さとカルバ
コールの強さを比較することにした〔図5〕。副腎髄質
に直接注入した場合、モルベースでPACAPはカルバ
コールの20倍以上に強力であった。また、カルバコー
ルの刺激効果はニコチン作働性およびムスカリン作働性
レセプター拮抗剤の存在により完全に消失した〔図6お
よび図7〕。それに対し、PACAPにより誘発された
アドレナリン遊離の増強作用はコリン拮抗剤による阻害
を受けなかった〔図6および図7〕。さらに、PACA
Pがコリン作働性神経支配のないラットのクロム親和性
細胞からのカテコールアミンの遊離も刺激することが知
られている。以上の結果から、PACAPは副腎髄質を
直接刺激する強力な副腎分泌促進物質であり、PACA
Pの作用はコリン作働性レセプターを介していないこと
が示される。注入後60分間の総アドレナリン遊離量を
比較した場合、PACAPはカルバコールよりも強力で
あった〔図5〕。ラットの培養クロム親和性細胞におい
ても、アドレナリン遊離に関するPACAPの長時間効
果が同様に観察されており、またPACAPはクロム親
和性細胞におけるcAMPの合成を活性化し、細胞内Ca2+
の濃度を上昇させることが知られている。アセチルコリ
ンではなくPACAPがcAMPの合成を活性化してい
るために、上記の実施例で示したようなPACAPによ
る副腎髄質からのアドレナリン遊離作用が長時間にわた
って続くとも考えられる。作用時間の違いと次に作用す
る第二メッセンジャーの違いによって、副腎分泌促進物
質としてのPACAPとアセチルコリンを区別すること
ができる。アセチルコリンに加えて、分離された潅流ラ
ット副腎において内臓神経に電気刺激を加えた後では、
非コリン作働性物質もカテコールアミンの分泌を誘発す
ると考えられていた。研究者によっては、VIPが非コ
リン作働性物質であるのではないかと考えられている。
【0043】しかしながら、上記の実施例から、アドレ
ナリン分泌の刺激においてはモル当たりPACAPはV
IPの少なくとも20倍は強力であることがわかってお
り〔図4および図5〕、このことからカテコールアミン
分泌に反応性のレセプターはVIPではなくPACAP
に特異的であることが示唆される。副腎髄質には、多く
の内在性PACAPおよびPACAPと免疫反応のある
軸索神経支配を受けるクロム親和性細胞が含まれてい
る。これまで、神経を経由して起こるカテコールアミン
の分泌が非コリン作働性物質を介在している場合にはニ
ューロン活性が低く、アセチルコリンを介在している場
合にはニューロン活性が高いことが知られている。さら
に、分離された潅流ラット副腎では、PACAPが内臓
神経の電気刺激によって潅流液中に遊離されることが示
されている。そのうえ、副腎髄質内にVIPよりもPA
CAPに特異的なレセプターが存在することが示されて
いる。このことと上記の実施例で示した結果と合わせ
て、in vivoでカテコールアミンはPACAPによりP
ACAP特異性レセプターの作用を通して副腎髄質から
遊離されること、そして副腎髄質における内在性の非コ
リン作働性物質はVIPではなくPACAPであること
を示唆している。in vivoで行った上記の実施例は、P
ACAPが副腎髄質におけるカテコールアミンの分泌を
刺激し、その作用がモルベースでVIPやアセチルコリ
ンに比べ強力であることを示すものであった。さらに、
in vivoのPACAP誘発性カテコールアミン分泌はP
ACAP特異性レセプターを介して直接起こるものであ
り、アセチルコリンの介在によるものではないこともわ
かった。このような結果から、PACAPを非コリン作
働性の副腎髄質分泌促進剤のひとつと考えるべきである
ことが示唆される。
【0044】
【発明の効果】本発明のPACAPまたはその塩は、温
血動物の生体内の副腎からのカテコールアミンの分泌促
進作用を有している。特に、ノルアドレナリンとアドレ
ナリンとの相対比を一定に保ったまま、ノルアドレナリ
ンおよびアドレナリンの分泌を促進するというユニーク
な作用を有している。したがって、本発明のPACAP
またはその塩は、低血圧症、気管支喘息または気管支炎
などの治療薬、強心剤などとしても有用である。また、
本発明の測定方法を適用することによって、薬物がin v
ivoにおいて臓器からどのような生理活性物質を分泌さ
せることができるか等を正確に調べることができる。さ
らには、被検体化合物の生体内における生理作用の評価
なども行うことができる。さらに、本発明の生理活性物
質測定用装置は、本発明の測定方法並びにスクリーニン
グ方法に使用することができる。
【0045】
【配列表】
【配列番号:1】 配列の長さ:38 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys 20 25 30 Gln Arg Val Lys Asn Lys 35
【0046】
【配列番号:2】 配列の長さ:27 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu 20 25
【0047】
【配列番号:3】 配列の長さ:23 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu 20
【0048】
【配列番号:4】 配列の長さ:24 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala 20
【0049】
【配列番号:5】 配列の長さ:25 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala 20 25
【0050】
【配列番号:6】 配列の長さ:26 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val 20 25
【0051】
【配列番号:7】 配列の長さ:27 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu 20 25
【0052】
【配列番号:8】 配列の長さ:28 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly 20 25
【0053】
【配列番号:9】 配列の長さ:29 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys 20 25
【0054】
【配列番号:10】 配列の長さ:30 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg 20 25 30
【0055】
【配列番号:11】 配列の長さ:31 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr 20 25 30
【0056】
【配列番号:12】 配列の長さ:32 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys 20 25 30
【0057】
【配列番号:46】 配列の長さ:33 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys 20 25 30 Gln
【0058】
【配列番号:14】 配列の長さ:34 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys 20 25 30 Gln Arg
【0059】
【配列番号:15】 配列の長さ:35 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys 20 25 30 Gln Arg Val 35
【0060】
【配列番号:16】 配列の長さ:36 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys 20 25 30 Gln Arg Val Lys 35
【0061】
【配列番号:17】 配列の長さ:37 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys 20 25 30 Gln Arg Val Lys Asn 35
【0062】
【配列番号:18】 配列の長さ:38 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Ser Asp Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln 1 5 10 15 Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys 20 25 30 Gln Arg Val Lys Asn Lys 35
【0063】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微小透析システムおよび微小透析装置
の模式図を示す。2mmの長さのセルロース膜を2本の
接合したシリカチューブのあいだにしっかりと固定し、
26ゲージの針をチューブの一方の先端に装着し、微小
透析プローブを作った。微量注入カニューレはシリカチ
ューブと33ゲージの針を接続して作ったものである。
両方のチューブは接着剤で密着されているため、微量注
入カニューレの注入口はセルロース膜の中心部に固定さ
れた。微小透析プローブおよび微量注入カニューレにテ
フロンチューブをつないで延長し、2つの別の微量注入
ポンプにそれぞれ接続した。リンガー液を微小透析プロ
ーブ中にポンプから注入した後、連結したチューブを副
腎内に挿入し、セルロース膜が副腎髄質の中央に設置さ
れるようにした。挿入後、26ゲージ針の先端にテフロ
ンチューブを接続し、分画採集装置に内容物を移すよう
にした。微量注入カニューレの一方の先端を別の微量注
入ポンプに接続し、もう一方の先端は副腎髄質の中央に
位置するようにした。Microinfusion pumpは微量注入ポ
ンプを示し、Teflon tubeはテフロンチューブを示し、A
drenal glandは副腎髄質を示し、Fraction Collectorは
分画採集装置を示し、Microdialysis deviceは微小透析
装置を示し、Fused sillicaは接合シリカを示し、i.d.
は内径を示し、o.d.は外径を示し、Microdialysis prob
eは微小透析プローブを示し、Cellulose membraneはセ
ルロース膜を示し、26-gauge needleは26ゲージ針を
示し、Microinjection cannulaは微量注入カニューレを
示し、Glueは接着剤を示し、33-guage needleは33ゲ
ージ針を示す。
【0064】
【図2】アドレナリンとノルアドレナリンを逆相カラム
を用いて分離し、ECDによって検出したHPLCクロ
マトグラフィー像を示す。横軸は時間(分)を示す。
A)は100pgノルアドレナリン(NAd)および1
00pgアドレナリン(Ad)を含む標準物質のピーク
を示す。B)は微小透析システム挿入後90分に得られ
た透析物の10分間分画のクロマトグラフィー像を示
す。
【0065】
【図3】カルバコール(30nmol)がアドレナリン
およびノルアドレナリンの分泌に及ぼす影響を調べた結
果を示す。カルバコール(1mM)を微量注入カニュー
レを通し、流速3μl/分で10分間注入した。各点は
10分間分画中のアドレナリン量(●)またはノルアド
レナリン量(○)を表しており、HPLC−ECDによ
り検出したものである。結果は、5例のラットから得ら
れたデ−タについて平均±SEで表した。縦軸はカテコ
ールアミン分泌量(ng/分画)を示し、横軸は時間
(分)を示す。
【0066】
【図4】PACAP38(1.5nmol)およびVI
P(30nmol)が透析物中のアドレナリン分泌量に
及ぼす影響を調べた結果を示す。Aは1.5nmolの
PACAP38を副腎内に注入する前の透析物のクロマ
トグラフィー像を示す。Bは1.5nmolのPACA
P38を副腎内に注入した後の透析物のクロマトグラフ
ィー像を示す。Cは1.5nmolのPACAP38ま
たは30nmolのVIPを副腎内に注入した時のアド
レナリン分泌の時間推移を示す。PACAP38および
VIPは時間0に注入を開始し、10分間(グラフ中に
太線で示した)注入した。結果は、5例のラットから得
られたデ−タについて平均±SEで表した。縦軸はアド
レナリン分泌量(ng/分画)を示し、横軸は時間
(分)を示す。
【0067】
【図5】A)はPACAP38、VIPまたはカルバコ
ール注入後10分に採取した透析物中のアドレナリン遊
離量を分析した結果を示す。B)はPACAP38、V
IPまたはカルバコール注入後60分に採取した透析物
中のアドレナリン遊離量を分析した結果を示す。コント
ロールとしてリンガー液を注入した。結果は、5例のラ
ットから得られたデ−タについて平均±SEで表した。
*P<0.05コントロール値と比較した場合(Dunnet
tの多重比較)の有意差を示す。縦軸はアドレナリン遊
離量(ng/10分)を示し、横軸は薬物名を示す。
【0068】
【図6】カルバコールまたはPACAP38によって増
強されたアドレナリン分泌に与えるアセチルコリン拮抗
剤(メカミラミンおよびアトロピン)の影響を調べた結
果を示す。カルバコール(30nmol)およびPAC
AP38(1.5nmol)を流速で10分間(グラフ
中に太線で示した)注入した。A)はメカミラミン(3
00nmol)およびアトロピン(30nmol)をカ
ルバコールと同時に微量注入カニューレを通して注入し
た結果を示す。B)はメカミラミン(300nmol)
およびアトロピン(30nmol)をPACAP38と
同時に微量注入カニューレを通して注入した結果を示
す。結果は、5例のラットから得られたデ−タについて
平均±SEで表した。縦軸はアドレナリン分泌量(ng
/分画)を示し、横軸は時間(分)を示し、(●)はア
セチルコリン拮抗剤あり場合を示し、(○)はアセチル
コリン拮抗剤なしの場合を示す。
【0069】
【図7】アセチルコリン拮抗剤を投与した場合としなか
った場合の、PACAP38またはカルバコール注入後
60分間の透析物中のアドレナリン遊離量を分析した結
果を示す。結果は、5例のラットから得られたデ−タに
ついて平均±SEで表した。*P<0.05はアセチル
コリン拮抗剤を加えない場合の値と比較した場合の有意
差を示す。縦軸はアドレナリン遊離量(ng/60分)を
示し、横軸は薬物名を示し、(■)はアセチルコリン拮
抗剤ありの場合を示し、(□)はアセチルコリン拮抗剤
なしの場合を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07K 14/47 ZNA 8318−4H // G01N 33/50 B A61K 37/02 ACD

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】PACAPまたはその塩を含有することを
    特徴とする温血動物の生体内の副腎からのカテコールア
    ミン分泌促進剤。
  2. 【請求項2】PACAPがPACAP27またはPAC
    AP38である請求項1記載のカテコールアミン分泌促
    進剤。
  3. 【請求項3】アドレナリンとノルアドレナリンとの相対
    比を一定に保ったまま、アドレナリンおよびノルアドレ
    ナリンの分泌を促進する請求項1または2記載のカテコ
    ールアミン分泌促進剤。
  4. 【請求項4】薬物投与用の微量注入用のカニューレの薬
    物排出口が微小透析プローブの透析膜部分の近辺に固定
    されていることを特徴とする生理活性物質測定用装置。
  5. 【請求項5】薬物に反応して臓器から分泌される生理活
    性物質を測定する生体内微小透析法において、請求項4
    記載の生理活性物質測定用装置を使用することを特徴と
    する薬物に反応して臓器から分泌される生理活性物質の
    測定方法。
  6. 【請求項6】(1)請求項4記載の生理活性物質測定用
    装置を臓器中に設置し、あるいは薬物投与用の微量注入
    用のカニューレおよび微小透析プローブを臓器内に設置
    し且つ該薬物投与用の微量注入用のカニューレの薬物排
    出口を該微小透析プローブの透析膜部分の近辺に固定さ
    せ、(2)微量注入用のカニューレから薬物を臓器に注
    入した時に臓器から分泌される生理活性物質を、微小透
    析プローブの透析膜を通して微小透析プローブ中に浸透
    させ、(3)微小透析プローブ中に浸透した該生理活性
    物質を採取し、該生理活性成分を測定することを特徴と
    する薬物に反応して臓器から分泌される生理活性物質の
    測定方法。
  7. 【請求項7】臓器が副腎である請求項5または6記載の
    測定方法。
  8. 【請求項8】薬物が吸着性が高く、分子量が大きい薬物
    である請求項5〜7記載の測定方法。
  9. 【請求項9】吸着性が高く、分子量が大きい薬物がPA
    CAPまたはその塩である請求項8記載の測定方法。
  10. 【請求項10】(1)請求項4記載の装置を臓器中に設
    置し、あるいは被検体化合物投与用の微量注入用のカニ
    ューレおよび微小透析プローブを臓器内に設置し且つ該
    被検体化合物投与用の微量注入用のカニューレの薬物排
    出口を該微小透析プローブの透析膜部分の近辺に固定さ
    せ、(2)微量注入用のカニューレから被検体化合物を
    臓器に注入した時に臓器から分泌される生理活性物質
    を、微小透析プローブの透析膜を通して微小透析プロー
    ブ中に浸透させ、(3)微小透析プローブ中に浸透した
    該生理活性物質を採取し、該生理活性物質を測定するこ
    とを特徴とする臓器から生理活性物質を分泌させる作用
    を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  11. 【請求項11】請求項10記載のスクリーニング方法で
    得られる化合物またはその塩。
  12. 【請求項12】請求項11記載の化合物またはその塩を
    含有することを特徴とする医薬組成物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005014030A1 (en) * 2003-07-24 2005-02-17 Lutz-Henning Block Method for treating lung diseases associated with ventilation-perfusion mismatches

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