JPH0812142B2 - センサーシース部の見掛け熱伝導率を決定する方法及び流体の動粘度測定方法 - Google Patents
センサーシース部の見掛け熱伝導率を決定する方法及び流体の動粘度測定方法Info
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- JPH0812142B2 JPH0812142B2 JP3250368A JP25036891A JPH0812142B2 JP H0812142 B2 JPH0812142 B2 JP H0812142B2 JP 3250368 A JP3250368 A JP 3250368A JP 25036891 A JP25036891 A JP 25036891A JP H0812142 B2 JPH0812142 B2 JP H0812142B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は発熱体を内蔵する通電加
熱センサーのセンサー軸を計測対象流体の流れの方向に
対して、平行に設置した場合に、センサーのシース部の
見掛け熱伝導率を決定する方法と該見掛け熱伝導率の値
から流体の実測値としての動粘性率を決定する方法に関
するものである。本発明によれば、各種産業分野におけ
る流体の粘度や密度、組成などの変化によって起きる実
測値としての動粘性率の変化を計測することができ、工
程制御の基礎値を知ることが可能になる。
熱センサーのセンサー軸を計測対象流体の流れの方向に
対して、平行に設置した場合に、センサーのシース部の
見掛け熱伝導率を決定する方法と該見掛け熱伝導率の値
から流体の実測値としての動粘性率を決定する方法に関
するものである。本発明によれば、各種産業分野におけ
る流体の粘度や密度、組成などの変化によって起きる実
測値としての動粘性率の変化を計測することができ、工
程制御の基礎値を知ることが可能になる。
【0002】
【従来の技術】古典的には、動粘性率を得るのにB型粘
度計や回転粘度計、ザーンカップなどを用いていた。し
かし、これらの方法では人為的操作が必要であり、又計
測時間もかかり、なによりもインライン計測は出来なか
った。そこで、粘度の指標値を求めて変化を知る方法が
従来提案されていた。即ち、流体の状態変化を測定する
方法として、本出願人が出願した特開昭60−1529
43号、特開昭62−185146号があげられる。ま
た、粘度測定方法として特開昭60−177244号、
特開平1−284721号、特開平1−311250号
等があげられる。特開昭60−152943号は、金属
細線と流体の温度差を一定に保つように電流を調整し
て、そのときの電流値から金属細線の表面における流体
の熱伝達率を算出して、その熱伝達率の変化から流体の
状態変化を計測する方法である。特開昭62−1851
46号は、流体と熱的に接触する感知素子の温度、流体
の温度、感知素子と流体の温度差を計測して、その変化
から流体の状態変化を判定する方法である。特開昭60
−177244号は、流体の粘度と温度を計測し、予め
定められた温度における粘度を計算する粘度測定装置で
ある。特開平1−284721号は、液体と水晶振動子
を接触させ、液体の温度が変化したときの水晶振動子の
共振周波数の変化または損失抵抗を求め、液体の粘性を
検出し、これをもとに液体の温度の計測を行う装置であ
る。特開平1−311250号は、液体と圧電素子を接
触させ、圧電素子の共振周波数または損失抵抗を求め、
液体の粘性を計測する手段である。
度計や回転粘度計、ザーンカップなどを用いていた。し
かし、これらの方法では人為的操作が必要であり、又計
測時間もかかり、なによりもインライン計測は出来なか
った。そこで、粘度の指標値を求めて変化を知る方法が
従来提案されていた。即ち、流体の状態変化を測定する
方法として、本出願人が出願した特開昭60−1529
43号、特開昭62−185146号があげられる。ま
た、粘度測定方法として特開昭60−177244号、
特開平1−284721号、特開平1−311250号
等があげられる。特開昭60−152943号は、金属
細線と流体の温度差を一定に保つように電流を調整し
て、そのときの電流値から金属細線の表面における流体
の熱伝達率を算出して、その熱伝達率の変化から流体の
状態変化を計測する方法である。特開昭62−1851
46号は、流体と熱的に接触する感知素子の温度、流体
の温度、感知素子と流体の温度差を計測して、その変化
から流体の状態変化を判定する方法である。特開昭60
−177244号は、流体の粘度と温度を計測し、予め
定められた温度における粘度を計算する粘度測定装置で
ある。特開平1−284721号は、液体と水晶振動子
を接触させ、液体の温度が変化したときの水晶振動子の
共振周波数の変化または損失抵抗を求め、液体の粘性を
検出し、これをもとに液体の温度の計測を行う装置であ
る。特開平1−311250号は、液体と圧電素子を接
触させ、圧電素子の共振周波数または損失抵抗を求め、
液体の粘性を計測する手段である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の測温素子の機能
を有する発熱体を内蔵するセンサーに関しては、例え
ば、特開昭64−44838号のような構造になってお
り、そのセンサーの構造は、発熱体がセンサーシース内
に組み込まれたものでシースは発熱体より長い。流体の
動粘性率は、センサー表面の発熱部の長さが決定されれ
ば求めることが可能であるが、本発明が目的としている
流体がセンサー軸に平行の流れが生じているときには流
体の流速によってセンサー表面の発熱部の長さは大きく
変化することが分かっている。即ち、流体の流速によっ
てセンサー表面の熱伝達率が変化し、それによってセン
サーの表面における発熱部の長さも大きく変化するので
ある。流体の流れがはやくなる程、センサー表面の発熱
部の長さは流れの方向に大きく変化するのである。この
ように本発明が目的としている流体がセンサー軸に平行
の流れが生じているときには、センサー内部の発熱体の
長さや、センサー表面の熱伝達率は、流体の動粘性率を
決定して行くためには簡単に指標としてはならない。そ
こで、本発明者らはセンサーの内部の熱伝導率が流体の
流れの大きさに左右されないから、一つの指標となり得
ることに着目した。そして、熱伝導率と動粘性率には以
下の関係がある。即ち動粘性率の関係式であるヌッセル
ト数に着目すると、発熱体からセンサーシース表面まで
の熱伝導率がわかれば、流体の動粘性率が求められるこ
とが知られているからである。しかしながらこのような
センサー発熱体からセンサーシース表面までの熱伝導率
を求めるには、以下のような困難がある。即ち、一般に
構造物の熱伝導率はその材質に固有の実測可能な数値で
あるが、本発明の使用される通電加熱センサーは、構造
が微細であり、実測は困難である。即ち本発明の使用さ
れる通電加熱センサーは、図1及び図2のような構造で
あり、図2のように発熱体からセンサーシース表面まで
の絶縁性部材5、絶縁性粉末6、センサーシース2が介
在しており、これら個々の材質の熱伝導率を総合してセ
ンサー固有の熱伝導率を決定することが理論上考えられ
るが、前述したごとくセンサー自体が微細な構造である
が故にこのような総合的な熱伝導率の決定方法では誤差
が大きい。しかもセンサーの一つ一つは特性が異なり、
均一な方法では熱伝導率は決定できない。そこで本発明
者らは代替手段として、発熱体からセンサーシース表面
までを一つの構造体とし、しかも一つ一つのセンサーに
関してセンサーシース部の熱伝導率を見掛けの数値とし
て求めることを思い至ったのである。
を有する発熱体を内蔵するセンサーに関しては、例え
ば、特開昭64−44838号のような構造になってお
り、そのセンサーの構造は、発熱体がセンサーシース内
に組み込まれたものでシースは発熱体より長い。流体の
動粘性率は、センサー表面の発熱部の長さが決定されれ
ば求めることが可能であるが、本発明が目的としている
流体がセンサー軸に平行の流れが生じているときには流
体の流速によってセンサー表面の発熱部の長さは大きく
変化することが分かっている。即ち、流体の流速によっ
てセンサー表面の熱伝達率が変化し、それによってセン
サーの表面における発熱部の長さも大きく変化するので
ある。流体の流れがはやくなる程、センサー表面の発熱
部の長さは流れの方向に大きく変化するのである。この
ように本発明が目的としている流体がセンサー軸に平行
の流れが生じているときには、センサー内部の発熱体の
長さや、センサー表面の熱伝達率は、流体の動粘性率を
決定して行くためには簡単に指標としてはならない。そ
こで、本発明者らはセンサーの内部の熱伝導率が流体の
流れの大きさに左右されないから、一つの指標となり得
ることに着目した。そして、熱伝導率と動粘性率には以
下の関係がある。即ち動粘性率の関係式であるヌッセル
ト数に着目すると、発熱体からセンサーシース表面まで
の熱伝導率がわかれば、流体の動粘性率が求められるこ
とが知られているからである。しかしながらこのような
センサー発熱体からセンサーシース表面までの熱伝導率
を求めるには、以下のような困難がある。即ち、一般に
構造物の熱伝導率はその材質に固有の実測可能な数値で
あるが、本発明の使用される通電加熱センサーは、構造
が微細であり、実測は困難である。即ち本発明の使用さ
れる通電加熱センサーは、図1及び図2のような構造で
あり、図2のように発熱体からセンサーシース表面まで
の絶縁性部材5、絶縁性粉末6、センサーシース2が介
在しており、これら個々の材質の熱伝導率を総合してセ
ンサー固有の熱伝導率を決定することが理論上考えられ
るが、前述したごとくセンサー自体が微細な構造である
が故にこのような総合的な熱伝導率の決定方法では誤差
が大きい。しかもセンサーの一つ一つは特性が異なり、
均一な方法では熱伝導率は決定できない。そこで本発明
者らは代替手段として、発熱体からセンサーシース表面
までを一つの構造体とし、しかも一つ一つのセンサーに
関してセンサーシース部の熱伝導率を見掛けの数値とし
て求めることを思い至ったのである。
【0004】更に従来の通電加熱センサーでは、熱伝達
率は一つの指標値として扱ってきた。例えば、特公平2
−31932号があげられる。即ち、事実上は保護管の
熱伝導率や流体の流れの方向により、センサー表面にお
ける発熱部の長さは内部発熱体とは異なるものとなるこ
とは前述した。しかし、粘性変化を数値としてではなく
変化状態の計測として用いる場合において指標値を得た
場合でも、該指標値が流体の状態の変化の状態を表すた
め問題が生じない。同様に、特開昭60−152943
号は熱伝達率の変化から流体の状態変化を計測するもの
で、特に粘性変化を測定するものである。この計測にお
いて粘性率を実質的な物性値として知る必要はなく、変
化の始点や終点を時機的に把握する計測方法である。ま
た、特開昭62−185146号も同じく物性値を実質
的数値として得る方法には至っていない。更に、特開昭
60−177244号、特開平1−284721号、特
開平1−311250号などは、流体の粘性率を計測す
るものであって、流体の流動特性が関係する動粘性率の
測定方法ではない。従って、従来技術においては、前記
粘性率を計測する方法に関するものがあるが、実質的数
値として動粘性率を得たものはない。このように熱伝達
率等を指標値として扱ってきたが、このような傾向に対
して、各種産業における流体の状態変化の計測では、指
標値を得てその変化状態を把握できれば良いというだけ
に終わらず、実質的な物性値を求め、工程制御の基礎値
として利用したいという要望があり、特に産業上は動粘
性率、粘性値、熱伝導率などを実質的数値として把握す
るために時間をかけて計測される例が多く見受けられ
る。このような要望の技術的な背景としては、流体の動
粘性率が直接かつ実質的な数値として求めることが可能
になれば、更に測定による流体の物性を詳細に把握する
ことが可能となる。特に動粘性率の変化は流体の密度に
関係なく生じる場合があり、これが測定可能となれば、
例えば生体培養中の菌体濃度や、培地中の生理活性物質
の濃度、更に流体の粘性変化を伴う場合の物性変化の特
徴等を計測することが可能となるのである。
率は一つの指標値として扱ってきた。例えば、特公平2
−31932号があげられる。即ち、事実上は保護管の
熱伝導率や流体の流れの方向により、センサー表面にお
ける発熱部の長さは内部発熱体とは異なるものとなるこ
とは前述した。しかし、粘性変化を数値としてではなく
変化状態の計測として用いる場合において指標値を得た
場合でも、該指標値が流体の状態の変化の状態を表すた
め問題が生じない。同様に、特開昭60−152943
号は熱伝達率の変化から流体の状態変化を計測するもの
で、特に粘性変化を測定するものである。この計測にお
いて粘性率を実質的な物性値として知る必要はなく、変
化の始点や終点を時機的に把握する計測方法である。ま
た、特開昭62−185146号も同じく物性値を実質
的数値として得る方法には至っていない。更に、特開昭
60−177244号、特開平1−284721号、特
開平1−311250号などは、流体の粘性率を計測す
るものであって、流体の流動特性が関係する動粘性率の
測定方法ではない。従って、従来技術においては、前記
粘性率を計測する方法に関するものがあるが、実質的数
値として動粘性率を得たものはない。このように熱伝達
率等を指標値として扱ってきたが、このような傾向に対
して、各種産業における流体の状態変化の計測では、指
標値を得てその変化状態を把握できれば良いというだけ
に終わらず、実質的な物性値を求め、工程制御の基礎値
として利用したいという要望があり、特に産業上は動粘
性率、粘性値、熱伝導率などを実質的数値として把握す
るために時間をかけて計測される例が多く見受けられ
る。このような要望の技術的な背景としては、流体の動
粘性率が直接かつ実質的な数値として求めることが可能
になれば、更に測定による流体の物性を詳細に把握する
ことが可能となる。特に動粘性率の変化は流体の密度に
関係なく生じる場合があり、これが測定可能となれば、
例えば生体培養中の菌体濃度や、培地中の生理活性物質
の濃度、更に流体の粘性変化を伴う場合の物性変化の特
徴等を計測することが可能となるのである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、流体の動粘性
率を実質的な物性値として簡易にしかもインラインで測
定可能とする動粘性率測定方法を提供することを最終目
的とし、その前提として、センサーの発熱体からシース
表面までの見掛けの熱伝導率を決定することをも目的と
している。なお、本発明でいう動粘度(動粘性率)と
は、粘性流体の流れの状態における粘性率を表し、粘性
率を密度で割った値、ν=η/ρ(m2 /S)で表され
る。本発明の目的を具体的に実現する手段は、測温素子
でありかつ発熱体である素子を内蔵する通電加熱センサ
ーを、物性値が既知の流体中に配置して、センサー軸に
対して平行方向に一定の流速を維持しながら、センサー
表面温度、及び発熱体の温度から、センサーの固有定数
であるセンサーシース部の見掛け熱伝導率を決定する方
法により達成される。上記センサーシース部の見掛け熱
伝導率は、実測データをレイノルズ数及び発熱体の発熱
量の2因子により回帰分析して、算出式の回帰係数を決
定することにより、補正して求めるとなお良い。同様
に、センサーシース部の見掛け熱伝導率K’は、流体が
層流域において次式で表わされる。 K’=A1 /
(A2 +Re)+A3 ・Q (Reはレイノルズ数、A1 、A2 、A3 は定数、Qは
発熱量) なお、以上の各センサーシース部の見掛け熱伝導率を決
定する方法は、物性既知の流体が低粘性流体を使用し
て、該流体の流れが層流となるように流速を設定し、測
定対象の流体では、前述した流速以下の一定の流速でか
つ層流状態を維持すると、より正確なセンサーシース部
の見掛け熱伝導率を決定出来る。本発明の最終目的は、
以上の各センサーシース部の見掛け熱伝導率を決定する
方法により、見掛け熱伝導率を決定し、流体槽や流体流
動ライン等から分岐した層流状態の循環ラインを設置
し、この直管部分にセンサーを配置して、該センサーの
温度と流体の温度から流体の動粘性率を算出することに
より、流体の動粘度測定が達成できる。
率を実質的な物性値として簡易にしかもインラインで測
定可能とする動粘性率測定方法を提供することを最終目
的とし、その前提として、センサーの発熱体からシース
表面までの見掛けの熱伝導率を決定することをも目的と
している。なお、本発明でいう動粘度(動粘性率)と
は、粘性流体の流れの状態における粘性率を表し、粘性
率を密度で割った値、ν=η/ρ(m2 /S)で表され
る。本発明の目的を具体的に実現する手段は、測温素子
でありかつ発熱体である素子を内蔵する通電加熱センサ
ーを、物性値が既知の流体中に配置して、センサー軸に
対して平行方向に一定の流速を維持しながら、センサー
表面温度、及び発熱体の温度から、センサーの固有定数
であるセンサーシース部の見掛け熱伝導率を決定する方
法により達成される。上記センサーシース部の見掛け熱
伝導率は、実測データをレイノルズ数及び発熱体の発熱
量の2因子により回帰分析して、算出式の回帰係数を決
定することにより、補正して求めるとなお良い。同様
に、センサーシース部の見掛け熱伝導率K’は、流体が
層流域において次式で表わされる。 K’=A1 /
(A2 +Re)+A3 ・Q (Reはレイノルズ数、A1 、A2 、A3 は定数、Qは
発熱量) なお、以上の各センサーシース部の見掛け熱伝導率を決
定する方法は、物性既知の流体が低粘性流体を使用し
て、該流体の流れが層流となるように流速を設定し、測
定対象の流体では、前述した流速以下の一定の流速でか
つ層流状態を維持すると、より正確なセンサーシース部
の見掛け熱伝導率を決定出来る。本発明の最終目的は、
以上の各センサーシース部の見掛け熱伝導率を決定する
方法により、見掛け熱伝導率を決定し、流体槽や流体流
動ライン等から分岐した層流状態の循環ラインを設置
し、この直管部分にセンサーを配置して、該センサーの
温度と流体の温度から流体の動粘性率を算出することに
より、流体の動粘度測定が達成できる。
【0006】
【作用】物性既知の流体中に於て、発熱体を内蔵した本
発明のセンサーを発熱させて、センサー表面温度及び発
熱体の温度を計測して、該温度からセンサーシース部の
見掛け熱伝導率を決定する。なお、この値を更にレイノ
ルズ数、発熱体の発熱量により、補正して求める式を回
帰分析により、求めても良い。この見掛け熱伝導率決定
後に、動粘性率を計測するため本発明のセンサーの軸を
流体の流れ方向に向かって平行に設置し、層流状態であ
るという一定流速の条件下で、発熱体の温度、流体の温
度、既知である動粘性率以外の流体の物性を用いて、流
体の物性値である動粘性率を測定する。
発明のセンサーを発熱させて、センサー表面温度及び発
熱体の温度を計測して、該温度からセンサーシース部の
見掛け熱伝導率を決定する。なお、この値を更にレイノ
ルズ数、発熱体の発熱量により、補正して求める式を回
帰分析により、求めても良い。この見掛け熱伝導率決定
後に、動粘性率を計測するため本発明のセンサーの軸を
流体の流れ方向に向かって平行に設置し、層流状態であ
るという一定流速の条件下で、発熱体の温度、流体の温
度、既知である動粘性率以外の流体の物性を用いて、流
体の物性値である動粘性率を測定する。
【0007】
【実施例】以下本発明の実施例を説明する。図1は、測
温素子でありかつ発熱体3をシース2の内部に備えたセ
ンサー1を示し、4は素子1に通電するリード線であ
る。以上のようなセンサー1においてリード線4に通電
しながら、センサー1をセンサー軸に対して平行方向の
流れを有する流体中に配置することにより、発熱体3か
ら発生した熱がシース2を通って流体中に伝達される。
図2は、リード線4が絶縁性部材5と絶縁性粉末6に囲
まれて、発熱体を構成しており、発熱体の外側はシース
2が設けられた状況を示している。図中K’で示されて
いるのは、発熱体からセンサーシース表面までを一つの
構造体とした見掛けの熱伝導率を示している。
温素子でありかつ発熱体3をシース2の内部に備えたセ
ンサー1を示し、4は素子1に通電するリード線であ
る。以上のようなセンサー1においてリード線4に通電
しながら、センサー1をセンサー軸に対して平行方向の
流れを有する流体中に配置することにより、発熱体3か
ら発生した熱がシース2を通って流体中に伝達される。
図2は、リード線4が絶縁性部材5と絶縁性粉末6に囲
まれて、発熱体を構成しており、発熱体の外側はシース
2が設けられた状況を示している。図中K’で示されて
いるのは、発熱体からセンサーシース表面までを一つの
構造体とした見掛けの熱伝導率を示している。
【0008】(センサーシース部の見掛けの熱伝導率の
決定方法)本発明のセンサーのシース部における熱伝導
率を構造上決定することは、困難である点は前述した通
りである。そこで見掛けの熱伝導率K’を決定するので
あるが、その方法はセンサー発熱体温度とセンサー表面
温度の関係式から、実験的に算出し、この値を無次元数
であるレイノルズ数及び発熱体の発熱量の2因子により
補正して算出式を決定する。まず、センサー発熱体温度
とセンサー表面温度の関係式は、以下の式が知られてい
る。 θW = θS + Q・log (r0 / ri )/(2π・L0 ・K’) …(1) (Miyawaki,o., Sato,y., Yano,T., Ito,K. and Saeki,
Y. 1990. "FundamentalAspects of Viscosity Monitori
ng by the Hot-wire Technique"JOURNAL OF Food SCIEN
CE-VOLUME 55 No.3 :854-857 )。ここで、 Q : 発熱量[W] θW : 発熱体温度[℃] θS : センサー表面温度[℃] r0 : センサー3の半径[m] ri : 発熱体素子1の半径[m] L0 : 発熱体の長さ[m] である。ここでは、物性が既知の流体を用いて、流速及
び発熱量を変更して、発熱体温度と発熱量を測定する。
r0 、ri 、L0 は予め測定しておく。 (1)式において、センサー表面温度θS だけが未知で
あるので、センサー表面温度は、熱伝達率に関する無次
元量であるヌッセルト数(Nu)により求める。 Nu=αL/λ=(Q/πdLΔθS )*(L/λ)=Q/πdλΔθS …(2) ここで、 Q : 発熱量[W] α : 熱伝達率(α=Q/πdLΔθS )[W/m2
K] L : 発熱体の長さ[m] λ : 熱伝導率[W/mK] d : センサー直径[m] ΔθS =θS −θ∞ θ∞: 流体の温度[℃] 他方、無次元量ヌッセルト数(Nu)は、流体の流れが
センサー軸に対して平行である場合は、流体が静止した
静止伝導層モデルにより表すことが可能である(JOURNA
L OF Food SCIENCE-VOLUME 55 No.3 :854 )。 Nuo=(L/d)/log[1+(L/d)/Nup] …(3) ここで、Nupは、センサー軸から平行な流れの中におか
れた熱伝達式であり、このような熱伝達に関しては、Po
hlhansenにより、次式が示されている。又、Nuoは、円
柱体のヌッセルト数(Nu)である。(3)式のNup
は、以下のようにレイノルズ数とプラントル数で表され
る。 Nup=0.664・Re1/2 ・Pr1/3 …(4) 但し、上の式は、層流域(Re < 8.0*104 )
で成立する。 Re : レイノルズ数 Pr : プラントル数(=ν/a) ここで、Re 、Pr はいずれも既知であるので、Nupが
算出され、これを(3)式に代入する。そして、円柱体
におけるヌッセルト数(Nu)は、Nuoであるから、
(2)式と(3)式は同様であり、(3)式を(2)式
に代入して、ΔθS を求める。なお、ΔθS =θS −θ
∞であるから、このようにして算出したΔθS と、計測
した流体の温度θ∞から、θS が算出出来る。θ∞は、
本発明のセンサーを側温素子として計測すれば良い。こ
のようにして、前記の(1)式の見掛けの熱伝導率K’
は、流れに平行に置かれた発熱円柱からの熱伝達式によ
り、センサー表面温度センサーθS を算出出来、更にセ
ンサー発熱体温度θW は通電加熱法により実測出来るか
ら、これらセンサーの表面温度θS とセンサー発熱体温
度θW より、見掛けの熱伝導率K’を算出可能である。
決定方法)本発明のセンサーのシース部における熱伝導
率を構造上決定することは、困難である点は前述した通
りである。そこで見掛けの熱伝導率K’を決定するので
あるが、その方法はセンサー発熱体温度とセンサー表面
温度の関係式から、実験的に算出し、この値を無次元数
であるレイノルズ数及び発熱体の発熱量の2因子により
補正して算出式を決定する。まず、センサー発熱体温度
とセンサー表面温度の関係式は、以下の式が知られてい
る。 θW = θS + Q・log (r0 / ri )/(2π・L0 ・K’) …(1) (Miyawaki,o., Sato,y., Yano,T., Ito,K. and Saeki,
Y. 1990. "FundamentalAspects of Viscosity Monitori
ng by the Hot-wire Technique"JOURNAL OF Food SCIEN
CE-VOLUME 55 No.3 :854-857 )。ここで、 Q : 発熱量[W] θW : 発熱体温度[℃] θS : センサー表面温度[℃] r0 : センサー3の半径[m] ri : 発熱体素子1の半径[m] L0 : 発熱体の長さ[m] である。ここでは、物性が既知の流体を用いて、流速及
び発熱量を変更して、発熱体温度と発熱量を測定する。
r0 、ri 、L0 は予め測定しておく。 (1)式において、センサー表面温度θS だけが未知で
あるので、センサー表面温度は、熱伝達率に関する無次
元量であるヌッセルト数(Nu)により求める。 Nu=αL/λ=(Q/πdLΔθS )*(L/λ)=Q/πdλΔθS …(2) ここで、 Q : 発熱量[W] α : 熱伝達率(α=Q/πdLΔθS )[W/m2
K] L : 発熱体の長さ[m] λ : 熱伝導率[W/mK] d : センサー直径[m] ΔθS =θS −θ∞ θ∞: 流体の温度[℃] 他方、無次元量ヌッセルト数(Nu)は、流体の流れが
センサー軸に対して平行である場合は、流体が静止した
静止伝導層モデルにより表すことが可能である(JOURNA
L OF Food SCIENCE-VOLUME 55 No.3 :854 )。 Nuo=(L/d)/log[1+(L/d)/Nup] …(3) ここで、Nupは、センサー軸から平行な流れの中におか
れた熱伝達式であり、このような熱伝達に関しては、Po
hlhansenにより、次式が示されている。又、Nuoは、円
柱体のヌッセルト数(Nu)である。(3)式のNup
は、以下のようにレイノルズ数とプラントル数で表され
る。 Nup=0.664・Re1/2 ・Pr1/3 …(4) 但し、上の式は、層流域(Re < 8.0*104 )
で成立する。 Re : レイノルズ数 Pr : プラントル数(=ν/a) ここで、Re 、Pr はいずれも既知であるので、Nupが
算出され、これを(3)式に代入する。そして、円柱体
におけるヌッセルト数(Nu)は、Nuoであるから、
(2)式と(3)式は同様であり、(3)式を(2)式
に代入して、ΔθS を求める。なお、ΔθS =θS −θ
∞であるから、このようにして算出したΔθS と、計測
した流体の温度θ∞から、θS が算出出来る。θ∞は、
本発明のセンサーを側温素子として計測すれば良い。こ
のようにして、前記の(1)式の見掛けの熱伝導率K’
は、流れに平行に置かれた発熱円柱からの熱伝達式によ
り、センサー表面温度センサーθS を算出出来、更にセ
ンサー発熱体温度θW は通電加熱法により実測出来るか
ら、これらセンサーの表面温度θS とセンサー発熱体温
度θW より、見掛けの熱伝導率K’を算出可能である。
【0009】ところで、このような見掛けの熱伝導率
K’は、以下のような回帰分析により、補正した式によ
り、求めても良い。即ち、発熱体の温度及び流体の温度
を変化させ、複数個求める。そして、複数個のK’を無
次元項であるレイノルズ数及び発熱体の発熱量の2因子
から回帰モデルに従って式を設定し、回帰分析を行い、
センサーシース部の見掛け熱伝導率K’の算出式の定数
(A1 ーA3 )を決定して式を完成する。これにより、
見掛け熱伝導率K’がセンサー毎に決定できる。本発明
では、既知の流体によりセンサーシース部の見掛け熱伝
導率K’の算出式の各因子の係数が求まれば、センサー
シース部の見掛け熱伝導率K’を決定することが出来、
これを基礎値として、他の未知の流体の動粘性率を得る
ことが可能となる。
K’は、以下のような回帰分析により、補正した式によ
り、求めても良い。即ち、発熱体の温度及び流体の温度
を変化させ、複数個求める。そして、複数個のK’を無
次元項であるレイノルズ数及び発熱体の発熱量の2因子
から回帰モデルに従って式を設定し、回帰分析を行い、
センサーシース部の見掛け熱伝導率K’の算出式の定数
(A1 ーA3 )を決定して式を完成する。これにより、
見掛け熱伝導率K’がセンサー毎に決定できる。本発明
では、既知の流体によりセンサーシース部の見掛け熱伝
導率K’の算出式の各因子の係数が求まれば、センサー
シース部の見掛け熱伝導率K’を決定することが出来、
これを基礎値として、他の未知の流体の動粘性率を得る
ことが可能となる。
【0010】(動粘性率の算出)このようにして求めた
センサーシース部の見掛け熱伝導率K’を基礎値とし
て、流体の動粘性率を算出する方法に付いて説明する
と、流動する流体内の強制対流によるセンサーの熱伝達
は、ヌッセルト数の定義式である(2)式より次式で示
される。 Nu =αL0 /λ =(Q/πdL0 ΔθS )*(L0 /λ) =Q/πdλΔθS …(5) センサー表面温度ΔθS は、θW 、θS の関係式である
(1)式より、 θw −θ∞=θs −θ∞ + Q・log (r0 / ri )/(2π・L0 ・ K’) Δθw =Δθs +Q・log (r0 / ri )/(2π・L0 ・K’) …(6) で表される。又、K’は次式で示されるが、簡略化のた
め具体的な関数形は示さず、次式で示すこととする。 K’=A1 /(A2 +Re)+A3 ・Q=f(Re、Q) =C3 ・ReC4・QC5 =C3 ・(uL0 /ν)C4・QC5 =C3 ・QC5・(uL0 )C4・ν-C4 …(7) (ここで、Re=uL0 /ν、C3 、C4 、
C5 は定数) (6)式に(7)式を代入すると、 Δθw =Δθs +Q・log (r0 / ri )/(2π・L0 ・C3 ・ QC5・(uL0 )C4・ν-C4 ) …(8) (8)式をΔθS に整理して、(5)式に代入すると、 Nu=Q/πdλ[ΔθW −Q・log (r0 / ri )/(2π・L0 ・ C3 ・ QC5・(uL0 )C4・ν-C4 ] …(9) ここで、 A=Q・log (r0 / ri )/[2π・L0 ・C3 ・ Qc5・ (uL0 )C4・ν-C4 ] …(10) として整理すると、 Nu=Q/πdλ[ΔθW −A] …(11) 一方、センサーからの熱伝達は、等価静止伝導層モデル
から(3)式及び(4)式と同様に、次式によっても表
される。 Nu=(L0 /d)/log[1+(L0 /d)/Nup]=f(Re、Pr) =C0 ・ReC1・PrC2 =C0 ・(uL0 /ν)C1・(ν/a)C2 =C0 ・(uL0 )C1・νC2-C1 ・a-C2 …(12) ここで、(12)式と(11)式を整理すると、 Nu=Q/πdλ[ΔθW −A]=C0 ・(uL0 )C1・νC2-C1 ・a-C2 …(13) ここで、B=C0 ・(uL0 )C1・νC2-C1 ・a-C2
とすれば、 Q/πdλ[ΔθW −A]=B Q/πdλ=B[ΔθW −A]=BΔθW −BA BΔθW =Q/πdλ+BA ΔθW =Q/πdλ・B+A …(14) ここで、A、Bを代入すると、 Δθw =Q/[πdλ・C0 ・(uL0 )c1・νc2-c1 ・a-c2 ]+Q・log (r0 / ri )/[2π・L0 ・C3 ・Qc5・(uL0 )c4・ν-c4 ] …(15) ν以外を整理して、 C=Q/[πdλ・C0 ・(uL0 )c1・a-c2 ] D=Q・log (r0 / ri )/[2π・L0 ・C3 ・Qc5・(uL0 )c4] とすると、(15)式は Δθw =C・νc1-c2 +D・νc4 …(16) が得られる。(16)式より、Δθw からνを直接算出
することが出来ないことが解る。そこで、Δθw からν
を算出するには、以下の二種類の算出方法が考えられ
る。 (イ)、予めνとΔθw の関係を物性既知の流体を用い
て調べておき、この関係から、νを算出する方法 (ロ)、数値計算法 ここで(ロ)の数値計算法について簡略に説明すると、
(15)式を整理する と、 Δθw =Q/{〔πdλ・C0 ・(uL0 )c1・a-c2 〕・νC2-C 1 } +Q・log (r0 / ri )/[2π・L0 ・K’] …(17) 即ち(7)式より、K’=C3 ・Qc5・(uL0 )c4・
ν-c4 である。Δθw は実測より、既知である。よっ
て、(17)式でK’に適当な値を代入し(17)式よ
りνを計算する。このνを(15)に代入して、Δθw
の計算値Δθw (cal )を求める。そして、この実測値
Δθw と計算値Δθw (cal )が等しくなるまで、以上
の操作を行う。即ち、ここでは、K’=f(Re、Q)
=f(u、ν、Q)であるため、νが未知の流体では、
K’は算出出来ない。そこで(17)式でK’に適当な
値を代入して、数値計算により、νを算出したのであ
る。以上のように、このΔθw の実測値とΔθw (cal
)の計算値が収束した値が動粘性率νとして得られ、
ここでの動粘性率νは実質的な数値として得られるので
ある。
センサーシース部の見掛け熱伝導率K’を基礎値とし
て、流体の動粘性率を算出する方法に付いて説明する
と、流動する流体内の強制対流によるセンサーの熱伝達
は、ヌッセルト数の定義式である(2)式より次式で示
される。 Nu =αL0 /λ =(Q/πdL0 ΔθS )*(L0 /λ) =Q/πdλΔθS …(5) センサー表面温度ΔθS は、θW 、θS の関係式である
(1)式より、 θw −θ∞=θs −θ∞ + Q・log (r0 / ri )/(2π・L0 ・ K’) Δθw =Δθs +Q・log (r0 / ri )/(2π・L0 ・K’) …(6) で表される。又、K’は次式で示されるが、簡略化のた
め具体的な関数形は示さず、次式で示すこととする。 K’=A1 /(A2 +Re)+A3 ・Q=f(Re、Q) =C3 ・ReC4・QC5 =C3 ・(uL0 /ν)C4・QC5 =C3 ・QC5・(uL0 )C4・ν-C4 …(7) (ここで、Re=uL0 /ν、C3 、C4 、
C5 は定数) (6)式に(7)式を代入すると、 Δθw =Δθs +Q・log (r0 / ri )/(2π・L0 ・C3 ・ QC5・(uL0 )C4・ν-C4 ) …(8) (8)式をΔθS に整理して、(5)式に代入すると、 Nu=Q/πdλ[ΔθW −Q・log (r0 / ri )/(2π・L0 ・ C3 ・ QC5・(uL0 )C4・ν-C4 ] …(9) ここで、 A=Q・log (r0 / ri )/[2π・L0 ・C3 ・ Qc5・ (uL0 )C4・ν-C4 ] …(10) として整理すると、 Nu=Q/πdλ[ΔθW −A] …(11) 一方、センサーからの熱伝達は、等価静止伝導層モデル
から(3)式及び(4)式と同様に、次式によっても表
される。 Nu=(L0 /d)/log[1+(L0 /d)/Nup]=f(Re、Pr) =C0 ・ReC1・PrC2 =C0 ・(uL0 /ν)C1・(ν/a)C2 =C0 ・(uL0 )C1・νC2-C1 ・a-C2 …(12) ここで、(12)式と(11)式を整理すると、 Nu=Q/πdλ[ΔθW −A]=C0 ・(uL0 )C1・νC2-C1 ・a-C2 …(13) ここで、B=C0 ・(uL0 )C1・νC2-C1 ・a-C2
とすれば、 Q/πdλ[ΔθW −A]=B Q/πdλ=B[ΔθW −A]=BΔθW −BA BΔθW =Q/πdλ+BA ΔθW =Q/πdλ・B+A …(14) ここで、A、Bを代入すると、 Δθw =Q/[πdλ・C0 ・(uL0 )c1・νc2-c1 ・a-c2 ]+Q・log (r0 / ri )/[2π・L0 ・C3 ・Qc5・(uL0 )c4・ν-c4 ] …(15) ν以外を整理して、 C=Q/[πdλ・C0 ・(uL0 )c1・a-c2 ] D=Q・log (r0 / ri )/[2π・L0 ・C3 ・Qc5・(uL0 )c4] とすると、(15)式は Δθw =C・νc1-c2 +D・νc4 …(16) が得られる。(16)式より、Δθw からνを直接算出
することが出来ないことが解る。そこで、Δθw からν
を算出するには、以下の二種類の算出方法が考えられ
る。 (イ)、予めνとΔθw の関係を物性既知の流体を用い
て調べておき、この関係から、νを算出する方法 (ロ)、数値計算法 ここで(ロ)の数値計算法について簡略に説明すると、
(15)式を整理する と、 Δθw =Q/{〔πdλ・C0 ・(uL0 )c1・a-c2 〕・νC2-C 1 } +Q・log (r0 / ri )/[2π・L0 ・K’] …(17) 即ち(7)式より、K’=C3 ・Qc5・(uL0 )c4・
ν-c4 である。Δθw は実測より、既知である。よっ
て、(17)式でK’に適当な値を代入し(17)式よ
りνを計算する。このνを(15)に代入して、Δθw
の計算値Δθw (cal )を求める。そして、この実測値
Δθw と計算値Δθw (cal )が等しくなるまで、以上
の操作を行う。即ち、ここでは、K’=f(Re、Q)
=f(u、ν、Q)であるため、νが未知の流体では、
K’は算出出来ない。そこで(17)式でK’に適当な
値を代入して、数値計算により、νを算出したのであ
る。以上のように、このΔθw の実測値とΔθw (cal
)の計算値が収束した値が動粘性率νとして得られ、
ここでの動粘性率νは実質的な数値として得られるので
ある。
【0011】(実験例1)物性値が既知の流体としてC
MC(カルボキシメチルセルロース)水溶液を用い、こ
れを貯留する槽から循環ラインを構成し、その直管部分
にセンサーを配置して測定を行い、センサーシースの見
掛け熱伝導率K’、レイノルズ数Re、発熱量Qなどの
データを収集した。図3は、収集したデータを表してい
る。次に各発熱量Q毎にレイノルズ数Reとセンサーシ
ース部見掛け熱伝導率K’を図4のように図示した。こ
こでセンサーシース部見掛け熱伝導率K’を決定する式
として、前述したごとくK’を無次元項であるレイノル
ズ数及び発熱体の発熱量の2因子から回帰モデルに従っ
て式を設定し、回帰分析を行い、センサーシース部の見
掛け熱伝導率K’の算出式の定数(A1 ーA3 )を決定
して式を完成する。ここでは見掛け熱伝導率K’を双曲
線モデルA1 /(A2 +Re)+A3 ・Qで曲線の近似
(非線形回帰)を用いてA1 、A2 、A3 を決定する。
以上の各定数A1 、A2 、A3の実験した値及び発熱量
Qを示すと図5のような表のようになる。なお、図6
は、センサーシース部の見掛け熱伝導率K’の発熱量Q
への依存性が強いことを調べたグラフである。図7は見
掛け熱伝導率K’の実験値と回帰値の関係を図4に示し
た各発熱量ごとに表したものである。図中実線、点線、
一点鎖線、二点鎖線が回帰式により求めた見掛け熱伝導
率K’であるが、実測データと一致することが実証され
ている。なお、センサーシース部見掛け熱伝導率K’の
算出式は、流体の流れがセンサーシース部において、層
流域(Re<8.0*104 )にて適用可能である。
MC(カルボキシメチルセルロース)水溶液を用い、こ
れを貯留する槽から循環ラインを構成し、その直管部分
にセンサーを配置して測定を行い、センサーシースの見
掛け熱伝導率K’、レイノルズ数Re、発熱量Qなどの
データを収集した。図3は、収集したデータを表してい
る。次に各発熱量Q毎にレイノルズ数Reとセンサーシ
ース部見掛け熱伝導率K’を図4のように図示した。こ
こでセンサーシース部見掛け熱伝導率K’を決定する式
として、前述したごとくK’を無次元項であるレイノル
ズ数及び発熱体の発熱量の2因子から回帰モデルに従っ
て式を設定し、回帰分析を行い、センサーシース部の見
掛け熱伝導率K’の算出式の定数(A1 ーA3 )を決定
して式を完成する。ここでは見掛け熱伝導率K’を双曲
線モデルA1 /(A2 +Re)+A3 ・Qで曲線の近似
(非線形回帰)を用いてA1 、A2 、A3 を決定する。
以上の各定数A1 、A2 、A3の実験した値及び発熱量
Qを示すと図5のような表のようになる。なお、図6
は、センサーシース部の見掛け熱伝導率K’の発熱量Q
への依存性が強いことを調べたグラフである。図7は見
掛け熱伝導率K’の実験値と回帰値の関係を図4に示し
た各発熱量ごとに表したものである。図中実線、点線、
一点鎖線、二点鎖線が回帰式により求めた見掛け熱伝導
率K’であるが、実測データと一致することが実証され
ている。なお、センサーシース部見掛け熱伝導率K’の
算出式は、流体の流れがセンサーシース部において、層
流域(Re<8.0*104 )にて適用可能である。
【0012】(実験例2)図7は、この層流域の実例で
あり、流速が0.637m/s、流体温度45℃の条件
下で動粘度が変化した場合のセンサー発熱体温度の実測
値と予測値の関係を示すが、ほぼ両者は一致しているこ
とが判り、センサーシース部見掛け熱伝導率K’の算出
式は有用であることが実証されている。なお、この時使
用された流体の物性値は、 密度 : 988.0975 熱伝導率 : 0.641 比熱 : 4141.95 流体 : CMC水溶液
あり、流速が0.637m/s、流体温度45℃の条件
下で動粘度が変化した場合のセンサー発熱体温度の実測
値と予測値の関係を示すが、ほぼ両者は一致しているこ
とが判り、センサーシース部見掛け熱伝導率K’の算出
式は有用であることが実証されている。なお、この時使
用された流体の物性値は、 密度 : 988.0975 熱伝導率 : 0.641 比熱 : 4141.95 流体 : CMC水溶液
【0013】なお、本発明では、流体の流れの状態を層
流域に限定しているが、搬送機器の制約を考慮すると粘
度の高い流体はほとんど層流状態であり、又乱流域では
粘度(動粘性率)の変化に対する発熱体温度の変化が非
常に小さいことが予測される為、層流域での計測のみが
可能とみられる。層流域の設定には、流体のレイノルズ
数を適宜計測して層流域内かを判定して計測する方法
や、予め予測される層流状態に対して人工的な流速の制
御を行う方法があるが、簡潔に行うのは、物性既知の流
体である例えばアルコール等の低粘性流体を使用して、
流速が層流となるように設定し、求める物性である動粘
性率が未知の流体の時に、前記低粘性流体の流速以下に
制御することで測定環境を確保出来る。この方法は、特
に測定系の設計変更を行った時に必要であることは、測
定対象ラインの規模、寸法等が変更されると、流速や流
れの状態に変化が発生するという常識からも明白であ
る。
流域に限定しているが、搬送機器の制約を考慮すると粘
度の高い流体はほとんど層流状態であり、又乱流域では
粘度(動粘性率)の変化に対する発熱体温度の変化が非
常に小さいことが予測される為、層流域での計測のみが
可能とみられる。層流域の設定には、流体のレイノルズ
数を適宜計測して層流域内かを判定して計測する方法
や、予め予測される層流状態に対して人工的な流速の制
御を行う方法があるが、簡潔に行うのは、物性既知の流
体である例えばアルコール等の低粘性流体を使用して、
流速が層流となるように設定し、求める物性である動粘
性率が未知の流体の時に、前記低粘性流体の流速以下に
制御することで測定環境を確保出来る。この方法は、特
に測定系の設計変更を行った時に必要であることは、測
定対象ラインの規模、寸法等が変更されると、流速や流
れの状態に変化が発生するという常識からも明白であ
る。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、従来の細線加熱法を利
用したインラインで動粘性率を指標値として決定する方
法に比較して、実測値に近似した実質的な数値として迅
速に測定が出来、各産業分野における流体の工程管理に
利用出来る。本発明では、センサー測定値を指標値とし
ては扱わず、実質的な数値として扱っているため、予め
指標値と実質的な数値の相関関係を調べておく必要がな
く、計測の迅速性が向上すると共に、該相関関係の演算
装置を必要とせず、装置的に簡略になる。センサーは同
一の材料、工程、方法により製作しても、一つ一つ独特
の個性が発生し、センサー固有の定数は個々に異なり、
このためセンサーを交換する時、演算装置の調整が必要
となるが、本発明のセンサーシース部の見掛け熱伝導率
K’の決定方法によりセンサー間の互換性が簡易になっ
た。
用したインラインで動粘性率を指標値として決定する方
法に比較して、実測値に近似した実質的な数値として迅
速に測定が出来、各産業分野における流体の工程管理に
利用出来る。本発明では、センサー測定値を指標値とし
ては扱わず、実質的な数値として扱っているため、予め
指標値と実質的な数値の相関関係を調べておく必要がな
く、計測の迅速性が向上すると共に、該相関関係の演算
装置を必要とせず、装置的に簡略になる。センサーは同
一の材料、工程、方法により製作しても、一つ一つ独特
の個性が発生し、センサー固有の定数は個々に異なり、
このためセンサーを交換する時、演算装置の調整が必要
となるが、本発明のセンサーシース部の見掛け熱伝導率
K’の決定方法によりセンサー間の互換性が簡易になっ
た。
【図1】本発明に使用する通電加熱センサーの一部切り
欠きを含む斜視図
欠きを含む斜視図
【図2】図1のセンサーの発熱体とセンサーシース部の
断面図
断面図
【図3】CMC水溶液を貯留するラインのセンサーシー
スの見掛け熱伝導率K’、レイノルズ数Re、発熱量Q
の実測データを表した表
スの見掛け熱伝導率K’、レイノルズ数Re、発熱量Q
の実測データを表した表
【図4】図3の各発熱量Q毎にレイノルズ数Reを横軸
に、センサーシース部見掛け熱伝導率K’を縦軸に取っ
たグラフ。なお、図中□は0.8934W 、○は2.476W 、△
は4.849W、+は8.017Wの発熱量における値である。
に、センサーシース部見掛け熱伝導率K’を縦軸に取っ
たグラフ。なお、図中□は0.8934W 、○は2.476W 、△
は4.849W、+は8.017Wの発熱量における値である。
【図5】実験例1において各定数A1 、A2 、A3 及び
発熱量Qの関係を示した表。
発熱量Qの関係を示した表。
【図6】一旦決定した見掛け熱伝導率K’の発熱量Qへ
の依存性を調べたグラフ。
の依存性を調べたグラフ。
【図7】見掛け熱伝導率K’の回帰値と実験値を比較し
たグラフであり、横軸がレイノルズ数Reであり、縦軸
が見掛け熱伝導率K’である。なお、図中□は発熱量0.
8934W の計算値、○は発熱量2.476Wの計算値 、△は発
熱量4.849Wの計算値、+は発熱量8.017Wの計算値であ
り、実線は発熱量0.8934W の回帰値、一点鎖線は発熱量
2.476Wの回帰値、点線は発熱量4.849Wの回帰値、二点鎖
線は発熱量8.017Wの回帰値である。
たグラフであり、横軸がレイノルズ数Reであり、縦軸
が見掛け熱伝導率K’である。なお、図中□は発熱量0.
8934W の計算値、○は発熱量2.476Wの計算値 、△は発
熱量4.849Wの計算値、+は発熱量8.017Wの計算値であ
り、実線は発熱量0.8934W の回帰値、一点鎖線は発熱量
2.476Wの回帰値、点線は発熱量4.849Wの回帰値、二点鎖
線は発熱量8.017Wの回帰値である。
【図8】流速が0.637m/s、流体温度45℃の条
件下で縦軸がセンサー発熱体温度の実測値、横軸が動粘
性率の予測値の関係を示すグラフ。図中、曲線が予測値
であり、点が実測値である。
件下で縦軸がセンサー発熱体温度の実測値、横軸が動粘
性率の予測値の関係を示すグラフ。図中、曲線が予測値
であり、点が実測値である。
【符号の説明】 1 センサー 2 シース 3 発熱体 4 リード線 5 絶縁性部材 6 絶縁性粉末 K’ センサーシース部の見掛け熱伝導率 F 流体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−85433(JP,A) 特開 昭57−211048(JP,A)
Claims (6)
- 【請求項1】 測温素子でありかつ発熱体である素子を
内蔵するセンサーを、物性値が既知の流体中に配置し
て、センサー軸に対して平行方向に一定の流速を維持し
ながら、センサー表面温度、及び発熱体の温度から、セ
ンサーの構造に起因し、かつ測定不可能な固有定数であ
るセンサーシース部の見掛け熱伝導率を決定する方法 - 【請求項2】 請求項1記載のセンサーシース部の見掛
け熱伝導率を決定し、該センサーシース部の見掛けの熱
伝導率をレイノルズ数及び発熱体の発熱量の2因子で構
成された算出式にして、これらの値の実測データを回帰
分析して、算出式の回帰係数を決定して完成することを
特徴とするセンサーシース部の見掛け熱伝導率を決定す
る方法 - 【請求項3】 請求項1記載のセンサーシース部の見掛
け熱伝導率を決定し、該見掛け熱伝導率K’を、流体が
層流域において K’=A1/(A2+Re)+A3・Q (Reはレイノルズ数、A1、A2、A3は定数、Qは
発熱量) で示される算出式により回帰分析をして、A1乃至A3
を決定したセンサーシース部の見掛け熱伝導率を決定す
る方法 - 【請求項4】 物性既知の流体が低粘性流体を使用し
て、該流体の流れが層流となるように流速を設定し、測
定対象の流体では、前述した流速以下の一定の流速でか
つ層流状態を維持し、該状態でのセンサーシース部の見
掛け熱伝導率を決定することを特徴とする請求項1乃至
3項記載のセンサーシース部の見掛け熱伝導率を決定す
る方法 - 【請求項5】 請求項1乃至4項記載の方法により、セ
ンサーシース部の見掛け熱伝導率を決定し、流体槽や流
体流動ラインにセンサーを配置して、該センサーの温度
と流体の温度から流体の動粘性率を算出することを特徴
とする流体の動粘度測定方法 - 【請求項6】 流体槽や流体流動ライン等から分岐した
層流状態の循環ラインを設置し、該循環ラインの直管部
分にセンサーを設けて、循環ラインの流体の流速を機械
的手段により、一定に制御することを特徴とする請求項
5記載の流体の動粘度測定方法
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3250368A JPH0812142B2 (ja) | 1991-09-03 | 1991-09-03 | センサーシース部の見掛け熱伝導率を決定する方法及び流体の動粘度測定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP3250368A JPH0812142B2 (ja) | 1991-09-03 | 1991-09-03 | センサーシース部の見掛け熱伝導率を決定する方法及び流体の動粘度測定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0560675A JPH0560675A (ja) | 1993-03-12 |
JPH0812142B2 true JPH0812142B2 (ja) | 1996-02-07 |
Family
ID=17206886
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3250368A Expired - Lifetime JPH0812142B2 (ja) | 1991-09-03 | 1991-09-03 | センサーシース部の見掛け熱伝導率を決定する方法及び流体の動粘度測定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JPH0812142B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57211048A (en) * | 1981-06-22 | 1982-12-24 | Satoru Fujii | Measuring system for thermal conductivity |
JPH0690161B2 (ja) * | 1989-08-30 | 1994-11-14 | 雪印乳業株式会社 | 溶液もしくは分散液中の被検体の濃度測定方法及び装置 |
-
1991
- 1991-09-03 JP JP3250368A patent/JPH0812142B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0560675A (ja) | 1993-03-12 |
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