JPH08112143A - 口腔洗浄用ブラシ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 水又は洗浄用の液剤と刷毛により刷掃し、掻
き取られた歯垢や食物残滓等を口腔内への拡散、散乱を
防止でき、口腔内に水が溜まること無く、注水と排水の
バランスがとれ、歯磨きと口腔内洗浄とを快適に行える
に口腔洗浄用ブラシを提供する。 【構成】 ヘッド１１の植毛面のヘッド先端側の所定の
領域Ａで刷毛１４を植毛するとともに、この先端側の所
定の領域Ａの刷毛１４よりヘッド基端側の略中央位置で
排水口２２ａを、該排水口２２ａよりもヘッド基端側位
置で該排水口２２ａよりも小さな面積の注入口２１ａを
植毛面に開口させ、注入口２１ａをホースにより洗浄用
液剤の供給源に、また、排水口２２ａを負圧吸引装置に
ホースで連絡した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、口腔洗浄用ブラシ、
特に、歯牙面に水または洗浄用液剤を供給して歯垢を除
去するとともに、口腔内の食物残滓を排水除去する口腔
洗浄用ブラシに関する。

【０００２】

【従来の技術】自身で歯磨きを行えない身体の不自由な
老人等に対する口腔ケア介助は、近年、社会の高齢化に
伴い大きな問題として種々議論されている。一般に、こ
のような身体の不自由な老人等の口腔ケア介助は、看護
人が一般の電動歯ブラシ等を用いて行っているが、ベッ
ドサイドで行えること、ケアを短時間で行えること等が
求められ、通常の電動歯ブラシでは上記要求を充足する
ことが困難であった。そこで、本発明者が種々試行を行
ったところ、身体の不自由な老人等の口腔ケア介助には
口腔内に洗浄水等を注入でき、かつ、口腔内の水等を排
水することができるブラシが有用であることが判明し
た。

【０００３】従来、上述したような身体の不自由な老人
等の口腔ケアに適した口腔洗浄用ブラシとして、実開平
５９−１３７１２９号公報等に記載されたものが知られ
る。この実開平５９−１３７１２９号公報には、刷毛が
植毛されたブラシヘッドの植毛面に先端側の刷毛間で２
つの噴出口を、これら噴出口よりも基端側位置で排水口
を開口させ、刷毛により歯磨きと同時に噴出口から水を
噴射して口腔内を洗浄し、この水を排水口から排水する
ように構成されたブラシが記載される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た実開昭５９−１３７１２９号公報に記載のブラシにあ
っては、刷毛により歯面から掻き取られた歯垢や食物残
滓等が噴出口から噴射される水により口腔内に散乱する
という問題がある。すなわち、歯磨き時のブラッシング
洗浄にはヘッド先端部分の刷毛が大きく寄与し、主にヘ
ッド先端部分の刷毛が歯垢や食物残滓等を掻き取るた
め、植毛面に先端側の刷毛間で噴出口を開口させた上述
した従来のブラシでは、掻き取られた歯垢や食物残滓等
が噴出口から噴射される水で飛ばされて口中に散乱、拡
散するという問題がある。この発明は、上記問題に鑑み
てなされたもので、歯垢や食物残滓等の口中への拡散や
散乱を防止でき、歯磨きと口腔内洗浄とを快適に行える
口腔洗浄用ブラシを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明にかかる口腔洗浄用ブラシは、ブラシヘッ
ドの植毛部の略中央部に排水孔を、該排水孔よりヘッド
基端側位置に孔面積が前記排水孔より小さな注入孔をそ
れぞれ設けるとともに、前記植毛部の少なくとも先端側
部分に刷毛を植毛し、前記排水孔および前記注入孔を負
圧源および洗浄用液剤供給源にそれぞれ連絡した。そし
て、この発明の口腔洗浄用ブラシは、前記植毛部には前
記先端側部分に加えて前記注入孔と前記排水孔との間の
部分に刷毛を植毛し、前記先端側部分の刷毛の前後方向
列数を前記注入孔と前記排水孔との間の植毛の列数の２
倍以上とする態様（請求項２）、また、前記植毛部には
前記先端側部分に加えて前記排水孔の両側部分、前記注
入孔の両側部分、前記注入孔の基端側部分および前記注
入孔と前記排水孔との間の部分にそれぞれ刷毛を植毛
し、前記植毛部の先端側部分の植毛の前後方向列数を前
記注入孔と前記排水孔との間の植毛の列数の２倍以上と
する態様（請求項３）に構成することが出来る。

【０００６】

【作用】この発明の口腔洗浄用ブラシによれば、ブラシ
ヘッドの植毛部の先端部分の所定の領域に刷毛が植毛さ
れているため、歯垢や食物残滓等を有効に掻き取ること
ができ、また、注入孔から水または洗浄用液剤を供給し
て口腔内を効果的に洗浄することができる。そして、植
毛部には先端部分の所定の領域の刷毛に隣接して排水孔
が開口し、この排水孔が先端部分の所定領域の刷毛と注
入孔との間に介在するため、先端部分の刷毛により掻き
取られた歯垢等を排水孔から速やかに排出させることが
でき、また、先端部分の刷毛により掻き取られた歯垢や
注入孔から供給された洗浄液等の液剤を口腔内に散乱さ
せること無く排水孔に速やかに吸引排出させることがで
きる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図１から図３は本発明の一実施例にかかる口腔洗
浄用ブラシを示し、図１が正面図、図２が平面図、図３
が一部拡大平面図である。

【０００８】図中、１０は透明な樹脂、例えば、アクリ
ル樹脂からなるブラシ本体であり、ブラシ本体１０はヘ
ッド１１とハンドル１２とがネック１３で連続する棒状
をなす。後述するように、このブラシ本体１０のヘッド
１１の一面（植毛部、植毛面）には、先端側の所定の領
域（図３中、鎖線で区画される範囲Ａ）と、注入口およ
び排水口の両側の領域（図３中、Ｂ）と、注入口と排水
口との間の領域（図３中、Ｃ）および注入口の基端側領
域（図３中、Ｄ）に刷毛１４が複数の毛束に束ねられて
植毛されている。領域Ａにはヘッド１１幅方向に少なく
とも３列以上で、かつ、ヘッド１１長手方向（前後方
向）に領域Ｃの２倍以上の列で刷毛１４が植毛され、ま
た、領域Ａの刷毛１４は他の領域Ｂ，Ｃ，Ｄよりも毛腰
が大きく、この領域Ａの刷毛１４の毛腰は３kgf ／cm²
以上に設定される。

【０００９】また、ブラシ本体１０には、内部に注入孔
２１と排水孔２２とが長手方向に並行して形成される。
これら孔２１，２２は一端がハンドル１２の端面に開口
し、図２に示すように、注入孔２１は他端が植毛面の基
端側（ネック１３側）に開口し（注入口２１ａ）、排水
孔２２は他端が注入口２１ａよりも先端側の植毛面の中
央部に開口する（排水口２２ａ）。そして、上述したよ
うに刷毛１４は、排水口２２ａの先端側の所定の領域
Ａ、注入口２１ａと排水口２２ａとの両側の領域Ｂ、注
入口２１ａと排水口２２ａとの間の領域Ｃおよび注入口
２１ａの基端側の領域Ｄに植毛される。

【００１０】注入孔２１は、ハンドル１２端面の開口に
継手部材２５が嵌着され、この継手部材２５に接続する
給水ホース２６を介して図示しない水道の蛇口や洗浄水
を加圧して圧送するポンプ等の洗浄水を供給するもの、
または、洗浄用液剤（例えば、殺菌剤、界面活性剤、香
料、エタノール等）を供給する洗浄用液剤供給源と接続
される。図示および詳細な説明は割愛するが、洗浄用液
剤供給源としては、医療用の点滴セットや、ポンプによ
り液剤を圧送するもの等、種々のものが用いられ、ま
た、液剤を加圧して噴流として口腔内に供給するように
構成すること、さらに、液剤を加圧すること無く上記点
滴と同様にして供給するように構成することも可能であ
る。

【００１１】排水孔２２は、排水口２２ａがヘッド１１
長手方向に長い略小判形状に開口し、この排水口２２ａ
の面積が注入口２１ａよりも大きく、また、孔径が注入
孔２１よりも大きく、例えば、食物残滓や歯垢等を排出
可能な孔径を有する。この排水孔２２は、ハンドル１２
端面の開口に継手部材２７が設けられ、この継手部材２
７に接続する排水ホース２８を介して図外の負圧吸引装
置（負圧源）に連絡される。図示と詳細な説明は割愛す
るが、この負圧吸引装置は、上述した液剤供給源と一体
に組み付けることで構成され、望ましくは、排水タンク
を備え、上記洗浄用液剤供給源と一体に携帯あるいは持
ち運び可能に構成される。

【００１２】なお、ブラシ本体１０に注入孔２１等を形
成する具体的な構造としては、ブラシ本体１０を表裏方
向（図１中、上下方向）に２つの部材を接合して構成
し、これら部材の接合面に溝を形成して接合状態で注入
孔２１等を画成するようにすることも可能である。

【００１３】この実施例によれば、ヘッド１１の植毛面
の先端部分の所定の領域Ａ、すなわち、ブラッシング洗
浄に大きく寄与する範囲に刷毛１４が植毛されているた
め、通常の歯ブラシと同様に歯面の歯垢等を効果的に除
去することができ、また同時に、注入口２１ａから水や
洗浄用液剤を供給して口腔内を洗浄し、これら水や液剤
を排水口２２ａから排出することができる。そして、こ
の領域Ａの刷毛１４は植毛面の中央部分の排水口２２ａ
と隣接して注入口２１ａと排水口２２ａおよび領域Ｃの
刷毛１４により隔てられるため、領域Ａの刷毛１４によ
り歯面から掻き取られた歯垢等を速やかに排水口２２ａ
から排出でき、また、掻き取られた歯垢等が注入口２１
ａからの水で口腔内に散乱、拡散することもない。

【００１４】また、この実施例は、ブラシ本体１０を透
明樹脂から構成するため、排水孔２２における食物残滓
の詰まり等も目視により容易に確認することができ、掃
除時期の判断が容易で、優れた衛生性が達成される。

【００１５】図４は、この発明の他の実施例にかかる口
腔洗浄用ブラシを示し、そのヘッド部分の拡大正面図で
ある。なお、この実施例では、上述した実施例と同一の
部分には同一の番号を付して一部の説明を省略する。

【００１６】この実施例は、ヘッド１１に植毛面から反
対の面（裏面）へ貫通する注水穴４１と排水穴４２とを
形成し、注水穴４１を注入口４１ａで植毛面に、同様
に、排水穴４２を排水口４２ａで植毛面に開口させ、ま
た、注水穴４１の裏面開口に給水ホース４３を、排水穴
４２の裏面開口に排水ホース４４を接続したものであ
る。上述した実施例と同様に、注入口４１ａは植毛面の
ネック側に、排水口４２ａは注入口４１ａよりも面積が
大きく植毛面の中央に領域Ａの刷毛１４と隣接して開口
し、また、給水ホース４３は加圧水供給源に、排水ホー
ス４４は負圧吸引装置に連絡される。そして、この排水
ホース４４は内部の食物残滓の詰まりの確認を可能とす
るため透明な材料、例えば、前述した透明なアクリル樹
脂等から構成される。

【００１７】この実施例にあっても、ヘッド１１の植毛
面には先端側の領域Ａに刷毛１４が植毛されるため優れ
たブラッシング効果が得られ、また、この領域Ａの刷毛
１４に隣接して排水口４２ａが開口するため刷毛１４に
より掻き取られた歯垢等を確実かつ速やかに排出でき、
さらに、注入口４１ａが植毛面のネック側に開口して領
域Ａの刷毛１４から離れているため掻き取られた歯垢等
が口腔中に拡散、散乱することがない。

【００１８】なお、本発明の口腔洗浄用ブラシは電動歯
ブラシと組み合わせて用いると、歯牙表面への水または
液剤の供給と清掃、排水がバランスよく効率的に行わ
れ、身体の不自由な老人等の口腔ケアに特に有用であ
る。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように、この発明にかかる
口腔洗浄用ブラシによれば、ヘッド植毛面には、先端部
分の所定の領域に刷毛を植毛するとともに、基端側に洗
浄用液剤供給源と連絡した注入口を開口させ、また、注
入口と先端の刷毛との間で注入口よりも面積が大きな排
水口を開口させるように構成したため、通常の歯ブラシ
と同等の優れたブラッシング効果が得られるのみなら
ず、注入口から噴射する水により口腔内の食物残滓を洗
浄することもでき、また、刷毛が掻き取った歯垢や口腔
中の食物残滓等を散乱、拡散させること無く速やかに排
出することができるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例にかかる口腔洗浄用ブラシ
の正面図である。

【図２】同口腔洗浄用ブラシの平面図である。

【図３】同口腔洗浄用ブラシのヘッド周りの拡大平面図
である。

【図４】この発明の他の実施例にかかる口腔洗浄用ブラ
シのヘッド周りの拡大正面図である。

【符号の説明】

１０ ブラシ本体 １１ ヘッド １２ ネック １３ ハンドル １４ 刷毛 ２１ 注入孔 ２１ａ 注入口 ２２ 排水孔 ２２ａ 排水口 ２５ 継手部材 ２６ 給水ホース ２７ 継手部材 ２８ 排水ホース ４１ 注水穴 ４１ａ 注入口 ４２ 排水穴 ４２ａ 排水口 ４３ 給水ホース ４４ 排水ホース Ａ 領域 Ｂ 領域 Ｃ 領域 Ｄ 領域

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ブラシヘッドの植毛部の略中央部に排水
   孔を、該排水孔よりヘッド基端側位置に孔面積が前記排
   水孔より小さな注入孔をそれぞれ設けるとともに、前記
   植毛部の少なくとも先端側部分に刷毛を植毛し、前記排
   水孔および前記注入孔を負圧源および洗浄用液剤供給源
   にそれぞれ連絡したことを特徴とする口腔洗浄用ブラ
   シ。
2. 【請求項２】 前記植毛部には前記先端側部分に加えて
   前記注入孔と前記排水孔との間の部分に刷毛を植毛し、
   前記先端側部分の刷毛の前後方向列数を前記注入孔と前
   記排水孔との間の植毛の列数の２倍以上とした請求項１
   記載の口腔洗浄用ブラシ。
3. 【請求項３】 前記植毛部には前記先端側部分に加えて
   前記排水孔の両側部分、前記注入孔の両側部分、前記注
   入孔の基端側部分および前記注入孔と前記排水孔との間
   の部分にそれぞれ刷毛を植毛し、前記植毛部の先端側部
   分の植毛の前後方向列数を前記注入孔と前記排水孔との
   間の植毛の列数の２倍以上とした請求項１記載の口腔洗
   浄用ブラシ。