JPH08110990A - 感知装置および火災検出方法 - Google Patents

感知装置および火災検出方法

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JPH08110990A
JPH08110990A JP27457294A JP27457294A JPH08110990A JP H08110990 A JPH08110990 A JP H08110990A JP 27457294 A JP27457294 A JP 27457294A JP 27457294 A JP27457294 A JP 27457294A JP H08110990 A JPH08110990 A JP H08110990A
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Ryukichi Hashimoto
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Narimasa Takahashi
成政 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 炎と感知装置との間に障害物があるような場
合にも、火災,特に着炎火災を確実に検出することが可
能である。 【構成】 検出素子,例えば有機半導体素子X1は、有
炎火災時に発生するガス(特に二酸化窒素)に対して特性
値,例えば抵抗値が変化する性質を有している。検出素
子X1がp型半導体として振舞う場合には、その抵抗値
は、有炎火災時に発生する二酸化窒素に対して減少す
る。この性質を利用し、例えば、素子X1の抵抗値を抵
抗値抽出器11で抽出し、抵抗減少判別器12で抵抗値
が減少したかを判別し、抵抗値が減少したときには、情
報出力回路14から火災発生信号Yを出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、火災,特に有炎火災
(着炎燃焼)を検出するための感知装置および火災検出
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、火災を検出する感知装置として、
熱式感知器,光電式煙感知器,イオン化式煙感知器,炎
式感知器が知られている。このような検知装置の性能
は、実大火災試験によって評価される。例えばISOで
規定されている火災は6種類(TF1〜TF6)あり、実
大火災試験において、上述した4種類の感知装置(感知
器)の6種類の火災に対する性能(感度)は、各々の感知
器の検出原理により、次表のようになっている。
【0003】
【表1】
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、本願の発明
者は、上記6種の火災TF1〜TF6のうち、特にTF
1,TF4,TF5,TF6のような有炎火災(着炎火
災)に着目した。すなわち、TF1,TF4,TF5,
TF6のような着炎火災が発生したときには、一般に、
火災の進展が早く、緊急に避難を要するので、特に、こ
のような着炎火災を確実に捉える感知装置が火災検知に
とって重要であると考えられる。
【0005】表1を参照すると、TF1,TF4,TF
5,TF6のような着炎火災を検出できる感知装置とし
て、炎式感知器が挙げられる。
【0006】しかしながら、炎式感知器は、直接炎から
放射される紫外線あるいは赤外線エネルギーを受け取る
必要があり、炎と感知器の間に障害物があると、感度が
著しく低下し、炎を良好に検出することができないとい
う欠点があった。
【0007】本発明は、炎と感知装置との間に障害物が
あるような場合にも、火災,特に着炎火災を確実に検出
することの可能な感知装置および火災検出方法を提供す
ることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】上記目的を達
成するために、本発明は、有炎火災時に発生するガス
(特に二酸化窒素)に対して所定の特性値が変化する素子
を用いて、火災の発生を検出するようになっている。こ
れにより、炎と感知装置との間に障害物があるような場
合にも、火災,特に着炎火災を確実に検出することがで
きる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0010】本願の発明者は、火災センサの性能評価を
行なうためのISOで決められた実大火災試験から発生
する化学物質に着目して、実験を行なった。この結果、
次表のような分析結果を得た。
【0011】
【表2】
【0012】上記の分析結果から、TF1,TF4,T
F5,TF6のような有炎火災(着炎火災)時には、一酸
化窒素,二酸化窒素のような、所謂、NOxのガスが発
生することが判明し、従って、感知装置がこの特定のガ
スを検出する機能を有していれば、着炎火災を確実に捉
えることができることを見出した。換言すれば、着炎火
災時に発生する特定のガスを検出する検出素子(センサ
素子)を開発するか、見出し、この検出素子を用いて感
知装置を構成すれば、炎と感知装置との間に障害物があ
っても有炎火災を確実に検出できることを見出した。
【0013】ところで、二酸化窒素ガスをppbオーダ
で高感度に検出できる検出素子(センサ素子)としてはフ
タロシアニンを主成分とした有機半導体素子がある。
【0014】図1(a),(b)は有機半導体素子の一例を
示す図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)
のA−A線における断面図である。図1(a),(b)を参
照すると、この有機半導体素子は、例えば、基質(ガラ
ス,アルミナ,シリコン基板など)100上に、銅,
鉛,ニッケル,コバルト,亜鉛等の金属フタロシアニン
を主体としたフタロシアニン層101が蒸着形成され、
フタロシアニン層101上に、金,白金等からなる2つ
の櫛形電極102,103が蒸着形成されて構成されて
いる。ここで、基質100は、例えば大きさが3mm×
3mm程度、厚さが約1mm程度のものであり、また、
フタロシアニン層101の厚さは、例えば10nm〜数
100ミクロン程度のものである。なお、素子の大きさ
については、これをさらに小さくすることも可能であ
り、また、電極102,103は直接基質100上に蒸
着されても良く、これによって素子の小型化を図ること
も可能である。
【0015】一般に、このようなフタロシアニン類の有
機半導体素子は、p型半導体素子として振る舞い、この
素子を二酸化窒素ガスに晒すと、この素子の電極10
2,103間の抵抗値が減少することが知られている。
すなわち、鉛フタロシアニン,ニッケルフタロシアニ
ン,コバルトフタロシアニンのようなp型半導体として
機能する有機半導体では、二酸化窒素ガスが電子アクセ
プターガスとして働き、抵抗値が減少する。
【0016】また、鉛フタロシアニン,ニッケルフタロ
シアニン,コバルトフタロシアニンなどに、酸化ルテニ
ウム(RuO2),パラジウム(Pd)等が添加(混入)さ
れた有機半導体は、n型半導体として振る舞い、このよ
うな素子では、二酸化窒素ガスに晒すと、抵抗値が増加
する。
【0017】また、図1(a),(b)のセンサ素子におい
て、フタロシアニン層101のかわりに、半導体レベル
の電気伝導度をもつ金属酸化物の層101'を形成し
て、センサ素子を無機半導体素子として構成することも
でき、センサ素子をこのような無機半導体素子として構
成する場合にも、上述した有機半導体素子と同様の性質
をもたせることができる。
【0018】すなわち、金属酸化物として、酸化スズ,
酸化亜鉛,酸化鉄等やこれらを主成分としたものを用い
る場合、この金属酸化物は、二酸化窒素ガスに晒すと、
抵抗値が増加し、n型半導体として振舞う。
【0019】一方、金属酸化物として、酸化銅,酸化ク
ロム,酸化ニッケル等やこれらを主成分としたものを用
いる場合、この金属酸化物は、二酸化窒素ガスに晒す
と、抵抗値が減少し、p型半導体として振舞う。
【0020】なお、基質100上に、フタロシアニン層
101のかわりに、上述のような金属酸化物の層10
1'を形成する場合にも、金属酸化物層101'の厚さ
を、フタロシアニン層101の場合と同様、例えば10
nm〜数100ミクロン程度のものにすることができ
る。また、無機半導体素子の大きさを、有機半導体素子
と同様、3mm×3mm程度、さらにこれよりも小さく
することができ、また、電極102,103は、直接基
質100上に蒸着されても良く、これによって、有機半
導体素子と同様に、素子の小型化を図ることができる。
【0021】本願の発明者は、このような検出素子(有
機半導体素子,無機半導体素子)に各種火災から発生す
るガスを晒し、そのときの素子の抵抗値の変化を調べ
た。次表(表3)には、その結果が示されている。
【0022】
【表3】
【0023】この実験結果から、本願の発明者は、検出
素子(センサ素子)がp型のものである場合、素子の抵抗
値は、有炎火災のガスに晒されると減少することがわか
った。また、検出素子(センサ素子)がn型のものである
場合、素子の抵抗値は、有炎火災のガスに晒されると増
加することがわかった。すなわち、これらの素子では、
有炎火災から生じるガスは主に電子アクセプター性ガス
として反応することがわかった。
【0024】図2(a)には、p型半導体として機能する
検出素子の電子アクセプター性ガスに対する応答特性R
SP1が示されている。なお、図2(a)の応答特性RS
P1は、図2(b)のように、検出素子と直列に抵抗20
0を設け、検出素子と抵抗200に電源201によって
所定電圧Eを印加した状態で、素子を時刻t1から時刻
2まで電子アクセプター性ガスである二酸化窒素ガス
に晒したときの素子の抵抗値の変化を、抵抗200の電
圧降下Vとして得たものである。
【0025】このように本発明は、有炎火災(着炎火災)
時に特定のガス(二酸化窒素ガス)が発生することを見出
し、この特定のガスが特定のセンサ素子(有機半導体素
子,無機半導体素子)の抵抗値を変化させることから、
この特定のセンサ素子を用いることで、有炎火災(着炎
火災)を確実に検出することを意図している。換言すれ
ば、従来の炎式感知器のように、炎から直接放射される
紫外線あるいは赤外線エネルギーを受け取るのではな
く、炎から発生する特定のガスを検出することで、炎と
センサ素子との間に障害物があっても、炎から発生する
特定のガスを確実に検出し、これにより、有炎火災を確
実に検出するようにしている。
【0026】図3は本発明に係る感知装置の構成例を示
す図である。図3を参照すると、この感知装置は、少な
くとも1つの有機半導体素子あるいは無機半導体素子の
センサ素子からなる検知部1と、検知部1の所定の特性
値の変化を監視し、該所定の特性値の変化に応じた情報
を出力する特性値監視部2とを有している。
【0027】また、図3の構成例では、センサ素子にp
型半導体素子が用いられているとし、特性値監視部2
は、検知部1の所定部分の抵抗値を上記所定の特性値と
して抽出する抵抗値抽出器11と、抽出された抵抗値に
基づき抵抗値が減少したかを判別する抵抗減少判別器1
2と、抵抗減少判別器12からの判別結果に応じた所定
の情報として、火災発生信号を出力する情報出力回路1
4とを備えている。
【0028】図4は図3の感知装置の第1の具体的な構
成例を示す図である。図4の感知装置では、検知部1に
1つの検出素子X1が用いられている。ここで、検出素
子X1には、有機半導体である鉛フタロシアニンや金属
酸化物である酸化ニッケルのようなp型半導体としての
機能を有するものが用いられている。
【0029】また、抵抗値抽出器11は、検出素子X1
に直列に接続される抵抗31と、検出素子X1と抵抗3
1に所定電圧Eを印加する電源32と、バッファ33と
により構成されており、検出素子X1の抵抗値を、抵抗
31の端子間の電圧Vとして抽出するようになってい
る。なお、バッファ33は、検出素子X1のインピーダ
ンスが極めて高いことから、抵抗31の端子間の電圧V
をインピーダンス変換して出力するために設けられてい
る。
【0030】また、抵抗減少判別器12は、例えば、抵
抗34とコンデンサ35とからなるRC時定数回路と、
抵抗36と抵抗37とからなる電圧分割回路と、RC時
定数回路のコンデンサ35の端子間電圧V1が−側端子
に加わり、また、電圧分割回路の抵抗37の端子間電圧
2が+側端子に加わって、+側端子の電圧V2が−側端
子の電圧V1よりも高いときに、論理値“1”の判別結
果を出力するコンパレータ38とにより構成されてい
る。
【0031】ここで、抵抗34,36,37の抵抗値R
1,R2,R3、および、コンデンサ35の容量値C1は、
抵抗減少判別器12が、所定期間Δt以内で所定量ΔV
以上の電圧Vの増加のみを検出できるよう(所定時間Δ
t以内で所定量ΔR以上の素子X1の抵抗値の減少のみ
を検出できるよう)、適宜な値に設定されている。すな
わち、抵抗値R1,R2,R3および容量値C1は、所定時
間Δt以内に所定量ΔVだけ過渡的に増加する図5(a)
に示すような電圧Vに対しては、電圧V1と電圧V2とが
図5(b)に示す関係を満たし、また、所定量ΔV増加す
るのに所定時間Δt以上かかる図6(a)に示すような電
圧Vに対しては、電圧V1と電圧V2とが図6(b)に示す
ように、常にV2<V1の関係を満たし、また、所定量Δ
V以上には増加しない図7(a)に示すような電圧Vに対
しても、電圧V1と電圧V2とが図7(b)に示すように、
常にV2<V1の関係を満たすような適宜の値に設定され
ている。
【0032】なお、電圧Vが、図8(a)に示すように減
少する場合(素子X1の抵抗値が増加する場合)には、図
8(b)に示すように、抵抗34,36,37の抵抗値R
1,R2,R3,コンデンサ35の容量値C1と無関係に、
常に、電圧V1は電圧V2よりも高くなる。
【0033】このように、抵抗34,36,37の抵抗
値R1,R2,R3,コンデンサ35の容量値C1が適切に
設定されていることにより、抵抗減少判別器12のコン
パレータ38の+側素子に加わる電圧V2は、電圧Vが
所定時間Δt以内に所定量ΔV以上増加したときにのみ
(電圧Vの変化が図5(a)のようになる場合にのみ)、電
圧V1よりも大きくなり、従って、コンパレータ38か
らは、この場合にのみ、論理値“1”が出力されるよう
になっている(図5(c))。
【0034】すなわち、電圧Vが所定時間Δt以内に所
定量ΔV以上増加しないときには、電圧V2は電圧V1
りも常に小さく、従って、コンパレータ38から論理値
“1”が出力されることはない。これにより、例えば雑
ガスの影響や経年変化などにより電圧Vが緩やかに変動
する場合などに(電圧Vが図6(a)のように変化すると
きに)、コンパレータ38からは論理値“1”が出力さ
れることはないので(図6(c))、誤検出がなされるのを
有効に防止できる。また、電圧Vがノイズ的に僅かに増
加した場合などのときにも(電圧Vが図7(a)のよう
に変化するときにも)、コンパレータ38からは論理値
“1”が出力されることはないので(図7(c))、誤検出
がなされるのを有効に防止できる。
【0035】また、電圧Vが図8(a)のように減少する
場合にも、電圧V2は図8(b)に示すように電圧V1より
も常に小さく、従って、コンパレータ38から論理値
“1”が出力されることはない(図8(c))。
【0036】次に、このような構成の感知装置の動作を
図4に示した第1の具体的な構成例に基づいて説明す
る。
【0037】検出素子X1として、例えば、p型半導体
の機能をもつ鉛フタロシアニンなどの有機半導体素子や
酸化ニッケルなどの金属酸化物素子(無機半導体素子)が
用いられる場合、この検出素子X1が有炎火災から生ず
る燃焼ガスのうちの電子アクセプター性ガスに晒される
と、その抵抗値が急激に減少し、抵抗値抽出器11の抵
抗31の端子間電圧Vは、図2(a)の応答特性RSP1
のように急激に増加する。すなわち、検出素子X1がい
かなるガスにも晒されていないときの抵抗31の端子間
電圧をV0とするとき、抵抗31の端子間電圧Vは、素
子X1が例えば時刻t1に有炎火災から生ずる電子アク
セプター性ガスに晒されるときには、図5(a)に示すよ
うに、V0から開始して所定時間Δt以内に所定量ΔV
以上増加する。この端子間電圧Vは、バッファ33を介
して抵抗減少判別器12に加わる。
【0038】応答特性RSP1のこのような立上り時に
は、抵抗減少判別器12では、RC時定数回路のコンデ
ンサ35の端子間電圧V1,電圧分割回路の抵抗37の
端子間電圧V2が図5(b)に示すように変化し、これに
より、コンパレータ38からは、図5(c)に示すよう
に、論理値“1”の信号が出力される。この結果、情報
出力回路14からは、火災発生信号Yが出力される。
【0039】このように、この感知装置では、有炎火災
から生ずる燃焼ガスのうちの電子アクセプター性ガスに
晒されるとき、これを確実に検知し、火災発生信号Yを
迅速に出力することができる。
【0040】以上の説明からわかるように、この感知装
置を用いることにより、有炎火災(完全燃焼の有炎火
災,不完全燃焼の有炎火災の両方を含む)が発生する場
合、炎と感知装置との間に障害物があっても、火災発生
信号Yが出力されるので、これにより、有炎火災の発生
を確実に検出することができる。
【0041】また、この感知装置は、小型化が可能な有
機半導体素子,無機半導体素子を用いており、また信号
処理回路も簡単な構成であるので、全体として小型化,
低コスト化を図ることができる。
【0042】図9は図3の感知装置の第2の具体的な構
成例を示す図である。図9の感知装置では、検知部1
に、p型半導体として機能する第1の検出素子X2とn
型半導体として機能する第2の検出素子X3との2つの
検出素子を用い、これら2つの検出素子X2,X3を直
列に接続し、その接続交点CSの電圧変化を検知するよ
う構成されている。すなわち、図4の構成例と比べ、抵
抗31のかわりにn型半導体の検出素子X3が設けられ
た構成となっている。なお、p型半導体として機能する
第1の検出素子X2としては、鉛フタロシアニンなどの
有機半導体素子や酸化ニッケルなどの金属酸化物素子
(無機半導体素子)などが用いられ、また、n型半導体と
して機能する検出素子X3には、酸化ルテニウムとパラ
ジウムが混入したフタロシアニンのなどの有機半導体素
子や酸化スズなどの金属酸化物素子(無機半導体素子)が
用いられる。この場合、n型半導体素子として機能する
第2の検出素子X3の電子アクセプター性ガスに対する
応答特性は、図2(a)にRSP2として示すように、p
型半導体素子の応答特性RSP1と逆になる。
【0043】図9の感知装置では、有炎火災から生ずる
燃焼ガスのうちの電子アクセプター性ガスに晒されると
き、p型半導体として機能する第1の検出素子X2は抵
抗値が減少する一方、n型半導体として機能する第2の
検出素子X3は抵抗値が増加する。
【0044】従って、電子アクセプター性ガスに晒され
るときに2つの検出素子X2,X3の抵抗変化によって
接続交点CSから得られる電圧変化は、図4の感知装置
において抵抗31の端子間に得られる電圧変化に比べ
て、倍加され、ガス検知をより高感度に行なうことがで
きる。また、第2の検出素子X3として、温度変化によ
り、第1の検出素子X2と同様の抵抗変化をするものを
用いる場合には、温度による抵抗の変化は、素子X2と
素子X3との両者においてバランスがとれ、これによ
り、温度変化によっては交点CSにおける電圧が影響さ
れず(変化せず)、ガス検出の信頼性を向上させることが
できる。また、素子X2,X3の湿度によるリークがあ
る場合にも、素子X2の湿度による特性が素子X3の湿
度によりリーク特性とほぼ同じものである場合には、湿
度によるリークがあっても、これによっては接続交点C
Sにおける電圧が影響されず(変化せず)、ガス検出の信
頼性を向上させることができる。
【0045】なお、図4または図9の感知装置では、素
子X1,素子X2にp型半導体を用いたが、素子X1,
素子X2に、酸化ルテニウムとパラジウムが混入したフ
タロシアニン(有機半導体)や金属酸化物である酸化スズ
のようなn型半導体としての機能を有するものを用いる
こともできる(この場合、図9の感知装置では、素子X
3にp型半導体のものを用いる)。このときには、図3
の構成において、抵抗減少判別器12のかわりに、図1
0に示すような抵抗増加判別器13を用いる。図10の
抵抗増加判別器13は、抵抗42と抵抗40とコンデン
サ43とからなるRC時定数回路と、RC時定数回路の
抵抗40の端子間電圧(すなわち,コンデンサ43の端
子間電圧)V3が+側に加わり、また、電圧Vが電圧V4
として−側に加わって、+側端子の電圧V3が−側端子
の電圧V4よりも高いときに、論理値“1”の判別結果
を出力するコンパレータ44とにより構成されている。
【0046】ここで、抵抗40,42の抵抗値R5
6、および、コンデンサ43の容量値C2は、抵抗増加
判別器13が、所定期間Δt以内で所定量ΔV'以上の
電圧Vの減少のみを検出できるよう(所定時間Δt以内
で所定量ΔR'以上の素子X1の抵抗値の増加のみを検
出できるよう)、適宜な値に設定されている。すなわ
ち、抵抗値R5,R6および容量値C2は、所定時間Δt
以内に所定量ΔV'だけ過渡的に減少する図11(a)に
示すような電圧Vに対しては、電圧V3と電圧V4とが図
11(b)に示す関係を満たし、また、所定量ΔV'減少
するのに所定時間Δt以上かかる図12(a)に示すよう
な電圧Vに対しては、電圧V3と電圧V4とが図12(b)
に示すように、常にV3<V4の関係を満たし、また、所
定量ΔV'以上には減少しない図13(a)に示すような
電圧Vに対しても、電圧V3と電圧V4とが図13(b)に
示すように、常にV3<V4の関係を満たすような適宜の
値に設定されている。
【0047】なお、電圧Vが、図14(a)に示すよう
に、増加する場合(素子X1の抵抗値が減少する場合)に
は、図14(b)に示すように、抵抗40,42の抵抗値
5,R6,コンデンサ43の容量値C2と無関係に、常
に、電圧V4は電圧V3よりも高くなる。
【0048】このように、抵抗40,42の抵抗値
5,R6,コンデンサ43の容量値C2が適切に設定さ
れていることにより、抵抗増加判別器13のコンパレー
タ44の+側端子に加わる電圧V3は、電圧Vが所定時
間Δt以内に所定量ΔV'以上減少したときにのみ(電圧
Vの変化が図11(a)のようになる場合にのみ)、電圧
4よりも大きくなり、従って、コンパレータ44から
は、この場合にのみ、論理値“1”が出力されるように
なっている(図11(c))。
【0049】このように、検出素子X1,X2がn型半
導体素子である場合には、有炎火災から生ずる燃焼ガス
のうちの電子アクセプター性ガスに晒されるときに、そ
の抵抗値が急激に増加し、抵抗値抽出器11の抵抗31
の端子間電圧Vは、図2(a)の応答特性RSP2のよう
に急激に減少するので、抵抗増加判別器13により、有
炎火災の発生を確実に検知し、火災発生信号Yを迅速に
出力することができる。
【0050】また、図4または図9の感知装置におい
て、例えば抵抗31または素子X3の抵抗値が素子X1
または素子X2の抵抗値に比べて非常に小さい場合に
は、信号(電圧)Vは非常に小さなものとなり、信号(電
圧)Vを十分に検出することができなくなる。従って、
素子X1または素子X2に直列接続される抵抗31また
は素子X3としては、素子X1または素子X2の抵抗値
になるべく近い抵抗値をもつものを用いるのが良い。
【0051】具体的には、素子X1またはX2がp型半
導体のものである場合、その抵抗は、櫛型電極の形状
(櫛間の間隔や櫛の長さなど)等に応じて、107Ω〜1
11Ω程度であり、従って、抵抗31または素子X3と
しては、素子X1または素子X2の抵抗値が107Ω程
度であれば、107Ωになるべく近い抵抗値のものを用
い、また、素子X1またはX2の抵抗値が1011Ω程度
であれば、1011Ωになるべく近い抵抗値のものを用い
るのが良い。
【0052】ところで、上述のような各検出素子は、通
常の環境下において、雑ガスの吸着,脱離により、抵抗
値が緩やかに変化する。図4または図9の感知装置で
は、前述したように、抵抗減少判別器12(あるいは抵
抗増加判別器13)において、抵抗値が所定の時間内に
所定量変化する場合のみを検知し、従って、抵抗値の緩
やかな変化は検知せず、このような雑ガスからの影響を
受けないように構成されているが、これのかわりに、抵
抗減少判別器12(あるいは抵抗増加判別器13)での処
理に先立って、雑ガスからの影響による素子X1または
X2の抵抗値の緩やかな変化に基づく電圧の緩やかな変
化を、相殺できるような機構が設けられていても良い。
【0053】より具体的に、図4の感知装置では、素子
X1に直列に接続されている抵抗31は、固定抵抗値の
ものであるので、この抵抗31の両端の電圧Vは、素子
X1の抵抗値が雑ガスからの影響によって緩やかに変化
するときに、これに応じて緩やかに変化し、これがノイ
ズ成分となる。また、図9の感知装置では、素子X2が
例えばp型半導体のものであるとき、これに直列に接続
されている素子X3はn型半導体のものであるので、交
点CSの電圧Vは、素子X2,素子X3の抵抗値が雑ガ
スからの影響によって緩やかに変化するとき、その約2
倍の変化率で変化し、これがノイズ成分となる。
【0054】従って、感知装置としては、素子X1また
はX2の抵抗値が急激に変化するときにのみ、急激に変
化する電圧Vを出力し、素子X1またはX2の抵抗値が
緩やかに変化するときには、これに影響されずにほとん
ど変化しないほぼ一定の電圧Vが出力されるような機構
(すなわち、電圧Vにノイズ成分として重畳しないよう
な機構)を設け、これにより、判別処理に先立ってノイ
ズの影響を予め相殺するようにしても良い。
【0055】図15は雑ガス等によるノイズの影響を相
殺するようにした感知装置の具体的な構成例を示す図で
ある。なお、図15には、図3の感知装置において、特
に、検知部1と抵抗値抽出器11に対応する構成が示さ
れている。図15の構成例では、検知部1に、例えばp
型半導体として機能する1つの検出素子(X1またはX
2と同様の検出素子)X4が用いられている。また、抵
抗値抽出器11として、検出素子X4に直列に接続され
るアナログスイッチ(トランスミッションゲート)71
と、抵抗72とコンデンサ73とからなる第1のRC時
定数回路と、抵抗75とコンデンサ76とからなる第2
のRC時定数回路と、抵抗78と抵抗79とからなる電
圧分割回路と、検出素子X4とアナログスイッチ71に
電源から所定電圧Eを与えた状態で、検出素子X4とア
ナログスイッチ71との接続交点CSの電圧Vがゲート
電圧として加わり、電源からの所定電圧Eがドレインに
加わり、また、ソース側が抵抗80を介して接地されて
おり、ソース電圧が検出電圧V’として最終的に抽出さ
れる電界効果型トランジスタ(FET)81と、トランジ
スタ81のソース電圧V’が+側端子に加わり、また、
電圧分割回路の抵抗79の端子間電圧V6が−側端子に
加わって、ソース電圧V’と抵抗79の端子間電圧V6
との差電圧(V’−V6)を第1のRC時定数回路を介し
てアナログスイッチ71のコントロール電圧として出力
する差分回路(コンパレータ)82と、第1のRC時定数
回路の抵抗72と並列に接続され、第2のRC時定数回
路の抵抗75の端子間電圧V7がコントロール電圧とし
て加わるアナログスイッチ(トランスミッションゲート)
83とを有している。
【0056】図15の構成例では、素子X4とアナログ
スイッチ71との接続交点CSの電圧Vが電界効果型ト
ランジスタ81のゲートに加わり、この電界効果型トラ
ンジスタ81のドレイン,ソース間に電流が流れると
き、ゲート,ソース間の電圧降下をVgsとすると、ソー
ス電圧V’は、(V−Vgs)となる。このソース電圧V’
は、差分回路82の+側端子に加わり、差分回路82か
らは、ソース電圧V’と差分回路82の−側端子電圧V
6との差電圧(V’−V6)が出力される。
【0057】いま、検出素子X4の抵抗値が雑ガスなど
の影響によって時間的に緩やかに変化し、接続交点CS
の電圧Vが、例えば図16(a)に符号Vr1あるいは符号
r2で示すように時間的に緩やかに変化するときには、
ソース電圧V’もこれを反映して時間的に緩やかに変化
する。差分回路82の−側端子電圧V6は、電源電圧E
を一定の比で分割したものであり、一定値となっている
ので、差分回路82からの差電圧(V’−V6)も接続交
点CSの電圧Vを反映して時間的に緩やかに変化する。
【0058】この場合、抵抗72とコンデンサ73とか
らなる第1のRC時定数回路は、差分回路82からの差
電圧(V’−V6)が緩やかに変化するものであるので、
これをほぼ直流電圧のものとして波形変形せずにアナロ
グスイッチ71にコントロール電圧VCNTとして加え
る。この結果、接続交点CSの電圧Vが図16(a)に符
号Vr1あるいは符号Vr2で示すように、時間的に緩やか
に増加し、あるいは減少するときには、アナログスイッ
チ71のコントロール電圧VCNTも、図16(b)に示す
ように、図16(a)の符号Vr1あるいは符号Vr2で示す
電圧波形を反映した電圧VCNT1あるいはVCNT2となり、
アナログスイッチ71は、その入出力間の電圧(抵抗
値),すなわち接続交点CSの電圧Vを減少させ、ある
いは増加させるように働く。
【0059】換言すれば、図15の構成例では、接続交
点CSの電圧Vが緩やかに変化するとき、所定の時間遅
延後、接続交点CSの電圧Vを、その変化の方向とは、
反対の方向に変化させる(電圧Vが増加するときには減
少させ、電圧Vが減少するときには増加させる)フィー
ドバック制御ループによって、接続交点CSの電圧Vが
ほぼ一定の電圧となるようにしている。従って、素子X
4の抵抗値が雑ガスの影響を受けて時間的に緩やかに変
化するときにも、接続交点CSの電圧Vは、このフィー
ドバック制御により、符号VCで示すように、ほぼ一定
のものとなり、ソース電圧V’をも、ほぼ一定のものに
することができ、これを抽出結果(検出電圧)として出力
することができる。
【0060】一方、検出素子X4が電子アクセプター性
ガスに晒されて、その抵抗値が、急激に減少し、接続交
点CSの電圧Vが図17(a)に符号Vr1で示すように、
時間的に急激に変化するときには、これを反映して、ソ
ース電圧V’も時間的に急激に変化し、また、差分回路
82からの差電圧(V’−V6)も時間的に急激に変化す
る。
【0061】この場合、第1のRC時定数回路は、時間
的に急激に変化する差電圧(V’−V6)をそのRC時定
数で緩和し、緩やかな波形に変形してアナログスイッチ
71にコントロール電圧VCNTとして加える。この結
果、アナログスイッチ71のコントロール電圧V
CNTは、図17(b)に符号VCNT1で示すようになり、ア
ナログスイッチ71は、このコントロール電圧によって
その入出力間の電圧(抵抗値)を変化させても、図17
(a)に示すような急激な電圧変化には追従しない。従っ
て、接続交点CSの電圧Vの急激な変化は、アナログス
イッチ71の抵抗値変化によってはほとんど影響を受け
ず、ソース電圧V’も、ほぼ図17(a)を反映した時間
的に急激に変化するものとなり、これを抽出結果(検出
電圧)として出力することができる。
【0062】このように、図15の構成例では、素子X
4の抵抗値が緩やかに変化するときには、ほぼ一定の電
圧V’を抽出結果として出力することができ、素子X4
の抵抗値が急激に変化するときには、これに応じた急激
に変化する電圧V’を抽出結果として出力することがで
きるので、雑ガスなどによるノイズの影響を受けずに、
検出素子X4の特定のガスによる抵抗値変化のみを電圧
変化として信頼性良く得ることができる。
【0063】また、図15の構成例では、アナログスイ
ッチ71として、CMOSのトランスミッションゲート
を用いることができ、この場合、アナログスイッチ71
の抵抗値を平均的に107Ω〜1011Ω程度のものにす
ることができる。従って、アナログスイッチ71とし
て、使用される検出素子X4の抵抗値とほぼ同程度の抵
抗値をもつものを用いれば、平常状態時において、接続
交点CSの電圧Vを電源電圧Eの1/2程度の電圧値
(E/2程度)にすることができる。なお、このときに
は、差分回路82の−側端子電圧V6が(E/2−Vgs)
となるように、電圧分割回路の抵抗78および抵抗79
を設定しておく必要がある。
【0064】このように、図15の構成例では、検出素
子X4とほぼ同程度の抵抗値をもつアナログスイッチ7
1が用いられることにより、信号(電圧)Vを十分に大き
なものとすることができ、抽出結果である信号(電圧)
V’を、これを検出させるのに十分な大きなものにする
ことができる。
【0065】なお、上述のような電圧検出(抵抗値抽出)
動作は、電源を投入後、所定の時間が経過し、回路全体
がほぼ定常的な状態になった後(交点CSの電圧がほぼ
E/2程度になった後)なされるのが良い。
【0066】この場合、電源投入後、回路全体が安定し
た状態になるまでの時間(すなわち、交点CSの電圧V
がE/2程度となるまでの時間)は、第1のRC時定数
回路によって定まり、この時間は、なるべく短かい方が
良い。図15の構成例において、第1のRC時定数回路
の抵抗72と並列に接続されているアナログスイッチ
(トランスミッションゲート)83は、電源投入後、交点
CSの電圧Vを、短時間のうちに、ほぼE/2程度にす
るために設けられている。
【0067】すなわち、電源が定常的に供給されている
状態では、アナログスイッチ83のコントロール電圧
は、所定値以下となっており、アナログスイッチ83は
オフの状態となっているが、電源が投入された直後は、
抵抗75とコンデンサ76とからなる第2のRC時定数
回路によって、アナログスイッチ83のコントロール電
圧は過渡的に所定の電圧値以上となり、アナログスイッ
チ83がオンになる(アナログスイッチ83が導通状態
となる)。この結果、第1のRC時定数回路の抵抗72
両端はほぼ短絡状態となり、これにより、コンデンサ7
3は急速に充電され、この電圧がアナログスイッチ71
のコントロール電圧として加わることで、交点CSの電
圧を迅速にE/2程度にすることができる。
【0068】なお、上記アナログスイッチ83は、その
コントロール電圧V7によってオン・オフ作動するもの
であり、トランスファ領域で作動させるアナログスイッ
チ71とは、その作動の態様を異にしている。
【0069】また、上記構成例において、アナログスイ
ッチ71は、その両端間の電圧(抵抗値)をコントロール
電圧によって、可変制御する電圧制御型可変素子(可変
抵抗器)として機能し、このような電圧制御型可変素子
として機能するものであれば、アナログスイッチ71に
限らず、任意の素子を用いることができる。
【0070】また、電圧制御型可変素子のかわりに、電
流制御型可変素子(可変抵抗器)を用いることもできる。
図18は電圧制御型可変素子のかわりに電流制御型可変
素子を用いた感知装置の具体例を示す図である。なお、
図18において図15と対応する箇所には同じ符号を付
している。
【0071】図18の構成例では、電流制御型可変素子
として、フォトカプラ85が用いられている。より詳細
に、図18の構成例では、検出素子X4には、フォトカ
プラ85のフォトトランジスタ86が直列に接続されて
いる。また、抵抗72とコンデンサ73とからなる第1
のRC時定数回路の出力段には、インピーダンス変換回
路90を介してフォトカプラ85の発光ダイオード87
が接続されている。なお、インピーダンス変換回路90
は、演算増幅器88と所定の抵抗値をもつ抵抗89とに
より構成されている。
【0072】図18の構成例では、検出素子X4の抵抗
値が、雑ガスなどの影響によって、時間的に緩やかに変
化し、接続交点CSの電圧Vが図16(a)に符号Vr1
るいは符号Vr2で示すように、時間的に緩やかに変化す
るときには、第1のRC時定数回路は、これをほぼ直流
電圧のものとして波形変形せずに、インピーダンス変換
回路90を介して、フォトカプラ85の発光ダイオード
87に加える。すなわち、この場合、発光ダイオード8
7に加わる電圧(発光ダイオード87に供給される電流)
は、図16(b)に示したと同様に、図16(a)の符号V
r1あるいは符号Vr2で示す電圧波形を反映したものとな
り、発光ダイオード87から出射する光の光量の変化
も、この電圧波形を反映したものとなる。これにより、
発光ダイオード87から出射する光を受光するフォトト
ランジスタ86に流れる電流(フォトトランジスタ86
の抵抗値)は、図16(a)の符号Vr1あるいは符号Vr2
で示す電圧波形を反映して変化し(すなわち電流が緩や
かに増加するか、あるいは緩やかに減少し)、この結
果、接続交点CSの電圧Vを減少させ、あるいは増加さ
せて、接続交点CSの電圧V,ソース電圧V’がほぼ一
定の電圧となるようフィードバック制御することができ
る。
【0073】一方、検出素子X4の抵抗値が、急激に減
少し、接続交点CSの電圧Vが図17(a)に符号Vr1
示すように、時間的に急激に変化するときには、第1の
RC時定数回路は、これに追従しない。従って、発光ダ
イオード87に加わる電圧は、図16(b)に示したと同
様に、緩やかな波形のものとなり(図17(b)参照)、発
光ダイオード87から出射する光の光量も緩やかに変化
する。これにより、フォトトランジスタ86に流れる電
流(フォトトランジスタの抵抗値)も、緩やかに変化し、
この結果、接続交点CSの電圧Vの急激な変化は、フォ
トトランジスタ86に流れる電流の変化によってほとん
ど影響を受けず、ソース電圧V’も、ほぼ図17(a)を
反映した急激に変化するものとなる。
【0074】このように、図18の構成例においても、
図15の構成例と同様に、素子X4の抵抗値が緩やかに
変化するときには、ほぼ一定の電圧V’を抽出結果とし
て出力することができ、素子X4の抵抗値が急激に変化
するときには、これに応じた急激に変化する電圧V’を
抽出結果として出力することができるので、雑ガスなど
によるノイズの影響を受けずに、検出素子X4の特定の
ガスによる抵抗値変化のみを電圧変化として信頼性良く
得ることができる。なお、図18の構成例では、電流制
御型可変素子(抵抗器)として、フォトカプラ85を用い
たが、上述のような電流制御型可変素子として機能する
ものであれば、フォトカプラ85に限らず、任意の素子
を用いることができる。
【0075】上述の説明からわかるように、図3の構成
例において、抵抗値抽出器11としては、図15あるい
は図18の構成のものを用いることができる。この場
合、電圧制御型可変素子(アナログスイッチ)71,電流
制御型可変素子(フォトカプラ)85は、抽出用素子とし
て機能する。抵抗値抽出器11に図15あるいは図18
の構成のものが用いられる場合には、抵抗減少判別器1
2(あるいは抵抗増加判別器13)としては、図4,図9
に示したような構成のもの(あるいは図10に示したよ
うな構成のもの)を用いることもできるし、あるいは、
図4,図9,図10に示したような構成に比べて、より
簡単な構成のものを用いることもできる。
【0076】図19,図20には、抵抗値抽出器11に
図15あるいは図18の構成のものが用いられるとした
ときの、抵抗減少判別器12,抵抗増加判別器13の構
成例がそれぞれ示されている。図19を参照すると、こ
の抵抗減少判別器12は、抵抗95と抵抗96とからな
る電圧分割回路と、抵抗96の両端間の固定電圧V8
ソース電圧V’とを比べ、ソース電圧V’が固定電圧V
8よりも大きくなるときに火災発生信号Yを出力するコ
ンパレータ38とを有している。
【0077】また、図20を参照すると、この抵抗増加
判別器13は、抵抗97と抵抗98とからなる電圧分割
回路と、抵抗97の両端間の固定電圧V9とソース電圧
V’とを比べ、ソース電圧V’が固定電圧V9よりも小
さくなるときに火災発生信号Yを出力するコンパレータ
44とを有している。
【0078】ここで、固定電圧V8,V9は、例えば、図
21(a),(b)にそれぞれ示すように設定されている。
すなわち、図21(a),(b)のように、電圧V’の所定
量ΔV以上の増加あるいは減少だけを検出するように、
抵抗95,96,抵抗97,98の抵抗値が設定されて
いる。
【0079】このように、図15あるいは図18の構成
では、雑ガス等の影響で検出素子X4の抵抗値が緩やか
に変化しても、ソース電圧V’はほぼ一定に保持される
ので、抵抗減少判別器12,抵抗増加判別器13には、
図19,図20にそれぞれ示したような簡単な構成のも
のを用いることができる。
【0080】また、上述のような各検出素子は、検出可
能なガスに対して高い感度を有し、例えば、二酸化窒素
に対してppbのオーダーで検出可能なものもあるため
に、環境に浮遊する雑ガスからの影響を受けて、火災発
生信号Yが出力されてしまうことが考えられる。このよ
うな事態を防止するために、抵抗減少判別器12(ある
いは抵抗増加判別器13)の後段に、図22のような情
報出力回路14を設けることもできる。図22の情報出
力回路14は、従来公知となっている感知器,例えば通
常の煙感知器46の出力と、コンパレータ38の出力
(あるいは、コンパレータ44の出力)との論理積をそれ
ぞれとり、火災発生信号Yを出力する論理積回路48を
有している。このように、例えば通常の煙感知器46の
出力との論理積をとり、通常の煙感知器46から所定の
出力結果が出力されたときにのみ、抵抗減少判別器12
(あるいは抵抗増加判別器13)からの判別結果に基づい
て、火災発生信号Yを出力することによって、環境に浮
遊する雑ガスからの影響を低減させ、検出の信頼性を向
上させることもできる。
【0081】また、上述した各構成例では示されていな
いが、各検出素子の抵抗値は数桁のオーダーで変化する
ものもあるので、抵抗値抽出器11において、ログアン
プ等によりダイナミックレンジの拡大を図ったり、ある
いは、自動利得調整器により信号処理のし易いレンジに
信号をたえず維持するようになっていても良い。また、
抵抗減少判別器12,抵抗増加判別器13については、
図4,図9,図10,図19,図20に示した構成は、
単なる一例であって、これ以外の構成のものにすること
も可能である。
【0082】図23は図3に示した感知装置を用いた防
災システム(例えば火災警報システム)の構成例を示す図
である。この防災システムでは、受信機51から延びて
いる線路Lに図3に示したような感知装置52が接続さ
れている。ここで、受信機51は、中央処理装置53
と、感知装置52との間での伝送制御を行なう伝送制御
部54と、警報を出力する警報出力部55とを有してい
る。また感知装置52は、例えばビル内の所定の場所に
設置されているとする。
【0083】このような構成の防災システムでは、受信
機51の警報出力部55が図24に示すように、火災の
発生を報知する火災発生報知部56を備えている場合、
有炎火災が発生すると、感知装置52からの火災発生信
号Yによって受信機51の警報出力部55の火災発生報
知部56は、火災(有炎火災)が発生したことをオペレー
タ等に知らせたり、有炎火災であるときに必要な警報制
御を行なうことができる。より具体的には、消火機器の
制御を迅速に行ない、また避難誘導を直ちに行なうこと
ができる。
【0084】また、上述の実施例,構成例では、感知装
置が図3に示すような構成のものであるとし、火災発生
信号Yを出力するように構成されているが、この感知装
置の特性値監視部2が、図3の構成において抵抗値抽出
器11のみを有するように、構成されていても良い。す
なわち、抵抗値の抽出結果を最終出力として出力するよ
うに、感知装置を構成することもできる。より具体的に
は、図4,図9の構成におけるバッファ33のアナログ
出力信号V,あるいは図15,図18の構成におけるソ
ース電圧(アナログ出力信号)V’が最終出力として出力
されるよう、感知装置を構成することもできる。この場
合、この感知装置を上述のような防災システムに用いる
とき、図3の特性値監視部2の抵抗減少判別器12(あ
るいは抵抗増加判別器13),情報出力回路14の各機
能を受信機51にもたせることもできる。すなわち、図
4,図9の構成におけるバッファ33のアナログ出力信
号V,あるいは図15,図18の構成におけるソース電
圧(アナログ出力信号)V’を受信機51に送信し、受信
機51において火災判別等を行なわせることもできる。
【0085】また、図25は図3に示したような感知装
置が組み込まれた電子機器の構成例を示す図である。図
25の電子機器は、機器の各部分に電力を供給する電源
部61と、図3に示したような感知装置52と、感知装
置52の情報出力回路14からの信号に応じて電源部6
1を制御する電源制御部62と、情報出力回路14から
信号に応じて警報を出力する警報出力部63とを有して
いる。
【0086】図26はこのような電子機器の具体例を示
す図あり、図26の例では、電源制御部62にラッチン
グリレー64が用いられ、ラッチングリレー64には、
感知装置52の情報出力回路14からの火災発生信号Y
が入力するようになっている。すなわち、火災発生信号
Yがラッチングリレー64に入力するとき、ラッチング
リレー64が駆動し、機器の各部への電源部61からの
電源供給を遮断するようになっている。なお、電源制御
部62にラッチングリレー以外のものを用いることも可
能である。例えば、火災発生信号Yが入力した時点から
所定の期間、電源部61からの電源供給を遮断するよう
な構成のものを用いることも可能である。
【0087】また、図26の例では、警報出力部63に
は、火災発生信号Yが入力するようになっており、信号
Yにより火災の発生を報知するようになっている。
【0088】このような構成の電子機器では、機器内で
有炎火災が発生する場合に、この有炎火災から発生する
ガスに晒されるように感知装置52の検知部1(少なく
とも1つの有機半導体素子あるいは無機半導体素子)が
配置されるとき、機器内において、有炎火災が発生して
も、火災発生信号Yによって機器の各部への電源供給を
断にすることができ、また、火災発生信号Yによって、
警報出力部63では、例えば図23の防災システムの受
信機51の警報出力部55と同様に、火災が発生したこ
とをオペレータ等に知らせたり、必要な警報制御を行な
うことができる。
【0089】また、有機半導体素子,無機半導体素子を
用いた本発明の感知装置は、前述のように、従来の感知
器よりも小型化が可能であるので、機器内に特別な場所
を設けずに設置でき、消費電流も少なく、素子自身のコ
ストも安く、量産品の機器にはコストの負担をかけず
に、防災機能を実現できる。特に、有機半導体,無機半
導体自体の小型化が可能であることから、電子機器の所
要の回路等が実装されている電気回路基板上に検出素子
を実装することによって、感知装置が組み込まれる場合
にも、機器の小型化を維持することができる。
【0090】なお、上述の各実施例,構成例では、有機
半導体素子にフタロシアニン類(例えば、金属置換フタ
ロシアニン類、金属酸化物を添加した金属置換フタロシ
アニン類)を用いるとして説明したが、有機半導体素子
はフタロシアニン類に限定されるものでなく、フタロシ
アニン類の他にも、例えば、イオンをドープしたポリピ
ロール等の導電性ポリマー類などの有機半導体素子をも
用いることもでき、導電性ポリマー類などを用いる場合
にも、前述したと同様の効果を得ることができる。
【0091】また、上述の実施例では、無機半導体とし
て、酸化ニッケル,酸化スズなどの金属酸化物を用いて
いるが、無機半導体としては、酸化ニッケル,酸化スズ
などの混合物を用いても良いし、あるいは、これらの金
属酸化物にPt,Pd,Ruなどの貴金属触媒やアルミ
ナ,シリカ等のバインダを加えたものを用いることもで
きる。
【0092】さらに、水蒸気は電子ドナー性のガスとし
て振る舞うことが知られているので、湿度の影響を低減
するためにフタロシアニンに疎水性の官能基をつけた有
機半導体素子を用いることもできる。また、アルカンと
フタロシアニンを溶剤に混合させ、この溶剤を基質に塗
布することで、耐湿性の向上を図ることもできる。
【0093】また、上述の実施例では、検出素子とし
て、その構造が図1(a),(b)に示したようなものとな
っているが、前述したように、基質100上に、櫛形電
極102,103を形成し、その上に、フタロシアニン
層101を蒸着形成して、検出素子を構成することも可
能である(図27(a),(b)参照)。
【0094】また、上述の実施例では、検出素子とし
て、その電極構造が図1(a),(b),あるいは図27
(a),(b)に示したような櫛形電極型式のものとなって
いる場合を例にとって説明したが、図1(a),(b),図
27(a),(b)以外にも種々の変形が可能である。例え
ば、素子が円形形状などの場合には、電極形状を図28
に示すような同心円形状のものとすることができる。ま
た、検出素子としては、その構造が櫛形電極型式のもの
に限らず、種々の型式のものを用いることができる。図
29(a),(b),(c)には、従来の各種のガスセンサが
示されており、本発明の検出素子の構造を、例えば図2
9(a),(b),(c)に示されるような従来のガスセンサ
の構造と同様のものにすることもできる。なお、図29
(a)あるいは図29(b)の構造では、白金などの電極2
02,203間に感ガス半導体と溶剤との混合ペースト
201を注入し、2つの電極202,203を混合ペー
ストで包み込んで、固め、焼結して、素子を形成するこ
とができる。また、図29(c)の構造では、電極20
2,203間に感ガス半導体204を注入し、これを圧
力で固めて、素子を形成することができる。
【0095】また、検出素子が図1(a),(b),図27
(a),(b),図28のような構造になっている場合にお
いて、さらに、所望の目的等に応じて、櫛形電極の構造
を変形することも可能である。例えば、図30には、感
知装置の機能試験を行なうのに適した櫛形電極構造が示
されている。すなわち、図30の検出素子では、1つの
櫛形電極91と、該櫛形電極91にそれぞれ対向して配
置されている2つの櫛形電極92,93との合計3つの
櫛形電極が半導体に対して設けられており、2つの電極
92,93は、図31に示すように、切換手段(スイッ
チ)94によって、互いに接続されたり切離されたりす
るようになっている。
【0096】このような構造の検出素子では、電極92
と電極93の間に設けられている切換手段(スイッチ)9
4を開,閉することによって感知装置の機能試験を行な
うことができる。すなわち、感知装置は、電極91と電
極93との間の抵抗値を監視し、この抵抗値の変化を検
知して所定の検出結果を出力するようになっており、通
常の動作モード時には、スイッチ94を例えば閉に保持
し、電極92を電極93に電気的に接続した状態にして
おく。この場合には、櫛形電極は、実質的に図1(a),
(b),図27(a),(b)に示したと同様の構造となり、
この検出素子の電極91と電極93(および電極92)と
の間の電位差(電圧)に基づいて、所定の物理現象(例え
ば火災現象)の検知動作を行なうことができる。なお、
通常の動作モード時に、スイッチ94を開に保持した状
態にしておいても良い。
【0097】また、試験モード時には、スイッチ94を
開から閉に、あるいは閉から開に切り換え、電極92を
電極93から電気的に切り離しあるいは接続し、このと
きの電極91と電極93との間の抵抗値の変化を検知す
ることで、感知装置の機能試験を行なうことができる。
【0098】より詳細には、図30の電極構造では、電
極92と電極93とがともに対称となっており、素子自
体の抵抗がどのように変化しようとも、電極91,電極
92間の抵抗値と電極91,電極93間の抵抗値とは、
ほぼ等しい。従って、電極91,電極92間の抵抗値を
R,電極91,電極93間の抵抗値をRとするとき、ス
イッチ94が閉になっている場合の電極91と電極93
との間の抵抗値は、図32(a)からわかるように、R/
2となっている。この状態で、スイッチ94を開にし、
電極92を電極93から電気的に切り離すと、電極91
と電極93との間の抵抗値は、図32(b)からわかるよ
うに、Rとなり、2倍となる。すなわち、スイッチ24
を閉から開に切り換えることによって、検出素子の抵抗
値を、見かけ上、急激に増加させることができ、このと
きに、感知装置が例えば図3の構成において抵抗減少判
別器12のかわりに抵抗増加判別器13が設けられてい
る場合には、この感知装置から火災発生信号Yが出力さ
れるか否かを調べることにより、この感知装置が正常か
否かを試験することができる。また、スイッチ94が開
になっている状態で(電極91,93間の抵抗値がRと
なっている状態で)、スイッチ94を閉にし、電極92
を電極93に電気的に接続すると、電極91と電極93
との間の抵抗は、R/2となり、1/2倍となる。すな
わち、スイッチを開から閉に切り換えることによって、
検出素子の抵抗値を、見かけ上、急激に減少させること
ができ、このときに、感知装置が例えば図3の構成のも
のである場合(抵抗減少判別器12が設けられている場
合)には、この感知装置から火災発生信号Yが出力され
るか否かを調べることにより、この感知装置が正常か否
かを試験することができる。
【0099】なお、図30の例では、電極92と電極9
3とが対称となっているが、電極92と電極93とは、
これらを電気的に接続したり、切り離したりするときに
電極91と電極93との間の抵抗値を急激に変化させる
機能をもつものであれば良く、従って、必ずしも対称に
する必要はなく、また、上記機能を有するものであれば
任意の形状,構造のものにすることができる。
【0100】例えば、図33(a)に示すような構造のも
のにすることもできるし、素子が円形形状などの場合、
図28に対応させて、図33(b)に示すような同心円構
造のものにすることもできる。
【0101】また、図30の例では、合計3つの電極9
1,92,93としているが、必要に応じ、さらに多く
の電極とすることもできる。例えば、電極91を2つに
分割して合計4つの電極としたり、電極92,93をさ
らに分割することも可能である。
【0102】また、図30の例では、電極が櫛形構造に
なっているとして説明したが、電極91と電極92,9
3とが対向している構造であれば、これが櫛形でない場
合にも、同様にして試験を行なうことができる。
【0103】また、上述の各実施例,構成例では、有炎
火災(着炎燃焼)の発生を検知するための素子として、有
機半導体素子あるいは無機半導体素子を用いているが、
本発明は、有機半導体素子,無機半導体素子に限定され
るものではない。すなわち、本発明で用いられる素子と
しては、基本的には、有炎火災から生ずる燃焼ガスのう
ち、電子アクセプター性ガス(例えば二酸化窒素ガス)
に対して特性値が変化する素子であれば良く、従って、
このような性質を有するものであれば、有機半導体素
子,無機半導体素子以外の素子をも用いることができ
る。例えば有機半導体と無機半導体とを混合した素子を
用いることもできる。
【0104】また、上述の実施例,構成例では、素子の
特性値として素子の抵抗値を挙げたが、電子アクセプタ
ー性ガス(例えば二酸化窒素ガス)に対して変化するも
のであれば、抵抗値以外のものをも用いることもでき
る。例えば、電子アクセプター性ガス(例えば二酸化窒
素ガス)に対して容量値が変化する素子の場合、この素
子の容量値を素子の特性値として用いることができる。
素子の特性値として、例えば素子の容量値を用いる場
合、特性値監視部2には、容量値変化を検知するための
発振回路などを用いることができる。
【0105】また、上述の実施例,構成例では、有炎火
災から生じる電子アクセプター性ガスに反応する素子に
ついて説明したが、これに限定されるものではなく、例
えば、有炎火災から生じる電子ドナー性ガスに反応する
というようなこれまでに述べた素子とは反対の特性をも
つ素子を用いることもできる。
【0106】また、図15乃至図18の感知装置(検出
装置)において、検出素子X4としては、特定のガスに
対してその特性値(例えば抵抗値)が急激に減少あるいは
増加する素子が用いられているとして説明したが、図1
5乃至図18の感知装置(検出装置)は、検出素子が特定
の物理現象を検出したときにその特定値(例えば抵抗値)
が急激に減少あるいは増加するものであれば、上記検出
素子X4に限らず、一般的な任意の検出素子(例えば光
検出素子や温度検出素子など)にも同様に適用すること
ができて、検出素子のノイズによる影響を著しく低減
し、特定の物理現象のみを信頼性良く検出することがで
きる。
【0107】また、図30乃至図33の説明において
も、特徴のある電極構造および切換手段をもつ検出素子
として、特定のガスに対してその特定値(例えば抵抗値)
が急激に減少あるいは増加する検出素子X4が用いられ
ている場合について説明したが、この電極構造および切
換手段は、上記検出素子X4に限らず、一般的な任意の
半導体素子(例えば光検出素子,回転センサ,位置検出
素子,温度検出素子など)にも同様に適用できる。従っ
て、本発明の上述したような試験方法は、半導体素子の
第1の電極と第2の電極との間の状態変化を監視し、こ
の状態変化に基づいて所定の検出結果を出力するもので
あれば、火災検出装置のみならず、任意の検出装置の試
験に用いることができる。すなわち、任意の半導体素子
を組込んだ任意の検出装置の試験を信頼性良くかつ容易
に行なうことができる。
【0108】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、有炎火災時に発生するガス(特に二酸化窒素ガス)に
対して所定の特性値が変化する素子を用いて、有炎火災
の発生を検出するようになっているので、有炎火災が生
じたときに、炎と検出素子との間に障害物があっても、
火災発生信号を確実に出力することができ、有炎火災を
確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において用いられる検出素子の一例を示
す図である。
【図2】p型として振舞う検出素子のガスに対する応答
特性を説明するための図である。
【図3】本発明に係る感知装置の構成例を示す図であ
る。
【図4】図3の感知装置の第1の具体的な構成例を示す
図である。
【図5】抵抗減少判別器の動作例を示す図である。
【図6】抵抗減少判別器の動作例を示す図である。
【図7】抵抗減少判別器の動作例を示す図である。
【図8】抵抗減少判別器の動作例を示す図である。
【図9】図3の感知装置の第2の具体的な構成例を示す
図である。
【図10】抵抗増加判別器の構成例を示す図である。
【図11】抵抗増加判別器の動作例を示す図である。
【図12】抵抗増加判別器の動作例を示す図である。
【図13】抵抗増加判別器の動作例を示す図である。
【図14】抵抗増加判別器の動作例を示す図である。
【図15】感知装置の他の具体的な構成例を示す図であ
る。
【図16】図15の感知装置の動作を説明するための図
である。
【図17】図15の感知装置の動作を説明するための図
である。
【図18】感知装置の他の具体的な構成例を示す図であ
る。
【図19】抵抗減少判別器の他の構成例を示す図であ
る。
【図20】抵抗増加判別器の他の構成例を示す図であ
る。
【図21】図19,図20の判別器の動作を説明するた
めの図である。
【図22】情報出力回路の変形例を示す図である。
【図23】本発明の感知装置を用いた防災システムの構
成例を示す図である。
【図24】受信機の警報出力部の一例を示す図である。
【図25】本発明の感知装置が組み込まれた電子機器の
構成例を示す図である。
【図26】図25の電子機器の具体例を示す図である。
【図27】本発明において用いられる検出素子の他の例
を示す図である。
【図28】本発明において用いられる検出素子の他の例
を示す図である。
【図29】検出素子の他の構造例を示す図である。
【図30】本発明において用いられる検出素子の他の例
を示す図である。
【図31】図30の検出素子による感知装置の試験の仕
方を説明するための図である。
【図32】図31の切換手段を開,閉したときの素子の
見かけ上の抵抗を説明するための図である。
【図33】本発明において用いられる検出素子の他の例
を示す図である。
【符号の説明】
1 検知部 2 抵抗値監視部 11 抵抗値抽出器 12 抵抗減少判別器 13 抵抗増加判別器 14 情報出力回路 51 受信機 52 感知装置 53 中央処理装置 54 伝送制御部 55 警報出力部 61 電源 62 電源制御部 63 警報出力部 X1,X2,X3 検出素子 Y 火災発生信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 成政 東京都渋谷区幡ケ谷1丁目11番6号 ニッ タン株式会社内 (72)発明者 櫻沢 明夫 東京都渋谷区幡ケ谷1丁目11番6号 ニッ タン株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有炎火災時に発生するガスに対して所定
    の特性値が変化する素子を用いて、有炎火災の発生を検
    出するようになっていることを特徴とする感知装置。
  2. 【請求項2】 有炎火災時に発生する二酸化窒素に対し
    て所定の特性値が変化する素子を用いて、有炎火災の発
    生を検出するようになっていることを特徴とする感知装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の感知装置
    において、前記素子は、金属置換フタロシアニン類,金
    属酸化物を添加した金属置換フタロシアニン類,あるい
    はイオンドープしたポリマー類などの有機半導体素子、
    あるいは、半導体レベルの電気伝導度をもつ金属酸化物
    などの無機半導体素子、あるいは、有機半導体と無機半
    導体とを混合した素子であることを特徴とする感知装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2記載の素子を有
    する検知手段と、検知手段の素子の所定の特性値の変化
    を監視し、所定の特性値の変化に応じた情報を出力する
    特性監視手段とを備えていることを特徴とする感知装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の感知装置において、前記
    検知手段は、所定の導電型をもつ1つの素子からなり、
    前記特性監視手段は、前記素子の特性値として前記素子
    の抵抗値を抽出する抵抗値抽出手段を備えていることを
    特徴とする感知装置。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の感知装置において、前記
    検知手段は、所定の導電型をもつ第1の素子と、第1の
    素子とは反対の導電型をもつ第2の素子とが直列に接続
    されて構成されており、前記特性監視手段は、直列に接
    続されている前記第1の素子と第2の素子との両方の抵
    抗値を反映した抵抗値を所定の特性値として抽出する抵
    抗値抽出手段を有していることを特徴とする感知装置。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の感知装置において、前記
    抵抗値抽出手段は、前記素子と直列に接続された抽出用
    素子の両端間の電位差を素子の特性値として抽出するよ
    うになっており、前記抽出用素子は、その両端間の電位
    差が時間的に緩やかに変化するときには、これに追従し
    て抽出用素子の特性値が変化し、両端間の電位差の緩や
    かな変化を相殺するように制御され、また、その両端間
    の電位差が急激に変化することには、これに追従しない
    ように制御され、その両端間の急激な変化のみが前記素
    子の特性値として抽出されて出力されるようになってい
    ることを特徴とする感知装置。
  8. 【請求項8】 請求項5または請求項6記載の感知装置
    において、前記特性監視手段は、さらに、前記抵抗値抽
    出手段によって抽出した抵抗値が所定時間内に所定量減
    少したかを判別する抵抗減少判別手段と、抽出した抵抗
    値が所定時間内に所定量増加したかを判別する抵抗増加
    判別手段との少なくともいずれか一方の判別手段を有
    し、さらに、抵抗減少判別手段および/または抵抗増加
    判別手段からの判別結果に基づいて、火災発生信号を出
    力する情報出力手段を有していることを特徴とする感知
    装置。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の感知装置において、前記
    情報出力手段は、従来公知となっている任意の感知器か
    らの検出結果と、前記抵抗減少判別手段および/または
    前記抵抗増加判別手段からの判別結果とを組み合わせ
    て、火災発生信号を出力するようになっていることを特
    徴とする感知装置。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の感知装置において、前
    記情報出力手段は、従来公知となっている任意の感知器
    から所定の検出結果が出力されたときにのみ、前記抵抗
    減少判別手段,前記抵抗増加判別手段からの判別結果に
    基づいて火災発生信号を出力するようになっていること
    を特徴とする感知装置。
  11. 【請求項11】 有炎火災時に発生するガスに対して所
    定の特性値が変化する素子を用いて、有炎火災の発生を
    検出することを特徴とする火災検出方法。
  12. 【請求項12】 有炎火災時に発生する二酸化窒素に対
    して所定の特性値が変化する素子を用いて、有炎火災の
    発生を検出することを特徴とする火災検出方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016192042A (ja) * 2015-03-31 2016-11-10 パナソニックIpマネジメント株式会社 自動火災報知システムの子機、自動火災報知システムの親機、およびそれらを用いた自動火災報知システム

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JP2016192042A (ja) * 2015-03-31 2016-11-10 パナソニックIpマネジメント株式会社 自動火災報知システムの子機、自動火災報知システムの親機、およびそれらを用いた自動火災報知システム

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