JPH08109142A - 血小板薬物送達システム - Google Patents

血小板薬物送達システム

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JPH08109142A
JPH08109142A JP7228631A JP22863195A JPH08109142A JP H08109142 A JPH08109142 A JP H08109142A JP 7228631 A JP7228631 A JP 7228631A JP 22863195 A JP22863195 A JP 22863195A JP H08109142 A JPH08109142 A JP H08109142A
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drug
platelets
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drug delivery
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Masaji Haruna
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S R L KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】薬物について該薬物の標的を制御したり、薬物
の生体内での作用時間を管理したり、遠隔的に薬物作動
のコントロールを行う方法を提供する。 【解決手段】血小板内あるいは膜上に生物学的又は薬理
学的に活性な薬物を実質的に運搬可能に含有または付着
する血小板薬物送達システム組成物は、血小板分画液に
該薬物を実質的に接触させ、血小板内あるいは膜上に有
効量の薬物を実質的に運搬可能に含有または付着させる
ことにより得られる。全血から実質的に血小板を分離す
る手段、及び血小板液と生物学的又は薬理学的に活性な
薬物とを実質的に接触させ、血小板あるいは膜上内に生
物学的又は薬理学的に活性な薬物を実質的に運搬可能に
含有または付着させ、血小板薬物送達システム組成物を
調製するための手段を持つことを特徴とする血小板薬物
送達システム組成物製造装置を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は血小板を生体内で所
定の薬物の有効量の送達を達成するのに使用することに
関する。血小板を薬物送達システムのキャリアーとする
ことで、有効量の薬物について該薬物の標的を制御した
り、薬物の生体内での作用時間を管理したり、遠隔的に
薬物作動のコントロールを行う方法を提供することに関
する。本発明は血小板フェレーシスを用いての生体内で
所定の薬物の有効量の送達や、薬物の生体内での作用時
間管理をなすシステムを提供することに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、薬学的に活性な薬物は当然体内に
おいてもその薬効が期待されると考えられてきた。しか
し、近年分析定量方法の発展、さらには抗癌剤、抗生物
質、ステロイドホルモン、そして最近では遺伝子組換え
方法、細胞培養方法などを応用した各種の生理活性物
質、サイトカイン、酵素、抗原、抗体などの開発に伴っ
て各薬物の生体内動態が詳しく研究されるようになるに
従い、薬物のより安全で、より有効な利用を図るため、
それら薬物に適した剤型だけでなく、如何にして薬物を
標的となる生体内の部位に効率よく薬物送達(drug
delivery)するかということが重要であり、
それを達成する物としての薬物送達システム(Drug
Delivery System、DDS)の製造、
開発が課題となってきている。特に近年、薬剤を“必要
な時に必要な量を必要な場所へ効率良く運ぶ”輸送シス
テムとしてDDSの実用化が求められている。
【0003】こうした薬物送達システムは外観上は一見
通常の薬剤と大差がないように思えるものであっても、
それはあくまで形の上の話で、そこにはその内部にそれ
ぞれの薬物の作用様式、体内動態、適用条件その他に関
する多くの情報を盛り込むことにより初めて成しうるの
である。こうした薬物送達システムも初期は、薬物の放
出過程を制御することに重点が置かれ、送達システムが
投与された部位から移動することなく、放出がその部位
で起こるタイプと、時間と共に送達システムがその投与
された部位から他の部位に運ばれて行き、その途中で薬
物を放出し続けるタイプというものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したように遺伝子
組換え方法、細胞培養方法などを応用した各種の生理活
性物質、サイトカイン、酵素、抗原、抗体などでは、そ
れの適用あるいは投与部位や、吸収部位によってはその
吸収性などの生物学的利用能や効果が著しく異なった
り、あるいは体内での移行過程で失活あるいは急速な代
謝が起こるという問題が認識されるようになり、このよ
うな問題を薬物送達システムで解決しようと試みられて
きている。また、抗腫瘍剤、サイトカインなどでは、特
定の作用部位(ターゲッティング部位)以外では、標的
移行率が低いばかりでなく、それ以外の組織部位、例え
ば抗腫瘍剤では癌などの腫瘍部位以外の正常組織に対し
て、その障害性が非常に大きく、使用薬剤の変更や治療
の中断などしなければならなくなるとか、非常に微量で
その活性が大きい反面、急速に失活したり代謝されたり
して薬物濃度を維持するのが困難であったり、一定の効
果を得るためには滞留するなどの時間的な作用が必要で
あったり、特定の標的でのみ活性型となるなどの特徴・
問題のあるものが知られてきている。このような問題も
薬物送達システムで解決しようと試みられてきている。
つまり標的指向性に優れた薬物送達システムの開発が課
題となっている。
【0005】特に、腫瘍細胞、腫瘍血液細胞などの移動
する新生物組織などを治療するためには、それらに選択
的に結合する能力を有する薬物送達システムが求められ
る。このための生物学的に活性な薬物は、それら新生物
組織部位(ターゲッティング部位)に局在化されて、所
望の治療効果をもたらすが、標的である腫瘍以外の部位
では、細胞障害性の該薬物の循環量を低減することが必
要なのである。このように遊離の状態では、生体内又は
生物学系あるいは生化学系の中でその寿命が短いとか、
目的とする標的部位に到達しないとか、あるいは抗体と
か抗腫瘍剤のように一つの特定の部位または一つの特定
の細胞あるいは組織に対してのみ作用しなければならな
いような薬物、あるいは一つの特定の方法でのみそれを
供与しなければならない薬物などでは、それら薬物を目
的部位まで安定に送達するためのキャリアーが必要であ
るし、さらにそのキャリアーはその選ばれた標的部位に
向かって特異的なターゲッティングを成すことが求めら
れる。
【0006】これらキャリアーは特に薬物運搬能、その
安定性、その生物学的代謝性、運搬薬物拡散性や標的部
位指向性、その安全性、入手の安定性、生物学的安定
性、薬物・キャリアー複合物の調製の簡便性などのいく
つかの所要の必要条件を満足しなければならず、またそ
れが有効なものであるためには、生体内あるいは自然の
環境内で出会う天然の運搬輸送系にできるかぎり近いも
のであることが求められる。これは、一方では生理学的
な平衡を乱さず、場合によっては自然に存在する生命過
程における治癒能力に代表される利点を最大限に利用す
ることにもなるからである。
【0007】とりわけ遺伝子工学の進展によりサイトカ
インに代表される生理活性ペプチドの臨床応用が試みら
れるようになり、副作用等の問題から優れた投与システ
ムや投与法の開発が求められる状況となってきた。サイ
トカインは元来分解され易い上、生理活性を持つために
大量に投与するとサイトカインネットワークを乱すこと
も影響してか、大きな副作用を示すことが多い。このよ
うな薬剤の投与法に工夫が要求されることは間違いない
が、現状は適切な投与法がまだ確立していないといえ
る。また、同様に従来より毒性の強い薬剤の代名詞とい
える抗癌剤の投与法の改善も必須の課題といえよう。ど
ちらの薬剤を使う場合も疾患は重篤であり、患者は病気
の苦痛の他に薬の副作用と高額の治療費に耐えねばなら
ない現状が待っている。
【0008】そこで必要なのが、少量の薬剤で、副作用
なく、確実な効果を上げる薬物送達システムなのであ
る。これまで研究されてきた薬物送達システムには多少
なりとも弱点がある。それは例えば量的制御は出来ても
標的の組織への薬物輸送に特異性がなく点滴注射と同じ
意味しか持たなかったり、薬剤をうまく殻に包んで血中
を循環させても標的の組織へ集積しなかったり、抗原性
を持つため体の防御システムに捕らえられてしまったり
で、数々の障壁の存在をも示唆する結果となっている。
これまで、以上の問題を解決するためにリポソーム製
剤、徐放性マトリックス製剤などが開発されてきている
が、必ずしも満足できるものがないのが現状である。さ
らに、運搬薬物の作用部位での作用を時間的にコントロ
ールしたり、遠隔的に運搬薬物の作用をコントロールす
ることが可能な安全なDDSが求められている。
【0009】
【課題を解決する手段】本発明者らは、血球の利用につ
いて研究をすすめ、血球の代謝過程の特性を利用した
り、血球をカプセルに見立てて考えると上記の弱点を補
う新しい薬物送達システムを誕生させる可能性が高いの
ではないかとの考えに至った。特に血球のうちの血小板
を薬剤キャリアーとした“血小板薬物送達システム(D
DS)”において、優れた特性が期待できる。血小板は
寿命が来ると肝臓や脾臓で破壊されるため、このような
臓器へ薬物を選択的に集積する特性を生かす薬物送達シ
ステムが構築しうる。また、薬物をその表面に結合させ
て輸送する方法よりも血球内に取り込ませる方法を使用
して薬物運搬系を構築でき、薬物を標的臓器まで血中に
放出することなく運ぶため、副作用や薬物の使用量等の
面で大きなメリットがある。もちろん体の防御システム
には捕捉されないという特徴も有している。
【0010】こうして本発明者らは、安価にかつ多量に
入手できる血小板は、元々生体由来のものであり、さら
に生体内で組織あるいは細胞などが障害を受けるとか、
何らかの異常に遭遇したり、血管内皮が損傷を受けたり
した場合活性化反応などを受け、そのような特定の場所
に集まる性質を持つものであること、種々の因子の刺激
により放出反応を起こし細胞内容物の一部を放出するこ
と、保存血小板製剤の保存期間は短期間で、従来は期限
切れで血小板製剤は廃棄されていたことから、こういっ
た血小板製剤の有効利用にもつながること、そして血小
板自体の生体内での寿命は短く、薬物の体内滞留時間の
コントロールが可能で血小板自体に薬物などを貪食した
り、血小板に存在する開放性細管系(OCS)に薬物を
取り込む性質があり、あるいは血小板膜に特定の薬物を
付着せしめることができ、薬物運搬に利用することが可
能であることを見出した。
【0011】本発明は、血小板内あるいは血小板上に生
物学的又は薬理学的に活性な薬物の有効量を実質的に運
搬可能に含有または付着する血小板薬物送達システム組
成物を提供する。本発明は、酵素反応、化学反応、免疫
反応、診断試験、あるいは生体内代謝のため、生物学的
系及び生化学的系の中で、天然の薬物、合成又は半合成
の薬物、組換えDNA技術による薬物、培養あるいは醗
酵による薬物を輸送できるようにする、血小板を利用し
た薬物送達システムを提供するにある。本発明は、血小
板を利用した薬物送達システムを用いて、酵素反応、化
学反応、免疫反応、診断試験、あるいは生体内代謝にお
いて薬物を特定のターゲッティングするとか、薬物利用
のコントロールをするとか、薬物治療法の効率化を図る
などに関連した技術ソフトをも提供する。
【0012】血小板は、血液または抗血液凝固剤を加え
た血液から簡単な操作で得ることが出来る。血液または
抗血液凝固剤を加えた血液を遠心分離して、得られた上
層の血小板を多く含む血漿部分、すなわち血小板浮遊液
を採取することによっても得ることができる。遠心分離
法の場合、血液により遠心の回転数と時間を適当に調節
することにより、血小板液が得られる。また一旦得られ
た血小板含有血漿はこれをさらに遠心分離して、血小板
濃縮液とすることができる。血小板に障害を与えること
の少ない、血液から実質的に有効に血小板を分離して血
小板を得られる方法は、本発明において遠心分離に限ら
ず制限無く使用できる。例えば、血小板濃縮液は;
(1)全血を遠心分離して赤血球及び白血球を沈殿さ
せ、その上澄みの新鮮血小板含有血漿液を得;(2)こ
の血小板含有血漿液を必要に応じ再度遠心分離して血小
板沈殿物とし;(3)血小板沈殿物を必要に応じさらに
洗浄または洗浄しないで、該血小板沈殿様物を血小板を
含まない血漿に再懸濁させることにより調製できる。
【0013】典型的な具体例では、血液は抗凝固剤、例
えばACD液、CPD液、CPD−A1液、CPD−A
2液、ヘパリンなどを入れたプラスチック製の採血パッ
クに採取される。こうした採血パックとしては、例えば
トリプル血液採取系として知られたものが挙げられ、最
適添加液加血液採取系として市販されている。このよう
なトリプル血液採取系採血パックは、3つのプラスチッ
ク製パックからなり、第1の抗凝固剤、例えばCPD液
を入れた採血パックに血液を採取し、該パックを遠心し
て先ず赤血球を分離し、血漿部分を第2の採血パックに
移し、次に第3の採血パックに入れられた最適添加液、
例えば生理食塩水・アデニン・グルコース(SAG)の
液に場合によりマンニトール(M)などを添加してある
もの、例えばSAG−M液、ADSOL(Fenwal
社製)、PAGGS(Biotest社製)、マンニト
ール・アデニン・リン酸水素ナトリウム液(MAP液、
日赤)などを第1の採血パック中の赤血球分画に移し、
第1の採血パックをシールし、採取系プラスチック製パ
ックから分離し、最後に第2の採血パックは遠心され、
血小板除去血漿を第3の採血パックに移し、残りの濃厚
血小板が血漿中に浮遊しているものとするようになって
いる。血液は通常該採血パックに日本では200mlあ
るいは400ml採取され、SAG−M液の代わりにM
AP液が使用される。例えば450ml採取するための
採血パックでは、第1の採血パック中にはCPD液63
mlが、第3の採血パックにSAG−M液100mlを
含み、濃厚血小板は50mlの血漿中に浮遊している。
【0014】採血後は出来るだけ短時間のうちに分離処
理を行うのが好ましく、少なくとも採血後6時間以内に
分離処理を行うのが好ましい。第1の採血パック中での
最初の遠心分離にあたっては、実質上赤血球が分離で
き、極力血小板を損傷しない条件で行うのが好ましく、
約500回転〜約2,000回転で約5分間〜約30分
間、例えば約1,000回転で約10分間遠心して赤血
球を分離し、第2の採血パック中多血小板血漿は実質上
大部分の血漿が分離でき、同様に極力血小板を損傷しな
い条件で行うのが好ましく、約1,500回転〜約4,
000回転で約5分間〜約60分間、例えば約3,00
0回転で約30分間遠心して採血時の血小板の約約80
〜約90%、代表的には約85%を含有する血小板濃厚
液を得、これを450ml採血の場合、約50〜約70
mlの血漿に再浮遊され、200ml採血の場合、約2
0mlの血漿に再浮遊されて輸血に用いられる。同様に
してその他の動物等でも血液を用いて血小板濃縮液を調
製できる。
【0015】こうした血小板分画の調製においては、あ
る場合には約4℃またはそれ以下の温度条件に維持され
るが、そのような温度は生物学的製剤を取り扱う場合に
は普通の事であり、生物学的製剤がより高い温度に曝露
された場合は非常に短い時間で活性が普通には失われる
からである。例えば、酵素のごときタンパク質は約60
℃に加熱することにより不活性化されるであろうし、ま
た実際活性はたとえ4℃であっても失われるであろう。
代表的な例としては、部分的に精製された血小板因子3
(PF−3)は4℃で貯蔵しても4日後にはその凝固活
性の大部分を失われることが報告されている(PF−3
はトロンビン発生を促進する触媒表面を提供する血小板
複合体と関連があるらしい)。このように活性の消失は
血小板分画を調製する際、それがたとえ薬物のキャリア
ーとして使用するものであっても、実質上医薬として使
用することを考える場合には非常に関心が持たれること
なのである。
【0016】血小板は、例えば約22℃で保存されたも
のであることができる。血小板保存にあたっては、例え
ばpHを6〜7.4の間に保つため、血漿に血小板を再
浮遊したり、薄壁厚の比較的大容量の保存パックを用
い、平板上で震盪し、酸素の取込みと、二酸化炭素の放
出を促進するとか、pHを維持する抗凝固剤を用いるな
どの工夫をすることができる。保存パックとしては、例
えばポリオレフィン・プラスチック製保存パックなどが
挙げられ、Fenwal PL732(Traveno
l社製)などとして市販されているものが挙げられる。
血小板保存は低温下での保存と、比較的体温に近い温度
下での保存とを交互に行って達成することも可能であ
る。例えば約4℃またはそれ以下の温度条件に約12時
間程度保存されたものを、約37℃で約30分間保存す
るということを繰り返すなどである。血小板保存は、本
発明の目的に沿って出来る限り血小板を損傷することの
少ない方法を選んで用いることができる。
【0017】ヒトに使用する血小板分画を調製する場合
は、もちろん無菌条件を使用する必要がある。全血輸血
と同様に、提供された血小板ユニットの使用は、受容者
をAIDS、肝炎および他の輸血関連疾患のごとき疾患
の伝染の危険に曝すことになる。別の危険性は多数回の
輸血後、受血者/患者に提供された血小板に対する抗体
が現れることである(これは同種免疫として知られてい
る)。そのような抗体は輸血された血小板を急速に破壊
する。さらに、貯蔵血小板の細胞感染はその使用に重大
な危険をもたらす。したがって、血小板供与者が血小板
受容者となることは好ましい。
【0018】本発明で用いる血小板は、通常の方法で得
られ医薬および診断生成物として提供されるものを使用
できる。この生成物は血液凝固薬活性を持つ血小板分画
製剤を含み、出血を制御するために全血小板の代わりに
使用され、傷治療を促進する為に局所的に使用され、あ
るいはインビトロおよびインビボにおいて診断薬として
使用されるものであることができる。本発明で用いる血
小板は、代表的には活性なウイルスを含んでいないもの
である。この血小板製品を作る方法においては、ウイル
ス混入並びに細菌混入を減ずるまたは除去するために血
小板分画製剤の熱処理、化学処理などを含んでいてよ
い。このように熱処理されていても、その前血液凝固活
性および止血活性は保持されているものであることがで
きる。例えば、血液凝固活性の顕著な損失がなく、少な
くとも8週間(90%以上保持)4℃で貯蔵できるもの
であることもできる。該活性が凍結乾燥後でさえも保持
され(90%以上)、さらにタンパク質およびリン脂質
含量が凍結乾燥後および長期間の貯蔵後にも変化しない
ものであってよい。
【0019】本発明用いる血小板は、非免疫性であり、
特にクラスI HLA抗原決定基に関して非抗原性であ
るものであることもできる。特に特定の輸血受容者に対
する血小板の適合性が提供者の遺伝的特性により制限さ
れないものが好ましい。本発明で用いる血小板は期限切
れの血小板から製造されてもよい。典型的には、病院な
どで輸血のため血小板を室温で3日から5日保存してい
たもので、例えば、それ以後の血小板で使用不可能と考
えられた“期限切れ血小板”として捨てられるものから
調製されたものでもよい。本発明の医薬品及び診断薬は
そのような期限切れの血小板から製造してもよい。それ
故、本発明はこれまで有用でないとして捨てられていた
多量の血小板が使用できる。
【0020】血小板は新しく集められたものでもよいし
期限切れの血小板でもよい。期限切れの血小板とは約4
℃から室温の間の温度で少なくとも3日間貯蔵された血
小板を意味している。期限切れの血小板とは、受け入れ
られている慣例に従うと輸血品としての使用にはもはや
適さないとして捨てられていたものである。本発明で用
いる血小板は活性なウイルスを除くために処理されたも
のであることができ、活性なウイルスを含まないとは、
生成物が例えばHBV、NANBHV、CMVまたはH
IVのごときそこに存在するどのようなウイルスをも不
活性化または破壊するのに十分な条件に委ねられること
を意味する。そのような条件としては抗体、エタノー
ル、紫外光、有機溶媒−界面活性剤およびフェナンスロ
リンキレート剤を含む処置が挙げられる(“血漿生成物
におけるウイルスの不活性化”、モルゲンターラー
(J.J.Morgenthaler)監修、Curr
ent Studies in Hemotology
and BloodTransfusion,No.
56,Karger,N.Y.1989,を参照された
い)。ウイルス不活性化の好適な方法としてはウイルス
を不活性化または破壊する程度まで熱処理することが挙
げられる。
【0021】血小板はまた輸血された時のその免疫原性
を減少または除去するために、何らかの処理のされたも
のであってよい。例えばステロイドは、血小板特異抗原
やHLA抗原に対する抗体による問題を減少せしめるの
に有効である。血小板はプールされた血小板から調製さ
れたものであることもできる。好ましい血小板は非免疫
原性、非同種免疫原性およびHLA決定基(特にクラス
I HLA決定基)に対して非免疫原性であるものが挙
げられる。ここで非免疫原性とは数回の輸血などの後、
患者が輸血された生成物の治療効果を妨害するのに十分
な免疫応答を身につけないことを意味している。ここで
非同種免疫原性とは数回の同種免疫原から調製される物
質の輸血後、患者が同種抗原に対して検出可能な免疫応
答を示さないことを意味している。検出可能とは同種抗
原に対する血清抗体がドット検定のごとき慣用の技術を
用いては検出できないか、または、同種抗原に対する免
疫応答が輸血された生成物の治療効果を妨害するのに十
分でないことを意味している。血小板はターゲッティン
グ細胞との付着性を高める処理を施されたものであるこ
ともできる。また血小板の構造の一部を加工したり、血
小板の機能を遺伝子操作や血小板作用薬、例えば抗血小
板薬などにより変えたりしたものであってよい。
【0022】最近では、血液を供血者あるいは本人自身
から連続的に取り出し、これを連続的に遠心分離した
り、血液成分捕捉フィルターなどにより血小板浮遊液あ
るいは血小板濃縮液をとり、残りの血液成分は提供者に
返すという、連続成分採血装置を用いた方法、例えば、
(プラズマ)フェレーシスの原理による製造も知られて
いる。代表的には、間歇血流式血液成分分離装置であ
り、血液は連続的に抗凝固化されて回転する遠心ボウル
に入り、遠心により種々の成分が分離され、引き続いて
分離採取パックに送られ、残りは必要に応じ補充液を添
加され血液に戻される。こうした装置としては、例えば
Haemonetics社製の装置が挙げられる。連続
血流式血液成分分離装置も、IBM社製、Amico社
製、Travenol社製などの装置が知られており、
血液が連続的に遠心ボウルにポンプで送られて入り、遠
心ボウル内を移動する間に遠心により種々の成分が分離
され、分かれた成分は別々にかつ連続的に取り出され、
供血者に戻されるか、採取されるかするものである。例
えばFenwal CS−300(Travenol社
製)などの分離装置が挙げられる。
【0023】血小板は冷凍保存により、大量な貯蔵を可
能にしたり、血小板フェレーシスで得られた自己血小板
の計画的な保存が可能であり、大きな利点がある。血小
板を冷凍保存するには、実質的に凍結により血小板に障
害を与えないように、凍結速度を慎重にコントロールす
ることが好ましい。またジメチルスルホキシド(DMS
O)、グリセロールなどの凍害保護剤を用いることもで
きる。DMSOなどを用いた場合、血小板は輸血前に洗
浄され、血漿あるいは調製溶液に再浮遊されて使用され
る。またプロスタサイクリン類似誘導体、ヒドロキシエ
チル・スターチ(HES)、フィコールなどを凍害保護
剤として用いることもできる。
【0024】フェレーシスの原理による製造において、
血液成分吸着フィルターを用いるものも使用できる。例
えば、血液または抗血液凝固剤を加えた血液をカラムに
血小板を捕捉できる物質を詰めたフィルターに通し、次
に上記フィルターに生理的溶液からなる血小板回収液を
流して回収することによっても得られる。血小板の分離
フィルターとしては、血液から血小板を捕捉でき、フィ
ルター内を洗浄することにより損傷の少ない血小板が回
収できるものである。このフィルターとしては、カラム
に血小板を捕捉できる物質、例えば繊維状物質あるいは
有機高分子の粒子、又は血小板が通過できる程度の孔を
持つ多孔体で血液を凝固させたり、変性させたりしない
ものを詰めたものが挙げられる。ポリアクリロニロリル
系の合成繊維、他の合成繊維、半合成繊維、天然繊維な
ど繊維状物質を詰めたものが挙げられる。
【0025】例えば、0.6デニールの長さ4cm〜7
cmのポリアクリロニロリル系合成繊維を直径2cm、
長さ104cmのカラムに2.5g詰めた血小板分離フ
ィルターや0.4デニールの長さ4cm〜7cmのポリ
アクリロニロリル系合成繊維を直径0.8cm、長さ1
04cmのカラムに0.65g詰めた血小板分離フィル
ターなどが挙げられる。米国特許第4,073,723
号、特公昭62−37008号公報に記載の方法あるい
はその改良法などによって得ることができる。血小板回
収液としては、生理食塩水、リンゲル液、乳酸リンゲル
液、経静脈栄養輸液用総合アミノ酸注射液などが挙げら
れる。血小板を粘着せず、白血球などを選択的に吸着す
るフィルターを用いることもできる。例えばヒドロキシ
エチルメタクリレートとジエチルアミノエチルメタクリ
レートのランダム共重合体をコートしたフィルターなど
が挙げられる。このようなフィルターは輸血直前の血小
板を他の成分、薬物などから分離するのにも使用でき
る。また血小板を他の各種の血液成分、薬物などから分
離するに当たっては、その目的などに応じて、セファロ
ース(Sepharose)CL−28(Pharma
cia社製)などのカラムを用いたり、ショ糖、フィコ
ールなどを用いての密度勾配による方法、電気泳動法な
ど、中空糸などを用いた血漿交換あるいは濾過装置など
を用いた透析などの方法、あるいはそれらの方法を組合
わせた方法などによることができる。
【0026】血小板液を製造に使用される抗血液凝固剤
を加えた血液としては、ヘパリン、ACD、CPD、C
PD−A1、CPD−A2、その他の抗血液凝固剤を加
えて凝固しないようにしたものが挙げられる。薬物を血
小板内に取り込ませる場合、クエン酸、クエン酸ナトリ
ウム、それらに場合によりブドウ糖、リン酸二水素ナト
リウム,アデニンを加えたものなどを抗血液凝固剤とし
て用いたものが好ましく利用できる。例えば白金錯体抗
腫瘍性化合物の場合、クエン酸またはその塩を含有する
生理的な等張液中の血液から遠心により得られた血小板
においては、顕著な該白金錯体抗腫瘍性化合物の取込み
をを達成できる。こうして少なくとも有効量の薬物の所
定部位への生体内送達を可能にする。特に、抗腫瘍性薬
物、例えば白金錯体、マイトマイシンC系化合物、アン
トラサイクリン系化合物、インターフェロン、TNFな
どのサイトカインの有効量の所定部位への生体内送達を
可能にする。
【0027】血小板薬物送達システム組成物は、血小板
内あるいは血小板上に生物学的又は薬理学的に活性な薬
物の有効量を実質的に運搬可能に含有または付着せしめ
ることにより得ることができる。血小板内に該生物学的
又は薬理学的に活性な薬物を導入するに当たっては、各
薬物の特性を利用した方法のなかから選んで用いること
ができる。例えば、血小板内に生物学的又は薬理学的に
活性な薬物の有効量を実質的に運搬可能に含有せしめる
には、血小板の貪食を利用する方法、取込みを利用する
方法、受動拡散による方法などが挙げられる。また血小
板に生物学的又は薬理学的に活性な薬物の有効量を実質
的に運搬可能に付着せしめるには、マイクロカプセルな
どの薬物担体などの血小板膜への付着方法、薬物自体に
血小板膜に付着する因子の構造部分を導入したプロドラ
ッグとする方法などが挙げられる。さらに、該薬物は、
電気パルス法、ショット・ガン法、ポリエチレングリコ
ールなどの細胞融合剤による融合法、圧力、浸透圧など
を利用した方法などで、血小板内に打込んだりして導入
できる。
【0028】薬物は血小板に配置するに好ましい形態に
予め変えておくことが出来る。この様なものとしては、
薬物をリポソームあるいはミクロスフェア(微小球)内
に詰める、あるいは捕捉させるものである。薬物を血小
板に配置する場合に用いられる担体としては、好ましく
は1又はそれ以上の高分子、巨大分子、生体内分解性あ
るいは生体内適合性の合成、半合成または天然の化合物
などが挙げられ、担体形態としては、例えば微小集合
体、微小粒子、ミクロスフェア、ナノスフェア、リポソ
ーム、マイクロエマルジョンなどが挙げられる。担体と
しては、医薬製剤の分野で知られたもののうちから目的
用途などに応じて適宜選択して用いることができる。該
薬物の血小板内への導入に際しては、血小板の有する機
能・特性を利用して行うことができる。こうした血小板
薬物送達システムに利用可能な血小板の機能・特性とし
ては、大きくは血小板の貪食等の機能を利用するものが
挙げられる。血小板を幾らか活性化するとその貪食作用
が高められる。血小板を高度に活性化すると粘着性が亢
進し過ぎたり、凝集を生起させるので注意する必要があ
る。血小板は適当な方法で不活性化することもできる。
【0029】血小板の貪食はこれまで墨汁やラテックス
を用いた研究が知られているが、血小板では顆粒球等の
貪食と異なり血小板に特有な開放性細管系(OCS)や
小胞への取り込みが主体となっている。(図1参照) この非常に強力な血小板の貪食の能力を利用し、生物学
的又は薬理学的に活性な薬物を実質的に運搬可能に製剤
化したものを貪食させ、薬物輸送に利用できる。薬物は
血小板により貪食されるに好ましい形態に予め変えてお
くことが出来る。貪食にはリポソームあるいはミクロス
フェア(微小球)内に詰めるあるいは捕捉させられた薬
物としたものが使用でき、さらに薬物担体やその形態と
して、例えば、好ましくは1又はそれ以上の高分子、巨
大分子、微小集合体、微小粒子、ミクロスフェア、ナノ
スフェア、リポソーム、マイクロエマルジョンなどのを
用いたりすることができる。
【0030】血小板の貪食の能力を利用するには、そう
した薬剤形態に製剤化された薬物を用いることができ、
好ましくは貪食に適した粒子とされたものが挙げられ
る。血小板と接触せしめられ、血小板に貪食せしめられ
る薬物は、単なる微粉末粉体であることもできる。本発
明で利用される製剤補助剤は、医薬あるいは診断薬など
の分野で知られたり、用いられているもの、あるいはそ
れらに基づいて開発されたもののうちから、本発明の目
的、所要の作用効果などを勘案して用いることができ、
例えば合成あるいは半合成の物質、天然物質あるいはそ
の修飾体、無機物質、複合物質などが挙げられる。特に
合成あるいは半合成の高分子物質、天然あるいはその修
飾高分子物質などが挙げられる。
【0031】生物学的又は薬理学的に活性な薬物を製剤
補助剤からなる連続相を形成しているマトリックス中に
均一又は不均一に溶解あるいは分散したものに製剤化し
たものを血小板と接触してもよい。マトリックスとして
は、不溶性マトリックス型、溶解性マトリックス型、非
酵素的分解マトリックス型及び酵素的分解マトリックス
型のいずれであることもできる。不溶性マトリックス型
では、エチレン・酢酸ビニル共重合体、シリコンなどが
製剤補助剤として挙げられる。溶解性マトリックス型で
は、合成高分子、半合成高分子などが挙げられ、例えば
ポリアクリル酸、ポリビニル・アルコール、アクリルア
ミドメタアクリレート・ビニルピロリドン共重合体、レ
シチンなどが製剤補助剤として挙げられる。非酵素的分
解マトリックス型では、乳酸とグリコール酸との共重合
体、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカ
ーボネート、ポリアセタール、ポリケタール、ポリオル
トエステルなどが製剤補助剤として挙げられる。酵素的
分解マトリックス型では、キチン、グリコシド結合含有
物、ペプチド結合含有物、リン酸結合含有物などが製剤
補助剤として挙げられる。
【0032】また該薬物を膜内に入れるようにして製剤
化したものを、血小板と接触してもよい。膜用の製剤補
助剤としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体、シリコ
ン、エチルセルロース、ポリエチレングリコール、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
メチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチル
セルロース、セルロースアセテートフタレート、ヒドロ
キシメチルセルロースアセテートスクシネート、メタア
クリル酸アクリル酸エチルコポリマー、メタアクリル酸
アクリル酸メチルコポリマー、メタアクリル酸メタアク
リル酸メチルコポリマーなどのアクリル酸系ポリマー
(オイドラギット(商標名)類)、ポリビニルピロリド
ン、糖、食塩等、酢酸セルロース、ポリビニルブチラー
ル、ポリエチレンなどが挙げられる。
【0033】膜は例えば、薬物をコーティングして形成
させることが可能である。コーティングには、それ自体
公知の方法が採用でき、例えば、パンコーティング法、
流動コーティング法、転動コーティング法などによりお
こなうこともできる。陽イオン交換樹脂や陰イオン交換
樹脂に薬物を担持し製剤化したものを、血小板と接触し
てもよい。また活性炭、リン酸アルミニウム、水酸化ア
ルミニウムなどに該薬物を吸着させたものを用いること
もできる。アルブミン、ゼラチン、コラーゲン、フィブ
リノーゲン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ−β−
ヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン及びこれらの共重
合物、ポリオルソエステルなどを製剤補助剤として用い
たミクロスフェアを、血小板と接触してもよい。
【0034】製剤補助剤に加えて、例えば、薬学的に許
容しうる適当な安定化剤、浸透圧剤、着色料、着香料、
甘味料、保湿剤、充填剤、乳化剤、増粘剤、緩衝剤、ゲ
ル形成剤、酸化剤、酸性化剤、抗酸化剤、還元剤、pH
調節剤、防腐剤、等張力賦与剤などを用いてもよい。血
小板と接触せしめられる薬物は、単に生体適合性を有す
るか、生体内で分解性のポリマーなどの担体と共に乳化
したものであることができる。ポリマーとしては、L−
乳酸ホモポリマー、D,L−乳酸ホモポリマー、L−乳
酸・グリコール酸コポリマー、D,L−乳酸・グリコー
ル酸コポリマー、乳酸とラクトンとのコポリマー、乳酸
とポリエチレングリコールとのコポリマー、ポリ−β−
ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸と4−ヒドロキシ
酪酸とのコポリマー、分子の両末端に2個の水酸基を有
する化合物とコハク酸、リンゴ酸、クエン酸等のような
両末端に2個以上のカルボキシル基を有する化合物ある
いはそれらの酸無水物とのコポリマーなどが挙げられ
る。
【0035】乳化法としては、断続振盪法、プロペラ型
攪拌機あるいはタービン型攪拌機などを備えたミキサー
による方法、コロイドミセル法、ホモジュナイザー法、
超音波照射法などを適用して行うことができる。血小板
と接触せしめられる薬物は、水溶性又は水不溶性ヒドロ
キシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ヒドロキシメチルセルロース、あるいは糖類、蛋白
質類、アミノ酸類、塩化ナトリウム、アラビアゴムなど
のガム質物質、グルカン類、硫酸化グルカン類の1種又
は2種以上を配合して製剤化されたものであることがで
きる。
【0036】該糖類としては、例えば、シュクロース、
グルコース、トレハロース、麦芽糖、果糖、イノシトー
ル、アミロース、マンノース、マンニット、ガラクトー
スなどが挙げられる。該蛋白質類としては、例えばカゼ
イン、アルブミン、ゼラチン、卵白、コラーゲン、コラ
ーゲン分解物、カゼイン加水分解物、血清、血漿、乳蛋
白質などが挙げられる。該アミノ酸類としては、例え
ば、システイン、フェニルアラニン、グリシン、ロイシ
ン、アスパラギン酸、グルタンミンなどが挙げられる。
グルカン類としては、例えばデキストラン、シクロデキ
ストラン、プルラン、カードラン、デンプン、ヘパリン
などが挙げられ、硫酸化グルカン類としては、デキスト
ラン硫酸、シクロデキストリン硫酸、β−1,3−グル
カン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラト硫酸
などが挙げられる。製剤化においては、通常の混合攪拌
造粒などに用いられる装置でおこなうことができ、該装
置としては、例えば、乳鉢、流動造粒機、転動造粒機、
ミキサー、グラニュレーターなどが挙げられる。
【0037】血小板と接触せしめられる薬物は、脂質、
ろう、油など、例えば、フォスファチジルコリン、ホス
ファチジルエタノールアミン、フォスファチジルイノシ
トール、フォスファチジルセリン、ホスファチジルグリ
セロール、ホスファチジルエチレングリコール、ホスフ
ァチジルポリエチレングリコール、スフィンゴマイエリ
ン、プラズマロゲン、カルジオリピン、カルナウバロ
ウ、カンデリラロウ、ベイベリーロウ、オウリキュリー
ロウ、エスパルトロウ、ミツロウ、サラシミツロウ、昆
虫ロウ、鯨ロウ、セラックロウ、羊毛ロウ、マイクロク
リスタンワックス、パラフィンワックス、パラフィン、
白色ワセリン、半流動パラフィン、流動パラフィン、軽
質流動パラフィン、エチレングリコール脂肪酸エステ
ル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリ
セリン脂肪酸エステル、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、オリ
ーブ油、ラッカセイ油、ヤシ油、硬化ヤシ油、大豆油、
硬化大豆油、ナタネ油、硬化ナタネ油、綿実油、ゴマト
ウモロコシ油、ツバキ油、カカオ油、豚油、牛脂、パー
ム油、硬化脂、硬化魚油、硬化鯨油などと配合して製剤
化されたものであることができる。製剤形態としては、
上記した乳化剤、懸濁剤、分散剤であることができる。
【0038】ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、
ポリグリセリンと脂肪酸とのエステルで、モノエステ
ル、ジエステル、又はポリエステルのいずれであっても
よく、ポリグリセリンとしては、それが直鎖状あるいは
分岐したものでもよく、例えば、ジグリセリン、トリグ
リセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキ
サグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、
ノナグリセリン、デカペンタグリセリン、デカエイコサ
グリセリン、トリアコンタグリセリンなどが挙げられ、
好ましくはジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリ
セリンなどが繁用される。脂肪酸としては、例えば、炭
素数1〜40、好ましくは1〜22の飽和または不飽和
脂肪酸あるいは高級脂肪酸などが挙げられ、例えば、パ
ルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、
リノレン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソオクタ
ン酸、アジピン酸、ジカプリル酸、ジイソオクタン酸、
トリ−2−エチルヘキサン酸、ジオクタン酸などが挙げ
られる。
【0039】被貪食粒子のサイズは0.1〜3.0μm
のものを用いることができる。場合によってはさらに小
さなサイズのものであることもできる。より好ましい被
貪食粒子のサイズは0.5〜2.0μmのものを用いる
ことができる。血小板サイズは2〜4μmであるが貪食
の際は表面積を増やし、1μmの粒子を1〜3個程度取
り込むことができる。薬剤をマイクロカプセルや難溶性
の粒子として貪食させる場合はこの数値から薬物送達能
力を計算して血小板薬物送達システム組成物を設計する
ことが好ましい。液性の薬剤の場合、そのままでも薬剤
を血小板内に取り込ませることができる。しかし、所定
の薬剤濃度を得るための処理を薬剤に加えたり、血小板
に加えたりすることが好ましい。血小板にはその骨髄巨
核球の成熟過程で薬物を取り込ませておくこともできよ
う。
【0040】薬物の取り込みにはセロトニンなどの低濃
度の場合だけに認められる能動輸送のメカニズムを利用
することもできる。この場合、薬物はセロトニンなどの
能動輸送チャンネルと親和性の高い構造をそこに導入し
ておくことが好ましい。こうした場合の例としては、ア
ミノ酸等の能動輸送物質あるいはその一部の構造を利用
したプロドラッグなどとすることが挙げられる。薬物の
取り込みには、また他の受動拡散のメカニズムを好まし
く用いることができる。受動拡散のメカニズムを利用す
る場合、核酸、例えばDNAとかRNAなどに付着しや
すい構造や、膜透過性が高い構造のプロドラッグに薬物
を修飾したり、そうした薬物用担体や薬物用製剤形態に
し、例えば血小板内で加工あるいは代謝処理されるなど
して、薬物を利用しうる形態にすることが挙げられる。
例えば、脂溶性の薬物をプロドラッグとして提供して血
小板に入れ、細胞内に存在するアセチルコリン・エステ
ラーゼなどにより水解して、活性薬剤にに戻すこともで
きる。取り込んだ物質の貯蔵場所は主に濃染顆粒、α顆
粒であるが、血小板の活性化を利用した薬物送達システ
ムでは濃染顆粒に入れることが有利である。濃染顆粒は
ADPやエピネフリン、低濃度のトロンビン等の弱い刺
激で放出されるのでα顆粒に入る場合より放出が確実と
考えられる。また薬剤は、血小板細胞質に入れることも
できる。
【0041】本発明は、血小板薬物送達システムを用い
ての治療コントロール方法も提供する。それは血小板の
代謝ルートを利用するものである。血小板寿命は測定方
法により値がかなり異なるが、一般には約9日〜10日
といわれている。そして骨髄の巨核球から生まれた血小
板は全身を循環しつつ老化し、網内系のうち主として肝
臓、脾臓、あるいは骨髄で破壊されるといわれる。しか
し、どれが破壊の主要な臓器かは報告に統一性がなく明
確でないが、 111In標識血小板によるシンチグラムを
見る限りでは肝、脾に多く集積していることからここで
主に寿命を終えるとも考えられる。この事を利用し、血
小板薬物送達システムを用いて薬物送達のコントロール
が可能である。血小板薬物送達システムの血小板の寿命
が、5日程度の場合、例えば、4日〜6日程度の投与サ
イクルでは、血小板薬物送達システムは肝、脾を標的臓
器としているとすることがいえよう。
【0042】また末梢血から血小板を取り出すと、そこ
に含まれる血小板の老若はランダムの状態であり、その
血小板に薬物を取り込ませて体内に戻すと、循環した血
小板は老化したものから順に9日間にわたり標的臓器へ
運ばれて代謝されることとなる。つまり代謝ルートの上
流から24時間、あたかも徐放システムのように薬剤を
運び込むことが可能な方法を提供できる。しかも薬剤が
血中を循環せず副作用も少ない。特に、不安定な薬物ほ
どその使用量にメリットの大きい投与方法を提供でき
る。本発明はこのような原理を利用するかぎりすべての
応用を含むものである。
【0043】本発明は、血小板薬物送達システムを用い
て更なる薬物のターゲッティングを行う方法も提供す
る。それは血小板の活性化を利用するものである。血小
板は異物や傷、癌細胞で粘着、活性化して血小板内の物
質を放出する性質を持っている。従って活性化を利用す
る場合これらが標的となることが有利である。癌細胞で
は血小板凝集物質を放出するか、細胞膜表面に凝集惹起
物質が発現するために、血小板の凝集を引き起こすと考
えられており、抗血小板剤で転移の抑制に効果があるこ
とからも血小板が癌細胞に粘着し、そこで活性化するこ
とは間違いないと考えられる。こうして、例えば、血小
板をIFNや抗癌剤のキャリアーにして、癌細胞をター
ゲッティングすることが挙げられる。
【0044】血小板の活性化は強烈で、形態変化ととも
に血小板内のα顆粒、濃染顆粒、リソゾーム等の内容も
放出され、さらに周辺の血小板の凝集も引き起こす。こ
うして血小板内の薬物が放出される。活性化は付着とい
う最短距離で行われる上、他の血小板との接着で網をか
ぶった状態になり、高分子の薬剤の滞留時間は長くなる
と予想される。たとえて言えば、シャワーしたあと濡れ
タオルで包むような効果が期待できる。しかも血中薬剤
濃度を上げないピンポイント攻撃ができ、高濃度の薬剤
が使える。さらに接触時間、濃度、薬剤使用量にメリッ
トがあり効果が期待される。
【0045】血小板薬物送達システムは、腫瘍細胞、腫
瘍血液細胞などの移動する新生物組織、構造的に異常な
血管の付近、新しい脈管、または腫瘍部位において炎症
を起こしているような血管に集中させることが可能であ
り、所要の薬物濃度を達成することを助ける。血小板薬
物送達システムは、腫瘍において見られるような炎症性
の脈管及び構造的に異常な脈管の中で循環する血小板に
近づくようになる血管壁の内皮下の組織成分に対して特
異性を示す。そのような標的としては、フィブロネクチ
ン、ラミニン、IV型コラーゲンなどが挙げられる。血
小板薬物送達システムは、血管壁、炎症を起こした血管
の直ぐ近くの環境、または腫瘍の壊死領域において、血
液凝固のカスケードに関与する活性化された成分ととも
にそこで特異性を示す。そのような成分としては、フィ
ブリン、フィブリン分解産物、トロンビン、補体系成
分、細胞付着分子、ペルオキシダーゼなどが挙げられ
る。
【0046】血小板薬物送達システムは、正常な脈管で
なく、炎症を起こした血管における内皮細胞で選択的に
発現される物質に対して特異性を備えている。そのよう
な物質は、炎症を起こした血管壁への多形核白血球の付
着の原因として同定されてきた種々の細胞付着分子が挙
げられる。血液凝固産物フィブリンは、特に好ましい標
的となる。血管において内皮下の区画に配置されかつ構
造的に異常性あるいは透過性の変化により明らかにされ
るフィブロネクチン、単核細胞走化性フィブロネクチン
・フラグメントは、血小板薬物送達システムのターゲッ
トとして好ましいものとすることができる。
【0047】フィブリンは、正常な生体内では血流中に
は存在しないで、その前駆体としてフィブリノーゲンと
してのみ存在するものである。同様にフィブリンは、正
常な組織あるいは組織液中には存在しない。それは正常
で無傷な血管内皮を横切って血液から入ることができな
いからである。ところが一旦血管内皮の損傷あるいは特
殊な条件下、例えば腫瘍などにより透過性などが亢進さ
れていたりすると、フィブリノーゲンを脈管内での血餅
形成などの血液凝固に関連した活性化を通じて急激にフ
ィブリンに変換しうるような組織にフィブリノーゲンは
入っていく。こうしてフィブリンの沈着が発生する。
【0048】腫瘍では、フィブリンの微量沈着が、毛細
血管の新芽のところ、あるいは完全な内皮の内層を欠い
ている血液通路の近傍に存在することが知られている。
これら内皮下の組織成分は、病変形成により血管を流れ
る血液に曝されることになり、血小板薬物送達システム
により結合あるいは包み込みが起こることになる。本発
明の血小板薬物送達システムは、内皮表面レセプター、
表面酵素、内皮表面を覆っている物質、内皮のすぐ下に
存在している物質を介して血管内皮等と結合し、特定の
疾患部位に沈着、曝露され、あるいは変化し、運搬薬剤
を供与する。
【0049】血小板薬物送達システムは、内皮下の組織
成分、例えば、フィブリン、フィブリン分解産物、トロ
ンビン、補体系成分、細胞付着分子、ペルオキシダーゼ
などに選択的に付着する。腫瘍の脈管構造、または新し
い脈管構造と競合するような脈管構造に存在する、腫瘍
部位、炎症を起こした組織、腫瘍、及び腫瘍と類似した
性質の脈管構造を持つ部位へ特異的に薬物を局在化する
ことが可能である。血小板薬物送達システムには、より
治療部位へのターゲッティングを達成するため、あるい
は治療部位でのより効率的な薬物供与を達成するため、
特に通常の治療目的の薬物に加えて、血管作動性薬剤あ
るいは血小板の活性化あるいは粘着に関連した薬物を配
置させておくこともできる。また、ある場合にはカルシ
ウム拮抗薬として知られた化合物あるいはそれに類似し
た作用をもつ化合物を用いることもできる。
【0050】血管作動性薬剤としては、タキキニン(t
achykinin)あるいはその誘導体、例えばフィ
サレミン(physalemin)、エレドイシン(e
ledoisin)、サブスタンスP、フィロメダシン
(phyllomedusin)などが挙げられ、炎症
性物質、例えば、マストパラン(mastopara
n)、ベスタチン(besutatin)などが挙げら
れ、またロイコトリエンあるいはその誘導体、例えば、
A4、B4、C4、D4、E4などが挙げられ、さらに
アナフィラトキシンあるいはその誘導体、例えば、C3
a、C5aなどが挙げられる。さらに血小板の活性化あ
るいは粘着に関連したもの、例えば、血液凝固因子VI
II因子、インターロイキン−1 レセプター、内皮性
トロンボデュリン、内皮組織因子、内皮下組織部分、G
P IIb/IIIaグリコプロテイン・コンプレック
ス、走化性因子ECF−A、プロテアーゼ、例えば、ト
リプシン、トロンビンなど、きのこあるいは酵母などの
微生物が産生するグルカン、血小板活性化因子(PA
F)、プロスタグランジンなどが挙げられる。カルシウ
ム拮抗薬としては、ベンゾジアゼピン系誘導体、ジヒド
ロピリジン系誘導体などが挙げられる。
【0051】本発明に従えば、腫瘍を治療するための方
法が提供される。その方法は、腫瘍の宿主に血小板薬物
送達システムを投与する工程を含み、そこにおいて細胞
障害性の薬物、例えば、腫瘍障害性の抗体、抗腫瘍剤、
免疫賦活性薬物、及び細胞毒を持つ薬物から成る群から
選ばれたものを腫瘍組織の部位に集中する能力を持つ血
小板薬物送達システムを用いて腫瘍組織に結合させ、つ
いで血小板破壊を誘起あるいは血小板からの薬物放出を
誘起させる工程を含む。本発明に従えば、腫瘍を診断す
るための方法が提供される。その方法は、腫瘍の宿主に
血小板薬物送達システムを投与する工程を含み、そこに
おいて腫瘍認識抗体、標識細胞障害性の薬物、標識抗腫
瘍剤、標識免疫賦活性薬物、標識された細胞毒を持つ薬
物から成る群から選ばれたものを腫瘍組織の部位に集中
する能力を持つ血小板薬物送達システムを用いて腫瘍組
織に結合させ、ついで血小板破壊を誘起あるいは血小板
からの薬物放出を誘起させる工程を含む。
【0052】薬物のうち特定のもの、例えば、モノクロ
ーナル抗体などの抗体あるいは抗体フラグメント、微生
物から得られたグルカン等の高分子、あるいは巨大粒子
と、生物学的活性を物質とは、化学的あるいは物理的に
結合されていることができる。化学的な結合は安定的結
合を形成するものと考えられるが、それぞれの生物学的
な活性の減少が少なくなるように選ばれることが望まし
い。
【0053】標的部位に本発明の血小板薬物送達システ
ムをより効率良く送達するため、血小板に、特定の標的
部位が発現する抗原あるいはその他の標識を認識するこ
とのできるタンパク質、例えば、特異抗体などを発現す
ることのできる「カセット」を配置することが挙げられ
る。こうした「カセット」で形質転換された血小板に所
望の薬剤を配置し、標的部位に薬剤を選択的に集める技
術も提供できる。「カセット」としては、ウイルス由来
のベクター、プラスミドベクター、ミトコンドリア遺伝
子に、DNA配列を組み込んだものなどが挙げられる。
【0054】本発明では、血小板薬物送達システムを用
い、血小板の遠隔操作システムとしての利用を行うこと
にも関する。血小板はその活性化について調節が可能で
あることからそれを利用して特定部位に血小板薬物送達
システムを集めたり、薬物を血小板薬物送達システムか
ら放出することをコントロールすることができる。活性
化の抑制はin vivo、in vitroのどちら
でも、例えば、アスピリン等の薬剤投与で簡単に行える
という特性を有している。活性化の亢進は血小板薬物送
達システムではin vivoの使途で用いうる。ま
た、薬剤キャリアにした血小板を標的に付着させた後、
トロンビン等の活性化物質を投与して薬剤の放出を促
す。こうして血小板活性化物質と組み合わせての薬物投
与の制御技術が提供される。ステロイドは、血小板特異
抗原やHLA抗原に対する抗体を抑制するので本発明の
血小板薬物送達システムと一緒に用いて、自己抗体など
の問題を減少せしめるに有用と考えられる。本発明はこ
のような思想を利用するものもすべてをその範囲内のも
のとする。
【0055】本発明では、血小板薬物送達システムを用
い、図2に示すような系を構築できる。この系では、ま
ず患者などから血液成分分離装置その他により血小板を
取り出し、前述の方法で薬剤の取り込みをさせた後患者
の体内へ戻す。その操作は普通簡単で、所要時間は約2
〜3時間である。この処理を一定の時間を置いて行うこ
とができる。こうして薬物の投与量を自由に調節でき
る。超高濃度の薬剤を処方する場合には取り込みされず
血漿中に残った薬剤を大型の遠心機で遠心して除く等の
処理をすることにより、より適切な作用効果を達成でき
る。例えば、抗腫瘍性薬物を用いた治療において、定常
的あるいは一定の間隔でまたは任意の間隔で薬物担持血
小板(血小板薬物送達システム)を輸血すると共に、所
要の吸着処理を血液に施したり、血液透析処理を施した
りして、薬物の血中濃度を調節したり、血液中の薬物担
持血小板の量を調節したりして、ターゲッティングをよ
り効果的にするなどである。
【0056】こうして、本発明に従えば、血小板薬物送
達システムを用いた治療システムを構築することができ
る装置が提供される。このような装置は、全血から実質
的に血小板を分離する手段、及び血小板液と生物学的又
は薬理学的に活性な薬物とを実質的に接触させ、血小板
内あるいは血小板上に生物学的又は薬理学的に活性な薬
物を実質的に運搬可能に含有または付着せしめ、血小板
薬物送達システム組成物を調製するための手段を持つこ
とを特徴とする血小板薬物送達システム組成物製造装置
からなるものである。該装置は、さらに血液を生体から
採取しうることを可能にする手段、採取された血液から
実質的に血小板を分離する手段、血小板液と生物学的又
は薬理学的に活性な薬物とを実質的に接触させ、血小板
内あるいは血小板上に生物学的又は薬理学的に活性な薬
物を実質的に運搬可能に含有または付着せしめ、血小板
薬物送達システム組成物を調製するための手段、得られ
た血小板薬物送達システム組成物を生体に投与すること
を可能にする手段を持つことを特徴とする血小板薬物送
達システム組成物製造装置であることができる。
【0057】該装置において、採取された血液から実質
的に血小板を分離する手段は、遠心分離を行い、血小板
以外の赤血球や白血球、血漿成分などを体内に戻すこと
の出来る装置であることができる。その装置は、公知の
もの、市販のものあるいはそれらを目的に応じ改変した
ものが挙げられ、例えば間歇血流式血液成分分離装置の
場合、血液は連続的に抗凝固化されて回転する遠心ボウ
ルに入り、遠心により種々の成分が分離され、引き続い
て分離採取パックに送られ、残りは必要に応じ補充液を
添加され血液に戻されるが、分離採取パック中の血小板
は所要の薬物と処理される。こうした装置としては、例
えばHaemonetics社製の装置が挙げられる。
【0058】別の例として連続血流式血液成分分離装置
の場合、IBM社製、Amico社製、Traveno
l社製などの装置が知られており、血液が連続的に遠心
ボウルにポンプで送られて入り、遠心ボウル内を移動す
る間に遠心により種々の成分が分離され、分かれた成分
は別々にかつ連続的に取り出され、供血者に戻される
か、採取されるかするものであるが、分離採取パック中
の血小板は所要の薬物と処理される。例えばFenwa
lCS−300(Travenol社製)などの分離装
置が挙げられる。本発明においては、これらの装置を改
変したりして利用できる。また、該装置において、採取
された血液から実質的に血小板を分離する手段は、フェ
レーシス用繊維フィルターを含む装置であることもでき
る。該装置において、それぞれの手段を達成する装置
は、すでに市販されている(プラズマ)フェレーシス用
の装置に、血小板とその血小板に導入するための生物学
的又は薬理学的に活性な薬物とを接触あるいは反応せし
めることのできる装置、例えば、シリンジが組み合わさ
れているものであることができる。
【0059】本発明に従えば、上記血小板薬物送達シス
テム組成物製造装置に、薬物の生体内動態、代謝、また
血小板の生体内動態、代謝、さらに受容者の臨床動向を
監視する装置、例えば、免疫臨床監視システムとを組み
合わせること、そのための装置も提供する。こうした装
置は、市販の検査装置、監視・モニターリング装置など
でよいし、より効率的な効果をねらっての当業者が行う
ところの改良を加えたものであってもよい。血小板薬物
送達システムを用いて治療を行う場合、所要の薬物の血
中濃度、目的部位への薬物の局在化、薬物担持血小板の
代謝回転などを考慮して、薬物担持血小板(血小板薬物
送達システム組成物)の投与量、(プラズマ)フェレー
シスの量や頻度、血小板への薬物の担持量などを調節す
ることができる。こうした調節は、該装置を用いて自動
化して行ったり、プログラム化されているコンピュータ
ー制御されたコントロールの下で行うことができる。場
合によっては、標識化した薬物などを担持した血小板を
使用して、薬物の挙動、治療効果などをCT装置などで
監視しながら行うこともできる。
【0060】本発明の血小板薬物送達システム組成物の
対象となる生物学的又は薬理学的に活性な薬物として
は、生物学的又は薬理学的に活性な化合物、ワクチンあ
るいはその成分、例えば抗原又はその断片、タンパク
質、ムコタンパク質、ペプチド、多糖類、リポ多糖類、
核酸、例えばアンチセンスDNA、オリゴヌクレオチ
ド、遺伝子をコードするDNA、RNAなど、抗体、例
えばモノクロナール抗体などが挙げられる。
【0061】薬物はプロドラッグ化されたものであるこ
ともできる。このようなプロドラッグ体としては、血小
板内での代謝作用によりその薬物の活性体に転換させら
れるもの、血小板内に存在するエステラーゼなどの酵素
の作用を受けてその薬物の活性体に転換させられるも
の、加水分解作用、酸化・還元作用などの生理的あるい
は環境上の作用を受けてその薬物の活性体に転換させら
れるものなどが挙げられる。プロドラッグ化された薬物
の代表的な形態としては、アセトキシメチル・エステル
化したり、メチル・エステル、エチル・エステル、イミ
ダゾリド体、アンハイドライド体、活性化アリル・エス
テル、トリメチルシリル・エステル、t−ブチルジメチ
ルシリル・エステルなどのエステル化をなすことが挙げ
られる。
【0062】さらに本発明の血小板薬物送達システム組
成物の対象となる生物学的又は薬理学的に活性な薬物
は、その薬物に血小板との結合部位を導入したり、血小
板との結合部位を持つ薬物担体、例えば高分子、巨大分
子、微小集合体、微小粒子、ミクロスフェア、ナノスフ
ェア、リポソーム、マイクロカプセルなどに封入した
り、配合したりしたものであることができる。血小板と
の結合部位としては、血小板と実質的に付着して生体内
あるいは生体外で輸送可能であればよく、血小板表面と
の接着因子を利用したり、血小板表面膜上の糖鎖に親和
性をもつもの、血小板表面抗原に対する抗体又はその抗
体の一部、例えばFab断片を利用したりしたものが挙
げられる。血小板表面との接着因子としては、コラーゲ
ン、フィブロネクチン、フォン・ウィレブランド(vo
n Willebrand)因子、Arg−Gly−A
sp−Ser、ビトロネクチン、フィブリノーゲン、ト
ロンボスポンジンなどが挙げられる。血小板表面膜上の
糖鎖としては、例えばシアル酸糖鎖、高マンノース型糖
鎖、Ser/Thr結合型糖鎖、Asn結合型糖鎖など
が挙げられる。ポリアクリル酸部分を持つ薬物は、シア
ル酸糖鎖に付着させるのに利用できる。血小板表面抗原
としては、血小板膜表面に存在する糖タンパク質が挙げ
られ、例えばGP Ib、GP IX、GP V、GP
IIb/IIIa、GP Ia、GP IVなどが挙
げられる。特に該薬物と抗GP IIb/IIIa抗
体、抗GP Ib抗体、及び/又は抗GP IIIa抗
体とを結合してコンジュゲートとしたものなどが挙げら
れる。
【0063】本発明の血小板薬物送達システム組成物の
対象となる生物学的又は薬理学的に活性な薬物として
は、ホルモン類、生理活性ペプチド、生理活性タンパク
質、サイトカイン類などが挙げられ、例えば、インシュ
リン、グルカゴン、PP(Pancreatic Pe
ptide)、PSP(Pancreatic Spa
smolytic Peptide)、パンクレアスタ
チン、
【0064】成長ホルモン(ソマトトロピン)、カルシ
トニン類(例えば、ブタ、ヒト、サケ、ニワトリ、ウナ
ギなどのカルシトニンあるいはその誘導体、その合成変
異体)、エンケファリン類、黄体形成ホルモン放出ホル
モン(LHRH)あるいはその誘導体、その合成変異体
(例えば、ナファレリン、ブセレリン、ロイプロレリ
ン、ゴセレリン、リュープロレリン(TAP−144)
など)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH又はGR
F)あるいはその誘導体、その合成変異体、副甲状腺ホ
ルモン(PTH)、PTH−関連タンパク質(PTHr
P)、カルシトニン(CT)、カルシトニン遺伝子関連
ペプチド(CGRP)、セクレチンあるいはその誘導
体、その合成変異体、ガストリンあるいはその誘導体、
その合成変異体、血管作用性腸ペプチド(VIP)ある
いはその誘導体、その合成変異体、PHI、GIP、
【0065】CCK−PZ、AP(Antrum Pe
ptide)、ガラニン(Galanin)、モチリン
(Motilin)、PYY、チロトロピン放出ホルモ
ン(TRH)、バソプレシンあるいはその誘導体、その
合成変異体(例えば、デスモプレシンなど)、オキシト
シン、黒色素胞刺激ホルモン(MSH)、黄体形成ホル
モン(LH)、プロラクチン(PRL)、副腎皮質刺激
ホルモン(ACTH)あるいはその誘導体、その合成変
異体(例えば、ACTH(1−24)など)、ソマトス
タチン(somatostatin)あるいはその誘導
体、その合成変異体(例えば、SRIF−14など)、
コルチコトロピン放出ホルモン(CRF)、成長ホルモ
ン(GH)、胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)、
【0066】卵胞刺激ホルモン(FSH)、レラキシ
ン、インヒビン、上皮細胞増殖因子(EGF)、β−ウ
ロガストロン、神経成長因子(NGF)(例えば、β−
NGFなど)、インスリン様成長因子(IGF)類(ソ
マトメジン類、例えば、IGF−I、IGF−IIな
ど)、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞増
殖因子(FGF)(例えば、b−FGF、a−FG
F)、トランスフォーミング・グロース・ファクター
(TGF)(例えば、TGF−α、TGF−β)、赤血
球増殖因子(EPF、エリトロポイエチン)、アンギオ
ゲニン、トランスフェリン、フィブロネクチン、ラミニ
ン、血漿タンパク、例えばフィブリノーゲン、プロトロ
ンビン、ハプトグロビン、プラスミノーゲン、アンチト
ロンビンIII、血液凝固因子類、例えば血液凝固第V
III因子、血液凝固第XI因子複合体、血液凝固第X
III因子など、心房性ナトリウム利尿ペプチド(hA
NP)類、
【0067】インターフェロン類、例えばインターフェ
ロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−
γなど、インターロイキン類、例えばインターロイキン
−1(LAF)、インターロイキン−2(TCGF)、
インターロイキン−3(MCGF)、インターロイキン
−4(BCGF−1)、インターロイキン−5(TR
F)、インターロイキン−6(BSF−II)、インタ
ーロイキン−7(リンフォポイエチン)、インターロイ
キン−11など、T細胞代行因子(TRF)、B細胞分
化因子(BCDF)、好酸球走化性因子(ECF−
A)、白血病阻害因子(LIF/D因子)、ニューロロ
イキン(NL)、腫瘍壊死因子(TNF)、
【0068】リンフォトキシン(LT)、コロニー刺激
因子類、例えばG−CSF、GM−CSF、M−CS
F、癌細胞遊走因子、サイモシン類、例えばサイモシン
α1、サイモシンβ4など、サイモポイエチン、ユビキ
チン、THFなど、ペプスタチン、ベスタチン、コンパ
クチン、シクロスポリン、スパガリンなど、ウロキナー
ゼ、組織プラスミノーゲン・アクチベーター、サルコシ
ン・オキシダーゼ、クレアチナーゼ、ヒト・スーパーオ
キシド・ディスムターゼ(SOD)、ヒト・膵分泌性ト
リプシン・インヒビター、L−アスパラギナーゼなど、
ウルソジオール(ウルソデオコシコール酸)、薬剤CS
(コルチコステロイド剤)、プレドニゾロン又はその誘
導体、ブチル酸ナトリウムなどのブチル酸、レチノイン
酸、ベスナリノン(Vesnarinone)、TNP
470、OK−432(ピシバニール)、レンチナン
(Lentinan)、クレスチン、シゾフィランなど
が挙げられる。
【0069】生物学的又は薬理学的に活性な薬物として
は、またプロスタグランジン類、例えばPGI2、PG
E1、PGE2、PGF2α、プロスタレンなど、ロイ
コトリエン類、血小板活性化因子(PAF)、あるいは
それらの生合成阻害剤、例えばケルセチン(Querc
etin)、ゴシポール(Gossypol)、クルク
ミン(Curcumin)、ポリダチン(Polyda
tin)、ベノキサプロフェン(Benoxaprof
en)など、それらレセプターに対する拮抗剤などが挙
げられる。
【0070】生物学的又は薬理学的に活性な薬物として
は、抗腫瘍性化合物、抗癌性化合物、抗生物質、抗ウイ
ルス性化合物などであることができる。例えば、抗腫瘍
性白金錯体あるいは抗腫瘍性白金化合物、例えばシスプ
ラチン、カルボプラチン、DWA−2114R、254
−S、NK−121、1−OHP、CL−286,55
8、CL−287,110、エチレン尿素白金錯体(E
u−Pt)、グリコラート−3−アミノピリジン白金錯
体(KB−5424)、DA−CHPM、L−1210
−S、DACH−Ptc13など、ザルコマイシン、ペ
プロマイシン、リブロマイシン(libromyci
n)などのブレオマイシン類、
【0071】マイトマイシン類、例えばマイトマイシン
C、N−メチル マイトマイシンC、ベンジロキシカル
ボニル マイトマイシンC、KT−6149など、アク
チノマイシンD(ダクチノマイシン)、アントラサイク
リン系抗腫瘍性化合物、例えばアドリアマイシン(ドキ
ソルビシン)、4’−エピドキソルビシン、ダウノルビ
シン(ダウノマイシン)、4−O−デメチルダウノルビ
シン、ピラルビシン(THP−アドリアマイシン)、シ
ネルビン(cinerubin)、ロジルビン(rho
dirubin)、カルミノマイシン、アクラシノマイ
シン(アクラルビシン)、ミトザントロン(mitox
antrone)、
【0072】15−デオキシスパガリン、5−フルオロ
ウラシル(5−FU)、カルモフール、テガフール、ド
キシフルリジン、シタラビン、エノシタビン、サイクロ
シチジン(アンシタビン)、アザシチジン、アザウリジ
ン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、6−メ
ルカプトプリンリボシド、1−ブチリロキシメチル−5
−フルオロウラシル、ビダラビン、アザセリン、エトポ
シド、テニポシド、NK−611などのポドフィロトキ
シン誘導体、
【0073】エスペラマイシン(esperamyci
n)群抗癌抗生物質、例えばエスペラマイシンA1 、F
R−900,405、FR−900,406など、カリ
ケミシン(calichenicin)、アンスラマイ
シン、ビンカアルカロイド類、例えばビンデシン、ビン
ブラスチン、ビンクリスチン、KW−2307など、デ
メコルチンなどのコルヒチン誘導体、イダルビシン、ク
ロモマイシン類、ネオカルチノスタチン、ピュロマイシ
ン、カルジノフィリン(carzinophili
n)、スペルグアリン(spergualin)系抗腫
瘍性化合物、例えば15−デオキシスペルグアリンな
ど、オリボマイシン、エノマイシン、
【0074】ナイトロジェンマスタード類、例えばナイ
トロジェンマスタード−N−オキシド、シクロフォスフ
ァミド、メルファラン、クロラムブシル、ウラシルマス
タード、ドーパン、アラニン−NM、デフォスファミ
ド、イフォスファミド、ニトロソウレア類、例えばヒド
ロキシウレア、カルムスチン、ロムスチン、塩酸ニムス
チン、ラニムスチン、ダカルバジン、N−{4−(9−
アクリジニルアミノ)−3−メトキシフェニル〕メタン
スルホナミド(m−AMSA)、o−AMSA、
【0075】アルキルスルホン酸類、例えばブスルファ
ン、イムプロスルファン、エチレンイミノ誘導体、例え
ばトリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホ
ラミド、トリエチレンメラミン、カルボコン(carb
oquone)、ジアジコン(diaziquon
e)、トレニモン、プロカルバジン、トリヨードチロニ
ン、ジエチルスチルベストロール・リン酸エステル、タ
モキシフェン、トレミフェン、ドロロキシフェン、TA
T−59、R−1128、トリロスタチン、CGS−1
6149A、KM−2210、フルタミド、
【0076】葉酸代謝拮抗剤、例えばメソトレキセー
ト、アミノプテリンなど、酢酸クロルマジノン、フルオ
キシメステロン、デキサメタゾン、エストラムスチン、
アトリムスチン、メピチオスタン、ジブロモマンニトー
ル、ベスタチン、カンプトテンシン系抗腫瘍活性化合
物、例えばCPT−11、ハイカンプタミンなど、ハリ
ングトニン(harringtonine)、ホモハリ
ングトニン(homoharringtonine)な
どのセファロタキサスアルカロイド系化合物、
【0077】シクロプロピルピロールインドール骨格含
有抗腫瘍性化合物、例えばCC−1065、U−71,
184など、レプトマイシン(leptomycin)
類、例えばレプトマイシンAなど、カズサマイシン(k
azusamycin)類、例えばカズサマイシンAな
ど、リゾキシン(rhizoxin)類、例えばWF−
1360A〜Fなど、エルサミシン(elsamici
n)A、エリプティシン系抗腫瘍活性化合物、例えばエ
リプラビン、SUN−4599など、RA系化合物、例
えばRA−700などとして知られる抗腫瘍活性環状ペ
プチド類など、タキソール、
【0078】ジドブジン(AZT)、ペントスタチン、
DDC、DDA、DDI、DHT、リバビリン、ネプラ
ノシンA、3−デアザリステロマイシン、アマンタジ
ン、リマンタジン、ジクロロフラバン、エンビロキシム
ンド、イドクスウリジン、トリフルオリジン、ビダラビ
ン、アシクロビル、BVAU、FEAU、2’−nor
−cGMP、(S)−HPMPA、オキセタノシンAな
ど、
【0079】ペニシリン系抗生物質、セファロスポリン
系抗生物質などのβ−ラクタム系抗生物質、アミノグリ
コシド系抗生物質、マクロライド系抗生物質、テトラサ
イクリン系抗生物質、ペプチド系抗生物質、リンコマイ
シン、リファンピシリン、ホスホマイシン、抗カビ性抗
生物質などが挙げられ、例えば、ペニシリンG、セファ
ロスポリンC、セファマイシン、チエナマイシン、イミ
ペネム、クラブラン酸、ノカルジシンA、スルファゼシ
ン、アズトレオナム、カルモナム、シラスタチン、アモ
キシシリン、チカルシリン、セファゾリン、ピペラシリ
ン、セフォペラゾン、セフォチアム、セフメノキシム、
セフチゾキシム、セフメタゾール、
【0080】セフォテタン、セフミノクス、ラタモキセ
フ、フロモキセフ、ストレプトマイシン、クロラムフェ
ニコール、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリ
ン、ミノサイクリン、エリスロマイシン、カナマイシ
ン、ベカナマイシン、ジベカシン、アミカシン、アルベ
カシン、ネチルマイシン、イセパマイシン、オレアンド
マイシン、キタサマイシン、ジョサマイシン、スピラマ
イシン、ミデカマイシン、バシトラシン、エンラマイシ
ン、バンコマイシン、コリスチン、ポリミキシンB、バ
イオマイシン、カプレオマイシン、エンビオマイシン、
トリコマイシン、ナイスタチン、アムホテリシンB、グ
ルセオフルビン、ベナノマイシン、ピマリシン、バリオ
チン、ピロールニトリン、シッカニンなどがある。
【0081】また、サルファ剤、ニトロフラン剤、キノ
ロン剤などが挙げられ、例えば、ナリジクス酸、ピロミ
ド酸、ピペミド酸、シノキサシン、ノルフロキサシン、
エノキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、
ニトロフラゾン、グアノフラシン、フラゾリドン、ジヒ
ドロキシメチルフラトリジン、トリメトプリム、スルフ
ァメトキサゾール、スルファメトピラジン、スルフイソ
ミジン、スルファジメトキシンなどがある。
【0082】生物学的又は薬理学的に活性な薬物として
は、抗腫瘍剤、抗癌剤、抗癌剤効果増強剤、抗ウイルス
剤、免疫増強剤、免疫調節剤、免疫回復剤、放射線増感
剤、放射線防護剤、抗ヒスタミン薬、うっ血除去薬、抗
炎症薬、駆虫薬、局所麻酔薬、抗真菌薬、抗アメーバ
薬、抗トリコモナス薬、抗関節炎薬、抗喘息薬、抗血液
凝固薬、抗糖尿病薬、抗高血圧症薬、冠血管拡張薬、脳
血管拡張薬などの血管拡張薬、抗狭心症薬、血管新生阻
害剤、ホルモン薬、カルシウム拮抗薬、カルモジュリン
阻害剤、中毒治療薬、抗不整脈症薬、筋肉弛緩薬、抗脂
肪血症薬、脳代謝改善薬、脳代謝賦活薬、学習・記憶障
害改善薬、痴呆症薬などの脳機能改善薬、抗神経病薬、
鎮痛薬、鎮静薬、抗不安薬、抗痙攣薬、抗躁うつ病薬、
パーキンソン病治療薬などの中枢神経系作用薬、ビタミ
ン剤、副作用軽減剤、酵素、ワクチンコンポーネント、
トキソイド、抗毒素、抗生物質などが挙げられる。
【0083】血小板薬物送達システムには、さらに分子
レベルで生体に導入されることが望まれる「カセッ
ト」、すなわち生体のゲノム、目的の遺伝子、発現させ
るべきタンパク質あるいはペプチド又は抗原をコードし
ているDNA、アンチセンス配列などを、プラスミド、
レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ワ
クシニアウイルスベクター、パポバウイルスベクター、
例えばSV40の改変体のようなウイルスベクターなど
の中に挿入されたものを配置するものであることができ
る。
【0084】血小板薬物送達システムには、薬物を種々
の薬物用担体と結合し、コンジュゲートとしたものを使
用することもできる。また血小板薬物送達システムに
は、薬物をモノクローナル抗体と結合し、通常のミサイ
ル療法として知られたコンジュゲートとしたもの、その
他これに類するコンジュゲートを使用することもでき
る。モノクローナル抗体はマウスミエローマ細胞を用い
細胞融合技術を適用して得られた、ハイブリドーマ細胞
を適当な方法で培養選択して得られる(Nature
(London),256,495(1975))。抗
体はキメラ抗体であることもできるし、パパインあるい
はペプシンなどのペプチダーゼなどの酵素でフラグメン
トとされたものであることもできる。モノクローナル抗
体は、種々の抗原性物質あるいは抗原性細胞に対する抗
体であることができる。このような抗体は市販されてい
るもの、当該分野で知られた方法又はその方法を改変し
た方法を適用して得られたものである。好ましいモノク
ローナル抗体としては、腫瘍特異性のモノクローナル抗
体が挙げられる。例えば、抗CA19−9抗体、抗CA
125抗体、抗CEA抗体、17−1A抗体、b72.
3抗体、抗α−フェトプロテイン抗体などが挙げられ
る。
【0085】コンジュゲートにはスペーサーを導入する
こともできる。スペーサーとしては、炭素数1〜6の直
鎖又は分岐鎖のアルキレン基、炭素数2〜12の直鎖又
は分岐鎖のアルキレンオキシアルキレン基、アミド結合
含有基、エステル結合含有基、イミノ結合含有基、スル
フィド結合含有基、ジスルフィド結合含有基などが挙げ
られる。コンジュゲートにはさらにキャリアーのための
担体が含まれていてよく、そのような担体としては、ポ
リアミド類、例えばポリ−L−グルタミン酸、ポリリシ
ンなど、多糖類、例えば、例えばデキストラン、シクロ
デキストラン、プルラン、カードラン、デンプン、ヘパ
リン、デキストラン硫酸、シクロデキストリン硫酸、β
−1,3−グルカン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫
酸、ケラト硫酸など、蛋白質類、例えばカゼイン、アル
ブミン、ゼラチン、卵白、コラーゲン、コラーゲン分解
物、カゼイン加水分解物、血清、血漿、乳蛋白質、アル
ブミン、合成又は半合成高分子、例えばポリエチレング
リコール、ポリ〔N−(2−ヒドロキシプロピル)メタ
クリルアミド〕、ポリ(L−アスパラギン酸)とポリエ
チレングリコールとの共重合体、スチレン−無水マレイ
ン酸共重合体などが挙げられる。その他当該分野で一般
に知られたもののうちから目的に応じて適宜選択して使
用できる。結合するにあたっては、当該分野で汎用され
ている方法を用いることができ、例えばイオン相互作
用、疎水相互作用、共有結合などの物理的吸着や化学的
結合あるいはそれらを組み合わせて適用して行うことが
できる。特に、結合剤を用いて、共有結合により化学的
に結合しているものが好ましい。
【0086】化学的な結合剤としては、通常の当業者に
知られたものの中から選択することができるが、例え
ば、グルタルアルデヒド、N,N’−o−フェニレンジ
マレイミド、N−スクシンイミジル 3−(2−ピリジ
ルジチオ)プロピオネート(SPDP)、N−スクシン
イミジル S−アセチルメルカプトアセテート、N−ス
クシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロ
ヘキサン−1−カルボキシレート、N−スクシンイミジ
ル 6−マレイミドヘキサノエート、N−スクシンイミ
ジル 4−ヨードアセチルアミノベンゾエート、N−ス
クシンイミジル3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピ
オンネート、N−スクシンイミジル m−(N−マレイ
ミド)ベンゾエート、N−スクシンイミジル 4−マレ
イミドブチレート、N−スクシンイミジル (p−マレ
イミドフェニル)アセテート、N−スクシンイミジル
4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート、メチル
3−メルカプトプロピオンイミデート、メチル 4−メ
ルカプトブチルイミデート、2−イミノチオラン、N−
アセチルホモシステインチオールラクトン、N−アセチ
ルメルカプトコハク酸無水物などが挙げられ、
【0087】さらにカルボジイミド化合物、例えば、1
−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボ
ジイミドなど、6−マレイミドカプロン酸、2−ブロモ
酢酸、2−ヨード酢酸、コハク酸等の活性エステル、ト
リアジンの活性エステル、スルホン酸エステル誘導体、
過ヨウ素酸酸化や水素化ホウ素ナトリウムなどを用いる
方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。コンジュゲートには、トキソイド、ワクチンコンポ
ーネント、細菌毒素、植物毒素、動物毒素などを結合さ
せておくことができるが、これらに限定されず上記した
薬物のうちから選んで用いることができる。動物毒素と
は、例えば、マムシ毒、ハブ毒、コブラ毒などのヘビ
毒、サソリ、クモ、ハチなどの昆虫毒が挙げられる。細
菌毒素とは、例えば、ボツリヌス菌、破傷風菌、ジフテ
リア菌、コレラ菌、ガス壊疽菌などからえられるものが
挙げられる。
【0088】例えば、モノクローナル抗体とアドリアマ
イシン(ドキソルビシン)あるいはダウノルビシン(ダ
ウノマイシン)をアルブミンを中間支持担体としてエチ
ルカルボジイミド及びN−スクシンイミジル m−(N
−マレイミド)ベンゾエートを用いて、モノクローナル
抗体−アルブミン−アドリアマイシンあるいはダウノル
ビシン・コンジュゲートが挙げられる。また、モノクロ
ーナル抗体とネオカルチノスタチン(NCS)とをSP
DPをを用いて、モノクローナル抗体−NCS・コンジ
ュゲートとしたもの、さらにアドリアマイシンあるいは
マイトマイシンCをデキストランに結合し、つぎにモノ
クローナル抗体に結合したものなどが挙げられる。さら
に、イットリウム(Yt)−90、レニウム(Re)−
186、カリフォルニウム(Cf)−252、ヨード
(I)−131などの放射性同位体で腫瘍などの治療に
用いられるものとモノクローナル抗体との結合物など、
リシン(ricin)、ジフテリア毒素あるいは修飾リ
シンなどのレクチン類とモノクローナル抗体との結合物
であるイムノトキシンも挙げられる。
【0089】本発明の血小板薬物送達システム組成物
は、用いる運搬薬物に応じた疾患に応用可能である。例
えば、C型肝炎治療のためには、血小板へIFN−α、
−β等を取り込ませることが挙げられる。最近持続型イ
ンターフェロン製剤が臨床試験に入っているが、このイ
ンターフェロン製剤の場合、投与量は通常とほぼ同じ
で、本発明の血小板薬物送達システムによれば、発熱等
の副作用が大幅に改善される事も期待できる。原理から
して、血小板薬物送達システムは投与量も副作用もより
低減させることが可能と予想される。本発明の血小板薬
物送達システムによれば、IFNとTNFとを用い、副
作用なくその相互作用を利用し、それぞれの抗ウイルス
作用や抗腫瘍作用を高め合うことが期待できる。本発明
の血小板薬物送達システムによれば、IFN−αとTN
Fの併用も期待できる。
【0090】さらに本発明の血小板薬物送達システムを
利用すれば、癌本体や血行性転移に対しても効果的なか
つ優れた治療が達成できると期待できる。特に癌が進行
し血行性の転移が予想される場合、血小板が癌細胞を追
いかけてくれるので、本発明の血小板薬物送達システム
を利用すれば、転移の予防に有用と考えられる。サイト
カインや抗癌剤に本発明の血小板薬物送達システムを利
用すれば、より有効な治療をなすことが可能である。特
にクエン酸加血液から得られる血小板では、有効量の抗
腫瘍性化合物、抗癌性化合物、抗生物質、抗ウイルス性
化合物あるいはそれらのコンジュゲートを実質的に運搬
可能に担持させることができる。
【0091】サイトカイン、例えばインターフェロン
類、例えばインターフェロン−α、インターフェロン−
β、インターフェロン−γなど、インターロイキン類、
例えばインターロイキン−1(LAF)、インターロイ
キン−2(TCGF)、インターロイキン−3(MCG
F)、インターロイキン−4(BCGF−1)、インタ
ーロイキン−5(TRF)、インターロイキン−6(B
SF−II)、インターロイキン−7(リンフォポイエ
チン)、インターロイキン−11など、腫瘍壊死因子
(TNF)、リンフォトキシン(LT)、コロニー刺激
因子類、例えばG−CSF、GM−CSF、M−CSF
など、L−アスパラギナーゼなど、
【0092】抗腫瘍性白金錯体あるいは抗腫瘍性白金化
合物、例えばシスプラチン、カルボプラチン、DWA−
2114R、254−S、NK−121、1−OHP、
CL−286,558、CL−287,110、エチレ
ン尿素白金錯体(Eu−Pt)、グリコラート−3−ア
ミノピリジン白金錯体(KB−5424)、DA−CH
PM、L−1210−S、DACH−Ptc13など、
マイトマイシン類、例えばマイトマイシンC、N−メチ
ル マイトマイシンC、ベンジロキシカルボニルマイト
マイシンC、KT−6149など、
【0093】アクチノマイシンD(ダクチノマイシ
ン)、アントラサイクリン系抗腫瘍性化合物、例えばア
ドリアマイシン(ドキソルビシン)、4’−エピドキソ
ルビシン、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、4−O
−デメチルダウノルビシン、ピラルビシン(THP−ア
ドリアマイシン)、エスペラマイシン(esperam
ycin)群抗癌抗生物質、例えばエスペラマイシンA
1 、FR−900,405、FR−900,406など
の有効量を実質的に運搬可能に担持させることができ
る。本発明の血小板薬物送達システムは、上記薬物だけ
でなくその原理から市販される種々のサイトカインや生
理活性ペプチドにも応用が可能である。また薬物として
は、プロドラッグ化などの工夫で薬物の安定性が増すな
どの処理と組み合わせたり、薬物の加工による最適な投
与方法の確立が間に合わない場合にも、手っ取り早く応
用可能な手法であることから、薬物の開発初期の投与送
達システムとしても大変有用である。
【0094】本発明の血小板薬物送達システムにおいて
は、その治療効果を最適化するため、血小板への薬物取
り込み量を血小板を取り扱う現場で迅速に評価する検査
方法と組み合わせて、その評価を薬物毎にすることが好
ましい。こうした管理手法も本発明の思想を利用するか
ぎり、本発明の血小板薬物送達システムのソフトウエア
の一部である。
【0095】血球は寿命が来ると肝臓や脾臓で破壊され
るためこのような臓器へ集積する特性がある。また、薬
物をその表面に結合させて輸送する方法よりも血球内に
取り込ませる方法を前提で考えると、薬物を標的臓器ま
で血中に放出することなく運ぶため副作用や薬物の使用
量等の面で大きなメリットがあると考えられる。もちろ
ん体の防御システムには捕捉されない。ところが薬物キ
ャリアーに利用できるものは、如何なる血球でもよいと
いうわけではない。例えば赤血球では薬物の取り込みが
困難であり、好中球では貪食の機能はあるが、その殺菌
能により取り込んだ薬物が分解されてしまう。マクロフ
ァージも同様でいずれも、薬物キャリアーには適当では
ない。リンパ球ではエンドサイトーシス等の形で取り込
みがあるようだが、エンドサイトーシス小胞の大半は二
次リソソームを形成し取り込まれたものが消化されてし
まう。また、例えばサイトカインの取り込みに対しては
リンパ球自身が反応してしまう可能性がある。
【0096】ところが、特に血球のうちでも血小板は寿
命が来ると肝臓や脾臓で破壊されるため、このような臓
器へ集積させることが可能である。また、血小板はその
貪食作用あるいは血小板内細管への薬物取り込みによ
り、薬物をその表面に結合させて輸送する方法よりも安
定した状態で標的臓器まで運搬でき、あるいは外部と相
互作用することなく薬物を標的臓器まで運搬でき、薬物
を標的臓器まで血中において放出することなく運ぶた
め、副作用や薬物の使用量等の面で大きなメリットがあ
ると考えられる。もちろん血小板は体の防御システムに
は捕捉されない。
【0097】血小板は貪食の能力があるため、そのうち
に薬物の取り込みが容易でかつ消化しない。例えば薬物
としてサイトカインに用いてもそこにはサイトカインの
レセプターも少なく血小板自身薬物としてのサイトカイ
ンに反応しにくい。血小板自身のサイズは小さいが血液
中の数は赤血球の次に多く、単純計算でリンパ球と比較
すると血球体積は約1/10だが数は100倍である。
しかも1個あたりの取り込み量は貪食能を利用した場
合、血小板サイズに対してその1/2以上の大きさの粒
子でも取り込むことのできる大食漢である。また、血小
板1個あたり約50個もあるα顆粒への取り込みが可能
であり、液性の薬物の送達量についても高い効率が期待
できる。
【0098】例えば、血小板内薬物濃度が1mmolあ
る場合、血小板体積は8fl、血小板フェレーシスで3
000mlの血液を処理して得られる血小板を3〜7×
1011個とすると約4μmolの薬物の取り込みが可能
という計算になる。同程度に取り込みされる治療薬があ
れば通常の投与量の輸送には十分な能力があると考えら
れる。好ましくは、血小板に薬物、例えばサイトカイ
ン、例えばインターフェロン類、インターロイキン類、
腫瘍壊死因子(TNF)、リンフォトキシン(LT)、
コロニー刺激因子類など、抗腫瘍性白金錯体あるいは抗
腫瘍性白金化合物、マイトマイシン類、アントラサイク
リン系抗腫瘍性化合物、エスペラマイシン(esper
amycin)群抗癌抗生物質などの有効量を実質的に
運搬可能に担持させるには、水難溶解性の微小集合体、
微小粒子、ミクロスフェア、ナノスフェア、リポソー
ム、マイクロエマルジョンなど、徐放出性の製剤形態な
どとして所要量を導入する。またモノクローナル抗体を
利用して、血小板膜に運搬すべき薬物を結合させて所要
量の薬物を送達することもできる。
【0099】本発明の血小板薬物送達システム生成物は
患者に有効量投与される。術語“患者”とは例えばヒ
ト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ハムスタ
ー、ニワトリ等のごとく、少なくとも一部は血小板によ
り開始される止血能を持つ生きている生物を含むことを
意味する。“有効量”とは本生成物が投与される特定の
治療または診断の目的が達成できる量である。有効量は
個々の個体に基づいて、および少なくとも一部は患者の
大きさ、処置される徴候の激しさおよび要求される結果
に基づきうる。それ故有効量はそのような因子を用いて
および日常の経験を用いて当業者により決定されうる。
使用血小板の寿命等を考慮して、ターゲティングを図っ
たり、副作用の軽減を図ったりすることができる。
【0100】血小板薬物送達システムは、通常の血小板
輸血と同様な範囲でその量を用いることが出来る。濃厚
血小板の1単位は450ml採血由来では通常約5×1
10個の血小板を有しているが、約1.7×1011個/
lを越えない程度に調整された約50ml〜約70ml
の浮遊液として使用される。通常約6単位の濃厚血小板
が成人に対する標準的投与量とすることができる。20
0ml採血由来では1単位は20mlの浮遊液として約
2×1010個〜約3×1010個の血小板を有しており、
1回の投与で約10単位〜約20単位が成人に対する標
準的投与量とすることができる。
【0101】薬物担持血小板は、フェレーシスによれば
かなりの量輸血することができ、さらに望ましくない免
疫反応やウイルス感染などの問題を避けることが出来、
所要の有効薬物濃度も達成でき好ましい。間歇血流式血
液成分分離装置、例えばHaemonetics社製の
装置を利用して用いた場合、一つの閉鎖系で単一の供血
者から血小板を約2×1011〜約2.5×1011個処理
することができる。連続血流式血液成分分離装置、例え
ばFenwalCS−300(Travenol社製)
などの分離装置を利用して用いた場合、単一の供血者か
ら血小板を約2×1011〜約5×1011個処理すること
ができる。本発明の血小板薬物送達システムは、運搬薬
物にもよるが、悪性腫瘍(癌)、良性腫瘍、急性白血
病、慢性白血病、ホジキン(Hodgkin)病、その
他の悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、造血障害、急性・慢
性肝炎、自己免疫性肝炎、肝硬変、肝膿瘍、消化性潰
瘍、非特異的腸管潰瘍、火傷・外傷などに適用されて用
いられる。また、本発明の血小板薬物送達システムは、
各種の原因による出血性疾患の治療、再生不良性貧血の
治療などにも適用されて用いられる。本発明の血小板薬
物送達システムは、特に肝臓及び脾臓における疾患の治
療などに用いられる。
【0102】図3に血小板薬物送達システムの標的細胞
を示す。標的細胞に凝集惹起物質を仕込んだり、GP
Ib、GP IIb/GP IIIaなどの血小板レセ
プターに付着するペプチド配列を特定の標的細胞を認識
するモノクローナル抗体に結合して用い標的細胞が血小
板と付着し易くしたりできる。また薬物担持血小板を投
与して後、一定の時間後(例えば、血小板が腫瘍部位と
か、代謝のため肝臓などに集まった時)に、血小板の活
性化誘導剤として知られた薬物を投与することにより、
目的部位での運搬薬物の放出をコントロールすることも
できよう。
【0103】本発明の血小板薬物送達システムは、有効
性は次のようにして実験的に測定したりすることができ
よう。まずハムスター、ウサギまたはラットから得られ
た全血より血小板を遠心して分離し、得られた血小板を
シスプラチン液で処理し、得られたシスプラチン含有血
小板を浮遊液とし、ハムスター、ウサギまたはラットに
成分輸血する。この処理を複数回繰り返し、シスプラチ
ン含有血小板を複数回成分輸血する。注射部位と異なる
部位より採血し、血小板ペレットを分離し、シスプラチ
ンが血小板ペレットに存在することを測定し、シスプラ
チン血小板薬物送達システムの機能を確認する。8日間
成分輸血処理を続け、9日目にハムスター、ウサギまた
はラットの肝臓、脾臓などを調べ、シスプラチンが有意
に集まっていることを測定する。こうして血小板は生体
内で治療上、有意な十分な薬剤運搬能を持つことが測定
される。
【0104】成人より得られた血小板ペレットを血小板
除去血漿分画(PlateletPoor Plasm
a;PPP)に浮遊せしめ、血小板浮遊懸濁液を調製す
る。この血小板浮遊懸濁液に、放射性同位体など、例え
14C、トリチウム及び放射性ヨウ素(例えば 125I)
などで標識されたインターフェロン等の薬物含有乳剤を
添加し、37℃でそれぞれの時間インキュベーションを
行う。その後リン酸塩緩衝生理食塩水(以下、「PB
S」という、pH7.0)中のエチレンジアミンテトラ
酢酸(EDTA)液を添加し、遠心し、上澄み液をアス
ピレーターで吸引して除去する。得られた血小板ペレッ
トをシンチレーションカウンター等の放射線検出装置あ
るいはオートラジオグラフィーなどにかけ、各標識薬物
の血小板内取込みを測定する。こうして、該薬剤の血小
板内への取込みを調べることができる。以上のようにし
てサイトカインであるインターフェロン等の薬物の薬物
送達システムとして血小板が利用できることを測定す
る。
【0105】ハムスター、ウサギまたはラットから得ら
れた全血より血小板を遠心して分離し、得られた血小板
を放射性同位体などで標識された薬物製剤で処理し、得
られた標識された薬物含有血小板を浮遊液とし、ハムス
ター、ウサギまたはラットに成分輸血する。これを複数
回繰返し、標識された薬物含有血小板を複数回成分輸血
する。注射部位と異なる部位より採血し、血小板ペレッ
トを分離し、標識が血小板ペレットに存在することを測
定し、血小板薬物送達システムの機能を確認する。8日
間血小板輸血を行う。9日目にハムスター、ウサギまた
はラットの肝臓などを調べて標識された薬物などが有為
に集まっていることを測定する。また、血小板の貪食に
より、難溶性薬剤や製剤補助剤に含有させた薬剤などを
墨汁やラテックスと同様にして取り込ませ、これを、例
えば電子顕微鏡あるいは2カラーフローサイトメトリー
などで測定することにより、血小板の薬物取込みを観察
することもできよう。
【0106】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、但し、本発明はこれらの実施例のみに限定される
ものでない。 実施例1 シスプラチン血小板薬物送達システム組成物 (1)多血小板血漿の調製 健康なボランティアの供血者から採血する。得られる全
血に抗血液凝固剤として3.8%クエン酸ナトリウム液
を1/10容量となるように加えて5mlにした。比較
として抗血液凝固剤としてクエン酸ナトリウム液を用い
る代わりに、ヘパリン65IU/5mlとなるようにし
た、ヘパリン加血液を用いた。全血は、次に1100r
pm(200G)で10分間遠心し、多血小板血漿分画
(Platelet Rich Plasma;PR
P)を分離する。さらに900rpm(150G)で8
分間遠心し、PRPを分離する。こうして得られたPR
Pをさらに3000rpm(1400G)で10分間遠
心し、血小板ペレット(Platelet Pelle
t)と貧血小板血漿分画(Platelet Poor
Plasma;PPP)とに分離し、こうして得られ
た血小板ペレットは所要の血小板数となるようPPPで
浮遊せしめて使用された。
【0107】(2)シスプラチン血小板薬物送達システ
ムの調製 上記(1)で得られた血小板ペレットをPPPに浮遊せ
しめて約3×107 個/mlとなるようにした、血小板
浮遊懸濁液を調製した。この血小板浮遊懸濁液30μl
(約1×106 個の血小板を含む)に約0.5mg/m
lの濃度のシスプラチン液30μlを添加し、37℃で
それぞれの時間インキュベーションを行った。その後リ
ン酸塩緩衝生理食塩水(以下、「PBS」という、pH
7.0)中のエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)
液(3mMのEDTA・PBS)を添加し、3000r
pm(1400G)で10分間遠心し、上澄み液をアス
ピレーターで吸引して除去する。得られた血小板ペレッ
トにD.W.0.5mlを加え、超音波破砕処理を約1
分間行い、原子吸光光度法によりシスプラチンの量を測
定した。
【0108】測定には4100ZLゼーマンファーネス
原子吸光分析装置〔(株)パーキンエルマー社製〕を用
い、試薬は標準液として、「原子吸光分析用白金標準液
〔和光純薬工業(株)〕」を用い、マトリックス・モデ
ィファイヤーとして「原子吸光分析用パラジウム溶液
〔和光純薬工業(株)〕」、トライトン(Trito
n)X−100(ナカライテスク)を用い、500mg
/lのパラジウム、1.0%Triton X−100
となるように、精製水で調製したものを用いた。測定
は、精製水、標準液(1.0及び2.0μg/ml P
t)、検体を各々250μlカップに分注し、マトリッ
クス・モディファイヤー250μlを加え、検量線法で
測定する。4100ZLゼーマンファーネス原子吸光分
析装置の測定条件は、検体サンプルの量20μlで、測
定波長265.9nm、そしてスリット幅0.7nmで
あった。測定結果を次の表に示す。
【0109】
【表1】
【0110】クエン酸加血液から得られた血小板では、
例えばシスプラチンといった抗腫瘍剤(Antineo
plastic agent)が血小板内に取り込ま
れ、十分有意な濃度で保持されていることが確認され
る。治療上十分に有意な量の薬物が血小板に担持されて
いると判断される。シスプラチン含有血小板は、注射な
どにより体内に投与され、血小板粘着部位あるいは肝臓
などの血小板処理臓器にまでシスプラチンを運搬する。
同様にカルボプラチンなどの抗腫瘍性白金化合物、ある
いは抗腫瘍性白金複合体についても血小板内への取込み
を検討することができる。
【0111】実施例2 シスプラチン血小板薬物送達システム組成物の生体内デ
リバリー 10週齢のハムスター(シリアン系)を用い、調製され
たシスプラチン血小板薬物送達システム組成物によるシ
スプラチンの薬物デリバリーについて調べた。ハムスタ
ーは先ずエーテル麻酔処理後、5mlシリンジを用い
て、心臓採血を行い、3mlづつ血液を採取する。採取
は血液をクエン酸の採血管(5ml用)に入れた後、緩
やかに攪拌する。次いで血液の入った採血管を800r
pm、8分間遠心処理し、PRP(多血小板血漿)を滅
菌チューブに移す。PRPの入ったチューブを3000
rpm、10分間遠心処理し、血小板ペレットを得る。
一方上清のPPP(乏血小板血漿)は滅菌チューブに移
して置く。得られた血小板ペレットに0.5mg/ml
のシスプラチン溶液50μlを加えて血小板を浮遊さ
せ、37℃で30分間インキュベーション処理をし、血
小板内にシスプラチンを取り込ませる。1mg/mlの
アスピリン溶液を10μl加えて後、1分間静置し、次
いで上記の滅菌チューブに移して置いた上清のPPPを
0.5ml加え、これを1mlシリンジに吸入し、ハム
スターの心臓穿刺し注入する。50時間経過後、エーテ
ル麻酔下に肝臓を摘出して肝臓組織中のシスプラチン濃
度を原子吸光法(ファーネス)にて測定する。例えば、
脾臓および大腿部の筋肉などについてもシスプラチン濃
度を同様に測定した。
【0112】対照群としては、0.5mg/mlのシス
プラチン溶液50μlに生理食塩水0.5mlを加えた
ものを、1mlシリンジに吸入し、同様にハムスターの
心臓穿刺し注入する。50時間経過後、エーテル麻酔下
に肝臓を摘出して肝臓組織中のシスプラチン濃度を原子
吸光法(ファーネス)にて測定する。原子吸光法(ファ
ーネス)は、硝酸(超高純度)と過酸化水素を2:1の
比で混合した灰化液とサンプル(組織)とを混合し、炭
素炉に入れ、250W・5分間、400W・5分間、お
よび500W・5分間のマイクロ波処理をした後原子吸
光法で測定を行った。この結果は、シスプラチン血小板
薬物送達システム組成物投与群のハムスターでは、その
肝臓に0.516μg/g(wet weight)お
よび0.388μg/g(wet weight)のシ
スプラチンが集積しているのに対して、対照群ハムスタ
ーでは、その肝臓では0.179μg/g(wet w
eight)および0.276μg/g(wet we
ight)のシスプラチンでしかなかった。さらに、シ
スプラチン血小板薬物送達システム組成物投与群および
対照群のハムスターの脾臓および大腿部の筋肉について
は、検出感度以下でシスプラチンは極微量であると考え
られた。こうして血小板をもちいた薬物送達システム
は、特定の臓器、例えば、肝臓に、特定の薬物、例え
ば、シスプラチンを生体内デリバリーするのに有効であ
ることが認められる。
【0113】実施例3 血小板内への薬物の取込みを、薬物として墨汁を用いて
行い確認した。10週齢のハムスター(シリアン系)を
用い、ヘパリン採血に変更し、全血に生理食塩水を1m
l加えて、PRPを採取するようにした以外は、実施例
2と同様にして、得られた血小板ペレットに108 pa
rticle/mlの墨汁(クエン酸加生理食塩水で希
釈)を50μl加えて、10分間インキュベーション処
理をした。こうして処理された血小板試料に、滅菌チュ
ーブに移して置いた上清のPPPを1ml加え、比重液
に重層し、2500rpmで10分間遠心処理し、フリ
ーの墨汁粒子を除く。次いで上層を一部1mlシリンジ
に吸入し、ハムスターの心臓穿刺し注入する。一方残り
の一部は直接顕微鏡で観察した。ハムスターに注入した
後、50時間経過後、エーテル麻酔下に肝臓を摘出し
て、固定化した後肝臓組織中の墨汁粒子を顕微鏡で観察
した。図4に示すように、墨汁粒子を貪食し、保持して
いる血小板が観察された。血小板中で墨汁粒子などの薬
物粒子が安定に保持・運搬されることが認められる。さ
らに、肝臓組織中へも血小板により墨汁粒子が運搬さ
れ、運搬された墨汁粒子が確かに肝臓組織中にあること
が観察された(図5)。こうして血小板は、薬物運搬体
(ドラッグデリバリーシステム)として有効なことが観
察された。特に血小板は、肝臓などの特定組織をターゲ
ットとした薬物送達システムとして優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】血小板構造を模式的に示す。血小板に特有な開
放性細管系(OCS)や小胞への取込みが示されてい
る。
【図2】血小板薬物送達システムを用いた治療及び血液
処理システムを示す。
【図3】血小板薬物送達システムの標的細胞を示す。
【図4】墨汁粒子を貪食し、それを保持している血小板
薬物送達システムの血小板の生物の形態を示す写真であ
る。
【図5】墨汁粒子を貪食保持した血小板薬物送達システ
ムにより運搬された該墨汁粒子の肝組織での存在を示す
肝組織の生物の形態を示す写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/28 ADU 9455−4C 31/71 38/00 38/21 45/06 // A61K 35/14 Z 7431−4C

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血小板内あるいは血小板上に、生物学的
    又は薬理学的に活性な薬物を実質的に運搬可能に含有ま
    たは付着することを特徴とする、血小板薬物送達システ
    ム組成物。
  2. 【請求項2】 生物学的又は薬理学的に活性な薬物が生
    物学的又は理学的に許容される担体と配合されたものを
    血小板内あるいは血小板上に実質的に運搬可能に含有ま
    たは付着するものである請求項1記載の血小板薬物送達
    システム組成物。
  3. 【請求項3】 生物学的又は薬理学的に活性な薬物をマ
    イクロカプセル化し、次にこのマイクロカプセル化物を
    血小板内あるいは血小板上に実質的に運搬可能に配置し
    た請求項1又は2記載の血小板薬物送達システム組成
    物。
  4. 【請求項4】 生物学的又は薬理学的に活性な薬物をリ
    ポソーム被覆し、次にこのリポソーム被覆化物を血小板
    内あるいは血小板上に実質的に運搬可能に配置した請求
    項1又は2記載の血小板薬物送達システム組成物。
  5. 【請求項5】 生物学的又は薬理学的に活性な薬物をマ
    イクロ粒子とし、次にこのマイクロ粒子を血小板内ある
    いは血小板上に実質的に運搬可能に配置した請求項1又
    は2記載の血小板薬物送達システム組成物。
  6. 【請求項6】 生物学的又は薬理学的に活性な薬物が血
    小板内での作用によりその薬物の活性体に転換させられ
    るプロドラッグ体である請求項1又は2記載の血小板薬
    物送達システム組成物。
  7. 【請求項7】 プロドラッグ体が、血小板内に存在する
    エステラーゼ酵素の作用を受けてその薬物の活性体に転
    換させられるものである請求項6記載の血小板薬物送達
    システム組成物。
  8. 【請求項8】 プロドラッグ体が、アセトキシメチル・
    エステル体、メチル・エステル体、エチル・エステル
    体、イミダゾリド体、アンハイドライド体、活性化アリ
    ル・エステル体、トリメチルシリル・エステル体、t−
    ブチルジメチルシリル・エステル体である請求項7記載
    の血小板薬物送達システム組成物。
  9. 【請求項9】 生物学的又は薬理学的に活性な薬物が血
    小板との結合部位を持つものである請求項1又は2記載
    の血小板薬物送達システム組成物。
  10. 【請求項10】 生物学的又は理学的に許容される担
    体、マイクロカプセル、リポソーム、及びマイクロ粒子
    が血小板との結合部位を持つものである請求項2〜5の
    いずれか一記載の血小板薬物送達システム組成物。
  11. 【請求項11】 血小板との結合部位が血小板表面との
    接着因子、血小板表面膜上の糖鎖に親和性をもつもの、
    血小板表面抗原に対する抗体又はその抗体の一部である
    請求項9又は10記載の血小板薬物送達システム組成
    物。
  12. 【請求項12】 血小板との結合部位が、コラーゲン、
    フィブロネクチン、フォン・ウィレブランド(von
    Willebrand)因子、Arg−Gly−Asp
    −Ser、ビトロネクチン、フィブリノーゲン、トロン
    ボスポンジン、及びそれらの誘導体、血小板表面膜上の
    シアル酸糖鎖基に対する抗体、血小板表面膜上の高マン
    ノース型糖鎖親和性基、血小板表面膜上のSer/Th
    r結合型糖鎖親和性基、血小板表面膜上のAsn結合型
    糖鎖親和性基、ポリアクリル酸、及び血小板表面抗原に
    対する抗体から成る群から選ばれたものである請求項9
    又は10記載の血小板薬物送達システム組成物。
  13. 【請求項13】 血小板がクエン酸又はクエン酸塩の添
    加された血液から得られたものである請求項1〜12の
    いずれか一記載の血小板薬物送達システム組成物。
  14. 【請求項14】 血小板がヘパリンの添加された血液か
    ら得られたものである請求項1〜12のいずれか一記載
    の血小板薬物送達システム組成物。
  15. 【請求項15】 薬物が、抗腫瘍性化合物及びサイトカ
    インから成る群から選ばれたものである請求項1〜14
    のいずれか一記載の血小板薬物送達システム組成物。
  16. 【請求項16】 抗腫瘍性化合物が、白金錯体抗腫瘍性
    化合物及びアントラサイクリン系抗腫瘍性化合物から成
    る群から選ばれたものである請求項1〜14のいずれか
    一記載の血小板薬物送達システム組成物。
  17. 【請求項17】 サイトカインが、インターフェロン
    類、インターロイキン類及びTNFから成る群から選ば
    れたものである請求項1〜14のいずれか一記載の血小
    板薬物送達システム組成物。
  18. 【請求項18】 血小板分画液に生物学的又は薬理学的
    に活性な薬物を実質的に接触させ、血小板内あるいは血
    小板上に生物学的又は薬理学的に活性な薬物を実質的に
    運搬可能に含有または付着せしめることを特徴とする血
    小板薬物送達システム組成物の製造法。
  19. 【請求項19】 生物学的又は薬理学的に活性な薬物を
    血小板の細胞質、濃染顆粒又はα顆粒に入れることを特
    徴とする請求項18記載の血小板薬物送達システム組成
    物の製造法。
  20. 【請求項20】 生物学的又は薬理学的に活性な薬物を
    血小板の開放性細管系(OCS)に実質的に運搬可能に
    保持せしめることを特徴とする請求項18記載の血小板
    薬物送達システム組成物の製造法。
  21. 【請求項21】 生物学的又は薬理学的に活性な薬物を
    血小板の細胞膜に付着させることを特徴とする請求項1
    8記載の血小板薬物送達システム組成物の製造法。
  22. 【請求項22】 全血から実質的に血小板を分離する手
    段、及び血小板液と生物学的又は薬理学的に活性な薬物
    とを実質的に接触させ、血小板内あるいは血小板上に生
    物学的又は薬理学的に活性な薬物を実質的に運搬可能に
    含有または付着せしめ、血小板薬物送達システム組成物
    を調製するための手段を持つことを特徴とする血小板薬
    物送達システム組成物製造装置。
  23. 【請求項23】 血液を生体から採取しうることを可能
    にする手段、採取された血液から実質的に血小板を分離
    する手段、血小板液と生物学的又は薬理学的に活性な薬
    物とを実質的に接触させ、血小板内あるいは血小板上に
    生物学的又は薬理学的に活性な薬物を実質的に運搬可能
    に含有または付着せしめ、血小板薬物送達システム組成
    物を調製するための手段、得られた血小板薬物送達シス
    テム組成物を生体に投与することを可能にする手段を持
    つことを特徴とする請求項22記載の血小板薬物送達シ
    ステム組成物製造装置。
  24. 【請求項24】 採取された血液から実質的に血小板を
    分離する手段が、フェレーシス用遠心分離装置を含むこ
    とを特徴とする請求項22記載の血小板薬物送達システ
    ム組成物製造装置。
  25. 【請求項25】 採取された血液から実質的に血小板を
    分離する手段が、フェレーシス用繊維フィルターを含む
    装置であることを特徴とする請求項22記載の血小板薬
    物送達システム組成物製造装置。
  26. 【請求項26】 血小板内あるいは血小板上に生物学的
    又は薬理学的に活性な薬物を実質的に運搬可能に含有ま
    たは付着する血小板薬物送達システム組成物の薬物寿命
    を、製造に使用する血小板で制御する生物学的又は薬理
    学的に活性な薬物の活性制御方法。
  27. 【請求項27】 薬物寿命が、血小板の寿命で制御され
    る請求項26記載の生物学的又は薬理学的に活性な薬物
    の活性制御方法。
  28. 【請求項28】 血小板内あるいは血小板上に生物学的
    又は薬理学的に活性な薬物を実質的に運搬可能に含有ま
    たは付着する血小板薬物送達システム組成物の薬物の作
    用部位を、製造に使用する血小板で制御する生物学的又
    は薬理学的に活性な薬物の作用部位制御方法。
  29. 【請求項29】 薬物の作用部位が、血小板の寿命、血
    小板の粘着親和性、血小板の凝集親和性、あるいは血小
    板の活性化で制御される請求項28記載の生物学的又は
    薬理学的に活性な薬物の作用部位制御方法。
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