JPH08106450A - 半導体素子の電気特性評価装置 - Google Patents

半導体素子の電気特性評価装置

Info

Publication number
JPH08106450A
JPH08106450A JP6239808A JP23980894A JPH08106450A JP H08106450 A JPH08106450 A JP H08106450A JP 6239808 A JP6239808 A JP 6239808A JP 23980894 A JP23980894 A JP 23980894A JP H08106450 A JPH08106450 A JP H08106450A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
time step
electron
floating gate
calculation
calculation unit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP6239808A
Other languages
English (en)
Inventor
Kanji Ohara
完治 大原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electronics Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electronics Corp filed Critical Matsushita Electronics Corp
Priority to JP6239808A priority Critical patent/JPH08106450A/ja
Publication of JPH08106450A publication Critical patent/JPH08106450A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Test And Diagnosis Of Digital Computers (AREA)
  • Complex Calculations (AREA)
  • Testing Of Individual Semiconductor Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 半導体素子の数値解析において高速かつ安定
な解を得る。 【構成】 入力部12と時間ステップ設定部14とデカ
ップルド法の計算部15とニュートン法の計算部16と
を備え、前記2つの計算部を切り替える切替部17を持
つ。デカップルド法の計算部15とニュートン法の計算
部16とを切替部17により適宜切り替え、ポアソン方
程式、電子電流連続方程式、正孔電流連続方程式に加え
て電子エネルギー保存則および正孔エネルギー保存則を
解いて、電位、電子濃度、正孔濃度に加えて、電子温度
および正孔温度を計算する。また、入力部12は、3次
元的な構造を持つ半導体素子を2次元領域で取り扱える
ようにし、時間ステップ設定部14は最適な時間ステッ
プを設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体素子の電気特性
を特に数値計算によって、半導体素子内部の電気特性を
表す物理量、例えば電位、電子濃度、正孔濃度、電子温
度および正孔温度のうち少なくとも1つの物理量の所定
の位置における値を求めることにより評価する装置に関
し、特に不揮発性メモリ(EPROM、EEPROM、
flash EEPROMなど)の書き込み特性を評価
する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子の電気特性を評価する手法と
しては、半導体素子内部の電位分布、電子濃度分布およ
び正孔濃度分布を、ポアソン方程式、電子電流連続方程
式および正孔電流連続方程式の3つの基本方程式を数値
的に解くことにより求めるものが知られている。
【0003】また、半導体素子の試作に先立って半導体
素子の電気特性を予測する手法としてはデバイスシミュ
レーション技術(例えば、アナリシス・アンド・シミュ
レーション・オブ・セミコンダクタ・デバイス、198
4年、出版スプリンガー・ベルラグ社、著者S.ゼルバ
ヘル(S. Selberherr, 'Analysis and Simulation ofSe
miconductor Devices', Springer-Verlag, 1984))が
知られている。この技術は、半導体素子の内部に、図4
に示すように縦横に仮想的に格子線を引き、格子線同士
の交点を離散化用の格子点とし、該離散化用の格子点の
上で、ポアソン方程式、電子電流連続方程式および正孔
電流連続方程式の3つの偏微分方程式を、未知数である
電位、電子濃度および正孔濃度について解くものであ
る。
【0004】また、近年においては、半導体素子の微細
化の進展に伴い、キャリア(電子および正孔)温度がデ
バイス温度よりも見かけ上高くなるホットキャリア現象
が物理的課題となってきており、このために、電子およ
び正孔の各エネルギー保存則を前記3つの基本方程式に
連立させて解くことにより、電位、電子濃度および正孔
濃度と合わせて電子温度および正孔温度も求める、より
正確なシミュレーションを目指すようになってきてい
る。実際の解析においては、大型コンピュータ上で前記
5つの基本方程式を数値的に解くプログラムの形で実現
されている。ところが、マイクロコンピュータ上におい
ては、その能力の限界から、電子および正孔の各エネル
ギー保存則については解析されていないのが現状であ
る。
【0005】ところで、近年、半導体素子としての不揮
発性メモリが多くの製品の中に使われるようになり、そ
の数値解析の例が学会等で盛んに報告されている。
【0006】図3(a)は、不揮発性メモリの一例であ
るEPROMの2次元断面構造の模式図である。図3
(a)において、31は第1の拡散層、32は第2の拡
散層、33は半導体基板、34は浮遊ゲート、35は制
御ゲート、36は第1の絶縁膜、37は第2の絶縁膜、
38はゲート側壁である。EPROMの特徴は、浮遊ゲ
ート34を有し、該浮遊ゲート34の内部に電荷が蓄積
されているか否かを読み取ることによって、データの”
1”または”0”を判定することである。なお、不揮発
性メモリの他の例であるEEPROMは、構造はEPR
OMと若干異なるが、浮遊ゲートを有している点および
データの判定の仕方等についてはEPROMと同じであ
る。
【0007】浮遊ゲート34に電荷を蓄積する方法は、
第2の拡散層32および制御ゲート35に所定の電圧を
加え、第2の拡散層32と半導体基板33との接合部付
近に加わる高電界により発生するホットキャリアを第1
の絶縁膜36を通過して浮遊ゲート34に注入させるも
のである。このような動作は不揮発性メモリの書き込み
現象と呼ばれている。
【0008】また、不揮発性メモリの書き込み現象は時
間的に変化する事象であるため、過渡解析を行わなけれ
ばならない。従来の過渡解析は、トランジスタのスイッ
チング等に代表されるように、半導体素子内部のキャリ
アがごく短い時間内で急峻に変化し、時間の経過と共に
一定値に収まるような現象を扱っている。この場合の時
間ステップについては、例えばpsec程度のオーダー
から始めて定数倍していくというように、段階的に大き
くしていくもの、あるいは計算時間を考慮して解析途中
で若干変化させるもの等が知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、マイクロコ
ンピュータ上において電子および正孔の各エネルギー保
存則について解析されていないのは、解法が適切でない
ために収束解が得られなかったり、短時間で解が得られ
るにもかかわらず長い計算時間を費やす解法を選んでし
まうことがあったりするためである。このように、従来
においては、電子および正孔のエネルギー保存則の求解
が困難であるため、半導体素子の電気特性を正確に評価
することはできなかった。
【0010】前記の問題は、不揮発性メモリの書き込み
現象の解析において特に顕著である。すなわち、不揮発
性メモリの書き込み現象を数値解析するには、変数とし
て電位、電子濃度および正孔濃度の他に電子温度および
正孔温度についても正確に求める必要があるが、従来に
おいては、電位、電子濃度および正孔濃度をポアソン方
程式、電子電流連続方程式および正孔電流連続方程式に
より求めているのみである。電子温度および正孔温度に
ついては、電子および正孔のパスに従ってエネルギーを
積分していく方法が知られているに過ぎず、電子温度お
よび正孔温度を正確に計算しているとは言えない。
【0011】また、不揮発性メモリの書き込み現象の解
析においては、以下に説明するような問題もある。
【0012】第1の問題は、書き込み現象の過渡解析に
おける時間ステップについての問題である。すなわち、
不揮発性メモリの書き込み現象においては、浮遊ゲート
の内部に注入される電流は、書き込み時間の途中で増加
または減少する。このため、従来のように時間ステップ
を単純に大きくしていくだけでは正確な解析ができな
い。なぜならば、書き込み電流が大きいときに時間ステ
ップが大きいと、その時間ステップにおける浮遊ゲート
への電荷の注入が多く浮遊ゲートの電圧が大きく変化す
るので、解析精度および収束性の低下を招き、逆に書き
込み電流が小さいときに時間ステップが小さいと、その
時間ステップにおける浮遊ゲートへの電荷の注入は少な
く浮遊ゲートの電圧はほとんど変化しないので、計算時
間が非常に多くかかることになるからである。
【0013】第2の問題は、実際には3次元構造をもっ
ている不揮発性メモリを2次元空間で解析する方法がな
かったという問題である。不揮発性メモリの構造は、図
3(a)に示すように、通常のMOSトランジスタの構
造に浮遊ゲート34が付加されているにすぎないように
思われる。ところが、図3(a)のA−B線における2
次元断面構造を示す図3(b)からわかるように、浮遊
ゲート34と半導体基板33とが第1の絶縁膜36を介
して接する面幅がw1であるのに対して、浮遊ゲート3
4と制御ゲート35とが第2の絶縁膜37を介して接す
る面幅はw2である。このため、図3(a)に示す解析
領域のままで2次元解析を行うと、制御ゲート35の電
圧に比べて浮遊ゲート34の電圧を誤って評価してしま
うことになる。なぜならば、面幅w1の長さと面幅w2
の長さとの比(実際には、例えば、面幅w1が1μmで
あるのに対して、面幅w2は3μmである。)により、
第2の絶縁膜37の内部の電束密度を第1の絶縁膜36
の内部の電束密度に対してw1/w2の大きさに誤って
評価してしまうからである。従来では、このような問題
を考慮した2次元領域での解析方法はなかった。もっと
も、3次元のままで解析する場合にはこのような問題は
ないが、解析に要する計算量が膨大となり、マイクロコ
ンピュータでの解析は極めて困難となる。
【0014】前記に鑑み、本発明は、半導体素子の電気
特性である電位、電子濃度、正孔濃度、電子温度および
正孔温度について、半導体の基本方程式であるポアソン
方程式、電子電流連続方程式、正孔電流連続方程式、電
子エネルギー保存則および正孔エネルギー保存則を高速
かつ安定して解くことができるようにすることを第1の
目的とする。
【0015】また、不揮発性メモリの書き込み現象の過
渡解析を正確に実現できるようにすることを第2の目的
とする。
【0016】さらに、3次元構造を有する不揮発性メモ
リを2次元領域において解析できるようにすることを第
3の目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成す
るため、請求項1の発明が講じた手段は、半導体素子の
5つの基本方程式であるポアソン方程式、電子電流連続
方程式、正孔電流連続方程式、電子エネルギー保存則お
よび正孔エネルギー保存則を解いて、半導体素子の電気
特性を評価する半導体素子の電気特性評価装置を対象と
し、半導体素子の材質、不純物濃度分布、電極情報およ
び電極電圧等の半導体素子情報を入力する入力部と、前
記5つの基本方程式を解くのに用いる時間ステップを設
定する時間ステップ設定部と、前記5つの基本方程式の
うちポアソン方程式、電子電流連続方程式および正孔電
流連続方程式を解く第1の計算部と前記5つの基本方程
式のうち電子エネルギー保存則および正孔エネルギー保
存則をデカップルド法を用いて解く第2の計算部とを有
するデカップルド法の計算部と、前記5つの基本方程式
をニュートン法を用いて解くニュートン法の計算部と、
前記デカップルド法の計算部とニュートン法の計算部と
を切り替える機能を持つ切替部と、前記デカップルド法
の計算部およびニュートン法の計算部の計算結果が出力
される出力部とを備えている構成とするものである。
【0018】また、前記第2の目的を達成するため、請
求項2の発明は、請求項1の構成に、前記時間ステップ
設定部は、求める時間ステップの直前の時間ステップに
おける浮遊ゲートへの注入電流値で、あらかじめ与えら
れた微小電荷量を割ることにより、時間ステップを求め
る機能を有する構成を付加するものである。
【0019】また、前記第3の目的を達成するため、請
求項3の発明は、請求項1の構成に、前記入力部は、制
御ゲートと浮遊ゲートとの間の絶縁膜の厚さを、前記制
御ゲートと前記浮遊ゲートとが接する面幅と前記浮遊ゲ
ートと半導体基板とが接する面幅の比に応じて変更する
機能を有する構成を付加するものである。
【0020】
【作用】請求項1の構成により、半導体の基本方程式を
デカップルド法とニュートン法の2種類で解く機能を備
え、またそれらを適切に切り替える切替部を有している
ので、高速かつ安定に解を求めることができ、半導体素
子の電気特性を容易にかつ正確に評価できる。また、エ
ネルギー保存則も解いているために電子温度および正孔
温度を正確に求めることができる。
【0021】また、請求項2の構成により、時間ステッ
プ設定部において、求める時間ステップの直前の時間ス
テップにおける浮遊ゲートへの注入電流値で、あらかじ
め与えられた微小電荷量を割ることにより時間ステップ
を求めるので、計算精度および計算時間の両方におい
て、最適な時間ステップを設定することができる。
【0022】また、請求項3の構成により、入力部にお
いて、制御ゲートと浮遊ゲートとの間の絶縁膜の厚さ
を、制御ゲートと浮遊ゲートとが接する面幅と浮遊ゲー
トと半導体基板とが接する面幅との比に応じて変更する
ので、実際には3次元構造を持つ半導体素子を2次元領
域において正確に解析することができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の一実施例に係る半導体素子の
電気特性評価装置について図面を参照しながら説明す
る。
【0024】図1は、本発明の一実施例に係る半導体素
子の電気特性評価装置の概略構成を示すブロック図であ
る。図1において、11は各種の演算および制御を行う
CPU、12は解析領域内の各格子点上における、材
質、不純物濃度、電極か否かの情報、および、その格子
点が電極であるときその電圧値を読み込む入力部、13
は浮遊ゲート電圧を設定する浮遊ゲート電圧設定部、1
4は時間ステップを設定する時間ステップ設定部であ
る。また、15は5つの基本方程式であるポアソン方程
式、電子電流連続方程式、正孔電流連続方程式、電子エ
ネルギー保存則および正孔エネルギー保存則をデカップ
ルド法により解くデカップルド法の計算部であって、該
デカップルド法の計算部15は、5つの基本方程式のう
ちポアソン方程式、電子電流連続方程式および正孔電流
連続方程式を解く第1の計算部15aと、5つの基本方
程式のうち電子エネルギー保存則および正孔エネルギー
保存則を解く第2の計算部15bとからなる。また、1
6は5つの基本方程式をニュートン法により解くニュー
トン法の計算部であり、17はデカップルド法の計算部
15とニュートン法の計算部16とを切り替える切替
部、18はデカップルド法の計算部15およびニュート
ン法の計算部16において求められた解を使ってゲート
電流およびしきい値電圧シフトを計算するポストプロセ
ッサ部、19は最終的に得られた結果を出力する出力部
である。
【0025】デカップルド法およびニュートン法の特徴
を説明する。デカップルド法は、解の初期値は大体の値
を与えればよく収束性は高いが、求解に至るまで多くの
反復回数を要し、計算時間も長くかかる。逆にニュート
ン法は、初期値がよければ高速に求解できるが、初期値
が悪いといつまでも求解できなかったり発散して計算不
能となったりする。そこで、この両者の長所を利用し
て、デカップルド法により近似解を求め、その解を初期
値としてニュートン法により最終解を求めるというのが
本発明の基本的な考え方である。
【0026】すなわち、本実施例に係る半導体素子の電
気特性評価装置の第1の特徴は、5つの基本方程式をデ
カップルド法により解くデカップルド法の計算部15
と、5つの基本方程式をニュートン法により解くニュー
トン法の計算部16と、適切な計算方法により解くため
にデカップルド法の計算部15とニュートン法の計算部
16とを切り替える切替部17とを備え、これにより高
速かつ安定に解を求め、得られた解を用いてポストプロ
セッサ部18によりゲート電流等を求めるという手順
を、使用者の設定する時間になるまで計算を実行して、
半導体素子の電気特性評価を実現するようにした点にあ
る。
【0027】また、第2の特徴は、時間ステップ設定部
14を備え、不揮発性メモリの書き込み現象のような過
渡現象を解析するとき、内部特性の変化に応じて時間ス
テップを変更していくことにより、計算精度の向上およ
び計算時間の短縮を実現するようにした点にある。
【0028】さらに、第3の特徴は、半導体素子の3次
元構造を考慮して2次元領域における形状寸法パラメー
タの変更を行い、より正確な解析を実現するようにした
点にある。
【0029】以下、前記装置を用いて不揮発性メモリの
書き込み動作の特性評価を行うときの処理手順を、図2
に示すフローチャートにしたがって説明する。
【0030】まず初めに、ステップS1において、解析
領域内における各格子点上の、材質、不純物濃度、電極
か否かの情報、および電極であるときその設定電圧であ
る半導体素子情報を入力部12より読み込む。
【0031】次に、ステップS2において、浮遊ゲート
の電圧を設定する。浮遊ゲートの電圧は、浮遊ゲート内
部に注入される電荷により決定される。書き込みの最初
は、浮遊ゲート内部の電荷は零であるとして電圧を求
め、以後、注入された電荷量によりそのつど計算する。
計算方法は、たとえばガウスの法則を使って浮遊ゲート
の外側の電束密度を周回積分することにより電荷を求
め、その値が内部電荷に等しくなるまで反復計算するな
どの方法が使われる。
【0032】次に、ステップS3において、時間ステッ
プを設定する。時間ステップの設定は、本装置の計算精
度および計算時間を左右する最も大きな要素である。方
法については、後で説明する。
【0033】次に、ステップS4において、ポアソン方
程式、電子電流連続方程式および正孔電流連続方程式を
解いて、電位ψ、電子濃度nおよび正孔濃度pを求め
る。この計算は、デカップルド法の計算部15の第1の
計算部15aにおいて実行される。ただしこの場合、3
つの基本方程式を別々に解くデカップルド法の代わり
に、3つの基本方程式を同時に解くニュートン法によっ
て解いてもよい。この後、ステップS5において、電位
ψ、電子濃度nおよび正孔濃度pの値が収束しているか
否かを判定し、収束していると判定するとステップS6
に進み、収束していないと判定するとステップS4に戻
って前記の計算を繰り返す。収束しているか否かの判定
は収束条件を満たしているか否かによって行い、収束条
件としては、たとえば電位の修正量δψ、電子濃度の修
正量δnおよび正孔濃度の修正量δpが、それぞれ所定
値以下であるか否かを判断する方法等を用いることがで
きる。
【0034】続いてステップS6において、電子エネル
ギー保存則および正孔エネルギー保存則を解いて、電子
温度Tn および正孔温度Tp を求める。この計算は、デ
カップルド法の計算部15の第2の計算部15bにおい
て実行される。その後、ステップS7において、電子温
度Tn および正孔温度Tp が収束しているか否かを判定
し、収束していると判定するとステップS9に進み、収
束していないと判定するとステップS8に進む。この場
合の収束条件としては、たとえば電子温度の修正量δT
n および正孔温度の修正量δTp が、全ての格子点上に
おいて所定値以下であるか否かを判断する方法等を用い
ることができる。
【0035】ステップS8においては、ステップS6に
おける計算が最大反復回数まで実行されたか否かを判断
する。最大反復回数まで実行されたと判断するとステッ
プS9に進み、最大反復回数まで実行されていないと判
断するとステップS6に戻って前記の計算を繰り返す。
【0036】ステップS9においては、切替部17によ
り、ニュートン法の計算部16に切り替えて計算を行う
か、デカップルド法の計算部15において計算を再実行
するかを判定する。判定は、以下のように行う。まず、
ステップS7において収束条件を満たしている場合は、
ニュートン法の計算部16に切り替える。ステップS7
およびステップS8において、収束条件を満たさないま
ま最大反復回数まで実行された場合は、電子温度の修正
量δTn および正孔温度の修正量δTp の、全格子点に
おける最大値の変化により判定し、徐々に減少している
ときはニュートン法の計算部16に切り替え、増加およ
び減少がみられるときにはデカップルド法の計算部15
において計算を再実行する。ニュートン法の計算部16
に切り替えて計算を行うと判定するとステップS10に
進み、デカップルド法の計算部15において計算を再実
行すると判定するとステップS4に戻る。
【0037】ステップS10においては、ニュートン法
の計算部16により5つの基本方程式を同時に計算し、
電位ψ、電子濃度n、正孔濃度p、電子温度Tn および
正孔温度Tp を同時に求め、同時に解の更新を行う。こ
の後、ステップS11において解が収束しているか否か
を判定し、収束していると判定するとステップS12に
進む一方、収束していないと判定するとステップS10
に戻る。
【0038】ステップS12においては、ポストプロセ
ッサ部18により、浮遊ゲートへの注入電流の計算を行
い、その注入電流値に現在の時間ステップを掛けて現在
の微小時間内に浮遊ゲートに蓄積される微小時間蓄積電
荷を求める。前の時間までに蓄積されている蓄積電荷に
微小時間蓄積電荷を加えることにより現在時間までに蓄
積されている電荷を求め、この電荷の値を用いてしきい
値電圧シフトを計算する。しきい値電圧とは、不揮発性
メモリのトランジスタ部分がオンする制御ゲートの電圧
値である。書き込み当初は浮遊ゲート内の電荷が零であ
るが、浮遊ゲート内に電荷が蓄積されるにつれてしきい
値電圧が変化する。この変化量がしきい値電圧シフトで
ある。
【0039】以上のステップが終了すると、ステップS
13において、計算時間が指定時間に達しているか否か
の判定を行う。達していないと判定すると、ステップS
2に戻り、前記の各計算を繰り返す。達していると判定
すると、ステップS14において、最終的な電位ψ、電
子濃度n、正孔濃度p、電子温度Tn 、正孔温度Tp、
計算時間およびしきい値電圧シフト等を出力部19から
グラフィックデータとして出力する。
【0040】以下、ステップS4において時間ステップ
設定部14により時間ステップを設定する方法について
説明する。
【0041】注入電流は浮遊ゲートの電圧の時間的な変
化に伴って大きく変化する。注入電流が大きいときに時
間ステップを大きくすると、その時間ステップにおける
浮遊ゲートの電圧が大きく変化して計算精度が落ち、さ
らには計算が収束しない可能性が出てくる。逆に注入電
流が小さいときに時間ステップを小さくすると、計算精
度は高くなるが膨大な計算時間がかかることになる。し
たがって、注入電流が大きいときには時間ステップを小
さくし、注入電流が小さいときには時間ステップを大き
くする必要がある。
【0042】そこで、本実施例においては、時間の経過
に伴って変化する浮遊ゲートへの注入電流と浮遊ゲート
の電圧との関係を考慮しながら、注入電流と時間ステッ
プとの積が所定の微小電荷量を超えないように制御す
る。制御内容は次のとおりである。まず、数値解析の収
束性を考慮して、最初の時間ステップはpsecオーダ
ー程度から始める。これ以降は、たとえば時間ステップ
を定数倍に大きくしていき、注入電流と時間ステップと
の積が所定の微小電荷量を超えた段階で、この微小電荷
量を現在の注入電流で割って得られる値を次の時間ステ
ップとする。このようにすると、浮遊ゲートの電圧の変
化量はほぼ一定となり、収束性が安定する。具体的数値
としては、たとえば浮遊ゲートの電圧変化量が0.1V
程度になるようにすると、計算時間が極端に増大するこ
とはない。時間が進むにつれて浮遊ゲートの電圧が下が
り注入電流が大きく減少することがあるが、前記の計算
によると時間ステップが著しく大きく設定されてしまう
ことがあるので、新たな時間ステップが前の時間ステッ
プのある定数倍を超えないように、時間ステップの上限
を設けることが好ましい。
【0043】以下、不揮発性メモリの3次元構造をも考
慮した、2次元領域における解析方法について説明す
る。
【0044】不揮発性メモリの書き込み現象を図3
(a)に示すような2次元領域で解析する場合、図3
(a)のA−B線における2次元断面構造を示している
のが図3(b)であるが、一般的には半導体基板33と
浮遊ゲート34とが第1の絶縁膜36を介して接する面
幅w1と、浮遊ゲート34と制御ゲート35とが第2の
絶縁膜37を介して接する面幅w2とは大きさが異な
る。このため、浮遊ゲート34と制御ゲート35との間
の電束密度を、w1/w2の大きさに誤って評価するこ
とになり、誤った計算結果を引き出してしまうことにな
る。
【0045】そこで、本実施例においては、図3(c)
に示すように、浮遊ゲート34と制御ゲート35との間
の第2の絶縁膜37の厚さを、tox×(w1/w2)の
ように変更して計算を行うようにしている。なお、図3
(a)と図3(c)との差異は第2の絶縁膜37の厚さ
だけであり、その他の点については変更しない。このよ
うにすることにより、浮遊ゲート34と制御ゲート35
との間の電束密度を実際どおりの値に見積ることができ
る。また、半導体基板33と浮遊ゲート34とが第1の
絶縁膜36を介して接する面幅w1の領域においては電
束密度を実際どおりの値にしている。ここで、第2の絶
縁膜37の厚さをtox×(w1/w2)として計算を実
行したのは、半導体基板33と浮遊ゲート34とが第1
の絶縁膜36を介して接する領域の電束密度と浮遊ゲー
ト34と制御ゲート35とが第2の絶縁膜37を介して
接する領域の電束密度とに着目したものであり、その他
の領域つまりゲート側壁部38およびLOCOS領域3
9では電束密度は零であると仮定している。以上の方法
を用いることにより、3次元的な構造を有する不揮発性
メモリの書き込み現象を、2次元領域における解析によ
って簡単かつ正確に評価することができる。
【0046】なお、本発明は、前記の実施例に限定され
るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形
して実施することができる。たとえば、本発明に係る半
導体素子の電気特性評価装置は、図1の構成に限定され
るものではなく、デカップルド法の計算部15、ニュー
トン法の計算部16、切替部17および出力部19等の
機能をソフトウェアにより実現することが可能である。
【0047】
【発明の効果】請求項1の発明に係る半導体素子の電気
特性評価装置によると、半導体素子の5つの基本方程式
であるポアソン方程式、電子電流連続方程式、正孔電流
連続方程式、電子エネルギー保存則および正孔エネルギ
ー保存則を、デカップルド法の計算部とニュートン法の
計算部とを適宜切り替えながら解くので、電位、電子濃
度、正孔濃度、電子温度および正孔温度を高速かつ安定
に求めることができる。
【0048】また、エネルギー保存則を解いているため
に正確な電子温度および正孔温度を求めることができ、
このことにより、たとえば、不揮発性メモリの浮遊ゲー
トへの注入電流を正確に計算することができる。
【0049】請求項2の発明に係る半導体素子の電気特
性評価装置によると、不揮発性メモリの書き込み現象の
ような過渡現象の解析において、計算精度および計算時
間の両方において最適な時間ステップを設定することが
でき、より正確な過渡解析が実現できる。
【0050】請求項3の発明に係る半導体素子の電気特
性評価装置によると、2次元領域において、半導体素子
の3次元構造をも考慮したより正確な解析が実現でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る半導体素子の電気特性
評価装置を示すブロック図である。
【図2】前記実施例に係る半導体素子の電気特性評価装
置における処理手順を示すフローチャートである。
【図3】不揮発性メモリの2次元断面構造を示す模式図
である。
【図4】デバイスシミュレーションの離散化用格子を示
す模式図である。
【符号の説明】
11 CPU 12 入力部 13 浮遊ゲート電圧設定部 14 時間ステップ設定部 15 デカップルド法の計算部 15a 第1の計算部 15b 第2の計算部 16 ニュートン法の計算部 17 切替部 18 ポストプロセッサ部 19 出力部 31 第1の拡散層 32 第2の拡散層 33 半導体基板 34 浮遊ゲート 35 制御ゲート 36 第1の絶縁膜 37 第2の絶縁膜 38 ゲート側壁部 39 LOCOS領域

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体素子の5つの基本方程式であるポ
    アソン方程式、電子電流連続方程式、正孔電流連続方程
    式、電子エネルギー保存則および正孔エネルギー保存則
    を解いて、半導体素子の電気特性を評価する半導体素子
    の電気特性評価装置であって、 半導体素子の材質、不純物濃度分布、電極情報および電
    極電圧等の半導体素子情報を入力する入力部と、 前記5つの基本方程式を解くのに用いる時間ステップを
    設定する時間ステップ設定部と、 前記5つの基本方程式のうち、ポアソン方程式、電子電
    流連続方程式および正孔電流連続方程式を解く第1の計
    算部と、前記5つの基本方程式のうち、電子エネルギー
    保存則および正孔エネルギー保存則をデカップルド法を
    用いて解く第2の計算部とからなるデカップルド法の計
    算部と、 前記5つの基本方程式をニュートン法を用いて解くニュ
    ートン法の計算部と、 前記デカップルド法の計算部とニュートン法の計算部と
    を切り替える機能を持つ切替部と、 前記デカップルド法の計算部およびニュートン法の計算
    部の計算結果が出力される出力部とを備えていることを
    特徴とする半導体素子の電気特性評価装置。
  2. 【請求項2】 前記時間ステップ設定部は、 求める時間ステップの直前の時間ステップにおける浮遊
    ゲートへの注入電流値で、あらかじめ与えられた微小電
    荷量を割ることにより、時間ステップを求める機能を有
    することを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の電
    気特性評価装置。
  3. 【請求項3】 前記入力部は、 制御ゲートと浮遊ゲートとの間の絶縁膜の厚さを、前記
    制御ゲートと前記浮遊ゲートとが接する面幅と前記浮遊
    ゲートと半導体基板とが接する面幅との比に応じて変更
    する機能を持つことを特徴とする請求項1記載の半導体
    素子の電気特性評価装置。
JP6239808A 1994-10-04 1994-10-04 半導体素子の電気特性評価装置 Withdrawn JPH08106450A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6239808A JPH08106450A (ja) 1994-10-04 1994-10-04 半導体素子の電気特性評価装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6239808A JPH08106450A (ja) 1994-10-04 1994-10-04 半導体素子の電気特性評価装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08106450A true JPH08106450A (ja) 1996-04-23

Family

ID=17050168

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6239808A Withdrawn JPH08106450A (ja) 1994-10-04 1994-10-04 半導体素子の電気特性評価装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08106450A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107608930A (zh) * 2017-07-19 2018-01-19 浙江海洋大学 洞塞后部回流长度的计算方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107608930A (zh) * 2017-07-19 2018-01-19 浙江海洋大学 洞塞后部回流长度的计算方法
CN107608930B (zh) * 2017-07-19 2020-05-05 浙江海洋大学 洞塞后部回流长度的计算方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wan et al. A tunneling field effect transistor model combining interband tunneling with channel transport
McAndrew Practical modeling for circuit simulation
US20140054688A1 (en) Semiconductor device
Guan et al. An analytical model for optimization of programming efficiency and uniformity of split gate source-side injection SuperFlash memory
US5889687A (en) Simulator, simulation and fabrication methods of semiconductor device and storage medium storing program for executing the simulation method
JPH08106450A (ja) 半導体素子の電気特性評価装置
Ward et al. Asymptotic methods for metal oxide semiconductor field effect transistor modeling
US8250508B2 (en) Method and apparatus for analysis and design of a semiconductor device using impurity concentration distribution
US5889680A (en) Device simulation method for use in numerical analyses of a semiconductor device
JP2000269105A (ja) プロセスシミュレータ、プロセスシミュレーション方法、デバイスシミュレータおよびデバイスシミュレーション方法
Biegel et al. Efficient multi-dimensional simulation of quantum confinement effects in advanced MOS devices
US8296700B2 (en) Analyzing method of semiconductor device, designing method thereof, and design supporting apparatus
US8296701B2 (en) Method for designing a semiconductor device based on leakage current estimation
US6493848B1 (en) Rate equation method and apparatus for simulation of current in a MOS device
JP3926150B2 (ja) デバイス・シミュレーション方法およびデバイス・シミュレーション装置
JP2594758B2 (ja) 二重ゲート構造記憶素子の特性予測方法
US20090276737A1 (en) Tool for charge trapping memory using simulated programming operations
JPH06232231A (ja) 半導体素子の電気特性評価装置
JP3313281B2 (ja) 半導体装置の特性評価方法
US20240078367A1 (en) Method of obtaining an initial guess for a semiconductor device simulation
Jamshidnezhad et al. Physics-based analytical model for ferromagnetic single electron transistor
JP3993008B2 (ja) デバイス・シミュレーション装置及びデバイス・シミュレーション方法
JP3247367B2 (ja) 半導体素子の特性評価方法
Hwang et al. Improved physical modeling of submicron MOSFETs based on parameter extraction using 2-D simulation
Mayergoyz et al. Analysis of random dopant-induced effects through numerical solution of randomly perturbed nonlinear Poisson equation

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20020115