JPH0810518A - フィルタ及びフィルタの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造簡単で，濾過エレメントとフィルターケ
ースとの一体化を図ることができ，かつ低コストのフィ
ルタ及びその製造方法を提供すること。 【構成】 濾過エレメントを収納するフィルターケース
１と，該フィルターケース１内において一体成形された
濾過エレメントとよりなると共に，上記濾過エレメント
は濾過しようとする流体を導入する流入通路と，濾過さ
れた流体を導出する流出通路とを有し，上記流入通路及
び流出通路はフィルターケースの外部へ連通している。
上記フィルタの製造に当たっては，例えば，フィルター
ケース１内に流入通路形成用のスペーサ２と流出通路形
成用の中軸４とを配置し，フィルターケース１内に濾材
３を投入し，濾材を互いに結合させて濾過エレメントと
し，その後スペーサ２と中軸４とを取去する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は，内燃機関のオイル流路
等に配設する，フィルターケースと濾過エレメントが一
体形の，フィルタ及びその製造方法に関する。

【０００２】

【従来技術】従来，例えば，内燃機関のオイルの濾過に
用いられるフィルタとしては，フィルターケース内にデ
ィプス型濾過エレメントを挿入配置したものが用いられ
ている。かかるディプス型は，例えば繊維マットを巻回
したもの，或いは繊維を円筒状に巻取り成形したものな
ど多くのものがある。そして，従来のフィルタは，上記
ディプス型濾過エレメントを予め上記のように別途作製
しておき，これをフィルターケース内に組み込むことに
より製造している。

【０００３】

【解決しようとする課題】しかしながら，従来のフィル
タにおいては，次の問題がある。即ち，従来のフィルタ
は，上記のごとく，濾過エレメントを予め別工程で作製
しておき，その後フィルターケース内に組み込んでアッ
シイとするものである。そのため，濾過エレメントの製
造工程において上記巻き取りのための多数の成形治具，
成形装置を必要とする。

【０００４】また，濾過エレメントの製造工程と，組付
け工程とが分断されるため，それぞれの設備，設置場
所，工程管理も多い。また，両工程間における，濾過エ
レメントのストックのための場所，管理も必要となる。
この様に従来のフィルタは，濾過エレメントとフィルタ
ーケースとが別成形され，濾過エレメントの成形，組付
けに問題があり，コスト高であった。

【０００５】本発明はかかる従来の問題点に鑑み，構造
簡単で，濾過エレメントとフィルターケースとの一体化
を図ることができ，かつ低コストのフィルタ及びその製
造方法を提供しようとするものである。

【０００６】

【課題の解決手段】本発明は，濾過エレメントを収納す
るフィルターケースと，該フィルターケース内において
一体成形された濾過エレメントとよりなると共に，上記
濾過エレメントは濾過しようとする流体を導入する流入
通路と，濾過された流体を導出する流出通路とを有し，
上記流入通路及び流出通路はフィルターケースの外部へ
連通していることを特徴とするフィルタにある。

【０００７】本発明において最も注目すべきことは，上
記濾過エレメントはフィルターケース内において一体成
形され，該濾過エレメントが流入通路と流出通路とを有
することである。上記流入通路は，通常，濾過面積を多
く取るために，濾過エレメントの外周部に設けられ，一
方流出通路は濾過エレメントのほぼ中央部に設ける。

【０００８】上記濾過エレメントの濾材としては，合成
繊維，天然繊維等の繊維を用いる。これら繊維は，例え
ば水溶性或いは熱硬化性の合成樹脂，接着剤等の接合剤
によって，その接触点が接合され，多孔質の濾過エレメ
ントを形成している。上記繊維としては，例えばウッド
パルプ，リンターパルプ等の天然繊維，ナイロン，ポリ
エステル，アクリル，レーヨン等の合成繊維がある。ま
た，接合剤としては，水溶性フェノール樹脂，ポリビニ
ルアルコールなどがある。

【０００９】また，上記フィルターケースは，内燃機関
におけるオイル流路など，濾過しようとする流体の流路
に取付けるための取付け部を有していることが好まし
い。これにより，フィルタを容易に上記流路に取付ける
ことができる。また，本発明のフィルタは，内燃機関の
オイルの濾過のみでなく，飲料水用，化学工場の各種溶
液の濾過用，更には各種ガスの濾過用等として広く利用
することができる。

【００１０】次に，上記フィルタの製造方法としては，
濾過エレメントを収納するフィルターケース内に，流入
通路形成用のスペーサと流出通路形成用の中軸とを配置
し，次いで上記フィルターケース内に濾材を投入すると
共に該濾材を互いに結合させて濾過エレメントを形成
し，その後上記スペーサと中軸とを取去ることを特徴と
するフィルタの製造方法がある。

【００１１】この製造方法において，上記スペーサは濾
過エレメント自体に流入通路を形成するためのもので，
濾過エレメント成形後にはフィルターケース内より取去
するものである。また，中軸も，濾過エレメント自体に
流出通路を形成するためのもので，濾過エレメント成形
後にはフィルターケース内より取去するものである。

【００１２】上記フィルターケース内に投入する濾材
は，上記と同様である。フィルターケース内において，
濾過エレメントを形成する方法としては，フィルターケ
ース内に投入した濾材に圧力をかけて濾材を所望する多
孔質状に圧縮し，その後上記接合剤によって繊維間を結
合する方法がある。濾過エレメントの形成後は，フィル
ターケース内より上記スペーサ及び中軸を取り去る。こ
れにより，これらが配置されていた場所に流入通路，流
出通路が形成され，濾過エレメントとフィルターケース
とが一体化されたフィルタが得られる。

【００１３】次に上記スペーサは，フィルターケースの
内壁に接して配置し，一方中軸はフィルターケースの中
央部に配置することが好ましい。これにより，濾過面積
が大きい濾過エレメントを得ることができる。なお，上
記中央部とは，濾過エレメントの中央付近のことをい
う。

【００１４】また，上記スペーサは，実施例１に示すご
とく，複数個を用いることが好ましい。これにより，濾
過エレメントに複数個の流入通路を形成でき，濾過効率
の高いフィルタを得ることができる。また，フィルター
ケースは，通常は１つのケースであるが，内ケース，外
ケースの二重構造とすることもできる。この場合には，
内ケースの中に上記濾過エレメントを一体成形する。

【００１５】

【作用及び効果】本発明のフィルタにおいては，フィル
ターケースの中に濾過エレメントが一体成形され，かつ
濾過エレメントが上記流入通路と流出通路とを有してい
る。そのため，フィルターケースと濾過エレメントとが
一体化されて，構造簡単である。また，そのため，従来
のごとく濾過エレメントを別途作製し，これをフィルタ
ーケース内に組付けるという作業も必要としない。その
ため，濾過エレメント製造のための設備，場所，管理，
濾過エレメントの組付け工程等が必要でなく，コストの
低減を図ることができる。

【００１６】また，上記製造方法によれば，フィルター
ケース内にスペーサと中軸とを配置し，濾材を投入して
濾過エレメントを形成し，その後スペーサと中軸を取去
するという簡単なプロセスで，フィルタを製造すること
ができる。そのため，従来のように濾過エレメントを別
途作製するという必要がなく，また上記のごとき濾過エ
レメント作製のための設備，場所，管理等も必要でな
く，コスト低減を図ることができる。

【００１７】したがって，本発明によれば，構造簡単で
濾過エレメントとフィルターケースとの一体化を図るこ
とができ，かつ低コストのフィルタ及びその製造方法を
提供することができる。

【００１８】

【実施例】 実施例１ 本発明の実施例にかかるフィルタ及びその製造方法につ
き，図１〜図４を用いて説明する。本例のフィルタは，
内燃機関のオイル流路に配設するオイルフィルタであ
る。

【００１９】まず，本例におけるフィルタ１０は，図３
及び図４に示すごとく，濾過エレメント３０を収納する
ケース１と該ケース１内において一体成形された濾過エ
レメント３０とよりなる。上記濾過エレメント３０は，
濾過しようとする流体を導入する流入通路２０と，濾過
された流体を導出する流出通路４０とを有する。

【００２０】上記流入通路２０及び流出通路４０は，流
入口１５１，流出口１５２を通じて，フィルターケース
１の外部へ連通している。上記流入通路２０は，フィル
ターケース１の内壁１２に面して，その軸方向に８個設
けてある。一方流出通路４０は，濾過エレメント３０の
中央部に１個設けてある（図３）。

【００２１】次に，上記フィルタ１０の製造方法につ
き，図１及び図２を用いて説明する。即ち，まずフィル
ターケース１内に，流入通路形成用の８本のスペーサ２
と，流出通路形成用の１本の中軸４とを配置する。次い
で，上記フィルターケース１内に濾材３を投入すると共
に該濾材３を互いに結合させて濾過エレメント３０を形
成する。その後，上記スペーサ２と中軸４とを，濾過エ
レメント３０の軸方向に沿って抜き去る。これにより，
上記図３，図４に示したフィルタ１が得られる。以下，
これらにつき，詳説する。

【００２２】即ち，まず，フィルターケース１は，鉄等
の金属製の有底円筒体で，上方の開口周縁部にフランジ
部１１を有している。上記スペーサ２及び中軸４は，上
記のごとく，フィルターケース１の軸方向に沿って挿入
配置する。なお，スペーサ２及び中軸４は，フィルター
ケース１内に保持するために，別に設けた保持部材によ
りクランプ固定しておく（図示略）。

【００２３】上記スペーサ２は，図２に示すごとく，そ
の幅方向に若干弧状をなしている。また，中軸４は，円
筒パイプ状で内部に中空部２２を有すると共に，内外壁
を貫通する多数の微細な排水孔４１を有する（図１）。
次に，上記のごとく，スペーサ２及び中軸４を配置した
フィルターケース１内に，水に分散させた濾材３を投入
する。濾材３は，ウッドパルプの繊維と，該繊維を結合
させる接合剤としての水溶性フェノール樹脂とよりな
る。

【００２４】上記投入時においては，濾材３を分散させ
た水３１の一部分は，中軸４の排水孔４１より中空部４
２内に流出する。次に，濾材３の上部に押圧板５を置
き，加圧棒５１を介して加圧する。これにより，濾材３
は圧縮され，内部に含まれている上記水３１が更に中空
部４２内に流出する。

【００２５】次に，フィルターケース１を傾倒させるな
どにより，中空部４２内の水を外部へ排出する。その
後，押圧板５，スペーサ２及び中軸４を抜き去り，約１
８０℃で加熱し，濾材を乾燥すると共に上記フェノール
樹脂を硬化させる。これにより，上記図３，図４に示す
ごとく，フィルターケース１内に，多孔質の濾過エレメ
ント３０を一体的に成形したフィルタ１０を得る。

【００２６】次に，上記フィルタ１０を，内燃機関用の
上記オイルフィルタに構成するため，図４に示すごと
く，上記フィルターケース１の開口部（図４の下部）に
おいて，逆流防止弁１４を介して固定板１５を配置す
る。更に，固定板１５は，環状凹部１８０を有する固定
リング１８により固定される。

【００２７】固定リング１８は外周に巻き締め部１８１
を有し，該巻き締め部１８１を上記フィルターケース１
のフランジ部１１に巻き締めすること（図４）により，
上記固定リング１８をフィルターケース１に固定する。
更に，固定リング１８の環状凹溝内には，フィルターケ
ース１を，内燃機関のオイル流路の取付端に密着固定す
るための，ガスケット１７を配置する。

【００２８】また，上記固定板１５は，その中央部に濾
過エレメント３０の流出通路４０と連通する流出口１５
２を，また該流出口１５２よりも外方に上記濾過エレメ
ント３０の流入通路２０と連通する流入口１５１を有す
る。また，固定板１５は，上記流出口１５２に面する内
側に，内燃機関のオイル流路における取付ノズルに螺合
するための，取付部としてのネジ部１５５を有する。

【００２９】上記フィルタを，上記オイル流路に取付け
た場合には，図４に示すごとく，流入口１５１，逆止弁
１４を介して，内燃機関のオイル９が，まず流入通路２
０内に入る。次いで，オイル９は，濾過エレメント３０
内を通過して，流出通路４０に流出する。この間に，オ
イル９内の混入物が除去され，清浄化される。流出通路
４０に入ったオイル９は，流出口１５２を経て，再び内
燃機関に送られる。

【００３０】次に，本例の作用効果につき説明する。上
記のごとく，本例のフィルタ１０においては，フィルタ
ーケース１の中に濾過エレメント３０が一体成形され，
かつ濾過エレメント３０が上記流入通路２０と流出通路
４０とを有している。そのため，フィルターケースと濾
過エレメントとが一体化されて構造簡単である。また，
そのため，濾過エレメント３０を別途作製する必要もな
い。それ故，低コストである。

【００３１】また，上記フィルタ１の製造に当たって
は，上記のごとく，比較的簡単なプロセスにより一体成
形できる。そのため，濾過エレメントを別途作製する必
要がなく，また濾過エレメント作製のための設備，場
所，管理等も必要でない。そのためコスト低減を図るこ
とができる。

【００３２】実施例２ 本例は，図５に示すごとく，中軸４５として，中実状の
円柱４５を用いた例である。即ち，上記実施例１におい
ては，濾材を水に分散させてフィルターケース内に投入
したが，本例においては濾材３５に水を用いることなく
繊維と接着用樹脂等の接合剤とを混合したものを投入す
る。次いで，実施例１と同様に圧縮成形，加熱乾燥，硬
化をする。

【００３３】その他は実施例１と同様である。本例にお
いても，実施例１と同様の効果を得ることができる。ま
た，上記実施例１，実施例２においては，濾過エレメン
トの乾燥，硬化後に逆止弁１４，固定板１５等の組み付
けを行ったが，これらの組み付け後に，フィルターケー
スの外観塗装を行ない，加熱することもできる。この場
合には，濾過エレメントの加熱乾燥工程，樹脂又は接合
剤による硬化工程と，塗料の乾燥工程とを同時に行うこ
とができ，工程時間の短縮化を図ることができる。

【００３４】実施例３ 本例は，図６に示すごとく，円筒状の１つのスペーサ２
６を用いたものである。このスペーサ２６は，フィルタ
ーケース１の内壁１２の内側に配置する。また，中軸４
は実施例１と同様に排水孔４１を有する円筒体である。
その他は，実施例１と同様である。 本例においても，
実施例１と同様の効果を得ることができる。

【００３５】実施例４ 本例は，図７及び図８に示すごとく，中軸の他の例を示
すものである。図７に示す中軸４６は，実施例１と異な
り，内側に中空部４６０を有する四角筒体である。一
方，図８に示す中軸４７は，内側に中空部４７０を有す
る星形状の筒体である。

【００３６】中軸４６，４７共に，実施例１と同様に濾
材を分散させる水を流出するための排水孔を設けること
もできる。また，排水孔を設けることなく，実施例２の
ように用いることもできる。その他は実施例１，実施例
２と同様であり，実施例１，実施例２と同様の作用効果
を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例１における，フィルタの製造方法の説明
図。

【図２】実施例１のフィルタの製造方法における，スペ
ーサ，中軸を配置したフィルターケースの斜視図。

【図３】実施例１で得られたフィルタの断面図。

【図４】図３のＡ−Ａ線矢視断面図。

【図５】実施例２におけるフィルタの製造方法の説明
図。

【図６】実施例３におけるフィルタの製造方法の説明
図。

【図７】実施例４における中軸の斜視図。

【図８】実施例４における他の中軸の斜視図。

【符号の説明】

１．．．フィルターケース， ２，２６．．．スペーサ， ２０．．．流入通路， ３，３５．．．濾材， ３０．．．濾過エレメント， ３１．．．水， ４，４５，４６，４７．．．中軸， ４０．．．流出通路， ９．．オイル，

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｆ０１Ｍ 11/03 Ａ Ｂ０１Ｄ 29/08 ５４０ Ｂ 35/02 Ｅ (72)発明者 高原 敏広 愛知県刈谷市昭和町１丁目１番地 日本電 装株式会社内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 濾過エレメントを収納するフィルターケ
   ースと，該フィルターケース内において一体成形された
   濾過エレメントとよりなると共に，上記濾過エレメント
   は濾過しようとする流体を導入する流入通路と，濾過さ
   れた流体を導出する流出通路とを有し，上記流入通路及
   び流出通路はフィルターケースの外部へ連通しているこ
   とを特徴とするフィルタ。
2. 【請求項２】 請求項１において，上記フィルターケー
   スは内燃機関のオイル流路へ接続するための取付部を有
   していることを特徴とするフィルタ。
3. 【請求項３】 濾過エレメントを収納するフィルターケ
   ース内に，流入通路形成用のスペーサと流出通路形成用
   の中軸とを配置し，次いで上記フィルターケース内に濾
   材を投入すると共に該濾材を互いに結合させて濾過エレ
   メントを形成し，その後上記スペーサと中軸とを取去る
   ことを特徴とするフィルタの製造方法。
4. 【請求項４】 請求項３において，上記スペーサはフィ
   ルターケースの内壁に接して配置し，一方上記中軸はフ
   ィルターケースの中央部に配置することを特徴とするフ
   ィルタの製造方法。
5. 【請求項５】 請求項３又は４において，上記スペーサ
   は複数個配置することを特徴とするフィルタの製造方
   法。