JPH0799358A - 固体レーザ装置 - Google Patents

固体レーザ装置

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JPH0799358A
JPH0799358A JP24226593A JP24226593A JPH0799358A JP H0799358 A JPH0799358 A JP H0799358A JP 24226593 A JP24226593 A JP 24226593A JP 24226593 A JP24226593 A JP 24226593A JP H0799358 A JPH0799358 A JP H0799358A
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JP
Japan
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laser
reflection mirror
partial reflection
laser beam
solid
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JP24226593A
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Takahiro Nagashima
崇弘 長嶋
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Fuji Electric Co Ltd
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Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】レーザビームLBのビームウエストDと広がり角
θの積であるθDを減少させてビームの集光をシャープ
にし、ビームの断面内の電力密度Pを均一にして光導体
を介するレーザビームの伝達を容易にする。 【構成】断面が長方形のスラブ形等のレーザ媒質1を全
反射ミラー2と部分反射ミラー3の相互間に挟んでレー
ザ共振系を構成し、部分反射ミラー3をその反射率がx
方向にステップ状に変化するよう形成してその低反射率
部3cがレーザ媒質1の端面から僅か遠ざかるように傾き
αをもつ姿勢に調整し、レーザ光Lの共振系内のz方向
の往復経路をx方向に次第にずらせながら部分反射ミラ
ー3の低反射率部3cからレーザビームLBとして取り出
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はレーザ加工等のためいわ
ゆるスラブ形等の断面積が広い固体のレーザ媒質を用い
る大電力発振にとくに適する固体レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、固体レーザ装置では固体
レーザ媒質を全反射ミラーと部分反射ミラーの相互間に
挟んでレーザ共振系を構成し、部分反射ミラーの方から
レーザビームを取り出すが、大電力発振用の場合を含め
てレーザ共振系をいわゆる安定共振系として構成するの
が通例であり、その代表例を図3を参照してスラブ形の
レーザ媒質を用いる場合について以下に説明する。
【0003】図3(a) はスラブレーザ装置の概要構成を
示す上面図であり、例えばNdを含むYAGである固体の
レーザ媒質1はその下側に示すようにx方向の幅がy方
向の厚みよりかなり大きい長方形のスラブ状の断面をも
ち、光軸方向であるz方向にもちろん細長い形状に形成
される。かかるレーザ媒質1のz方向の一方側に配設さ
れる全反射ミラー2はレーザ光Lに対し全反射性のふつ
うは凹な球面を備え、他方側に配設されるふつうは平面
状の部分反射ミラー3は一面が部分反射面3a,他面が反
射防止面3bとされる。これらミラー2,3とレーザ媒質
1は正確に光軸合わせしかつミラー間隔を全反射ミラー
2の球面の曲率に応じて調整した状態でレーザ光Lに対
する安定共振系を構成し、部分反射ミラー3側からレー
ザ光LがレーザビームLBとして取り出される。
【0004】図3(b) はこのスラブレーザ装置の側面図
である。図のようにレーザ媒質1の上下にその光励起用
の励起光源4として例えば放電灯を配設し、レーザ媒質
1の上下面である図3(a) のその広いxz面にy方向から
励起光ELを与える。この励起光源4を数百Hzの周波数で
交流点灯してレーザ装置を同じ周波数で繰り返し発振さ
せるのが通例であるが、レーザビームLBを数百W程度の
高出力で取り出すには強力な励起光ELを与える必要があ
り、レーザ媒質1が過熱されないようにレーザ装置のミ
ラー2, 3を除く部分を水冷するのがふつうである。と
ころが、これに伴いレーザ媒質1の内部に温度勾配が発
生し、その光屈折率がもつ温度依存性のためにレーザ媒
質1がレーザ光Lにいわゆる熱レンズ効果を及ぼすの
で、レーザ装置から取り出すレーザビームLBの広がり角
が大きくなりレーザビームとしての本来の特質が低下し
て来る問題がある。
【0005】このため、スラブ形のレーザ媒質1では図
3(b) に示すように両端面を斜面に形成して内部でレー
ザ光Lを上下面で全反射させながらジグザグ状に進行さ
せることにより、最も大な温度勾配が出やすいy方向に
ついてレーザ光Lの通過する個所の屈折率を平均化して
レーザビームLBのy方向の広がり角θy を抑制する。さ
らに、レーザ媒質1のx方向についてもy方向ほどでは
ないが温度勾配が当然生じるので、図1(a) のようにレ
ーザ媒質1の両側面である両yz面に熱絶縁1aを設けてx
方向の内部の熱流, つまり温度勾配を極力減少させてレ
ーザビームLBのx方向の広がり角θx も抑制する。
【0006】図3(c) と図3(d) に以上のようにして発
振されたレーザビームLBのそれぞれx方向とy方向の電
力密度Pをいわゆる遠視野像により示す。図3の従来例
ではレーザ媒質1が長方形断面をもつスラブ形であるか
ら、電力密度Pは図3(c) のようにx方向には広い幅に
応じた広い分布を, 図3(d) のようにy方向には薄い厚
みに応じた狭い分布をそれぞれ有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように固体レー
ザ装置では、レーザビームLBを狭い広がり角で取り出す
ために固体のレーザ媒質1の熱レンズ効果を補償ないし
は防止する手段を講ずることが可能であるが、その抑制
効果は必ずしも充分でなく、とくにレーザ装置の大電力
化のためにレーザ媒質の断面積を増したときに抑制が困
難な問題がある。なお、レーザビームLBの広がり角をθ
とし, ビーム断面が最小なふつう出射窓の径や幅である
ビームウエストをDとすると、θD積は例えばレンズに
よる集光後にも変わらないことが知られており、これが
大きいと小さな焦点に集光する際に不利になるので、こ
のθD積がレーザ加工等に用いるレーザビームの性能を
示す尺度として用いられる。
【0008】これを上述の図3の従来のスラブレーザ装
置について見ると、図3(b) に示すようにy方向のビー
ムウエスト幅Dy はレーザ媒質1の薄い厚みに応じて狭
く,広がり角θy の方もレーザ光Lを前述のジグザグ状
光路を進行させることにより5mRad程度以下に抑制でき
るので、y方向にはθD積をかなり小さくできるが、x
方向については図3(a) に示すようにビームウエスト幅
x がレーザ媒質1の広い幅に応じて元々広く, 広がり
角θx の方も前述の熱絶縁1aの効果が必ずしも完全でな
いため例えば15〜20mRad程度になるので、x方向にはθ
D積がy方向に比べて1桁程度も大きくなりやすい。
【0009】かかる問題を解決するために固体レーザ装
置の共振系を不安定共振状態にすることが従来から知ら
れている。これは、例えば全反射ミラー2の凹面にもた
せる曲率を安定共振条件から少しずらせて、レーザ光L
が共振系の両ミラー2と3の間を往復する内に光軸ない
し中心軸に近付いて行くようにするもので、部分反射ミ
ラー3の反射率を適切に選定すれば広がり角θを1mRad
程度ないしそれ以下に減少させてθD積を小さくするこ
とができる。
【0010】しかし、この不安定共振系を用いるレーザ
装置ではレーザ光Lを光軸の付近に集めて行くためレー
ザビームLBの電力密度Pが図3(c) や図3(d) のような
均一分布と異なり光軸上で非常に高いガウス分布にな
り、光ファイバを用いてレーザビームLBを所望の個所に
導く際に不利になる。すなわち、レーザを用いて例えば
加工を施す際にはレーザ装置からレーザビームを細い光
ファイバ束を通して加工個所に導いた上で小さな焦点に
集光するが、レーザビームを光ファイバ束に通すために
レンズによりその断面に絞ると元々ガウス分布であるビ
ームの中心の電力密度があまりにも高くなり過ぎて光フ
ァイバを破壊しやすい。
【0011】このようにレーザビームLBを光導体を介し
て導く上ではその電力密度Pの均一分布が望ましく、不
安定共振系を用いる解決手段はこれに逆行することにな
る。また、この手段ではレーザビームLBのx方向とy方
向のθD積に差がある場合の解決にはならず、さらに実
際面では不安定共振条件の調整がかなり微妙であってレ
ーザ装置の運転中にこの調整に狂いが出てレーザの出力
が低下しやすい問題があることが知られている。
【0012】かかる問題点に鑑みて本発明の目的は、θ
D積が小さく電力密度分布が均一なレーザビームを発振
できる固体レーザ装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば上記目的
は、固体レーザ媒質を全反射および部分反射ミラーの相
互間に挟んでレーザ共振系を構成して部分反射ミラーか
らレーザビームを取り出すレーザ装置において、部分反
射ミラーを反射率が所定の方向にステップ状に異なるよ
うに構成して低反射率部分がレーザ媒質の端面から僅か
遠ざかるようにその姿勢を傾けて調整することによって
達成される。
【0014】なお、本発明において部分反射ミラーに賦
与する反射率の上述のステップ状の変化は反射率の差を
極力大きく設定するのがよく、実用的にはその反射率を
部分反射性と全反射性の2段に変化させるのが有利であ
る。この際、部分反射性部の反射率は0〜50%の範囲,
より望ましくは0〜10%の範囲に設定するのがよい。こ
のように部分反射ミラーの反射率を2段に変化させる場
合にはレーザビームを部分反射性部から取り出すが、部
分反射ミラー内の部分反射性部の比率は必要に応じて任
意に,例えば50%程度に設定することができる。
【0015】固体レーザ媒質に長方形断面をもつ前述の
スラブ形の光学結晶を用いる場合は部分反射ミラーの反
射率をステップ状に異ならせる方向を断面の長径方向に
するのがとくに有利である。また、かかる態様では全反
射ミラーとしてレーザ媒質の断面の短径方向に曲率をも
つ凹な円筒面状のミラーを用いるのがレーザビームの電
力密度をできるだけ均一化し、さらには前述のθD積を
xとy両方向についてほぼ揃える上で有利である。
【0016】このような構成の本発明の固体レーザ装置
において、部分反射ミラーの姿勢の傾き角度を調整する
要領はふつう最大電力のレーザビームを固体レーザ装置
から取り出せるよう行なうことでよく、この要領で調整
された傾き角度は場合により異なって来るが例えば 0.1
〜0.2 度とごく僅かなのがふつうである。
【0017】
【作用】本発明の固体レーザ装置は、レーザビームの取
り出し側である部分反射ミラーを前項の構成にいうよう
その反射率が所定方向にステップ状に異なるように構成
して、レーザ共振系内を往復するレーザ光を主としてな
いしはもっぱら部分反射ミラーの低反射率部分からレー
ザビームとして取り出すことによって、ビームの出力を
あまり減少させることなく,しかもビーム内の電力密度
分布をほぼ均一に保ちながらビームウエスト幅Dを所定
方向に狭めるとともに、前項の構成にいうよう部分反射
ミラーをその低反射率部分がレーザ媒質の端面から僅か
に遠ざかるよう姿勢を傾けて調整して、レーザビームと
して取り出す前のレーザ光がレーザ共振系内を往復する
経路を部分反射ミラーの反射率の変化方向に次第にずら
せて固体レーザ媒質内の温度勾配による屈折率変化の影
響を平均化することにより、熱レンズ効果を弱めて広が
り角θを狭め、これとビームウエスト幅Dとで決まるレ
ーザビームのθD積を従来より減少させるものである。
【0018】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明の実施例を
説明する。図1と図2は本発明の固体レーザ装置のそれ
ぞれ異なる実施例を従来の図3と同様に上面図と側面図
とレーザビームの電力密度分布図により示すもので、図
3に対応する部分には同じ符号が付けられているので説
明済みの部分に対する説明は重複を極力避けるため適宜
省略することとする。
【0019】なお、図1および図2に示す実施例では固
体レーザ装置をレーザ媒質に断面が長方形のスラブ形の
光学結晶を用いるスラブレーザ装置とし、部分反射ミラ
ーの反射率をスラブ形レーザ媒質の断面の長径方向に部
分反射性と全反射性の2段に異ならせるものとするが、
本発明はもちろんこれら特定の実施例に限らず必要に応
じて種々の態様で実施をすることができる。
【0020】図1の実施例では、同図(a) と(b) に示す
ように長方形断面のスラブ形の光学結晶からなり両端面
が斜面に形成され両側面に熱絶縁1aをもつレーザ媒質1
と,凹な球面状の反射面をもつ全反射ミラー2は図3の
従来例と同じであるが、部分反射ミラー3の反射面3aが
図の右側に示すようレーザ媒質1の断面の長径方向であ
るx方向に部分反射部3cと全反射部3dに分けられ, かつ
図1(a) に示すように部分反射ミラー3の姿勢が僅かな
角度αだけ傾けて調整される点が異なる。励起光源4を
交流点灯するのは従来と同じであり、固体レーザ装置を
その励起光ELにより例えば 200Hzの繰り返し周波数で断
続的に発振させる。
【0021】図1(a) と(b) の右側に示すように部分反
射ミラー3の部分反射部3cと全反射部3dは、この実施例
ではレーザ媒質1の断面をx方向にほぼ2分するように
区分される。本発明の実施結果によれば、部分反射部3c
と全反射部3dの反射率の差は大きく設定するのがよく、
このため部分反射部3cの反射率は0〜50%の範囲内,よ
り望ましくは0〜10%の範囲内に設定するのがよい。部
分反射ミラー3が石英ガラスの場合はコーティングなし
表面が 3.5%程度の反射率をもつので、これをそのまま
部分反射部3cに用いるのが最も簡単かつ有利である。レ
ーザビームLBは図1(a) に示すように部分反射ミラー3
から, この実施例では部分反射部3cのみから従来よりも
狭いビームウエスト幅Dx で取り出される。
【0022】本発明においても、全反射ミラー2の反射
凹面には安定共振系の構成に適した曲率を賦与するのは
もちろん、部分反射ミラー3に所定の傾きαを賦与する
前に両ミラー2と3の相互間隔を安定共振条件を満たす
ようにあらかじめ正確に調整して置くのがよい。傾き角
度αの調整は実用的にはレーザビームLBの図1(c) や
(d) に示す電力密度Pないしビームの強度が最大になる
よう行なうことでよく、この方法で調整された傾きαは
場合によりもちろん異なるが 0.1〜0.2 度のごく僅かな
角度になるのがふつうである。
【0023】以上のように構成かつ調整された本発明の
固体レーザ装置では、レーザ光Lは図1(b) のようにレ
ーザ媒質1の内部を従来と同じくy方向に進退しながら
進行するほか、図1(a) のようにレーザ共振系内をz方
向に往復しながらx方向にも進行した上で部分反射ミラ
ー3からレーザビームLBとして取り出される。なお、部
分反射ミラー3のこの実施例での全反射部3dと全反射ミ
ラー2の間に発生するレーザ光Lは直ちには取り出され
ないが、部分反射ミラー3がもつ傾きαによりx方向に
次第にずれる経路を通った上で部分反射部3cから途中の
若干の損失分を除いて取り出される。これからわかるよ
う、本発明のレーザ装置はレーザ光Lをx方向に進行さ
せながら取り出すいわば不安定ないしは準安定なレーザ
共振系を用いるものであって、共振系内のレーザ光Lの
平均往復回数が増えるために内部損失が若干とも増加す
るが、この図1の実施例のレーザビームLBの電力として
は従来の80〜90%を取り出すことができる。
【0024】一方、レーザビームLBのx方向のビームウ
エスト幅Dx が従来より狭く, この実施例では半分にな
り、従ってレーザビームLBの断面積も半分程度になるの
で、図1(c) と(d) に実測結果を示すxとy方向のビー
ムの電力密度Pは従来よりも高く例えば 1.6〜1.8 倍に
なる。また、レーザビームLBとして取り出される前のレ
ーザ光Lの共振系内の往復路がx方向にずれて行く間に
レーザ媒質1内の温度勾配による屈折率の変化の影響が
平均化されるので、x方向のレーザビームLBの広がり角
θx が従来よりも減少し、ビームウエスト幅Dx の減少
と相挨ってこの実施例ではx方向のθD積が従来の2〜
3分の1に減少する。y方向についてはθD積が従来と
同等かやや小さいめになる。
【0025】また、本発明の固体レーザ装置では、図1
(c) に示すようにレーザビームLBの電力密度Pのピーク
は部分反射ミラー3の傾きαに対応してx方向には光軸
からややずれた位置に発生するが、そのピーク内のx方
向の分布は図示のようにほぼ均一である。図1(d) に示
すy方向では、電力密度Pはピークが光軸と一致し、そ
の分布はほぼ均一である。なお、この実測結果例では図
1(a) の電力密度Pのx方向の分布には光軸付近に小ピ
ークp1が観察され、主ピークの中央部にも負の小ピーク
p2が観察される。この原因はあまり明確ではないが、全
反射ミラー2の反射凹面, とくにその周縁部による影響
と考えられる。
【0026】図2に示す実施例では、部分反射ミラー2
をy方向, つまりスラブ形のレーザ媒質1の断面の短径
方向にのみ曲率をもちx方向には平坦である凹な円筒面
状の反射面をもつシリンドリカルミラーに形成する。ま
た、図2(a) と(b) の右側に示すように、部分反射ミラ
ー3をその部分反射部3cを全反射部3dよりも狭く形成す
る点が図1の実施例と異なる。この部分反射部3cはx方
向の例えば30〜40%に相当するよう形成される。なお、
図2(a) と(b) に示す残余の部分は前実施例ととくに変
わるところはない。
【0027】この実施例では、レーザ光Lに対する全反
射ミラー2の集束力が前実施例より低くて若干の散逸損
失が発生するのでレーザビームLBの電力が従来の70%程
度になるが、図2(c) の実測結果に示すようにそのx方
向の電力密度Pに前実施例のような小ピークp1やp2の発
生がなくなって分布がより均一になり、かつθD積も従
来の5〜7分の1に減少することが実証されている。ま
た、全反射ミラー2の曲率をx方向とは無関係に選定で
きるので、レーザビームLBのy方向のθD積を任意に設
定してx方向のθD積と容易に一致させ得る利点が生じ
る。なお、図の例では部分反射ミラー3の部分反射部3c
が図1の実施例より狭められているのでレーザビームLB
のx方向のビームウエストDx がy方向のビームウエス
トDy とほぼ一致しており、これに応じて図2(a) と
(b) に示す電力密度Pのピーク値が前実施例より一層高
くなっている。
【0028】以上の図1と図2の実施例で説明したスラ
ブレーザ装置は例えばレーザ加工に利用され、従来より
もθD積が小なレーザビームLBを例えば500W程度の高電
力で発振して従来よりシャープに小さな焦点に集光で
き、かつビーム内の電力密度が均一なので光ファイバ等
の光導体を介して固体レーザ装置から加工点までレーザ
ビームLBをトラブルなく導くことができる。
【0029】なお、以上説明した実施例に限らず本発明
は種々の態様で実施が可能である。例えば、部分反射ミ
ラー3の反射率を実施例のように2段に変えて一方を全
反射部3dとする必然性はもちろんなく、必要に応じて段
数や反射率を種々に選択してθD積, ビームウエスト,
ビーム内部の電力密度の分布やピーク値等を最適値に設
定することができ、その形状も実施例では平板としたが
場合によっては適宜な曲率をもたせるようにしてもよ
い。
【0030】
【発明の効果】以上説明したとおり本発明では、固体の
レーザ媒質を全反射ミラーと部分反射ミラーの間に挟ん
でレーザ共振系を構成して部分反射ミラーからレーザビ
ームを取り出すレーザ装置に対し、部分反射ミラーの反
射率を所定方向にステップ状に変化させてその姿勢を低
反射率部分がレーザ媒質の端面から僅かに遠ざかるよう
傾けて調整することによって、次の効果を上げることが
できる。
【0031】(a) 部分反射ミラーの反射率をステップ状
に変化させて低反射率部からレーザビームを取り出すこ
とによりビームウエストを狭め、かつその姿勢を傾けて
調整してレーザ光の共振系内の往復路を所定方向にずら
せながらレーザビームを取り出すことによりレーザ媒質
内の温度勾配による屈折率変化の影響を減じてビームの
広がり角を狭め、ビームウエストと広がり角で決まるレ
ーザビームのθD積を従来より減少させることができ
る。
【0032】(b) 共振系内のレーザ光の往復経路を所定
方向にずらせながらレーザビームを部分反射ミラーの低
反射率部から取り出す準安定共振方式なので、従来の不
安定共振方式のようにレーザ光が光軸付近に集中するこ
とがなく、θD積を減少させながらレーザビーム内の電
力密度分布をほぼ均一にすることができる。 (c) 全反射ミラーの曲率を部分反射ミラーの反射率の変
化方向と直角な方向にのみ付ける態様によれば、レーザ
ビームの断面の互いに直角な2方向のθD積を揃えてレ
ーザビームの品質を一層向上させることができる。
【0033】かかる利点をもつ本発明は、スラブ形のレ
ーザ媒質を用いる加工用等の高出力レーザ装置にとくに
適し、θD積が小なレーザビームを焦点に高エネルギ密
度でシャープに集光でき、かつビーム断面の電力密度が
均一で光ファイバ等を介する高出力レーザビームの伝達
を容易にする点で著効を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による固体レーザ装置の一実施例を示
し、同図(a) はその構成の概要を示す上面図、同図(b)
はこれに対応する側面図、同図(c) はレーザビーム内部
のx方向の電力密度の分布図、同図(d) はレーザビーム
内部のy方向の電力密度の分布図である。
【図2】本発明の固体レーザ装置の異なる実施例を示
し、同図(a) はその構成の概要を示す上面図、同図(b)
はこれに対応する側面図、同図(c) はレーザビーム内部
のx方向の電力密度の分布図、同図(d) はレーザビーム
内部のy方向の電力密度の分布図である。
【図3】従来技術による固体レーザ装置の代表例を示
し、同図(a) はその構成の概要を示す上面図、同図(b)
はこれに対応する側面図、同図(c) はレーザビーム内部
のx方向の電力密度の分布図、同図(d) はレーザビーム
内部のy方向の電力密度の分布図である。
【符号の説明】
1 固体のレーザ媒質ないしはスラブ形の光学結晶 2 全反射ミラー 3 部分反射ミラー 3c 部分反射ミラーの部分反射部 3d 部分反射ミラーの全反射部 4 励起光源 α 部分反射ミラーの傾き Dx x方向のビームウエスト幅 Dy y方向のビームウエスト幅 L レーザ光 LB レーザビーム P レーザビーム内部の電力密度 θx レーザビームのx方向の広がり角 θy レーザビームのy方向の広がり角 x レーザ媒質の幅方向 y レーザ媒質の厚み方向 z レーザ媒質の長さ方向

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体のレーザ媒質を全反射ミラーと部分反
    射ミラーの相互間に挟んでレーザ共振系を構成し部分反
    射ミラーからレーザビームを取り出すレーザ装置におい
    て、部分反射ミラーを反射率が所定方向にステップ状に
    異なるように構成して低反射率部分がレーザ媒質の端面
    から僅かに遠ざかるようにその姿勢を傾けて調整するよ
    うにしたことを特徴とする固体レーザ装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の装置において、部分反射
    ミラーを部分反射性および全反射性の2段の反射率に
    し、レーザビームを部分反射性の範囲から取り出すよう
    にしたことを特徴とする固体レーザ装置。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の装置において、部分反射
    ミラーの部分反射性範囲を0〜50%の反射率とすること
    を特徴とする固体レーザ装置。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の装置において、レーザ媒
    質に断面が長方形のスラブ形状の光学結晶を用い、その
    断面の長径方向に部分反射ミラーの反射率を異ならせる
    ようにしたことを特徴とする固体レーザ装置。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の装置において、全反射ミ
    ラーをレーザ媒質の断面の短径方向に曲率をもつ凹な円
    筒面状のミラーに構成するようにしたことを特徴とする
    固体レーザ装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997038473A1 (fr) * 1996-04-08 1997-10-16 Fanuc Ltd Oscillateur de laser a plaque
JP2003023194A (ja) * 2001-07-05 2003-01-24 Japan Atom Energy Res Inst 固体レーザー増幅器
WO2014128499A1 (en) * 2013-02-21 2014-08-28 Powerlase Photonics Limited Multi-pass slab amplifier with zig-zag paths

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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