JPH0799304A - 半導体装置及び電力変換装置 - Google Patents

半導体装置及び電力変換装置

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JPH0799304A
JPH0799304A JP14897294A JP14897294A JPH0799304A JP H0799304 A JPH0799304 A JP H0799304A JP 14897294 A JP14897294 A JP 14897294A JP 14897294 A JP14897294 A JP 14897294A JP H0799304 A JPH0799304 A JP H0799304A
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正浩 長洲
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秀男 小林
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Abstract

(57)【要約】 【目的】SIサイリスタの低損失特性と、GTOの高耐
圧かつノーマリオフ特性を兼ね備えた大電力素子を実現
する。 【構成】p形ゲート層10を覆うようにして、不純物総
量が1014cm-2以下ないし1012cm-2以上かつ1014cm-2
以下のp- 層11を設ける。 【効果】不純物総量を、1012cm-2以上とすれば、ノー
マリオフ特性となる。アバランシェ降伏で決まる耐圧は
ゲートのバイアス状態に殆ど依存しないので、ゲート回
路の異常動作時にも高アノード耐圧が保たれる。以上の
構造により、GTOと殆ど同じ耐圧特性が得られる。こ
の条件で耐圧を維持しつつ、p- 層11を貫通する領域
20の単位面積あたりの不純物総量を、1014cm-2以下
とすると、カソードからの電子の注入量を大きくできる
ので、大幅な低損失化ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、大電力装置における高
周波での使用に特に好適な半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】交通,産業及び電力分野における数k
V,数kA級の自己消弧形スイッチング素子の高性能化
の要求が強い。現状、この範囲の自己消弧形素子として
は、GTOサイリスタ(Gate Turn Off Thyristor.以下、
単にGTOと呼ぶ)が、主流である。一方、SIサイリ
スタ(Static Induction Thyristor.静電誘導サイリス
タ)は、GTO以上の高周波での使用が期待される素子
である。このことは、例えば、第6回SIデバイスシン
ポジウム講演論文集SID−92−(1)−1,p1〜
p6(1993年1月発行)で述べられている。素子を
高周波動作させると、スイッチング時に素子で発生する
電力損失即ちスイッチング損失が周波数に比例して大き
くなる。この損失による素子の温度上昇の問題が非常に
厳しくなるので、スイッチング損失の低減、特にスイッ
チング損失中多くを占める電流ターンオフ時の損失、即
ちターンオフ損失の低減が必要である。ターンオフ損失
の低減のためには、ターンオフ期間を短縮すべく、素子
内部のキャリアの消滅を速めるよう、γ線や電子線を素
子に照射してキャリアのライフタイムを短縮することが
有効である。しかしながら、キャリアのライフタイムを
短縮すると、素子の定常オン時のキャリア量が減少し、
オン時の素子での電位降下、即ちオン電圧の増加を招
き、オン時の定常損失即ちオン損失を増加させる。以上
のことから、ターンオフ損失とオン損失の間にはトレー
ドオフ関係があることが判る。オン電圧の増加を抑え、
ターンオフ損失を低減できる素子が、高周波での使用に
有利な素子である。
【0003】以上述べた観点から、GTOとSIサイリ
スタを比較する。
【0004】GTOは、高不純物濃度のpベース層を持
ち、キャリアのライフタイムをある程度短縮すると、こ
のpベース層のキャリアのライフタイムも短くなり、カ
ソードから注入された電子の内、pベース層を透過して
nベースに達する電子の数が極端に減る。このため、タ
ーンオフ損失をある程度以上減らしても、これに伴うオ
ン電圧の急激な上昇という悪影響の方が勝る。
【0005】一方、SIサイリスタは、高不純物濃度の
pベース層が無いため、オン電圧の上昇を抑えつつライ
フタイムを短縮して、ターンオフ損失を低減できる。即
ち、SIサイリスタでは、電子の注入効率が非常に大き
いという特徴が低損失化をもたらす。加えて、SIサイ
リスタでは、電子の注入効率が非常に大きいため、n-
層中のカソード側のキャリア濃度をn- 層中のアノード
側のキャリア濃度より大きくして、更なる低損失化が可
能である。すなわち、SIサイリスタではn- 層中のカ
ソード側のキャリア濃度を大きくして、オン電圧を高め
ずにターンオフ損失を低減できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高耐
圧、特に4.5kV 以上の定格電圧のSIサイリスタに
は、耐圧面での課題が残されている。SIサイリスタ
は、GTOのpベースにあたる層を持たないため、ゲー
ト電位によりチャネルに負電位の電位障壁を形成してア
ノード電圧を阻止する。従ってゲートに大きな逆バイア
ス電圧を印加しなければ、高いアノード電圧を阻止でき
ない。また、SIサイリスタは、GTOのpベースに当
たる層を持たず、GTOのようにアノード電圧を水平な
pn接合面で受け止めることができないため、高耐圧化
が難しい。更に、SIサイリスタは、電流通路であるチ
ャネルを挟んで隣あうp形ゲート層から広がる空乏層が
ピンチして、アノード電圧を阻止するため、チャネルの
幅他が耐圧に大きく影響する。すなわち、チャネル,p
形ゲート層他の加工ばらつきが、耐圧に大きく影響す
る。素子内に一箇所でも耐圧が低い箇所があると、素子
全体の耐圧がその低耐圧値に制限されるため、歩留まり
良く所望の耐圧を得ることが難しい。
【0007】SIサイリスタの耐圧特性を向上する公知
技術としては、特開昭61−100966号公報に記載されてい
るようにp形ゲート層に接する低濃度のp層を付加する
手段が挙げられる。しかし、付加するp層が不用意に低
濃度であったり濃度の分布が考慮されていないと耐圧向
上の効果は小さい。この公知技術においては、低濃度の
p層の厚さ、及び不純物濃度が、比較的小さなアノード
電圧及びゲート接点の開放時に、相応の空間電荷領域が
n+ エミッタに到達し、それによりサイリスタを導通切
換するように選択されている。つまり、ノーマリオン特
性となるよう、低濃度のp層の不純物総量を小さくして
いる。このような低濃度のp層の条件では、ゲートに逆
バイアスを印加してアノード電圧を阻止している時に、
ゲート端子とカソード端子間が不本意に開放されたり或
いは短絡されると、高いアノード電圧を阻止出来なくな
る。即ち、素子が誤動作を起こし易い。
【0008】本発明は、上記の問題点を考慮してなされ
たものであり、高耐圧特性と低損失特性を併せ持つ半導
体装置を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】以下本発明の概要を述べ
るが、ここで「不純物濃度は」、アクセプタ不純物濃度
とドナー不純物濃度の差の絶対値、即ち実質的な不純物
濃度を示すものとする。また、「不純物総量」は、この
実質的な不純物濃度に対応した量とする。
【0010】本発明の半導体装置では、一対の主表面を
持った半導体基体に、一方主表面に隣接する一方導電型
の第1の半導体層と、第1の半導体層に隣接する第1の
半導体層より不純物濃度が低い他方導電型の第2の半導
体層を設ける。さらに、第2の半導体層に隣接する一方
導電型の第3の半導体層と、第3の半導体層及び他方の
主表面に隣接して、第3の半導体層より不純物濃度が高
い他方導電型の第4の半導体層を設ける。ここで、第2
の半導体層と第4の半導体層との間に設けられた第3の
半導体層の不純物総量を1014cm-2以下とする。そし
て、半導体装置に主電流を流すために、半導体基体の一
方の主表面には、第1の半導体層にオーミック接触する
一方の主電極を設け、半導体基体の他方の主表面には、
第4の半導体層にオーミック接触する他方の主電極を設
ける。そしてさらに、主電流を制御するために、第3の
半導体層に制御電極を電気的に接続する。
【0011】また、本発明の半導体装置では、上記の構
成において、第2の半導体層と第4の半導体層との間に
おける第3の半導体層の不純物総量を1012cm-2以上か
つ1014cm-2以下とする。
【0012】
【作用】本発明によれば、オフ状態において、他方導電
型の第2の半導体層と一方導電型の第3の半導体層との
接合により印加電圧を阻止するので、耐圧が向上する。
さらに、第2の半導体層と第4の半導体層との間に設け
られた第3の半導体層の不純物総量を1014cm-2以下と
することにより、第3の半導体層内のキャリアの輸送効
率が増大するので、第4の半導体層から第2の半導体層
へのキャリアの注入量を大きくできる。その結果、キャ
リアのライフタイムの短縮等によりターンオフ損失を低
減した場合でも、オン電圧を低く抑えることができる。
すなわち、本発明の半導体装置は、低オン電圧特性と低
ターンオフ損失特性を兼ね備えている。
【0013】また、本発明によれば、第2の半導体層と
第4の半導体層との間における第3の半導体層の不純物
総量を1012cm-2以上かつ1014cm-2以下とするが、1
12cm-2以上とすることにより、制御電極の信号の有無
や極性に関わらず電圧を阻止できる。すなわち、ノーマ
リオフ特性が得られる。従って、上述の作用効果と併せ
て、高耐圧特性と低損失特性を併せ持つ半導体装置を実
現できる。
【0014】
【実施例】以下、実施例を示しながら、本発明を詳細に
説明する。
【0015】(実施例1)図1,図2は、本発明の一実
施例であり、4.5kV 級素子の構造を示す。図1
(a)は、平面パターンの概略を、(b)は、半導体装
置のサブユニット、即ちセグメントの平面パターンを、
(c)はセグメントの断面構造の概略を示す。図2
(a)は素子周辺部の断面構造の概略を、(b)はセグ
メントを構成する半導体装置の最小ユニット、即ち、単
位素子の断面構造の概略をそれぞれ示す。図1(a)で
1のハッチ部は、セグメントと、ゲート配線領域から構
成されている。多くのGTOの公知例と同じく、多数の
セグメントが、円の中心に対して、放射状に並べられて
いる。2がゲート電極で、1内のゲート配線は、このゲ
ート電極2につながっていて、ゲート電極2を経由し
て、ゲート電流を通電する。3は、素子の周辺領域であ
り、素子の周辺部で、必要な耐圧を持たせるために必要
な領域である。
【0016】次にセグメントの構造を、図1(b)(c)
により説明する。このように溝12の底にゲートを設け
た構造は、一般にリセスゲート形と呼ばれている。以
下、リセスゲート形素子を第一の実施例と呼ぶ。4がア
ノード電極(第1の主電極)、5がカソード電極(第2
の主電極)である。セグメントの周囲には、ゲート配線
6が設けられていて、(a)に関して述べたように、ゲ
ート配線6は、ゲート電極2につながっている。ゲート
配線6は、セグメントに対してゲート電極としての作用
をするので、以下、6をゲート電極(制御電極)とも呼
ぶ。7がホールの注入のためのp+ 層(第1の半導体
層),8がp+ 層7よりも低濃度不純物濃度のn- 層
(第2の半導体層),9が電子の注入のためのカソード
n+ 層(第4の半導体層),10がゲートのp+ 層(第
5の半導体層),11がp- 層(第3の半導体層)であ
る。p- 層11は、ゲートのp+ 層10とカソードn+
層9をn- 層8から隔離している。あとで詳述するが、
n- 層8とn+ 層9との間のp- 層11の不純物総量
は、少なくとも1014cm-2以下とする。
【0017】本実施例では、p- 層11とn- 層8のp
n接合18は平面状とされている。なお、本実施例で
は、いわゆるアノード短絡構造を採用した。また、ゲー
ト部形成のために、溝12を設け、セグメント内部の溝
12をレジン13により充填した。14は、溝の側壁部
の表面特性を安定化するために設けた酸化珪素膜であ
る。15は、セグメント内部のゲート配線の役割をする
低抵抗のシリサイド層である。シリサイド材料として、
ここでは、TiSi2(チタンシリサイド)を使ってい
る。16は、素子の表面保護用のレジン層である。
【0018】さて、図1(b),(c)から判るように、
セグメントは、更に小さい半導体装置のユニットである
単位素子17が多数配列されて構成されている。図2
(b)はこの単位素子の断面図を示す。一方、図23は
従来の素子における単位素子の断面図を示す。図23
(a)は従来のリセスゲート型SIサイリスタの単位素
子を、図23(b)は従来のGTOの単位素子を示す。
従来のSIサイリスタでは、p- 層11が無い点、GT
Oでは、p層30が本実施例のp- 層11よりも高不純
物濃度かつ高不純物総量である。
【0019】図3は、単位素子17のカソード5付近の
断面図を示す。まず、本図を用いて、本実施例における
ゲートp+ 層10の範囲の定義を説明する。ゲートp+
層10は、ゲート層として形成され、p- 層11と導電
型が同じではあるがp- 層11よりも不純物の濃度が高
い領域である。すなわち、p- 層11に比べてその不純
物濃度の大きさを無視できない領域である。以下の定義
は、この点を考慮したものである。
【0020】図3(a)は、ゲート配線層15付近の拡
大図を示す。本実施例では、ゲート配線層15に接する
ゲートのp+ 層10は、最高不純物濃度が、1×1018
cm-3以上であることが前提である。領域20は、不純物
濃度が、最高不純物濃度の1/10とする。溝12の底
から、領域20のn- 層8に最も近い位置(この場合平
面である)までの距離をl1とする。ゲートp+ 層10
は、溝12の底からの距離l2が3×l1以下の領域と
定義する。
【0021】図3(b)はチャネル幅Wの定義を示す。
ゲートp+ 層10に挟まれた領域をチャネルの一部と定
義する。ゲートp+ 層10間の最短距離をチャネル幅W
と定義する。本実施例では、遮断耐量を大きくするため
に、チャネル幅Wを数μm〜数十μmとする。ゲートの
p+ 層10の濃度勾配は非常に大きい。従って、この定
義によるチャネル幅Wは、チャネルがn- 領域8である
従来のSIサイリスタにおける、ゲートp+ 層10間の
最短距離として定義されるチャネル幅Wと事実上同じと
考えて良い。
【0022】図3(c)における21が、低濃度層11
を垂直に貫通する領域である。この領域の不純物総量を
水平断面積当たりに換算した量を、p- 層11の不純物
総量と呼び、Qと記す。本実施例は、Qの値が、1014
cm-2以下、1012cm-2以上かつ1014cm-2以下、或いは
更に好ましくは1012cm-2以上かつ1013cm-2以下とす
る。これらのQの値は、低濃度層を貫通する任意の位置
及び面積の領域に関して一定である。例えば、この領域
を211の如く選んでもよい。
【0023】この不純物総量Qの特性への影響を以下説
明して行く。
【0024】図4は、本実施例と同様の構成の素子にお
ける、不純物総量Qと素子特性(アノード耐圧,オン電
圧,ターンオフ損失)の関係を示す。
【0025】図4(a)は、不純物総量Qとアノード耐
圧及びオン電圧の関係を示す。オン電圧は、ターンオフ
損失は同程度の値に調整する。p- 層11が設けられ、
0<Q≦1014cm-2の素子は、従来のSIサイリスタに
比べてアノード耐圧が大幅に高く、従来のGTOに比べ
て、オン電圧が大幅に低い。また、1012cm-2≦Q≦1
14cm-2の素子では、特にアノード耐圧が高い。更に、
1012cm-2≦Q≦1013cm-2の素子では、従来のSIサイ
リスタに殆ど等しい低オン電圧と、GTOに殆ど等しい
高耐圧を兼ね備えた、素子特性が得られている。
【0026】図4(b)は、不純物総量Qとアノード耐
圧及びターンオフ損失の関係を示す。但し、オン電圧は
同程度の値に調整する。p- 層11が設けられた0<Q
≦1014cm-2の素子は、従来のSIサイリスタに比べて
アノード耐圧が大幅に高く、従来のGTOに比べて、タ
ーンオフ損失が大幅に小さい。また、1012cm-2≦Q≦
1014cm-2の素子では、特にアノード耐圧が高い。更
に、1012cm-2≦Q≦1013cm-2の素子では、従来のS
Iサイリスタに殆ど等しい小さなターンオフ損失と、従
来GTOに殆ど等しい高耐圧を兼ね備えた素子特性が得
られている。
【0027】次に、このように不純物総量Qにより、特
性に差が出た理由に関して説明する。
【0028】図5は、p- 層11の不純物総量Qとアノ
ード耐圧の関係を示す。パラメータは、チャネル幅Wで
ある。ゲートカソード端子間が開放された場合について
示す。従来のSIサイリスタでは、p- 層11が無いた
め、ゲートに逆バイアス電圧を印加しなければ、チャネ
ルの電位障壁を形成することが難しい。そのため、ゲー
トカソード端子間が開放された場合は、チャネル幅Wが
非常に短い場合のみ、ある程度のアノード電圧を阻止で
きるが、チャネル幅Wが少し長くなると、オン状態とな
る、即ちノーマリオン特性となる。このように、従来の
SIサイリスタでは、耐圧はチャネル幅Wに大きく影響
される。不純物総量Qが、Q>0cm-2即ち、p- 層11
が設けられた素子では、耐圧は向上し、耐圧のチャネル
幅Wへの依存は小さくなる。しかし、不純物総量Qが、
Q<1012cm-2の場合、空乏層が容易にカソードn+ 層
9に達する、即ちパンチスルーするため、耐圧は低い。
チャネル幅Wが小さい場合には、パンチスルーを阻止で
きるが、チャネル幅Wが大きい場合、やはり阻止できな
い。これに対し、不純物総量Qを大きくするにつれ、電
位障壁の距離が増え、Q≧1012cm-2でパンチスルーに
よる降伏が無くなって、耐圧は高くなる。そして、耐圧
は、あとで、詳述するが、アバランシェ降伏で決まるよ
うになる。また、耐圧のチャネル幅Wへの依存性も小さ
くなる。これは、パンチスルー阻止のために隣合うゲー
ト間における空乏層のピンチを必要としないためであ
る。この場合、アノード耐圧はゲートカソード間の開放
時,短絡時及びゲートカソード間に印加可能な任意の逆
バイアス電圧を印加した場合において殆ど同じであり、
ノーマリオフ特性が得られる。本実施例による素子の場
合、耐圧特性は、GTOの場合と殆ど等しくなってい
る。また、リーク電流やアノード電圧のdv/dtによ
る誤点弧もGTO並みに起きにくい。
【0029】ところで、耐圧が、アバランシェ降伏で決
まるようになると、素子の使い勝手の点で非常に有利で
ある。本発明による素子は、ゲート逆バイアス時でも、
ゲート端子開放時でも殆ど同じアノード電圧を阻止でき
る。一般的に表現すると、耐圧はゲートのバイアス状態
に殆ど依存しない。厳密に言うと、ゲート逆バイアス時
には、ゲート逆バイアス分だけ耐圧は低くなるが、ゲー
トのバイアス状態による耐圧の差は、高々定格耐圧の5
%程度である。従って、ゲート回路の故障及び断線事故
の場合も、誤点弧は起きない。また、ゲートカソード間
短絡事故による誤動作も起きない。
【0030】図6は、ゲートカソード間短絡時の素子の
内部状態を示す。(a)は、不純物総量Qが本実施例よ
りも小さい素子の場合である。pn接合18から拡がっ
た空乏層が容易にカソードn+ 層9に達する、即ちパン
チスルーするため、カソード電極5に、実線の矢印で示
すような電流が流れる。また、ゲートp+ 層10を通じ
てゲート電極2にも電流が流れる。素子内のキャリアの
量が不充分即ちアノード印加電圧が高い不完全ラッチ状
態で、電流が流れている。そのため、この動作状態は、
素子が熱破壊し易く、危険である。(b)は、本実施例
の素子の場合である。空乏層がカソードn+ 層9にパン
チスルーしないため、ゲートカソード間短絡時も充分に
アノード電圧を阻止できる。アノード電圧を降伏電圧ま
で高めたとき、アバランシェ降伏が起き、破線の矢印が
示すように専らゲートにアバランシェ電流が流れる。従
って、本実施例の素子は、ゲート回路の異常動作時に
も、確実にアノード電圧を阻止できる。このことは、回
路動作の高信頼化と保護回路の簡素化というメリットを
もたらす。
【0031】次に、不純物総量Qが、損失或いはオン電
圧,ターンオフ損失に及ぼす影響を述べる。
【0032】図7は、単位素子17の中央部における、
素子の縦方向の不純物濃度分布と、素子の通常のオン時
の電子濃度の分布を示す。下に示した図が、素子の縦方
向の模式図を示し、上図はこの模式図における各部の電
子濃度を示したものである。これらの素子では、n- 層
8のライフタイムは、10μs以下の同程度の値とされ
ている。(b),(c)が本実施例によるQの値を持つ素
子の場合である。本発明による(b),(c)の場合、電
子濃度は、(a)の従来のSIサイリスタの場合と殆ど
同じである。(d)は、p- 層11の不純物総量Qが、
本実施例大きい場合であるQ>1014cm-2の場合を示
す。他の場合と比べて、p- 層11の電子濃度が、極端
に小さくなっている。p- 層11の不純物量Qがこのよ
うに大きくなると、p- 層11のキャリアのライフタイ
ムが短くなるために、n+ 層9から注入された電子がp
- 層11内を輸送されてn- 層8に到達する効率が低下
する。そのため、このように電子濃度が小さくなる。言
い替えれば従来のSIサイリスタの特徴であるn+ 層9
からn- 層8への大きな電子の注入効率が損なわれてい
る。
【0033】図7のキャリア分布から、図4における、
不純物総量Qとオン電圧及びターンオフ損失の関係を説
明できる。図7において、ターンオフ損失の大部分を発
生させるいわゆるテイル電流を生じさせるのは、このn
- 層8のアノードp+ 層7付近のキャリアである。従っ
て、この部分のキャリア量を減らすことが、ターンオフ
損失の低減に対して有効である。
【0034】図7では、(a)〜(d)の全ての場合
で、n- 層8のアノードp+ 層7付近でのキャリア量は
大体同じであり、n- 層8のキャリアのライフタイムも
全て同程度であるため、ターンオフ損失は殆ど同じであ
る。次にn- 層8のp- 層11付近のキャリア分布に着
目する。(d)の場合のみ、n- 層8のp- 層11付近
のキャリア濃度が小さい。このため、(d)の場合は、
他の場合に比べてオン電圧が高くなる。即ち、(d)の
場合は、ターンオフ損失を他の場合と同じくした場合、
オン電圧が他の場合より高くなる。このため、図4
(a)に示したように、不純物総量Qが1014cm-2より
も大きい場合、オン電圧は高くなる。次に、図7(d)
における素子のn- 層8のキャリアのライフタイムを調
整して、オン電圧を他の素子と同程度に下げると、ター
ンオフ損失は、他の素子に比べて大きくなる。そのた
め、図4(b)に示したように、不純物総量Qが1014
cm-2よりも大きい場合、ターンオフ損失は大きくなる。
【0035】図8は、オン電圧とターンオフ損失のトレ
ードオフ関係を示す。各p- 層11の不純物総量Qの素
子について、n- 層8のキャリアのライフタイムをパラ
メータとして示したものである。(b),(c)の本実施
例による素子の場合、従来のSIサイリスタとほぼ同じ
優れたトレードオフ関係が得られている。本実施例によ
る素子は、幅広いターンオフ損失の範囲でオン電圧が小
さい、或いは幅広いオン電圧の範囲で、ターンオフ損失
が小さい。トレードオフが良くなる理由は以下の通りで
ある。
【0036】図7において、本発明による素子(b),
(c)のキャリア分布は、n- 層8のp- 領域11の付
近のキャリア濃度が、n- 層8のp+ 層7付近のキャリ
ア濃度より大きい。これにより、オン電圧とターンオフ
損失をともに小さくできる。このようなキャリア濃度分
布は、本実施例においては、カソードからの電子の注入
効率が大きいという特性を使い、更にアノード短絡構造
を使ってアノード側のp+ 層7からのホールの注入量を
小さく抑えたことにより、得られる。尚、従来のGTO
では、pベースの不純物総量が(d)の場合よりも更に
大きいため、図7の場合よりキャリアのライフタイムを
長くしても、すなわち10μsよりも長いライフタイム
でも、図7(d)のようなキャリア分布となる。そのた
め、ターンオフ損失とオン電圧のトレードオフ関係は、
(d)の場合よりも更に悪くなる。4.5kV 級のGT
Oでは、ライフタイムを10μsより短くすると、素子
は十分ラッチしない、即ち正常な動作をしなくなる。見
方を変えると、本実施例によれば、10μs以下とい
う、4.5kV 級のような高耐圧の素子においても、短
いキャリアのライフタイムの適用が可能になる。なお、
本実施例においては溝12の側壁部に表面安定化のため
に酸化珪素膜14を設けているが、これにより溝12の
側壁部の表面再結合が抑えられ、短いキャリアのライフ
タイムによる電子の注入効率の低下を防止している。ま
た、電子の注入はp- 層11の厚さにも影響されるの
で、好ましくは、Q≦1013cm-2の場合で、p- 層11
の厚さは50μm以下にする。
【0037】以上のように、本実施例による不純物総量
を適用すれば、損失の点で優れた素子が得られる。尚、
Qが小さい程、スイッチング損失のうち、ターンオン損
失も小さくなり、その点でも、本発明のQを小さくする
手段は好ましい。また、上述したアノード短絡構造と同
様な作用を得るために、p+ 層7付近に、nバッファ層
或いはプロトン照射などの方法によりキャリアライフタ
イムを低減した領域を設けても良い。また、アノードp
+ 層7の濃度を1018cm-3以下としても良い。或いは、
これらの構造を併用しても良い。
【0038】以上、p- 層11の不純物総量Qを、Q≦
1014cm-2または1012cm-2≦Q≦1014cm-2とするこ
との作用効果について述べた。尚、このQの範囲のう
ち、特に1012cm-2≦Q≦6×1012cm-2とすれば、低
損失化に有利である。一方、特に6×1012cm-2≦Q≦
1×1013cm-2とすれば、アノード耐圧及びこの信頼性
の点で好ましい。
【0039】図9は、図1,図2に示した実施例1の素
子の作製工程フローを示す。n形Si基板を準備し
(a)、これにp- 層11をp形不純物の熱拡散により
形成し(b)、次いで素子周辺部のp層19を熱拡散に
より形成する(c)。その後、アノード側のp+ 層7及
びn+ 層を形成し(d)、次いでカソード側のn+ 層9
を形成する(e)。次に、異方性ドライエッチングによ
り溝12を形成する(f)。酸化珪素膜形成後、酸化珪素
膜に異方性ドライエッチングを施し、溝の側壁部に酸化
珪素膜14を残すようにする(g)。次にp形不純物の
拡散により、溝の底部にゲートのp+ 層10を形成し、
次いで、Si露出部に自己整合的にシリサイド層15を
形成する(h)。次にセグメント内の溝をレジンで埋め
レジン層13を形成した後(i)、電極及び素子表面保
護用のレジン層16を形成する(j)。その後、γ線或
いは電子線の照射によるライフタイム制御およびパッケ
ージ工程を経て、素子が完成する。素子周辺部のp層1
9は、p- 層11よりも不純物量が高いため、同じ熱処
理による拡散で形成すると、p層19の方が深くなり、
形成されたpn接合は凸部を持つようになる。このこと
は、後で述べるが、アノード耐圧上好ましくない。本作
製工程におけるようにp- 層11のみを前もって拡散し
ておけば、両者の拡散深さを調節でき、この部分のpn
接合18を平面状にできる。p- 層11の不純物とし
て、p層19の不純物より拡散の速いものを使い、同じ
熱処理による拡散で形成しても、この目的は達せられ
る。図1,図2の例ではp- 層11は表面にB(ボロ
ン)をイオン打ち込みして熱拡散することで形成した
が、打ち込み量の調節により、容易に所望の条件のp-
層11を形成できた。p- 層11の不純物としては、A
l(アルミニウム)やGa(ガリウム)を使っても良い
し、デポジション他の方法で拡散源を形成しても良い。
拡散層の条件が相当ばらついても安定に高性能素子を形
成できる利点により、種々のp- 層11の形成方法が適
用可能である。
【0040】図10は、図9の製法によるp- 層11の
不純物分布の例を示す。p- 層11及びゲートp+ 層1
0は、ガウス分布に沿った不純物分布である。これによ
れば、ゲート耐圧も高くできる。条件Cでは、ゲート耐
圧80V、他の2条件では、100V〜180Vであ
る。表1に示した不純物総量Q′,Q″と寸法l2も、
特性に対して重要な量である。本発明では、これらの量
も規定する。次に、Q′,Q″及びl2の推奨数値範囲
の、特性向上効果を説明する。
【0041】まず、Q′とQ″の定義を述べる。l2の
定義に関しては、図3に関して既に述べた。
【0042】図3(d)において、22が、ゲートp+
層10の、n- 層8に最も近い部分である水平面であ
り、23が、この水平面を含む水平面である。そして、
領域24が、p- 層11のうち、水平面23よりもn-
層8側にある領域である。この領域の不純物総量を水平
断面積当たりに換算した量を、単にp- 層11のn-層
8側の不純物総量と呼びQ′と記す。
【0043】次に、図3(e)において、25が、ゲー
トp+ 層10の、n+ 層9に最も近い部分であり、26
が、この部分を含む水平面である。そして、領域27
が、p- 層11のうち、水平面22よりもn+ 層9側に
ある領域である。この領域の不純物総量を水平断面積当
たりに換算した量を、単にp- 層11のn+ 層9側の不
純物総量と呼びQ″と記す。
【0044】以下、Q′,Q″及びl2の特性への影響
を説明して行く。
【0045】図11は、これらの効果を示す。
【0046】図11(a)は、不純物総量Q′とアノー
ド耐圧の関係を示す。ゲートカソード間電圧が0Vの場
合である。Q′≧1.2×1011cm-2 とすれば、アノー
ド耐圧はが高くなる。また、耐圧のチャネル幅Wへの依
存性も非常に小さくなり、耐圧歩留まりも良くなる。こ
こで、Q′<1.2×1011cm-2 で見られる耐圧の低下
は、前述のQ<1012cm-2の場合に比べて緩やかなもの
である。すなわち、Q′≧1.2×1011cm-2 にするこ
とにより、このような緩やかな耐圧の低下も防止でき、
Q≧1012cm-2という条件はと相まって、確実に高耐圧
を得られ、耐圧歩留まりが向上する。この点は、図11
(b)及び(c)においても同様である。
【0047】図11(b)は、不純物総量Q″とアノー
ド耐圧の関係を示す。ゲートカソード間電圧が−100
Vの場合である。このようなバイアス状態となるのは、
アノード電流ターンオフ時である。このようなゲート逆
バイアス電圧が高い場合のアノード耐圧特性を向上する
ためには、Q″の条件が重要であり、Q″≧8×1011cm
-2とすれば、アノード耐圧は高くなる。また、耐圧のチ
ャネル幅Wへの依存性も非常に小さくなり、耐圧歩留ま
りも良くなる。
【0048】図11(c)は、l2とアノード耐圧,オ
ン電圧の関係を示す。Q,Q′,Q″を本発明の規定値
とした上で、1μm≦l2≦3μmとすれば、アノード
耐圧が高くなるとともにオン電圧も低く抑えられる。
【0049】図11の依存性をもたらすメカニズムを、
以下説明する。
【0050】図12は、図11(a)に関するものであ
る。4000V程度のアノード電圧を印加した時の、等
電位線の分布と電界が最大となる位置を示す。ゲートカ
ソード間が開放の場合である。(a)は不純物総量Q′
が、本実施例の規定範囲よりも小さい場合である。ゲー
トp+ 層10の底部の湾曲部で、電界が最大となってい
て、ここで、アバランシェ降伏を起こしやすくなってい
る。この状態よりも、アノード印加電圧を少し高める
と、ここでの電界が、限界値に達して、アバランシェ降
伏を起こし、これ以上のアノード電圧を阻止できなくな
る。電界が最大となった理由は、次のとおりである。p
n接合18から侵入した空間電荷層即ち、空乏層がこの
ゲートp+ 層10の底部の湾曲部に到達して、ゲートp
+ 層10内にも空乏層を生じさせる。ゲートp+ 層10
内の空乏層の空間電荷密度はp- 層11のそれに比べて
高いので、電荷量の平衡を保つべく、ゲートp+ 層10
内の空乏層の拡がりは、p- 層11のそれに比べて小さ
くなる。そのため、ゲートp+ 層10の底部の湾曲部で
等電位線も湾曲しており、その影響で、この部分の電界
が強くなる。(b)は不純物総量Q′が、本実施例の規
定範囲内ではあるが、比較的小さい場合である。(a)
の場合に比べて不純物総量Q′が大きいため、pn接合
18からの空乏層の侵入が小さくなり、ゲートp+ 層1
0の底部の湾曲部での電位分布の不均一、即ち等電位線
の曲がりは小さくなる。また、ゲートp+ 層10内部の
空間電荷量が減る。以上の効果で、(a)の場合に比べ
て、最大電界値は小さくなり、アバランシェ降伏電圧即
ち耐圧は高くなる。(c)は不純物総量Q′が、本実施
例の規定範囲内であるが、(b)の場合よりも大きい場
合である。(b)の場合と同じ理由でゲートp+ 層10
の底部の湾曲部の最大電界値は更に小さくなり、最大電
界は、pn接合18で生じている。このような条件で
は、耐圧の向上効果は、より確かなものになる。また、
(a)の条件では、チャネル幅Wを大きくすると、p-
層11内への空乏層の侵入が大きくなり、等電位線の曲
がりが大きく、即ち最大電界が大きくなっている。
(b),(c)の本発明の素子では、空乏層の侵入が小さ
くなり最大電界はチャネル幅Wに殆ど依存しなくなる。
【0051】図13は、図11(b)に関するものであ
る。3000V以上のアノード電圧を印加した時の、等
電位線の分布と電界が最大となる位置を示す。ゲートカ
ソード電圧が−100Vの場合である。(a)は、p-
層11が無い従来のSIサイリスタの場合である。従来
のSIサイリスタも、ゲートカソード間に逆バイアス電
圧を印加すれば、チャネルに電位障壁を形成でき、高い
電圧を阻止できるようになる。さて、p- 層11が無
く、ゲートp+ 層10とn- 層8からなる曲面pn接合
でアノード電圧を阻止するため、ゲート電位である−1
00V及び−80Vの等電位線は、ゲートp+ 層10に沿
った形で曲がっている。このため、p+層10において
電界強度が最大となっている。(b)は、p- 層11を
持つが、Q″の値が、本実施例の規定よりも小さい場合
である。p- 層11があるにもかかわらず、ゲート電位
の−100Vの等電位線は、(a)の場合に同じく、ゲ
ートp+ 層10に沿った形で曲がっている。この場合、
p- 層11のn+ 層9側の不純物総量Q″が小さいた
め、ゲート逆バイアスにより、p- 層11とn+ 層9か
らなるpn接合から拡がる空乏層、即ち電界が著しくp
- 層11内に侵入して、ゲートp+ 層10に到達する。
そして、この空乏層が、pn接合18から侵入してきた
空乏層と衝突して、等電位線をゲートp+ 層10に沿っ
て大きく曲げる。いわば、逆ピンチ作用が生じている。
(c)の、Q″が本発明の規定範囲である場合、全ての
等電位線は、単位素子を横切っていて、(a)(b)の場
合に比べ、等電位線の曲がりは小さい、即ち最大電界は
小さくなっている。この場合、Q″が大きく、ゲート逆
バイアスによる空乏層は、ゲートp+ 層10には到達せ
ず、逆ピンチ作用が生じない。そのため、電界は緩和さ
れ、アノード耐圧が高くなる。また、(b)の条件で
は、チャネル幅Wを大きくすると、ゲート逆バイアスに
よるp- 層11内への空乏層の侵入が大きくなり、等電
位線の曲がりが大きく、即ち最大電界が大きくなる。
(c)の本実施例の素子では、ゲート逆バイアスによる
p- 層11内への空乏層の侵入が小さくなり、最大電界
はチャネル幅Wに殆ど依存しなくなる。
【0052】次に、図11(c)の依存性が生じるメカ
ニズムを述べる。
【0053】本実施例では、ゲート抵抗を低くするため
に、ゲートp+ 層10の最高不純物濃度を1×1018cm
-3以上に高くする。通常、アノード耐圧の点からは、ゲ
ートp+ 層10の最高不純物濃度を高くすることは好ま
しくない。ゲートp+ 層10の濃度が高いと、ゲートp
+ 層10とp- 層11で空乏層の拡がりの差が大きいた
めに電位線が大きく曲がるとともに、ゲートp+ 層10
内部の空間電荷量が増える。これらの影響で、ゲートp
+ 層10底部の湾曲部で大きな電界が生じ易くなる。電
界を低減するためには、ゲートp+ 層10の溝12の底
からの深さl2を大きくする必要がある。こうすると、
ゲートp+ 層10の不純物拡散の横方向拡がりが大きく
なり、ゲートp+ 層10端部の曲率半径を大きくでき、
電界は緩和される。しかしながら、l2が大き過ぎる
と、オン電圧の不本意な上昇を招く。理由は、ゲートp
+ 層10に挟まれた電流通路の縦方向距離が大きくなる
こと、また、ゲートp+ 層10の不純物拡散の横拡がり
距離が大きくなるため、ゲートp+ 層10に挟まれた電
流通路の面積割合が小さくなることである。なお、本実
施例の1μm≦l2≦3μmというゲートp+ 層10の
深さは、従来のSIサイリスタの場合と比べると、小さ
い値であり、素子の低オン電圧の点から有利である。
【0054】ところで、先に述べたように、本実施例で
は、ゲートp+ 層10の最高不純物濃度を1×1018cm
-3以上と高くする。ゲートp+ 層10の不純物濃度が高
いと、ゲートp+ 層10の抵抗成分およびゲートp+ 層
10とゲート配線層15との接触抵抗成分を減らし、ゲ
ート回路の寄生抵抗成分を減らすことができる。その結
果、高速かつ確実な電流ターンオフが可能になる。特
に、ゲートp+ 層10の最高不純物濃度を1019cm-3
上と高くすると、ゲート配線層15としてメタルシリサ
イドやシリコンを添加したアルミニウムを使っても、オ
ーミックコンタクトを形成できる。また、ゲート配線層
15としてゲートp+ 層10のみを使っても、ゲート回
路の寄生抵抗成分を相当減らすことができる。これらの
場合、ゲート配線層15として、添加物の無いアルミニ
ウムを使う場合と異なり、ゲート配線層15のマイグレ
ーションを抑制できるので、ゲート配線を微細化するこ
とができる。また、オーミック電極の形成時に、突起状
の、いわゆるスパイクが発生して、その突起形状によ
り、耐圧不良が発生する問題も無くなる。ゲート配線層
15として、添加物の無いアルミニウムを使う場合は、
ゲート配線層15自体の抵抗を非常に小さくできるとい
う利点がある。上述のスパイクの発生防止のためには、
ゲートp+ 層と添加物の無いアルミニウム層の間に、メ
タルシリサイド層やシリコンを添加したアルミニウム層
を挿入した構造とすることも有効である。不純物総量
Q′,Q″及びl2の数値規定に関して述べた。本実施
例による素子の場合、先に述べたように、低損失化のた
め、p- 層11の不純物総量Qを、GTOのpベース層
30と比べて小さい値としている。そのため、空乏層が
p-層11に比較的侵入し易い。その結果、平面pn接
合18でアノード電圧を阻止しつつも、等電位線は曲が
り、ゲートp+ 層10底部の湾曲部で、大きな電界が生
じアバランシェ降伏を生じ、これによって耐圧が決まる
傾向がある。また、ターンオフ動作を高速で確かなもの
にするべく、ゲートに高い逆バイアス電圧を印加する
と、逆ピンチ効果により、アバランシェ降伏を生じ易く
なる傾向もある。このような傾向は、本発明と同様に平
面接合をもってはいるが、従来のGTOでは見られない
傾向である。上述したQ′,Q″及びl2は、これらの
傾向を少なくして、耐圧を向上するものである。
【0055】これまでは、本発明を適用した実施例の動
作を説明してきたが、実際に本発明を適用して高耐圧を
得るために留意すべき点を以下説明する。
【0056】まず、図1(a)において2に対応する部
分、即ち図2(a)に示した周辺領域でも充分な耐圧が
得られる構造が必要である。図2(a)により、阻止の
周辺領域の断面構造の要点を述べる。素子の側面部に
は、いわゆるベベリング加工が施してある。素子周辺部
には、p+ 層10およびシリサイド層15の形成工程
で、これらの層をそれぞれ101,151として形成し
た。p- 層11は、低濃度であるため、周辺部にp- 層
11のみが形成されていると、p- 層11の表面部にM
OS効果によりチャネルが形成され、アノード−ゲート
間のリーク電流が増えたり、素子の長期使用後にアノー
ド耐圧が劣化する問題があるが、p+ 層101は、この有
害なチャネルの形成を阻止する作用をする。また、p-
層11より不純物濃度が高いp層19を設け、チャネル
の形成を一層確実に阻止している。p層19は、素子内
部の電位分布に対する素子外部の電荷の影響を小さくす
る作用も持つため、素子の長期使用後にアノード耐圧が
劣化する問題を回避する役割もする。
【0057】次に接合構造が不規則性を生じる箇所での
電界緩和を考慮する必要がある。
【0058】まず、図1(c),図2(a)を見ると、
ゲート電極6を設けた溝と、セグメント内部の溝とでは
深さが違うことが判る。これは、異方性ドライエッチン
グにより溝を形成する際に溝の幅によりエッチレートが
異なることによる。このような溝の深さの差が大きくな
るのは、低オン電圧化のため、n+ 層9の面積割合を増
やすべくセグメント内部の溝幅を微細化したときであ
る。この溝深さの違いに伴い、p+ 層11の縦方向の位
置も異なっている。このことは、チャネル幅Wが実効的
に大幅に長くなることを意味する。従って、p- 層11
が無い従来のSIサイリスタの場合、アノード耐圧を低
く制限するのは、セグメント最外部の単位素子であっ
た。p- 層11によりアノード電圧を阻止するpn接合
を平面状にして高耐圧を得るという観点からすると、図
1(c)及び図2(a)に示したようにp- 層11とn
- 層8のpn接合18は、ゲート電極6を設けた溝のゲ
ートp+ 層10の底面よりもn- 層8側に設けることが
必要である。そして、低濃度層p- 層11のうち、ゲー
ト電極6を設けた溝のゲートp+ 層10の底面を含む水
平面よりもn- 層8側の領域の不純物総量を、水平方向
の断面積当たりに換算した量、即ち実効的Q′が重要で
ある。Q≦1014cm-2の条件下で、実効的Q′を出来る
だけ大きくすることが耐圧のために有利であり、実効的
Q′≧1.2×1011cm-2とするのが適正である。尚、
この場合も低濃度層p- 層11のカソード9側の不純物
総量Q″を、Q″≧8×1011cm-2としておいても差し
支えなく、むしろ、それが望ましい。かくして、アノー
ド耐圧を低下させることなく、セグメント内部の溝幅を
10μmに微細化できる。このことも、低オン電圧化に
寄与する。
【0059】次に図2(a)において、p- 層11がp
層19より極端に浅いと、p層19底部の凸形状の影響
のため、アノード耐圧は悪化する。p- 層11とp層1
9の深さがあまり違わぬようにするか、或いは、図2
(a)に示したようにp- 層11をp層19より深くし
pn接合を平面状にすることが好ましい。
【0060】図14は、第一の実施例の一変形例におけ
る不純物分布を示す。溝を形成して、その底にゲートp
+ 層10を形成する点は、先の実施例に同じであるが、
この例では、p- 層11をエピタキシャル成長により成
長させる。不純物総量の制御が比較的容易であった。ま
た、不純物総量Q,Q′を大きくしつつ、最高不純物濃
度を小さく抑えての高ゲート耐圧実現が容易である。
【0061】次に、第一の実施例における、n+ 層9の
平面パターンの例を述べる。
【0062】図15は、n+ 層9の平面パターンの例を
示す。n+ と印した部分が、n+ 層9であり、これ以外
の部分は、溝12である。これらのn+ 層9の集まり
が、セグメントを構成して、セグメントが、GTOの多
くの公知例の場合に同じく、円盤状の素子内に放射状に
配置される。l5は数十μm〜300μm、l6は1mm
〜4mm程度とすれば良い。(a)は、一つの平面パター
ンが長方形の場合である。n+ 層9の面積割合を大きく
でき、低オン電圧を得易い。(b)は、一つの平面パタ
ーンが正方形の場合である。(a)の場合と比べて、p
+ 層10がより高密度であるため、高耐圧を得易い。ま
た、更なる高速、高遮断耐量を実現できる。ホトマスク
作製も比較的容易である。(c)は、一つの平面パター
ンが円形の場合である。(a)(b)の場合と比べて、p
+ 層10が最も高密度であるため、最も高耐圧を得易
い。いずれの場合も、n+ 幅l3を数μm〜数十μmと
したこと、また、溝12の底のp+ 層10が高密度に設
けられるため、ターンオフ時のゲートからのホールの引
き抜き効率は良い。そのため、いずれもGTOに比べ
て、高速,高遮断耐量が得られる。溝幅l4は、数μm
〜数十μmの範囲が好ましい。
【0063】図16は、第一の実施例の一変形例を示
す。この例では、アノード短絡構造を使わず、代わりに
アノードp+ 層7(この場合、アノードp層7と呼ぶ)
の不純物濃度を1018cm-3以下と小さくすることによっ
て、アノードp層7からn- 層8へのホールの注入を抑
制する。その結果、n- 層8のp- 領域11の付近のキ
ャリア濃度が、n- 8のアノードp領域7の付近のキャ
リア濃度よりも大きくなるキャリア分布が得られる。好
ましくは、アノードp層7の不純物濃度を1016cm-3
1017cm-3とすると、オン電圧とターンオフ損失のトレ
ードオフの改善効果は大きい。また、アノード短絡構造
を使った場合に比べてターンオンが速い。これは、ター
ンオン時に、アノードp層7の全領域から一斉にホール
注入が始まるからである。
【0064】図17は、図16の構成に加え、アノード
p層7とアノード電極アルミニウム層4の間にシリサイ
ド層28を挿入した例である。シリサイド層28は、ア
ルミニウム層4からのアルミニウム拡散のバリアとな
り、アノード電極アルミニウム層4からアノードp層7
へのアルミニウムの拡散を防止するので、低濃度アノー
ドp層7の形成が容易となる。シリサイド層28を使わ
ずに、アノード電極4の材料として、シリコンを添加し
たアルミニウムを使っても良い。
【0065】(実施例2)図18,図19は、エピタキ
シャル成長を使って作製された、いわゆる埋込ゲート形
素子である。このタイプの素子を第二の実施例と呼ぶ。
本実施例でも、ゲートp層を高不純物濃度のp+ 層10
としている。埋め込まれたゲートp+ 層10を持つの
で、ゲートp+ 層10の領域の定義が、第一の実施例の
場合と異なる。
【0066】図19(c)で、29は、ゲートp+ 層1
0中で不純物濃度が最高となる位置である。これは、こ
の場合、狭い領域であり、事実上点と見なせる。20
が、不純物濃度が、最高濃度の1/10以上の領域であ
る。そして、29と領域20の最もn- 層8に近い部分
22までの距離をl1とする。29から、l2=3×l
1の距離の範囲内の領域をゲートp+ 層10と定義す
る。このゲートp+ 層10の定義に基づき、p- 層10
各部の不純物総量Q,Q′,Q″及びl2は、上述した
実施例1と同じ値とされ、同様の効果を生じる。
【0067】低濃度p- 層11は、エピタキシャル成長
による層111と、エピタキシャル成長の前に拡散によ
り形成された層112から構成されるため、各部の不純
物総量Q,Q′,Q″を調節し易い。
【0068】図20は、代表的な、p- 層11の条件と
不純物濃度分布を示す。エピタキシャル成長層111の
不純物濃度によりQ″を、拡散による層112の不純物
量によりQ′を、それぞれ独立に調整できる。従って、
図10の場合に比べ、高ゲート耐圧と高アノード耐圧
を、同時に実現し易い。従来の埋込ゲート形SIサイリ
スタでは、エピタキシャル成長時にp+ 層10の不純物
がSi外にアウトデイフュージョンしてチャネル領域に
再び拡散される、いわゆるオートドーピングの悪影響
(ターンオン時間及びオン電圧の増大等)が大きかっ
た。p- 層11の適用により、アノード耐圧を高く保ち
つつ、チャネル幅Wを長くできるので、このアウトデイ
フュージョンの影響は小さくなり、大口径素子を歩留ま
り良く製造できる。
【0069】(他の実施例)図21は、本発明のその他
の実施例を、単位素子のカソード5付近の拡大図にて示
す。いずれの素子も、p- 層11により、カソードn+
層9及びゲートp+層10がn- 層8と隔てられてい
る。また、図3と同様に定義されるp- 層の各部の不純
物総量は、上述した実施例で規定される値である。
【0070】(a)は、溝12に沿った、比較的高濃度
の低濃度層113を持つ構造である。この低濃度層11
3は、ゲートp+ 層10底部の湾曲部の電界を緩和し、
オン時には電流通路となる。前者の電界緩和作用によ
り、ゲートp+ 層10は、厚くする必要は無く、単にゲ
ート配線層15とのオーミックコンタクトのためのみに
設けられる。以上のことから、この素子は低オン電圧の
点で有利である。また、低濃度層113は、溝12の側
壁部の表面部の不本意に形成されたチャネルによる悪影
響を回避する役割も持つ。
【0071】(b)は、溝12の底の付近に、比較的高
濃度の低濃度層115を持つ構造である。この低濃度層
の役割は、(a)の場合に同じである。(a)の場合に
比べ、この低濃度層の領域が狭い分、低オン電圧化によ
り有利である。
【0072】(c)は、溝12の底から、p- 層11を
拡散形成した構造である。p- 層11の厚さを薄くしつ
つも、比較的高濃度とすることで、高耐圧が得られる。
そして、p- 層11の厚さが薄いため、低オン電圧化に
有利である。p- 層11とn+ 層9の間に介在するn-
層81は、低不純物濃度のn- 基板の一部である。この
ため、後で述べる(d)のn- 層81がエピタキシャル
成長で形成される場合に比べて、より低オン電圧化に有
利である。また、ゲート逆バイアスにより空乏層が、専
らn- 層81側に拡がるため、逆ピンチ効果による耐圧
低下が生じにくいという利点を持つ。
【0073】(d)は、埋込ゲート構造の場合であり、
p- 層11とn+ 層9の間にn- 層81が介在する構造
である。本実施例も、高耐圧低オン電圧化に有利であ
る。特にpn接合18を平面状にできるため、高アノー
ド耐圧及び高ゲート耐圧の点で有利である。
【0074】(e)は、埋込ゲート構造の場合であり、
埋込ゲート層10に沿った、比較的高濃度の低濃度層1
15を持つ構造である。(b)の場合と同じ理由で、低
オン電圧化に有利である。
【0075】(f)は拡散ゲート構造の場合である。製
造が容易で製造歩留まりが高い。
【0076】p- 層11を薄くしての低オン電圧化に有
利である。
【0077】(電力変換装置の実施例)以下、本発明を
適用した半導体装置を用いた電力変換装置の一例につい
て述べる。
【0078】図22は、実施例1の半導体装置(S
11,SW12,SW21,SW22,SW31,SW33)をス
イッチング素子として使って構成した電動機駆動回路用
インバータ装置の1例を示す。2個のスイッチング素子
(例えばSW11とSW12)が直列に接続されて1相分の
インバータ単位が構成されている。また各々のスイッチ
ング素子には、フライホイールダイオードFDが逆並列
に接続されている。さらに、各々のスイッチング素子に
は、スイッチング素子を急峻な電圧の上昇から保護する
ために、いわゆるスナバ回路Sが並列に接続される。こ
のスナバ回路は、ダイオードSDと抵抗SRの並列回路
にコンデンサSCを直列に接続したものである。各相に
おける2個のスイッチング素子の直列接続点は、それぞ
れ交流端子T3,T4,T5 に接続される。各交流端子に
3相誘導電動機が接続される。上アーム側のスイッチン
グ素子のアノードは、3個とも共通であり、直流端子T
1 において直流電圧源の高電位側と接続されている。下
アーム側のスイッチング素子のカソードは、3個とも共
通であり、直流端子T2 において直流電圧源の低電位側
と接続されている。このような構成の装置において、各
スイッチング素子のスイッチング動作により直流を交流
に変換することにより、3相誘導電動機を駆動する。上
下アーム側の各スイッチング素子のゲートとカソード間
には、スイッチング動作を制御するためのゲート回路が
接続される。
【0079】本実施例によれば、スイッチング素子が高
耐圧かつ低損失なので、インバータ装置を高耐圧化でき
るとともに、高効率化できる。また、高性能素子が歩留
まり良くできることから、システムの高性能化が、低コ
ストで実現できる。なお、本電力変換装置においては、
実施例1の半導体装置他の実施例の半導体装置も用いる
ことができ、この場合も同様な効果がある。
【0080】尚、上記の実施例として4.5kV 級素子
について説明したが、本発明は他の耐圧の素子に対して
も適用できる。また、上記各実施例においては、各半導
体層の導電型を逆にしても良い。
【0081】
【発明の効果】以上、本発明によれば、低損失特性と高
耐圧特性を兼ね備えた半導体素子を実現できる。そし
て、この半導体素子により、電力変換装置を大容量化す
るとともに高効率化する。本発明の構成によれば、製造
条件が変動しても、歩留まり良く素子を作製することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例であるリセスゲート型素
子を示し、(a)は素子全体の平面図、(b)はセグメ
ントの平面図、(c)はセグメントの断面図である。
【図2】本発明の第一の実施例を示し、(a)は周辺領
域の断面図、(b)は単位素子の断面図である。
【図3】単位素子のカソード付近の断面図。
【図4】不純物総量Qと素子特性の関係。
【図5】不純物総量Qとアノード耐圧の関係。
【図6】ゲートカソード間短絡時の素子の内部状態。
【図7】単位素子の中央部における、素子の縦方向の不
純物濃度分布と、素子の通常のオン時の電子濃度の分
布。
【図8】オン電圧とターンオフ損失のトレードオフ関
係。
【図9】素子の作製工程フロー。
【図10】図9の製法によるp- 層の不純物分布の例。
【図11】(a)は不純物総量Q′とアノード耐圧の関
係、(b)は不純物総量Q″とアノード耐圧の関係、
(c)はp+ 層の寸法l2とアノード耐圧及びオン電圧
の関係である。
【図12】図11(a)のメカニズムの説明図。
【図13】図11(b)のメカニズムの説明図。
【図14】第1の実施例の1変形例における不純物分
布。
【図15】カソードn+ 層の平面パターン。
【図16】第1の実施例の一変形例。
【図17】図16において、アノードp層とアノード電
極アルミニウム層の間にシリサイド層を挿入した例。
【図18】第2の実施例である埋込ゲート型素子。
【図19】第2の実施例である埋込ゲート型素子。
【図20】p- 層11の条件と不純物濃度分布。
【図21】本発明のその他の実施例。
【図22】本発明の半導体装置を用いた電力変換装置の
一例。
【図23】従来のリセスゲート型SIサイリスタと従来
のGTO。
【符号の説明】
4…アノード電極、5…カソード電極、6…ゲート配
線、7…アノードp+ 層、8…n- 層、9…n+ 層、1
0…ゲートp+ 層、11…p- 層、12…溝。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 J (72)発明者 八尾 勉 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の主表面と、 一方主表面に隣接する一方導電型の第1の半導体層と、 第1の半導体層に隣接し、第1の半導体層より不純物濃
    度が低い他方導電型の第2の半導体層と、 第2の半導体層に隣接する一方導電型の第3の半導体層
    と、 第3の半導体層及び他方の主表面に隣接し、第3の半導
    体層より不純物濃度が高い他方導電型の第4の半導体層
    と、 を有する半導体基体を備え、 半導体基体の一方の主表面において、第1の半導体層に
    オーミック接触する一方の主電極と、 半導体基体の他方の主表面において、第4の半導体層に
    オーミック接触する他方の主電極と、 第3の半導体層に電気的に接続する制御電極と、を設
    け、 第2の半導体層と第4の半導体層との間における第3の
    半導体層の不純物総量が、1014cm-2以下であることを
    特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】一対の主表面と、 一方主表面に隣接する一方導電型の第1の半導体層と、 第1の半導体層に隣接し、第1の半導体層より不純物濃
    度が低い他方導電型の第2の半導体層と、 第2の半導体層に隣接する一方導電型の第3の半導体層
    と、 第3の半導体層及び他方の主表面に隣接し、第3の半導
    体層より不純物濃度が高い他方導電型の第4の半導体層
    と、 を有する半導体基体を備え、 半導体基体の一方の主表面において、第1の半導体層に
    オーミック接触する一方の主電極と、 半導体基体の他方の主表面において、第4の半導体層に
    オーミック接触する他方の主電極と、 第3の半導体層に電気的に接続する制御電極と、を設
    け、 第2の半導体層と第4の半導体層との間における第3の
    半導体層の不純物総量が、1012cm-2以上かつ1014cm
    -2以下であることを特徴とする半導体装置。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の半導体装
    置において、不純物総量が、1012cm-2以上かつ1013
    cm-2以下であることを特徴とする半導体装置。
  4. 【請求項4】請求項1ないし請求項3のいずれか1項に
    記載の半導体装置において、他方の主表面側から第4の
    半導体層を貫き第3の半導体層に到達するように選択的
    に掘り込まれた凹部を設けることを特徴とする半導体装
    置。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の半導体装置において、凹
    部の底部に制御電極がオーミック接触することを特徴と
    する半導体装置。
  6. 【請求項6】一対の主表面と、 一方主表面に隣接する一方導電型の第1の半導体層と、 第1の半導体層に隣接し、第1の半導体層より不純物濃
    度が低い他方導電型の第2の半導体層と、 第2の半導体層に隣接する一方導電型の第3の半導体層
    と、 第3の半導体層及び他方の主表面に隣接し、第3の半導
    体層より不純物濃度が高い他方導電型の第4の半導体層
    と、 第3の半導体層に形成する、第3の半導体層よりも不純
    物濃度が高い一方導電型の第5の半導体層と、を有する
    半導体基体を備え、 半導体基体の一方の主表面において、第1の半導体層に
    オーミック接触する一方の主電極と、 半導体基体の他方の主表面において、第4の半導体層に
    オーミック接触する他方の主電極と、 第3の半導体層に電気的に接続する制御電極と、を設
    け、 第2の半導体層と第4の半導体層との間における第3の
    半導体層の不純物総量が、1014cm-2以下であることを
    特徴とする半導体装置。
  7. 【請求項7】一対の主表面と、 一方主表面に隣接する一方導電型の第1の半導体層と、 第1の半導体層に隣接し、第1の半導体層より不純物濃
    度が低い他方導電型の第2の半導体層と、 第2の半導体層に隣接する一方導電型の第3の半導体層
    と、 第3の半導体層及び他方の主表面に隣接し、第3の半導
    体層より不純物濃度が高い他方導電型の第4の半導体層
    と、 第3の半導体層に形成する、第3の半導体層よりも不純
    物濃度が高い一方導電型の第5の半導体層と、を有する
    半導体基体を備え、 半導体基体の一方の主表面において、第1の半導体層に
    オーミック接触する一方の主電極と、 半導体基体の他方の主表面において、第4の半導体層に
    オーミック接触する他方の主電極と、 第3の半導体層に電気的に接続する制御電極と、を設
    け、 第2の半導体層と第4の半導体層との間における第3の
    半導体層の不純物総量が、1012cm-2以上かつ1014cm
    -2以下であることを特徴とする半導体装置。
  8. 【請求項8】請求項6または請求項7に記載の半導体装
    置において、不純物総量が、1012cm-2以上かつ1013
    cm-2以下であることを特徴とする半導体装置。
  9. 【請求項9】請求項6ないし請求項8のいずれか1項に
    記載の半導体装置において、第5の半導体層が、第2の
    半導体層と第4の半導体層との間において、第3の半導
    体層に設けられていることを特徴とする半導体装置。
  10. 【請求項10】請求項6ないし請求項9のいずれか1項
    に記載の半導体装置において、他方の主表面側から第4
    の半導体層を貫き第3の半導体層に到達するように選択
    的に掘り込まれた凹部を設けることを特徴とする半導体
    装置。
  11. 【請求項11】請求項10に記載の半導体装置におい
    て、凹部の底部に制御電極がオーミック接触することを
    特徴とする半導体装置。
  12. 【請求項12】請求項6ないし請求項8のいずれか1項
    に記載の半導体装置において、他方の主表面側から第4
    の半導体層を貫き第3の半導体層に到達するように選択
    的に掘り込まれた凹部を設け、第5の半導体層を凹部の
    底部に形成することを特徴とする半導体装置。
  13. 【請求項13】請求項12に記載の半導体装置におい
    て、凹部の底部に形成する第5の半導体層に制御電極が
    オーミック接触することを特徴とする半導体装置。
  14. 【請求項14】一対の主表面と、 一方主表面に隣接する一方導電型の第1の半導体層と、 第1の半導体層に隣接し、第1の半導体層より不純物濃
    度が低い他方導電型の第2の半導体層と、 第2の半導体層に隣接する一方導電型の第3の半導体層
    と、 第3の半導体層及び他方の主表面に隣接し、第3の半導
    体層より不純物濃度が高い他方導電型の第4の半導体層
    と、 他方の主表面側から第4の半導体層を貫き第3の半導体
    層に到達するように選択的に掘り込まれた凹部と、 凹部の底に形成された第3の半導体層よりも不純物濃度
    が高い一方導電型の第5の半導体層と、を有する半導体
    基体を備え、 半導体基体の一方の主表面において、第1の半導体層に
    オーミック接触する一方の主電極と、 半導体基体の他方の主表面において、第4の半導体層に
    オーミック接触する他方の主電極と、 第5の半導体層にオーミック接触する制御電極と、を設
    け、 第2の半導体層と第4の半導体層との間における第3の
    半導体層の不純物総量が、1014cm-2以下であることを
    特徴とする半導体装置。
  15. 【請求項15】請求項6ないし請求項14のいずれか1
    項に記載の半導体装置において、第5の半導体層の第2
    の半導体層に最も近い箇所と第2の半導体層との間にお
    ける第3の半導体層の不純物総量が1.2×1011cm-2
    以上であることを特徴とする半導体装置。
  16. 【請求項16】請求項6ないし請求項15のいずれか1
    項に記載の半導体装置において、第5の半導体層の第4
    の半導体領域に最も近い箇所と第4の半導体層との間に
    おける第3の半導体層の不純物総量8×1011cm-2以上
    であることを特徴とする半導体装置。
  17. 【請求項17】請求項12ないし請求項14のいずれか
    1項に記載の半導体装置において、凹部の底面から、第
    5の半導体層の第2の半導体層に最も近い箇所までの距
    離が、1μm以上かつ3μm以下であることを特徴とす
    る半導体装置。
  18. 【請求項18】請求項6ないし請求項8のいずれか1項
    に記載の半導体装置において、第5の半導体層が第3の
    半導体層内に形成された埋め込み層であり、第5の半導
    体領域の第4の半導体領域に最も近い箇所と第5の半導
    体層の第2の半導体層に最も近い箇所との間の距離が、
    2μm以上且つ6μm以下であることを特徴とする半導
    体装置。
  19. 【請求項19】請求項1ないし請求項18のいずれか1
    項に記載の半導体装置において、第二の半導体層に、こ
    の層より不純物濃度が高い他方導電型の第6の半導体層
    を設け、一方の主表面において、第6の半導体層が第1
    の半導体層と第1の主電極により短絡されることを特徴
    とする半導体装置。
  20. 【請求項20】請求項1ないし請求項19のいずれか1
    項に記載の半導体装置において、第2の半導体層と第2
    の半導体層との間に、第2の半導体層より不純物濃度が
    高い他方導電型の第7の半導体層を設けることを特徴と
    する半導体装置。
  21. 【請求項21】請求項1ないし請求項20のいずれか1
    項に記載の半導体装置において、第2の半導体層と第1
    の半導体層との間に、第2の半導体領域よりキャリアの
    ライフタイムが短い他方導電型の第8の半導体層が設け
    られていることを特徴とする半導体装置。
  22. 【請求項22】請求項1ないし請求項21のいずれか1
    項に記載の半導体装置において、第1の半導体層の不純
    物濃度の最大値が、1018cm-3以下であることを特徴と
    する半導体装置。
  23. 【請求項23】一対の直流端子と、 交流出力の相数と同数の交流端子と、 一対の直流端子間に接続され、スイッチング素子と逆極
    性のダイオードとの並列回路を有するアームを2個直列
    に接続した構成から成り、アームの相互接続点が異なる
    交流端子に接続された、交流出力と同数のインバータ単
    位と、を備え、 スイッチング素子が、 一対の主表面と、 一方主表面に隣接する一方導電型の第1の半導体層と、 第1の半導体層に隣接し、第1の半導体層より不純物濃
    度が低い他方導電型の第2の半導体層と、 第2の半導体層に隣接する一方導電型の第3の半導体層
    と、 第3の半導体層及び他方の主表面に隣接し、第3の半導
    体層より不純物濃度が高い他方導電型の第4の半導体層
    と、を有する半導体基体を備え、 半導体基体の一方の主表面において、第1の半導体層に
    オーミック接触する一方の主電極と、 半導体基体の他方の主表面において、第4の半導体層に
    オーミック接触する他方の主電極と、 第3の半導体層に電気的に接続する制御電極と、を設
    け、 第2の半導体層と第4の半導体層との間における第3の
    半導体層の不純物総量が、1014cm-2以下であることを
    特徴とする電力変換装置。
  24. 【請求項24】一対の直流端子と、 交流出力の相数と同数の交流端子と、 一対の直流端子間に接続され、スイッチング素子と逆極
    性のダイオードとの並列回路を有するアームを2個直列
    に接続した構成から成り、アームの相互接続点が異なる
    交流端子に接続された、交流出力と同数のインバータ単
    位と、を備え、 スイッチング素子が、 一対の主表面と、 一方主表面に隣接する一方導電型の第1の半導体層と、 第1の半導体層に隣接し、第1の半導体層より不純物濃
    度が低い他方導電型の第2の半導体層と、 第2の半導体層に隣接する一方導電型の第3の半導体層
    と、 第3の半導体層及び他方の主表面に隣接し、第3の半導
    体層より不純物濃度が高い他方導電型の第4の半導体層
    と、を有する半導体基体を備え、 半導体基体の一方の主表面において、第1の半導体層に
    オーミック接触する一方の主電極と、 半導体基体の他方の主表面において、第4の半導体層に
    オーミック接触する他方の主電極と、 第3の半導体層に電気的に接続する制御電極と、を設
    け、 第2の半導体層と第4の半導体層との間における第3の
    半導体層の不純物総量が、1012cm-2以上かつ1014cm
    -2以下であることを特徴とする電力変換装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017517875A (ja) * 2014-04-10 2017-06-29 アーベーベー・シュバイツ・アーゲー ゲートリングのセンタリングおよび固定が改善されたターンオフ電力半導体およびその製造方法

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