JPH079499U - 汚水処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガソリンスタンドの洗車排水を簡易な処理設
備によって効果的に浄化処理できる汚水処理装置を提供
する。 【構成】 洗車排水を処理槽１のサイクロンセパレート
部Ｂの円錐形状の分離器４内に噴出させ、そこで懸濁固
形物は沈降させ、上向き流となった処理水中の微細な懸
濁固形物や油分、有機成分は吸着処理部Ｃで吸着除去
し、処理水貯留部Ｄに移った処理水を溢流口９より側溝
３に流す。サイクロンセパレート部Ｂの下側の汚泥貯留
部Ａに堆積した汚泥は槽内水と共にバルブ３を開いて濾
過処理部Ｅに流下させ、濾別した汚泥分は処分し、水分
は原水槽１９に戻す。 【効果】洗車排水中の懸濁固形物、油分、有機成分を除
去して放流できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えばガソリンスタンド等において、自動車を初めとする車両の洗 浄に際して排出される洗車排水の浄化処理に適した汚水処理装置の改良に関する 。

【０００２】

【従来の技術】

ガソリンスタンドでの洗車排水には、微細な懸濁固形物（車体やタイヤに付着 している土などの）、油分（車体に塗着されているワックス、グリースなど）や 他の有機成分（洗車に使用される洗剤など）が多量に含まれている。 従来、上記洗車排水の処理手段としては、ガソリンスタンドに設けられた沈殿 分離槽にて懸濁固形物を沈殿させるとともに油分を浮上させ、その処理水を側溝 等の公共水域路に放流する処理手段がとられている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記洗車排水の処理装置は、単に汚泥の沈殿、油分の浮上という消極 的な分離処理に依存しているものであり、高濃度で多量の汚水が排出されると、 処理不能となり、それが放流水の水質汚濁を招くという問題がある。

【０００４】

【考案の目的】

本考案は、主として上記洗車排水を対象とした簡易で、優れた浄化機能を備え た新規な汚水処理装置を提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、外部から送り込まれる汚水の流路を形成する処理室内に、送り込ま れる汚水をサイクロン作用で固液分離処理するサイクロンセパレート部と、前記 サイクロンセパレート部の上側にあって、サイクロンセパレート部を介して上向 き流にされた処理水中の油分や懸濁物質等を吸着除去する吸着処理部と、前記吸 着処理部の上側にあって、そこを通過した処理水の所要量を貯留し、それ以上の 処理水を外部に排出する処理水貯留部と、前記サイクロンセパレート部の下側に あって、サイクロンセパレート部で分離して沈降した固形物質等の汚泥分を貯留 することができ、かつその貯留汚泥を処理室内の全水とともに外部に排出させる 開閉自在な排出口を有する汚泥貯留部と、前記汚泥貯留部の排出口から処理室内 の処理水と共に取り出した汚泥を受け入れ、これを濾過処理して汚泥分を濾別す る濾過処理部とを備えていることを要旨としている。

【０００６】

【作用】

上記構成によれば、洗車排水等の汚水はサイクロンセパレート部で固液分離処 理され、そこから上向き流にされた処理水中の油分や微細な懸濁物質は、上側の 吸着処理部で吸着除去され、処理水貯留部を介して外部に取り出される。 また、前記汚泥貯留部の排出口を開き、そこに貯留されている汚泥を濾過処理 部に受け入れることで、汚泥分を水分から濾過して処分することができ、また、 その濾過処理部での濾水は、汚水の原水槽に戻しておくことで、再処理が可能と なる。 加えて、前記汚泥貯留部の排出口を開いた場合、処理水貯留部を含む処理室内 の全水が流下して排出されるので、それが逆洗水となり、吸着処理部の洗浄が行 われる。

【０００７】

【実施例】

図１〜図５に、本考案をガソリンスタンドの洗車排水の浄化処理に実施した例 を示す。 同図において、１は汚水処理装置の汚水処理室を形成する塔状の処理槽であり 、４本の支脚２で支持されている。処理槽１の底はホッパー状底板１ａとされ、 そこに後記する目的のバルブ３が設けられている。

【０００８】 前記処理槽１内の汚水処理室は、前記ホッパー状底板１ａにあたる部分が汚泥 貯留部Ａとされ、その上側部位にサイクロンセパレート部Ｂを形成する円錐形状 の分離器４が設置され、処理槽１を通した洗車排水の噴出管５が分離器４を貫通 し、その管口が円周面に向けられている。

【０００９】 前記サイクロンセパレート部Ｂの上側部位には吸着処理部Ｃが設けられている 。この吸着処理部Ｃは、把持用ハンドル６を有する箱体７内に吸着材８を充填し て成るもので、箱体７の底板７ａと、ハンドル７ｂを有する取外し自在の蓋板７ ｃはそれぞれ多孔板とされている。吸着材８は、例えば低コストの紐状繊維材の 使用が好ましいが、粒状活性炭、その他の吸着材を使用してもよい。 前記吸着処理部Ｃの上側の処理室は、処理水貯留部Ｄとされ、そこの槽壁部分 に処理水の溢流口９が設けられている。１０は処理槽１の蓋体、１１は蓋体のハ ンドル、１２は蓋体の締付け具である。

【００１０】 ４本の支脚２で支持されている処理槽１の下方部位には、底部にキャスタ１３ を有し、側面に排水口１４を有する箱形の台車１５と、この台車内に設けられ、 水抜き孔１６を有する内箱１７と、この内箱１７内に入れた濾布製袋体１８とよ りなる移動自在な濾過処理部Ｅが設けられている。

【００１１】 図６は、上記構成の汚水処理装置をガソリンスタンドに設置した状態を示した もので、１９は洗車排水を貯留する原水槽、２０は側溝、２１は原水槽に貯留さ れた洗車排水の汲み上げポンプであり、その汲み上げホース２２は前記処理槽内 のサイクロンセパレート部Ｂの噴出管５に接続されている。一方、処理水貯留部 Ｄの溢流口９はホース２３により側溝２０に連絡されている。また、濾過処理部 Ｅにおける台車１５の排水口１４はホース２４により前記原水槽１９に連絡され ている。２５は処理槽内の水が逆流しないように設けた逆止弁である。

【００１２】 次に、上記汚水処理装置の作動を説明する。 懸濁固形物、油分、有機成分等を含んだ洗車排水は、原水槽１９よりポンプ２ １を介して処理槽側のサイクロンセパレート部Ａの噴出管５に送り、そこから円 錐形状の分離器４の内面に向けて噴出させる。この汚水圧送時には、バルブ３は 閉じておく。

【００１３】 前記サイクロンセパレート部Ａに圧送された汚水は、サイクロン作用により固 液分離処理を受け、重い固形物質は沈降し、ホッパー状底板１ａで形成された汚 泥貯留部Ａに堆積され、微細な懸濁固形物質や油分、界面活性剤等の有機成分を 含む汚水は上向き流となって吸着処理部Ｃを通過し、ここで微細な懸濁固形物質 や油分、界面活性剤等の有機成分は吸着材５により吸着除去され、その処理水は 槽の最上部の処理水貯留部Ｄに至り、満水後、溢流口９より溢流し、ホース２３ を介して側溝２０に放流される。上記汚水処理動作は処理槽内が満水状態のもと 連続的に行われる。

【００１４】 一定時間処理して、汚泥貯留部Ａに汚泥がたまったとき、ポンプ２１を停止し 、バルブ３を開く。このバルブの開放により、堆積汚泥と槽内のすべての水は同 時に排出され、濾過処理部Ｅを構成している濾布袋体１８内に落とされる。ここ で汚泥分と水分とに濾別され、汚泥分は袋体１８内に残り、水分は袋体の外の有 孔内箱１７を通して箱形台車１１内に排出され、ここからホース２４を介して前 記原水槽１９に戻される。このあと台車１１を引き出し袋体１８を内箱１７から 取り出し、例えば乾燥、焼却等の適宜な手段により処分する。

【００１５】 前記バルブ３を開き、堆積汚泥と共に槽内のすべて水を落下させた場合、処理 水貯留部Ｄの処理水は吸着処理部Ｃを通過して流下するので、これが逆洗水とな り、吸着材や底板７ａの外面に付着している付着物が除去される。 上記構成にあっては、吸着材の点検や吸着材の取り替えを要する場合、吸着材 充填箱体７を槽外に取り出すことができる。 なお、前記実施例では、濾過処理部Ｅは移動自在型にしているが、これは据付 け型にしてもよい。 表１に前述した洗車排水の浄化処理実験結果を示す。

【００１６】

【表１】

【００１７】 上記表１に示すように、本考案の汚水処理装置によりガソリンスタンドの洗車 排水を浄化処理すると、懸濁固形物（ＳＳ）は２０Mg/l以下、Ｎ−ヘキサン抽出 物質（油分）は５Mg/l以下、ＣＯＤ（化学的酸素要求量）は１０Mg/l以下まで処 理できる。 なお、本考案は、ガソリンスタンドの洗車排水に限らず、他の産業分野から排 出される汚水の浄化処理に対しても適用可能である。

【００１８】

【考案の効果】

以上、詳述したように、本考案を適用すれば、ガソリンスタンドの洗車排水を 簡易な処理設備によって効果的に浄化処理することができ、公共水域への汚染防 止に大きく貢献することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す汚水処理装置の断面図
である。

【図２】前記装置の平面図である。

【図３】図１のＸ−Ｘ線の断面図である。

【図４】サイクロンセパレート部の分離器の断面図であ
る。

【図５】図１のＹ−Ｙ線の断面図である。

【図６】汚水処理装置をガソリンスタンドに設置した状
態の説明図である。

【符号の説明】

１ 処理槽 ２ 支脚 ３ バルブ １ａ ホッパー状底板 Ａ 汚泥貯留部 Ｂ サイクロンセパレート部 ４ 円錐形状の分離板 ５ 汚水噴出管 Ｃ 吸着処理部 ６ 把持用ハンドル ７ 箱体 ７ａ 箱体の多孔底板 ７ｂ ハンドル ７ｃ 多孔蓋板 ８ 吸着材 Ｄ 処理水貯留部 ９ 溢流口 １０ 蓋体 １１ 蓋体のハンドル Ｅ 濾過処理部 １３ キャスタ １４ 排水口 １５ 台車 １６ 水抜き孔 １７ 内箱 １８ 濾布製袋体 １９ 原水槽 ２０ 側溝 ２１ ポンプ ２２，２３，２４ ホース ２５ 逆止弁

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ０２Ｆ 1/28 ＺＡＢ Ｔ 11/12 ＺＡＢ Ｄ 7446−4Ｄ (72)考案者 藤田 敏幸 静岡県富士宮市三園平687番地 株式会社 ヤスヰ内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 外部から送り込まれる汚水の流路を形成
   する処理室内に、送り込まれる汚水をサイクロン作用で
   固液分離処理するサイクロンセパレート部と、前記サイ
   クロンセパレート部の上側にあって、サイクロンセパレ
   ート部を介して上向き流にされた処理水中の油分や懸濁
   物質等を吸着除去する吸着処理部と、前記吸着処理部の
   上側にあって、そこを通過した処理水の所要量を貯留
   し、それ以上の処理水を外部に排出する処理水貯留部
   と、前記サイクロンセパレート部の下側にあって、サイ
   クロンセパレート部で分離して沈降した固形物質等の汚
   泥分を貯留することができ、かつその貯留汚泥を処理室
   内の全水とともに外部に排出させる開閉自在な排出口を
   有する汚泥貯留部と、前記汚泥貯留部の排出口から処理
   室内の処理水と共に取り出した汚泥を受け入れ、これを
   濾過処理して汚泥分を濾別する濾過処理部とを備えてい
   ることを特徴とする汚水処理装置。