JPH079491U - 排水処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気処理した空気で嫌気性バクテリアの繁殖
を抑制し、且つ、それを装置化するに当って、上記有機
成分の流出等の問題を解決すると共にメンテナンスの容
易な装置を開発する。 【構成】 本案排水処理装置は、ケ−ス１内を隔板５
ａ，５ｂ，５ｃにて流入口に臨む濾過室２、有機成分の
貯留室３、及びトラップ室４に分設した排水処理装置に
おいて、細孔を多数穿設した散気管６を該有機成分の貯
留室３の排水の主流路から外れた上部位置に配設し、当
該散気管６から永久磁石又は電磁石の磁束密度の高い空
隙を通過させて磁気処理した空気を噴出させ、有機成分
の嫌気性バクテリアによる分解を防止することを特徴と
する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ホテル、レストラン、食品工場等に敷設されたグリ−ストラップ及 び油水分離装置等の排水処理装置における悪臭防止に関し、更に詳細には、磁気 雰囲気下においた空気を作用させて嫌気性菌の繁殖を抑制し、悪臭発生の原因を 断つことのできる装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

上記ホテルやレストラン等の食品関係の施設には、その排水処理にあたり、排 水中から油、残飯等の有機成分を除去する為、グリストラップや油水分離装置を 設置すべきことが義務付けられているが、その装置には、有機成分を栄養源とし て微生物が繁殖し、その中に嫌気性菌が多いと悪臭成分が生じて、周囲に悪臭を ふりまく原因となっている。

【０００３】 これに対し、従来は、（ａ）グリ−ストラップ又は油水分離槽の槽内に外気に 通じた排気管を連通させて、発生した悪臭を散逸させたり、（ｂ）槽の液層内に オゾンを吹き込んで、その殺菌作用により雑菌の繁殖を抑制したり、（ｃ）薬品 や消臭剤を投入したりする手段が用いられている。

【０００４】 しかし、上記手段によっては、（ａ）の排気管による手段では、管体を槽に取 り付け、配管する工事が極めて面倒であり、（ｂ）の手段では、オゾンを大量に 使用すると、人体に悪影響を及ぼす虞があり、（ｃ）では、効果が一過性であり 、定期的な連続投与が必要となり、手間と費用が嵩む等の欠点がある。 従って、自ら槽内をこまめに清掃するか、或いは、業者に依託して清掃しても らっているのが現状である。

【０００５】 一方、磁気処理した空気が空中の臭成分に作用し、居室内、冷蔵庫内、自動車 の車内などで脱臭力を有することは公知であるが（実開平１−１０４１４７号公 報）、上記の如き有機成分を含む排水中のバクテリアに作用することは、未だ知 られておらず、且つ、当該排水処理装置に空気等のエア−レ−ションを行うこと は、気泡の上昇流が液層を攪拌し、貯留させた油等の有機成分の流出を招いて、 好ましくないこととされていた。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、上記実情に基づいてなされたもので、磁気処理した空気が嫌気性バ クテリアの繁殖の抑制に著効あることに着目し、且つ、それを装置化するに当っ て、上記有機成分の流出等の問題を解決すると共にメンテナンスの容易な装置を 開発しようとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本案排水処理装置は、ケ−ス内を隔板にて流入口に臨む濾過室、有機成分の貯 留室、及びトラップ室に分設した排水処理装置において、細孔を多数穿設した散 気管を該有機成分の貯留室の排水の主流路から外れた上部位置に配設し、当該散 気管から永久磁石又は電磁石の磁束密度の高い空隙を通過させて磁気処理した空 気を噴出させ、有機成分の嫌気性バクテリアによる分解を防止することを特徴と して構成される。 その際、散気管を、二股の分岐管にミクロン単位の細孔を穿設したゴムホ−ス の両端部を連結させるのが好ましい。 又、散気管の高さを調整自在とするのが好ましい。

【０００８】

【作用】

一定の磁束密度を有する磁石の間隙に空気を通過させると、空気中の酸素が励 起状態となり酸素の反応性が高まり、それが散気管から貯留室に送気されると、 嫌気性バクテリアに作用してその繁殖を抑制する。 その際、散気管を該有機成分の貯留室の排水の主流路から外れた上部位置に配 設したので、排水を攪拌することなく、且つ、可及的に小さな粒の気泡で噴出さ せるべく、多数の細孔を穿設したので、上昇流の動きが少なく、有機成分の流出 は極少となる。 又、散気管を、二股の分岐管に細孔を穿設したゴムホ−スの両端部を連結した 態様とすれば、室内の形状、大きさに合わせて容易に設置できる。 更に、散気管の高さを調整自在とすれば、排水の流路に合わせての位置決めが 容易となる。

【０００９】

【実施例】

本考案は、グリ−ストラップ、油水分離装置及び合併処理槽等の有機成分を貯 留させて排水を処理する装置に関し、図１に示す如く、その多くはケ−ス内１を 隔板にて流入口に臨む濾過室２、有機成分の貯留室３、及びトラップ室４に分設 してなる。 該装置には、有機成分Ｇが浮遊し、且つ、槽内が密閉状態にあると、酸素が極 めて希薄な雰囲気となり、該有機成分を栄養源として、適温、適湿の条件が揃い 、嫌気性バクテリアが繁殖し、その結果、硫化水素、メタンガス、アンモニア等 の悪臭成分が発生し、これが周囲に散逸して、不快な悪臭が漂うことになる。

【００１０】 そこで、本考案では、当該排水装置の有機成分の貯留室３内に磁気処理した空 気を送り込む。 ここで磁気処理とは、永久磁石又は電磁石において、Ｎ極とＳ極との対向する 空隙で磁力線を横切る方向に空気を送り、該磁場の雰囲気下に酸素を含有した空 気を送ることをいう。 これを装置化した場合を示すと、例えば図４の如くで、リング形の永久磁石に 例えば３０００ガウス程度の磁力を与えてＮ極とＳ極を対峙させ、その間隙を１ 〜５ｍｍ程度に設定して、送風機で外気を送る。

【００１１】 さて、上記磁化処理を経た空気を、排水処理装置の有機成分の貯留室３に送り 込むが、その際、磁化処理空気を貯留室３の最底部より噴出させると、前述の通 り、噴出した泡の上昇流が有機成分を攪拌してしまい、多量の有機成分が装置外 に流出してしまうことになる。 そこで、本案では、当該装置内を流れる排水は、濾過室を出た後隔板５ａ，５ ｂを潜って有機成分の貯留室に入り、そこで比較的比重の小さな油等の有機成分 が浮上し、比重の大きい水成分は槽の上部には流れず下層を流れることに着目し 、当該下層の主たる流路を避けて、その上部に散気管６を配設する。

【００１２】 その配設の手段は、図３に示す如く、４本の脚７ａに縦横の支持杆７ｂ，７ｃ を連結し、且つ、該脚７ａを口径の異なる管をスライド自在に組合せて枠台７を 形成し、これを高さ調整自在に構成するのが望ましい。

【００１３】 又、その散気管６は、可及的に小さな粒の泡を静的に噴出させるのが望ましく 、１５〜３００ミクロン、例えば５０ミクロン程度の細孔を多数穿設したゴムホ −スを約２メ−トル程度用いて、それを二股の分岐管６ａに両端を連結して輪状 にする（図２Ａ参照）。 又は、室内が狭い場合には、一本のゴムホ−スの終端部を閉じ、他方を磁化装 置からの送気管に連結しても良い（図２Ｂ参照）。

【００１４】 該散気管６を上述の磁化装置からの送気管に連結し、該送気管からの圧力で排 水中に気泡として、磁化処理された空気を噴出させる構造とする。

【００１５】 又、該散気管６は、濾過室２及びトラップ室４に配しても良いが、あくまで有 機成分の貯留室３を主とし、当該濾過室２及びトラップ室４には、送量を少量と する。

【００１６】 本考案の作用を説明すると、先ず図４の如く、磁化装置の磁力線を横切る方向 で空気を通過させると、空気中に含まれる酸素原子は、Ｐ軌道に４個の電子を有 し、エネルギ−の高いパイ反結合軌道に電子が入っているので、不対電子を持ち 、従って、常磁性を有する原子であり、これに前記磁場を作用させると、最外核 電子が励起状態となり、酸素が反応性を高めることになる。

【００１７】 次いで、この磁気処理した空気を、有機成分を貯留させた貯留室３の下部に送 り、散気管６から液中に噴出させると、酸素が極めて希薄な雰囲気下で、該有機 成分Ｇを栄養源として繁殖している嫌気性バクテリアに対し、上記磁化された酸 素が作用し、当該嫌気性バクテリアの菌数を大幅に減少させる。 この際、濾過室２からの排水は隔板５ａ，５ｂを経て、貯留室３に入り、比重 の小さな油等の有機成分が上に浮上し、排水の大部分は底部に近い下部層を通っ てトラップ室４に入ってしまうので、散気管６が位置する高さまでには主たる流 路が届かない。従って、散気管６から噴出された気泡は、主たる流路と交わるこ となく上昇し、且つ、それが数ミクロンの可及的に小さな細孔から成るので静的 に噴出し、排水の流路を攪拌してしまうことなく、有機成分を流出させる虞がな い。

【００１８】 又、その設置に当っても、貯留室３内に枠台７を配置し、その上に散気管６を 載置して、磁化装置から送風すれば良く、設置が簡単であり、その際、散気管６ をゴムホ−ス等の可撓性材料で形成すれば室内の形状、大きさに合わせて変形が 容易である。 又、装置内の清掃に当っても、散気管６及び枠台７を室内から簡単に取外すこ とができるので、設置が邪魔にならない。

【００１９】 この結果、排水処理装置内がいつも磁化処理された空気に触れ、嫌気性バクテ リアによって生成される悪臭成分としての硫化水素、アンモニア、メタン等の発 生が可及的に極少となり、悪臭の発生を防止し、周囲の環境を悪化させないもの となる。

【００２０】

【考案の効果】

以上の構成及び作用に係わる本考案は、磁化処理によって嫌気性バクテリアの 繁殖を抑制し、従来ホテルや、レストラン、給食センタ−、食品工場等で排水処 理装置が悪臭の発生原因となっていたものを断つことができるという優れた効果 を奏する。その際、有機成分の流出を惹起することなく磁化空気を排水に接触さ せることができ、且つ、設置や清掃等のメンテナンスも容易である等極めて実用 性に優れた考案である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本案排水処理装置の縦断側面図である。

【図２】本案装置の散気管を示す平面図で、（Ａ）が二
股分岐管に接続した場合、（Ｂ）が一本の場合を示す。

【図３】本案装置の枠台を示す斜視図である。

【図４】磁化装置の原理を示す模式的側面図である。

【符号の説明】

１ ケ−ス ２ 濾過室 ３ 貯留室 ４ トラップ室 ５ 隔板 ６ 散気管 ７ 枠台

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ０２Ｆ 1/50 ５５０ Ｃ 9045−4Ｄ ５６０ Ｇ 9045−4Ｄ

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケ−ス内を隔板にて流入口に臨む濾過
   室、有機成分の貯留室、及びトラップ室に分設した排水
   処理装置において、 細孔を多数穿設した散気管を該有機成分の貯留室の排水
   の主流路から外れた上部位置に配設し、当該散気管から
   永久磁石又は電磁石の磁束密度の高い空隙を通過させて
   磁気処理した空気を噴出させ、有機成分の嫌気性バクテ
   リアによる分解を防止することを特徴とする排水処理装
   置。
2. 【請求項２】 散気管を、二股の分岐管に細孔を穿設し
   たゴムホ−スの両端部を連結した請求項１記載の排水処
   理装置。
3. 【請求項３】 散気管の高さを調整自在とした請求項１
   又は２項記載の排水処理装置。