JPH0794800B2 - 現場打ちコンクリート覆工用シールド機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、掘削中のトンネルに現
場打ちコンクリート覆工を施す際に、該コンクリート覆
工を不透水膜により被覆するようにした現場打ちコンク
リート覆工用シールド機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、シールド機により掘削される
トンネルに現場打ちコンクリート覆工を施すには、シー
ルド機のスキンプレートのテール部内から適宜長さ後方
部に亘るトンネル内周面に型枠を組立て、この型枠とト
ンネル掘削壁面間にコンクリートを充填することにより
行っており、この際、コンクリートが充分に圧密した状
態となるように、先端に型枠とテール部間の環状空間部
に挿入可能なプレスリングを有するプレスジャッキをス
キンプレートの内周面に装着して該プレスジャッキの作
動によりプレスリングで充填コンクリートを押圧してい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな現場打ちコンクリートよる覆工形成手段では、充填
したコンクリートはトンネルの掘削壁面に直接密着した
状態となり、そのため、充填したコンクリートの一部が
トンネル掘削壁面から地盤中に浸透してコンクリートの
充填量を余分に必要とし、不経済であるばかりでなく、
地下水によってコンクリートが品質低下を引き起こして
所定強度のコンクリート覆工が得られなくなる虞れがあ
り、さらに、コンクリートの固化後においては、地下水
が該コンクリート覆工に浸透してトンネル内に浸入する
という問題点がある。

【０００４】一方、シールド掘削機のスキンプレート内
周面に不透水膜格納室を一体に装着し、該不透水膜格納
室の外周面後端から筒状の不透水膜を掘削トンネル側に
引き出しながら、該不透水膜と型枠間にコンクリートを
充填することも行われており、この方法では上記のよう
な地下水の浸入等が防止できるが、スキンプレートの内
周面に不透水膜格納室を一体に取付けているので、上記
のようなプレスリングを有するプレスジャッキを装備さ
せることができず、従って、充填したコンクリートの圧
密が行えなくて充填が不充分な部分が生じる虞れがあ
る。本発明はこのような問題点を解消し得る現場打ちコ
ンクリート覆工用シールド機の提供を目的とするもので
ある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の現場打ちコンクリート覆工用シールド機
は、シールド機本体のスキンプレートの後部内周面複数
箇所にプレスジャッキを装着し、該プレスジャッキのロ
ッド端に、外周側後端に不透水膜引出口を有する不透水
膜格納室を一体に連結すると共にこの不透水膜格納室の
後端に充填コンクリートのプレスリングを突設し、さら
に、上記プレスジャッキの内周側に複数本の推進ジャッ
キを配設してなる構造を有する。

【０００６】

【作用】不透水膜格納室から後方に引き出された不透水
膜とシールド機本体のスキンプレートのテール部内に組
立られた型枠間の空間に該型枠の適所に設けた充填口を
通じてコンクリートを充填する。この時、不透水膜格納
室の後端から突設しているプレスリングは、不透水膜の
引出口近傍部において不透水膜と型枠端部間に位置し、
充填されたコンクリートが機内側に流出するのを阻止し
ている。

【０００７】コンクリートの充填後、プレスジャッキと
推進ジャッキとを伸長させると、プレスジャッキの伸長
により該ジャッキと直列に連結した不透水膜格納室を介
してプレスリングで充填コンクリートを押圧して圧密す
る一方、推進ジャッキの伸長により型枠端面を反力受止
面としてシールド機が一定長さ推進する。

【０００８】次いで、これらのジャッキを収縮させる
と、プレスジャッキの収縮によって不透水膜格納室が一
体に前進移動し、それに応じて該格納室内の不透水膜が
自動的に後方へ引き出される。一方、推進ジャッキの収
縮によって上記引き出された不透水膜の内周面側に空間
部が生じ、該空間部に次の型枠を組立てる。以下、上記
同様にこの型枠と引き出された不透水膜間にコンクリー
トを充填し、この作業を繰り返し行って掘削トンネルの
壁面にコンクリート覆工を施すものである。

【０００９】

【実施例】本発明の実施例を図面について説明すると、
１はシールド機本体で、スキンプレート２の開口前端
に、モータ11によって回転するカッタヘッド12を配設し
ていると共に、該スキンプレート２の内周面適所に垂直
固定支持壁板３を一体に設けてある。

【００１０】４はスキンプレート２の後部内周面に沿っ
て、周方向に一定間隔毎に配設した複数本のプレスジャ
ッキで、その基端（前端）を上記垂直固定支持壁板３の
後面に固着、支持させてある。なお、このプレスジャッ
キ４はスキンプレート２の内周面に固定させておいても
よい。

【００１１】５はプレスジャッキ４の後方側において、
該プレスジャッキ４に対して直列状態に配設した不透水
膜格納室で、その前端面をプレスジャッキ４のロッド4a
に一体に連結、固着して、これらのプレスジャッキ４の
作動によりスキンプレート２の内周面に沿って前後移動
可能に構成してある。

【００１２】この不透水膜格納室５は、所望長さの内外
二重管5a、5bの両端間を前後環状板5c、5dにより連結し
て中空リング状に形成されているもので、その外管5aの
後端と後側環状板5dの外周端縁間を開口させて不透水膜
引出口６に形成していると共に、内管5bを周方向に複数
分割して前後環状板5c、5dの内周端に対し着脱自在と
し、内部に合成樹脂シート等からなる可撓性の筒状不透
水膜Ａを長さ方向に折り畳み状態で収納可能にしてい
る。

【００１３】７は不透水膜格納室５の後側環状板5dの表
面にその短脚部を一体に固着して後方に突設しているプ
レスリングであり、不透水膜格納室５と一体的に前後動
して後述する充填コンクリートＣを押圧するものであ
る。

【００１４】８はプレスジャッキ４の内周側における同
心円上に該プレスジャッキ４と並列するようにして周方
向に一定間隔毎に配設された複数本の推進ジャッキで、
そのシリンダ基端（前端）を前記垂直固定支持壁板３の
後面に固着、支持させてあり、該ロッド8aの先端を後述
する型枠Ｂの前端面に当接可能にしてある。

【００１５】このように構成したシールド機によって掘
削されたトンネルに、不透水膜Ａによって被覆しながら
場所打ちコンクリート覆工を施工する方法について、次
に述べる。図１はスキンプレート２のテール部内に新た
な型枠Ｂを組立て、該型枠Ｂの適所に設けている充填孔
９から不透水膜Ａと型枠Ｂ間の空間部にコンクリートＣ
を充填した状態を示す。なお、型枠Ｂはその前端部外周
面をプレスリング７の内周面に摺接するように組立て、
充填コンクリートＣが機内側に漏出するのを阻止する。

【００１６】上記充填孔９に連結、連通しているコンク
リート供給管10を通じて、上記空間部にコンクリートを
打設、充填後、プレスジャッキ４を作動させてそのロッ
ド4aを後方に伸長させると、該ロッド4aと直列状に一体
化している不透水膜格納室５が後方に移動し、この格納
室５の後端から突設しているプレスリング７により、空
間部に充填しているコンクリートＣを押圧し、不透水膜
Ａと型枠Ｂ間の空間部全体に亘って均一に圧密する。

【００１７】一方、プレスジャッキ４の作動と同時に推
進ジャッキ８を作動させ、図２に示すように、そのロッ
ド8aの先端面を型枠Ｂの前端面に当接、受止させた状態
から型枠Ｂを反力としてシールド機本体１を推進させ、
カッタヘッド12を回転させながら切羽地盤を掘進して、
所定長さのトンネル部分を形成する。この際、プレスジ
ャッキ４を常時作動させてプレスリング７による充填コ
ンクリートＣの圧密状態を保持しておく。

【００１８】充填されたコンクリートはシールド機本体
１の推進によって型枠Ｂと共にスキンプレート２のテー
ル部から後方に送り出され、不透水膜Ａはトンネルの掘
削壁面に圧着すると共に型枠Ｂを取り外した際に充填コ
ンクリートＣによってコンクリート覆工が連続形成され
る。

【００１９】次に、図３に示すように、プレスジャッキ
４のロッド4aと推進ジャッキ８のロッド8aとを元位置ま
で収縮させると、プレスジャッキ４のロッド4aの収縮に
よって不透水膜格納室５とプレスリング７とが一体に前
進し、その前進に従って格納室５の引出口６から格納室
５内に折り畳み状態に収納されている筒状の不透水膜Ａ
が自動的に引き出されスキンプレート２の内面に沿って
張設される。なお、シールド機本体１の掘進中に、充填
コンクリートＣが適度に硬化して流動性が殆どなくなっ
ているので、プレスリング７が離れても機内に流出する
ことはないが、プレスリング７の離脱後、その端面を適
宜な阻止板で仮止めしておいてもよい。

【００２０】上記引き出された不透水膜Ａの内周面側に
はプレスジャッキ４のロッド4aと推進ジャッキ８のロッ
ド8aとの収縮によって作業空間部が設けられ、この作業
空間部を利用して先に組立てた型枠Ｂに連続して次の型
枠を組立てる。しかるのち、該型枠Ｂに設けている充填
孔９を通じて不透水膜Ａと該型枠Ｂ間にコンクリートＣ
を充填し、上記同様にしてプレスリング７で圧密すると
共に推進ジャッキ８のロッド8aを伸長させてシールド機
本体１を一定長さ推進させる。この作業を繰り返し行っ
て掘削トンネルの壁面に不透水膜Ａで被覆されたコンク
リート覆工を連続して形成していくものである。

【００２１】なお、不透水膜格納室５内の不透水膜Ａが
無くなると、図４に示すように、該格納室５の分割内管
5bを取り外し、次の不透水膜の端部を格納室５内に残存
する上記不透水膜の端部に適宜に接続、一体化したの
ち、分割内管を元の状態に組立てるものである。

【００２２】

【発明の効果】以上のように本発明の現場打ちコンクリ
ート覆工用シールド機によれば、シールド機本体のスキ
ンプレートの後部内周面複数箇所にプレスジャッキを装
着し、該プレスジャッキのロッド端に、外周側後端に不
透水膜引出口を有する不透水膜格納室を一体に連結する
と共にこの不透水膜格納室の後端に打設コンクリートの
プレスリングを突設し、さらに、上記プレスジャッキの
内周側に複数本の推進ジャッキを配設してなる構造を有
するものであるから、後端にプレスリングを突設してい
る不透水膜格納室をプレスジャッキのロッド後端に直列
状に一体化しているので、格納室とプレスジャッキとの
配置構造が簡単であり、狭いシールド機内に推進ジャッ
キと共に整然と配設することができ、これらのジャッキ
を円滑に作動させることができる。

【００２３】さらに、プレスジャッキのロッドを収縮さ
せると、不透水膜格納室が一体に前進してその引出口か
ら不透水膜をスキンプレートの内面に沿って自動的に後
方に引き出すことができ、その上、一定の張力でもって
引き出されて円滑且つ確実にトンネルの掘削壁面に沿わ
せることができる。

【００２４】また、プレスジャッキと推進ジャッキとの
ロッドを収縮させると、スキンプレートのテール部内に
型枠が組立可能な作業空間部が形成され、型枠の組立作
業が容易に行えると共に引き出された不透水膜と該型枠
間に充填されるコンクリートを格納室の後端から突設し
ているプレスリングによって機内側に漏出するのを確実
に防止することができる。

【００２５】さらに又、推進ジャッキによるシールド機
の掘進と共にプレスジャッキの伸長によってプレスリン
グで充填コンクリートを圧密しながら不透水膜と一体的
にシールド機本体から後方の掘削トンネル内に押し出す
ことができ、コンクリートを不透水膜で被覆して地下水
によるコンクリートの品質低下や地下水の侵入を防止し
たコンクリート覆工を形成できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】コンクリートを充填している状態の簡略縦断側
面図、

【図２】シールド機を推進させた状態の簡略縦断側面
図、

【図３】プレスジャッキと推進ジャッキとを収縮させた
状態の簡略縦断側面図、

【図４】不透水膜格納室を開放させた状態の簡略縦断側
面図。

【符号の説明】

１ シールド機本体 ２ スキンプレート ４ プレスジャッキ ５ 不透水膜格納室 ６ 引出口 ７ プレスリング ８ 推進ジャッキ Ａ 不透水膜

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シールド機本体のスキンプレートの後部
   内周面複数箇所にプレスジャッキを装着し、該プレスジ
   ャッキのロッド端に、外周側後端に不透水膜引出口を有
   する不透水膜格納室を一体に連結すると共にこの不透水
   膜格納室の後端に充填コンクリートのプレスリングを突
   設し、さらに、上記プレスジャッキの内周側に複数本の
   推進ジャッキを配設してなることを特徴とする現場打ち
   コンクリート覆工用シールド機。