JPH078930B2 - 多孔質合成シート材の防火処理方法 - Google Patents

多孔質合成シート材の防火処理方法

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JPH078930B2
JPH078930B2 JP60122386A JP12238685A JPH078930B2 JP H078930 B2 JPH078930 B2 JP H078930B2 JP 60122386 A JP60122386 A JP 60122386A JP 12238685 A JP12238685 A JP 12238685A JP H078930 B2 JPH078930 B2 JP H078930B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 この発明はポリエステルおよび/またはポリエチレン繊
維が埋込まれた多孔質ポリウレタン・マトリックス層
と、前記マトリックス層に積層せられた、緻密なポリウ
レタン樹脂フィルムとからなる多孔質合成シート材の防
火処理方法に関する。特に、現在種々の商品名で市場に
おいて入手可能であり、かつ一般に「人工皮革」として
知られているもの、すなわち本革に代って内装品、衣
類、靴、その他の類似品用として一般に人工皮革として
使用されているものの防火処理方法に関する。
従来技術 一般に、産業界において使用されかつ現在市場で入手可
能な人工皮革の多くは、通常、本革とは異なり、きわめ
て引火性の高いポリウレタン・フォームおよび/または
多孔質ポリウレタン(すなわち、電子顕微鏡によっての
み見える微細な孔を備えたもの)のようなポリマー樹脂
を使用して製造されている。
発明が解決しようとする問題点 上記周知のタイプのシート材の引火性および燃焼時に発
生する排気の比較的有害な性質が、たとえば劇場、映画
館、特に公共施設における広範な採用を妨げている多き
な原因となっている。人工皮革を形成するポリマー樹脂
に添加され、あるいはもっと後にこれに施される種々の
化学添加剤は存在するが、これらの添加剤は人工皮革の
燃焼を遅延させるのみで、人工皮革に防火性を付与する
ものではない。従って、周知の防火処理を利用した材料
につきまとう危険性は、単に減少するだけであり、取り
除くわけにはいかない。さらに、防火添加物の使用は、
人工皮革の外観を著しく損わせ、その結果、用途を狭く
している。
この発明の目的は、多孔質合成シート材、特に人工皮革
の防火処理方法を提供し、製造後の処理を可能ならしめ
る、つまり半製品の形のときに処理することを可能なら
しめるとともに、人工皮革に完全な防火性を付与しかつ
外観には実質上何らの影響も与えないことにある。
問題点を解決するための手段 この発明による多孔質合成シート材の防火処理方法は、
ポリエステルおよび/またはポリエチレン繊維が埋込ま
れた多孔質ポリウレタン・マトリックス層と、前記マト
リックス層に積層せられた、緻密なポリウレタン樹脂フ
ィルムとからなる多孔質合成シート材の防火処理方法に
おいて、 上記シート材を、山火事鎮火用のリン酸アンモニウム塩
を含む防火または難燃物質の24〜60重量%水溶液からな
る防止処理溶液で処理して、上記シート材全体に溶液を
浸透させる工程と、 こののち、上記シート材を、上記シート材に施されたと
同じ防火または難燃物質が適量添加された、少なくとも
1種の軟化剤の8〜20重量%水溶液からなる軟化剤溶液
で処理する工程とを含んでおり、軟化剤は、TRIANOLSP
(登録商標)であることを特徴とする。
本出願人が行なった多くの実験により、現在市販されて
いる人工皮革または人工皮革を形成する半製品でくぼみ
のある(pitted)または多孔質のポリマーを基材とした
合成シート材を、ポリマーまたはポリマー製品のための
添加剤としてではなく、特に山火事鎮火用として空中噴
霧する消炎剤として考案されかつ使用されている、リン
酸アンモニウム塩を含む市販の防火(fireproofing)ま
たは難燃(fire retarding)物質で処理することによ
り、これらの物質が多孔質シート材または「人工皮革」
の孔の内部および多孔質マトリックス中に含まれる強化
繊維上に保持され、シート材に完全な防火性が与えられ
ることが判明した。
本出願人はまた、防火または難燃物質のみを使用して合
成シート材を処理すると、シート材の外観に著しい影響
を及ぼすことを発見した。これら物質で処理すると、合
成シート材は硬化しかつ鈍化して全く使用に耐えなくな
る。しかしながら、さらに実験を続けた結果、本出願人
は、合成シート材を防火または難燃物質で処理する第1
工程と、機械洗浄された繊維用として一般に販売されか
つ使用されている市販の軟化剤の水溶液を使用した後続
工程とを組合せることにより、多孔質合成材に、化学的
性質にかかわらず、しかも当初の材料の軟かさまたは外
観を少しも損うことなく、完全に防火性を付与できるこ
とを発見した。
本出願人が行なった実験により、さらに、この発明の工
程により処理された人工皮革の完全な防火性を保持する
ためには、既に人工皮革または人工皮革を形成している
半製品であって多孔質合成シート材からなるものに施さ
れたと同じ市販の防火または難燃物質を、この同じ防火
または難燃物質を使用した第1段階に引続いて供給され
る軟化溶液に、適量添加すべきであることが判明した。
事実、防火または難燃物質を所定の割合で軟化溶液に添
加することにより、処理済のシート材の多孔質マトリッ
クスが既に吸収している防火物質が分解するのを、すな
わち取り除かれるのを軟化溶液が防止することが判明し
た。
最善の結果を得るには、適当な寸法の束に材料を束ね、
本革なめし用として一般に使用されているタイプの回転
ドラム内にこの束を装入し、ドラムの回転を開始して、
ドラム内に種々の処理溶液を供給し、現実の防火処理用
としてPIROFLAM(登録商標)(リン酸アンモニウム塩)
の名で周知の構成のものおよび所定量のPIROFLAMが添加
されかつTRIANOL SP(登録商標)の名で周知の構成のも
のを活性剤として、後続軟化処理に使用すればよいこと
が判明した。PIROFLAMは、リン酸アンモニウム塩を含ん
でおり、TRIANOL SPは有名な繊維柔軟材VERNEL(登録商
標)の製造に使用され、おそらくラウリン酸塩(lauric
acid salts)を基材としていると思われるが、どちらも
水溶性で、PIROFLAMは比較的濃度の高い溶液をつくり、
TRIANOL SPの方はずっと濃度が低い。本出願人が実験し
たのは、これら2種の製品のみであるが、現在または将
来、市場で入手可能な他の市販製品で、上記の製品とほ
ぼ同様の性質を備えたものも、この発明による方法に、
上記製品に代って使用でき、その場合にもこの発明によ
って生じる秀れた効果が得られると思われる。
この発明では、束ねられた材料は、なめし用ドラム内に
入れられ、まず表面活性剤を含んだ水を用い、温度60℃
でかつ材料をドラム内で約20分間回転させることによっ
て、材料を湿らせることからなる「浸透(soaking)」
処理が施される。この「浸透」処理により、材料にくま
なく湿り気を与え、後に供給される活性溶液が完全に吸
収されるようにする。
次に、表面活性剤の水溶液は排出され、回転ドラムには
第1の処理溶液が満たされる。第1の溶液としては重量
比60%のPIROFLAM水溶液を用いるのが望ましい。
次に、材料はドラム内のPIROFLAM水溶液中で約30分間、
すなわち溶液が材料全体にくまなく浸透して、材料の合
成マトリックスの細孔の大部分に充満するのに充分な時
間、回転される。
最後に、第1溶液が排出され、回転ドラムには第2の溶
液、すなわち軟化溶液が満たされる。この第2の溶液と
しては重量比20%のTRIANOL SPに、同じく重量比20%の
PIROFLAMが添加された水溶液を用いるのが望ましい。
軟化処理が回転ドラム内で約15分間行なわれた後、第2
溶液が排出され、処理済の材料は約70℃の熱気で乾燥さ
れる。熱気は回転ドラム内に直接吹きつけられることに
なろう。
上記処理ののち、人工皮革または対応する半製品は取り
出され、周知の方法による通例の仕上げ工程要ステリッ
プとして巻き取られるであろう。当初の材料は、軟かさ
と外観についてはほぼ不変であるが、この発明の方法に
より、ほぼ防火性を有するものにされる。
最後に、この発明の範囲に属する工程は、思想的には本
出願人により本出願と同日付で「人工皮革の製造方法」
と題して出願された他の特許出願にかかる発明の範囲に
属するずっと広い工程の一部を形成していると考えてよ
い。この広い工程とは、周知のタイプのポリウレタン樹
脂を基材とする多孔質合成シート材からなる半製品か
ら、軟かさ、外観および堅さがほぼ本革同様で、きわめ
て柔軟かつ完全な防火性を備えた人工皮革を生産するこ
とを可能ならしめるものである。この広い工程は、かく
して人工皮革を工業的、商業的部門、すなわち内装品、
衣類、靴等、これまで本革が独占支配してきた分野での
使用を可能ならしめるためのものである。この発明によ
る方法は、当初の半製品が、ポリエステルおよび/また
はポリエチレン繊維が埋込まれた多孔質ポリウレタン・
マトリックス層と、前記マトリックス層に積層せられ
た、本革に似せるように製造された緻密なプレスド・ポ
リウレタン樹脂フィルムとからなるタイプの多孔質合成
シート材からなるものである特定クラスの人工皮革に適
用された場合に、特に有効である。
発明の効果 この発明によれば、上述のように、多孔質合成シート材
の軟かさおよび外観を損うことなく、多孔質合成シート
材に防火性を与えることができる。
実施例 以下、この発明の実施例を示すが、この発明はこれに限
定されるものではない。
実施例1 緻密なプレスド・ポリウレタン樹脂カバー・フィルムが
被せられた多孔層ポリウレタン樹脂フォーム・マトリッ
クスからなる厚さ1mmの多孔質合成シート材の長さ10mの
ストリップ12枚を折り曲げて、250×120×120cmの束に
束ね、この束を体積約5.6m3のなめし用タイプの回転ド
ラム内に装入した。装入後、ドラムには表面活性剤を含
む水溶液650リットルを充満させ、この溶液を60℃に熱
した。そして、ドラムを15rpmで20分間回転させた後、
表面活性剤水溶液を排出し、ドラムに重量比60%のPIRO
FLAM(登録商標)の水溶液262.5リットルを充満させ
た。シート材の束をドラム内のこの溶液中で約30分間処
理したところ、束から取り出したサンプル片が示すよう
に、処理されたシート材全体に、処理溶液が完全に浸透
していた。
こののち、PIROFLAM水溶液を排出し、回転ドラム内にあ
る12の束を、重量比20%のPIROFLAMに重量比20%のTRIA
NOL SP(登録商標)を添加した第2の水溶液56.25リッ
トルで、15分間処理した。最後に、第2溶液を排出し、
シート材を、約6rpmで回転するドラム内で、70℃の熱気
の吹きつけによって乾燥させた。処理後、12本の束を解
き、処理前と全く同じ外観および感触の処理済シート材
を巻き取った。
実施例2 多数のポリエステル強化繊維が埋め込まれかつ緻密なポ
リウレタン樹脂フィルムで覆われた多孔質ポリウレタン
樹脂マトリックスからなる厚さ1.2mmの多孔質合成シー
ト材の長さ10mのストリップ12枚に、上記実施例1と同
一方法、同一溶液、同一量および同一処理時間の処理を
施した。この材料はクラレ株式会社が製造、販売してい
た。そしてSOFRINAの商品名で市販されている人工皮革
が、この材料から製造されている。
比較例 上記実施例2における処理ののち、処理済ストリップ
12本から20×20cmの試験片5枚を採取し、標準米連邦規
格302号(水平試験片)にしたがって燃焼試験を行なっ
た。
また、上記実施例2で使用した合成材料からなる半製
品を用いて、全く処理が施されていない合成シート材の
20×20cm試験片5枚を作り、標準米連邦規格302号(水
平試験片)にしたがって燃焼試験を行なった。
さらに、上記実施例2において、この発明により処理
したと同一タイプの多孔質合成シート材からなる仕上げ
済市販タイプの人工皮革からも同様の20×20cm試験片5
枚を採取し上記と同様の燃焼試験を行なった。しかも今
回のものは、周知のタイプの防火処理を施したものであ
った。
これらの結果を次表に示す。次表において、試験片1〜
5は上記の実施例2の処理が施されたものを、試験片
6〜10は上記の未処理のものを、試験片7〜15は上記
の仕上げ済合成シート材であって、商品名SOFRINAと
して知られているものの試験片をそれぞれ示している。
上記に示すように、無処理かつ無仕上げの場合(試験片
5〜10)、合成シート材は著しく高い燃焼率を示し、材
料が実際上ほぼ瞬時に燃焼してしまうくらいである。一
方、商業的に実施可能な方法で仕上げ、周知の防火処理
が施された同一材料(試験片11〜15)は、無処理材料に
比べて低い燃焼率を示してはいるが、それでもなお、き
わめて高く、商業的使用を著しく損うほどに高い。他
方、この発明により処理されたものであって仕上げ処理
前の材料(試験片1〜5)は燃焼率0を示しており、完
全な防火性を備えている。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステルおよび/またはポリエチレン
    繊維が埋込まれた多孔質ポリウレタン・マトリックス層
    と、前記マトリックス層に積層せられた、緻密なポリウ
    レタン樹脂フィルムとからなる多孔質合成シート材の防
    火処理方法において、 上記シート材を、山火事鎮火用のリン酸アンモニウム塩
    を含む防火または難燃物質の24〜60重量%水溶液からな
    る防火処理溶液で処理して、上記シート材全体に溶液を
    浸透させる工程と、 こののち、上記シート材を、上記シート材に施されたと
    同じ防火または難燃物質が適量添加された、少なくとも
    1種の軟化剤の8〜20重量%水溶液からなる軟化剤溶液
    で処理する工程とを含んでおり、軟化剤は、TRIANOLSP
    (登録商標)であることを特徴とする、多孔質合成シー
    ト材の防火処理方法。
  2. 【請求項2】上記シート材をまずPIROFLAM(登録商標)
    (リン酸アンモニウム塩)の水溶液で約30分間処理し、
    次にPIROFLAMを含むTRIANOL SP(登録商標)の水溶液で
    約15分間処理することを特徴とする、特許請求の範囲第
    (1)項項記載の多孔質合成シート材の防火処理方法。
  3. 【請求項3】上記シート材を重量比60%のPIRAFLAM(登
    録商標)(リン酸アンモニウム塩)の水溶液で処理し、
    こののち重量比20%のTRIANOL SP(登録商標)と、重量
    比20%のPIROFLAMとの水溶液で処理することを特徴とす
    る、特許請求の範囲第(2)項記載の多孔質合成シート
    材の防火処理方法。
  4. 【請求項4】適宜の寸法の束に束ねられた上記シート材
    をなめしタイプのドラム内に装入し、ドラムを回転させ
    るとともにこのドラム内に連続的に上記溶液を供給する
    ことによって処理することを特徴とする、特許請求の範
    囲第(1)項〜第(3)項のいずれか1項に記載の多孔
    質合成シート材の防火処理方法。
  5. 【請求項5】上記シート材を、まず表面活性剤の水溶液
    に約60℃で約20分間浸漬することを特徴とする、特許請
    求の範囲第(1)項〜第(4)項のいずれか1項に記載
    の多孔質合成シート材の防火処理方法。
  6. 【請求項6】上記シート材を、最終的に熱気を使用して
    乾燥させることを特徴とする、特許請求の範囲第(1)
    項〜第(5)項のいずれか1項に記載の多孔質合成シー
    ト材の防火処理方法。
JP60122386A 1984-06-06 1985-06-06 多孔質合成シート材の防火処理方法 Expired - Lifetime JPH078930B2 (ja)

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IT67584-A/84 1984-06-06

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Publication Number Publication Date
JPS616378A JPS616378A (ja) 1986-01-13
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JP (1) JPH078930B2 (ja)
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DE (1) DE3574747D1 (ja)
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