JPH0780118A - スポーツ用の手袋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 極めて安価に多量生産して、フィット感と難
スリップ性とを改善し、しかも手を十分に保護する。 【構成】 手袋１は、ゴム状弾性体でもって、甲部と掌
部とまち部とを縫着することなく一体成形している。さ
らに、通気性を改善するために、ゴム状弾性体を貫通し
て通気孔２を穿設している。また、ゴム状弾性体を成形
するときに、その表面に裁断された皮革３をインサート
して接着する。 【効果】 ゴム状弾性体で一体成形しているので、優れ
た伸縮性と境界に縫目のないこととが相乗して、手のフ
ィット感が著しく改善され、手袋を着用しない素手に近
い感覚で、クラブ、ラケット、バットのグリップを握る
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ゴム状弾性体で一体成
形した、ゴルフ、野球、テニス等に使用されるスポーツ
用の手袋に関する。

【０００２】

【従来の技術】ゴルフ用の手袋は、ゴルフクラブのグリ
ップを強く握る左手を保護し、また、左手で握ったグリ
ップが滑るのを防止するために使用される。野球やテニ
スに使用する手袋も、手を保護すると共にスリップを防
止するために使用される。このことを実現するために、
スポーツ用に使用される手袋は、天然または合成皮革を
所定の形状に裁断し、これを縫製して製造している。天
然の皮革には、羊の皮が使用される。最良の皮革として
エチオピア産の羊が使用される。この皮革は、手に着用
してよく伸びるので、手にフィットする特長がある。た
だ、エチオピア産の羊の皮革は相当に高価である。

【０００３】安価にエチオピア産の皮革に近似する物性
のシート材を使用したゴルフ用の手袋も開発されている
（特開昭６１−１１５５８５号公報）。この公報に記載
される手袋は、繊維基材の表面に高分子重合体の層を積
層して、縦と横の伸び応力を、エチオピア産の皮革に近
似させたシート材とし、このシート材を、裁断、縫製し
て製造している。繊維基材には極細の合成繊維糸、例え
ばポリエステル繊維やナイロン繊維等を使用している。
高分子重合体としてポリウレタンを使用している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】この公報に記載される
ゴルフ用の手袋は、高価なエチオピア産の羊の皮革を使
用した手袋に匹敵する特性にできる。しかしながら、こ
の手袋も、従来の皮革を使用した手袋と同じように、シ
ート材を所定の形状に裁断し、これを縫製して製造する
必要がある。シート材の裁断は、機械装置を使用して能
率よく処理できる。しかしながら、裁断したシート材の
縫製は機械化することが極めて難しい。このため、現在
は例外なく、熟練した縫製工がミシンを使用して、縫製
しているのが実状である。このため、製造に著しく手間
がかかっているのが実状である。とくに、ゴルフ用の手
袋は、縫製する縫い代を小さくすることが大切で、熟練
した縫製工が丁寧にミシンを操作する必要がある。手袋
を手によくフィットさせて、手の動きを制限しないよう
にするためである。したがって、ゴルフ用の手袋は、片
手であるにもかかわらず、普通の防寒用の手袋に比較し
て製造コストが相当に高くなる欠点がある。また、シー
ト材を縫製した手袋は、縫製部分で伸縮性が制限され
る。それは、縫目をシート材と同じように伸縮させるこ
とが難しいからである。したがって、シート材に優れた
伸縮性があっても、縫製して手袋にすると、素材シート
よりも伸縮性が低下する欠点がある。伸縮性のない手袋
は、手に対するフィット感が低下する。

【０００５】さらにまた、スポーツ用の手袋は、手によ
くフィットする特性に加えて、ゴルフクラブやテニスラ
ケットのグリップや野球のバットを滑らないように握る
ことも大切である。このことを実現するために、手袋の
掌部にゴムを接着したゴルフ用の手袋が開発されている
（特開昭５５−１３２７０２号公報、および実開昭６１
−１３３０７９号公報）。また、手袋の掌部とゴルフク
ラブのグリップとにマジックテープをつけてスリップを
防止する技術も提案されている（実開平１−１１２３５
０号公報）。

【０００６】これ等の公報に記載されるように、掌部に
難スリップ材を設けた手袋は、スリップ性能を改善でき
るが、付着したゴムやマジックテープによって掌部が厚
くなり、フィット感が低下する欠点がある。スポーツ用
の手袋は、ゴルフクラブ等のグリップを直接握る感覚
で、手を保護して滑り難くするのを理想とする。フィッ
ト感が低下してスリップしやすくなると、打球が変化
し、また手を十分に保護できないと手の掌部に水疱がで
きる欠点がある。

【０００７】本発明は、従来のスポーツ用の手袋が有す
るこれ等の欠点を解決し、スポーツ用として理想的な特
性を実現することを目的に開発されたもので、本発明の
重要な目的は、極めて安価に多量生産できると共に、フ
ィット感と難スリップ性とを改善し、しかも手を十分に
保護できるスポーツ用の手袋を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明のスポーツ用の手
袋は、前述の目的を達成するために下記の構成を備え
る。すなわち、本発明の手袋は、従来の手袋のように、
シート材を裁断、縫製して製造するものではない。本発
明の手袋は、ゴム状弾性体でもって、甲部と掌部とまち
部とを縫着することなく一体成形している。さらに、通
気性を改善するために、ゴム状弾性体を貫通して通気孔
２を穿設している。

【０００９】さらに、本発明の請求項２に記載するスポ
ーツ用の手袋は、ゴム状弾性体を使用して、甲部と掌部
とまち部とを縫着することなく一体成形すると共に、ゴ
ム状弾性体を成形するときに、その表面に裁断された皮
革３をインサートして接着している。また、この手袋１
も通気性を改善するために、ゴム状弾性体を貫通して通
気孔２を穿設している。また、本発明の請求項３に記載
するスポーツ用の手袋は、繊維材を充填したゴム状弾性
体でもって、甲部と掌部とまち部とを非縫着状態に一体
成形している。

【００１０】本発明の手袋を一体成形するゴム状弾性体
には、例えば、天然あるいは合成ゴム、軟質の塩化ビニ
ル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等のゴム状弾性
を有し、かつ、手袋１を一体成形できるものが使用でき
る。

【００１１】

【作用】本発明のスポーツ用の手袋は、従来の手袋のよ
うに、皮革等のシート材を裁断して縫製したものではな
い。ゴムや軟質の塩化ビニル樹脂等を一体成形して製造
したものである。したがって、本発明の手袋は、従来の
手袋のように、掌部とまち部と甲部との境界に縫目がな
い。また、一体成形された手袋１は、全体をゴム状弾性
体で成形しているので、極めて優れた伸縮性がある。素
材シートの優れた伸縮性と、縫目がないことが相乗し
て、手袋１は極めて手によくフィットし、しかも、手の
動きにも極めて良くフィットする性質がある。縫目がな
いことは、縫い目による伸縮性の低下を防止できるばか
りでなく、局部的に手袋１が厚くなって手のフィット感
が低下するのも防止する。さらに、手袋１自体をゴム状
弾性体で成形するので、素材シート自体が優れた難スリ
ップ特性を有し、掌部に別の部材を接着することなく、
薄くして滑らないようにできる特長がある。また、製造
するときに、手間のかかる縫製作業を省略できる。手袋
１は金型で一体的に成形し、あるいは、手形の表面にゴ
ム状弾性体をコーティングする等の方法で、極めて能率
よく安価に多量生産できる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想
を具体化するためのスポーツ用の手袋を例示するもので
あって、本発明の手袋は、構成部材の材質や構造等を下
記のものに特定するものでない。本発明の手袋は、特許
請求の範囲を逸脱しない範囲で変更することができる。

【００１３】図１の正面図と、図２の背面図と、図３の
断面図は、ゴルフ用の手袋を示す。これ等の図に示すゴ
ルフ用の手袋は、従来のように皮革を裁断し縫製する手
袋のように製作することなく、甲部と掌部とまち部を含
む全体を、ゴム状弾性体で一体成形している。ゴム状弾
性体には、軟質の塩化ビニル樹脂を使用する。軟質の塩
化ビニル樹脂は、可塑剤の添加量を調整して柔軟性を調
整できる。ただ、軟質の塩化ビニル樹脂に代わって、ウ
レタン樹脂も使用できる。さらに、塩化ビニル樹脂とウ
レタン樹脂を混合した樹脂も使用できる。さらに、これ
等の合成樹脂に代わって、ゴム状弾性を示す他の全ての
合成樹脂を使用することができる。

【００１４】さらに、ゴム状弾性体は、皮革の繊維材を
混入して成形することもできる。繊維材を充填して成形
した手袋は、皮革繊維材によって、通気性を持たせるこ
とができ、また、手に対する感触をソフトにできる特長
がある。ゴム状弾性体に混入する繊維材には、廃棄され
る皮革の切れ端を、繊維材に加工したものが最適であ
る。廃棄する天然皮革を有効に利用して、高品質な手袋
を製造できるからである。繊維材によってゴム状弾性体
に通気性ができる手袋は、必ずしも通気孔を設ける必要
がない。ただ、繊維材による通気性では不足する場合、
通気孔を開口することもできる。

【００１５】ゴム状弾性を示す合成樹脂は、他の合成樹
脂の成形と同様に、金型の成形室に注入して手袋１全体
を一体成形できる。成形される手袋１は、掌部と甲部と
まち部の厚さを、たとえば０．３ｍｍとする。ただ、手
袋１の厚さは、例えば０．１〜１ｍｍ、好ましくは０．
２〜０．６ｍｍの範囲に設計することができる。手袋１
の一体成形には、射出成形が最適である。射出成形によ
って全体を一体成形した手袋１は、従来の皮革のよう
に、甲部と掌部とまち部との境界に縫目ができない。指
の部分は、縫目のない円筒状に成形される。合成樹脂
は、原料に顔料を混合して、手袋１全体を綺麗な色に着
色して装飾できる。また、成形した後、表面に塗料を塗
布して、綺麗に装飾することもできる。さらに、甲部の
表面に植毛し、あるいは、ワッペン等を付着して装飾す
ることもできる。また、掌部と甲部とまち部とを合成樹
脂で一体成形し、開口部に装飾用の布地を縫着して装飾
することもできる。

【００１６】金型で一体成形される手袋１は、成形する
ときに、ゴム状弾性体を貫通して多数の通気孔２を開口
する。通気孔２は、使用するときに手袋１の内部を換気
する。換気される手袋１の内部は、汗等の水分が換気さ
れて、蒸れが防止される。通気孔２は、例えば内径を１
〜５ｍｍφとし、手袋１の掌部と甲部とに、数個〜数十
個の通気孔２を開口する。

【００１７】図１に示す手袋１は、図示しないが、掌部
の表面に無数の凹凸を設けて、難スリップ性を改善して
いる。掌部に凹凸のある手袋１は、凹凸面によって、ゴ
ルフクラブのグリップに対するスリップをより効果的に
防止できる。掌部の凹凸は、金型の掌部成形面に凹凸を
設けて簡単に成形できる。

【００１８】さらに、合成樹脂で一体成形される手袋１
は、裁断された天然、あるいは合成皮革３をインサート
して製造することができる。インサートされる皮革３
は、射出成形する金型の成形室に仮止めし、注入される
合成樹脂に接着して手袋１の表面に固定される。図４に
示す手袋１は、甲部に皮革３をインサートしている。イ
ンサートされる皮革３は、手袋の甲部を綺麗に装飾す
る。

【００１９】ゴム状弾性体を一体成形する手袋１は、軟
質の合成樹脂に代わって、天然、あるいは合成のゴムも
使用できる。ゴムを一体成形する手袋１は、ペースト状
のゴム原料を手形の表面に所定の厚さに付着させてして
製造できる。手形に付着したゴムを乾燥、硬化、加硫し
て全体を一体成形して手袋１を製造できる。ペースト状
のゴムを手形の表面に付着させて製造する方法は、射出
成形と同様に、顔料を添加して綺麗に着色し、また、製
造後に表面に塗料を塗布し、あるいは、甲部の表面に布
地、皮革、ワッペン等を接着して装飾することができ
る。さらに、製造した後、刃物を使用し、ゴム状弾性体
を貫通して通気孔２を穿設する。

【００２０】

【発明の効果】本発明のスポーツ用の手袋は、ゴム状弾
性体でもって、掌部と甲部とまち部とを一体成形したも
のである。従来の手袋のように、皮革等のシート材を裁
断して縫製したものではなく、掌部と甲部とまち部との
境界に縫目がない。ゴム状弾性体で一体成形された手袋
は、全体を伸縮性に富むゴム状弾性体で成形しているの
で、皮革とは比較にならないほど優れた伸縮性がある。
このように、ゴム状弾性体の優れた伸縮性と、境界に縫
目がないことが相乗して、この発明の手袋は手のフィッ
ト感が著しく改善される。さらに、ゴルフクラブを握る
動きを手が動作しても、手にフィットする感じは変わら
ない。また、手袋を着用した手でゴルフクラブのグリッ
プを握るときには、手袋の甲部が柔軟に伸長し、まさに
手袋を着用しない素手に近い感覚で、ゴルフクラブのグ
リップを握ることができる。

【００２１】さらに、本発明の手袋は、従来の手袋のよ
うに、縫い目によって手袋が局部的に厚くなり、また、
局部的に伸縮性が変化することがなく、このことによっ
ても、手のフィット感は著しく向上する。

【００２２】さらにまた、この発明の手袋は、甲部と掌
部とまち部とをゴム状弾性体で一体成形しているので、
素材シートであるゴム状弾性体が優れた難スリップ特性
を有し、掌部に別の部材を接着することなく、全体を非
常に薄くして滑らないようにできる特長がある。また、
製造は、手袋を金型で一体的に成形し、あるいは、手形
の表面にゴム状弾性体をコーティングする等の方法で、
極めて能率よく安価に多量生産できる。手間のかかる縫
製作業を省略できるからである。

【００２３】さらにまた、この発明のスポーツ用の手袋
は、ゴム状弾性体を貫通して通気孔を開口し、あるいは
ゴム状弾性体に繊維材を混入するこによって蒸れを防止
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のゴルフ用の手袋の一例を示す正面図

【図２】図１に示すゴルフ用の手袋の背面図

【図３】図１に示すゴルフ用の手袋の指部の断面図

【図４】表面に皮革をインサートした本発明の一実施例
を示すゴルフ用の手袋の正面図

【符号の説明】

１…手袋 ２…通気孔 ３…皮革

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 伸縮性を有するゴム状弾性体でもって、
   甲部と掌部とまち部とが非縫着状態に一体成形されてお
   り、かつゴム状弾性体を貫通して通気孔(2)を穿設して
   いることを特徴とするスポーツ用の手袋。
2. 【請求項２】 ゴム状弾性体でもって、甲部と掌部とま
   ち部とが非縫着状態に一体成形されると共に、ゴム状弾
   性体の表面に裁断された皮革(3)がインサートされて接
   着されており、かつゴム状弾性体を貫通して通気孔(2)
   を穿設していることを特徴とするスポーツ用の手袋。
3. 【請求項３】 繊維材を充填したゴム状弾性体でもっ
   て、甲部と掌部とまち部とが非縫着状態に一体成形され
   ていることを特徴とするスポーツ用の手袋。