JPH0779971A - 超音波生体計測装置 - Google Patents

超音波生体計測装置

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JPH0779971A
JPH0779971A JP26034393A JP26034393A JPH0779971A JP H0779971 A JPH0779971 A JP H0779971A JP 26034393 A JP26034393 A JP 26034393A JP 26034393 A JP26034393 A JP 26034393A JP H0779971 A JPH0779971 A JP H0779971A
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JP26034393A
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Ryoji Murata
亮治 村田
Kenichi Kawabe
健一 川辺
Hiroaki Sato
宏明 佐藤
Hiroshi Kanai
浩 金井
Noritoshi Nakabachi
憲賢 中鉢
Yoshio Koiwa
喜郎 小岩
Yasuto Takeuchi
康人 竹内
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 単一の探触子によりドプラシフトも勘案した
高精度の体内微小振動測定を行う事で動脈硬化度などの
組織性状測定を行う超音波診断装置を実現する。 【構成】 1つの音響開口部(1)から異なる2つの方
向に送受信音線(2)、(3)、を設定することにより
対象界面(4)の異なる2か所について交点A、Bを求
め、それら各交点における該界面の微小振動を該交点か
らの反射波の位相推移およびドプラシフトに基づき観測
し、それら2点の微小振動の間の伝搬遅延を周波数領域
において求める事により該界面の生理的状態を評価す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は超音波診断装置を応用
した動脈硬化度計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超音波パルスエコー法により体表面から
組織内の界面、特に動脈壁の変位ないし振動を2地点に
て計測し、その拍動成分(脈波とも言う)の2地点間の
伝搬速度から動脈硬化度を評価する手法および装置は、
公知の物がある。しかるに従来の手法ないし装置では、
振動成分の計測にエコーのゼロクロス点の時間軸上での
相対変化をPLL(Phase Lock Loop)
を構成するなどの手法で観測して、エコー源の音線上で
の相対距離の変化を観測する事を介在手段としているた
め、観測できる振動成分の最高周波数が低く、目的とす
る伝搬遅延時間を精度良く計る事は難しかった。
【0003】即ち、従来方式では上記各関心ある2地点
からのエコーの各々の位相推移のみ観測し、そのドプラ
シフトは無視している。後述の如く当該計測を精度良く
行うためには位相推移のみならずドプラシフトも勘案せ
ねばならないので、その様な方式では精度を向上させる
事は出来ない。
【0004】また、従来方式では体表面上の異なる2地
点から組織内の観測対象界面の2地点を狙って超音波ビ
ーム(送受信音線)を設定しているので、探触子と観測
対象の組織界面との位置関係を一意に維持する事が困難
で、この理由からも正確な測定が困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】即ち、従来手法におい
ては上記観測対象界面上の2地点と探触子との位置関係
にあいまいな成分があり、また計測上該2地点からのエ
コーのドプラシフトが勘案されていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明においては体表面
上の1点から組織内の観測対象界面の2点を狙って超音
波ビームを設定し、また各点からのエコーの位相推移の
みならずドプラシフトも勘案して振動伝搬を測定するよ
うにする事で、本質的により精度が高い、信頼し得る組
織性状計測を行わんとするものである。
【0007】
【実施例】心拍に伴い駆出される血液は動脈系に伝搬す
る圧力波をもたらす。これを脈波と言い、その伝搬速度
は、血管壁のヤング率E、血管の半径R、壁厚h、血液
の密度ρを用いて(1)式の様に表される。この式をメ
ーンズ・コルテヴェークの式とも呼ぶ。
【0008】
【数1】
【0009】この式においてヤング率Eは物質の硬さを
現す尺度であり、また同じ材質で出来た管でも壁厚hと
管の半径Rの比h/Rが小さいと柔らかいと感じ、大き
いと硬いと感じるので、管の硬さはEh/Rで決まる。
即ち脈波の伝搬速度と血管の硬さには非常に密接な関係
があり、これにより脈波の伝搬速度を測定することによ
り動脈硬化の程度を評価、診断する事が出来る。
【0010】脈波の伝搬速度を測定するには心臓付近の
動脈壁上の2点A、Bの各々の微小 ドプラモード時における受信波形の受信間隔(Δt)と
時刻tでのドプラシフトを含む位相θtから次の式の様
に与えられる。ここでcは音速、ωは超音波の角周波
数である。
【0011】
【数2】
【0012】以上の様に測定したv(t)、v
(t)それぞれの速度時間波形からA点からB点への
伝達関数H(f)を求める。伝達関数H(f)は伝搬時
間をτとして、次の様に現される。
【0013】
【数3】
【0014】そこで伝達関数の位相項
【0015】
【数4】
【0016】の傾きは、
【0017】
【数5】
【0018】であるから、これより伝搬時間τA−B
は、
【0019】
【数6】
【0020】となる。従って脈波伝搬速度c は、伝
搬時間τA−B と2点間の距離DA−B より、
【0021】
【数7】
【0022】で与えられる(図2)。
【0023】以下に最も好ましい実施例の一構成例を述
べる。
【0024】汎用されるフェーズドアレイ方式の電子セ
クタスキャナを基本要素として、これをBモードおよび
パルスドプラモードで動作する様に制御系を構成する。
特にパルスドプラのモードでは任意の独立した2つの音
線に時分割的に同時にアクセス出来る様に構成する。こ
のような技術は公知汎用のものであるので詳細な説明は
省略するが、具体例を模式的に示すと図3の様にフェー
ズドアレイ型探触子の結合される送受信遅延制御回路
(5)の音線制御のためのアドレスレジスタ(6)にB
モードおよび2つの独立したパルスドプラモードの制御
情報を入力する様に構成し、該制御情報を図示せぬ外付
の制御装置により与える。
【0025】図4および図5は2つの音線に同時平行的
にドプラ検査を行う手続きおよびジオメトリーを示した
もので、これにおいて図示の如く、送受信はθ、およ
びθの各方向に交互に行われ、動脈壁上の関心点の各
々について角度θおよびθにより補正された時系列
信号として速度信号v(t)、v(t)を得る。関
心点の設定やθおよびθの測定は同時に映像化され
るBモード像(図示省略)を頼りに行うことができる。
【0026】以上に述べた方法で、被検者を健康な23
才の男性として、心臓近傍の大動脈壁上のお互いに8m
m離れた2点A、Bの微小振動を測定した。図5にその
測定結果を同時に採取した心電図と共に示す。v
(t)、v(t)は5拍に渡ってほぼ再現性ある波
形として得られている。AからBへの伝達関数H(f)
とコヒーレンス関数γ(f)とを計算した。その結果
を図6に示す。図6aの如く約130Hzまでの周波数
帯域においてコヒーレンスが0.8以上あり、伝達関数
の位相項 H(f)(図6b)において130Hzまで
の帯域で最少二乗法により得られた傾きから伝搬時間τ
A−B は1.65mSと算出された。これよりD
A−B の値に鑑みて脈波伝搬速度は2.4m/Se
c.と求まった。
【0027】次に同じ被検者の腹部大動脈壁上の16m
m離れた2点を同様に測定した。測定結果を図7に示
す。ここでも5泊にわたって再現性ある速度波形が得ら
れている。A〜B間の伝搬時間を計算するに当り、大動
脈弁の閉鎖の時刻における長さ64mSの区間T での
2つの波形の間の伝達関数H(f)とコヒーレンス関数
γ(f)を計算した。その結果、図8aに示す様に、
約70Hzまでの区間においてコヒーレンスが0.8以
上あり、伝達関数の位相項 H(f)(図8b)から7
0Hzまでの帯域において最少二乗法で求めた傾きから
伝班時間τA−Bは1.33mSと算出された。従っ
て、DA−B の値16mmに鑑みて脈波伝搬速度は
6.0m/Sec.と求まった。
【0028】以上の2例の結果は、脈波伝搬速度は末梢
に行くに従って大となる、という事実を正しく表してい
る。また心臓近傍と腹部ではコヒーレンスが倍ほど異な
るが、これは末梢へ行くほど高周波成分が減衰している
事を表していると考えられる。
【0029】前記図3の如き構成を用いて図4の様な手
続きによりA点とB点を交互に連続的に入れ替えつつ検
査する動作様式のほかに、パルスドプラの技法として知
られている更に高度な多重度の動作、例えば開口の空間
分割や送受信ビームフォーマーにおける遅延分布の設定
の多重化、即ちビームスプリッタの手法により同時に2
本ないし多数本の音線に時分割的ではない送受信をする
技術も応用できる。後者の場合探触子は1つでも送受信
系が等価的に2組ないし多数組必要になるが、当該用途
においては方位分解能をやや落しても実用上問題ない場
合が多いので、既存のフェーズドアレイシステムの送受
信器群とビームフォーマーのタップ設定を半分づつ用い
ればこの動作モードが実現出来る。この場合、A、B各
点に実行されるパルス繰り返しレートは前記の時分割式
の倍になるので、さらに最高検査周波数を上昇させる事
が出来、両地点間の微小振動の伝達関数としてより高い
周波数まで計測でき、全体の計測精度の向上がもたらさ
れる。しかし時分割交互送受信式を採用するか、空間分
割同時送受信式を採用するかは本発明の実施上の自由度
の内である。
【0030】
【発明の効果】以上の如く本件発明においては従来2本
の探触子を必要とした脈波伝搬速度の測定が高々1本で
済み、また計測上エコーのドプラシフトも正しく反映さ
れているので位置設定誤差や計算誤差の点で従来方式よ
り格段に有利である。本方式により初めて動脈壁の振動
伝達関数に基づく動脈硬化度の測定ないし評価が意味あ
る精度で実施出来る様になったので、臨床上も産業上も
益する所大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】大動脈壁上の2点の微小振動速度の測定を説明
する図である。
【図2】脈波の伝搬速度の算出方法を説明する図であ
る。
【図3】超音波ビームを2方向に出して大動脈壁上の2
点A,Bの微小振動を測定する模式図である。
【図4】2つのビームの送受信波形と微小振動速度の算
出方法の説明の図である。
【図5】心臓近傍の大動脈の壁上の2点A、Bにおける
微小振動速度波形を示す。 (a)心電図 (b)点Aにおける微小振動速度波形v(t) (c)点Bにおける微小振動速度波形v(t)
【図6】心臓近傍の大動脈における脈波伝搬速度の測定
の様子を示す図である。 (a)AB間のコヒーレンス関数γ(f) (b)伝達関数の位相項 H(f)
【図7】腹部大動脈の壁上の2点A、Bにおける微小振
動速度波形を示す。 (a)心電図 (b)点Aにおける微小振動速度波形v(t) (c)点Bにおける微小振動速度波形v(t)
【図8】(a)AB間のコヒーレンス関数γ(f) (b)伝達関数の位相項 H(f)
【符号の説明】
1 音響開口部 2 送受信音線A 3 送受信音線B 4 対象界面(動脈の壁) 5 送受信遅延制御回路 6 アドレスレジスタ 7 フェーズドアレイ型探触子
【数8】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金井 浩 仙台市青葉区荒巻字青葉(番地なし) 東 北大学工学部電気工学科内 (72)発明者 中鉢 憲賢 仙台市青葉区荒巻字青葉(番地なし) 東 北大学工学部電気工学科内 (72)発明者 小岩 喜郎 仙台市青葉区星陵町2番地の1 東北大学 医学部第一内科内 (72)発明者 竹内 康人 八王子市横川町507番地の8

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体組織界面の微小振動の伝搬特性に基
    づき該界面の生理的状態を評価する超音波生体計測装置
    であって、1つの音響開口部(1)から異なる2つの方
    向に送受信音線(2)、(3)を設定することにより対
    象界面(4)の異なる2か所について交点A,Bを求
    め、それら各交点における該界面の微小振動を該交点か
    らの反射波の位相推移およびドプラシフトに基づき観測
    し、それら2点の微小振動の間の伝搬遅延を周波数領域
    において求める事により該界面の生理的状態を評価する
    如く構成された事を特徴とする、超音波生体計測装置。
  2. 【請求項2】 フェーズドアレイ方式により該1つの開
    口部から異なる2つの方向に送受信音線を設定する事を
    特徴とする、特許請求範囲第1項に記載の超音波生体計
    測装置。
  3. 【請求項3】 該1つの開口部から異なる2つの方向に
    設定された送受信音線を時分割的に交互に送受信する事
    を特徴とする、特許請求範囲第1項および第2項に記載
    の超音波生体計測装置。
  4. 【請求項4】 該1つの開口部から異なる2つの方向に
    設定された送受信音線を空間分割的に同時に送受信する
    事を特徴とする、特許請求範囲第1項および第2項に記
    載の超音波生体計測装置。
JP26034393A 1993-09-09 1993-09-09 超音波生体計測装置 Pending JPH0779971A (ja)

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