JPH0777505A - 表面分析法 - Google Patents

表面分析法

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JPH0777505A
JPH0777505A JP5246463A JP24646393A JPH0777505A JP H0777505 A JPH0777505 A JP H0777505A JP 5246463 A JP5246463 A JP 5246463A JP 24646393 A JP24646393 A JP 24646393A JP H0777505 A JPH0777505 A JP H0777505A
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Toshimoto Takatsuka
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 素地部上に存在する熱分解性の微小領
域をオージェ電子分光分析により分析する方法であっ
て、該微小領域の熱分解を引き起こさない照射電流密度
の電子線をもって該微小領域とその周囲の素地部を照射
し、しかる後に電子線ビーム径を絞り該微小領域のみに
電子線照射を行なってオージェ電子分光分析を行なうこ
とを特徴とする方法。 【効果】 本発明によれば、シリコンウェハ上の
パーティクルなど熱分解し易いため従来オージェ電子分
光分析法の適用が困難であった微小片の元素分析が行な
うことができる。これは、上記微小片上に導電性被膜が
形成されるためと考えられるが、導電性被膜の形成それ
自体も通常の走査型オージェ電子顕微鏡を用いて行なう
ことができるため、上記被膜形成から試料の元素分析に
至る過程をすべて顕微鏡内でその操作により行なうこと
が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オージェ電子分光分析
法(AES)を用いた表面分析方法、より具体的には、
材料表面上に存在する微小異物の分析方法に関する。本
発明は、例えば、シリコンウェハ上に存するパーティク
ルの成分分析等に特に有用である。
【0002】
【従来技術】オージェ電子分光分析法は、固体材料表面
の化学組成についての情報を得る手段として極めて有用
である。その原理・構成は周知の通りであるが、簡単に
述べれば、以下の通りである。まず、材料に電子線また
はX線を照射して表面付近の原子の内殻軌道に空きをつ
くる。空いた軌道は、より外側の軌道から電子が「落ち
て」くることによって埋められるが、この際、2つの軌
道のエネルギーの差が原子外に放出される。エネルギー
は光子により放出される場合と原子内の他の電子の放出
による場合とがあり、後者により放出される電子がオー
ジェ電子である。材料表面の比較的深部の原子から放出
されたオージェ電子は固体内の非弾性散乱によってエネ
ルギーを失い材料表面から脱出できないが、表面に近い
原子から放出されたオージェ電子の一部は材料表面から
出てくる。こうした電子の運動エネルギー分布はオージ
ェ電子を放出した原子の種類についての情報を含んでい
る。オージェ電子分光分析法は、これを測定・解析する
ことにより表面付近に存在する原子についての情報を得
る方法である。
【0003】上記のように、オージェ電子分光分析法に
おいては分析対象原子の励起は電子線またはX線により
行なう。電子線は制御が容易で被照射部を絞り込むこと
が比較的簡単であるため、細束電子線を用いて径が0.
数μm程度、表面からの深さが数〜数十オングストロー
ムまでの微小領域の分析をすることが可能である。この
ように空間分解能が良いことから、電子線走査機構を組
み込んだ走査型オージェ電子顕微鏡(SAM)も考案・
市販されており、薄膜やメッキ膜、シリコンウェハ表面
の検査・研究の重要な手段となってきている。
【0004】しかしながら、SAMによる分析には大き
な問題点が存在する。すなわち、オージェ電子等材料表
面から脱出する電子は数%にも満たず、電子の大部分は
試料に捕捉され電流となって試料内を流れるため被照射
部の導電性が低い場合には著しい温度上昇を招くのであ
る。
【0005】例えば、シリコンウェハの分析では、ウェ
ハ表面に存在する微小異物(パーティクル)の元素分析
がウェハの汚染原因やウェハ洗浄の効果等を知る上で重
要である。ところが、かかるパーティクルは一般に有機
物、酸化物あるいはハロゲン化物など熱分解しやすい物
質を含有しており、また、ウェハと比較して導電性が低
い。このため、電子線をパーティクル上に絞ってSAM
分析を行なおうとすると、照射エネルギーの大部分が熱
に転化して被照射部の局所的温度上昇を引き起こし、生
じた高温によってパーティクル中の熱分解性物質が数秒
で分解・蒸発してしまい十分な測定データが得られな
い。
【0006】電子線照射による試料の損失を避けるため
には、電子線の入射電流を小さくし、さらに電子線照射
領域を大きくすればよいと考えられる。実際に、このよ
うにすればパーティクルの蒸発を招くことなく分析する
ことができる。しかし、この場合、素地部の情報量が大
きいためパーティクルについての情報が埋没してしま
い、結局、パーティクルの成分元素を明らかにすること
ができない。
【0007】
【解決しようとする課題】このように、試料上に存在す
る低導電性あるいは熱分解性の微小領域ないし微小片
を、電子線照射による試料損失を招くことなくSAMに
より分析する方法は未だ実現されておらず、かかる方法
を提供することが本発明の目的である。
【0008】
【課題解決の手段】すなわち、本発明は、以下の表面分
析方法を提供する。 (1)素地部上に存在する熱分解性の微小領域をオージ
ェ電子分光分析により分析する方法であって、該微小領
域の熱分解を引き起こさない照射電流密度の電子線をも
って該微小領域とその周囲の素地部を照射し、しかる後
に電子線ビーム径を絞り該微小領域のみに電子線照射を
行なってオージェ電子分光分析を行なうことを特徴とす
る方法。 (2)素地部がシリコンウェハ表面であり、微小領域が
有機物の異物表面である上記(1)に記載の方法。 (3)第一段階の電子線照射が、分析すべき微小領域の
10〜20倍の領域に対して行なわれる上記(2)に記
載の方法。
【0009】本発明は、素地部上に存在する熱分解性の
微小領域をオージェ電子分光分析の対象とする。かかる
試料の典型的な例としては、シリコンウェハ表面上に存
在する有機物の異物が挙げられる。素地部としてはこの
他に、シリコン以外の各種半導体表面、各種の薄膜やメ
ッキ層等も含まれ、分析対象とする微小領域は上記異物
のように素地部表面に独立して存在するものの他、素地
部表面を形成する組成等の異なる微小領域であってもよ
い。
【0010】本発明においては、まず、上記の微小領域
とその周囲の素地部を含む領域に対して電子線の照射を
行なう。電子線の照射電流密度(本明細書では「被照射
部単位面積が受ける入射電流量」の意味で用いる)は該
微小領域に熱分解等の損傷が発生しない値を上限とす
る。例えば、シリコンウェハの最終製造工程後の品質検
査における分析などでは、50nA/μmである。照
射電流密度の下限値は、実用的には2nA/μmであ
る。また、微小領域とともに電子線を照射する素地部の
広がりとしては、該微小領域の10〜20倍が適当であ
る。これより狭い範囲では本発明の効果が得られない。
また、広すぎる場合には、後述の炭素薄膜の形成に時間
を要する。照射継続時間は試料の種類や状態にもよる
が、例えば、シリコンウェハを試料とする場合には40
〜60分程度である。照射時間が短すぎると後述の炭素
膜の形成が不十分で本発明の効果が得られない。また、
照射時間が長すぎると後述の炭素膜が厚く成長し過ぎて
却ってオージェ分光分析の妨げになるおそれがある。
【0011】かかる電子線照射は、常法にしたがって走
査型オージェ電子顕微鏡に試料を固定し、所定の照射エ
ネルギーとなるように電子線ビームを調整し、該ビーム
を上記走査範囲に走査させる。
【0012】上記広範囲照射を行なった後、電子線ビー
ムを絞り、本来の分析対象である上記微小領域に限定し
て電子線の照射を行なう。このときの照射電流密度及び
照射継続時間はオージェ電子分光分析法の常法にしたが
い決定すればよい。例えば、シリコンウェハ上のパーテ
ィクルを分析対象とする場合には20nA/μm程度
で5〜10分程度の照射を行なう。なお、測定試料の前
処理や上記以外の測定条件は、走査型オージェ電子顕微
鏡における表面分析の常法に従って行なうことができ
る。
【0013】本発明の効果発現の機構の詳細は不明であ
るが、次のように考えることができる。すなわち、試料
に電子線を照射すると、その表面には炭素の薄い膜が形
成される。かかる薄膜は、測定前の清浄化処理で除去で
きなかった試料表面上または測定装置内に残存する汚染
有機物が電子線によって分解して蒸着したものである。
【0014】本発明における第一段階の照射では、分析
対象の微小領域とその周囲の素地部が電子線照射され
る。ここでは、被照射領域の表面全体が上記炭素薄膜で
覆われる。また、照射エネルギー密度が低く導電性の比
較的高い素地部にも広範囲に亘って照射が行なわれるた
め、入射した電子が試料内を流れることによる抵抗加熱
はそれ程大きくない。第一段階の照射終了後、本来の分
析対象である微小領域に限定して電子線が照射される
が、表面が炭素薄膜で覆われ、かつ、炭素薄膜は素地部
上にも連続して広がっているため、被照射部に入射した
電子のうち表面から脱出できなかったものは、この導電
性の高い炭素薄膜を流れる。このため、上記微小領域に
電流が集中することが避けられ、従来の方法で生じたよ
うな局所的温度上昇が防がれることになる。
【0015】なお、炭素薄膜は電子線の照射を継続する
ことによって厚みを増す。したがって、上記第一段階の
照射継続時間が長い程、電流を分散する効果が大きいと
言えるが、過度に厚い炭素薄膜層は当然ながらオージェ
電子分光分析に際しての誤差ないし妨害要因ともなる。
しかし、本来測定に適さない程度の清浄度の試料を用い
るか、上記第一段階照射を過度に長く継続しない限り、
本発明の効果を妨げる程度に厚い炭素薄膜層が成長する
ことない。この照射継続時間は、上記のシリコンウェハ
における例示が参考になるであろう。
【0016】
【発明の具体的開示】
実施例 図4に示すとおり、顕微鏡観察により径1μ程度のパー
ティクル(12)が表面に認められたシリコンウェハ
(10)を走査型オージェ電子顕微鏡(パーキン・エル
マー社 SAM660)の測定部に固定し、真空度5×
10-10 Torr、ビーム径1μφ(電子線照射密度:10
nA/μm)で、上記パーティクルを含む25μm
の部分(11)について約40分間電子線走査を行なっ
た。次いで、ビーム径を0.5 μφに絞って電子線照射密
度を20nA/μm程度とし、上記パーティクルに集
中した電子線照射を約5分間行なった。これによるオー
ジェ電子分光分析結果を図1に示す。なお、対照例とし
て素地部の分析も行なった。この結果は図2に示す。図
1および図2に示されるようにパーティクル部の測定で
はS及びKによるピークが検出された。これらはシリコ
ンウェハ部の測定では検出されないものであり、本発明
によってパーティクルの分析が達成されたことを示す。
なお、以上の測定後、上記第一段階の被照射部を含む範
囲について電子線走査を行ない二次電子像を得た。結果
を図4に示す。第一段階の被照射部には表面性状の変化
が観察され、炭素薄膜層が形成されていることがわか
る。また、測定後、シリコン表面を顕微鏡観察したとこ
ろパーティクルが残存していることが確認された。
【0017】比較例 実施例における第一段階照射を行なわなかったほかは実
施例と同様にしてシリコンウェハ上のパーティクルの分
析を行なった。結果を図3に示す。図に示されるように
パーティクル部の測定ではSiとOしか検出されない。
測定後、表面を顕微鏡観察したところパーティクルは蒸
発して存在しなかった。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、シリコンウェハ上のパ
ーティクルなど熱分解し易いため従来オージェ電子分光
分析法の適用が困難であった微小片の元素分析が行なう
ことができる。これは、上記微小片上に導電性被膜が形
成されるためと考えられるが、導電性被膜の形成それ自
体も通常の走査型オージェ電子顕微鏡を用いて行なうこ
とができるため、上記被膜形成から試料の元素分析に至
る過程をすべて顕微鏡内でその操作により行なうことが
可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるシリコンウェハ上パーティクルの
オージェ電子分光分析結果を示すグラフ。
【図2】図1の測定を行なったシリコンウェハ表面のオ
ージェ電子分光分析結果を示すグラフ。
【図3】従来法によるシリコンウェハ上パーティクルの
オージェ電子分光分析結果を示すグラフ。
【図4】図1の測定を行なったシリコンウェハ表面の二
次電子像を示す模式図。
【符号の説明】
10:シリコンウェハ 11:炭素膜形成部 12:パーティクル

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 素地部上に存在する熱分解性の微小領域
    をオージェ電子分光分析により分析する方法であって、
    該微小領域の熱分解を引き起こさない照射電流密度の電
    子線をもって該微小領域とその周囲の素地部を照射し、
    しかる後に電子線ビーム径を絞り該微小領域のみに電子
    線照射を行なってオージェ電子分光分析を行なうことを
    特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 素地部がシリコンウェハ表面であり、微
    小領域が有機質の異物である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 第一段階の電子線照射が、分析すべき微
    小領域の10〜20倍の領域に対して行なわれる請求項
    2に記載の方法。
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