JPH0774708A - データ圧縮を用いたランダムノイズのフィルタリング装置 - Google Patents

データ圧縮を用いたランダムノイズのフィルタリング装置

Info

Publication number
JPH0774708A
JPH0774708A JP6057382A JP5738294A JPH0774708A JP H0774708 A JPH0774708 A JP H0774708A JP 6057382 A JP6057382 A JP 6057382A JP 5738294 A JP5738294 A JP 5738294A JP H0774708 A JPH0774708 A JP H0774708A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
signal
processor
noise
compression
tolerance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6057382A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4001935B2 (ja
Inventor
Balas K Natarajan
バラス・ケイ・ナタラジャン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HP Inc
Original Assignee
Hewlett Packard Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hewlett Packard Co filed Critical Hewlett Packard Co
Publication of JPH0774708A publication Critical patent/JPH0774708A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4001935B2 publication Critical patent/JP4001935B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04BTRANSMISSION
    • H04B1/00Details of transmission systems, not covered by a single one of groups H04B3/00 - H04B13/00; Details of transmission systems not characterised by the medium used for transmission
    • H04B1/62Details of transmission systems, not covered by a single one of groups H04B3/00 - H04B13/00; Details of transmission systems not characterised by the medium used for transmission for providing a predistortion of the signal in the transmitter and corresponding correction in the receiver, e.g. for improving the signal/noise ratio

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Computer Networks & Wireless Communication (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Reduction Or Emphasis Of Bandwidth Of Signals (AREA)
  • Transmission Systems Not Characterized By The Medium Used For Transmission (AREA)
  • Noise Elimination (AREA)
  • Analogue/Digital Conversion (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ランタ゛ムノイス゛を低減させる非スヘ゜クトルフィルタリンク゛装
置及び方法の提供 【構成】 非ランタ゛ム無ノイス゛信号がランタ゛ムノイス゛で乱される装
置では2信号間の差が測定されまたそれら信号に関する
複雑さの尺度が選択される。ノイス゛信号の一連の離散値に
基づき圧縮フ゜ロセッサ(以下P)が有ノイス゛信号を表す一連の圧
縮信号を生成し、その各々は有ノイス゛信号の各離散値の対
応する誤差または損失公差内にある。最適化Pは、様々
な損失公差値を圧縮Pに加え、対応する圧縮信号の相対
的複雑さを評価し、最適ニーホ゜イント損失公差を決定し、そ
れ未満では圧縮信号の複雑さが急激に上昇する。有ノイス゛
信号を連続的にフィルタリンク゛するため、圧縮Pは前記最適ニーホ
゜イント損失公差を用いて有ノイス゛信号を圧縮する。最適圧縮
信号が圧縮解除Pに送られ、有ノイス゛信号に対応するフィルタリ
ンク゛済の信号が生成される。一実施例では最適化Pは有ノイ
ス゛信号のサンフ゜リンク゛率を制御し、フィルタリンク゛済信号の残留損
失の削減が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、信号中のランダムノイ
ズを低減させるための非スペクトルフィルタリング装置
および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】何らかの電気信号をある装置から別の装
置へと転送しなければならない最近のデジタルおよびア
ナログ装置のほとんど全てはノイズに悩まされている。
できるだけ「空電」をなくすようにラジオを同調させよ
うとするカードライバ、および、遠くの衛星による弱い
送信から惑星の明瞭な画像を形成しようとする科学者
は、その両者ともが、獲得される所望信号の量をその信
号に伴う不所望のノイズの量に対して増大させようと試
みていることになる。ノイズによる影響を低減させるこ
とが極めて必要とされているため、非常に多数のノイズ
低減技術および装置が存在する。
【0003】ノイズのフィルタリングに対する従来のア
プローチは、スペクトルであり、即ち、所望信号が有し
ていることが期待される周波数を発見し、次いでそれ以
外の全周波数を除去するフィルタを設計する、というス
テップに基づくものである。広義において、ラジオは、
スペクトルフィルタの一種であり(極めて高度なもので
はあるが)、所定の狭周波数帯域内の信号(選択したラ
ジオ局に対応する)を通過させて増幅し、その選択した
周波数に「十分に近い」周波数でない他の信号(他のラ
ジオ局またはノイズに対応する)をフィルタリングする
装置の一般的な例となるものである。
【0004】スペクトルフィルタは、抵抗器、コンデン
サ、およびコイル等の通常の電気部品による単純なネッ
トワークから、光ファイバケーブルまたは衛星を介した
長距離電話信号の高速変換および伝送に用いられる装置
等の複雑なデジタル装置にまで及ぶものである。Oppenh
eim,A.V.およびSchafer,R.による「Digital Signal Pro
cessing」(Prentice Hall, Englewood Cliffs, New Je
rsey (1974))は、最近のデジタル信号処理技術につい
て解説した周知のテキストの一例に過ぎない。
【0005】デジタル形態で処理されるほとんどの信号
は、始めはアナログ信号である。例えば、オーケストラ
により演奏される音楽には休止がある得るが、その大部
分の時間では何らかの連続した音が生じている。その連
続音をCDプレーヤ等のデジタル回路による操作に適し
た形態に変換するために、既知の技術を適用して連続し
た音信号の「サンプリング」が行われ、一連の数値が得
られる。次いで、その一連の数値に対して数値操作を適
用することにより、コンデンサおよびコイルといった物
理的アナログ装置を用いて得られるのと同様の、または
それ以上に良好な結果を得ることができる。
【0006】デジタルフィルタリングに対する従来のス
ペクトル的なアプローチでは、ランダムノイズは無限に
広い周波数範囲にわたり分布しているが、ノイズの無い
(以下「無ノイズ」と称す)信号は有限の周波数範囲に
集中している、という事実を利用したものである。ノイ
ズのある(以下「有ノイズ」と称す)信号を高速でサン
プリングし、その無ノイズ信号の周波数範囲外の全周波
数にフィルタリングを行い、これにより、その無ノイズ
信号の周波数範囲外にあるノイズ強度をフィルタリング
する。サンプリング率を上げることにより、更に大量の
ノイズを抑制することが可能となる。
【0007】無ノイズ信号自体が、広い周波数範囲また
は無限の周波数範囲にわたって分布している場合、従来
のフィルタで満足のゆく程度にフィルタリングを実行す
るためには極めて高いサンプリング率が必要となる。更
に、無ノイズ信号は、他の何らかの形態(非スペクトル
ではあるが)で凝縮して表現可能なものである。こうし
た非スペクトル形態で働くフィルタを作ることができれ
ば、低サンプリング率で十分に満足のゆく性能を得るこ
とが可能となるが、こうしたフィルタの設計または分析
については従来技術ではほとんど知られていない。実際
に、関連文献のほとんどは、線形フィルタ、即ち、出力
が入力に対して線形関係を有し、一定の係数による入力
のスケーリングによりその出力が前記と同じ係数により
スケーリングされるようになっているフィルタについて
論じたものに限られている。スペクトルフィルタは線形
フィルタであり、周知のように、線形フィルタは、非線
形フィルタよりも狭帯域でパワーが弱い種類のフィルタ
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の1つの目的
は、非線形ノイズフィルタリング装置を設計し、実現す
るための方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、広範な
種類の信号にわたって有効なものであり、サンプリング
率およびフィルタリングの有効性の同時制御を可能にす
るためにユーザにより行うことができる選択を含むもの
である。サンプリング率に対する制御は、データ圧縮と
ノイズフィルタリングとの結合に関する本発明者の発見
により可能となり、これは、データ圧縮装置を特定用途
に適応させるための周知の技術に関連して用いられる。
【0010】本発明は、「オッカムの剃刀(Occam's Raz
or)」の原理に従うデータ圧縮を用いて信号中のランダ
ムノイズを低減させる一般的な方法および装置を提供す
る。14世紀のスコラ哲学者であるWilliam of Occamは、
「Entia non sunt multiplicanda sine necessitate」
(「存在物を不必要に増やすべきではない」)という格
言を表した。この格言は、通常は、「観測された現象の
説明は、その説明が単純であるほどそれが正確である確
率が高い」という意味に解釈されている。アルベルトア
インシュタインはこれを「万物は、それ以上単純になら
ないものを除き、できる限り単純化されるべきである」
と言い替えた。
【0011】本発明は、ランダムノイズにより改悪され
た所望信号を含む有ノイズ信号にフィルタリングを行う
装置を提供する。この装置は圧縮プロセッサを具備して
いる。この圧縮プロセッサは、有ノイズ信号の離散的サ
ンプルを非圧縮入力として有し、また、ユーザにより定
義された測度(metric)により測定された可調整誤差公差
を超えて非圧縮入力と異なることはなく、および所定の
複雑さの尺度では非圧縮入力より小さい、近似信号の圧
縮表現を、圧縮出力として有するものである。本発明は
また圧縮解除プロセッサも含むものである。この圧縮解
除プロセッサは、近似信号の圧縮表現を圧縮入力とし、
近似信号を圧縮解除出力として生成するものである。
【0012】また、最適化プロセッサも含まれる。この
最適化プロセッサは、近似信号の圧縮表現を受信するた
めに圧縮プロセッサの圧縮出力に接続された最適化入力
を有し、また、圧縮プロセッサに可調整誤差公差を伝達
するために圧縮プロセッサに接続された公差出力を有し
ている。最適化プロセッサは、異なる値の可調整誤差公
差を圧縮手段に繰り返し加え、それに対応する近似信号
の圧縮表現を受信して、各誤差公差値毎に得られる圧縮
表現の複雑さ値を所定の複雑さの尺度で計算し、次いで
その複雑さ値により、ニーポイント公差値が選択され
る。
【0013】別の実施例では、本発明は有ノイズ信号の
離散的サンプルを格納する記憶装置を含む。
【0014】更に別の実施例では、本発明は、有ノイズ
信号を入力として有し、離散的値を出力として生成する
サンプリング回路を含む。この実施例の場合、そのサン
プリング回路には最適化プロセッサが接続されており、
この最適化プロセッサがサンプリング回路のサンプリン
グ率を制御する。
【0015】前記圧縮プロセッサと、前記圧縮解除プロ
セッサと、前記最適化プロセッサとは単一ユニットであ
ることが望ましい。
【0016】本発明による有ノイズ信号のフィルタリン
グ方法は、誤差測度および複雑さ測度を選択するステッ
プを含む。次いで、複数の誤差公差値のそれぞれについ
て、該装置は以下の各ステップ、即ち、1)誤差公差値の
うちの1つを選択し、2)圧縮プロセッサにおいて、前記
の選択された誤差測度に従い、前記の選択された誤差公
差値を超えて有ノイズ信号と異なることのないよう圧縮
データ信号を生成し、3)最適化プロセッサにおいて、前
記の生成された各圧縮データ信号毎に、前記の選択され
た複雑さ測度を用いて対応する複雑さ値を計算する、と
いうステップを行う。次いで、ニーポイント誤差公差値
が、複雑さ値が最大加速度を有することになる値として
決定される。次いで、圧縮プロセッサの実行誤差公差率
が、前記ニーポイント誤差公差値に等しい値にセットさ
れる。その後、圧縮プロセッサにおいて前記実行誤差公
差率で有ノイズ信号の圧縮を行い、圧縮解除プロセッサ
においてその圧縮解除を行うことにより、有ノイズ信号
のフィルタリングが行われる。
【0017】ニーポイント(複雑さ値の最大加速度)を
決定するステップは、幾つかの方法で実施可能であり、
用途により決まる。好適な方法は、1)複雑さ値と誤差公
差値との関係の双一次近似を生成し、その双一次近似の
区切り点に対応する誤差公差値をニーポイント誤差公差
値として選択し、2)複雑さ/誤差公差曲線の二次導関数
が最大になる点を決定し、3)最適化プロセッサにおい
て、複数の異なるサンプリング率の有ノイズ信号を生成
し、その複数のサンプリング率の各々について、様々な
各誤差公差値毎に(圧縮プロセッサにより生成される)
圧縮信号に関する複雑さ値を決定する、というステップ
を含み、次いで、異なる複雑さ/誤差公差曲線がユーザ
定義しきい値を超える量だけ発散する点として、ニーポ
イントが選択される。
【0018】
【実施例】一般に、ランダムノイズは、それにより乱さ
れることになる無ノイズ信号より複雑なものである。ま
た、周知のように、ランダムノイズは、その圧縮が困難
であり、その一方、規則正しい情報は、その圧縮は困難
ではない。これら観測結果の本発明での利用法を理解す
るためには、「信号」、「複雑さ」、「ノイズ」という
用語の定義を理解するのが有用である。「信号」および
「ノイズ」という用語に関し、これら概念は、従来の他
のフィルタリング装置においても同じ意味かまたは類似
した意味で用いられている。従って、無ノイズ入力信号
は、受信した信号から抽出したいと思う所望の情報スト
リームであり、ノイズは、所望の情報を有さず、除去し
たいと思う部分である。
【0019】ここで、ラジオの例に戻る。信号は聴きた
いと思う音楽であり、ノイズは排除したいと思う空電で
ある。勿論、軽いオーケストラ音楽を好む者には、ハー
ドロックミュージックには、望ましい「信号」がほとん
ど含まれておらず、望ましくない「ノイズ」が極めて多
く含まれているように思えるのも無理はない。しかし、
正確な録音という観点からすると、例えばコンパクトデ
ィスクの場合、ロックミュージシャン自身および彼らの
楽器により生成される全ての音は所望の信号とみなすこ
とができ、空電その他のランダムな外乱がノイズという
ことになる。
【0020】従って、別様に示さない限り、本発明の意
図するところでは、所望の信号とは、その正確な特性が
未知であり、何らかの信号源によりアナログまたはデジ
タル形式で生成され、その特性の検査または更なる処理
が所望される、情報である。従って、ノイズとは、所望
信号の特性に関する情報を有さない受信信号の部分であ
る。
【0021】以下で詳述するように、複雑さとは、本発
明のユーザがその用途に基づいて選択する尺度である。
概して言えば、指定された公差に関する信号の複雑さC
は、その公差内での信号の表現に伴う困難さの尺度であ
る。複雑さの尺度の考え得る選択の例としては、1)信号
を記憶するのに必要なコンピュータメモリの量2)スペク
トル分解で信号を表現するのに必要な周波数成分の数3)
区分的線形形式で信号を表現するのに必要な頂点の数が
挙げられる。信号、ノイズ、および複雑さの概念につい
ては、図1に示されている。
【0022】図1では、例示を単純化するために、再構
成を所望する無ノイズ信号f0(t)が振幅A0を有する一
定の直流信号であると仮定する。こうした直流信号は、
ビデオカメラの較正のために既知の一様なカラー面を有
する表面に向けられたビデオカメラの場合のように、多
くの一般的な用途において発生する可能性がある。こう
した用途において、所望の出力は、較正表面に関する不
変のビデオ特性に対応したものとなるが、ビデオカメラ
により生成される実際の信号は、内部および外部の電気
的干渉によるノイズのために改悪される可能性がある。
【0023】無ノイズ信号f0(t)がランダムノイズν
(t)により改悪されて、合成入力信号即ち有ノイズ入力
信号f(t)=f0(t)+ν(t)が生成される。換言すれ
ば、有ノイズ信号f(t)は、フィルタリング装置への入
力信号を形成するものであり、そのフィルタリング装置
は、ノイズν(t)を除去して無ノイズ信号(振幅A0
直流信号)を可能な限り正確に保つことを目的とするも
のである。
【0024】図1に示すノイズは、実際の用途で見受け
られるほとんどのノイズ源に共通する2つの特性を有し
ている。第1に、そのノイズは、基礎となる信号よりは
るかに不規則的なものであり、即ち一層急速に変化する
ものであるので、高周波成分を一層多く有する傾向にあ
る。これは、先行技術によるスペクトルフィルタリング
装置により利用されている特性である。
【0025】第2に、ノイズは有限の強度を有するもの
である。従って、何らかの強度値bが存在し、この場
合、ノイズの振幅は2b単位幅以下の帯域内で変動する
ことになる。一様に分布したノイズは、自明のこととし
て、こうした考え得る最大値および最小値を有してい
る。しかし、本発明は、有限の強度を有するノイズのフ
ィルタリングに限定されるものではない。有限強度bの
仮定は、本発明による方法の正確な理論的分析を容易に
するためのものに過ぎず、実際の用途では、ノイズの分
布について全く分からないこともあり得るが、そのよう
な場合でも本発明を用いることが可能である。
【0026】一例として、本発明は、正規確率分布即ち
ガウス確率分布を有するノイズをフィルタリングするた
めに用いることが可能であるが、こうしたノイズは、理
論的最大値または最小値を有していない(勿論、ノイズ
を生成する物理的装置または現象により、理論的には無
限の分布に対して実際上の物理的限界が設定される)。
しかし、それ以外の場合であっても、単に、最大ノイズ
レベルを設定し、次いで「異常値(outlyer)」を廃棄し
て、本質的に確率分布曲線を切り捨てることにより、本
発明の利点の分析的立証を容易にすることが可能であ
る。
【0027】本発明の実際の性能は、最大ノイズの存在
により決まるのではなく、ノイズがそれにより乱される
信号よりも圧縮し難いか否かによってのみ決まる。分布
曲線の切り捨ては、本発明を分析するための単なる便宜
上の方法に過ぎない。
【0028】例えば、図1の場合、ノイズν(t)は、平
均値0および最大値±bを有する、ほぼ均一に分布した
ものである。しかし、本発明は、ゼロ平均値または一定
の平均値に限定されるものではなく、以下に示すよう
に、ノイズは、非ゼロ平均値を有することも可能であ
る。本発明の1つの利点は、非ゼロ平均値のノイズを除
去することができ、更に、フィルタリングすべき信号の
時間間隔内で平均値が変化するノイズでさえ除去するこ
とができるという点にある。従来のスペクトルフィルタ
では、こうしたタイプのノイズのいずれも除去すること
ができない。
【0029】無ノイズ入力信号を「可能な限り近く」再
生するという要求により、損失公差の概念が生まれた。
換言すれば、何が「十分に近い」かという尺度が存在し
なければならない。こうした尺度について以下で解説す
る。
【0030】この特定の例では、複雑さの尺度は、指定
された公差内において区分的線形形式で有ノイズ信号を
表現するのに必要な頂点の最小数(線形部分の明確な端
点の数)となるように選択されている。換言すれば、所
定公差に関する信号の複雑さは、指定された公差内で有
ノイズ信号の近似を行う区分的線形関数で必要とされる
最小区分数である。最小区分数を有すると共に指定の信
号公差内にある区分的線形関数は、信号に対する最小結
合区分的線形近似と呼ばれる。
【0031】図1には、「有ノイズ」入力信号f(t)に
沿って一連の26のドットが示されている。これらドット
は、有ノイズ信号を26回サンプリングすることにより得
られた値を示している(このサンプリング率は、単に一
例として用いられたものに過ぎない)。本発明による装
置は一般に、フィルタリングすべき一連のサンプル値と
して表現される。ノイズν(t)の強度bよりかなり大き
い誤差ε1を受容する用意があるものと仮定する。図1
に示す例の場合、有ノイズ入力関数f(t)の上下にある
点線の関数曲線は、有ノイズ入力関数f(t)の各サンプ
ル値からε1だけ上下に延びる「包絡線」を規定するも
のである。
【0032】図示の例では、ε1はbより大きい値とし
て示されている。ε1程度の大きさの誤差を許容する意
志が場合には、その「包絡線」内に留まるあらゆる近似
関数が許容可能となる。図1に示す例の場合、損失公差
が極めて大きいので、常に「包絡線」内に留まる直線g
1(t)は十分に良好なものとなる。このため、2つの端
点をなす頂点を備えた単一の直線分g1(t)は、公差ε1
内での入力信号の近似に十分なものであり、従って、こ
の例の場合、この公差に関する入力信号の複雑さCは2
に等しくなる。
【0033】次に、許容可能な誤差量をε2まで低下さ
せることを所望するものと仮定する。この例の場合、ε
2はノイズνの強度bより小さい値を有する。これは、
許容可能性の「包絡線」が1/2まで狭められることを
意味している。有ノイズ入力関数f(t)の各サンプル値
に対してε2の加算および減算を行うことにより、この
新しい包絡線の境界が、図1に示す破線に沿った位置に
つくことになる。
【0034】公差ε2での信号の複雑さを測定するため
に、やはり、最小結合近似、即ち、この包絡線の境界内
に含まれると共に最小数の区分から構成される区分的線
形関数を構成することになる。こうした最小結合近似の
構成は、特殊ではあるが周知の可視多角形(visibility
polygons)技法を利用して達成することができる。
【0035】論文「An Optimal Algorithm for Approxi
mating a Piecewise Linear Function」(J. of Inform
ation processing, Vol.9, No.3, pp159-62, 1986)、
および、論文「Polygonal Approximations of a Curve
-- Formulations and Algorithms」(Computational Mo
rphology, pp71-86, Elsevier Sxience Publishers,198
8)において、H.ImaiおよびM.Iriは、誤差包絡線として
適し、最小数の区分から構成される区分的線形関数を求
めるのに計算上効率の良い方法を開示している。また、
S.Suriは、論文「On some link distance problems in
a simple polygon」(IEEE Transactions on Robotics
and Automation, 1990)において、更に一般的な設定で
同様の方法を開示している。
【0036】本質的に、ImaiおよびIriの方法は、包絡
線の垂直な左側の境界から始めて、その境界から見える
包絡線の最も遠いポイントを見つけるものである。この
ポイントと左側の境界とを結合することにより、区分的
線形近似における最初の線分が得られる。そのポイント
から始めて包絡線内へと進行し、右側の垂直な境界に達
するまで順次線分を求めていく。
【0037】図1には、こうした区分的線形近似がg
2(t)として示されている。g2(t)は各サンプルポイン
トに関して公差ε2を有することに留意されたい。ま
た、g2(t)は3つの区分と4つの頂点とを有し、この
ため公差ε2での信号の複雑さは4になることにも留意
されたい。
【0038】更に公差を小さくすると、信号の複雑さは
増大することになる。公差がゼロの場合、近似関数は単
に入力ポイントを接続したものとなる。図示の例では、
単に入力ポイントを接続した近似は、25の区分を有する
ものとなり、従って、頂点が26になるので、公差0(ε=
0)の場合、信号の複雑さCは26となる。
【0039】ここで再度図1を参照する。近似関数g1
はg2よりも平滑であり、更にg2は単にサンプル入力ポ
イントを接続した関数よりも平滑である点に留意された
い。実際に、特定の公差値に関する最小の複雑さを各々
が有する上述のような関数のファミリーを構成すること
ができる。本発明は、こうしたファミリーからフィルタ
リングされる関数を選択するための装置および方法を提
供するものである。
【0040】図2は、選択された損失公差εによって複
雑さCが決まる方法を示すグラフである。この図示例の
場合、複雑さは、所与の誤差包絡線内で有ノイズ入力信
号を表現するのに必要な線分数として定義される。しか
し、以下で更に詳述するように、他の複雑さの尺度を用
いることも可能である。
【0041】図2は、損失公差εと複雑さCとの定性関
係を示している。損失公差値が大きい場合、複雑さは漸
近的に最小値に接近する(図1の例の場合、少なくとも
2つの頂点が必要になるので最小値は2となる)。しか
し、或る「ニーポイント」ε*を下回ると、複雑さは急
激に増すことになる。この定性関係が広範な種類の複雑
さの尺度について当てはまるということだけでなく、ニ
ーポイントε*が通常はランダムノイズ自体の強度bと
なるかまたは少なくともその強度bに近くなるというこ
とを本発明者は発見した。また本発明者は、ニーポイン
ト(ε=ε*)に等しい公差値で最小の複雑さを有する
近似関数を選択することが、フィルタリングされた出力
信号にとって最良である、ということを発見した。
【0042】本発明の方法に関するより一般的な説明と
して、強度bのランダムノイズν(t)が加えられた有ノ
イズ信号が与えられたものと仮定する。また、上述の区
分的線形近似法等の既知の機構に基づいてデータを圧縮
することが可能な「ブラックボックス」があるものと仮
定する。更に、そのブラックボックスは、前記圧縮機構
が超えてはならない損失または誤差の量を制御するノブ
を備えており、ブラックボックスを利用して有ノイズ信
号を圧縮する際に前記ノブの位置に注意を払うことにな
るものと仮定する。
【0043】まず最初に、大きな損失または誤差をノブ
に設定する。次いで、ブラックボックスの出力は、あま
り精密に信号に追従しないが、その信号を極めて単純に
表現する。換言すれば、出力サイズが小さくなるという
点でかなりの圧縮が行われたことになるが、多くの情報
を損失することになる。許容可能な損失量が低減される
につれて、ボックスの出力は漸進的に正確に信号に追従
するようになり、出力のサイズ(表現の複雑さの程度)
が増大し、より多くの情報が保持されることになる。誤
差公差がノイズの強度bと等しい場合、ブラックボック
スの出力は、無ノイズ信号ではなくノイズ自体に追従し
始めることになる。損失公差が更に減少すると、ランダ
ムノイズが圧縮しにくくなるので、出力サイズ(複雑さ
の程度)が急激に増すことになる。この現象が、まさに
図2に示すニーポイントを発生させるものである。
【0044】次に、ブラックボックスのノブがノイズ強
度bの値にセットされているものと仮定して、そのブラ
ックボックスからの出力について考察する。ノイズと損
失とが互いに加えられるので、ブラックボックスの圧縮
出力を圧縮解除すべき場合に結果的に生じる圧縮解除信
号が無ノイズ信号から2bだけ離れたものになる、と思
われるかもしれない。しかし、本発明者の発見によれ
ば、許容される損失は、ノイズを相殺する傾向にあり、
その相殺の程度は、信号がサンプリングされる頻度によ
って決まる。この現象は「オッカムの剃刀」の原理によ
り説明可能なものである。
【0045】図3は、本発明によるフィルタリング装置
の主な構成要素を示すブロック図である。信号源30は無
ノイズの所望信号f0を生成し、その所望信号f0がノイ
ズ源31からの出力νにより乱されて有ノイズ入力信号f
が形成される。信号源30は、別の装置への格納あるいは
伝送が所望される何らかの形態の信号を生成する装置な
ら何でも良い。信号源の例としては、心電図ECGモニ
タ、音声合成および伝送装置、および、デジタル形式で
信号を生成するテレファックス機等の装置が挙げられ
る。また、ノイズ源31は、ビデオカメラ内の熱的および
電気的外乱等の内部的なものや、信号源30からの伝送ラ
イン上の電気的ノイズ等の外部的なものとすることがで
きる。
【0046】本発明は、時間領域内で受信される信号の
フィルタリングに限定されるものではない。そうではな
く、本発明を利用することにより、ある測度に従って既
観測信号または既計算信号と比較可能なあらゆるデータ
集合にフィルタリングを行うことが可能となる。
【0047】有ノイズ入力信号f(t)は、従来のサンプ
ルおよびホールド(S/H)回路32によってサンプリン
グされる。このS/H回路32は、サンプリング率Nの逆
数に等しいサンプリング周期△を有するものである。信
号源30がデジタル装置である用途の場合、S/H回路32
は一般に省略される。S/H回路32は、サンプリングさ
れ即ちデジタル化された有ノイズ入力信号S(N、f)
をその出力として生成し、その有ノイズ入力信号S
(N、f)の値はメモリ33に記憶される。ここで図1を
再度参照する。メモリ33に記憶された値は、点線で示し
た有ノイズ信号f(t)の値に対応するものである。
【0048】記憶装置33は、有ノイズ信号の離散値の記
憶のために必要なものではなく、従って、圧縮プロセッ
サ34により利用される圧縮機構がその入力信号の圧縮表
現を生成するのにデータポイントのブロックを必要とし
ない場合には省略することができる。ImaiおよびIriの
圧縮機構は、そのような「リアルタイム」圧縮ルーチン
の一例である。このような場合、圧縮プロセッサ34は、
入来する有ノイズ信号の離散値のストリームを直接操作
することができる。同様に、最適化プロセッサがニーポ
イントε*を求めている時間中に有ノイズ信号のノイズ
特性が変化することがないものと仮定すれば、該プロセ
ッサは、やはり、別個の記憶装置33に記憶された有ノイ
ズ信号の離散値が無くても動作可能である。
【0049】メモリ33に記憶されているサンプリング済
の有ノイズ入力信号S(N、f)は、入力信号として圧
縮プロセッサ34に送られる。圧縮プロセッサ34は、所与
の損失または誤差公差パラメータεを選択し、またサン
プリングされて記憶された入力関数S(N、f)の圧縮
表現D(S、ε)のパラメータを出力するマイクロプロ
セッサ等の既知の装置とすることができる。
【0050】圧縮プロセッサ34の一例としては、Imaiお
よびIriの方法を用いて動作して、上述しおよび図1に
示したような入力関数の区分的線形近似のパラメータを
生成するプロセッサが挙げられる。圧縮プロセッサの別
の例としては、サンプリングされて記憶された信号値の
近似ではあるが削減されたスペクトル変換の計算を行う
装置が挙げられる。一般に、こうしたプロセッサは、サ
ンプルの離散フーリエ変換を計算し、その変換で幾つか
の項を廃棄する。この場合、複雑さの尺度は、プロセッ
サにより保持される周波数項の数とすることができる。
【0051】本発明では、他の圧縮ルーチンを利用する
ことが可能である。例えば、一連のサンプリングされた
関数値S(N、f)が与えられた場合、圧縮プロセッサ
34は、入力関数の多項式近似または区分的多項式近似を
生成することも可能である。このような場合、複雑さの
尺度は、各種多項式の係数や、任意の多項式の最高次数
や、または近似多項式の上述その他の特性の任意の組み
合わせを記憶するのに必要な記憶空間の量とすることが
できる。一連の区分的線形関数を利用して入力関数の近
似を行う圧縮ルーチンは、最高次の多項式の次数が1に
固定され、複雑さの尺度が表現に必要な多項式の数(線
分)である、区分的多項式圧縮ルーチンの特殊な場合に
過ぎない、ということに留意されたい。更に他の圧縮ル
ーチンによれば、指数関数、または、指数関数や三角関
数や多項式関数や他の種類の関数に基づいて近似を生成
することも可能である。
【0052】サンプリングした入力信号に対する関数近
似を表すパラメータは、最適化プロセッサ35に送られ
る。この最適化プロセッサ35は、用途によってはS/H
回路32、記憶装置33、および圧縮プロセッサ34の動作に
関する監視プロセッサとして働くことも可能なものであ
る。この最適化プロセッサ35は、同様に、マイクロプロ
セッサ、または、標準的なタイミングおよび記憶回路を
備えた従来の他のプログラム可能装置とすることが可能
なものである。実際に、用途によっては、圧縮プロセッ
サ34、最適化プロセッサ35、及び/又は、圧縮解除プロ
セッサ36(下記参照のこと)の全てを、単一の装置とし
て実施することが可能である。
【0053】最適化プロセッサ35は、サンプリング周期
△(また等価的にはその逆数であるサンプリング率N)
を制御するために従来の態様でS/H回路32に接続され
るか、あるいは、記憶装置33に記憶されているサンプリ
ング済の有ノイズ値の集合にアクセスする。最適化プロ
セッサ35はまた、S/H回路32を直接制御して、所望の
サンプリング周波数でそのゲート制御を行うことも可能
である。換言すれば、最適化プロセッサ35は、S/H回
路32による有ノイズ入力信号fのサンプリングの率、ま
たは、圧縮プロセッサが操作を行うサンプリング値の数
を制御することが望ましい。
【0054】また、最適化プロセッサ35は、従来の態様
で記憶装置33に接続して、記憶装置33への値の記憶およ
びその記憶値の読出が可能になるようにすることもでき
る。記憶装置33は、最適化プロセッサ35および圧縮プロ
セッサ34に関する操作命令を記憶することが可能なもの
であり、一方、他の内部装置または外部装置を利用する
ことも可能である。
【0055】また、最適化プロセッサ35は、圧縮プロセ
ッサ34に損失または誤差公差パラメータεを送るため
に、また圧縮プロセッサ34に命令して記憶装置33からサ
ンプリング済の入力値を読み出すために、更には、その
圧縮関数近似パラメータD(S、ε)を生成するため
に、圧縮プロセッサ34に接続される。従って、最適化プ
ロセッサ35は、S/H回路32により所定のサンプリング
率Nでサンプリングを開始し、誤差または損失公差εを
選択し、その選択された誤差公差ε内のサンプリング済
関数値に基づく圧縮関数近似のパラメータを受信するこ
とができる。
【0056】以下で詳述するように、最適化プロセッサ
35は、少なくともニーポイントε*の近似位置、即ち、
下回ると複雑さが急速に増大し始めることになる誤差公
差が決定されるまで、一連の誤差または損失公差値εに
関する関数近似を生成するように、圧縮プロセッサに命
令する。更に後述するように、最適化プロセッサ35は、
実際のまたはシミュレートされた異なるサンプリング率
に関して(全てのサンプル値を利用することなく)関数
近似を生成するようS/H回路32および圧縮プロセッサ
34に命令することもできる。
【0057】一連の近似(ε−C「曲線」上のポイント
に各々が対応する関数)を検査した後、最適化プロセッ
サは、ニーポイントε*における近似に対応する関数表
現を選択する。この時点で、所望信号に影響を与えるノ
イズ特性がほぼ同じままであると仮定すると、最適化プ
ロセッサは、値εを「ε=ε*」に保持し、次いで、更
に較正を行うこと無く有ノイズ入力信号の後続のサンプ
リング済部分について圧縮プロセッサが操作を行うよう
にする。
【0058】換言すれば、最適化プロセッサ35は、ニー
ポイントε*の決定が完了した場合に、単に圧縮プロセ
ッサ34からの圧縮関数パラメータを圧縮解除プロセッサ
36に送り、その圧縮解除プロセッサ36により、それらの
パラメータD(S、ε*)に基づいて近似関数gが再構
成される。区分的線形関数近似の頂点が与えられると、
圧縮解除プロセッサは、「頂点を接続して」、連続した
近似信号を形成する。1組の包含されている周波数成分
が与えられると(図17および同図についてのそのよう
な用途の一層詳細な説明を参照のこと)、圧縮解除プロ
セッサ36は、様々な周波数成分を合成および組み合わせ
て、フィリタリングされた出力信号gを生成する。
【0059】圧縮プロセッサ34は、それが損失公差εを
有している限り、近似信号パラメータを生成することが
できるので、最適化プロセッサ35がε*を決定した場合
には、その値を圧縮プロセッサ34にセットすることがで
き、次いでその圧縮プロセッサ34は、最適化プロセッサ
による介入を更に受けることなく、単独で、その通常の
圧縮操作を行うことが可能になる。従って、最適化プロ
セッサ35は、別のオフライン経路(圧縮プロセッサ34と
圧縮解除プロセッサ36の間にはない)を介して選択的に
圧縮プロセッサ34に接続することができる。次いで、最
適化プロセッサ35は、ニーポイントε*が確立されて圧
縮プロセッサ34に設定されるまで、初期較正段階の間に
限って、圧縮プロセッサ34の制御を行うことになる。そ
の後、最適化プロセッサは、新しいニーポイントの決定
が必要になるまでオフライン状態となる。
【0060】パラメータD(S、ε*)は、例えば、区
分的線形近似関数の区切り点の座標(図1参照)や、近
似多項式の係数や、三角近似の周波数、位相、および振
幅や、他の何らかの種類の近似関数に関連した識別子と
することができる。
【0061】従って、圧縮解除プロセッサ36からの出力
は、誤差公差ε*で有ノイズ入力信号fの近似を行った
信号ではあるが、一般に、有ノイズ入力信号に比較して
大幅に単純化された、即ち圧縮された信号である。これ
は、圧縮表現gが、その記憶および伝送のために少ない
資源しか必要としないものである、ということを意味し
ている。このため、有ノイズ入力信号fだけしか利用で
きない場合に比較して一層高い伝送速度または記憶速度
を用いることが可能となるという付随的な利点が得られ
る。
【0062】ここで図1を参照する。圧縮近似g2(t)
は、有ノイズ入力信号f(t)よりもはるかに「平滑」で
あることに留意されたい。これは、損失公差が、所望の
無ノイズ信号f0(t)に近接してその追従を行うのに十
分なだけ小さいが、ノイズν(t)の追従を開始するほど
小さくないからである。換言すれば、圧縮解除された近
似信号g2(t)は、無ノイズ信号f0(t)に追従するが、
その圧縮解除信号では、急速に変化するランダムノイズ
による影響が大幅に減少する。更に単純化して述べれ
ば、本発明に従って圧縮信号および圧縮解除信号を利用
することにより、ノイズの大部分が除去された出力信号
が得られることになる。データ圧縮を介したノイズのフ
ィルタリングは、本発明の特徴であり、区分的線形近似
関数の利用に依存するものではないが、用途によって
は、こうした近似関数が望ましい場合もある。
【0063】図1に示す例の場合、損失公差εは、サン
プリング範囲の任意の位置における、フィルタリングさ
れた関数gと観測されたノイズ入力信号fとの間の最大
許容可能差に関して定義される。誤差「トンネル」は2
εの幅を有するので、近似関数のポイントが、サンプリ
ング間隔における任意の位置で有ノイズ入力関数からε
を超えて離れることはない。これは、次のように表すこ
ともできる。
【0064】 max{|g(ti)−f(ti)|}≦ε (全てのiに
ついて) ここで、tiは、該関数のi番目のサンプリング時間で
ある(図1の場合、26のサンプリング時間が存在す
る)。
【0065】上述の式は、本質的には、周知のL無限
(L∞)測度に関して関数g,f間の距離を測定するも
のである。その測度は、極めて計算が容易なものではあ
るが、本発明に不可欠なものではなく、任意の測度を用
いることが可能である。代わりに用いることが可能な一
般的な測度の一例としては、周知の二乗平均(RMS)
が挙げられる。この二乗平均は、サンプリングされた入
力関数f(t)と近似関数g(t)との差を求め、全てのサ
ンプリングポイントについてその値の二乗を求め、次い
でその二乗の全ての総和の平均を求め、次いでその値の
平方根を求めるものである。換言すれば、サンプリング
された入力関数に対する近似が生成され、次いで、以下
に示すように、近似関数の複雑さが最小限に抑えられ
る。
【0066】
【数1】
【0067】利用可能なもう1つの測度としては、二乗
平均とは対照的に、全サンプルポイントについて前記2
つの関数間の差の絶対値を合計してその平均を求める、
というものが挙げられる。しかし、本発明の場合には無
限測度が望ましい。これは、無限測度の方が分析が理論
的に容易であり、また実施が計算上容易であるからであ
る。
【0068】入力信号の圧縮によりランダムノイズをフ
ィルタリングするための装置および方法は、三角法区分
と多項式区分と指数関数区分と線形区分とを有するシミ
ュレートされた入力信号を用いてテストされた。無ノイ
ズテスト入力信号を図4に示す。同図に示すように、そ
のテスト信号は、0.00〜1.00の時間間隔にわたり規定さ
れた。このテスト信号は、三角関数(異なる周波数およ
び振幅の組み合わせを有する)で開始され、ほぼt=0.2
5において多項式関数に切り換えられ、t=0.50の時点で
指数関数的に減少する関数に切り換えられ、更にt=0.7
5〜1.00の間隔にわたり線形(階段関数)となるもので
あった。このテスト関数の振幅は、ほぼ+0.95から-0.95
の範囲にわたるものである。また、前記の線形階段関数
は、ほぼ-0.7から一定値0.80に上昇するものである。
【0069】次いで、間隔[-0.1,+0.1]にわたって一
様に分布したランダムノイズνが、無ノイズテスト信号
に加えられて有ノイズテスト入力信号が生成され、この
信号が次いでサンプリングされた。この実験的なテスト
では、後述のように、簡略化のため、一様に分布したゼ
ロ平均ノイズνを用いたが、本発明は、非ゼロ平均を有
すると共に一様に分布していないノイズを除去すること
も可能なものである。
【0070】本発明のこのテストで用いた圧縮ルーチン
により、所与の誤差公差ε内で区分的線形近似が生成さ
れた。そのようなルーチンについては、図1に示されて
おり、既述のところである。本発明のこのテストで用い
た複雑さCの尺度は、区分的線形近似信号における頂点
の数であった。
【0071】図6は、複雑さCおよび損失公差εのグラ
フであり、これは、εの様々な値について圧縮ルーチン
を実行することにより得られたものである。同図が示す
ように、ノイズνの強度bである約0.1未満に損失公差
εが設定されると、フィルタリングされた関数の複雑さ
が急速に増大し始めた。換言すれば、複雑さ/損失公差
(C−ε)曲線のニーポイントε*は、ほぼ値ε*=b
(bはノイズの強度)の位置にあった。
【0072】本発明者は、この特性が、多くの種類の複
雑さの尺度、および、ランダムノイズにより乱される信
号に当てはまるということ、および、有ノイズ信号をニ
ーポイントε*に等しい誤差公差で圧縮し、次いで圧縮
解除を行って近似信号を得ることにより、その近似信号
は、確実に、有ノイズ信号に最適なフィルタリングを行
ったものとなるということを発見した。ニーポイントε
*の判定が不正確である場合には、フィルタリングされ
た出力中の残留ノイズが直接増大することになる。特
に、実際のニーポイントがε*=b、観測されたニーポ
イントがε*+δである場合には、フィルタリングされ
た出力中の残留ノイズは少なくともδとなる。
【0073】図6は、オッカムの剃刀との類似性を示す
ものである。本発明の方法を利用する場合、再構成しよ
うとする無ノイズ信号は、その信号を乱すノイズに比べ
てはるかに単純であると仮定され、必要以上に複雑でな
い近似が選択される。これは、複雑さが増すということ
は、単に、ノイズに追従するフィルタリングされた関数
が生成されることになる、ということを意味するからで
ある。
【0074】図7は、図6のニーポイントε*に対応す
るフィルタリングされた関数gを示すグラフである。こ
の図7には本発明の幾つかの利点が示されている。第1
に、図7および図5を比較すると、本発明による装置
が、入力関数の三角法区分からだけでなく、多項式区
分、指数関数区分、および線形区分からも、如何に有効
にランダムノイズを除去しているかを理解することがで
きよう。また本発明の効力は、図7のフィルタリングさ
れた関数と図4の実際の無ノイズ関数とを比較すること
により理解されよう。
【0075】第2に、本発明によるフィルタリングされ
た出力は、20の頂点から成る区分的線形関数である。換
言すれば、本発明は、512の有ノイズサンプルをたった2
0の頂点に圧縮することができた。従って、各頂点が2
次元であることを考慮すると、本発明は、512:40の圧縮
比を達成することができ、これは、12:1よりも良好なも
のである。この圧縮は、本発明の副産物となる利点であ
る。
【0076】本発明の最も実際的な用途の場合には、所
望信号を乱すノイズの強度は、勿論未知のものとなる。
図6に示すように、そのような知識は、本発明による装
置の較正を行うために必要なものではない。ここで図3
を再度参照する。ECGモニタ等の装置は、信号源30
か、信号源30およびノイズ源31の両者に相当するもので
ある。この装置が実際の用途でまたはテストパターンに
ついて動作している間に、本発明を用いてその装置の出
力をサンプリングする。次いで、最適化プロセッサ35の
制御下で、圧縮プロセッサ34が、一連のフィルタリング
された関数(事実上、図2または図6のようなC−ε曲
線を構成する)を生成し、次いで最適化プロセッサ35が
ニーポイントε*を決定する。
【0077】圧縮によりフィルタリングされるべき実際
の信号を乱すノイズνが、較正中にノイズが呈するもの
とほぼ同じ統計的な特性(特に、同じ強度)を備えてい
ると仮定することができる場合には、最適化プロセッサ
35は、一定の値ε*に損失公差εをセットすることがで
き、圧縮プロセッサ34は、フィルタの再較正が必要にな
るまで、入力関数fのN個のサンプルからなる一連のブ
ロックの各々についてε=ε*を用いて、入力信号の最
適なフィルタリングされた関数近似を生成することがで
きる。これは、例えば、ノイズεの特性が異なることが
予測できる環境(以前の寒冷気候とは対照的な高温気
候、または、かなりの電磁妨害雑音が存在する場所等)
で信号源30が動作する場合に発生する。
【0078】ここで図2を参照する。形成されたC−ε
曲線が与えられた場合、最適化プロセッサがニーポイン
トε*を決定するためには次の3通りの方法がある。
【0079】1)最適化プロセッサは、画面上に、また
は、実際の作図により、C−ε曲線を表示することが可
能であり、次いでユーザは、目視的な調査を行うことに
より、その曲線が急激に上昇を開始するポイントを選択
することができる。従って、最適化プロセッサに適した
従来の入力装置を備えていることが望ましい。
【0080】2)「急激な」上昇という概念は、二次導
関数が最大になるC−ε曲線上のポイントとして定量化
することができる。最適化プロセッサ35は、既知の数値
技法を用いてそのポイントを決定することができ、その
ポイントはε*となる。
【0081】3)C−ε曲線は、ニーポイントε*で急
激に上昇する(勾配が急に変化する)が、ε*の両側で
は比較的「平坦」なので、最適化プロセッサ35は、既知
の技法(双一次近似)を用いて、2つの直線としてC−
ε曲線の近似を行うことができる。それら2つの直線が
合うポイントのεの値が、ε*として選択される。
【0082】C−ε曲線のファミリーを用いてニーポイ
ントε*を決定するもう1つの方法を以下に解説する
が、更に別の方法を用いることも可能である。ただし、
これらの方法に共通していることは、それら方法が、C
−ε曲線の二次導関数が最大になる(曲線の「勾配」の
変化が最速になる)ポイント、即ち、損失公差の関数と
して見た複雑さの加速度が最大になるポイントを求める
という点である。
【0083】ニーポイントε*はノイズ源によってのみ
決まるので、ノイズ源が変わらない限り、異なる信号源
についてフィルタリング装置の再較正を行う必要はな
い。この意味で、フィルタリング装置は、「同じノイズ
源を共有するあらゆる場合においてニーポイントε*
ノイズ強度bになる」という本発明者による発見を利用
しているという点で、自己較正を行うものである。
【0084】次に、患者に接続されたECGモニタから
の信号のフィルタリングが所望されるものと仮定する。
ECGセンサからの出力信号は、S/H回路32でサンプ
リングされ、そのサンプリング値は、記憶装置33にブロ
ック形態で記憶される。次のサンプルブロックの読み込
みに要する時間内に、最適な(ニーポイントで)フィル
タリングされた圧縮信号を生成することができる限り、
記憶装置33用に選択された記憶空間の量、および、装置
で用いられる各種プロセッサの速度に依存して、1つ、
2つ、または、それ以上のサンプルブロックを記憶する
ことができる。
【0085】各サンプルブロックが、ほぼ同じノイズ特
性を有している場合には、最適化プロセッサがε*の計
算を完了した際に、そのε*がεにセットされて、圧縮
プロセッサが自由に動作することが可能になる。次い
で、各サンプルブロック毎に、圧縮プロセッサ34は、フ
ィルタリングされた信号gのパラメータ(S、ε*)を
決定して出力することができる。次いで、これらのパラ
メータは、全サンプルの記憶に要するよりもはるかに少
ない空間に記憶させることが可能なものであり、それら
の対応する信号形態は、「所与の損失公差ε*内で有ノ
イズ入力信号fの近似を行うが、ほとんどのノイズがフ
ィルタリングにより除去されている」信号を表してい
る。従って、本発明に従う圧縮によってフィルタリング
された信号は、一層簡単に表現されるものとなり、この
ため、以後の利用に備えて記憶を行うのが一層容易にな
り、また伝送がより高速になり、更に作図または表示装
置(特に、ベクトル形式を利用して作図する装置)のパ
ラメータとしての利用がはるかに高効率となる。
【0086】記憶装置33に十分な記憶空間がある場合に
は、有ノイズ入力信号fの表現全体、例えば、ファック
ス機により走査された全ての値、あるいは、ある時間ブ
ロックのデジタル化スピーチに関する振幅またはスペク
トル値の全てを、記憶させることも可能である。従っ
て、最適化プロセッサ35は、一連の値全体についてニー
ポイントε*を一度に決定することが可能となるが、一
緒にフィルタリングを行うことが可能なサンプルの数
は、一般には、有ノイズ入力信号fの初期生成と、近似
のフィルタリングした等価信号gの生成との間の、許容
が意図されるタイムラグの量によって決まる。しかし、
上述のように、用途によっては記憶装置33は必要とされ
ず、従って省略することが可能である。
【0087】勿論、実際のフィルタで理想的なものは存
在しないので、フィルタリングされた信号gと無ノイズ
入力信号f0との間には少なくとも僅かな相違が必ず存
在する。フィルタリング後に残っている誤差は「残留ノ
イズ」として知られている。
【0088】図4ないし図7に示す例に関し、図8は、
損失公差εの関数としての残留ノイズνrを示したグラ
フである。図8は、最少数の区切り点を有し、サンプリ
ングされた有ノイズ入力値の損失公差ε内にある、区分
的線形関数hεを、損失公差εの各値毎に、圧縮ルーチ
ンにより決定する、という方法で作成されたものであ
る。次いで、残留ノイズが、数2に示すように、hεと
0との間の平均誤差として計算された。
【0089】
【数2】
【0090】図8において、残留ノイズνrの最小値は
ほぼ0.01であり、これに比較して、ノイズνの平均絶対
値は0.05である点に留意されたい。換言すれば、本発明
は、ニーポイントε*でフィルタリングされた信号を選
択することにより、ノイズ量(無ノイズ信号f0とフィ
ルタリングされた信号gとの誤差)を概算で1/5に減
少させることができた。
【0091】図8に示すように、損失公差εは、大きい
値、例えばε=0.3からニーポイントε*に向かって減少
するので、残留ノイズの量もまた減少する。しかし、本
発明者は、残留ノイズνrの量は約ε*で最小に達し、次
いで損失公差が減少するにつれて実際には再び増大し始
める、ということを発見した。これは、損失公差がノイ
ズ強度bを超えて減少すると、圧縮ルーチン(区分的線
形近似信号の構成)がノイズν(t)自体に追従し始める
からである。この実験結果により、「ランダムノイズν
の強度bまたはその近くのニーポイントε*に損失公差
εを選択する」という本発明の利点が再度確認されたこ
とになる。
【0092】本発明の更にもう1つの特徴を立証するた
め、図9に、フィルタリングされた区分的線形信号にお
いて必要とされる頂点の数で測定された複雑さのグラフ
を、異なるサンプリング率N=512,1024,2048につい
て、選択された損失公差εの関数として示す。前述のよ
うに、間隔[-0.1、+0.1]にわたって一様に分布したラ
ンダムノイズνが、図4に示す合成関数f0に加えられ
た。図10は、残留ノイズを、異なるサンプリング率に
ついて、損失公差の関数として示すグラフである。
【0093】図9に示すように、所与の損失公差ε<ε
*に関し、出力信号の複雑さCは、サンプリング率Nの
増大につれて増大することになる。一方、図10に示す
ように、最小残留ノイズは、サンプリング率Nの増大に
つれて減少する。
【0094】しかし、図9において特に関心を引くの
は、ε>ε*の場合に、複雑さの程度は、約N=512以上
の全てのサンプリング率についてほぼ同じになるという
ことである。換言すれば、複雑さ曲線は、ほぼニーポイ
ントε*のあたりから発散し始めている。従って、図9
は、所与の有ノイズ入力信号に関してニーポイントε*
を決定するための更に別の方法を示している。即ち、再
度図3を参照すると、最適化プロセッサ35は、サンプル
/ホールド回路32にその実際上の最高率でサンプリング
率を設定することができ、次いで、前述のように、圧縮
プロセッサ34に加えられる損失公差パラメータεを変更
して、所与のサンプリング率についてC−ε「曲線」を
構成することができる。従って、最適化プロセッサ35
は、サンプリング率Nを低下させて、同じ有ノイズ入力
信号についてサンプリングを再実行すること、あるい
は、単に圧縮プロセッサ34に命令して、1つおきのサン
プリング値(サンプリング率を2で割る)、2つおきの
サンプリング値(サンプリング率を有効に1/3にす
る)、3つおきのサンプリング値等に基づいて近似関数
を生成させるかまたはサンプリング値自体のうちの幾つ
かのサンプルを選択させることができる。
【0095】サンプリング率の実際のまたは有効な各変
更毎に、最適化プロセッサ35は、異なるサンプリング率
Nについてのパラメータ化されたC−ε関係を構成する
ために、圧縮プロセッサ34に加えられる損失公差εを変
更する。よって、最適化プロセッサ35は、パラメータ化
曲線が発散を開始することになる損失公差εの値をニー
ポイントε*として選択することができる。発散ポイン
トは、パラメータ化曲線が所定量を超えて異なるポイン
トとすることができ、例えば、用途に応じて、また、無
ノイズ入力信号の特性およびノイズνの特性に関する知
識の程度に応じて、5%を超える量、1%を超える量、
または他のユーザ定義によるしきい値量だけ異なるポイ
ントが考えられる。
【0096】有ノイズ入力信号fの受信と、フィルタリ
ングされた出力信号gの生成との間の所与の最大許容可
能タイムラグに関して、フィルタリング装置の選択され
たサンプリング、記憶、および処理用の構成要素が達成
可能な最大サンプリング率が存在する。従って、図9お
よび図10を比較すれば分かるように、圧縮プロセッサ
34により用いられる値の基礎として、考え得る最大サン
プリング率を選択するのが有利である。その理由は、そ
の選択により、(勿論、ニーポイントε*に損失公差ε
が選択されている場合にではあるが)出力の複雑さを大
して増大させること無く残留ノイズνrを最小限にする
ことができる、ということである。勿論、幾分大きな残
留ノイズを許容する意図がある場合には、ε*またはそ
のすぐ下におけるεの値に関して低サンプリング率を利
用することもできる。
【0097】ニーポイントε*を決定するための更に別
の方法は、ランダムノイズνの分布または少なくともそ
の強度に関してある程度の知識を必要とするものであ
る。上述のように、本発明者は、多くの用途に関して複
雑さと損失公差との間の最適なトレードオフを提供する
ことになるニーポイントε*は、ランダムノイズの強度
bまたはその近くにある、ということを発見した。ビデ
オカメラまたはECGモニタ等の所与の信号源は、それ
が何らかの既知の基準信号に基づいて動作している際に
既知の技法を利用してその出力を分析することにより、
較正を行うことが可能なものである。よって、既知の技
法を利用して、ノイズの統計的特性を決定することがで
きる。
【0098】こうした信号分析は、実験室の装置で十分
に容易に行うことができるものであるが、一般に、現場
にある機器の無ノイズ信号f0を乱すランダムノイズの
強度bは未知のものである。更に、用途によっては非繰
り返し信号を利用する場合があるので、フィルタリング
装置は、それ自体を較正可能なものであることが望まし
い場合が多い。
【0099】図11は、一般に使用されるスペクトルロ
ーパスフィルタで図5のサンプリングされた有ノイズ入
力信号をフィルタリングした結果を示すものである。そ
のスペクトルフィルタの帯域幅は、無ノイズ関数f0
視覚的に最もよく調和するように選択された。予測通
り、低域フィルタは、信号を三角成分に分解する理論
(フーリエ解析等)に基づくものであるため、テスト信
号の三角部分では有効に働いた。一方、この従来のフィ
ルタは、テスト信号の不連続部分では働きが不十分であ
り、階段関数の一定部分(0.75≦t≦1.0)にわたって
整定するのが困難であった。図11と図7を比較するこ
とにより、本発明によるフィルタリング装置の優れた性
能を(特に入力信号の不連続部分および非三角部分にお
いて)容易に理解することができる。
【0100】上述のように、本発明の優れたフィルタリ
ング性能は、ゼロ平均を有するノイズνに依存するもの
ではない。図12は、図4の場合と同じ無ノイズ信号の
512のサンプルを示すものであるが、この場合、信号は1
/2の確率で0.05に等しく、また1/2の確率で間隔[-0.1、
+0.1]中で一様にランダムな付加ノイズにより乱された
ものとなる。このため、ノイズの平均は0.025となり、
非ゼロである。更に、ノイズの全体的な分布は[-0.1、+
0.1]の間隔にわたり均一とはならない。
【0101】図13は、図12に示す信号に関して本発
明によるフィルタリング装置を利用して生成したフィル
タリングされた信号を示すものである。前述のように
(図7参照)、フィルタリングされた関数は、実際の無
ノイズ信号に極めて近似したものであり、この際に使用
する頂点は20個のみである。更に、本発明は非ゼロ平均
のノイズも除去可能である、という点に特に留意された
い。
【0102】本発明者は、「あらゆるタイプのノイズに
関して、ノイズおよび損失公差により残留誤差に対する
影響が増すものと予測されるかもしれないが、そうでは
なく、ノイズおよび圧縮損失は互いに相殺し合い、その
相殺の程度はサンプリング率によって決まる」というこ
とを発見した。要するに、図10に示すように、サンプ
リング率が高くなるほど相殺の程度が大きくなり、従っ
て、残留ノイズが減少することになる。特に、この本発
明による方法の特性は、図12に示すような一様でない
ノイズまたは非ゼロ平均のノイズにも当てはまる。
【0103】本発明は、心電図(ECG)モニタからの
実際のデータについてテストされ、実際の人間の被験者
に関する心電機能が利用された。図14は、ECGグラ
フの一部である。同図は、本発明によるフィルタリング
装置への有ノイズ入力信号を(単位mVで)示すものであ
る。同図を作成するために、実際のECG信号が120サ
ンプル/秒の率でサンプリングされ、その各サンプルポ
イントに番号が付された。図14(および後述の図1
6)は、サンプル番号5000〜5200の200のサンプル値に
関するグラフを示し、また入力信号の1.667の部分を表
している。
【0104】この本発明のテストに用いた圧縮ルーチン
は、所定の誤差または損失公差ε内の区分的線形関数を
生成するルーチンである。誤差(損失公差)の量の決定
に用いた測度は、上述のように、L∞測度である。適用
された複雑さの尺度は、前述のように、所定の誤差公差
ε内で信号の近似を行うのに必要な頂点の数であった。
【0105】図15は、ECG信号の異なるサンプリン
グ率についてのC−ε公差曲線を示すものである。その
上側の曲線は、1000のサンプルに基づいて計算された結
果を示している。また下側の曲線は、766のサンプルに
基づく結果を示している。ここで、その766のサンプル
は、約1/4だけサンプリング率を有効に低下させて、
既に利用可能となっている1000のサンプルの中からラン
ダムに選択されたものである(これは、最適化プロセッ
サによる異なるサンプリング率の「シミュレーション」
を可能にする方法を示している)。ε*=10.00のニーポ
イントが概算的な損失公差として選択される。そのポイ
ントは、上側の一層高率のC−ε曲線に関する2つの直
線近似が交差するポイントである。
【0106】図16は、選択されたニーポイント値ε*=
10.00において、ニーポイントε*、および、区分的線形
信号の再構成方法を用いて得られた、フィルタリングさ
れた信号を示すグラフである。前述のテストの場合のよ
うに(図4ないし図7参照)、本発明による装置は、基
礎となるECG信号を乱すランダムノイズを効果的に除
去した。本発明の実際的な用途のほとんどの場合にいえ
ることであるが、本装置は、ランダムノイズの強度に関
する予備知識を有していないが、ノイズ強度の正確な推
定値を得ることができる。これは、本発明者が理論的に
発見して実験で確認したように、ノイズ強度bが、損失
公差のニーポイント値ε*にほぼ等しくなるからであ
る。
【0107】本発明の更に別のテストでは、標準的なビ
デオカメラからの2次元ビデオデータが、周知の無損失
Lempel-Ziv(L−Z)機構を用いて、一連の1次元値
(ビットストリーム)に圧縮された。ビデオデータを構
成する2次元フレームの各対毎に、単純なマトリクス減
算を行うことにより、差分フレーム即ち「動作(motion)
推定」フレームが既知の態様で構成された。次いで、そ
の差分フレーム即ちマトリクスがL−Z機構を利用して
圧縮されたが、その圧縮パラメータは、後述のように最
適化プロセッサにより変更された。
【0108】ここで図3を参照する。このテストの用途
の場合、本発明によるフィルタリング装置には、既にサ
ンプリングされて変換されたビデオデータポイントに対
応する離散値からなるマトリクスが与えられるので、入
力信号の「サンプリング」値は、本フィルタリング装置
に対して「自動的に」利用可能となる。このため、信号
源30、ノイズ源31、およびS/H回路32は、全て、ビデ
オカメラおよび従来の変換回路自体に組み込まれてい
た。マトリクス中の各値は、従来と同様に、8ビットの
データワードとして表現されたので、全ての値を範囲
[0,255]内の整数として表現することができた。
【0109】この用途の場合、圧縮プロセッサ34は、そ
の可変損失公差として一定のしきい値を利用し、そのし
きい値を下回る差分フレームマトリクス中の値の全てが
単純にゼロに等しくセットされた。例えば、ε=32の場
合には、差分フレーム中の32を下回る値は単純にゼロに
され、32以上の全ての値はそのまま残された。
【0110】選択された各しきい値(損失公差ε)毎
に、しきい値を下回る差分フレームの値(メモリ33等の
記憶装置に記憶されている)がゼロにされ、次いで、結
果的に得られたフレームに対して無損失L−Z圧縮が行
われた。使用された圧縮の尺度は、各しきい値ε毎にL
−Z圧縮ルーチンの出力を記憶するために必要なデータ
ビット数であった。
【0111】まず、ε>255の場合に、全ての値がゼロ
にされるので、複雑さは本質的にゼロになる、というこ
とに留意されたい。一方、εの値が極めて小さい場合、
例えばε=2の場合には、表現範囲のかなり低い端部に
おけるほんの僅かな要素しか損失公差のしきい値を下回
らないので、動作推定「マトリクス」のほとんど全ての
要素がそのままになる。
【0112】繰り返しL−Z圧縮を用いてビデオ信号を
フィルタリングした場合に本発明により生成されるC−
ε曲線はまた、ニーポイント値ε*を表示するものであ
った。このニーポイント値ε*を下回ると、出力の複雑
さ(L−Z圧縮の表現に必要なビットストリームのサイ
ズ)が急激に増した。実際に、本発明者は、L−Z機構
の代わりにHuffman符号化(別の周知の無損失ビットス
トリーム圧縮機構)を利用した場合でも、概ね同じニー
ポイント値ε*が生じることを発見した。実際の場合、
装置はε*=8のニーポイント値を選択した。換言すれ
ば、値8を下回る差分フレームマトリクス中の全ての値
は、ゼロに等しくセットされた。
【0113】この設定において、従来のスペクトルフィ
ルタは、一般に、周知の離散フーリエ変換または離散余
弦変換等のビデオフレームのスペクトル変換を行い、ノ
イズが主として変換マトリクス中の高周波項にあるとい
う仮定の下に、それらの項をゼロにする。次いでその変
換を逆に行うと、フィルタリングされたビデオ画像が生
じるが、画像中の鮮鋭な外観を鈍化させる不所望の副作
用を伴ったものとなる。この鮮鋭さを鈍化させる影響
は、図11に示す1次元の場合を参照することから分か
る。これとは対照的に、本発明による装置は、ノイズの
周波数分布に関して仮定を行う必要はないし、画像中の
鮮鋭な外観が鈍化することもない。
【0114】本発明によるフィルタリング装置に組み込
まれたビデオ源は、最初は商用ネットワークテレビ放送
の一部であり、次は映画「トップガン」のレーザディス
クのジャケットが実験室で動き回っているところを示す
「ホームビデオ」であった。連続する差分フレームにつ
いてL−Z圧縮機構を引き続き実行させることを可能に
して8(ε*)未満の値をゼロにした。こうしてフィル
タリングされた信号は、次いで従来の態様で圧縮解除プ
ロセッサ36へと送られ、該プロセッサにより、一連のL
−Z圧縮表現から2次元ビデオ信号が既知の態様で再構
成された。
【0115】全ての場合において、ビデオ画像は明らか
に改善され、スペックル(ノイズ)の多くが除去され
た。本発明によるフィルタリングの副次的利点として、
伝送すべき情報(フィルタリングされた信号)の量は、
よりランダムでないものとなり、従って、L−Z機構等
の既知の技法を用いて伝送用に一層効率よく圧縮するこ
とが可能になった(伝送を目的とした符号化および圧縮
は、本発明のフィルタリング段階で利用するニーポイン
ト値ε*を決定するための圧縮と同じものではない点に
留意されたい)。
【0116】本発明による方法および装置の更に別の用
途として、従来のスペクトルフィルタの設計に本発明を
実際に利用することができる。こうした用途では、ユー
ザは、指定された公差εに関する信号の複雑さCが、そ
の指定された公差ε内において、フーリエ級数として信
号の近似を行うのに必要な周波数の最小数となるよう
に、前記複雑さCを選択する。この場合には、二乗平均
(RMS)測度が用いられることになる。
【0117】ここで図3を参照する。圧縮プロセッサ34
は、まずサンプルブロックの離散フーリエ変換の計算を
行う。次いで圧縮プロセッサ34は、廃棄される項のRM
S値がεを超えない限り、その変換の連続的な項を昇順
にゼロにする。その残りの項が、信号の圧縮表現を形成
し、こうした項の数が、公差εに関する信号の複雑さと
なる。圧縮プロセッサは、信号を適当に表現する最小数
の周波数を探すので、William of Occamの格言に従うも
のである、という点に留意されたい。
【0118】このような用途の場合でさえ、損失公差ε
がノイズ強度未満に設定されると、複雑さが急激に増す
ことになる、ということを本発明者は発見した。これ
は、ほとんどのランダムノイズの表現に必要な周波数成
分が、ほとんどの信号の表現に必要な周波数成分よりも
多いという、一般的な観測に一致するものである。上述
の方法を利用する場合、最適化プロセッサ35は、圧縮プ
ロセッサ34に適用される損失公差εを変更し、圧縮プロ
セッサ34により生成された圧縮信号(包含される周波数
の集合)に基づいて、複雑さ−損失公差(C−ε)曲線
の表現を構成することになる。
【0119】最適化プロセッサ35がε*の値を確立する
と、圧縮プロセッサ34は、それ以上最適化プロセッサ35
による監視を受けることなく動作することが可能とな
る。従って、圧縮プロセッサ34は、従来のスペクトルフ
ィルタとみなすことができ、それがゼロに設定する周波
数がその阻止帯域となり、また保持する周波数がその通
過帯域となる。従って、実際には、圧縮プロセッサを物
理的フィルタに置換しても全く同じ阻止および通過特性
を得ることが可能である。
【0120】一般に、上述の阻止帯域および通過帯域は
かなり複雑であり、人手を介して発見するのは困難とな
り得る。従って、本発明を用いることにより、従来のス
ペクトルフィルタの設計を自動化するという利点を得る
ことができる。
【0121】本発明の幾つかの用途については以上の通
りである。それら全てに共通しているのは、以下の特性
である。
【0122】1)ノイズはランダムであるが、無ノイズ信
号はランダムではない。
【0123】2)信号に或る測度を適用して、2つの信号
間の差を測定する。
【0124】3)信号に複雑さの尺度を適用する。
【0125】上述の特定の用途で立証されたように、本
発明は、そのようなあらゆる装置に等しく適用可能なも
のである。
【0126】以下、本発明の実施態様を列挙する。
【0127】1.ランダムノイズにより改悪された所望
信号を含む有ノイズ信号をフィルタリングする装置であ
って、この装置が、A.前記有ノイズ信号の離散的サンプ
ルを非圧縮入力として有し、ユーザ定義測度により測定
された可調整誤差公差を超えて前記非圧縮入力と異なる
ことはなく、所定の複雑さの尺度では前記非圧縮入力よ
り小さい、近似信号の圧縮表現を、圧縮出力として有す
る、圧縮プロセッサと、B.前記近似信号の前記圧縮表現
を圧縮入力として有し、前記近似信号を圧縮解除出力と
して有する、圧縮解除プロセッサと、C.最適化プロセッ
サであって、1)前記圧縮プロセッサの前記圧縮出力に接
続され、前記近似信号の前記圧縮表現を受信する、最適
化入力と、2)前記圧縮プロセッサに接続され、その圧縮
プロセッサに前記可調整誤差公差を伝達する、公差出力
とを有する前記最適化プロセッサとを備えることを特徴
とする、前記フィルタリング装置。
【0128】2.前記有ノイズ信号の離散的サンプルを
格納する記憶装置を更に備えることを特徴とする、前項
1記載のフィルタリング装置。
【0129】3.前記有ノイズ信号をサンプリング入力
として有し、前記離散的サンプルの値をサンプル出力と
して有する、サンプリング回路を更に含み、そのサンプ
リング回路にサンプリング率信号を加えるために前記最
適化プロセッサが前記サンプリング回路に接続されてい
ることを特徴とする、前項1記載のフィルタリング装
置。
【0130】4.前記圧縮プロセッサと前記圧縮解除プ
ロセッサと前記最適化プロセッサとが単一の装置である
ことを特徴とする、前項1記載のフィルタリング装置。
【0131】5.ランダムノイズにより改悪された所望
信号を含む有ノイズ信号をフィルタリングする装置であ
って、この装置が、A.前記有ノイズ信号の離散的サンプ
ルを非圧縮入力として受信し、ユーザ定義測度により測
定された可調整誤差公差を超えて前記有ノイズ信号と異
なることはなく、所定の複雑さの尺度では前記非圧縮入
力より小さい、近似信号の圧縮表現を生成する、圧縮手
段と、B.前記近似信号の前記圧縮表現を受信し、前記近
似信号を圧縮解除出力として生成する、圧縮解除手段
と、C.前記圧縮手段に異なる値の可調整誤差公差を繰り
返し加え、対応する近似信号の圧縮表現を受信し、前記
の各誤差公差値毎に得られた圧縮表現の複雑さの値を前
記の所定の複雑さの尺度で計算し、ニーポイント公差値
を選択する、最適化手段とを備えることを特徴とする、
前記フィルタリング装置。
【0132】6.有ノイズ信号の離散的サンプルを記憶
するための記憶手段を更に備えることを特徴とする、前
項5記載のフィルタリング装置。
【0133】7.前記有ノイズ信号をサンプリングし、
前記離散的サンプルを生成する、サンプリング手段を更
に備え、そのサンプリング手段のサンプリング率を変更
するために前記最適化手段が前記サンプリング手段に接
続されていることを特徴とする、前項5記載のフィルタ
リング装置。
【0134】8.ランダムノイズにより改悪された所望
信号を含む有ノイズ信号をフィルタリングする方法であ
って、この方法が、A.誤差測度と複雑さの尺度とを選択
し、B.複数の誤差公差値の各々について、下記ステップ
C.ないしE.、即ち、C.前記誤差公差値のうちの1つを選
択し、D.圧縮プロセッサにおいて、前記の選択された誤
差測度に従い、前記の選択された誤差公差値を超えて前
記有ノイズ信号と異なることのない圧縮データ信号を生
成し、E.最適化プロセッサにおいて、前記の生成された
各圧縮データ信号毎に、前記の選択された複雑さの尺度
を用いて、対応する複雑さの値を計算する、というステ
ップを繰り返し、F.前記誤差公差に関して前記複雑さの
値が最大加速度を有することになる値としてニーポイン
ト誤差公差値を決定し、G.前記圧縮プロセッサについて
の実行誤差公差率を前記ニーポイント誤差公差値と等し
く設定し、H.前記圧縮プロセッサにおいて前記実行誤差
公差率で前記有ノイズ信号を圧縮し、その圧縮解除を前
記圧縮解除プロセッサで行うことにより、前記有ノイズ
信号のフィルタリングを行う、というステップを含むこ
とを特徴とする、前記フィルタリング方法。
【0135】9.前記有ノイズ信号の複数の有ノイズ離
散値を記憶回路に記憶させるというステップを更に含む
ことを特徴とする、前項8記載のフィルタリング方法。
【0136】10.前記複雑さの値と前記誤差公差値と
の関係の双一次近似を生成し、その双一次近似の区切り
点に対応する誤差公差値をニーポイント誤差公差値とし
て選択することにより、複雑さの値の最大加速度が決定
されることを特徴とする、前項8記載のフィルタリング
方法。
【0137】11.前項8記載のフィルタリング方法で
あって、この方法が、A.前記最適化プロセッサにおい
て、有ノイズ信号の複数の異なるサンプリング率を生成
し、その複数のサンプリング率の各々につき下記ステッ
プB.即ち、B.1)前記誤差公差値のうちの1つを選択し、
2)圧縮プロセッサにおいて、前記の選択された誤差測度
に従い、前記の選択された誤差公差値を超えて前記有ノ
イズ信号と異なることのない圧縮データ信号を生成し、
3)最適化プロセッサにおいて、前記の生成された各圧縮
データ信号毎に、前記の選択された複雑さの尺度を用い
て、対応する複雑さの値を計算する、というステップを
前記の複数の誤差公差値の各々について繰り返す、とい
うステップを繰り返し、C.前記の異なるサンプリング率
についての複雑さの値が所定のしきい値を超えて発散す
ることになる誤差公差値としてニーポイント誤差公差値
を決定する、というステップを更に含むことを特徴とす
る、前項8記載のフィルタリング方法。
【0138】
【発明の効果】本発明は上述のように構成したので、広
範な種類の信号にわたって有効であり、サンプリング率
およびフィルタリングの有効性の同時制御を可能にす
る、信号中のランダムノイズを低減させるための非スペ
クトルフィルタリング装置および方法を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ノイズにより改悪された極めて単純な入力信号
と、本発明で用いる出力の複雑さおよび損失公差の概念
の一実際例とを示すグラフである。
【図2】ランダムノイズにより改悪された信号に関する
出力の複雑さと損失公差との関係を示す単純化された定
性的なグラフである。
【図3】本発明によるフィルタリング装置を示すブロッ
ク図である。
【図4】本発明による装置のためのテスト関数として用
いられる無ノイズ信号を示すグラフである。
【図5】ランダムノイズが加えられた図4のテスト関数
のサンプルを示すグラフである。
【図6】図5の有ノイズテスト関数に関する「出力の複
雑さ」対「損失公差」を示すと共に最適ニーポイント値
の概念を示すグラフである。
【図7】本発明を用いて図5に示す有ノイズ信号にフィ
ルタリングを行った後の出力を示すグラフである。
【図8】フィルタリングされた信号中の残留ノイズを損
失公差の関数として示すグラフである。
【図9】有ノイズ入力信号の異なるサンプリング率につ
いて、損失公差の関数として出力サイズ即ち複雑さを示
すグラフである。
【図10】有ノイズ入力信号の異なるサンプリング率に
ついて「残留ノイズ」対「損失公差」を示すグラフであ
る。
【図11】図5のサンプリングされた有ノイズ信号につ
いて実施された、従来技術によるスペクトルローパスフ
ィルタからの出力を示すグラフである。
【図12】ランダムノイズが追加された図4のテスト信
号のサンプルを示すグラフであり、この場合、ランダム
ノイズは非ゼロ平均を有している。
【図13】図12に示すサンプリングされた有ノイズ信
号を入力とする本発明によるフィルタリング装置からの
出力を示すグラフである。
【図14】本発明によるフィルタリング装置のテストに
用いた実際の心電図(ECG)信号の一部を示すグラフ
である。
【図15】図14のECG信号について実行した場合に
本発明により生成される損失公差の関数として出力の複
雑さを示すグラフである。
【図16】図14のECG信号を入力とした際に本発明
により出力されるフィルタリングされた出力信号を示す
グラフである。
【符号の説明】
30 信号源 31 ノイズ源 32 サンプルおよびホールド回路 33 メモリ 34 圧縮プロセッサ 35 最適化プロセッサ 36 圧縮解除プロセッサ f 有ノイズ入力信号 N サンプリング率 △ サンプリング周期 ε* ニーポイント ε 誤差公差パラメータ f0 無ノイズの所望信号 S(N、f) デジタル化有ノイズ入力信号 D(S、ε) 入力関数S(N、f)の圧縮表現

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ランダムノイズにより改悪された所望の信
    号を含む有ノイズ信号をフィルタリングする装置であっ
    て、この装置が、 A.前記有ノイズ信号の離散的サンプルを非圧縮入力とし
    て有し、ユーザ定義測度により測定された可調整誤差公
    差を超えて前記非圧縮入力と異なることはなく、所定の
    複雑さ尺度では前記非圧縮入力より小さい、近似信号の
    圧縮表現を、圧縮出力として有する、圧縮プロセッサ
    と、 B.前記近似信号の前記圧縮表現を圧縮入力として有し、
    前記近似信号を圧縮解除出力として有する、圧縮解除プ
    ロセッサと、 C.最適化プロセッサであって、 1)前記圧縮プロセッサの前記圧縮出力に接続され、前記
    近似信号の前記圧縮表現を受信する、最適化入力と、 2)前記圧縮プロセッサに接続され、その圧縮プロセッサ
    に前記可調整誤差公差を伝達する、公差出力と を有する前記最適化プロセッサと を備えることを特徴とする、前記フィルタリング装置。
JP05738294A 1993-03-26 1994-03-28 データ圧縮を用いたランダムノイズのフィルタリング装置 Expired - Fee Related JP4001935B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US08/037,774 US5400371A (en) 1993-03-26 1993-03-26 System and method for filtering random noise using data compression
US037774 1993-03-26

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0774708A true JPH0774708A (ja) 1995-03-17
JP4001935B2 JP4001935B2 (ja) 2007-10-31

Family

ID=21896264

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05738294A Expired - Fee Related JP4001935B2 (ja) 1993-03-26 1994-03-28 データ圧縮を用いたランダムノイズのフィルタリング装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US5400371A (ja)
JP (1) JP4001935B2 (ja)

Families Citing this family (26)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19523885A1 (de) * 1995-06-30 1997-01-02 Zeiss Carl Fa Verfahren zur Filterung von Meßwertkurven
US5787209A (en) * 1996-02-05 1998-07-28 Hewlett-Packard Company Method of filtering images using image compressibility to determine threshold parameter
AU9761798A (en) * 1997-12-05 1999-06-28 Force Technology Corp. Continuous gradation compression device and method, continuous gradation expansion device and method, data processor and device and memory medium in which programs for executing the programs
US6323910B1 (en) 1998-03-26 2001-11-27 Clark, Iii William T. Method and apparatus for producing high-fidelity images by synchronous phase coherent digital image acquisition
US6519486B1 (en) 1998-10-15 2003-02-11 Ntc Technology Inc. Method, apparatus and system for removing motion artifacts from measurements of bodily parameters
US7991448B2 (en) * 1998-10-15 2011-08-02 Philips Electronics North America Corporation Method, apparatus, and system for removing motion artifacts from measurements of bodily parameters
US6388673B1 (en) * 1999-09-30 2002-05-14 International Business Machines Corporation Method and system for filter type approximation in computer graphics processing
US6473008B2 (en) 2000-02-07 2002-10-29 Siemens Medical Systems, Inc. System for sampling a data signal
US7080101B1 (en) * 2000-12-01 2006-07-18 Ncr Corp. Method and apparatus for partitioning data for storage in a database
FR2832271A1 (fr) * 2001-11-13 2003-05-16 Koninkl Philips Electronics Nv Tuner comprenant un convertisseur de tension
US7027982B2 (en) * 2001-12-14 2006-04-11 Microsoft Corporation Quality and rate control strategy for digital audio
US6980695B2 (en) * 2002-06-28 2005-12-27 Microsoft Corporation Rate allocation for mixed content video
US7383180B2 (en) * 2003-07-18 2008-06-03 Microsoft Corporation Constant bitrate media encoding techniques
US7343291B2 (en) * 2003-07-18 2008-03-11 Microsoft Corporation Multi-pass variable bitrate media encoding
US7606339B2 (en) * 2004-04-07 2009-10-20 Dell Products L.P. Information handling system including adaptive interference suppression feature and method of operation
US7646924B2 (en) * 2004-08-09 2010-01-12 David Leigh Donoho Method and apparatus for compressed sensing
KR100775063B1 (ko) * 2006-11-09 2007-11-08 삼성전자주식회사 이미지 센서의 랜덤 노이즈 평가 방법 및 평가 장치
US8254455B2 (en) * 2007-06-30 2012-08-28 Microsoft Corporation Computing collocated macroblock information for direct mode macroblocks
US7907784B2 (en) * 2007-07-09 2011-03-15 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Commerce Selectively lossy, lossless, and/or error robust data compression method
US8325800B2 (en) 2008-05-07 2012-12-04 Microsoft Corporation Encoding streaming media as a high bit rate layer, a low bit rate layer, and one or more intermediate bit rate layers
US8379851B2 (en) * 2008-05-12 2013-02-19 Microsoft Corporation Optimized client side rate control and indexed file layout for streaming media
US7860996B2 (en) 2008-05-30 2010-12-28 Microsoft Corporation Media streaming with seamless ad insertion
US8265140B2 (en) * 2008-09-30 2012-09-11 Microsoft Corporation Fine-grained client-side control of scalable media delivery
US8189666B2 (en) 2009-02-02 2012-05-29 Microsoft Corporation Local picture identifier and computation of co-located information
CN105680868B (zh) * 2014-11-17 2019-04-12 华为技术有限公司 压缩流数据的方法及设备
US10750966B2 (en) * 2016-03-31 2020-08-25 Zoll Medical Corporation Systems and methods of patient data compression

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4504864A (en) * 1982-12-30 1985-03-12 International Business Machines Corporation Nonlinear filtering of gray scale images

Also Published As

Publication number Publication date
JP4001935B2 (ja) 2007-10-31
US5400371A (en) 1995-03-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4001935B2 (ja) データ圧縮を用いたランダムノイズのフィルタリング装置
Littler et al. Wavelets for the analysis and compression of power system disturbances
Hilton et al. Compressing still and moving images with wavelets
US7099417B2 (en) Trace video filtering using wavelet de-noising techniques
US20070053517A1 (en) Method and apparatus for the compression and decompression of image files using a chaotic system
JPH0722962A (ja) ブロッキングアーティファクトを抑制する符号化/復号化方法及びその装置
Pei et al. An introduction to discrete finite frames
JP2014524048A (ja) 変換符号化または変換復号化のための分析重み付けウィンドウまたは合成重み付けウィンドウの適合化
US7363216B2 (en) Method and system for parametric characterization of transient audio signals
EP3248190B1 (en) Method of encoding, method of decoding, encoder, and decoder of an audio signal
FR2702917A1 (fr) Codeur-décodeur pour un codage compatible sous-bande d'images de télévision, et son application au codage de mouvement hiérarchique par des structures arborescentes .
US8595017B2 (en) Audio encoding method and device
EP0924646A2 (en) Method for fractal coding of video or audio signals
JP3299073B2 (ja) 量子化装置及び量子化方法
Park et al. A pyramid image coder using classified transform vector quantization
JP3613405B2 (ja) 帯域圧縮信号復元装置及び帯域圧縮信号復元方法
Xie et al. Previsualized image vector quantization with optimized pre-and postprocessors
Creusere Perfect reconstruction modulated polyphase filter banks using reverse-time subfilters
Vijaya Arjunan Image denoising using multiple wavelet decomposition with bicubic interpolation
JPH02207672A (ja) 画像処理方式
Jagatheswari et al. Image compression of 2-d continuous exponential functions, continuous periodic functions and product of sine and cosine functions using discrete wavelet transform
Sundsbo et al. Synthesis filterbank with low hardware complexity for subband image coding
FR3134198A1 (fr) Procédé et dispositif de décodage d’un hologramme numérique, procédé et dispositif de codage d’un hologramme numérique et programme d’ordinateur associé
JP3057258B2 (ja) ディジタルデータの高能率符号化装置及び方法
Balasingham et al. Are the wavelet transforms the best filter banks for image compression?

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040316

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20070328

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20070402

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070705

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070816

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100824

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees