JPH0773889B2 - 後染め不可能なボタン用透明樹脂の処理方法 - Google Patents
後染め不可能なボタン用透明樹脂の処理方法Info
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- JPH0773889B2 JPH0773889B2 JP35883991A JP35883991A JPH0773889B2 JP H0773889 B2 JPH0773889 B2 JP H0773889B2 JP 35883991 A JP35883991 A JP 35883991A JP 35883991 A JP35883991 A JP 35883991A JP H0773889 B2 JPH0773889 B2 JP H0773889B2
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- curing
- transparent resin
- dyed
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、衣服等に取付けられ
るボタンを形成する際に使用される後染め不可能なボタ
ン用透明樹脂の処理方法に関する。
るボタンを形成する際に使用される後染め不可能なボタ
ン用透明樹脂の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、衣服等のボタンは、通常はポリエ
ステル樹脂によって製造されている。ボタンは、ポリエ
ステル樹脂に着色顔料を混入して、例えば棒管方式によ
り各種彩色模様を持った棒生地を得、この棒生地をスラ
イス切断してボタン材料を形成する。更に、ボタン材料
の適所に凹部を設け、この凹部に彩色模様を施した金属
板を嵌着し、この金属板の表面に透明のポリエステル樹
脂を注形して透明被膜を形成している。
ステル樹脂によって製造されている。ボタンは、ポリエ
ステル樹脂に着色顔料を混入して、例えば棒管方式によ
り各種彩色模様を持った棒生地を得、この棒生地をスラ
イス切断してボタン材料を形成する。更に、ボタン材料
の適所に凹部を設け、この凹部に彩色模様を施した金属
板を嵌着し、この金属板の表面に透明のポリエステル樹
脂を注形して透明被膜を形成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】通常、ボタンはボタン
見本から希望のボタンを選択し、希望する色に後染めす
ることが行われている。この場合、分散染料(強アルカ
リ性染料)で希望の色に染色される。ポリエステル樹脂
は、アルカリ性に弱いスチロールが約40%混入されて
おり、分子構造が粗い関係上、分散染料によって後染め
可能である。また、ボタンの後染めはケンロード4級或
いは5級の等級で染められる。これは、日本染色協会に
よって規定されている染色基準で、等級は分散染料に混
入される界面活性剤の濃度によって区分されている。4
級乃至5級は、石鹸によって色落ちせず、ベンジンによ
るドライクリーニングでも色落ちせず、また蒸気アイロ
ンにも耐え、且つ日射によっても変色しない程度の染色
基準とされている。ボタンの後染めは、例えばボタン本
体の地色が乳白色であるとすると、後染めにより希望の
色、例えば赤色等、各種色合いに染色される。ところ
が、この染色によってボタン本体は勿論、透明樹脂被膜
(ポリエステル樹脂膜)まで赤色に染色されるため、金
属板の彩色模様が赤色被膜を介して外観される結果、ボ
タンの意匠要部である彩色模様(金属板)の色合いが減
殺され、意匠効果を失う不利があった。
見本から希望のボタンを選択し、希望する色に後染めす
ることが行われている。この場合、分散染料(強アルカ
リ性染料)で希望の色に染色される。ポリエステル樹脂
は、アルカリ性に弱いスチロールが約40%混入されて
おり、分子構造が粗い関係上、分散染料によって後染め
可能である。また、ボタンの後染めはケンロード4級或
いは5級の等級で染められる。これは、日本染色協会に
よって規定されている染色基準で、等級は分散染料に混
入される界面活性剤の濃度によって区分されている。4
級乃至5級は、石鹸によって色落ちせず、ベンジンによ
るドライクリーニングでも色落ちせず、また蒸気アイロ
ンにも耐え、且つ日射によっても変色しない程度の染色
基準とされている。ボタンの後染めは、例えばボタン本
体の地色が乳白色であるとすると、後染めにより希望の
色、例えば赤色等、各種色合いに染色される。ところ
が、この染色によってボタン本体は勿論、透明樹脂被膜
(ポリエステル樹脂膜)まで赤色に染色されるため、金
属板の彩色模様が赤色被膜を介して外観される結果、ボ
タンの意匠要部である彩色模様(金属板)の色合いが減
殺され、意匠効果を失う不利があった。
【0004】この発明は、以上のような課題を解消さ
せ、硬化後は一切、後染めし得ない透明樹脂を得るため
の後染め不可能なボタン用透明樹脂の処理方法を提供す
ることを目的とする。
せ、硬化後は一切、後染めし得ない透明樹脂を得るため
の後染め不可能なボタン用透明樹脂の処理方法を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】この発明の後染
め不可能なボタン用透明樹脂の処理方法は、ビニルエス
テルにアクリルモノマーを配して重合したビニル樹脂基
材に漂白剤を添加して脱色し樹脂透明性を得る工程と、
この透明樹脂剤に樹脂硬化用促進剤を投入して攪拌する
攪拌工程と、攪拌後に樹脂硬化速度を遅らせる遅速硬化
剤を混入する工程と、硬化剤混入後に熱乾燥室でゲル促
進・硬化を図る熱風乾燥工程と、熱風乾燥後に所定時
間、常温放置して自然硬化させる工程と、自然硬化後に
染色温度以上の高温で煮沸する工程とから成る。
め不可能なボタン用透明樹脂の処理方法は、ビニルエス
テルにアクリルモノマーを配して重合したビニル樹脂基
材に漂白剤を添加して脱色し樹脂透明性を得る工程と、
この透明樹脂剤に樹脂硬化用促進剤を投入して攪拌する
攪拌工程と、攪拌後に樹脂硬化速度を遅らせる遅速硬化
剤を混入する工程と、硬化剤混入後に熱乾燥室でゲル促
進・硬化を図る熱風乾燥工程と、熱風乾燥後に所定時
間、常温放置して自然硬化させる工程と、自然硬化後に
染色温度以上の高温で煮沸する工程とから成る。
【0006】このような構成を有する後染め不可能なボ
タン用透明樹脂の処理方法では、本来薄茶色の樹脂基材
(大日本インキ株式会社製の商品名・スリムライトTR
ー100)が使用される。この樹脂基材は、薄茶色で透
明性がない。また、この樹脂基材はビニルエステル樹脂
(ビニルエステルにアクリルモノマーを配して重合した
ビニル樹脂)で、添加されている促進剤により速硬化性
を有する。このため、注形が困難であり透明性もないこ
とから、ボタン原料としては不適当と考えられていたも
のである。この樹脂基材に、漂白剤を例えば0.5%
(重量)を投入して脱色し透明感のある樹脂を得る。こ
の後、樹脂硬化用の促進剤を例えば0.5%(重量)を
混入して攪拌した後、例えばポリエステル樹脂製ボタン
本体に注形する際に、遅速硬化剤(日本油脂製の商品名
・パーキュアVE)を例えば2%(重量)を混入する。
これにより、注形作業を容易にする。そして、ボタン本
体の適所に透明樹脂被膜を注形した後、熱乾燥室で約6
0℃程度の温度で約1時間、熱風乾燥しゲル促進・硬化
処理を実行する。この熱風乾燥処理は、次の沸騰水中で
の煮沸工程の前工程として実行され、急激な熱処理によ
る樹脂クラック発生を防止するためである。この後、約
1日程度、常温のもとで自然硬化を促進させる。そし
て、自然硬化を終了した後に、染色温度(約90℃)よ
りも約30℃程度高い沸騰水(約120℃)中で約1時
間煮沸する。これにより、染色時点の温度より遙に高い
温度で煮沸する結果、樹脂が極度に硬化するため、染料
との親和性が失なわれ、後染め不可能となる。また、樹
脂基材のアクリルモノマーが耐アルカリ性であるから、
強アルカリ性の分散染料によっても、表面が所謂荒らさ
れることがなく、一層、後染め不可能となる。かくし
て、例えばボタン本体(ポリエステル樹脂製本体)の彩
色金属板表面に、この透明樹脂を注形したのち硬化処理
(各熱処理)を施した場合、ボタンを後染めするとボタ
ン本体のみが染色され、透明樹脂被膜は透明のまま一切
染色されない。従って、模様金属板の彩色は透明樹脂被
膜を介して、そのまま外観し得、ボタン意匠が減殺され
ることがない。
タン用透明樹脂の処理方法では、本来薄茶色の樹脂基材
(大日本インキ株式会社製の商品名・スリムライトTR
ー100)が使用される。この樹脂基材は、薄茶色で透
明性がない。また、この樹脂基材はビニルエステル樹脂
(ビニルエステルにアクリルモノマーを配して重合した
ビニル樹脂)で、添加されている促進剤により速硬化性
を有する。このため、注形が困難であり透明性もないこ
とから、ボタン原料としては不適当と考えられていたも
のである。この樹脂基材に、漂白剤を例えば0.5%
(重量)を投入して脱色し透明感のある樹脂を得る。こ
の後、樹脂硬化用の促進剤を例えば0.5%(重量)を
混入して攪拌した後、例えばポリエステル樹脂製ボタン
本体に注形する際に、遅速硬化剤(日本油脂製の商品名
・パーキュアVE)を例えば2%(重量)を混入する。
これにより、注形作業を容易にする。そして、ボタン本
体の適所に透明樹脂被膜を注形した後、熱乾燥室で約6
0℃程度の温度で約1時間、熱風乾燥しゲル促進・硬化
処理を実行する。この熱風乾燥処理は、次の沸騰水中で
の煮沸工程の前工程として実行され、急激な熱処理によ
る樹脂クラック発生を防止するためである。この後、約
1日程度、常温のもとで自然硬化を促進させる。そし
て、自然硬化を終了した後に、染色温度(約90℃)よ
りも約30℃程度高い沸騰水(約120℃)中で約1時
間煮沸する。これにより、染色時点の温度より遙に高い
温度で煮沸する結果、樹脂が極度に硬化するため、染料
との親和性が失なわれ、後染め不可能となる。また、樹
脂基材のアクリルモノマーが耐アルカリ性であるから、
強アルカリ性の分散染料によっても、表面が所謂荒らさ
れることがなく、一層、後染め不可能となる。かくし
て、例えばボタン本体(ポリエステル樹脂製本体)の彩
色金属板表面に、この透明樹脂を注形したのち硬化処理
(各熱処理)を施した場合、ボタンを後染めするとボタ
ン本体のみが染色され、透明樹脂被膜は透明のまま一切
染色されない。従って、模様金属板の彩色は透明樹脂被
膜を介して、そのまま外観し得、ボタン意匠が減殺され
ることがない。
【0007】
【実施例】図1は、この発明に係る後染め不可能なボタ
ン用透明樹脂の処理方法の具体的な処理工程を示す説明
図である。
ン用透明樹脂の処理方法の具体的な処理工程を示す説明
図である。
【0008】実施例の後染め不可能なボタン用透明樹脂
の処理方法は、樹脂基材に漂白剤を添加して脱色し樹脂
透明性を得る工程と、この透明樹脂剤に樹脂硬化用促進
剤を投入して攪拌する攪拌工程と、攪拌後に樹脂硬化速
度を遅らせる遅速硬化剤を混入する工程と、硬化剤混入
後に熱乾燥室でゲル促進・硬化を図る熱風乾燥工程と、
熱風乾燥後に所定時間、常温放置して自然硬化させる工
程と、自然硬化後に染色温度以上の高温で煮沸する工程
とから成る。樹脂基材(素材樹脂)は、本来薄茶色の樹
脂基材(大日本インキ株式会社製の商品名・スリムライ
トTRー100)が使用される〔ステップ(以下、ST
という)1参照〕。この樹脂基材は、薄茶色で透明性が
ない。また、この樹脂基材はビニルエステル樹脂(ビニ
ルエステル樹脂にアクリルモノマーを配して重合したビ
ニル樹脂)で、速硬化性を有する。このため、注形が困
難であり透明性もないことから、ボタン原料としては不
適当と考えられていたものである。この樹脂基材に、漂
白剤(CIBAGEIGY社製の商品名・ユビテックス
OB)を0.2乃至0.7重量%を投入する。実施例で
は0.5重量%投入する(ST2)。つまり、樹脂基材
100%に対し漂白剤を0.5重量%投入する。これに
より、本来薄茶色の樹脂基材を脱色し透明感のある樹脂
とする。更に、この透明樹脂に対し促進剤(ナフテンサ
ンコバルト)を0.2乃至1.0重量%投入する。実施
例では0.5重量%投入し、小型ミキサーにより約30
分攪拌する(ST3)。この後、透明樹脂(樹脂基材)
に対し、遅速硬化剤(日本油脂製の商品名・パーキュア
VE)を、1乃至3重量%を混入する。実施例では2重
量%を混入する(ST4)。これにより、樹脂注形作業
を容易にする。そして、熱乾燥室において約50乃至7
0℃の熱風で乾燥する。実施例では、約1時間、60℃
程度の熱風処理を実行する(ST6)。これにより、樹
脂のゲル促進・硬化処理を行う。この熱風乾燥処理は、
次の沸騰水中での煮沸工程の前工程として実行され、急
激な熱処理による樹脂クラック発生を防止するためであ
る。この後、約1日程度、常温のもとで自然硬化を促進
させる(ST7)。そして、自然硬化を終了した後に、
染色温度(約90℃)よりも約30℃程度高い沸騰水
(約120℃乃至140℃)中で約1時間煮沸する(S
T8)。この煮沸処理は、サーモスタットを備えた容器
内に入れた熱水に対し、エチレングリコールを入れて沸
騰点を上げる。実施例では、130℃程度の沸騰水に保
持し、この沸騰水中で煮沸する。これにより、熱風乾燥
では得られない高温度で加熱処理でき、熱風乾燥時点に
おいて、各ボタンに発生していた硬化ムラを解消する。
更に、樹脂基材であるビニル樹脂の分子構造が密である
上に、染色時点の温度より遙に高い温度で煮沸する結
果、樹脂が極度に硬化し表面が極めて平滑面となるた
め、染料との親和性が失なわれ、後染め不可能となる。
また、樹脂基材のアクリルモノマーが耐アルカリ性であ
るから、強アルカリ性の分散染料によっても、表面が所
謂、荒らされることがなく、一層後染め不可能となる。
の処理方法は、樹脂基材に漂白剤を添加して脱色し樹脂
透明性を得る工程と、この透明樹脂剤に樹脂硬化用促進
剤を投入して攪拌する攪拌工程と、攪拌後に樹脂硬化速
度を遅らせる遅速硬化剤を混入する工程と、硬化剤混入
後に熱乾燥室でゲル促進・硬化を図る熱風乾燥工程と、
熱風乾燥後に所定時間、常温放置して自然硬化させる工
程と、自然硬化後に染色温度以上の高温で煮沸する工程
とから成る。樹脂基材(素材樹脂)は、本来薄茶色の樹
脂基材(大日本インキ株式会社製の商品名・スリムライ
トTRー100)が使用される〔ステップ(以下、ST
という)1参照〕。この樹脂基材は、薄茶色で透明性が
ない。また、この樹脂基材はビニルエステル樹脂(ビニ
ルエステル樹脂にアクリルモノマーを配して重合したビ
ニル樹脂)で、速硬化性を有する。このため、注形が困
難であり透明性もないことから、ボタン原料としては不
適当と考えられていたものである。この樹脂基材に、漂
白剤(CIBAGEIGY社製の商品名・ユビテックス
OB)を0.2乃至0.7重量%を投入する。実施例で
は0.5重量%投入する(ST2)。つまり、樹脂基材
100%に対し漂白剤を0.5重量%投入する。これに
より、本来薄茶色の樹脂基材を脱色し透明感のある樹脂
とする。更に、この透明樹脂に対し促進剤(ナフテンサ
ンコバルト)を0.2乃至1.0重量%投入する。実施
例では0.5重量%投入し、小型ミキサーにより約30
分攪拌する(ST3)。この後、透明樹脂(樹脂基材)
に対し、遅速硬化剤(日本油脂製の商品名・パーキュア
VE)を、1乃至3重量%を混入する。実施例では2重
量%を混入する(ST4)。これにより、樹脂注形作業
を容易にする。そして、熱乾燥室において約50乃至7
0℃の熱風で乾燥する。実施例では、約1時間、60℃
程度の熱風処理を実行する(ST6)。これにより、樹
脂のゲル促進・硬化処理を行う。この熱風乾燥処理は、
次の沸騰水中での煮沸工程の前工程として実行され、急
激な熱処理による樹脂クラック発生を防止するためであ
る。この後、約1日程度、常温のもとで自然硬化を促進
させる(ST7)。そして、自然硬化を終了した後に、
染色温度(約90℃)よりも約30℃程度高い沸騰水
(約120℃乃至140℃)中で約1時間煮沸する(S
T8)。この煮沸処理は、サーモスタットを備えた容器
内に入れた熱水に対し、エチレングリコールを入れて沸
騰点を上げる。実施例では、130℃程度の沸騰水に保
持し、この沸騰水中で煮沸する。これにより、熱風乾燥
では得られない高温度で加熱処理でき、熱風乾燥時点に
おいて、各ボタンに発生していた硬化ムラを解消する。
更に、樹脂基材であるビニル樹脂の分子構造が密である
上に、染色時点の温度より遙に高い温度で煮沸する結
果、樹脂が極度に硬化し表面が極めて平滑面となるた
め、染料との親和性が失なわれ、後染め不可能となる。
また、樹脂基材のアクリルモノマーが耐アルカリ性であ
るから、強アルカリ性の分散染料によっても、表面が所
謂、荒らされることがなく、一層後染め不可能となる。
【0009】図2乃至図5は、実施例の後染め不可能な
ボタン用透明樹脂の処理方法を使用してボタンを成形す
る具体的な製造工程例を示す説明図である。ボタン本体
1は、公知のように分散染料により後染め可能なポリエ
ステル樹脂により形成されている。このボタン本体1に
は面内に適当深さの凹部4が穴あけ加工され、この凹部
4に対し、表面に彩色模様を施した金属板2が嵌着され
る。この後、この金属板2の表面に、上記ST4で硬化
剤が添加された透明樹脂が注形され、金属板2の表面が
透明樹脂被膜部3で覆われる(図3参照)。この後、こ
の透明樹脂被膜部3の表面に対し、熱風ドライヤーで4
0℃乃至60℃の熱風を吹きつける。つまり、図1の第
1熱処理(ST5)が実行される。これにより、透明樹
脂被膜部3中の気泡を取り除き、一層の透明性を得る。
そして、このボタンAを乾燥室に入れ、上記ST6の熱
風乾燥処理(第2熱処理)を実行する。この熱風乾燥処
理により、透明樹脂被膜部3の表面には、上記ST2、
ST3及びST4で添加した添加物(促進剤、硬化剤
等)の溶剤が浮上し、表面に粘着性のある膜が発生す
る。従って、この粘着性膜に対し粘着を抑える紛状物
(例えば、メリケン粉)をまぶし、各ボタンAの接着を
防止する。この状態で、上記ST7の自然硬化処理を行
った後、上記ST8の沸騰水中での煮沸を実行する。こ
の煮沸により、各ボタンAの表面に付着した粘着物(粉
状物)は、白く固まる。この煮沸処理が終了した後、冷
却水で冷却する(ST9)。そして、透明樹脂被膜部3
表面の白く固まった部分を研磨処理(磨き処理)をす
る。これにより、金属板2の表面に透明樹脂被膜部3が
現出する(図4参照)。この状態で、透明樹脂被膜部3
は極度に硬化しているため、染料との親和性が失なわ
れ、後染め不可能となる。また、樹脂基材のアクリルモ
ノマーが耐アルカリ性であるから、強アルカリ性の分散
染料によっても、表面が所謂荒らされることがなく、一
層後染め不可能となる。従って、図5で示すように分散
染料(例えばケンロード4級乃至5級)によりボタンA
を後染め処理した場合、ポリエステル樹脂製のボタン本
体1のみが染色されて染色本体1aとなり、透明樹脂被
膜部3は透明のまま染色されない。従って、模様金属板
2の彩色は透明樹脂被膜部3を介して、そのまま外観し
得、ボタン意匠が減殺されることがない。
ボタン用透明樹脂の処理方法を使用してボタンを成形す
る具体的な製造工程例を示す説明図である。ボタン本体
1は、公知のように分散染料により後染め可能なポリエ
ステル樹脂により形成されている。このボタン本体1に
は面内に適当深さの凹部4が穴あけ加工され、この凹部
4に対し、表面に彩色模様を施した金属板2が嵌着され
る。この後、この金属板2の表面に、上記ST4で硬化
剤が添加された透明樹脂が注形され、金属板2の表面が
透明樹脂被膜部3で覆われる(図3参照)。この後、こ
の透明樹脂被膜部3の表面に対し、熱風ドライヤーで4
0℃乃至60℃の熱風を吹きつける。つまり、図1の第
1熱処理(ST5)が実行される。これにより、透明樹
脂被膜部3中の気泡を取り除き、一層の透明性を得る。
そして、このボタンAを乾燥室に入れ、上記ST6の熱
風乾燥処理(第2熱処理)を実行する。この熱風乾燥処
理により、透明樹脂被膜部3の表面には、上記ST2、
ST3及びST4で添加した添加物(促進剤、硬化剤
等)の溶剤が浮上し、表面に粘着性のある膜が発生す
る。従って、この粘着性膜に対し粘着を抑える紛状物
(例えば、メリケン粉)をまぶし、各ボタンAの接着を
防止する。この状態で、上記ST7の自然硬化処理を行
った後、上記ST8の沸騰水中での煮沸を実行する。こ
の煮沸により、各ボタンAの表面に付着した粘着物(粉
状物)は、白く固まる。この煮沸処理が終了した後、冷
却水で冷却する(ST9)。そして、透明樹脂被膜部3
表面の白く固まった部分を研磨処理(磨き処理)をす
る。これにより、金属板2の表面に透明樹脂被膜部3が
現出する(図4参照)。この状態で、透明樹脂被膜部3
は極度に硬化しているため、染料との親和性が失なわ
れ、後染め不可能となる。また、樹脂基材のアクリルモ
ノマーが耐アルカリ性であるから、強アルカリ性の分散
染料によっても、表面が所謂荒らされることがなく、一
層後染め不可能となる。従って、図5で示すように分散
染料(例えばケンロード4級乃至5級)によりボタンA
を後染め処理した場合、ポリエステル樹脂製のボタン本
体1のみが染色されて染色本体1aとなり、透明樹脂被
膜部3は透明のまま染色されない。従って、模様金属板
2の彩色は透明樹脂被膜部3を介して、そのまま外観し
得、ボタン意匠が減殺されることがない。
【0010】
【発明の効果】この発明では、以上のように、ビニルエ
ステル樹脂基材を漂白剤で透明処理し、この透明樹脂に
促進剤を加えたのち、遅速硬化剤を混入し、熱風乾燥室
でゲル促進・硬化させた後、常温のもとで自然硬化さ
せ、その後、染色温度より高い沸騰水中で煮沸すること
としたから、透明樹脂は分子構造の密度が一層高くなっ
て極度に硬化し、且つ表面の平滑性が極めて向上し、分
散染料との親和性が失われる。従って、分散染料による
後染めが全く不可能となり、ボタンの材料樹脂として極
めて有効である等、発明目的を達成した優れた効果を有
する。
ステル樹脂基材を漂白剤で透明処理し、この透明樹脂に
促進剤を加えたのち、遅速硬化剤を混入し、熱風乾燥室
でゲル促進・硬化させた後、常温のもとで自然硬化さ
せ、その後、染色温度より高い沸騰水中で煮沸すること
としたから、透明樹脂は分子構造の密度が一層高くなっ
て極度に硬化し、且つ表面の平滑性が極めて向上し、分
散染料との親和性が失われる。従って、分散染料による
後染めが全く不可能となり、ボタンの材料樹脂として極
めて有効である等、発明目的を達成した優れた効果を有
する。
【図1】後染め不可能なボタン用透明樹脂の処理方法を
示す工程説明図である。
示す工程説明図である。
【図2】ボタンの形成工程を示す説明図である。
【図3】ボタン本体に透明樹脂基材を被膜処理した状態
を示す説明図である。
を示す説明図である。
【図4】透明樹脂基材を後染め不可能とする処理を施し
た状態を示す説明図である。
た状態を示す説明図である。
【図5】透明樹脂被膜部のみが後染めされない状態を示
す説明図である。
す説明図である。
1 ボタン本体 2 模様金属板 3 透明樹脂被膜部
Claims (1)
- 【請求項1】 ビニルエステルにアクリルモノマーを配
して重合したビニル樹脂基材に漂白剤を添加して脱色
し、樹脂透明性を得る工程と、この透明樹脂材に樹脂硬
化用促進剤を投入して攪拌する攪拌工程と、攪拌後に樹
脂硬化速度を遅らせる遅速硬化剤を混入する工程と、硬
化剤混入後に熱乾燥室でゲル促進・硬化を図る熱風乾燥
工程と、熱風乾燥後に所定時間、常温放置して自然硬化
させる工程と、自然硬化後に染色温度以上の高温で煮沸
する工程とから成る後染め不可能なボタン用透明樹脂の
処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35883991A JPH0773889B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 後染め不可能なボタン用透明樹脂の処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35883991A JPH0773889B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 後染め不可能なボタン用透明樹脂の処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05177729A JPH05177729A (ja) | 1993-07-20 |
JPH0773889B2 true JPH0773889B2 (ja) | 1995-08-09 |
Family
ID=18461372
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35883991A Expired - Lifetime JPH0773889B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 後染め不可能なボタン用透明樹脂の処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0773889B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20010113339A (ko) * | 2000-06-19 | 2001-12-28 | 위용국 | 투명 수지 단추의 제조 방법 |
CN110313684B (zh) * | 2019-07-12 | 2022-04-08 | 张继 | 一种复合纽扣 |
CN114262510B (zh) * | 2022-01-17 | 2023-08-01 | 浙江飞素服饰有限公司 | 一种环保谷物树脂纽扣及其制备方法 |
-
1991
- 1991-12-27 JP JP35883991A patent/JPH0773889B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05177729A (ja) | 1993-07-20 |
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