JPH0772018A - 温覚呈示装置 - Google Patents

温覚呈示装置

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JPH0772018A
JPH0772018A JP21977993A JP21977993A JPH0772018A JP H0772018 A JPH0772018 A JP H0772018A JP 21977993 A JP21977993 A JP 21977993A JP 21977993 A JP21977993 A JP 21977993A JP H0772018 A JPH0772018 A JP H0772018A
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JP
Japan
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temperature
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peltier element
sensor
operator
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JP21977993A
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English (en)
Inventor
Hisashi Nishimura
西村  久
Takeo Asano
武夫 浅野
Mineyuki Maezawa
峰雪 前沢
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】この発明の温覚呈示装置にあっては、操作者が
対象を最適な操作力で操作或いは判断できるように、温
度情報を含めて操作者に伝達すること、及び対象の硬
さ、柔らかさ、反力感の知覚に温度情報を併用すること
を特徴とする。 【構成】温覚呈示装置は、ペルチエ素子を有した温覚呈
示部20と、回路部21と、そして対象或いは操作者の
指の皮膚の温度情報を検出するセンサ22とから構成さ
れている。上記回路部21は、温覚呈示部20のペルチ
素子を動作させる駆動回路21aと、センサ22からの
情報に従って駆動回路21aを制御すべく演算処理する
処理回路21bから成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、直接触れることがで
きない対象物を操作する場合に、その対象物の温覚情報
を人間の温覚器官に呈示する温覚呈示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、操作者が直接触れることができ
ない微細対象物や極限環境にて作業を行う装置に於い
て、操作者が操作を行う操作部と、それによってマニピ
ュレータ等が対象物に対して直接作業を行う動作部との
2つの構成要素を有し、その対象物を間接的に取り扱う
操作装置としては、例えば以下のようなものが存在す
る。
【0003】図10は、顕微鏡に設置して用いられるマ
イクロマニピュレータを示すもので、図10(a)は全
体を示す図であり、同図(b)は部分拡大図である。本
拡大図は、受精卵等の微細な細胞をピペットによって吸
引して固定しておき、刺針によって細胞内に試薬を注入
したり、異なる遺伝情報を持った遺伝子を注入する状況
の概略を示したものである(計測と制御;Vol.2
3,No.9 P32−38 細胞微細操作:鹿野 参
照)。
【0004】当該顕微鏡は、顕微鏡本体1に細胞2を固
定するピペット3、及びその対象物に対して作業を行う
刺針4とが、操作可能に取付けられている。顕微鏡本体
1には、上記ピペット3及び刺針4をそれぞれ手元で操
作するためのジョイスティック5及び6が取付けられて
いる。
【0005】そして、細胞2を顕微鏡で観察しながら、
ピペット3及び刺針4とをジョイスティック5及び6を
操作することにより、把持、切断、注入等の作業を行う
ようになっている。このような作業は、細胞や生体高分
子等の操作技術として、近代のバイオテクノロジーの研
究にはなくてはならない支援技術といえる。
【0006】また、図11はロボットのマニピュレータ
システムを示した図である。このマニピュレータシステ
ムは、センサを備えた複数の関節7及び処置部8を有す
るスレイブアーム9と、このスレイブアーム9の構成に
対応するもので、センサを備えた複数の関節10及び処
置部11を有するマスタアーム12と、このマスタアー
ム12と操作者の腕の動作自由度の整合を採るため、マ
スタアーム12に操作者の腕を固定するよう設けられた
固定部材13、そしてマスタアーム12の動作とスレイ
ブアーム9の動作が同じになるよう処置を行う信号処理
回路を含む制御系14より構成されている(機械技術研
究所所報;Vol.46(1992),No.2 P1
70−182 インピーダンス制御型マスタ・スレイブ
・システム−基本原理と伝送遅れへの応用:舘、榊 参
照)。
【0007】このようなロボットのマニピュレータシス
テムでは、操作者がマスタアーム12に腕を固定して任
意に操作することにより、その動作状態がセンサの情報
を制御し、対応するスレイブアーム9を駆動する。そし
て、操作者の動作をマスタアーム12を介してスレイブ
アーム9で再現し、また、スレイブアーム9が受ける外
力をマスタアーム12を介して操作者が直接力として受
ける。
【0008】上記のような、一連のマニピュレータシス
テムは、ロボットのマニピュレータシステムを始めとし
て現在数多く発表されている。ところで、上記したよう
な従来の装置に於ては、以下のような課題が存在する。
【0009】先ず、図10に示された従来例に於いて、
動作部が試料に正確に接触しているか否かの情報は、動
作部の動作は3次元であるにもかかわらず、顕微鏡の観
察画像は2次元的で奥行き方向の情報は、像のピント情
報でしか得られない。そのため、観察画像からでは動作
部がどのような状況で対象物に接触しているか等の判断
には相当な技術が要求され、熟練者しか使用できないよ
うな状況が現実には存在する。更に、医療やバイオ分野
等の研究対象は、細胞から細胞内物質へ、より微細なも
のへと変化してきている。これにより、対象物の観察及
び操作部位はますます微小化する傾向にあり、これに伴
ってマニピュレータの操作も、より高度で正確な操作が
要求されるようになってきた。
【0010】また、図11のロボットのマニピュレータ
システムに関しては、これらの対象物の把持時に抵抗感
が増加することにより、把持を認識するもので、対象物
の硬さ、柔らかさ等の情報をマスタに表現するといった
ような、通常の人間が物体を把持する場合に得る状況を
再現しようとするものではない。このため、対象物の搬
送等のおおまかな動作時にはこの程度の感覚表示で十分
であるが、精密で微細な動作や判断が要求されるマイク
ロマニピュレータ等に於いては、抵抗感の表示による操
作性向上や把持対象の正確な認識を望むには不十分であ
る。
【0011】このように、上述したような従来の操作装
置では、操作時に対象物、或いは組織に動作部のマニピ
ュレータがどのような状況で接触しているのか、また、
対象物をどれくらいの力量で把持しているのかという、
接触若しくは把持状態を認識すること、及び対象物の表
面粗さや表面温度等の各種の接触情報を得ることはでき
ないものであった。つまり、従来例に於いては、対象物
に対する触覚情報や把持状態、対象物の表面粗さや表面
温度等の各種の触覚情報を操作者にフィードバックする
ことは行われておらず、そのため、人間の触覚に基く微
妙で且つ正確な操作を行うことは困難なものであった。
【0012】このような状況を鑑みて、本件特許出願人
らは上記課題を解決するため、特願平5−57480号
により以下のような技術を述べている。これは、操作者
が自分の手によって、あたかも実際に対象を操作してい
るような感覚を操作者に触覚として伝達することによ
り、現状で問題となっている操作の乖離感を無くして装
置の機能向上と、より正確で操作性の良い装置を提供す
ることを目的とした、触覚呈示装置に関して、そのシス
テムと、特に触覚呈示部、デバイス構造について開示し
ている。
【0013】上記した特願平5−57480号の中で、
図12に示されるような台座15、コイル16、磁石1
7、ストッパ18及び触覚呈示部19から構成された電
気−機械変換トランスデューサを開示している。これ
は、触覚呈示部19を、コイル16と磁石17で構成さ
れたボイスコイルを用いて、人間の触覚の時間応答限界
以上の周波数で駆動し、触覚呈示部19上に載置した操
作者の指先に、対象の硬さ、柔らかさの情報を伝達す
る。それと共に、ボイスコイルに流れる電流量を変化さ
せることによって、触覚呈示部19の保持力を変化さ
せ、対象を潰すような力をかけた場合の対象からの反発
力をも伝達して、操作者が自分の手によって、あたかも
実際に対象を操作しているような感覚を得ることが可能
になった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の触覚呈示装置では、対象の硬さ、柔らかさ、反
力感といった知覚しか伝達できず、温度情報を操作者に
伝達することは、その構成上不可能であった。温度情報
は、人間が対象物に触れ、それが如何なる物質であるか
を判断する材料として重要な要素である。そのため、対
象とそれに見合った操作を決定するためには、温度情報
を伝達することも大変重要である。また、対象の硬さ、
柔らかさ、反力感といった知覚を伝達する場合に於いて
も、既提案の押圧と振動とによって行うだけでなく、温
度の併用が有効と考えられる。
【0015】したがって、この発明は、操作者が対象を
最適な操作力で操作或いは判断できるように、温度情報
を含めて操作者に伝達することと、対象の硬さ、柔らか
さ、反力感の知覚に温度情報を併用することで、より正
確で操作性の良い温覚呈示装置を提供することを目的と
する。
【0016】
【課題を解決するための手段】すなわちこの発明は、対
象物に接触してこの対象の温度状態を検出する検出手段
と、この検出手段で検出された温度状態に基いた温度状
態信号を皮膚への温覚情報に変更する信号処理手段と、
この信号処理手段で処理された上記温覚情報を操作者に
伝達して上記対象物と接触した場合の温覚情報を該操作
者に知覚させるべくもので、ペルチエ素子を有して上記
温覚情報の変化を伝達する温覚呈示手段とを具備するこ
とを特徴とする。
【0017】
【作用】この発明の温覚呈示装置にあっては、温度を変
化させるデバイスにペルチエ素子を用いて、温度の呈示
及び触覚の呈示をする。すなわち、検出手段が対象物に
接触した場合、その対象の温度状態を検出してその温度
状態信号を出力し、温度状態信号を信号処理手段によっ
て皮膚への温覚情報に変更する信号処理を行う。この処
理した信号に応じて、温覚呈示装置を駆動することによ
って、温覚情報を操作者に伝達して、対象物と接触した
場合の温度による対象の特徴を操作者に知覚させる。
【0018】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例を説
明する。初めに、この発明の概念について述べる。本件
特許出願人らは、上述した特願平5−57480号に
て、対象の硬さ、柔らかさの伝達が可能な触覚呈示装置
を述べている。ここでは、対象を判断し、それに見合っ
た操作を決定するためには対象の硬さ、柔らかさといっ
た触覚だけでなく温度情報の呈示が重要であるとしてい
る。これは、人間は対象が如何なる物質であるかを判断
する際、その温度から多くの情報を得るからである。ま
た、上記出願(特願平5−57480号)の触覚呈示装
置に於ける触覚の呈示は、押圧と振動とによって行って
いたが、ここでは振動の知覚が人間の皮膚の温度と密接
な関係を持つことに着目し、触覚呈示の更なる向上のた
めに触覚呈示部の温度を変化させるようにする。
【0019】すなわち、この発明の温覚呈示装置は、図
1に示されるように、温覚呈示部20と、この温覚呈示
部20を動作させる駆動回路21a及び処理回路21b
から成る回路部21と、そして対象或いは操作者の指の
皮膚の温度情報を検出するセンサ22とから構成されて
いる。そして、このなかで温覚呈示装置として温度を変
化させられる手法は、ペルチエ効果を利用することが有
効であることがわかる。
【0020】ペルチエ効果とは、異種の導体の接触面を
通して電流を流したとき、その接触面でジュール熱以外
に熱量Qの発生または吸収が起こる現象である。この熱
電効果は可逆的であり、電流の方向を逆転すると、熱の
発生は吸収に、吸収は発生に変化する。この結果は、一
般に金属と金属の接触よりも、金属と半導体または半導
体同志の接触の方が大きい。ここでは、図2に示される
ように、金属とp型半導体との接触によるペルチエ効果
について説明する。ここで、金属と半導体のフェルミ準
位は一致していなければならず、またその接触面では整
流性がなくオーミック接触になっていると仮定する。
【0021】いま、正孔が図2に示されるように、金属
から半導体中に流れ込むとする。接触面を通して正孔が
流れるためには、正孔は少なくともeVF [eV]のエ
ネルギーを吸収しなければならない。このeVF を吸収
して接触面を通過した正孔が半導体中を流れるために
は、更に運動エネルギーEが必要である。したがって、
接触面でeVF +Eのエネルギーが吸収されるわけで、
これがペルチエ効果として観測される熱の吸収の根源を
なすものである。
【0022】非縮退半導体、すなわちeVF >2kTの
状態にある半導体では、平均運動エネルギーは(3/
2)kT程度であるが、散乱効果等を考慮すると、3/
2の値は(5/2+γ)に修正され、平均運動エネルギ
ーEは E=(5/2+γ)kT …(1) で与えられる。
【0023】したがって、接触面を通して正孔が金属か
ら半導体中に流入するためには eVF +(5/2+γ)kT …(2) のエネルギーが必要である。このため、外部からエネル
ギーを吸収して、金属格子の熱エネルギーの消費で、こ
の必要なエネルギーを供給する。これがすなわち冷却効
果である。
【0024】逆に、正孔が半導体から金属に流れ込むと
きには、上記(2)式のエネルギーが余るので、熱とし
て放出される。ペルチエ効果による熱の発生または吸収
エネルギーを、電圧の単位で表すと πh =±{eVF +(5/2+γ)kT/e} =±kT/e{(5/2+γ)+ξh } …(3) で与えられる。これがペルチエ係数である。ここで、符
号±は電流方向によって決定され、吸熱及び発熱でそれ
ぞれ符号が異なる。
【0025】このようなペルチエ効果を生じるものに
は、ペルチエ素子がある。ペルチエ素子の特徴として
は、以下の点が挙げられる。すなわち、 i)可動部分がない固体装置である。 ii)電流の+−の切り換えで冷却、加熱ができる。 iii)小型、軽量である。 iv)冷却媒体を使わない。 v)温度応答が非常に速い。
【0026】したがって、この発明では、温度を変化さ
せる装置(温覚呈示部)にペルチエ素子を用いて、温度
の呈示、及び触覚の呈示をするようにする。以下、図面
に従って、この発明に係る温覚呈示装置について詳細に
説明する。
【0027】図3は、この発明の温覚呈示装置の第1の
実施例の構成を示すもので、温度を変化させるペルチエ
素子を説明するものである。金属電極23と金属電極2
4及び25は、p型素子26及びn型素子27により接
続されている。
【0028】いま、図示矢印方向に電流を流すと、ペル
チエ効果によって、金属電極23、24、25に温度変
化が生じる。この中で、金属電極23は温覚伝達部であ
り、ここに触れていると温度の変化を知覚することがで
きる。
【0029】図4は、この発明の第2の実施例を示す図
である。同図に於いて、温度を発生するペルチエ素子2
8が、台座29上に、図示の如くマトリクス状に複数個
配置されている。個々のペルチエ素子28は、それぞれ
独立に制御されるようになっている。ここで、各位置で
のペルチエ素子の温度を変化させると、等温の部分は同
一の物質と判断できる。したがって、対象物の形状を表
現することができる。尚、本装置のペルチエ素子の密度
を高めれば、形状のより細かな表現が可能となる。
【0030】次に、この発明の第3の実施例について説
明する。第3の実施例は、上述した第2の実施例と全く
同様な装置を用いて、滑り感の表現をしようというもの
である。
【0031】すなわち、図4に於いて、ペルチエ素子2
8の特定の1つ、或いは複数から構成される1単位に温
度変化を与え、そしてすぐにもとに戻す。次に、隣のペ
ルチエ素子に同様のことを施す。これを順次繰り返して
いくことによって、温度変化した部位が移動していくこ
とになる。操作者は、この現象を滑り感として感ずるこ
とができる。
【0032】上述した第2及び第3の実施例に於いて、
ペルチエ素子をマトリクス状に並べた温覚呈示装置につ
いて説明したが、次に上記温覚呈示装置(図1の温覚呈
示部20に相当する)とセンサとの信号処理及び伝達方
法に関して説明する。
【0033】図5に於いて、先ずアクセス信号発生部3
0からのアクセス信号によって、検出部22の検出を行
う場所を指定すると、X方向デコーダ31及びY方向デ
コーダ32を介して、温度センサから温度の情報が得ら
れる。この温度情報は、センスアンプ33、インターフ
ェース34、A/D変換器35を経てデジタル信号とな
って、上記アクセス信号発生部30からの位置データと
共にメモリ36に格納される。このメモリ36に格納さ
れたデータから、温覚呈示装置は以下のようにして駆動
される。
【0034】デジタル信号化された温度の情報は、D/
A変換器37にて再度アナログ信号である電圧に戻され
る。そして、アンプ38でペルチエ素子を駆動するのに
適切な電圧値に増幅される。ここで、メモリ36に格納
されていた位置データが指定する位置で駆動アンプ39
に電圧を入力することで、X方向デコーダ40及びY方
向デコーダ41を介して、温覚呈示装置20のその位置
のペルチエ素子に温度変化を生じさせる。
【0035】このような手順で、各センサの検出結果か
らそれぞれ対応するペルチエ素子に温度変化を生じさせ
ていくことにより、各ペルチエ素子は独立に制御するこ
ができる。
【0036】図6は、この発明の第4の実施例の温覚呈
示装置の構成を示す図である。温覚呈示部42は、ペル
チエ素子43とセンサ44から構成されている。ペルチ
エ素子43及びセンサ44は、駆動回路45及びセンサ
回路46、信号処理回路47を介して演算処理回路48
に接続されている。一方、対象物の温度を計測するため
のセンサ49は、そのセンサ回路50、信号処理回路5
1を介して演算処理回路48に接続されている。
【0037】いま、センサ49により対象物の温度を検
出すると、その情報はセンサ回路50、信号処理回路5
1を経て、デジタル量となって演算処理回路48に入力
される。また、温覚呈示部42にもセンサ44が設けら
れており、指の皮膚温がこのセンサ44で検出される。
そして、センサ44からセンサ回路46、信号処理回路
47を介してデジタル量となって演算処理回路48に入
力される。
【0038】この演算処理回路48には、対象物と指か
らの2つの情報が入力されている。これらの入力情報に
よる演算の結果、指の皮膚温を基準として、指の皮膚温
以上であれば多少低めの値に、指の皮膚温以下であれば
多少高めの値に修正して出力する。そして、駆動回路4
5でアナログ信号に戻され、ペルチエ素子43を駆動す
るのに適当な電圧値に変換されて、ペルチエ素子43に
温度変化を生じさせる。
【0039】ところで、人間は体温と同じ温度は正確に
判断ができるが、体温よりも高い温度に於いては更に高
い温度に、そして体温より低い温度に於いては更に低い
温度にと、実際の値以上に大袈裟に感じてしまう傾向が
ある(Hensel et al. in:Zotterman.Y.ed.:Sensory Fun
ctions of the Skin in Primates,Oxford.Pergamon Pre
ss 参照)。したがって、上記のような修正を行えば、
温度の正確な値を呈示するわけではなくなるが、人間の
知覚特性にあった判断しやすい感覚が得られる。
【0040】図7は、この発明の第5の実施例の構成を
示す図である。同図に於いて、ペルチエ素子52には、
センサ53が内蔵されている。そして、上記ペルチエ素
子52はペルチエ素子に温度変化を生じさせる駆動回路
45を介して、センサ53はセンサ回路54を介して、
それぞれ信号処理回路55に接続されている。
【0041】ペルチエ素子52に指を触れることで温覚
の呈示を行っているわけであるが、触れ始めてから時間
が経過すると共に指の皮膚とペルチエ素子との間に熱の
移動が起こり、触れている感覚は変化していく。そこ
で、温覚呈示部の温度を一定に保持し、触れた当初の温
覚を維持させようというのが、この第5の実施例であ
る。
【0042】ペルチエ素子52に内蔵されたセンサ53
は、常時ペルチエ素子52の温度を監視している。ま
た、温度の情報は、センサ回路54を介して信号処理回
路55に送られる。この信号処理回路55では、前に入
ってきた温度データと比較され、温度に変化が生じてい
れば駆動回路45に信号が送られて、ペルチエ素子52
の温度を一定に保つように制御する。
【0043】図8は、この発明の第6の実施例の構成を
示す図である。温覚呈示部42′は、ペルチエ素子52
及びこのペルチエ素子52に内蔵されたセンサ53と、
センサ44とから構成されている。そして、センサ52
は駆動回路45を介して、センサ44はセンサ回路4
6、信号処理回路47を介して、またセンサ53はセン
サ回路54、信号処理回路55を介して、それぞれ演算
処理回路48に接続されている。
【0044】ここでは、ペルチエ素子の温度を変えるこ
とで、人間の指とペルチエ素子52との間の熱量の移動
を制御している。センサ44は指の皮膚温を測定するも
ので、温度の情報は、ここからセンサ回路46、信号処
理回路47を経て演算処理回路48に取り込まれる。ま
た、ペルチエ素子52に内蔵されたセンサ53は、ペル
チエ素子52の温度を測定する。そして、このペルチエ
素子52の温度の情報は、センサ回路54、信号処理回
路55を経て、演算処理回路48に取り込まれる。
【0045】指の皮膚温と、温覚呈示部であるペルチエ
素子52の温度情報が得られたところで、両者の間での
熱量の移動がわかる。この結果を基に、いまペルチエ素
子52にどれだけの温度を与えるべきかが演算処理回路
48で計算される。そして、駆動回路45に信号が送ら
れて、ペルチエ素子52の温度が制御される。
【0046】ところで、人間は、触れた後の対象の温度
変化から、その対象が何であるかをおよそ限定すること
ができる。これは、物質によって人間の指との間の熱量
の移動が異なるからである。本装置は、指と温覚呈示部
との間の熱量の移動を制御して呈示することにより、温
度変化による知覚を利用して対象物の特徴を知覚させよ
うというものである。
【0047】図9は、この発明の第7の実施例の構成を
示す図である。同図に於いて、56はボイスコイル或い
は圧電体等の振動発生による触覚呈示装置(特願平5−
57480号に記載)であり、57は温覚を呈するペル
チエ素子であり、これらは皮膚温を測定するセンサで4
4と共に、台座58上に載置されている。また、センサ
44は、センサ回路46、信号処理回路47を介して、
ペルチエ素子57は駆動回路45を介して、それぞれ演
算処理回路48に接続されている。
【0048】上記触覚呈示装置では、対象の硬さ、柔ら
かさ、反力感といった知覚を伝達する場合に、主に振動
によって行っていた。そして、この振動の周波数を変化
させることによって圧力を表現していた。ところで、人
間の振動感覚のいき値に影響を与える1つの要素として
は、皮膚温がある。同一の周波数の振動であっても、皮
膚温によって知覚が可能となったり不可能となったりす
ることがある。ここでは、振動の知覚が皮膚の温度と密
接な関係を持つことを利用し、触覚呈示部の温度を変化
させることによる触覚伝達装置について述べる。
【0049】図9に於いて、センサ44で操作者の皮膚
温を測定すると、センサ回路46、信号処理回路47を
経て演算処理回路48に温度情報が入力される。演算処
理回路48では、測定された現在の温度を基に、どの程
度の温度の変化を与えるべきであるかが計算され、その
信号が駆動回路45に出力される。そして、この信号を
基に、駆動回路45によってペルチエ素子57に温度変
化を生じさせる。このペルチエ素子から伝達される熱量
によって皮膚温を制御することができる。触覚の呈示
に、振動だけでなく温度の影響も付加することで、より
高い表現力をもった触覚伝達装置を実現することができ
る。
【0050】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、操作者
に温覚情報またはより細かな触覚情報を伝達することに
より、操作者が自分の手によってあたかも実際に対象を
操作しているような感覚を得ることができるため、従来
の装置に比して、より正確で操作性の向上した温覚呈示
装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の概念を説明する基本構成図である。
【図2】ペルチエ効果を説明する図である。
【図3】この発明の温覚呈示装置の第1の実施例の構成
を示す図である。
【図4】この発明の第2及び第3の実施例の構成を示す
図である。
【図5】この発明の温覚呈示装置に於ける信号処理の概
略説明図である。
【図6】この発明の第4の実施例の温覚呈示装置の構成
を示す図である。
【図7】この発明の第5の実施例の構成を示す図であ
る。
【図8】この発明の第6の実施例の構成を示す図であ
る。
【図9】この発明の第7の実施例の構成を示す図であ
る。
【図10】従来の顕微鏡に設置して用いられるマイクロ
マニピュレータを示すもので、(a)は全体を示す図で
あり、(b)は部分拡大図である。
【図11】ロボットのマニピュレータに関する従来技術
を示す図である。
【図12】本件特許出願人による特願平5−57480
号の触覚呈示装置を説明する図である。
【符号の説明】
20…温覚呈示部、21a…駆動回路、21b…処理回
路、22…センサ、23、24、25…金属電極、26
…p型素子、27…n型素子電極、28…ペルチエ素
子、29…台座、30…アクセス信号発生部、31、4
0…X方向デコーダ、32、41…Y方向デコーダ、3
3…センスアンプ、34…インターフェース、35…A
/D変換器、36…メモリ、37…D/A変換器、38
…アンプ、39…駆動アンプ。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対象物に接触してこの対象の温度状態を
    検出する検出手段と、 この検出手段で検出された温度状態に基いた温度状態信
    号を皮膚への温覚情報に変更する信号処理手段と、 この信号処理手段で処理された上記温覚情報を操作者に
    伝達して上記対象物と接触した場合の温覚情報を該操作
    者に知覚させるべくもので、ペルチエ素子を有して上記
    温覚情報の変化を伝達する温覚呈示手段とを具備するこ
    とを特徴とする温覚呈示装置。
JP21977993A 1993-09-03 1993-09-03 温覚呈示装置 Withdrawn JPH0772018A (ja)

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