JPH0764556B2 - 活性水酸化マグネシウムの製造装置および製造方法 - Google Patents

活性水酸化マグネシウムの製造装置および製造方法

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JPH0764556B2
JPH0764556B2 JP29277693A JP29277693A JPH0764556B2 JP H0764556 B2 JPH0764556 B2 JP H0764556B2 JP 29277693 A JP29277693 A JP 29277693A JP 29277693 A JP29277693 A JP 29277693A JP H0764556 B2 JPH0764556 B2 JP H0764556B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軽焼マグネシアから、
中和剤や脱硫剤として有用な活性水酸化マグネシウムを
製造する装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】排煙脱硫や排水などの中和に水酸化マグ
ネシウムが使用されている。この水酸化マグネシウム
は、従来、海水中の塩化マグネシウムを原料として製造
されている。しかし、海水中のマグネシウムの含有量が
微量であり、製造工程が複雑である。しかも、水酸化マ
グネシウムを含むスラリー濃度が30重量%程度である
にも拘らず高粘度であるため、製造および輸送コストが
高くなる。
【0003】一方、天然産マグネサイトを焼成して得ら
れる軽焼マグネシアを水和する方法も知られている。例
えば、特公平3−60774号公報には、天然産マグネ
サイトを焼成し、かつ微粉砕した軽焼マグネシアと水と
を、pH11以上で85℃以上に加熱しながら水和させ
る活性水酸化マグネシウムの製造方法が開示されてい
る。この方法では、水に対する溶解性及び水和速度が高
く、酸との反応速度が大きな活性水酸化マグネシウムが
得られる。
【0004】しかし、この方法では、軽焼マグネシアの
微粉砕に長時間を要するだけでなく、大量生産するため
には大規模な設備が必要となる。しかも、水和速度を大
きくするためには、軽焼マグネシアを微粉砕して分級し
た1〜30μm程度の微粉砕物を用いる必要がある。ま
た、粉砕及び分級に伴なって、粉末が飛散し、作業環境
が汚染され、安全衛生上も好ましくない。さらに、得ら
れた水酸化マグネシウムの粒子径も1〜40μm程度と
広範囲に及ぶため、均一な品質の水酸化マグネシウムを
得るのが困難である。
【0005】また、湿度や水により軽焼マグネシアの微
粉末が凝集し塊状物となり易い。そして、一旦塊状物が
生成すると、軽焼マグネシアの塊状物を均一かつ短時間
内に水和するのが困難である。
【0006】さらには、微粉砕工程、分級工程、および
水和工程とを必要とするので、生産性を高めるのが困難
である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、作業環境を汚染することなく、軽焼マグネシアを容
易かつ短時間内に微粉砕できると共に、均一かつ短時間
内に効率よく水和でき、均一な品質の水酸化マグネシウ
ムを得ることができる製造装置および製造方法を提供す
ることにある。
【0008】本発明の他の目的は、少ない工程で、迅速
かつ効率よく水和でき、活性の高い活性水酸化マグネシ
ウムを製造できる装置および方法を提供することにあ
る。
【0009】本発明のさらに他の目的は、高濃度であっ
ても粘度の低い活性水酸化マグネウムスラリーを製造で
きる装置および方法を提供することにある。
【0010】
【発明の構成】本発明者は、軽焼マグネシアなどの酸化
物に比べて水酸化マグネシウムなどの水酸化物の硬度が
低く、容易に粉砕されることに着目して鋭意検討の結
果、水の存在下で軽焼マグネシアの粗粉砕物を湿式粉砕
すると、短時間内に効率よく、しかもシャープな粒度分
布を有する粒径に粉砕できること、粉体の飛散や凝集が
ないことを見いだした。特に、加熱されたアルカリ性水
性媒体の存在下で、湿式粉砕すると、軽焼マグネシアの
粉砕と水和反応が迅速に進行し、高濃度であっても低粘
度のスラリーが得られることを見いだした。本発明は、
これらの知見に基づいて完成されたものである。
【0011】すなわち、活性水酸化マグネシウムを製造
するための本発明の製造装置は、軽焼マグネシアを湿式
粉砕するための湿式粉砕手段と、加熱されたアルカリ性
水性媒体の存在下、粉砕された軽焼マグネシアを水和す
るための反応器とを備えている。
【0012】また、本発明の他の製造装置は、軽焼マグ
ネシアを湿式粉砕するための湿式粉砕手段と、この粉砕
手段に水とアルカリを供給する供給手段と、前記湿式粉
砕手段内の反応系を加熱するための加熱手段とを備えて
いる。この装置は、分級手段と、所定の粒径以上の粉砕
物を前記粉砕手段に循環するリサイクル手段を備えてい
てもよい。
【0013】さらに、活性水酸化マグネシウムを製造す
る本発明の方法では、軽焼マグネシアを湿式粉砕し、ア
ルカリ性水性媒体の存在下、70℃以上の温度で水和す
る。また、他の方法では、アルカリ性水性媒体の存在
下、70℃以上の温度で、軽焼マグネシアを湿式粉砕し
ながら水和する。この方法において、70℃以上のアル
カリ水性媒体に軽焼マグネシアを添加し、湿式粉砕しな
がら水和してもよい。
【0014】以下、必要に応じて添付図面を参照しつ
つ、本発明を詳細に説明する。
【0015】図1は本発明の製造装置の一例を示す概略
構成図であり、図2は図1の装置の湿式粉砕機を示す部
分切欠概略図である。
【0016】この装置は湿式粉砕機5を備えている。こ
の湿式粉砕機5は、図2に示されるように、ケーシング
1内に回転可能に配されたスクリュ2、このスクリュ2
を回転駆動するためのモータ3、および前記ケーシング
1内に装填される粉砕媒体4を備えている。この湿式粉
砕機5には軽焼マグネシアの粗粉砕物がホッパ6から所
定の割合で供給される。
【0017】前記湿式粉砕機5内で軽焼マグネシアの粗
粉砕物を湿式粉砕しながら水和するため、前記湿式粉砕
機5には、水を供給する供給ライン7aと、アルカリを
供給する供給ライン7bと、湿式粉砕機5内を加熱する
ためのスチーム供給ライン8が接続されている。また、
前記湿式粉砕機5の上部には、生成した水酸化マグネシ
ウム粒子を含むスラリーを排出するための吐出ライン9
が接続されている。
【0018】所定の粒径に粉砕され、かつ水和された水
酸化マグネシウムの粒子を選別するため、前記吐出ライ
ン9には分級機10が取付けられている。また、粗大粒
子を前記湿式粉砕機5にリサイクルするため、分級機1
0と前記湿式粉砕機5とはリサイクルライン11により
接続されている。さらに、前記分級機10により所定の
粒径に分級された水酸化マグネシウムを含むスラリー
は、熟成槽12に送液される。熟成槽12で熟成された
水酸化マグネシウムスラリーは、ポンプ13により移送
され、製品化される。
【0019】このような湿式粉砕機5では、スクリュ2
の回転に伴なって、粉砕媒体4がスクリュ2の羽根に沿
って上昇し、その過程で軽焼マグネシアの粗粉砕物が微
粉砕される。その際、スチームによる加熱下、供給ライ
ン7a,7bから水とアルカリを供給しながら軽焼マグ
ネシアを粉砕できるので、粉砕工程で水和反応も行なう
ことができ、短時間内に効率よく所定の粒径の水酸化マ
グネシウムを含むスラリーを連続的に製造することがで
きる。
【0020】より詳細には、軽焼マグネシアがアルカリ
水溶液と接触すると、水和反応により水酸化マグネシウ
ムが生成する。この水酸化マグネシウムは軽焼マグネシ
アよりも硬度が小さい。このことは、天然に産出するマ
グネシア(ペリクレーズ)の硬度が5.5〜6.5程度
であるのに対して、天然に産出する水酸化マグネシウム
(ブルーサイト)の硬度が2.5程度であることからも
明らかである。しかも、水性媒体中では、粒子の凝集力
が小さくなるので、円滑に粉砕できる。そして、湿式粉
砕により軽焼マグネシアに剪断力を作用させると、軽焼
マグネシアの破砕と、表面に生成した水酸化マグネシウ
ムの脱離・破砕、軽焼マグネシア表面の更新が並行して
起るためか、効率よく所定の粒径の水酸化マグネシウム
を含む高濃度のスラリーが得られる。
【0021】マグネシアの湿式粉砕性および水和性は、
軽焼石灰(酸化カルシウム)と大きく異なる。すなわ
ち、水酸化カルシウムのモース硬度は約4であり、酸化
カルシウムの水との反応性は、軽焼マグネシアよりも高
く、水酸化カルシウムは、水中での発熱反応とともに自
然に生成する。従って、酸化カルシウムを粉砕しなくて
も、酸化カルシウムの水和は、水中で、自然崩壊および
高い発熱を伴なって円滑に行なうことができ、水酸化カ
ルシウムの微粒子が生成する。そのため、酸化カルシウ
ムの水和において、乾式粉砕および湿式粉砕は、必ずし
も必要ではない。
【0022】スクリュの回転数および攪拌羽根の周速
は、湿式粉砕性に悪影響を及ぼさない範囲で適当に選択
できる。スクリューの回転数は、例えば、約30〜50
0rpm、好ましくは約50〜300rpm、さらに好
ましくは50〜300rpm程度である。攪拌羽根の周
速は、例えば、約0.5〜10m/秒、好ましくは約1
〜8m/秒、さらに好ましくは2〜4m/秒程度であ
る。
【0023】また、排煙脱硫や中和には、水酸化マグネ
シウムは、通常、30重量%程度のスラリーとして市販
されている。そのため、水の供給量を調整するだけで、
水酸化マグネシウムをそのままスラリーとして使用でき
る。水性媒体中で粉砕するため、粉塵の発生を防止で
き、従来のように粉砕物の凝集も防止できる。
【0024】また、粉砕に伴なって摩擦熱が生成すると
共に軽焼マグネシアの水和反応に伴なって反応熱も生成
する。そのため、摩擦熱および反応熱を軽焼マグネシア
の水和反応に有効に利用でき、水和反応及び微粉砕化を
促進できるだけでなく、スチームの使用量、ひいてはエ
ネルギーコストを低減できる。例えば、粉砕に伴なう摩
擦熱と水和反応に伴なう反応熱により、湿式粉砕機5内
の温度を50〜60℃程度にまで上昇させることができ
る。また、軽焼マグネシアを粗砕すればよいため、従来
必要とされていた微粉砕化のためのエネルギーを低減で
きる。
【0025】さらに、湿式粉砕機5の内部で生じる上昇
流により微粒子は搬送され、吐出ライン9に至る。その
ため、湿式粉砕機5の内部で微粒子の分級効果が生じ
る。また、吐出ライン9からのスラリーに粗大粒子が含
まれていても、分級機10により粗大粒子は分級され、
リサイクルライン11を通じて前記湿式粉砕機5にリサ
イクルできる。そのため、熟成槽12内には、所定の粒
径を有する水酸化マグネシウムのスラリーを貯溜でき
る。さらに、仮に湿式粉砕機5から熟成槽12に至る間
に微粒子が水和されなかったとしても、熟成槽12内で
微粒子を水和できるので、何ら問題が生じない。なお、
軽焼マグネシアは、通常、湿式粉砕機5内を複数回循環
する過程で微粉砕される。
【0026】このようにして得られたスラリーは、濃度
が高くても粘度が極めて低いという特色がある。すなわ
ち、海水マグネシウムを原料として得られた水酸化マグ
ネシウムの粒径は4〜10μm程度であり、そのスラリ
ー粘度は、濃度30重量%程度であっても1000cp
s程度と高粘度である。また、1〜30μm(300メ
ッシュ以下)に微粉砕された軽焼マグネシアと水とを、
pH11以上、85℃以上に加熱しながら水和させて得
られる水酸化マグネシウムは、1〜40μm程度のブロ
ードな粒度分布を示し、平均粒径は通常10〜15μm
程度であり、そのスラリー粘度は濃度30重量%で40
0cps程度である。
【0027】これに対して、本発明の装置および方法に
よると、濃度30重量%でスラリー粘度が200cps
以下、好ましくは50〜200cps程度の水酸化マグ
ネシウムスラリーが得られる。
【0028】このことは、スラリー粘度に粒子の形状が
大きく影響しているためと思われる。すなわち、生成し
た水酸化マグネシウムを顕微鏡で観察すると、特に粒径
5〜6μm以下の微粒子が凝集し、5〜20μm程度の
シャープな粒度分布を示す。また、水酸化マグネシウム
の微粒子が凝集した凝集物の平均粒子径は、通常10〜
25μm、好ましくは12〜20μm程度である。この
ように、水酸化マグネシウムの一次粒子が微小であり、
かつ高濃度であっても、極めて低い粘度を示す。しか
も、凝集した粒子は外力により容易に再分散するので、
中和や脱硫などに際しては、微小な一次粒子の活性水酸
化マグネシウムが関与し、中和反応を損なうことがな
い。
【0029】従って、本発明の装置および方法により得
られる水酸化マグネシウムは、スラリーの流動性に優
れ、スラリーの貯蔵、パイプ輸送などの作業性を向上で
きる。また、スラリー粘度が小さいので、50重量%程
度に高濃度化することもでき、輸送及び貯蔵コストを大
幅に低減できる。
【0030】なお、軽焼マグネシアとしては、天然産マ
グネサイト(ペリクレーズ)を温度550〜1500
℃、好ましくは650〜1300℃、さらに好ましくは
800〜1200℃程度で焼成したマグネシアが使用さ
れる。前記焼成温度を外れると、水酸化マグネシウムの
活性が低下する。
【0031】本発明では、予め所定の粒径に微粉砕され
た軽焼マグネシアの微粉末を用いる必要がない。そのた
め、軽焼マグネシアの大きさは、湿式粉砕可能な広い範
囲で選択でき、例えば、最大粒径10mm以下、平均粒
径0.5〜3mm程度の粗粉砕物が使用できる。なお、
軽焼マグネシアは、粉砕効率を高めるため、10メッシ
ュ以下の粗粉砕物を用いる場合が多い。
【0032】湿式粉砕手段は、水性媒体中で軽焼マグネ
シアを連続的に粉砕できるサンドミル、アトライタなど
の種々の機器が使用できる。さらに、湿式粉砕機は、軽
焼マグネシアを連続的に粉砕する連続粉砕機に限らず、
ボールミル、ニーダなどのバッチ式粉砕機であってもよ
い。連続的に湿式粉砕できる好ましい湿式粉砕手段の具
体例としては、クボタタワーミル(クボタ(株)製)な
どが挙げられる。連続湿式粉砕機は、米国特許第426
9808号明細書にバーチカル摩砕ミルとして記載され
ている。
【0033】乾式粉砕と水和との組合せと異なり、湿式
粉砕と水和とを湿式粉砕機により同時に行なうと、粉砕
時間、攪拌羽根の周速などを制御することにより、例え
ば、粒子径0.5〜2μm程度の水酸化マグネシウムの
微粒子を効率よく生成させることもできる。
【0034】前記加熱手段の種類は特に制限されない
が、反応系の温度を70℃以上、好ましくは85〜12
0℃、さらに好ましくは90〜110℃、特に95〜1
05℃程度に加熱できる種々の加熱手段が好ましい。こ
のような温度のアルカリ水性媒体中で湿式粉砕すると、
軽焼マグネシアとアルカリとを急速に反応させながら粉
砕でき、前記のように、高濃度であっても低粘度のスラ
リーを効率よく得ることができる。
【0035】本発明において、軽焼マグネシアの粗粉砕
物の粉砕と、軽焼マグネシアの水和反応とを湿式粉砕機
内で同時に行なう必要はない。すなわち、本発明の装置
は、軽焼マグネシアを湿式粉砕するための湿式粉砕手段
と、加熱されたアルカリ性水性媒体の存在下、粉砕され
た軽焼マグネシアを水和する反応器とを備えていてもよ
い。この装置において、前記反応器には、通常、スチー
ムなどの加熱手段が接続される。なお、この装置におい
て、反応系が加熱されている限り、湿式粉砕系と反応系
の温度は異なっていてもよい。反応器の構造は特に制限
されず、回転可能な攪拌翼を備えた攪拌槽などの通常の
反応器が使用できる。
【0036】なお、水とアルカリは、個別に供給しても
よく、アルカリ水溶液として供給してもよい。また、ア
ルカリは高濃度の水溶液として供給してもよい。アルカ
リは、例えば、10〜50重量%程度の水溶液として供
給される場合が多い。加熱手段は、反応系の成分である
軽焼マグネシア、水、アルカリの少なくとも1つの成分
を加熱して反応系の温度としてもよいが、通常、使用量
の多い水又はアルカリ水溶液を予め加熱するのが好まし
い。反応系に水蒸気を直接吹込むと、簡便かつ迅速に加
熱できる。また、水又はアルカリ水溶液は加温して反応
系に供給してもよい。
【0037】また、分級手段は、スクリーンメッシュな
どを備えた慣用の分級機で構成することができ、分級度
は、所望する水酸化マグネシウムの粒子径に応じて適当
に選択することができる。分級手段は、通常、20μm
を越える粒子の通過を規制するように設定される場合が
多い。
【0038】本発明の1つの方法は、軽焼マグネシアを
湿式粉砕する工程と、アルカリ性水性媒体の存在下、粉
砕物を水和する水和工程とで構成されている。
【0039】アルカリ性水性媒体のpHは、軽焼マグネ
シアを効率よく水和できる範囲で選択でき、11以上、
好ましくは11.5以上、さらに好ましくは12以上で
ある。pHが11未満では水和反応速度が小さく高活性
水酸化マグネシウムの収率が低下する。
【0040】アルカリとしては、例えば、水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物が
繁用される。また、水性媒体としては水を使用する場合
が多い。
【0041】軽焼マグネシアと水との割合は、スラリー
濃度などに応じて選択でき、例えば、軽焼マグネシア1
00重量部に対して、水100〜400重量部、好まし
くは150〜300重量部程度である。
【0042】アルカリの使用量は、反応系を前記pHに
調整できる量であればよい。アルカリの使用量は、アル
カリの種類により異なるが、水酸化ナトリウムを用いる
場合、例えば、軽焼マグネシア100重量部に対して
0.75〜1.25重量部、好ましくは0.9〜1.1
重量部程度である。
【0043】水和工程における反応温度は、70℃以
上、好ましくは85〜120℃、さらに好ましくは90
〜110℃、特に好ましくは95〜110℃程度であ
る。反応温度が70℃未満であると、水和反応速度が低
下する。
【0044】さらに、水和反応に際しては、例えば、8
5〜120℃、好ましくは90〜110℃、さらに好ま
しくは95〜110℃程度の水又はアルカリ水溶液に、
軽焼マグネシアの湿式粉砕物を連続的又は間欠的に添加
し混合し、軽焼マグネシアの湿式粉砕物を急速に加熱し
て水和するのが好ましい。
【0045】上記方法において、水和反応時間は、通
常、45分〜2時間、好ましくは1〜2時間程度であ
る。
【0046】好ましい他の方法では、アルカリ性水性媒
体の存在下、軽焼マグネシアの粗粉砕物を湿式粉砕しな
がら水和する。すなわち、このような方法では、軽焼マ
グネシアの粉砕と水和反応とを同時に行なうことがで
き、高濃度であっても低粘度の活性水酸化マグネシウム
スラリーを短時間内に効率よく製造できる。また、従来
の方法に比べて反応温度が低くても水和反応を円滑に進
行させることができる。
【0047】特に、軽焼マグネシアの湿式粉砕と水和反
応とを高温で急速に進行させるのが好ましい。この場
合、70℃以上、好ましくは85〜120℃、さらに好
ましくは90〜110℃、さらに好ましくは95〜11
0℃程度の温度に加熱された水又はアルカリ性水性媒体
の存在下、軽焼マグネシアを湿式粉砕すればよい。
【0048】好ましい方法においては、70℃以上の水
に、アルカリと軽焼マグネシアとを添加し、湿式粉砕し
ながら水和する。
【0049】湿式粉砕と水和反応とを同時に進行させる
方法によると、水和反応に2〜3時間を要していた従来
の方法に比べて、極めて短時間内に高活性水酸化マグネ
シウムスラリーが得られる。より具体的には、湿式粉砕
と水和反応とを連続的に行なう場合には、粉砕開始から
約20分程度経過した後、活性水酸化マグネシウムスラ
リーが連続的に生成し、バッチ式に行なう場合でも、4
0分程度で活性水酸化マグネシウムを得ることができ
る。なお、活性水酸化マグネシウムを得るためには、湿
式粉砕と水和反応は、通常、1時間程度行なえば十分で
ある。
【0050】前記水和反応により生成したスラリーは、
熟成槽に供給し、水和反応を完結させてもよい。前記水
和反応の後、通常、冷却することにより水酸化マグネシ
ウムスラリーを得ることができる。水酸化マグネシウム
スラリーの濃度は、前記水和反応時の水の量を調整した
り、熟成槽内の水量を調整することによりコントロール
してもよい。また、水酸化マグネシウムスラリーの濃度
は、希釈や濃縮によりコントロールしてもよい。
【0051】
【発明の効果】本発明の装置および方法によれば、軽焼
マグネシアを湿式粉砕するので、作業環境を汚染するこ
となく、軽焼マグネシアを容易かつ短時間内に微粉砕で
きると共に、均一かつ短時間内に効率よく水和でき、均
一な品質の水酸化マグネシウムを得ることができる。
【0052】また、湿式粉砕と水和反応とを同時に行な
う場合には、少ない工程数で、迅速かつ効率よく水和で
き、活性の高い活性水酸化マグネシウムを製造できる。
【0053】さらに、湿式粉砕と水和反応とを同時に行
なう場合には、高濃度であっても粘度の低い活性水酸化
マグネシウムを効率よく製造できる。
【0054】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明する。
【0055】実施例1 三面にジャケットを有する小型ニーダー(容量10リッ
トル)に、水700gを仕込み、ジャケットに2.5k
g/cm2 でスチームを吹込み、水を90℃に加熱し
た。次いで、最大粒径10mm以下の軽焼マグネシアの
粗粉砕物240gおよび水酸化ナトリウム2.4gを仕
込み、1時間加熱混練した後、冷却し、水酸化マグネシ
ウムスラリーを得た。
【0056】得られたスラリーは、軽焼マグネシアの水
和率が97%であり略完全にヒドロ化し、平均粒径17
μm、粒度分布幅5〜20μmの水酸化マグネシウムを
含んでいた。また、スラリー中の粒子を顕微鏡で観察し
たところ、約5μmの微粒子が凝集していた。そして、
30重量%濃度のスラリーの粘度をB型粘度計で測定し
たところ、110cps(20℃)であった。
【0057】実施例2 20μm以上の粒子の通過を規制する分級機を備えた湿
式小型粉砕機としてのクボタタワーミル(クボタ(株)
製、KM−5)に、水105kgを仕込み、スチームに
より加熱して、水を90℃に加熱した。次いで、最大粒
径10mm以下の軽焼マグネシアの粗粉砕物35kgお
よび水酸化ナトリウム350gを投入し、湿式粉砕しな
がら反応させた。なお、前記湿式粉砕機の仕様は、塔の
直径440mm、塔の高さ830mmである。また、分
級機により20μmを越える粒子は、前記湿式粉砕機に
循環させた。湿式粉砕は、スクリュー回転数85rp
m、粉砕媒体の鉄製ボール(直径20mmφ)、粉砕媒
体の仕込量350kgの条件で行なった。
【0058】そして、湿式粉砕機を40分間運転した。
生成したスラリーを85℃で1時間熟成して冷却し、水
酸化マグネシウムスラリーを得た。
【0059】得られたスラリーは、軽焼マグネシアの水
和率が98%であり略完全にヒドロ化し、平均粒径14
μm、粒度分布幅5〜20μmの水酸化マグネシウムを
含んでいた。また、スラリー中の粒子を顕微鏡で観察し
たところ、約5μmの微粒子が凝集していた。そして、
30重量%濃度のスラリーの粘度をB型粘度計で測定し
たところ、100cps(20℃)であった。
【0060】さらに、上記湿式粉砕機による湿式粉砕効
率を検討するため、湿式粉砕機を2時間運転する以外、
上記と同様にして湿式粉砕した。得られたスラリーは、
平均粒径1.5μm、粒度分布幅0.7〜3.3μmの
水酸化マグネシウムを含んでいた。
【0061】比較例1 実施例1の小型ニーダーを用い、水酸化ナトリウムを添
加せず、また加熱することなく、実施例1と同様にして
湿式粉砕した。なお、この湿式粉砕により、温度が最終
的に60℃に上昇した。また、得られたスラリーは、軽
焼マグネシアの水和率が40%であり、平均粒径30μ
mの粒子を含んでいた。
【0062】比較例2 実施例2の湿式粉砕機を用い、水酸化ナトリウムを添加
せず、また加熱することなく、実施例2と同様にして湿
式粉砕した。得られたスラリーは、軽焼マグネシアの水
和率が45%であり、平均粒径25μmの粒子を含んで
いた。
【0063】比較例3 水700gに水酸化ナトリウム2.4gを溶解した水溶
液に、粒径5〜30μmに微粉砕した軽焼マグネシア2
40gを添加し、攪拌しながら、90℃に加熱し、3時
間に亘り水和した。反応終了後、冷却し、水酸化マグネ
シウムスラリーを得た。
【0064】得られたスラリーは、軽焼マグネシアの水
和率が97%であり略完全にヒドロ化し、平均粒径約1
0μm、粒度分布幅1〜40μmの水酸化マグネシウム
を含んでいた。また、30重量%濃度のスラリーの粘度
をB型粘度計で測定したところ、380cps(20
℃)であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の製造装置の一例を示す概略構成
図である。
【図2】図2は図1の装置の湿式粉砕機を示す部分切欠
概略図である。
【符号の説明】
5…湿式粉砕機 7a…水供給ライン 7b…アルカリ供給ライン 8…スチーム供給ライン 10…分級機 12…熟成槽

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軽焼マグネシアを湿式粉砕するための湿
    式粉砕手段と、加熱されたアルカリ性水性媒体の存在
    下、粉砕された軽焼マグネシアを水和するための反応器
    とを備えている活性水酸化マグネシウムの製造装置。
  2. 【請求項2】 軽焼マグネシアを湿式粉砕するための湿
    式粉砕手段と、この粉砕手段に水とアルカリを供給する
    ための供給手段と、湿式粉砕手段内の反応系を加熱する
    ための加熱手段とを備えている活性水酸化マグネシウム
    の製造装置。
  3. 【請求項3】 湿式粉砕手段による粉砕物を分級する分
    級手段と、所定の粒径以上の粉砕物を前記湿式粉砕手段
    に循環するリサイクル手段を備えている請求項2記載の
    活性水酸化マグネシウムの製造装置。
  4. 【請求項4】 軽焼マグネシアを湿式粉砕し、アルカリ
    性水性媒体の存在下、70℃以上の温度で水和する活性
    水酸化マグネシウムの製造方法。
  5. 【請求項5】 アルカリ性水性媒体の存在下、70℃以
    上の温度で、軽焼マグネシアを湿式粉砕しながら水和す
    る活性水酸化マグネシウムの製造方法。
  6. 【請求項6】 70℃以上のアルカリ水性媒体に、軽焼
    マグネシアを添加し、湿式粉砕しながら水和する請求項
    5記載の活性水酸化マグネシウムの製造方法。
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