JPH0764089A - 液晶表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 垂直配向マトリクス液晶表示装置において、
液晶分子の配向方向を制御することにより、ディスクリ
ネーションの出現による、表示品位の低下を防止すると
ともに、視角特性を向上する。 【構成】 画素間に配向制御電極（４）を設け、これに
他の全ての透明電極よりも高いか、または、低い実効電
圧を印加し、かつ、透明電極に電極不在により形成され
た配向制御窓（５）を設けることにより、液晶層（３）
中の電界を調整して、液晶分子の配向を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、マトリクス型液晶表示
装置に関し、特に、液晶分子の配向を制御することによ
り、良好な視角特性と高表示品位を達成した液晶表示装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示装置は小型、薄型、低消費電力
などの利点があり、特に、マトリクス配置された各画素
を、マルチプレクス式に時分割駆動するマトリクス型
は、画素数ｍ×ｎに対して、端子数がｍ＋ｎと少なく、
大画面に適している。そのため、ＯＡ機器、ＡＶ機器な
どのディスプレイに用いられている。

【０００３】以下で、従来例を図７及び図８を参照しな
がら説明する。図７は平面図、図８は図７のＣ−Ｃ線に
沿う断面図である。透明基板（１０）上に、ＩＴＯなど
の走査電極（１１）が複数、互いに平行に配置されてお
り、これを覆って全面には、垂直配向膜（１２）が形成
されている。また、一方の透明基板（２０）上には、Ｉ
ＴＯなどのデータ電極（２１）が同様に複数、互いに平
行に配置され、これを覆って全面には、垂直配向膜（２
２）が形成されている。これら２枚の基板（１０，２
０）が、走査電極（１１）とデータ電極（２１）が互い
に直交するようにして貼り合わされ、隙間に負の誘電率
異方性を持つ液晶よりなる液晶層（３）が設けられる。
各走査電極（１１）及びデータ電極（２１）に所定の電
圧が印加され、両電極（１１，２１）の交点として駆動
される画素のうち、点表示として選択される画素には、
閾値以上の実効電圧が印加されて光の透過率が制御さ
れ、これら複数の点表示の集合として、所望の表示画面
が得られる。特に、液晶の初期配向を基板に対して垂直
方向に設定した場合は、選択される画素では、液晶分子
を基板の面方向に傾斜させることにより、光の透過率が
制御される。また、両基板（１０，２０）の外側に、偏
光軸方向が互いに直交するように２枚の偏光板を配置す
ることにより、非選択点では光が直交偏光子で完全に遮
断されて黒になり、選択点では光が液晶層（３）で複屈
折を受けて楕円偏光となり、画素を透過して白となる。
更に、図示は省略したが、画素間を覆う遮光膜を２枚の
基板のいずれかに設けることにより、画素間を常時黒に
設定して、画質を向上させることができる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前述の液晶表
示装置には、基板表面の段差や電極（１１，２１）間の
横方向電界が、液晶の傾斜方向に影響を及ぼして配向ベ
クトルが不均一になり、配向ベクトルが互いに異なる領
域の境界線上では、白表示中の画素に黒の部分が生じ
て、ディスクリネーションとなっていた。各画素ごとに
異なる形状のディスクリネーションが生じると、選択中
の白色が画素ごとに異なり、画質が悪化していた。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は前述の課題に鑑
みて成され、第１に、走査信号入力用の透明電極が設け
られた基板と、データ信号入力用の透明電極が設けられ
た基板が、液晶層を挟んで貼り合わされてなる液晶表示
装置であって、前記２枚の基板の一方の基板上に、前記
両透明電極が重畳する領域を囲む配向制御電極が設けら
れ、かつ、該配向制御電極には、該配向制御電極が設け
られた基板上の他の透明電極とは異なる電圧が印加され
る構成である。

【０００６】第２に、第１の構成において、前記配向制
御電極には、それが設けられた基板上の他の全ての透明
電極よりも高いか、または、低い電圧が印加される構成
である。第３に、第１又は第２の構成において、前記両
透明電極が重畳する領域の、少なくとも一方の透明電極
には、所定の部分が取り除かれて形成された配向制御窓
が設けられた構成である。

【０００７】

【作用】全画素間に一体形成される配向制御電極の電位
を、その配向制御電極が設けられた基板上の他の全ての
透明電極よりも高く、または、低く設定することによ
り、透明電極と配向制御電極との電位差により、全画素
と配向制御電極との間に電気力線が発生する。画素の周
縁部に対応する液晶層中では、電気力線が透明電極から
対向の透明電極に向かって、表示領域内から表示領域外
へ斜め方向に伸びる。負の誘電率異方性を持つ液晶分子
は、斜めの電気力線に従って傾斜するが、液晶の連続体
性に基ずく弾性のために、分子長軸が電気力線に対して
最短で直角に近付くように、画素の内側に向かって傾斜
することで、エネルギー的に安定となる。即ち、配向制
御電極による電界のために、全画素について、周縁部の
液晶分子の傾斜方向が画素の内側になる。

【０００８】更に、互いに対向する透明電極の少なくと
も一方の表示部に、所定の形状の電極不在部分である配
向制御窓を設けることにより、この部分では電気力線が
存在しないので、配向制御窓に対応する領域では液晶分
子は初期配向を保って、基板に垂直な状態に固定され
る。画素の４辺において配向制御電極により傾斜方向を
画素の内側に規定された液晶は、その連続体性のために
同じ傾斜方向を持つ液晶の領域が画素中央部にも及び、
互いに異なる配向ベクトルを有する４つの領域の境界線
が画素内に生ずるので、特に、配向制御窓を画素の対角
線に対応するＸ字にすることにより、境界線が配向制御
窓に完全に一致する。

【０００９】

【実施例】以下で、本発明の一実施例を図１から図４を
参照しながら説明する。図１は一方の基板（１）の一部
平面図であり、図２は図１のＡ−Ａ線に沿う断面図であ
る。透明基板（１０）上に透明導電材料、例えばＩＴＯ
よりなる走査電極（１１）が複数、互いに平行に配置さ
れており、これを覆って全面には、ＳｉＮ_Xなどの絶縁
膜（１３）が積層されている。絶縁膜（１３）上には、
表示部となる予定の領域を囲む配向制御電極（４）が設
けられている。配向制御電極（４）は、Ｃｒ、Ａｌ、Ｔ
ｉ、ＩＴＯなどの導電材料を１０００Å程度の厚さに積
層して、エッチングにより表示部を除去することにより
形成される。更に、全面には垂直配向膜（１２）が設け
られて基板（１）が構成される。

【００１０】また、図３は他方の基板（２）の一部平面
図であり、図４は図３のＢ−Ｂ線に沿う断面図である。
透明基板（２０）上に透明導電材料、例えばＩＴＯより
なるデータ電極（２１）が複数、互いに平行に配置され
ており、電極中の表示部となる予定の領域には、電極の
不在により形成されたＸ字型の配向制御窓（５）が設け
られている。配向制御窓（５）はＩＴＯのパターニング
の際、データ電極（２１）の形成と同時に所定の部分が
エッチング除去されて形成される。更に、全面には、垂
直配向膜（２２）が設けられて基板（２）が構成され
る。

【００１１】以上の構造の両基板（１）（２）が、走査
電極（１１）とデータ電極（２１）が互いに直交するよ
うに貼り合わされ、隙間に負の誘電率異方性をもつ液晶
が封入されて本発明の実施例である液晶表示装置が構成
される。図５は１画素分の断面図であり、図６は両基板
（１）（２）を貼り合わせたときの走査電極（１１）、
データ電極（２１）及び配向制御窓（５）の位置関係を
示した平面図である。配向制御電極（４）は液晶の傾斜
方向を画素の内側に規定するためのものであり、電位は
全ての走査電極（１１）よりも高いか、または、低い実
効値に設定される。これより、両電極（１１，２１）と
配向制御電極（４）の間には、図５の点線で示される形
状の電気力線が生じる。即ち、走査電極（１１）と配向
制御電極（４）間の電界のため、画素の端部において、
表示領域内から表示領域外へ、走査電極（１１）から斜
め上方に向かう電気力線が生じる。負の誘電率異方性を
もつ液晶分子（３０）は、これにしたがって分子長軸が
電気力線に直角になる方向に傾斜するが、液晶の連続体
性に基ずく弾性のために、最短で直角に近付くように画
素の内側に傾斜することで、エネルギー的に安定とな
る。また、表示領域内のデータ電極（２１）中に電極の
不在により形成された配向制御窓（５）に対応する液晶
層（３）中では、電気力線が存在しないか、少なくとも
閾値以下の電圧が印加されるのみであるため、この部分
の液晶分子（３０）は初期の垂直配向状態に固定され
る。このように、配向制御電極（４）により画素の周縁
部で液晶分子（３０）の傾斜方向を規定し、配向制御窓
（５）でこれに対応する部分の液晶分子（３０）を基板
に対して垂直方向に固定することにより、液晶の連続体
性の作用のために、図６の矢印で示されるように、Ｘ字
型の配向制御窓（５）で区切られた４つの領域では、液
晶の傾斜方向は画素の各辺に直角で内側方向になり、互
いに傾斜方向の異なる各領域の境界線は、配向制御窓
（５）上に固定される。

【００１２】以上に説明してきたことは、本願で示した
実施例に限定されず、例えば、配向制御電極（４）をデ
ータ電極（２１）側に、配向制御窓（５）を走査電極
（１１）側に設けても同様である。

【００１３】

【発明の効果】以上のように、液晶の配向を制御するこ
とにより、画素ごとに異なる形状のディスクリネーショ
ンを抑制し、全画素について同一の配向制御窓で固定す
ることにより、全選択点の色度や輝度が均一になり、表
示品位が向上した。特に、配向制御窓をＸ字型にとった
場合は、配向制御窓以外の領域ではディスクリネーショ
ンは完全に消滅した。また、１画素につき、液晶分子の
配向ベクトルが異なる領域の面積が、４方向にわたって
同等になるので、コントラスト比の視角依存性が低減
し、視角特性が向上した。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例である液晶表示装置を構成する
一方の基板の平面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図３】本発明の実施例である液晶表示装置を構成する
他方の基板の平面図である。

【図４】図３のＢ−Ｂ線に沿う断面図である。

【図５】本発明の作用効果を説明する図である。

【図６】本発明の作用効果を説明する図である。

【図７】従来の液晶表示装置の平面図である。

【図８】図７のＣ−Ｃ線に沿う断面図である。

【符号の説明】

１，２ 基板 ２ ＴＦＴ基板 ３ 液晶層 ４ 配向制御電極 ５ 配向制御窓 １０ 透明基板 １１ 走査極極 １２，２２ 垂直配向膜 １３ 絶縁膜 ２１ データ電極 ３０ 液晶分子

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 走査信号入力用の透明電極が設けられた
   基板と、データ信号入力用の透明電極が設けられた基板
   が、液晶層を挟んで貼り合わされてなる液晶表示装置で
   あって、 前記２枚の基板の一方の基板上に、前記両透明電極が重
   畳する領域を囲む配向制御電極が設けられ、かつ、該配
   向制御電極には、該配向制御電極が設けられた基板上の
   他の透明電極とは異なる電圧が印加されことを特徴とす
   る液晶表示装置。
2. 【請求項２】 前記配向制御電極には、それが設けられ
   た基板上の他の全ての透明電極よりも高いか、または、
   低い電圧が印加されることを特徴とする請求項１記載の
   液晶表示装置。
3. 【請求項３】 前記両透明電極が重畳する領域の、少な
   くとも一方の透明電極には、所定の部分が取り除かれて
   形成された配向制御窓が設けられることを特徴とする請
   求項１または請求項２記載の液晶表示装置。