JPH0760002A - 蒸留装置及びそれを用いた有機溶媒の精製方法 - Google Patents
蒸留装置及びそれを用いた有機溶媒の精製方法Info
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- JPH0760002A JPH0760002A JP5207891A JP20789193A JPH0760002A JP H0760002 A JPH0760002 A JP H0760002A JP 5207891 A JP5207891 A JP 5207891A JP 20789193 A JP20789193 A JP 20789193A JP H0760002 A JPH0760002 A JP H0760002A
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- condensate
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- Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 缶液加熱蒸発機能を備えた缶部、缶部より上
部に位置する塔部、及び塔部より上部に位置し、器内底
部に液溜まり生成機能を有する凝縮器部の3主要部分か
ら構成される蒸留装置であって、該液溜まり液の一部を
溢流堰を用いて塔部へ溢流させて還流液とすることがで
き、該液溜まり液の残りの部分を管路を用いて器外へ流
出させて留出液とする蒸留装置。 【効果】 本発明によれば、往復動式の留出液分割器な
ど可動部を有する還流器、ポンプ、バルブ等の可動部を
含む機器を用いることなく、静的接液部のみからなる蒸
留装置が実現でき、この結果、金属溶出とパーティクル
の発生が極めて少なく、安全且つ安定運転が可能とな
る。
部に位置する塔部、及び塔部より上部に位置し、器内底
部に液溜まり生成機能を有する凝縮器部の3主要部分か
ら構成される蒸留装置であって、該液溜まり液の一部を
溢流堰を用いて塔部へ溢流させて還流液とすることがで
き、該液溜まり液の残りの部分を管路を用いて器外へ流
出させて留出液とする蒸留装置。 【効果】 本発明によれば、往復動式の留出液分割器な
ど可動部を有する還流器、ポンプ、バルブ等の可動部を
含む機器を用いることなく、静的接液部のみからなる蒸
留装置が実現でき、この結果、金属溶出とパーティクル
の発生が極めて少なく、安全且つ安定運転が可能とな
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は還流機構に可動部を持た
ない蒸留装置に関する。より詳細には可動部をなくすこ
とにより、可動部から発生する微粒子、溶出物の量を低
減した高純度の液体を得るための蒸留装置に関する。ま
た、可動部を設置しないことにより、装置の故障を減少
させた長期的に信頼性の高い蒸留装置に関する。
ない蒸留装置に関する。より詳細には可動部をなくすこ
とにより、可動部から発生する微粒子、溶出物の量を低
減した高純度の液体を得るための蒸留装置に関する。ま
た、可動部を設置しないことにより、装置の故障を減少
させた長期的に信頼性の高い蒸留装置に関する。
【0002】
【従来技術】電子工業界では、半導体や液晶等の製造ラ
インにおいて、多種類の洗浄液や処理液(以下、液体と
略す。)が使用されているが、金属分やパーティクル等
の不純物を所定量以上に含む液体を使用すると、所望の
品質基準が満足できない結果となることがある。例え
ば、ウエハー表面上に汚染物質として金属が存在する
と、デバイス特性を著しく損なうこととなり、結晶欠陥
やP−N接合電流リークが生じたり、酸化膜耐圧やライ
フタイムが低下することが知られている。
インにおいて、多種類の洗浄液や処理液(以下、液体と
略す。)が使用されているが、金属分やパーティクル等
の不純物を所定量以上に含む液体を使用すると、所望の
品質基準が満足できない結果となることがある。例え
ば、ウエハー表面上に汚染物質として金属が存在する
と、デバイス特性を著しく損なうこととなり、結晶欠陥
やP−N接合電流リークが生じたり、酸化膜耐圧やライ
フタイムが低下することが知られている。
【0003】使用される液体中の金属分やパーティクル
数低減を目的とした液体の精製法として、蒸留または蒸
発(これらをまとめて以下、蒸留と呼ぶ)は有効な方法
であり、例えば、特開昭58−211000に示されて
いる。蒸留装置の主要な構成材料としては、耐衝撃性、
耐圧、耐熱、自立保持強度の観点から、金属材料が好ん
で用いられている。また、一部、シール面や摩擦面にフ
ッ素含有樹脂等の高分子材料が使用される場合もある。
数低減を目的とした液体の精製法として、蒸留または蒸
発(これらをまとめて以下、蒸留と呼ぶ)は有効な方法
であり、例えば、特開昭58−211000に示されて
いる。蒸留装置の主要な構成材料としては、耐衝撃性、
耐圧、耐熱、自立保持強度の観点から、金属材料が好ん
で用いられている。また、一部、シール面や摩擦面にフ
ッ素含有樹脂等の高分子材料が使用される場合もある。
【0004】これら一般的な蒸留装置の接液部は、大別
すると、器壁内面や管壁内面等の静的接液部分と、凝縮
液を還流液と留出液に分割するための往復動式凝縮液分
割器のしゅう動面や当たり面あるいは留出ライン及び/
または還流ラインに設置された自動開閉弁または制御弁
のダイヤフラムや動的部分がぶつかるバルブシート、さ
らにポンプ軸受け部等の動的接液部分に分けることがで
きる。
すると、器壁内面や管壁内面等の静的接液部分と、凝縮
液を還流液と留出液に分割するための往復動式凝縮液分
割器のしゅう動面や当たり面あるいは留出ライン及び/
または還流ラインに設置された自動開閉弁または制御弁
のダイヤフラムや動的部分がぶつかるバルブシート、さ
らにポンプ軸受け部等の動的接液部分に分けることがで
きる。
【0005】動的接液部分からは金属溶出、金属や高分
子材料のパーティクル発生があり、その程度は静的接液
部分からのそれに比べて当然のことながら一般に著しく
大きい。こうした理由から、精製された凝縮液を還流す
るに際し、動的接液部を有する装置を使用することは、
精製液中の金属分やパーティクル数を低レベルに維持す
る目的上好ましくない。
子材料のパーティクル発生があり、その程度は静的接液
部分からのそれに比べて当然のことながら一般に著しく
大きい。こうした理由から、精製された凝縮液を還流す
るに際し、動的接液部を有する装置を使用することは、
精製液中の金属分やパーティクル数を低レベルに維持す
る目的上好ましくない。
【0006】更に、動的接液部を有する装置では、可動
部分において消耗部品が当然のことながら発生するし、
また可動部分は故障の原因になりやすいため、長期にわ
たり高度な信頼性を得ることが難しく、その保守にはか
なりの労力が必要とされている。
部分において消耗部品が当然のことながら発生するし、
また可動部分は故障の原因になりやすいため、長期にわ
たり高度な信頼性を得ることが難しく、その保守にはか
なりの労力が必要とされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、静的接液部のみ
を用いて、金属溶出及びパーティクルの発生を抑制し、
更に、長期にわたり高度な信頼性を与えることを可能と
した蒸留装置を提供することにある。
鑑みなされたものであり、その目的は、静的接液部のみ
を用いて、金属溶出及びパーティクルの発生を抑制し、
更に、長期にわたり高度な信頼性を与えることを可能と
した蒸留装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨は、
缶液蒸発機能を備えた缶部、缶部より上部に位置する塔
部、及び塔部より上部に位置し、器内底部に液溜まり生
成機能を有する凝縮器部の3主要部分から構成される蒸
留装置であって、該液溜まり液の一部を溢流堰を用いて
塔部へ溢流させて還流液とすることができ、該液溜まり
液の残りの部分を管路を用いて流出させて留出液とする
ことを特徴とする蒸留装置に存する。
缶液蒸発機能を備えた缶部、缶部より上部に位置する塔
部、及び塔部より上部に位置し、器内底部に液溜まり生
成機能を有する凝縮器部の3主要部分から構成される蒸
留装置であって、該液溜まり液の一部を溢流堰を用いて
塔部へ溢流させて還流液とすることができ、該液溜まり
液の残りの部分を管路を用いて流出させて留出液とする
ことを特徴とする蒸留装置に存する。
【0009】本発明における缶部とは、缶液加熱蒸発機
能を備えた構造であれば良く、通常、スチーム加熱式ま
たは電気ヒーター加熱式等の加熱器が適宜使用される。
本発明の塔部とは、気液間物質移動を効果的に行ない、
かつ/あるいは缶部で発生して塔部に進むミストを捕捉
して液状にして缶部へ流下させて戻すのに必要とされる
充填物あるいは棚段を有するカラム部のことである。
能を備えた構造であれば良く、通常、スチーム加熱式ま
たは電気ヒーター加熱式等の加熱器が適宜使用される。
本発明の塔部とは、気液間物質移動を効果的に行ない、
かつ/あるいは缶部で発生して塔部に進むミストを捕捉
して液状にして缶部へ流下させて戻すのに必要とされる
充填物あるいは棚段を有するカラム部のことである。
【0010】また、当該蒸留装置の凝縮器部には蒸気冷
却凝縮用冷却面を内包し、該冷却面表面で凝縮した液が
直接には塔部に入らず、まず凝縮器底部の液溜まり部に
入るような構造であれば良い。冷却面の形状は特に問わ
ないが、冷却面上で凝縮した液が流下して液溜まりに入
るように配置されていれば良い。蒸気冷却凝縮用冷却面
の一態様としては、コイルの軸を実質的に鉛直に支持し
た冷却コイルがある。この場合、コイル径は溢流堰外径
より大きく、凝縮器外壁内径よりは小さい。また、コイ
ルの形状は、必ずしも円形である必要はなく、コイル上
で蒸気が凝縮した凝縮液が、液溜まりに流下する形状で
あればよい。例えば、三角形状、四角形状、多角形状、
楕円状、あるいはその組み合わせなどを適用することが
できる。更には、コイルの数を複数にして、コンパクト
な空間中で大きな伝熱面積をとることができる。
却凝縮用冷却面を内包し、該冷却面表面で凝縮した液が
直接には塔部に入らず、まず凝縮器底部の液溜まり部に
入るような構造であれば良い。冷却面の形状は特に問わ
ないが、冷却面上で凝縮した液が流下して液溜まりに入
るように配置されていれば良い。蒸気冷却凝縮用冷却面
の一態様としては、コイルの軸を実質的に鉛直に支持し
た冷却コイルがある。この場合、コイル径は溢流堰外径
より大きく、凝縮器外壁内径よりは小さい。また、コイ
ルの形状は、必ずしも円形である必要はなく、コイル上
で蒸気が凝縮した凝縮液が、液溜まりに流下する形状で
あればよい。例えば、三角形状、四角形状、多角形状、
楕円状、あるいはその組み合わせなどを適用することが
できる。更には、コイルの数を複数にして、コンパクト
な空間中で大きな伝熱面積をとることができる。
【0011】また、凝縮器は少なくとも凝縮器内面の接
液部が電解研磨あるいは複合電解研磨で処理されたオー
ステナイトクロムニッケル鋼で製作され、例えば、SU
S316L等の材料が好ましく使用される。これは、表
面に電解研磨、複合電解研磨処理が施されると、表面が
平滑化されるため液体との接触面積が小さくなる等の理
由により金属が溶出しにくくなるので好ましい。
液部が電解研磨あるいは複合電解研磨で処理されたオー
ステナイトクロムニッケル鋼で製作され、例えば、SU
S316L等の材料が好ましく使用される。これは、表
面に電解研磨、複合電解研磨処理が施されると、表面が
平滑化されるため液体との接触面積が小さくなる等の理
由により金属が溶出しにくくなるので好ましい。
【0012】本発明の溢流堰とは、その外周をなす隔壁
部と、隔壁部を切り欠きまたは開孔した、あるいは切り
欠きと開孔を組み合わせた溢流部から構成される部品の
ことである。更には、溢流液を還流液として塔部水平断
面でみて均一に、流下させるための分散手段を付け加え
ることもできる。また、本発明の蒸留装置の一態様は凝
縮器部から器外へ取り出した留出液管路(凝縮液取り出
しライン)を留出液冷却器を経て精製液貯槽と結合し、
該精製液貯槽と該凝縮器空間部とを管路で結合する。缶
部には缶部へ原料を送入する管路(原料供給ライン)及
び缶部から缶液を間欠的に抜き出す管路(缶液パージラ
イン)を有する。そして、凝縮器部では、凝縮器空間部
から取り出した管路を不活性気体が流れている管路に合
流させる。ここで、不活性気体とは、ヘリウム、窒素、
アルゴン、二酸化炭素、空気あるいはこれらのうちの2
種以上の混合物である。
部と、隔壁部を切り欠きまたは開孔した、あるいは切り
欠きと開孔を組み合わせた溢流部から構成される部品の
ことである。更には、溢流液を還流液として塔部水平断
面でみて均一に、流下させるための分散手段を付け加え
ることもできる。また、本発明の蒸留装置の一態様は凝
縮器部から器外へ取り出した留出液管路(凝縮液取り出
しライン)を留出液冷却器を経て精製液貯槽と結合し、
該精製液貯槽と該凝縮器空間部とを管路で結合する。缶
部には缶部へ原料を送入する管路(原料供給ライン)及
び缶部から缶液を間欠的に抜き出す管路(缶液パージラ
イン)を有する。そして、凝縮器部では、凝縮器空間部
から取り出した管路を不活性気体が流れている管路に合
流させる。ここで、不活性気体とは、ヘリウム、窒素、
アルゴン、二酸化炭素、空気あるいはこれらのうちの2
種以上の混合物である。
【0013】また、凝縮液取り出しラインを分岐し、該
分岐管を凝縮器空間部及び/あるいは精製液貯槽空間部
に結合し、均圧化機能をもたせることができる。本発明
においてはこのような蒸留装置を用いることにより、塩
分、イオン性化合物、遊離金属等微粒子など、実質的に
不揮発性の不純物を含有する液体を精製し、これらの不
純物の含有量を極めて微量にすることが可能である。
分岐管を凝縮器空間部及び/あるいは精製液貯槽空間部
に結合し、均圧化機能をもたせることができる。本発明
においてはこのような蒸留装置を用いることにより、塩
分、イオン性化合物、遊離金属等微粒子など、実質的に
不揮発性の不純物を含有する液体を精製し、これらの不
純物の含有量を極めて微量にすることが可能である。
【0014】例えば、クロム0.01ppb(重量基
準、以下全て同じ)以下、鉄0.05ppb以下、ニッ
ケル0.05ppb以下、及び粒径0.5ミクロン以上
のパーティクルを4個/ml以下の有機溶媒を製造する
ことが本発明の蒸留装置を使用することによって達成さ
れる。有機溶媒としては、特に限定はなく、メタノール
・エタノール・イソプロピルアルコール等のアルコール
類、ベンゼン、メチレンクロライドなどのハロゲン化炭
化水素、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメ
チルスルホキシド、ジクロルベンゼンなどの通常の有機
溶媒が使用できる。中でも、イソプロピルアルコール、
メチレンクロライド、N−メチル−2−ピロリドンが好
ましく、特にはイソプロピルアルコールが好適に用いら
れる。
準、以下全て同じ)以下、鉄0.05ppb以下、ニッ
ケル0.05ppb以下、及び粒径0.5ミクロン以上
のパーティクルを4個/ml以下の有機溶媒を製造する
ことが本発明の蒸留装置を使用することによって達成さ
れる。有機溶媒としては、特に限定はなく、メタノール
・エタノール・イソプロピルアルコール等のアルコール
類、ベンゼン、メチレンクロライドなどのハロゲン化炭
化水素、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメ
チルスルホキシド、ジクロルベンゼンなどの通常の有機
溶媒が使用できる。中でも、イソプロピルアルコール、
メチレンクロライド、N−メチル−2−ピロリドンが好
ましく、特にはイソプロピルアルコールが好適に用いら
れる。
【0015】ここで不純物とは、液体に可溶性あるいは
不溶性の粒子状あるいはフロック状の、塩分、イオン性
化合物、微粒子状の金属単体や合金、該液体の主成分に
比べて沸点の高い有機化合物(オリゴマー、ポリマーを
含む)を指す。該液体の主成分が正常沸点が82.3°
Cのイソプロピルアルコールの場合には、正常沸点がイ
ソプロピルアルコールよりも50度以上も高いキシレン
類、ジクロルベンゼン類も不純物に含まれる。
不溶性の粒子状あるいはフロック状の、塩分、イオン性
化合物、微粒子状の金属単体や合金、該液体の主成分に
比べて沸点の高い有機化合物(オリゴマー、ポリマーを
含む)を指す。該液体の主成分が正常沸点が82.3°
Cのイソプロピルアルコールの場合には、正常沸点がイ
ソプロピルアルコールよりも50度以上も高いキシレン
類、ジクロルベンゼン類も不純物に含まれる。
【0016】以下、図面に従って本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの図面に限定されるものでは
ない。まず、図1で示される蒸留装置について説明す
る。原料供給ライン11より、不純物を含む蒸留原料を
蒸留塔缶部1に導入する。本発明の蒸留装置は、蒸留原
料を連続的に供給して連続蒸留を行なうこともできる
し、また、回分で運転することも可能である。このよう
な缶部1には缶部から缶液を間欠的に抜き出す機能を備
えた管路(缶液パージライン)12が結合されている。
明するが、本発明はこれらの図面に限定されるものでは
ない。まず、図1で示される蒸留装置について説明す
る。原料供給ライン11より、不純物を含む蒸留原料を
蒸留塔缶部1に導入する。本発明の蒸留装置は、蒸留原
料を連続的に供給して連続蒸留を行なうこともできる
し、また、回分で運転することも可能である。このよう
な缶部1には缶部から缶液を間欠的に抜き出す機能を備
えた管路(缶液パージライン)12が結合されている。
【0017】当該原料は缶部内で加熱器2により加熱さ
れ、蒸気となって円筒竪型の塔部3内部の充填層4を上
昇し、精製蒸気となって、円筒竪型の凝縮器5に至る。
加熱器2としてはスチーム加熱式、熱媒加熱式、また
は、電気ヒーター加熱式のどれを使用しても良い。精製
蒸気は、凝縮器内の冷却凝縮用コイル8で凝縮され、そ
の凝縮液は凝縮器内底部の凝縮液溜り部7に落下して、
溜り液となる。この際、冷却凝縮コイルのコイル径を、
溢流堰の径よりも大きくとってあれば、コイル上で凝縮
した凝縮液が直接、充填塔内部に落下することはない。
れ、蒸気となって円筒竪型の塔部3内部の充填層4を上
昇し、精製蒸気となって、円筒竪型の凝縮器5に至る。
加熱器2としてはスチーム加熱式、熱媒加熱式、また
は、電気ヒーター加熱式のどれを使用しても良い。精製
蒸気は、凝縮器内の冷却凝縮用コイル8で凝縮され、そ
の凝縮液は凝縮器内底部の凝縮液溜り部7に落下して、
溜り液となる。この際、冷却凝縮コイルのコイル径を、
溢流堰の径よりも大きくとってあれば、コイル上で凝縮
した凝縮液が直接、充填塔内部に落下することはない。
【0018】液溜り部分の凝縮液の一部は、留出液管路
(凝縮液取り出しライン)16によって器外へと取り出
されるが、その際に、凝縮液取り出しライン16中の最
上端部分17のレベルと、凝縮液溜り部分の気液界面レ
ベル20との鉛直方向の相対的な位置関係(鉛直方向の
両者間の距離をLとする)を設定することによって、実
際に蒸留塔外に取り出される凝縮液(留出液)量と蒸留
塔内に還流される凝縮液(還流液)量の比を調節するこ
とができる。
(凝縮液取り出しライン)16によって器外へと取り出
されるが、その際に、凝縮液取り出しライン16中の最
上端部分17のレベルと、凝縮液溜り部分の気液界面レ
ベル20との鉛直方向の相対的な位置関係(鉛直方向の
両者間の距離をLとする)を設定することによって、実
際に蒸留塔外に取り出される凝縮液(留出液)量と蒸留
塔内に還流される凝縮液(還流液)量の比を調節するこ
とができる。
【0019】凝縮液取り出しライン中の好ましくは最上
端部分17でラインを分岐し、該分岐管を凝縮器上部に
結合する。最上端部分17と凝縮器上部とを結ぶライン
(サイフォン切りのためのライン)18は、凝縮液溜り
部の溜り液7が、サイフォン効果で凝縮液取り出しライ
ンを通じて器外へと全量排出されるのを防止するために
必要である。なお、溜り液の全量排出を防止する別の方
法として凝縮液取り出しライン16のうち17以降の下
流全域で精製液貯槽10入口までの管路の内径を十分大
きくすることにより、管内を満たして留出液が流れ出な
いようにする方法がある。
端部分17でラインを分岐し、該分岐管を凝縮器上部に
結合する。最上端部分17と凝縮器上部とを結ぶライン
(サイフォン切りのためのライン)18は、凝縮液溜り
部の溜り液7が、サイフォン効果で凝縮液取り出しライ
ンを通じて器外へと全量排出されるのを防止するために
必要である。なお、溜り液の全量排出を防止する別の方
法として凝縮液取り出しライン16のうち17以降の下
流全域で精製液貯槽10入口までの管路の内径を十分大
きくすることにより、管内を満たして留出液が流れ出な
いようにする方法がある。
【0020】しかし、この方法によれば装置全体がコン
パクトにはならず、半導体工業のように一般には小規模
の処理しか必要としないような場合には好ましくない。
よって、最も好ましい形態はサイフォン切りのためのラ
イン18を設けることであることがわかった。また、凝
縮器5と精製液貯槽10間は均圧ライン19で結合され
ている。
パクトにはならず、半導体工業のように一般には小規模
の処理しか必要としないような場合には好ましくない。
よって、最も好ましい形態はサイフォン切りのためのラ
イン18を設けることであることがわかった。また、凝
縮器5と精製液貯槽10間は均圧ライン19で結合され
ている。
【0021】留出液は留出液冷却器9によって冷却され
た後、精製液貯槽10に送入する。これは、留出液を冷
却しないでそのまま精製液貯槽10へ送入すると、精製
液貯槽10の中の留出液の温度が高くなり、該温度が高
ければ高いほど、精製液貯槽10の器壁から材料の金属
の溶出が促進されることがわかったため、留出液冷却器
9を設置することによりこれを解決したものである。更
に、図1の精製液貯槽10では液体への精製液貯槽壁面
からの溶出をより一層抑制するために、精製液貯槽10
にジャケットを備え付け、冷却液を流すことができるよ
うにしてある。
た後、精製液貯槽10に送入する。これは、留出液を冷
却しないでそのまま精製液貯槽10へ送入すると、精製
液貯槽10の中の留出液の温度が高くなり、該温度が高
ければ高いほど、精製液貯槽10の器壁から材料の金属
の溶出が促進されることがわかったため、留出液冷却器
9を設置することによりこれを解決したものである。更
に、図1の精製液貯槽10では液体への精製液貯槽壁面
からの溶出をより一層抑制するために、精製液貯槽10
にジャケットを備え付け、冷却液を流すことができるよ
うにしてある。
【0022】なお、凝縮器5から凝縮液取り出しライン
16中の最上端部分17に至るまでの凝縮液取り出しラ
イン16の全体的形状は下に凸となっており、この部分
には常に液が存在し、たとえ凝縮器溜り液7が液涸れし
ても、蒸留塔の加熱された蒸気が直接精製液貯槽10側
へと流入することのない構造となっている。凝縮器部で
は、凝縮器空間部からの結合ライン14を、パージライ
ン15につながり、不活性気体が流れる管路13に合流
させる。この結合ライン14は、蒸留の運転を安定して
続けるために必要であり、さらに、消防法に言う危険物
を蒸留原料とする場合には特に安全運転上有用である。
但し、危険物を蒸留原料としたり、蒸留運転中に缶液が
危険物になってしまう場合などには、不活性ガスとして
空気を用いないで窒素などを用いる。これらのラインが
結合されていない場合には、塔内圧に数秒の周期で圧力
変動が生じ、安定した留出液流量を維持できなくなると
ともに、缶液量を一定に保つための制御機器(図1には
示していない)の動作が不完全になり、装置運転上危険
となる。従って、結合ライン14を不活性気体の流れて
いる管路13に合流させ、塔内圧の圧力変動すなわち発
生蒸気量の増減を、不活性気体の流れに吸収させること
により、留出液と缶出液の安定した流量を維持させるこ
とができたものである。また、なんらかの原因で凝縮器
5の蒸気の一部が不活性気体の流れている管路に流出し
た場合においても、該蒸気は不活性気体によって希釈さ
れるため、安全性は確保される。
16中の最上端部分17に至るまでの凝縮液取り出しラ
イン16の全体的形状は下に凸となっており、この部分
には常に液が存在し、たとえ凝縮器溜り液7が液涸れし
ても、蒸留塔の加熱された蒸気が直接精製液貯槽10側
へと流入することのない構造となっている。凝縮器部で
は、凝縮器空間部からの結合ライン14を、パージライ
ン15につながり、不活性気体が流れる管路13に合流
させる。この結合ライン14は、蒸留の運転を安定して
続けるために必要であり、さらに、消防法に言う危険物
を蒸留原料とする場合には特に安全運転上有用である。
但し、危険物を蒸留原料としたり、蒸留運転中に缶液が
危険物になってしまう場合などには、不活性ガスとして
空気を用いないで窒素などを用いる。これらのラインが
結合されていない場合には、塔内圧に数秒の周期で圧力
変動が生じ、安定した留出液流量を維持できなくなると
ともに、缶液量を一定に保つための制御機器(図1には
示していない)の動作が不完全になり、装置運転上危険
となる。従って、結合ライン14を不活性気体の流れて
いる管路13に合流させ、塔内圧の圧力変動すなわち発
生蒸気量の増減を、不活性気体の流れに吸収させること
により、留出液と缶出液の安定した流量を維持させるこ
とができたものである。また、なんらかの原因で凝縮器
5の蒸気の一部が不活性気体の流れている管路に流出し
た場合においても、該蒸気は不活性気体によって希釈さ
れるため、安全性は確保される。
【0023】次に図2で示される溢流堰について説明す
る。溢流堰は外周の隔壁部24と溢流部25および分散
器26から構成され、下部のおねじ21を用いて、凝縮
器底部即ち塔部最上部に固定することができる。固定方
式としては、溢流堰の下部、即ちおねじ21近傍より凝
縮液溜まり部の液が漏洩して塔部の充填層側に入ること
のないように、ねじ込み、ボルト止め、溶接止め、削り
出し等の方法が使用される。より詳細には、一つの好適
な固定方式であるねじ込み方法では、ガスケット22を
用いて凝縮液のシールを行う。ガスケット22の材質と
しては、多くの種類の液体に対して金属等の溶出量の少
ないフッ素樹脂を好適に用いることができる。
る。溢流堰は外周の隔壁部24と溢流部25および分散
器26から構成され、下部のおねじ21を用いて、凝縮
器底部即ち塔部最上部に固定することができる。固定方
式としては、溢流堰の下部、即ちおねじ21近傍より凝
縮液溜まり部の液が漏洩して塔部の充填層側に入ること
のないように、ねじ込み、ボルト止め、溶接止め、削り
出し等の方法が使用される。より詳細には、一つの好適
な固定方式であるねじ込み方法では、ガスケット22を
用いて凝縮液のシールを行う。ガスケット22の材質と
しては、多くの種類の液体に対して金属等の溶出量の少
ないフッ素樹脂を好適に用いることができる。
【0024】図2に示した様なねじ込み装置では、上部
外壁にノブ23を設けることができる。このようなノブ
を利用すれば特別な金属製工具や治具を用いることなく
人の手の力で直接ねじ込むことができるため、接液部を
有する溢流堰表面に傷がつかず、一般に溶出量の多いと
言われる、傷からの金属溶出を避けることができるので
好ましい。
外壁にノブ23を設けることができる。このようなノブ
を利用すれば特別な金属製工具や治具を用いることなく
人の手の力で直接ねじ込むことができるため、接液部を
有する溢流堰表面に傷がつかず、一般に溶出量の多いと
言われる、傷からの金属溶出を避けることができるので
好ましい。
【0025】また、分散器26は還流液を充填層上部に
適切に、即ち実質的に塔部水平断面でみて均一に分散す
るために設けられたものである。溢流部25から隔壁部
24を越えて分散器26の溝部分、即ち上方に対して凹
の部分に入った凝縮液は、該溝部分を満たしてあふれつ
つ下方の充填層4に向かって落下する。図2の分散器2
6は均一に分散させる一つの形態を示したものであり、
他に多孔板、多孔管などを用いることもできる。
適切に、即ち実質的に塔部水平断面でみて均一に分散す
るために設けられたものである。溢流部25から隔壁部
24を越えて分散器26の溝部分、即ち上方に対して凹
の部分に入った凝縮液は、該溝部分を満たしてあふれつ
つ下方の充填層4に向かって落下する。図2の分散器2
6は均一に分散させる一つの形態を示したものであり、
他に多孔板、多孔管などを用いることもできる。
【0026】本発明による蒸留装置を用いることによ
り、塩分、イオン性化合物、遊離金属等微粒子等の実質
的に不揮発性の不純物を含有する液体を精製することが
でき、特には、クロム0.01ppb以下、鉄0.05
ppb以下、ニッケル0.05ppb以下、及び粒径が
0.5ミクロン以上のパーティクルが4個/ml以下の
イソプロピルアルコールを得ることができる。
り、塩分、イオン性化合物、遊離金属等微粒子等の実質
的に不揮発性の不純物を含有する液体を精製することが
でき、特には、クロム0.01ppb以下、鉄0.05
ppb以下、ニッケル0.05ppb以下、及び粒径が
0.5ミクロン以上のパーティクルが4個/ml以下の
イソプロピルアルコールを得ることができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。なお、以下の諸例において、各測定は次の方法に
よって行った。 (1)還流比 まず、図1のLを大きくとって、即ち凝縮液取り出しラ
インの最上端部分17の位置を下げて、凝縮液の全量を
留出液とする場合の留出液流量(液体容積換算の蒸気焚
き上げ速度、即ち全蒸気焚き上げ量に相当)V(Kg/hr)
及び缶部への供給熱量(加熱に使用されるスチーム消費
量)を定常状態において実測し、この留出液流量Vと供
給熱量との関係をあらかじめ求めておく。この関係を用
いることにより、スチーム消費量から全蒸気焚き上げ量
Vが求められる。電気加熱方式の場合には、電気ヒータ
ーに流れる電流量をスチーム消費量の代わりの変数とし
て用いれば同様の関係が得られる。
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。なお、以下の諸例において、各測定は次の方法に
よって行った。 (1)還流比 まず、図1のLを大きくとって、即ち凝縮液取り出しラ
インの最上端部分17の位置を下げて、凝縮液の全量を
留出液とする場合の留出液流量(液体容積換算の蒸気焚
き上げ速度、即ち全蒸気焚き上げ量に相当)V(Kg/hr)
及び缶部への供給熱量(加熱に使用されるスチーム消費
量)を定常状態において実測し、この留出液流量Vと供
給熱量との関係をあらかじめ求めておく。この関係を用
いることにより、スチーム消費量から全蒸気焚き上げ量
Vが求められる。電気加熱方式の場合には、電気ヒータ
ーに流れる電流量をスチーム消費量の代わりの変数とし
て用いれば同様の関係が得られる。
【0028】還流がある場合には、全蒸気焚き上げ量V
は還流液流量Q(Kg/hr)と留出液流量D(Kg/hr)の和に等
しいことから、留出液流量Dとスチーム消費量を測定す
ることにより、還流液流量Qを下記式で求めることがで
きる。
は還流液流量Q(Kg/hr)と留出液流量D(Kg/hr)の和に等
しいことから、留出液流量Dとスチーム消費量を測定す
ることにより、還流液流量Qを下記式で求めることがで
きる。
【0029】
【数1】Q=V−D 更に、蒸留塔の還流比Rは下記式で求めることができ
る。
る。
【0030】
【数2】R=Q/D (2)金属濃度 (i)Ni,Fe,Ca,K,Naの濃度は、グラファ
イトファーネスの原子吸光分析法を用いて測定した。
イトファーネスの原子吸光分析法を用いて測定した。
【0031】(ii)Ni,Fe,Ca,K,Na以外の
金属の濃度は、ICP−発光分析法を用いて測定した。 (3)パーティクル量 液中パーティクルカウンター(HIAC−ROYCO社
製,MODEL 346BCL)を用いて測定した。
金属の濃度は、ICP−発光分析法を用いて測定した。 (3)パーティクル量 液中パーティクルカウンター(HIAC−ROYCO社
製,MODEL 346BCL)を用いて測定した。
【0032】実施例1 高さ416mm、内径310mmの缶部、高さ610mm、内
径83mmの塔部、高さ572mm、内径306mmの凝縮器
部、また、高さ65mm、内径83mmの溢流堰及びコイル
径270mm、内径16.7mm、外径21.7mm(コイルパ
イプ)の冷却用コイルを有する蒸留装置を用いてイソプ
ロピルアルコールの蒸留精製を行なった。該蒸留装置の
使用材料は、缶部と充填物を除き他は全ての接液部、接
蒸気部に電解研磨処理を行なったSUS316Lとした。
径83mmの塔部、高さ572mm、内径306mmの凝縮器
部、また、高さ65mm、内径83mmの溢流堰及びコイル
径270mm、内径16.7mm、外径21.7mm(コイルパ
イプ)の冷却用コイルを有する蒸留装置を用いてイソプ
ロピルアルコールの蒸留精製を行なった。該蒸留装置の
使用材料は、缶部と充填物を除き他は全ての接液部、接
蒸気部に電解研磨処理を行なったSUS316Lとした。
【0033】缶部の加熱はコイルを用いて、ゲージ圧力
0.5Kg/cm2のスチームで行なった。管路13には、不
活性気体としての圧力200mm水柱の窒素を毎分3.5
リットル流した。凝縮液取り出しライン中の最上端部分
17のレベルと、凝縮液溜り部分の気液界面レベル20
との鉛直方向の距離(L)を10mm、15mm、20mmと
した各場合について、原料供給流量F(Kg/hr)を順次変
化させた。
0.5Kg/cm2のスチームで行なった。管路13には、不
活性気体としての圧力200mm水柱の窒素を毎分3.5
リットル流した。凝縮液取り出しライン中の最上端部分
17のレベルと、凝縮液溜り部分の気液界面レベル20
との鉛直方向の距離(L)を10mm、15mm、20mmと
した各場合について、原料供給流量F(Kg/hr)を順次変
化させた。
【0034】缶出液流量W(Kg/hr)は原料供給流量Fの
1容量%を設定値とし、実測値はこれと一致した。な
お、缶出液の抜き出しは、缶出液ライン12にオンオフ
作動する自動弁を設置して、間欠的ながら時間平均的に
は定流量抜き出しを行なった。一つのケースでは、原料
供給流量が21l/hrの場合、30分間に1回、8秒間
自動弁を開とした。
1容量%を設定値とし、実測値はこれと一致した。な
お、缶出液の抜き出しは、缶出液ライン12にオンオフ
作動する自動弁を設置して、間欠的ながら時間平均的に
は定流量抜き出しを行なった。一つのケースでは、原料
供給流量が21l/hrの場合、30分間に1回、8秒間
自動弁を開とした。
【0035】実質的に定常運転状態になったところで、
スチーム消費量、従って全蒸気焚き上げ量V、及び留出
液流量Dを測定した。前述した方法により還流比Rを計
算した。測定された原料供給流量Fと還流比Rとの関係
を図3に示す。
スチーム消費量、従って全蒸気焚き上げ量V、及び留出
液流量Dを測定した。前述した方法により還流比Rを計
算した。測定された原料供給流量Fと還流比Rとの関係
を図3に示す。
【0036】図3によれば、凝縮液取り出しライン中の
最上端部分17のレベルと、凝縮液溜り部分の気液界面
レベル20との鉛直方向の距離Lが一定の場合、還流比
の原料供給流量に対する関係は傾きが正のほぼ直線で表
される。このことから、たとえば還流比を一定に保ちな
がら、原料供給量を大きくしたい場合には、図3にした
がってL値を大きくすることによって達成されることが
わかる。即ち、この図を用いることにより、適切な蒸留
装置が設計、製作可能であり、運転条件の変更に対して
も装置を容易に改造できる。つまり、本発明の溢流堰を
用いる方法は設計上はもちろん、運転上も信頼ができる
安定感と柔軟性に富む技術と言える。
最上端部分17のレベルと、凝縮液溜り部分の気液界面
レベル20との鉛直方向の距離Lが一定の場合、還流比
の原料供給流量に対する関係は傾きが正のほぼ直線で表
される。このことから、たとえば還流比を一定に保ちな
がら、原料供給量を大きくしたい場合には、図3にした
がってL値を大きくすることによって達成されることが
わかる。即ち、この図を用いることにより、適切な蒸留
装置が設計、製作可能であり、運転条件の変更に対して
も装置を容易に改造できる。つまり、本発明の溢流堰を
用いる方法は設計上はもちろん、運転上も信頼ができる
安定感と柔軟性に富む技術と言える。
【0037】実施例2 次に、実施例1の蒸留装置を用い、表1の金属を微少量
含有するイソプロピルアルコール溶液A,B,C,Dを
それぞれ蒸留原料として、蒸留精製を行なった。運転条
件は実施例1において、原料供給流量21l/hr、缶出
液流量0.21l/hr、Lは17mmに設定した。な
お、この時の還流比Rは図3によれば0.5と読み取れ
る。得られた留出液は、クリーン度100以下の環境下
でサンプリングし、金属分析及びパーティクル量の分析
を行なった。その結果を表1、表2に示す。
含有するイソプロピルアルコール溶液A,B,C,Dを
それぞれ蒸留原料として、蒸留精製を行なった。運転条
件は実施例1において、原料供給流量21l/hr、缶出
液流量0.21l/hr、Lは17mmに設定した。な
お、この時の還流比Rは図3によれば0.5と読み取れ
る。得られた留出液は、クリーン度100以下の環境下
でサンプリングし、金属分析及びパーティクル量の分析
を行なった。その結果を表1、表2に示す。
【0038】比較例1 装置内面接液部がSUS316Lで電解研磨処理してあるスプ
リングリターン式の留出液分割器を使用して、還流液を
塔部上部に戻した以外は実施例2と同様の方法で蒸留精
製を行なった。得られた留出液の金属分析の結果を表1
に示し、パーティクル量の分析結果を表2に示す。
リングリターン式の留出液分割器を使用して、還流液を
塔部上部に戻した以外は実施例2と同様の方法で蒸留精
製を行なった。得られた留出液の金属分析の結果を表1
に示し、パーティクル量の分析結果を表2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、往復動式の留出液分割
器など可動部を有する還流器、ポンプ、自動開閉弁等の
可動部を含む機器を用いることなく、静的接液部のみか
らなる蒸留装置が実現でき、この結果、金属溶出とパー
ティクルの発生が少なく、安全且つ安定運転が可能であ
り、また、装置の保守の手間が非常に小さく、長期的に
信頼性の高い蒸留装置が実現できる。
器など可動部を有する還流器、ポンプ、自動開閉弁等の
可動部を含む機器を用いることなく、静的接液部のみか
らなる蒸留装置が実現でき、この結果、金属溶出とパー
ティクルの発生が少なく、安全且つ安定運転が可能であ
り、また、装置の保守の手間が非常に小さく、長期的に
信頼性の高い蒸留装置が実現できる。
【図1】蒸留装置の説明図である。
【図2】蒸留装置に装備された溢流堰の外観図である。
【図3】原料供給流量と還流比の関係を示す図である。
1:蒸留塔缶部 2:加熱器 3:塔部 4:充填層 5:凝縮器 6:溢流堰 7:凝縮液溜り部 8:冷却凝縮用コイル 9:留出液冷却器 10:精製液貯槽 11:原料供給ライン 12:缶液パージライン 13:不活性気体が流れているライン 14:結合ライン 15:パージライン 16:凝縮液取り出しライン(留出液管路) 17:凝縮液取り出しライン中の最上端部分 18:サイフォン切りのためのライン 19:均圧ライン 20:凝縮液溜り部分の気液界面レベル 21:おねじ 22:ガスケット 23:ノブ 24:隔壁部 25:溢流部 26:分散部 L:液溜り部7の気液界面レベル20と凝縮液取り出し
ライン上の最上端部分17との鉛直方向の距離
ライン上の最上端部分17との鉛直方向の距離
Claims (10)
- 【請求項1】缶液加熱蒸発機能を備えた缶部、缶部より
上部に位置する塔部、及び塔部より上部に位置し、器内
底部に液溜まり生成機能を有する凝縮器部の3主要部分
から構成される蒸留装置であって、該液溜まり液の一部
を溢流堰を用いて塔部へ溢流させて還流液とすることが
でき、該液溜まり液の残りの部分を管路を用いて器外へ
流出させて留出液とすることを特徴とする蒸留装置。 - 【請求項2】溢流堰外径よりも大きく、凝縮器外壁内径
よりも小さいコイル径を持つ蒸気冷却凝縮用コイルであ
って、該コイル表面で凝縮した液が直接には塔部に入ら
ず、まず液溜まり部に入るようにしたことを特徴とする
凝縮器部にコイルを内包する請求項1記載の蒸留装置。 - 【請求項3】隔壁部とその上部を切り欠き及び/または
開孔した溢流部から構成される溢流堰を装備する請求項
1又は請求項2記載の蒸留装置。 - 【請求項4】溢流堰が溢流液を塔部水平断面でみて均一
に分散するための分散機構を一体的に組み込まれたもの
であることを特徴とする請求項3記載の蒸留装置。 - 【請求項5】塩分、イオン性化合物、遊離金属等微粒子
等の実質的に不揮発性の不純物を含有する液体を精製す
ることを目的とする請求項1ないし請求項4いずれかに
記載の蒸留装置。 - 【請求項6】請求項1記載の蒸留装置であって、凝縮器
部の液溜まり部分から器外へ取り出した留出液管路を、
留出液冷却器を経て精製液貯槽と結合し、該精製液貯槽
と該凝縮器空間部とを管路で結合し、缶部には缶部へ原
料を送入する管路及び缶部から缶液を間欠的に抜き出す
機能を備えた管路を有し、凝縮器部では凝縮器空間部か
ら取り出した管路を不活性気体が流れている管路に合流
させることを特徴とする蒸留装置。 - 【請求項7】留出液管路を分岐し、該分岐管を凝縮器空
間部及び/あるいは精製液貯槽空間部に結合し、均圧化
機能をもたせたことを特徴とする請求項6記載の蒸留装
置。 - 【請求項8】少なくとも凝縮器内面の接液部が電解研磨
あるいは複合電解研磨で処理されているオーステナイト
クロムニッケル鋼で製作されていることを特徴とする請
求項1ないし請求項7いずれかに記載の蒸留装置。 - 【請求項9】請求項1ないし請求項8いずれかに記載の
蒸留装置を用いたクロム0.01ppb(重量基準、以
下全て同じ)以下、鉄0.05ppb以下、ニッケル
0.05ppb以下、及び粒径が0.5ミクロン以上の
パーティクルが4個/ml以下の有機溶媒の精製方法。 - 【請求項10】有機溶媒がイソプロピルアルコールであ
ることを特徴とする請求項9記載の精製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5207891A JPH0760002A (ja) | 1993-08-23 | 1993-08-23 | 蒸留装置及びそれを用いた有機溶媒の精製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5207891A JPH0760002A (ja) | 1993-08-23 | 1993-08-23 | 蒸留装置及びそれを用いた有機溶媒の精製方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0760002A true JPH0760002A (ja) | 1995-03-07 |
Family
ID=16547285
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5207891A Pending JPH0760002A (ja) | 1993-08-23 | 1993-08-23 | 蒸留装置及びそれを用いた有機溶媒の精製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0760002A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0761947A (ja) * | 1993-08-25 | 1995-03-07 | Nippon Steel Chem Co Ltd | ビスフェノールaの製造方法 |
WO2001017647A1 (en) * | 1999-09-06 | 2001-03-15 | Ineos Fluor Holdings Limited | Apparatus and method for extracting biomass |
JP2004085192A (ja) * | 2002-08-23 | 2004-03-18 | Boc Group Inc:The | 精製液体を製造する方法及び装置 |
CN102407027A (zh) * | 2011-11-21 | 2012-04-11 | 洛阳骏腾能源科技有限公司 | 废旧塑料造粒机用的气液两级分离器及分离方法 |
CN102430259A (zh) * | 2011-11-21 | 2012-05-02 | 洛阳骏腾能源科技有限公司 | 废旧塑料造粒机用的斜体式气液两级分离器及分离方法 |
CN102842260A (zh) * | 2012-09-11 | 2012-12-26 | 大连理工大学 | 通用塔器教具 |
KR101255725B1 (ko) * | 2012-07-03 | 2013-04-17 | 한국기계연구원 | 정삼투 공정 일체형 유도용질 회수장치 |
JP2020500706A (ja) * | 2016-11-29 | 2020-01-16 | ワインミル オーワイWinemill Oy | アルコール飲料の脱アルコールのための装置及び方法 |
-
1993
- 1993-08-23 JP JP5207891A patent/JPH0760002A/ja active Pending
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0761947A (ja) * | 1993-08-25 | 1995-03-07 | Nippon Steel Chem Co Ltd | ビスフェノールaの製造方法 |
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JP4694116B2 (ja) * | 2002-08-23 | 2011-06-08 | ザ・ビーオーシー・グループ・インコーポレーテッド | 精製液体を製造する方法及び装置 |
CN102407027A (zh) * | 2011-11-21 | 2012-04-11 | 洛阳骏腾能源科技有限公司 | 废旧塑料造粒机用的气液两级分离器及分离方法 |
CN102430259A (zh) * | 2011-11-21 | 2012-05-02 | 洛阳骏腾能源科技有限公司 | 废旧塑料造粒机用的斜体式气液两级分离器及分离方法 |
CN102430259B (zh) * | 2011-11-21 | 2015-05-13 | 洛阳骏腾能源科技有限公司 | 废旧塑料造粒机用的斜体式气液两级分离器及分离方法 |
KR101255725B1 (ko) * | 2012-07-03 | 2013-04-17 | 한국기계연구원 | 정삼투 공정 일체형 유도용질 회수장치 |
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JP2020500706A (ja) * | 2016-11-29 | 2020-01-16 | ワインミル オーワイWinemill Oy | アルコール飲料の脱アルコールのための装置及び方法 |
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