JPH0759257A - 冷媒圧縮機用モータの漏電防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 冷媒圧縮機と電動モータとを１つのハウジン
グ内に収容した電動圧縮機の漏電による不具合を、小型
で安価な装置で防止する。 【構成】 冷媒圧縮機と電動モータ３とを収納するハウ
ジング４は、車両から絶縁保持される。そして、ハウジ
ング４を漏電検出用抵抗体２１を介して電源１５のマイ
ナス側へ接続する。漏電検出用抵抗体２１の電圧を漏電
検出回路２０でモニターし、漏電検出回路２０は、漏電
検出用抵抗体２１の電圧が所定電圧に達すると、インバ
ータブリッジ１６を制御する制御部１７へ漏電検出信号
を出力する。制御部１７は、漏電検出信号を入力する
と、インバータブリッジ１６の制御を停止して、電動モ
ータ３を停止する。そして、本発明は、漏電検出用抵抗
体２１の電圧をモニターすることで、漏電が検出できる
簡単な構成であるため、漏電防止装置を小型で、かつ安
価に提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、冷凍サイクルの冷媒圧
縮機と電動モータとを、１つのハウジング内に収納した
電動圧縮機の漏電を防ぐ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】電動モータが漏電すると、電動モータの
出力が低下するとともに、電動モータのハウジングによ
って人が感電する可能性がある。そこで、電動モータの
漏電による不具合を防止する技術として、特開昭６１−
６９３３０号公報に開示された技術が知られている。こ
の技術は、交流モータへ電力を供給する電力供給部に設
けられるもので、同一鉄心に巻かれた複数のコモンモー
ドコイルと、この複数のコモンモードコイルの巻かれた
鉄心に巻かれた零相電流検出用コイルと、各コモンモー
ドコイル間に接続されたコンデンサとを有し、零相電流
検出用コイルの出力が所定値以上に達したときに、電動
モータへの通電を停止する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記に示した従来の技
術は、複数のコモンモードコイルと、零相電流検出用コ
イルとが少なくとも必要になる。つまり、３つ以上のコ
イルが必要になるため、体格が大きくなる。また、同一
鉄心に、同一巻数の複数のコモンモードコイルと、零相
電流検出用コイルとを巻く必要があるため、これらの製
造コストが高くなり、結果的に漏電検出装置のコストも
高くなってしまう。

【０００４】

【発明の目的】本発明は、上記の事情に鑑みてなされた
もので、その目的は、小型でかつ安価な冷媒圧縮機用モ
ータの漏電防止装置の提供にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の冷媒圧縮機用モ
ータの漏電防止装置は、冷媒の吸入および圧縮を行う冷
凍サイクルの冷媒圧縮機、およびこの冷媒圧縮機を回転
駆動する電動モータを、車両から絶縁され、内部にオイ
ルが配された１つのハウジング内に収納した密閉型の電
動圧縮機と、車両に搭載された電源と、この電源から電
力の供給を受け、前記電動モータに電力の供給制御を行
うモータ駆動回路と、前記ハウジングに生じた電流を電
圧に変換するための漏電検出用抵抗体、およびこの漏電
検出用抵抗体によって変換された電圧が所定電圧値に達
することによって漏電を検出する漏電検出手段を有し、
この漏電検出手段が漏電を検出した際に、前記電動モー
タへの電力の供給を停止する制御部とからなる技術的手
段を採用した。

【０００６】また、ハウジング内部におけるオイルが劣
化し、オイルの劣化によりオイルの絶縁性が低下してハ
ウジングに漏電する可能性がある。そこで、請求項２と
して、オイルの絶縁性の低下を検出するために、電動モ
ータを駆動するために電気が流れる導電部を、ハウジン
グ内のオイルに電気的に接触させる。

【０００７】

【発明の作用】冷媒圧縮機を駆動する際、モータ駆動回
路が電源から供給される電力を、電動モータに供給し、
電動モータを作動させ、電動モータによって冷媒圧縮機
を駆動する。電動モータに供給される電力がハウジング
に漏電すると、漏電電流が漏電検出用抵抗体によって電
圧に変換される。そして、漏電検出用抵抗体によって変
換された電圧値が所定電圧値に達すると、漏電検出手段
がハウジングに漏電が発生したことを検出する。漏電検
出手段が漏電を検出すると、制御部が電動モータへの電
力の供給を停止する。

【０００８】請求項２の作用は、電動モータを駆動する
ために電気が流れる導電部を、ハウジング内のオイルに
電気的に意図的に接触させることにより、オイルの絶縁
性が低下した際、オイルの絶縁性が低下するに応じて、
オイルに接触する導電部からオイルを介してハウジング
に流れる漏電電流が増加する。そして、漏電電流が増加
し、漏電検出用抵抗体によって変化された電圧が所定電
圧値に達すると、漏電検出手段が漏電を検出する。

【０００９】

【発明の効果】本発明の冷媒圧縮機用モータの漏電防止
装置は、従来技術のように、同一の鉄心に３つ以上のコ
イルを巻いた特殊で、大型のコイルを用いることなく、
漏電検出用抵抗体の電圧をモニターすることによって漏
電を検出することができる。このため、本発明の冷媒圧
縮機用モータの漏電防止装置は、従来技術に比較して小
型で、安価にできる。

【００１０】

【実施例】次に、本発明の冷媒圧縮機用モータの漏電防
止装置を、図に示す一実施例に基づき説明する。 〔第１実施例の構成〕図１および図２は本発明の第１実
施例を示すもので、図１は冷媒圧縮機用モータの漏電防
止装置の電気回路図、図２は電動圧縮機の要部断面図で
ある。電動圧縮機１は、冷媒圧縮機２と電動モータ３を
車体から絶縁された１つの密閉ハウジング４内に収納し
たもので、この電動圧縮機１の電動モータ３は、インバ
ータ５によって回転速度が制御される。つまり、電動モ
ータ３がインバータ５によって回転速度制御されること
によって、冷媒圧縮機２の回転速度が変化し、冷凍サイ
クル（図示しない）の能力を可変させる。

【００１１】具体的な電動圧縮機１の構成は、冷媒圧縮
機２と電動モータ３とが水平方向に設置される横置型の
もので、内部に油溜を兼ねたハウジング４内に冷媒圧縮
機２と電動モータ３とを備える。本実施例に示す電動モ
ータ３は、三相誘導モータで、冷媒圧縮機２の高圧室４
ａ内に配置されている。ハウジング４に固定されたステ
ータ６には、スター結線された三相の励磁コイル７が巻
き付けられている。そして、各励磁コイル７は、リード
線８を介してハウジング４の側壁に取り付けられた接続
端子（ハーメチック端子）９に接続され、インバータ５
は接続端子９を介して各励磁コイル７を通電制御する。
励磁コイル７の通電制御によって駆動されるロータ１０
は、冷媒圧縮機２の駆動シャフト１１に固定され、励磁
コイル７が通電制御されることにより、ロータ１０が回
転して冷媒圧縮機２を駆動する。そして、冷媒圧縮機２
が駆動されると、オイルが混入した冷媒を吸込口１２か
ら吸引、圧縮し、圧縮されたオイルを含む冷媒は、電動
モータ３が配された高圧室４ａ内に吐出される。そし
て、高圧室４ａ内に吐出されたオイルが混入した冷媒
は、電動モータ３を冷却し、冷媒は高圧室４ａに設けら
れた吐出口１３から吐出され、一部冷媒が混入したオイ
ル１４は高圧室４ａ内に溜められる。なお、冷媒圧縮機
２の構成は、特に限定されるものでなく、ローリングピ
ストンタイプ、スクロールタイプなど種々適用可能なも
のである。

【００１２】インバータ５は、車両に搭載された電源１
５の電力を制御して、各励磁コイル７に電力を切り替え
て発生させるインバータブリッジ１６（本発明のモータ
駆動回路）と、このインバータブリッジ１６を制御する
制御部１７とを備える。なお、電源１５には、脈動を吸
収する平滑用コンデンサ１５ａが並列に接続されてい
る。インバータブリッジ１６は、パワートランジスタや
ＩＧＢＴを用いたスイッチング素子１８を複数組み合わ
せたもので、制御部１７からの制御信号によってON状態
が切り替わって各励磁コイル７の通電状態を変更し、電
動モータ３の回転速度を制御するものである。なお、各
スイッチング素子１８には、それぞれ並列にフライホイ
ールダイオード１９が接続されている。

【００１３】また、インバータ５には、ハウジング４の
漏電を検出する漏電検出回路２０（本発明の漏電検出手
段）が設けられている。この漏電検出回路２０は、ハウ
ジング４と電源１５のマイナス側（アース電位）との間
に接続され、漏電電流を電圧に変換するための漏電検出
用抵抗体２１の電圧を測定し、測定された電圧が所定電
圧値に上昇した際に漏電検出信号を発生するものであ
る。なお、所定電圧値は、電動モータ３の出力低下、ハ
ウジング４による感電の発生を考慮して設定される。こ
の漏電検出回路２０は、電圧の変動を吸収するフィルタ
ー部２２と、漏電検出用抵抗体２１の電圧を基準電圧と
比較するために増幅する増幅部２３と、この増幅部２３
で増幅された電圧を基準電圧と比較する比較部２４とか
らなる。そして、増幅部２３で増幅された漏電電流に比
例した増幅電圧が基準電圧に達すると、比較部２４が漏
電検出信号（Hi信号）を制御部１７に出力する。そし
て、制御部１７は、漏電検出回路２０の比較部２４から
漏電検出信号を受けると、直ちにインバータブリッジ１
６の各スイッチング素子１８をオフし、電動モータ３へ
の電力の供給を停止する。

【００１４】〔第１実施例の作動〕次に、上記実施例の
作動を説明する。冷凍サイクルが作動する際は、制御部
１７がインバータブリッジ１６の各スイッチング素子１
８の通電状態を制御することによって、各励磁コイル７
の通電状態が制御され、電動モータ３の回転速度および
冷媒圧縮機２の回転速度が制御される。

【００１５】一方、電動モータ３は、ハウジング４内で
冷媒が混入したオイル１４に常時晒されている。このた
め、ステータ６に巻かれた励磁コイル７の皮膜に破損が
ある場合、冷媒混入オイル１４の絶縁性が低下すると、
励磁コイル７の電流が冷媒混入オイル１４を介してハウ
ジング４に流れる。つまり、冷媒混入オイル１４を介し
てハウジング４に漏電が発生する。あるいは、接続端子
９間の接続不良や、ハウジング４内部のリード線８の接
続不良などによってハウジング４に漏電する可能性があ
る。

【００１６】ハウジング４に発生した漏電電流は、漏電
検出用抵抗体２１を介して電源１５のマイナス側へ流れ
る。そして、漏電検出用抵抗体２１の電圧が、所定電圧
値に達すると、漏電検出回路２０が制御部１７へ漏電検
出信号を出力する。制御部１７は、漏電検出信号を入力
すると、直ちにインバータブリッジ１６をオフし、電動
モータ３の駆動を停止する。なお、漏電検出によって電
動モータ３の駆動を停止した際、電動モータ３の漏電に
よって冷媒圧縮機２の作動を停止した旨を乗員に表示す
る。漏電の表示手段は、漏電表示を新たに設けても良い
し、既存のエアコンパネルの表示部を用いて表示しても
良い（例えばエアコンパネルの全表示部を点灯させた
り、所定の表示部を点滅させる等）。

【００１７】〔第１実施例の効果〕本実施例では、上記
の作用で示したように、ハウジング４の漏電検出を、１
つの漏電検出用抵抗体２１と簡単な構成の漏電検出回路
２０とで検出することができる。このため、従来の技術
に比較して、冷媒圧縮機２用モータの漏電防止装置を、
従来技術に比較して小型で、安価にできる。また、ハウ
ジング４が車両と絶縁されているため、他の機器の漏電
に影響されることなく漏電を正確に検出することができ
る。同様に、ハウジング４が車両と絶縁されているた
め、ハウジング４の漏電により、他の機器へ誤作動など
の悪影響を与えない。

【００１８】〔第２実施例〕図３ないし図５は第２実施
例を示すもので、図３は電動圧縮機１の要部断面図、図
４および図５は接続端子９の正面図および側面断面図で
ある。なお、第２実施例以降は請求項２を適用したもの
で、冷媒混入オイル１４の絶縁性の低下によるハウジン
グ４の漏電を検出するものである。本実施例は、各励磁
コイル７とリード線８を介して接続される接続端子９
を、オイル１４が溜められるハウジング４の下部に設
け、リード線８と半田付けやカシメ等によって電気的に
接続される接続端子９の導電部２５（電動モータ３を駆
動するために電気が流れる導電部）を、ハウジング４内
のオイル１４に電気的に接触させたものである。

【００１９】そして、冷凍サイクルの内部に水分が侵入
して、オイル１４に水分が含まれたり、高温によるオイ
ル１４の劣化等によって、オイル１４の絶縁性が低下す
ると、オイル１４と接触した導電部２５から、オイル１
４を介してハウジング４に漏電電流が発生する。そし
て、ハウジング４に生じる漏電電流が増加し、漏電検出
用抵抗体２１（第１実施例参照）の電圧が所定値に達す
ると、漏電検出回路２０（第１実施例参照）が漏電検出
信号を制御部１７（第１実施例参照）に出力すると、電
動モータ３の通電を停止して、漏電による不具合の発生
を未然に防ぐ。

【００２０】〔第３実施例〕図６は第３実施例を示す電
動圧縮機１の要部断面図である。本実施例は、ステータ
６に巻き付けられる各励磁コイル７と接続端子９とを電
気的に接続するリード線８を、ハウジング４に固定され
た樹脂などの絶縁性の固定具２６によってハウジング４
の内壁に沿って配置し、リード線８の一部を、ハウジン
グ４内のオイル１４に配置する。そして、オイル１４内
に配される部分のリード線８は、被覆の一部が取り除か
れて導電部２７（電動モータ３を駆動するために電気が
流れる導電部）が露出され、その導電部２７をオイル１
４に電気的に接触させたものである。

【００２１】〔変形例〕上記の実施例では、電動モータ
の一例として三相誘導モータを例に示したが、ＤＣブラ
シレスモータなど、他の電動モータを用いても良い。漏
電を検出した際に、電動モータを停止する手段の一例と
して、モータ駆動部（インバータブリッジ）の作動を停
止させた例を示したが、モータ駆動部へ供給される電力
の供給を、リレーなどを用いて遮断するなど、他のモー
タ停止手段を用いても良い。

【図面の簡単な説明】

【図１】冷媒圧縮機用モータの漏電防止装置の電気回路
図である（第１実施例）。

【図２】電動圧縮機の要部断面図である（第１実施
例）。

【図３】電動圧縮機の要部断面図である（第２実施
例）。

【図４】接続端子の正面図である（第２実施例）。

【図５】接続端子の側面断面図である（第２実施例）。

【図６】電動圧縮機の要部断面図である（第３実施
例）。

【符号の説明】

１ 電動圧縮機 ２ 冷媒圧縮機 ３ 電動モータ ４ ハウジング １５ 電源 １６ インバータブリッジ（モータ駆動回路） １７ 制御部 ２０ 漏電検出回路（漏電検出手段） ２１ 漏電検出用抵抗体 ２５ 導電部 ２７ 導電部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】（ａ）冷媒の吸入および圧縮を行う冷凍サ
   イクルの冷媒圧縮機、およびこの冷媒圧縮機を回転駆動
   する電動モータを、車両から絶縁され、内部にオイルが
   配された１つのハウジング内に収納した密閉型の電動圧
   縮機と、 （ｂ）車両に搭載された電源と、 （ｃ）この電源から電力の供給を受け、前記電動モータ
   に電力の供給制御を行うモータ駆動回路と、 （ｄ）前記ハウジングに生じた電流を電圧に変換するた
   めの漏電検出用抵抗体、およびこの漏電検出用抵抗体に
   よって変換された電圧が所定電圧値に達することによっ
   て漏電を検出する漏電検出手段を有し、この漏電検出手
   段が漏電を検出した際に、前記電動モータへの電力の供
   給を停止する制御部と からなる冷媒圧縮機用モータの漏電防止装置。
2. 【請求項２】前記電動モータを駆動するために電気が流
   れる導電部を、前記ハウジング内のオイルに電気的に接
   触させた、請求項１の冷媒圧縮機用モータの漏電防止装
   置。