JPH0755288A - 吸収式熱源装置における蒸気発生吸収器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 冷媒蒸気４を吸収室５に供給するとともに供
給管１２から吸収溶液７を吸収室５に供給すると、吸収
溶液７が冷媒蒸気４を吸収して高温になり、この吸収溶
液７が伝熱管１０内を落下し、被加熱流体１４を供給す
ると、被加熱流体１４が分配皿１５の挿通孔１３に連続
して形成された半円状切欠部から被加熱流体１４が伝熱
管１０の表面に液膜を形成しながら落下し、吸収溶液７
の熱によって蒸気２０となり、発生した蒸気２０は格子
杆１９と伝熱管１０の間の蒸気通路２１を通過して取出
し口１８側へ移動する。 【効果】 半円状切欠部を形成する分配皿は一枚しかな
いので、装置の製作加工が容易であり、伝熱管の表面上
で発生した蒸気は格子杆と伝熱管の間の蒸気通路を通過
するので、吸収器本体の内側に別に蒸気通路を設ける必
要がなく、従って吸収器本体の胴径を従来に比べて小さ
くでき、装置全体の重量も軽量にすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は吸収式熱源装置（例えば
吸収式ヒートポンプ）における蒸気発生吸収器に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来の吸収式熱源装置における蒸気発生
吸収器を図５に示す。これは、吸収器本体３１の内部上
端に、冷媒蒸気３３を吸収溶液３５に吸収するための吸
収室３２を配置し、吸収器本体３１の上部に冷媒蒸気３
３の取入れ口３４を形成し、吸収室３２内に冷媒蒸気３
３の吸収溶液３５を供給するための供給管３０を嵌入
し、吸収器本体３１の内部下端に冷媒蒸気３３を吸収し
た吸収溶液３５を滞留するための滞留室３６を配置し、
吸収室３２と滞留室３６との間の熱交換室３７に複数の
伝熱管３８を並べて配置して吸収室３２と滞留室３６と
を伝熱管３８で連通接続している。

【０００３】そして熱交換室３７の上部には、各伝熱管
３８に被加熱流体３５Ａを分散するための分散管３９を
配置し、この分散管３９の直下に小孔を形成した上分配
皿４０を配置し、このこの上分配皿４０の下側に下分配
皿４１を配置し、さらに下分配皿４１の下方に複数の支
持皿４２を段状に設け、各伝熱管３８を各皿４０，４
１，４２に貫通支持している。

【０００４】また吸収器本体３１の内部側方には、吸収
器本体３１内で発生した蒸気４３を吸収器本体３１の下
部側壁に配置した気水分離器４４側へ導くための蒸気通
路４５を形成している。

【０００５】上記構成において、吸収室３２内に吸収溶
液３５を供給し、取入れ口３４から冷媒蒸気３３を取入
れることにより吸収溶液３５が冷媒蒸気３３を吸収して
高温になり、伝熱管３８内を通過して滞留室３６に落下
する。

【０００６】これとともに分散管３９で分散された被加
熱流体３５Ａが上分配皿４０に溜められ、この被加熱流
体３５Ａは上分配皿４０に形成された小孔から下分配皿
４１に落下し、下分配皿４１の伝熱管貫通部に伝熱管用
貫通孔に連続して形成した半円状切欠部（だるま孔）か
ら、伝熱管３８の表面を伝って支持皿４２に順次落下
し、この落下途中で加熱した吸収溶液３５によって加熱
され、蒸気４３となって蒸気通路４５から気水分離器４
４に到り、この気水分離器４４で気水分散される。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の蒸気発生吸
収器において、被加熱流体３５Ａを荒分配するために被
加熱流体分散管３９を用いているので、この被加熱流体
分散管３９を設置するためのスペースが必要であり、ま
た水蒸気４３となった被加熱流体３５Ａを気水分離器４
４に導くための蒸気通路４５を、吸収器本体３１の内部
側方に設けているので、吸収器本体３１の胴径が大きく
なってしまう。

【０００８】また上分配皿４０の高さが低すぎたり、あ
るいは下分配皿４１の高さが低すぎたりすると、被加熱
流体３５Ａの落下に必要な水深（ヘッド）が得られず、
従って被加熱流体３５Ａが上分配皿４０の小孔あるいは
下分配皿４１の半円状切欠部から落下せず、蒸気通路４
５側にオーバーフローしてしまい、充分に熱交換が行わ
れない。

【０００９】さらに下分配皿４１および支持皿４２の伝
熱管貫通部分の半円状切欠部は、加工が困難であり、上
記従来の構成では下分配皿４１と複数の支持皿４２に半
円状切欠部を形成するので、製造に手間がかかるととも
に製造のコストが高くつくといった課題がある。

【００１０】そこで本発明は、上記課題を解決し得る吸
収式熱源装置における蒸気発生吸収器の提供を目的とす
る。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明における課題を解
決するための手段は、吸収器本体の内部上端に、冷媒蒸
気を吸収するための吸収室が配置され、前記吸収器本体
の内部下端に、冷媒蒸気を吸収した吸収溶液を滞留する
ための滞留室が配置され、前記吸収室と滞留室との間に
熱交換室が配置され、該熱交換室に複数の伝熱管が並べ
て配置され、前記吸収室と滞留室とが前記伝熱管で連通
された蒸気発生吸収器において、前記熱交換室に配置さ
れて各伝熱管の上部を挿通孔を介して支持するとともに
該挿通孔から前記伝熱管の表面に被加熱流体を落下させ
るための分配皿が設けられ、前記伝熱管の途中を互いに
所定距離だけ上下方向に離間して支持する格子状の複数
の支持部材が設けられ、該支持部材を構成する格子杆と
伝熱管との間の隙間が、前記熱交換室内で発生した蒸気
を吸収器本体に設けられた取出し口側に送るための蒸気
通路とされている。

【００１２】

【作用】上記構成において、冷媒蒸気を吸収室に供給す
るとともに吸収溶液を吸収室に供給すると、吸収溶液が
冷媒蒸気を吸収して高温になり、伝熱管内を落下し、被
加熱流体を供給すると、被加熱流体が分配皿に溜められ
ると同時に分配皿の挿通孔から被加熱流体が伝熱管の表
面に液膜を形成しながら落下し、吸収溶液の熱によって
熱交換室内で蒸気となり、発生した蒸気は支持部材を構
成する格子杆と伝熱管の間の蒸気通路を通過して取出し
口側へ移動する。

【００１３】

【実施例】以下本発明吸収式熱源装置における蒸気発生
吸収器の実施例を、図１の全体断面図、図２の伝熱管と
分配皿の嵌合部分の拡大水平断面図、図３の拡大垂直断
面図、図４の伝熱管と支持部材の嵌合部分の水平断面図
に基いて説明する。

【００１４】本発明の実施例に係る蒸気発生吸収器１
は、吸収器本体２の内側上部に上仕切り板３が配置され
て上端部に冷媒蒸気４を吸収溶液７に吸収するための吸
収室５が配置され、前記吸収器本体２の内側下部に下仕
切り板６が配置されて下端に冷媒蒸気４を吸収した吸収
溶液７を滞留するための滞留室８が配置され、前記吸収
室５と滞留室８との間に熱交換室９が配置され、該熱交
換室９に複数の伝熱管１０が並べて配置され、前記吸収
室５と滞留室８とが前記伝熱管１０で連通されている。

【００１５】また前記吸収器本体２の上部側壁に冷媒蒸
気４を吸収室５に取入れるための取入れ口１１が形成さ
れ、吸収溶液７を吸収室５に供給するための供給管１２
が挿入されている。

【００１６】前記熱交換室９内で伝熱管１０の上部に挿
通孔１３を介して各伝熱管１０を支持するとともに前記
伝熱管１０の表面に被加熱流体１４（例えば水）を落下
させるための分配皿１５が設けられ、該分配皿１５は吸
収器本体２の内面に密着するようにその大きさが設定さ
れ、図２に示すように前記挿通孔１３に連続して被加熱
流体１４を伝熱管１０の表面に落下させるために半円状
切欠部１３ａが形成され、前記吸収器本体２の側壁に被
加熱流体１４の供給口１４ａが形成され、前記伝熱管１
０は分配皿１５の下側で途中を格子状の複数の支持部材
１６で支持され、該支持部材１６は互いに所定距離だけ
上下方向に離間して配置され、前記吸収器本体２の側壁
に気水分離器１７が配置され、該気水分離器１７は熱交
換室９の下部に蒸気連通路１８を介して連通されてい
る。

【００１７】そして図４で示すように、前記支持部材１
６を構成する格子杆１９と伝熱管１０との間の隙間が、
前記熱交換室９で発生した蒸気２０を前記気水分離器１
７側に送るための蒸気通路２１とされている。

【００１８】また前記吸収器本体２の側壁には、前記熱
交換室９の下部に被加熱流体１４を給水するための給水
口２２と、熱交換室９の下部に滞留した被加熱流体１４
の排水口２３とが形成され、前記吸収器本体２の底壁に
は吸収溶液７の排出口２４が形成されている。

【００１９】上記構成において、取入れ口１１から冷媒
蒸気４を吸収室５に供給するとともに供給管１２から吸
収溶液７を吸収室５に供給すると、吸収溶液７が冷媒蒸
気４を吸収して高温になり、吸収溶液７が所定量だけ吸
収室５に溜まると伝熱管１０内を落下する。また被加熱
流体１４を分配皿１５に供給口１４ａから供給すると、
被加熱流体１４が所定の水深になると分配皿１５の挿通
孔１３に連続して形成された半円状切欠部１３ａから伝
熱管１０の表面に液膜を形成しながら落下する。このと
き、分配皿１５は吸収器本体２の内面に密着するように
その大きさが設定されているので、被加熱流体１４は分
配皿１５からオーバーフローすることがない。

【００２０】そして分配皿１５の半円状切欠部１３ａか
ら落下した被加熱流体１４は、吸収溶液７の熱によって
蒸気２０となり、この蒸気２０は格子杆１９と伝熱管１
０の間の蒸気通路２１を通過して下方へ移動し、取出し
口１８を通過してて気水分離器１７側へ移動する。そし
て吸収溶液７は伝熱管１０内を落下して滞留室８に滞留
し、その後、所定場所（例えば再生器）へ移送される。

【００２１】このように本発明の実施例によれば、伝熱
管１０の表面上で発生した蒸気２０は格子杆１９と伝熱
管１０の間の蒸気通路２１を通過するので、吸収器本体
２の内側に別に蒸気通路を設ける必要がないとともに従
来のように分散管を設けないので、吸収器本体２の胴径
および高さを従来に比べて小さくでき、装置全体の重量
も軽量にすることができる。

【００２２】また分配皿１５は一枚しかないので、半円
状切欠部１３ａを形成する工程が最小限で済み、従って
装置の製作加工が容易になる。

【００２３】

【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、本発明は
熱交換室で発生した蒸気は支持部材を構成する格子杆と
伝熱管の間の蒸気通路を通過して気水分離器側へ移動す
るよう構成したので、吸収器本体の内側に特別に蒸気通
路のためのスペースを設ける必要がなく吸収器本体の胴
径を従来に比べて小さくでき、また分散管を設けた従来
のものに比べて吸収器本体の高さを小さくでき、従って
装置全体の重量を軽量にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す吸収式熱源装置におけ
る蒸気発生吸収器の全体断面図である。

【図２】同じく伝熱管と分配皿の嵌合部分の拡大水平断
面図である。

【図３】同じく拡大垂直断面図である。

【図４】同じく伝熱管と支持部材の嵌合部分の水平断面
図である。

【図５】従来例を示す吸収式熱源装置における蒸気発生
吸収器の全体断面図である。

【符号の説明】

１ 蒸気発生吸収器 ２ 吸収器本体 ４ 冷媒蒸気 ７ 吸収溶液 ８ 滞留室 ９ 熱交換室 １０ 伝熱管 １３ 挿通孔 １３ａ 半円状切欠部 １５ 分配皿 １６ 支持部材 １７ 気水分離器 １９ 格子杆 ２０ 蒸気 ２１ 蒸気通路

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸収器本体の内部上端に、冷媒蒸気を吸
   収するための吸収室が配置され、前記吸収器本体の内部
   下端に、冷媒蒸気を吸収した吸収溶液を滞留するための
   滞留室が配置され、前記吸収室と滞留室との間に熱交換
   室が配置され、該熱交換室に複数の伝熱管が並べて配置
   され、前記吸収室と滞留室とが前記伝熱管で連通された
   蒸気発生吸収器において、前記熱交換室に配置されて各
   伝熱管の上部を挿通孔を介して支持するとともに該挿通
   孔から前記伝熱管の表面に被加熱流体を落下させるため
   の分配皿が設けられ、前記伝熱管の途中を互いに所定距
   離だけ上下方向に離間して支持する格子状の複数の支持
   部材が設けられ、該支持部材を構成する格子杆と伝熱管
   との間の隙間が、前記熱交換室内で発生した蒸気を吸収
   器本体に設けられた取出し口側に送るための蒸気通路と
   されたことを特徴とする吸収式熱源装置における蒸気発
   生吸収器。