JPH0753407A - 免疫応答の制御方法並びに免疫細胞および内皮細胞に関連する薬剤 - Google Patents

免疫応答の制御方法並びに免疫細胞および内皮細胞に関連する薬剤

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JPH0753407A
JPH0753407A JP4039844A JP3984492A JPH0753407A JP H0753407 A JPH0753407 A JP H0753407A JP 4039844 A JP4039844 A JP 4039844A JP 3984492 A JP3984492 A JP 3984492A JP H0753407 A JPH0753407 A JP H0753407A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】免疫細胞、内皮細胞またはこの両細胞に、
(a)ELAM細胞に特異的に結合する抗体またはその
結合部位含有断片、及び(b)VCAM、ELAM、I
CAM、VCAMリガンド、ELAMリガンド及びIC
AMリガンドからなる群から選ばれた分子に特異的に結
合する抗体またはその結合部位含有断片を結合させるこ
とからなる免疫応答調節方法;及び(A)ELAM分子
に特異的に結合する抗体、またはその結合部位含有断
片、或いは該抗体または断片の薬学的に許容される塩
(B)VCAM、ELAM、ICAM、VCAMリガン
ド、ELAMリガンド及びICAMリガンドからなる群
から選ばれた分子に特異的に結合する少なくとも1種の
抗体、またはその結合部位含有断片、或いは該抗体また
は断片の薬学的に許容される塩及び(C)薬学的に許容
される担体、希釈剤または賦形剤からなる免疫細胞及び
内皮細胞に関連する薬剤 【効果】免疫応答を特異的に調節することにより各種疾
患を副作用なく治療することができるようになった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、モノクローナル抗体お
よび炎症性過程へのそれらの応用に関する。より詳細に
は、本発明は、インビトロ(試験管内)およびインビボ
(生体内)で活性内皮細胞を指向する新規なモノクロー
ナル抗体に関する。
【0002】本発明はまた、IL−1処置の結果として
誘発される新規な内皮細胞表面抗原に関する。それら抗
原の一つに対する完全なcDNA配列を開示する。それ
らの新規モノクローナル抗体ならびに新規抗原は、内皮
細胞が関与する急性および/または慢性炎症性反応を処
置するための医薬として有用であり、本発明は、かかる
医薬ならびにかかる炎症性反応を処置する方法に関する
ものでもある。さらに、本発明は、初期の移植片拒絶反
応、無症状感染、脈管炎などの内皮細胞関連炎症性反応
を検知する方法に関する。最後に本発明は、CD4+
−細胞の内皮細胞との反応性を調節することにより免疫
応答を制御する薬剤及び方法に関する。
【0003】
【従来の技術】内皮細胞(EC)は、慢性および急性の
炎症の主要関与因子である。それらは、血流と血管外空
間との間の細胞および液体の輸送を調節する。さらに、
それらは、諸因子を分泌することによって炎症性の刺激
に対して反応するが、それら因子は、造血〔クウェセン
ベリ( Quensenbry)とジンブロン(Gimbrone)、ブラッ
ド、56巻1060〜1067頁、1980年〕、化学
走性〔ストライター(Streiter)ら、サイエンス、24
3巻1467〜1469頁、1989年〕および凝固
〔ベヴィラクア(Bevilacqua)ら、ジャーナル・オブ・
エクスペリメンタル・メディシン(J.Exp.Med.)、
160巻618〜623頁、1984年〕に対して種々
の影響を及ぼす。インターロイキン−1(IL−1)
は、障害に対する細胞のほぼ普遍的な反応として広範囲
の各種タイプの細胞によって分泌される〔ネタ(Neta)
とオッペンハイム(Oppenheim)、アナルズ・オヴ・イ
ンターナル・メディシン(Ann.Int.Med.)、109
巻1〜31頁、1988年〕。適当な刺激を受けると多
くのタイプの細胞がこの因子を分泌し、多くのタイプの
細胞が、それも種々の方式で、反応する。IL−1は、
炎症部位に見出され、精製蛋白質として注射すると、紅
斑および血流からの顆粒球の流入をきたし、二次的には
組織破壊をきたす〔ベック(Beck)ら、ジャーナル・オ
ヴ・インムノロジー(J.Immunol.)、136巻302
5〜3031頁、1986年;ペティファー(Pettiph
er)ら、プロシーディングズ・オヴ・ザ・ナショナル・
アカデミー・オヴ・サイエンシズ(Proc.Natl.Acad.
Sci.)、83巻、8749〜8753頁、1986
年〕。
【0004】数ヶ所の研究室が、内皮細胞がIL−1に
対して速かに反応することを示しているが、このこと
は、炎症性反応におけるそれらの細胞の補助的性質と一
致している。最もよく記述されている反応のうちの二つ
は、前駆凝固剤(procoagulant)活性の増大〔ベヴィラ
クアら、1984年.上掲〕およびそれに随伴しての白
血球に対する粘着能の増大〔ベヴィラクアら、ジャーナ
ル・オヴ・クリニカル・インヴェスティゲイション
(J.Clin.Invest.)、76巻2003〜2011
頁、1985年〕である。
【0005】血管の内層として、内皮細胞は、炎症性細
胞およびそれらの反応性副生物における物質輸送を制御
するよう、ユニークな配置をとっている。その上、内皮
細胞は、それ自身、新しく合成された蛋白質を血流中へ
分泌するが、それら蛋白質は炎症過程の初期指標である
かもしれない。この主要な役割にもかかわらず、このタ
イプの細胞の役割を直接的に取扱った治療法上のアプロ
ーチや診断指示薬はほとんど展開、開発されていない。
内皮細胞の生物学は、実験室内でのこれらの細胞の培養
に最近成功したために、やっとより詳細に理解されはじ
めたところである。
【0006】上述の通り、炎症性反応の主要な媒介物質
(メディエイタ)はIL−1である。IL−1は、マク
ロファージ(大食細胞)その他多くのタイプの細胞によ
り分泌される17Kdのポリペプチドで、発熱から炎症
性細胞の増殖や骨髄中での前駆体からの成熟白血球の漸
増(レクルートメント)まで幅広い反応を惹起させるこ
とができる〔ディナレロ(Dinarello)の総説:FAS
EBジャーナル、2巻106〜115頁、1988
年〕。
【0007】内皮細胞は、炎症過程の極めて初期の段階
でIL−1に反応し、IL−1を分泌する。グラム陰性
菌による細菌感染の一副産物として、内毒素の産生とそ
の結果としてのIL−1の二次的産生があるが、機械的
障害がIL−1の放出の引き金となりうるかどうかとい
う問題は、スポーツにより誘発された炎症を研究する者
にとっては重要ではあるが、まだ回答が与えられていな
い。
【0008】過去10年間のいくつかの研究室での業績
に基いて、インビトロで内皮細胞のIL−1処理によっ
て模擬の可能なプロセスである血管壁への白血球の結合
が、組織腔への白血球の漏出の第一段階であると、考え
られる。しかし、このプロセスのいくつかの側面は、と
くにそれらが現用抗炎症剤の使用と関係があるのかもし
れないため、不明のままである。
【0009】IL−1は、培養ヒト内皮細胞の膜の性質
の速かな変化を惹起する。このことは、処理された細胞
の白血球結合能、それらによる前駆凝固剤活性の獲得お
よび機能的性質未知のものも含めて新しい細胞表面抗原
の発現から明らかである。研究されたこれらの諸例で
は、記載された新しい性質の発現がアクチノマイシンD
およびシクロヘキシミドの作用に対して感受性で、新し
い伝達暗号(メッセージ)、新しい蛋白質の合成の上で
の一要件が示唆されている。
【0010】白血球および造血器起源の腫瘍細胞の、基
底および活性内皮細胞へのならびに毛細血管の「高い」
内皮細胞への結合が、いくつかの研究室によって研究さ
れている。顆粒球、単球、T細胞およびB細胞はいずれ
も、生理的濃度のIL−1による刺激ののちに内皮細胞
に結合できることが証明されている〔ベヴィラクアら、
ジャーナル・オヴ・クリニカル・インヴェスティゲイシ
ョン、76巻、2003〜2011頁、1985年;キ
ャヴェンダー(Cavender)ら、ジャーナル・オヴ・イム
ノロジー、136巻203〜207頁、1986年;ポ
ールマン(Pohlman)ら、ジャーナル・オヴ・イムノロ
ジー、136巻4548〜4553頁、1986年〕。
T細胞結合は、IFN−ガンマによる内皮細胞の前処理
によっても〔ユー(Yu)ら、クリニカル・アンド・エク
スペリメンタル・インムノロジー(Clin.exp.Immuno
l.)、62巻554〜560頁、1985年;マスヤマ
およびカノ、ジャーナル・オヴ・クリニカル・インヴェ
スティゲイション、77巻1596〜1605頁、19
86年〕、またIL−1による前処理によっても〔キャ
ヴェンダーら、ジャーナル・オブ・イムノロジー、13
6巻203〜207頁、1986年;ベンダー(Bende
r)ら、ジャーナル・オヴ・クリニカル・インヴェスティ
ゲイション、79巻1679〜1688頁、1987
年〕、lpsによる前処理によっても〔ユーら、ジャー
ナル・オヴ・イムノロジー、136巻569〜573
頁、1986年〕、さらにTNFによる前処理によって
も〔キャヴェンダーら、ジャーナル・オヴ・イムノロジ
ー、139巻1855〜1860頁、1987年〕誘発
できる。静止期内皮へのこれらサイトカイン類の前駆付
着作用は、広く、炎症の血管外遊出成分における初期事
象のモデルとみなされている。高内皮小静脈(HEV)
の場合、構成成分内皮細胞は、既に何らかの方式で活性
化されていて、TおよびB細胞の再循環におけるそれら
の役割が容易になっているものと思われる〔総説:イェ
ドノック(Yedonock)ら、アドヴァンシズ・イン・イム
ノロジー(Adv.in Immunol.)、44巻313〜378
頁、1989年〕。他の刺激を受けていない培養内皮細
胞への単球の結合〔パヴロフスキ(Pawlowski)ら、ジ
ャーナル・オヴ・エクスペリメンタル・メディシン
(J.Exp.Med.)、168巻1865〜1882頁、
1988年;ウォリス(Wallis)ら、ジャーナル・オヴ
・イムノロジー、135巻2323〜2330頁、19
85年〕および顆粒球の結合〔ロー(Lo)ら、ジャーナ
ル・オヴ・エクスペリメンタル・メディシン、169巻
1779〜1793頁、1989年〕は、循環系内での
これらのタイプの細胞の辺縁趨向のモデルとみなされて
きた。
【0011】白血球の再循環および炎症の初期段階を研
究する上での基本となる一前提は、各種白血球の結合お
よび血管外遊出に対して選択的な機構が存在することで
ある。かかる機構の存在は、白血球の粘膜器官および末
梢リンパ器官を通っての再循環に差のあること〔総説:
イェドノックら、アドヴァンシズ・イン・イムノロジ
ー、44巻313〜378頁、1989年〕、好中球、
単球およびリンパ球の炎症時管外遊出の速度に差のある
こと〔イッセクッツ(Issekutz)ら、アメリカン・ジャ
ーナル・オヴ・パソロジー(Am.J.Pathol.)、10
3巻47頁、1981年〕およびアテローム発生時の単
球の選択的な結合および蓄積〔テイラー(Taylor)とル
イス(Lewis)、アメリカン・ジャーナル・オヴ・パソ
ロジー、125巻152頁、1986年〕から推定され
る。T細胞は、炎症性障害、とくに慢性形態で継続する
ものの後期の、しかし存続性の、要素である。自己免疫
疾患の病因におけるT細胞の役割〔ウォフシ(Wofsy)
とシーマン(Seaman)、ジャーナル・オヴ・エクスペリ
メンタル・メディシン、161巻378〜391頁、1
985年;レインジズ(Ranges)ら、ジャーナル・オヴ
・エクスペリメンタル・メディシン、162巻1105
〜1110頁、1985年;トーログ(Taurog)ら、セ
ルラー・イムノロジー(Cell.Immunol.)、75巻27
1〜282頁、1983年;マロン(Maron)ら、ジャ
ーナル・オヴ・イムノロジー、131巻2316〜23
22頁、1983年;ロッシーニ(Rossini)ら、アニ
ュアル・レヴュー・オヴ・イムノロジー(Ann.Rev.
Immunol.)、3巻289〜320頁、1985年〕か
ら、最終的組織障害部位へのそれらの移行に興味がもた
れ、とくに活性化されたまたは前駆付着性内皮細胞要素
との相互作用が強調されている。
【0012】直接的および間接的証拠は、基底内皮細胞
または活性化内皮細胞への白血球の付着が複雑なプロセ
スであることを強く示唆している。活性化内皮細胞表面
の4種の明白に区別される構造が記載されている〔ハー
ゲマイヤ(Hagemeier)ら、インタナショナル・ジャー
ナル・オヴ・キャンサー(Int.J.Cancer)、38巻
481〜488頁、1986年;ゲルト(Goerdt)ら、
エクスペリメンタル・アンド・セルラー・バイオロジー
(Expl.Cell.Biol.)、55巻117〜126頁、1
987年;ドゥアイヴェンスティライン(Duijvestili
jn)ら、アメリカン・ジャーナル・オヴ・パソロジー、
130巻147〜155頁、1988年;レーウウェン
ベルグ(Leeuwenberg)ら、ヨーロピアン・ジャーナル
・オヴ・イムノロジー(Eur.J.Immunol.)、19巻
715〜720頁、1989年〕が、少なくとももう2
種の十分に特性が明らかにされた分子が、付着事象に直
接的に関係ありとされている。ELAM−1蛋白質は、
サイトカイン活性化内皮への顆粒球の付着を主として媒
介する〔ポウバー(Pober)ら、ジャーナル・オヴ・イ
ムノロジー、136巻1680〜1687頁、1986
年;ベヴィラクアら、プロシーディングズ・オヴ・ザ・
ナショナル・アカデミー・オヴ・サイエンシズ、84巻
9238〜9242頁、1987年;ベヴィラクアら、
サイエンス、243巻1160〜1165頁、1989
年〕;ICAM−1蛋白質は、活性内皮細胞へのある種
の単核細胞〔ダスティン(Dustin)とスプリンガー(S
pringer)、ジャーナル・オヴ・セルラー・バイオロジー
(J.Cell.Biol.)、107巻321〜331頁、1
988年〕および顆粒球〔スミス(Smith)ら、ジャー
ナル・オヴ・クリニカル・インヴェスティゲイション8
3巻2008〜2017頁、1989年、同82巻17
46〜1756頁、1988年〕の付着の部分的原因と
なる。これらおよびその他の研究〔ハスカード(Haska
rd)ら、ジャーナル・オヴ・イムノロジー、137巻2
901〜2906頁、1986年〕における重要な一致
点は、活性内皮細胞への白血球の付着のためのICAM
−1およびELAM−1非依存性の経路が存在すること
についてである。
【0013】それにもかかわらず、単核細胞の結合にお
けるこれらおよび他の分子の役割は未だ明らかにされて
いない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の一目
的は、インビトロおよびインビボで活性化ヒト内皮細胞
上の抗原に特異的な新規モノクローナル抗体を開発する
ことである。 本発明の第二の目的は、白血球の結合を
ブロックし、それによって活性化内皮細胞関連炎症性反
応を防止するための医薬として、またそのための方法に
おいて有用な、新規モノクローナル抗体を開発すること
である。
【0015】本発明の第三の目的は、活性化内皮細胞関
連炎症性反応を防止するための医薬として、またそのた
めの方法において有用な、活性化内皮細胞上に発現され
る新規な抗原および/または新規な抗原エピトープを提
供することである。
【0016】本発明の第四の目的は、活性化内皮細胞関
連炎症性反応を検知できる検出法を提供することであ
る。
【0017】本発明の第五の目的は、T細胞と内皮細胞
の間の結合を調節することによりT細胞活性を制御する
ための組成物及び方法を開発することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】これらおよびその他の目
的は、IL−1活性化内皮細胞に特異的に結合するモノ
クローナル抗体またはその結合部位含有断片であって、
該モノクローナル抗体が下記モノクローナル抗体(A) 、
(B)および(C) からなる群より選ばれたものであること
を特徴とする前記モノクローナル抗体またはその断片を
提供することによって、達成された: (A) 同定のための次の特性を持つモノクローナル抗体: (1) 正常な休止内皮細胞には有意には結合せず、(2) 正
常な休止またはIL−1活性化表皮ケラチノサイトある
いは休止またはIL−1活性化繊維芽細胞には有意には
結合せず、(3) 休止のまたはIL−1活性化された顆粒
球混合物またはT細胞、B細胞および単球を包含する単
核細胞には有意には結合せず、(4) インビトロで、T細
胞のIL−1活性化内皮細胞への結合を阻害しないかま
たは部分的に阻害し、(5) インビトロで、顆粒球のIL
−1活性化内皮細胞への結合を阻害せず、(6) IL−1
活性化内皮細胞の表面に存在し、第34A〜34D図に
よって規定される1E7/2G7シアロ糖蛋白質抗原に
特異的に結合する; (B) 同定のための次の特性を持つモノクローナル抗体: (1) 正常な休止内皮細胞には有意には結合せず、(2) 正
常な休止またはIL−1活性化表皮ケラチノサイトある
いは休止またはIL−1活性化繊維芽細胞には有意には
結合せず、(3) 休止のまたはIL−1活性化された顆粒
球混合物またはT細胞、B細胞および単球を包含する単
核細胞には有意には結合せず、(4) 休止及びIL−1活
性化内皮細胞の細胞質中及びIL−1活性化内皮細胞の
表面に存在するCMP−170抗原に特異的に結合す
る;及び (C) 同定のための次の特性を持つモノクローナル抗体: (1) 正常な休止内皮細胞には有意には結合せず、(2) 正
常な休止またはIL−1活性化表皮ケラチノサイトある
いは休止またはIL−1活性化繊維芽細胞には有意には
結合せず、(3) 休止のまたはIL−1活性化された顆粒
球混合物またはT細胞、B細胞および単球を包含する単
核細胞には有意には結合せず、(4) インビトロで、T細
胞の活性化内皮細胞への結合を部分的に阻害し、(5) イ
ンビトロで、顆粒球のIL−1活性化内皮細胞への結合
を完全にまたは部分的に阻害し、(6) IL−1活性化内
皮細胞の表面に存在するELAM−1シアロ糖蛋白質抗
原のN末端20%に特異的に結合し、(7) IL−1活性
化内皮細胞の表面に存在する1E7/2G7シアロ糖蛋
白質抗原には結合しない。
【0019】他の一実施態様として、本発明は、上記モ
ノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞株を提
供する。
【0020】好ましい実施態様にあっては、該モノクロ
ーナル抗体は、ATCC寄託番号HB10136のハイ
ブリドーマ細胞株1E7により生産されるモノクローナ
ル抗体1E7、ATCC寄託番号HB10137のハイ
ブリドーマ細胞株2G7により生産されるモノクローナ
ル抗体2G7、ATCC寄託番号HB10138のハイ
ブリドーマ細胞株3A2により生産されるモノクローナ
ル抗体3A2、ATCC寄託番号HB10135のハイ
ブリドーマ細胞株7A9により生産されるモノクローナ
ル抗体7A9およびATCC寄託番号HB10391の
ハイブリドーマ細胞株3B7により生産されるモノクロ
ーナル抗体3B7又はこれらのモノクローナル抗体の結
合部位含有断片である。
【0021】さらに一つの実施態様にあっては、本発明
は、活性化内皮細胞関連炎症性反応を処置するための薬
剤を提供するものであって、該薬剤は、(I) インビトロ
でのT細胞の活性化内皮細胞への結合を部分的に阻害す
る前記モノクローナル抗体(A) 、またはモノクローナル
抗体(C) の少なくとも1種またはその結合部位含有断片
あるいは該モノクローナル抗体または断片の薬学的に許
容しうる塩の医薬としての有効量および(II)薬学的に許
容しうる担体、希釈剤または賦形剤を含有してなる。
【0022】好ましい一実施態様では、該モノクローナ
ル抗体は、ATCC寄託番号HB10137のハイブリ
ドーマ細胞株2G7により生産されるモノクローナル抗
体2G7、ATCC寄託番号HB10135のハイブリ
ドーマ細胞株7A9により生産されるモノクローナル抗
体7A9およびATCC寄託番号HB10391のハイ
ブリドーマ細胞株3B7により生産されるモノクローナ
ル抗体3B7、またはこれらのモノクローナル抗体の結
合部位含有断片である。
【0023】さらに他の一実施態様として、本発明は、
活性内皮細胞関連炎症性反応を処置する方法を提供する
ものであって、該方法は、前記薬剤に関して上記したモ
ノクローナル抗体またはその結合部位含有断片あるいは
該モノクローナル抗体または断片の医薬として許容しう
る塩の医薬としての有効量を処置の必要な患者に投与す
ることからなる。
【0024】好ましい一実施態様では、該モノクローナ
ル抗体は、ATCC寄託番号HB10137のハイブリ
ドーマ細胞株2G7により生産されるモノクローナル抗
体2G7、ATCC寄託番号HB10135のハイブリ
ドーマ細胞株7A9により生産されるモノクローナル抗
体7A9およびATCC寄託番号HB10391のハイ
ブリドーマ細胞株3B7により生産されるモノクローナ
ル抗体3B7またはこれらのモノクローナル抗体の結合
部位含有断片である。
【0025】本発明はさらに、IL−1活性内皮細胞上
に見出される実質的に純粋な抗原またはその抗原性断片
を提供するものであり、該抗原または抗原性断片は下記
の(A) 、(B) および(C) よりなる群から選ばれる: (A) 同定のための次の特性をもつ1E7/2G7抗原: (1) シアロ糖蛋白質である、 (2) 還元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動により求めた分子質量(molecular mass): (a) 約114kDaに強いバンド、(b) 約95kDaに
弱いバンド、 (3) 非還元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動により求めた分子質量: (a) 約100kDaに強いバンド、(b) 約93kDaに
弱いバンド、 (4) 還元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動により求めた分子質量は、O結合糖鎖除去後、約
1〜2kDa減少、 (5) 2−Dゲル分析により求めた等電点約4.8〜4.
9、 (6) 構成性またはトロンビン刺激末梢血液単核細胞、顆
粒球、血小板、繊維芽細胞またはケラチノサイト上で発
現されず、 (7) IL−1活性化内皮細胞上での発現が、大腸菌リポ
多糖(lps)および腫瘍壊死因子アルファ(TNF)
により刺激されるが、ガンマインターフェロン(IFN
γ)によっては刺激されず、 (8) ATCC寄託番号HB10136のハイブリドーマ
細胞株1E7により生産されるモノクローナル抗体1E
7および/またはATCC寄託番号HB10137のハ
イブリドーマ細胞株2G7により生産されるモノクロー
ナル抗体2G7が、IL−1で時間を順次増しながら長
時間前処理したヒト内皮細胞に結合する能力によってイ
ンビトロで測定した場合、慢性動態を示し、 (9) 慢性または急性炎症の状態にある組織の血管中での
抗原発現によりインビボで測定した場合、慢性または急
性動態を示し、 (10)ELAM−1またはICAM−1に特異的に結合す
る抗体には結合せず、 (11)該モノクローナル抗体1E7および/または該モノ
クローナル抗体2G7に結合し、 (12)Fig 34A〜34Gに示したcDNA配列によりト
ランスフェクトされたCOS細胞によって発現される; (B) 同定のための次の特性をもつCMP−170抗原: (1) 還元および非還元条件下でのSDS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動により求めた分子質量:約170k
Da、(2) 休止またはIL−1刺激末梢血単核細胞、顆
粒球、繊維芽細胞またはケラチノサイト上では発現され
ず、(3) 休止内皮細胞、繊維芽細胞および白血球の細胞
質中に存在し、(4) 活性化内皮細胞の細胞表面での発現
がシクロヘキシミドおよびアクチノマイシンDにより阻
害され、(5) 内皮細胞内のワイベル−パラド体(Weibe
l-Palade bodies)に局在することなく、(6) L−1刺
激内皮細胞中のELAM−1と細胞表面で会合(associ
ate)し、(7) ATCC寄託番号HB10138のハイブ
リドーマ細胞株3A2により生産されるモノクローナル
抗体3A2が、IL−1で時間を順次増しながら長時間
前処理したヒト内皮細胞に結合する能力によってインビ
トロで測定した場合、急性動態を示し、(8) モノクロー
ナル抗体3A2に結合する;及び (C) 同定のための次の特性をもつELAM−1抗原の抗
原性断片からなる抗原: (1) ELAM−1抗原のN末端約31%からなる、(2)
ATCC寄託番号HB10135のハイブリドーマ細胞
株7A9により生産されるモノクローナル抗体7A9に
結合する、(3) ATCC寄託番号HB10391のハイ
ブリドーマ細胞株3B7により生産されるモノクローナ
ル抗体3B7に結合する、(4) 構成性またはトロンビン
刺激末梢血液単核細胞、顆粒球、血小板、繊維芽細胞ま
たはケラチノサイト上で発現されない、(5) IL−1活
性化内皮細胞上での発現が、大腸菌リポ多糖(lps)
および腫瘍壊死因子アルファ(TNF)により刺激され
るが、ガンマインターフェロン(IFNγ)によっては
刺激されない。
【0026】本発明は、(I) 上記の1E7/2G7抗
原、CMP−170抗原およびELAM−1抗原性断片
からなる群より選ばれた少なくとも1種の実質的に純粋
な抗原またはその抗原性断片あるいは該抗原または断片
の医薬として許容しうる塩の医薬としての有効量および
(II)薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤を含
有してなる、活性化内皮細胞関連炎症性反応を処置する
ための薬剤をも提供する。
【0027】本発明はさらに、薬剤について上記した実
質的に純粋な抗原またはその抗原性断片あるいは該抗原
または断片の医薬として許容しうる塩の医薬としての有
効量を処置の必要な患者に投与することからなる活性化
内皮細胞関連炎症性反応の処置方法を提供する。
【0028】本発明はさらに、(I) 生体液(biological
fluid)を上記モノクローナル抗体またはその結合部位
含有断片のいずれかと接触させる工程、及び(II)該生体
液中の抗原への該モノクローナル抗体またはその結合部
位含有断片の特異的結合をアッセイする工程を包含する
活性化内皮細胞関連炎症性反応を検知する方法をも提供
する。
【0029】好ましい一実施態様では、該モノクローナ
ル抗体が、ATCC寄託番号HB10136のハイブリ
ドーマ細胞株1E7により生産されるモノクローナル抗
体1E7、ATCC寄託番号HB10137のハイブリ
ドーマ細胞株2G7により生産されるモノクローナル抗
体2G7、ATCC寄託番号HB10138のハイブリ
ドーマ細胞株3A2により生産されるモノクローナル抗
体3A2、ATCC寄託番号HB10135のハイブリ
ドーマ細胞株7A9により生産されるモノクローナル抗
体7A9およびATCC寄託番号HB10391のハイ
ブリドーマ細胞株3B7により生産されるモノクローナ
ル抗体3B7である。
【0030】さらに、本発明は、T細胞−内皮細胞相互
作用に影響することにより免疫応答を調節するための手
段を提供するものである。
【0031】本発明はまた、その細胞間結合を調節する
EC及び免疫細胞抗原を提供するものである。例えば、
抗原1E7/2G7をコードするcDNA配列、又はそ
の断片、及び該cDNA配列を運ぶベクター又はその断
片が提供される。
【0032】該cDNA配列は、Fig 34A〜34Gに
実質的に示されているcDNA配列を含むものである。
【0033】該ベクターは、Fig 34A〜34Gに実質
的に示されているcDNA配列を含むベクターからな
る。
【0034】さらにまた、顆粒球及びT細胞表面の区別
可能なELAMリガンドが記述される。
【0035】1989年5月23日提出の別件アメリカ
特許出願第07/355701号及び1990年3月3
0日提出の別件のアメリカ特許出願第07/50259
0号の明細書全体をここに明示的に引用して挿入に代え
るものである。
【0036】本発明は、上記および後記実施例記載の同
定用特性を持つ新規なマウス(murine)モノクローナル
抗体を生産する新規ハイブリドーマを提供する。本発明
は、該モノクローナル抗体が特異的に結合する新規な抗
原をも提供する。
【0037】本発明の新規モノクローナル抗体について
言う「有意には結合しない」とは、結合の起らない対照
と比較するとき結合が統計的に有意ではないことを意味
する。
【0038】本発明の新規モノクローナル抗体について
言う「結合を阻害しない」とは、阻害の起らない対照と
比較するとき阻害が統計的に有意ではないことを意味す
る。
【0039】本発明の新規モノクローナル抗体について
言う「結合を部分的に阻害する」とは、阻害の起らない
対照と比較するとき阻害が統計的に有意であるが、阻害
が完全阻害には至らないことを意味する。
【0040】本発明の新規モノクローナル抗体について
言う「結合を完全に阻害する」とは、実験誤差の範囲内
で阻害が完全であることを意味する。一般に、T細胞、
顆粒球および/または単球のごとき細胞の結合の阻害に
関しての実験誤差は、約±10%である。
【0041】本発明の新規モノクローナル抗体および抗
原について言う「活性化内皮細胞関連炎症性反応」と
は、内皮細胞およびそれらがその中に存在する血管が白
血球の安定な結合および/または血流からの組織への遊
出に関与することにより特徴付けられる炎症性反応を意
味する。結合が局所血管系に対する白血球介在障害(da
mage)をもたらすならば、炎症は結合のみに存在するか
もしれない。障害は実際の血管通過から生じ、異なる白
血球サブタイプのいずれかとの周囲組織との相互作用に
よってそれら組織に障害をきたす可能性もある。
【0042】本明細書で言う「シアロ糖蛋白質」とは、
ツニカマイシンによるグリコシル化の阻害および免疫沈
降物または活性内皮細胞の前処理によるシアル酸の除去
の結果としてポリアクリルアミドゲルでの移動度が増す
ところの35S−システイン取込み能によって定義される
蛋白質を意味する。
【0043】本発明のモノクローナル抗体によって定義
される抗原について言う「実質的に純粋な」とは、該抗
原が天然の状態にはないことを意味する。すなわち、そ
れらは、それら抗原を呈示する細胞あるいはそれら抗原
が存在するいずれの体液とも関連をもたない。
【0044】本発明の新規モノクローナル抗体により定
義される抗原について言うインビトロアッセイに関して
の「慢性動態」とは、それら抗原がヒト内皮細胞上でI
L−1の存在下に約72〜96時間発現され続け、その
発現がIL−1添加時に到達する初期レベルより上のま
たはほぼ等しいレベルにあることを意味する。かかる挙
動の2例を、モノクローナル抗体1E7および2G7に
より定義される抗原についてFig 11に、モノクローナ
ル抗体7A9により定義される抗原についてFig 22に
示す。
【0045】本発明の新規モノクローナル抗体により定
義される抗原について言うインビトロアッセイに関して
の「急性動態」とは、初期のIL−1の添加から約24
時間以内にIL−1存在下でのヒト内皮細胞の表面から
それら抗原が減少し、場合により完全に消失することも
あることを意味する。かかる挙動の1例を、モノクロー
ナル抗体3A2により定義される抗原についてFig 11
に示す。
【0046】本発明のモノクローナル抗体により定義さ
れる抗原について言うインビボアッセイに関しての「慢
性動態」とは、慢性炎症を経験している組織の血管中で
該抗原が発現されることを意味する。これは、患者の病
歴を知っている熟練した病理学者によりなされる通例的
判定であり、湿潤白血球(infiltrating leucocytes)の
数および性質およびその他の標準的判定基準に基くもの
である。
【0047】本発明の新規モノクローナル抗体により定
義される抗原について言うインビボアッセイに関しての
「急性動態」とは、急性炎症が起きている組織の血管中
で該抗原が発現されることを意味する。これは、患者の
病歴を知っている熟練した病理学者によりなされる通例
的判定であり、湿潤白血球の数および性質およびその他
の標準的判断基準に基いている。
【0048】以下の言葉は、以下に記載された意味を有
する。
【0049】“二重特異的(bispecific)”
とは、二価の抗体または結合部位を含有する断片、例え
ば(Fab)2 断片を記載するものであり、そのうち一
方の結合部位は、第1決定群(first deter
minant)または抗原性部位に対し特異的に結合
し、他方の結合部位は、第1決定群を運ぶものと同一の
または異なる分子上の第2決定群または抗原性部位に特
異的に結合する。該結合部位は、異なる決定群に特異的
に結合する抗体の複数性の一つから生じたものである。
二重特異的抗体は、化学的または組換え手段により製造
でき、キメラ抗体(chimeric antibod
y)でも良い。総説として、エム.アール.スレッシ
ュ,エイ.シー.クエロ アンド シー.ミルシュタイ
ン、“二重特異的mAb´s フロム ハイブリッド
ハイブリドーマ”メス.エンジ.121,ピー.210
(1986)(M.R.Suresh,A.C.Cue
llo& C.Milstein,“Bispecif
ic mAb´s fromhybrid hybri
domas”Meth.En zy.121、p.210
(1986)参照。
【0050】“ELAM”は、N末端のレクチン様ドメ
インと炭水化物リガンドの特徴を有する内皮細胞表面分
子の1種またはファミリーを示す。このファミリーは、
セレクチン類(selectins)と呼ばれる。
【0051】“VCAM”は、以下に記載される1E7
/2G7抗原の特徴を有する内皮細胞表面分子の1種ま
たはファミリーを示す。
【0052】“ICAM”は、免疫グロブリン超遺伝子
ファミリー(immunoglobulin supe
rgene family)のメンバーである。それ
は、白血球細胞表面上のインテグリン(integri
n)分子のためのリガンドである。
【0053】“ELAMリガンド”は、内皮細胞上のE
LAMに結合することにより内皮細胞に対する免疫細胞
の付着を可能にする免疫系の細胞表面の1種以上の細胞
表面分子を示す。
【0054】“VCAMリガンド”は、内皮細胞上のV
CAMに結合することにより内皮細胞に対する免疫細胞
の付着を可能にする免疫系の細胞表面の1種以上の細胞
表面分子を示す。例として、VLA−4が挙げられる。
【0055】“ICAMリガンド”は、内皮細胞上のI
CAMに結合することにより内皮細胞に対する免疫細胞
の付着を可能にする免疫系の細胞表面の1種以上の細胞
表面分子を示す。例として、LAF−1が挙げられる。
【0056】ハイブリドーマおよびモノクローナル抗体 本発明のハイブリドーマは、本明細書中実施例1で詳細
に記載したように、確立された方法に従ってルーチンの
実験によって再現可能に生産できる。
【0057】通常は、免疫細胞調製のための免疫原はI
L−1活性化ヒト内皮細胞である。
【0058】ヒト内皮細胞は、既知の方法〔ジャッフェ
(Jaffe)ら、ジャーナル・オヴ・クリニカル・インヴ
ェスティゲイション、52巻2745〜2757頁、1
973年〕に従って臍帯から得ることができる。簡単に
言えば、細胞を血管壁からコラゲナーゼ処理によっては
がし、ゼラチン被覆組織培養フラスコ中、20%の低内
毒素ウシ胎児血清、90μg/mlの保存剤不含ブタヘパ
リン、20μg/mlの内皮細胞成長用添加物(ECG
S)、グルタミンおよび抗生物質を含有するM199培
地中で培養する。ECGSは、ウシ視床下部から得られ
る粗製の成長因子製剤で、主要成分は繊維芽細胞成長因
子である。ECGSは市販品を入手できる。
【0059】内皮細胞を、IL−1ベータを1ng/ml添
加して4時間活性化する。IL−1ベータは当業者なら
ば市販品またはその他のものを容易に入手できる。
【0060】ハイブリドーマの生産を予期して免疫する
特定の宿主はマウスとすべきである。BALB/cマウ
スが好ましい。
【0061】免疫スケジュールおよびマウスの免疫に用
いる活性内皮細胞の量は、当業者なら容易に決定でき
る。たとえば、BALB/cマウスの場合の適当な免疫
スケジュールの1例は、IL−1活性化内皮細胞3×1
6 個を10日おきに4回注射し、最後の注射は融合の
3〜4日前とするものである。
【0062】感作された細胞、たとえば免疫された脾細
胞を分離し、脾細胞を、十分に確立された技術〔ケーラ
ー(Kohler)、ジー.とミルスティン(Milstein)、シ
ー、ネイチャー、256巻495〜497頁、1975
年およびヤング(Young)、W・Wら、ジャーナル・オ
ヴ・エクスペリメンタル・メディシン、150巻100
8〜1019頁、1979年〕により、SP2/0骨髄
腫細胞株また他の適当な骨髄腫細胞株と融合させる。融
合はポリエチレングリコールを用いて行うのが好まし
い。
【0063】免疫宿主の感作脾細胞との融合のために本
発明では特定の骨髄腫細胞を採用したが、それらに限定
されるものではなく、マウス起源のハイブリドーマ調製
に有用な既知の骨髄腫細胞のいずれであってもよい。か
かる骨髄腫細胞の例としては、NS/1、SP1および
SP2/0細胞などのHAT感受性マウス骨髄腫細胞が
ある。
【0064】融合した細胞を、当業者の容易に定めうる
条件下で培養する。
【0065】適当な培養期間後、IL−1活性化内皮細
胞とは反応するが、正常な休止内皮細胞とは反応しない
モノクローナル抗体を生産するハイブリドーマを限界希
釈法によりクローン化し、またサブクローン化する。
【0066】通常は、休止またはIL−1活性化内皮細
胞のコンフルエント(confluent)な単層についてスクリ
ーニングを行う。培養上澄みを単層の細胞に添加し、適
当な期間、たとえば60分間、4℃でインキュベートし
て、培養上澄み中のモノクローナル抗体を単層の細胞と
反応させる。抗原被覆ウェルに結合した抗体は、通常、
二次抗体、たとえばビオチニル化(biotinylated)抗マウ
スIgMおよびIgGヤギまたはウサギ抗体およびそれ
に続く放射性プローブ、たとえば 125I−ストレプトア
ビジン(streptavidin)により検出する。
【0067】本発明に従いこのようにして単離されたハ
イブリドーマにより生産されるモノクローナル抗体は、
大型バッチのハイブリドーマ細胞培養を増殖させ、上澄
みから抗体を精製するか、そのハイブリドーマ株をマウ
スに注射して腹水の生産を刺激することにより、大量に
生産できる。両方法共、当業界で周知である。
【0068】上記の方法に従って、好ましいモノクロー
ナル抗体を生産する5種のハイブリドーマが生産され
た。それら好ましいモノクローナル抗体を1E7、2G
7、3A2、7A9および3B7と名付けた。これらの
モノクローナル抗体を生産するハイブリドーマをハイブ
リドーマ1E7、2G7、3A2、7A9および3B7
と名付け、メリーランド州ロックヴィルのアメリカン・
タイプ・カルチャー・コレクションに寄託したが、それ
ぞれのATCC寄託番号はHB10136、HB101
37、HB10138、HB10135およびHB10
391である。
【0069】本発明のモノクローナル抗体1E7および
2G7は、ハイブリドーマ細胞株1E7および2G7に
よって生産され、本発明のモノクローナル抗体群(A) に
属する2種の好ましいモノクローナル抗体をなす。(A)
群モノクローナル抗体は次の同定特性を持つ: (1) 正常な休止内皮細胞には有意には結合せず、(2) 正
常な休止またはIL−1活性化表皮ケラチノサイトある
いは休止またはIL−1活性化繊維芽細胞には有意には
結合せず、(3) 休止またはIL−1活性化顆粒球または
T細胞、B細胞および単球を包含する単核細胞の混合物
には有意には結合せず、(4) インビトロで、T細胞のI
L−1活性化内皮細胞への結合を阻害しないかまたは部
分的に阻害し、(5) インビトロで、顆粒球のIL−1活
性内皮細胞への結合を阻害せず、(6) IL−1活性化内
皮細胞の表面に存在し、Fig 34A〜34Gに示したc
DNA配列によって定義される1E7/2G7シアロ糖
蛋白質抗原に特異的に結合する。
【0070】上記同定特性のうち、モノクローナル抗体
1E7を包含するモノクローナル抗体のサブグループ
は、インビトロで、T細胞のIL−1活性化内皮細胞へ
の結合を阻害せず、モノクローナル抗体2G7を包含す
るモノクローナル抗体のサブグループは、インビトロ
で、T細胞のIL−1活性化内皮細胞への結合を部分的
に阻害する。
【0071】(A) 群モノクローナル抗体のサブグループ
のその他の同定特性としては、インビトロで、THP−
1骨髄単球性細胞のIL−1活性化内皮細胞への結合を
部分的に阻害することが含まれる。この特性は、好まし
いモノクローナル抗体2G7を包含する(A) 群モノクロ
ーナル抗体のサブグループが示すものである。
【0072】好ましいモノクローナル抗体1E7のその
他の同定特性は、該モノクローナル抗体がマウス(muri
ne)モノクローナル抗体であって、IgG2aのアイソ
タイプをもつことである。
【0073】好ましいモノクローナル抗体2G7のその
他の同定特性は、該モノクローナル抗体がマウスモノク
ローナル抗体であって、IgG1のアイソタイプをもつ
ことである。モノクローナル抗体2G7は、インビトロ
で、THP−1骨髄単球性細胞のIL−1活性化内皮細
胞への結合をやはり部分的に阻害する。
【0074】本発明のモノクローナル抗体3A2は、ハ
イブリドーマ細胞株3A2によって生産され、本発明の
(B) 群モノクローナル抗体に属する好ましい一モノクロ
ーナル抗体をなす。(B) 群モノクローナル抗体は次の同
定特性を持つ: (1) 正常な休止内皮細胞には有意には結合せず、(2) 正
常な休止またはIL−1活性化表皮ケラチノサイトある
いは休止またはIL−1活性化繊維芽細胞には有意には
結合せず、(3) 休止またはIL−1活性化顆粒球または
T細胞、B細胞および単球を包含する単核細胞の混合物
には有意には結合せず、(4) 休止またはIL−1活性化
内皮細胞の細胞質中におよびIL−1活性化内皮細胞の
表面に存在するCMP−170抗原に特異的に結合す
る。
【0075】(B) 群モノクローナル抗体のその他の同定
特性としては、それらが休止繊維芽細胞および白血球に
存在するCMP−170に特異的に結合する性質を挙げ
ることができる。
【0076】好ましいモノクローナル抗体3A2のその
他の同定特性は、該モノクローナル抗体がマウスモノク
ローナル抗体であって、IgMのアイソタイプをもつこ
とである本発明のモノクローナル抗体7A9および3B
7は、ハイブリドーマ細胞株7A9および3B7によっ
て生産され、本発明の(C) 群モノクローナル抗体に属す
る2種の好ましいモノクローナル抗体をなす。(C) 群モ
ノクローナル抗体は次の同定特性を持つ: (1) 正常な休止内皮細胞には有意には結合せず、(2) 正
常な休止またはIL−1活性化表皮ケラチノサイトある
いは休止またはIL−1活性化繊維芽細胞には有意には
結合せず、(3) 休止またはIL−1活性化顆粒球または
T細胞、B細胞および単球を包含する単核細胞の混合物
には有意には結合せず、(4) インビトロで、T細胞の活
性内皮細胞への結合を部分的に阻害し、(5) インビトロ
で、顆粒球のIL−1活性化内皮細胞への結合を完全に
または部分的に阻害し、(6) L−1活性化内皮細胞の表
面に存在するELAM−1シアロ糖蛋白質抗原のN末端
20%に特異的に結合し、(7) IL−1活性化内皮細胞
の表面に存在する1E7/2G7シアロ糖蛋白質抗原に
は結合しない。
【0077】上記同定特性に関して、モノクローナル抗
体7A9を包含するサブグループのモノクローナル抗体
は、インビトロで、顆粒球のIL−1活性化内皮細胞へ
の結合を完全に阻害し、モノクローナル抗体3B7を包
含するサブグループのモノクローナル抗体は、インビト
ロで、顆粒球のIL−1活性化内皮細胞への結合を部分
的に阻害する。
【0078】好ましいモノクローナル抗体7A9のその
他の同定特性は、それがマウスモノクローナル抗体であ
り、そのアイソタイプがIgG1であるということであ
る。
【0079】好ましいモノクローナル抗体3B7のその
他の同定特性は、それがマウスモノクローナル抗体であ
り、そのアイソタイプがIgG2aであるということで
ある。
【0080】上記モノクローナル抗体のいずれかの結合
部位含有断片は、当業界で既知の多くの方法、たとえば
F(ab′)2 断片を製出するために用いられるペプシ
ン消化によって得ることができる。パーハム(Parha
m)、ジャーナル・オヴ・イムノロジー、131巻289
3〜2092頁、1983年を参照されたい。
【0081】正常休止内皮細胞への結合を測定するため
の特定の一アッセイ法を、実施例2Bに記載してある。
しかし、一般的には、このアッセイは、たとえばD.
M.ウェア(Weir)編「ハンドブック・オヴ・エクスペ
リメンタル・イムノロジー」、第4版、1986年、1
〜4巻、ブラックウェル・サイエンティフィック・パブ
リケーションズ、オックスフォード、英国に記載されて
いるものなどの、当業界で既知のいくつかの操作法に従
って実施することができる。
【0082】正常な休止またはIL−1活性化表皮ケラ
チノサイトあるいは休止またはIL−1活性化繊維芽細
胞への結合を測定するための特定の一アッセイ法を実施
例3(B) に述べてある。
【0083】しかし、このアッセイは、一般には、たと
えばD.M.ウェア編「ハンドブック・オヴ・エクスペ
リメンタル・イムノロジー」、第4版、1986年、1
〜4巻、ブラックウェル・サイエンティフィック・パブ
リケーションズ、オックスフォード、英国に記載されて
いるものなどの当該技術分野で既知の諸方法に従って実
施できる。
【0084】休止またはIL−1活性化顆粒球またはT
細胞、B細胞および単球を包含する単核細胞の混合物に
上記モノクローナル抗体が結合するかどうかを知るため
の一アッセイ法を実施例3(B) に記載する。 しかし、
一般的には、この測定には、たとえばD.M.ウェア編
「ハンドブック・オヴ・エクスペリメンタル・イムノロ
ジー」、第4版、1986年、1〜4巻、ブラックウェ
ル・サイエンティフィック・パブリケーションズ、オッ
クスフォード、英国に記載されているものなどの、いく
つかの既知の方法を使用できる。
【0085】インビトロでのT細胞のIL−1活性化内
皮細胞への結合を上記モノクローナル抗体が阻害するか
どうかを知るための特定の一アッセイ法を実施例2(E)
に示した。
【0086】しかし、たとえばマスヤマとカノ、ジャー
ナル・オヴ・クリニカル・インヴェスティゲイション
(J.Clin.Invest.)、77巻1596〜1605
頁、1986年に記載のものなどのいくつかの既知の方
法のいずれもが適当である。
【0087】インビトロでの顆粒球のIL−1活性化内
皮細胞への結合を上記モノクローナル抗体が阻害するか
どうかを知るための特定の一方法を実施例2(D) に記載
した。
【0088】しかし、たとえばポウバー(Pober)ら、
ジャーナル・オヴ・イムノロジー、136巻1680〜
1687頁、1986年に記載のものなどのいくつかの
既知の方法のいずれもが適している。
【0089】1E7/2G7シアロ糖蛋白質抗原、CM
P−170抗原およびELAM−1シアロ糖蛋白質抗原
に上記モノクローナル抗体が特異的に結合するかどうか
は、実施例2(B) に記載したように、フローサイトメト
リーを行うことによって知ることができる。
【0090】上記モノクローナル抗体がELAM−1シ
アロ糖蛋白質抗原のN末端20%に結合するかどうかを
知るための一方法を実施例5に記載した。
【0091】新規抗原および抗原性断片 本発明は、IL−1活性化内皮細胞上に見出される新規
な実質的に純粋な抗原およびその抗原性断片をも提供す
る。それら抗原および抗原性断片は、1E7/2G7、
CMP−170と名付けたもの、および既知の抗原EL
AM−1の抗原性断片である新規な抗原である。
【0092】1E7/2G7抗原は次の同定特性を持
つ: (1) シアロ糖蛋白質である、 (2) 還元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動により求めた分子質量(molecular mass): (a) 約114kDaに強いバンド、(b) 約95kDaに
弱いバンド、 (3) 非還元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動により求めた分子質量: (a) 約100kDaに強いバンド、(b) 約93kDaに
弱いバンド、 (4) 還元条件下でのSDS−ポリアクリアミドゲル電気
泳動により求めた分子質量は、O結合糖鎖除去後、約1
〜2kDa減少、 (5) 2−Dゲル分析により求めた等電点約4.8〜4.
9、 (6) 構成性またはトロンビン刺激誘発性末梢血液単核細
胞、顆粒球、血小板、繊維芽細胞またはケラチノサイト
上で発現されず、 (7) IL−1活性化内皮細胞上での発現が、大腸菌リポ
多糖(lps)および腫瘍壊死因子アルファ(TNF)
により刺激されるが、ガンマインターフェロン(IFN
γ)によっては刺激されず、 (8) ATCC寄託番号HB10136のハイブリドーマ
細胞株1E7により生産されるモノクローナル抗体1E
7および/またはATCC寄託番号HB10137のハ
イブリドーマ細胞株2G7により生産されるモノクロー
ナル抗体2G7が、IL−1で時間を順次増しながら長
時間前処理したヒト内皮細胞に結合する能力によってイ
ンビトロで求めるとき、慢性動態を示し、 (9) 慢性または急性炎症の状態にある組織の血管中での
抗原発現によりインビボで求めるとき、慢性または急性
動態を示し、 (10)ELAM−1またはICAM−1に特異的に結合す
る抗体には結合せず、 (11)該モノクローナル抗体1E7および/または該モノ
クローナル抗体2G7に結合し、 (12)Fig 34A〜34Gに示したcDNA配列によりト
ランスフェクトされたCOS細胞によって発現される。
【0093】1E7/2G7抗原の有用な断片には、モ
ノクローナル抗体1E7に結合するがモノクローナル抗
体2G7には結合しないエピトープを含む抗原性断片な
らびにモノクローナル抗体2G7には結合するがモノク
ローナル抗体1E7には結合しないエピトープを含む抗
原性断片がある。
【0094】1E7/2G7抗原のその他の同定特性と
しては、炭水化物付加(carbohydrate attachment)を阻
止するためのツニカマイシン処理ののちに還元条件下で
のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって求
めたそれの分子質量が約80kDaであることがあげら
れる。
【0095】CMP−170抗原は次の同定特性を持
つ: (1) 還元および非還元条件下でのSDS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動により求めた分子質量:約170k
Da、(2) 休止またはIL−1刺激末梢血単核細胞、顆
粒球、繊維芽細胞またはケラチノサイトの表面では発現
されず、(3) 休止内皮細胞、繊維芽細胞および白血球の
細胞質中に存在し、(4) 活性化内皮細胞の細胞表面での
発現がシクロヘキシミドおよびアクチノマイシンDによ
り阻害され、(5) 内皮細胞内のワイベル−パラド(Wei
bel-Palade)体に局在することなく、(6) IL−1刺激
内皮細胞中のELAM−1と細胞表面で会合し、(7) A
TCC寄託番号HB10138のハイブリドーマ細胞株
3A2により生産されるモノクローナル抗体3A2が、
IL−1で時間を順次増しながら長時間前処理したヒト
内皮細胞に結合する能力によってインビトロで求めたと
き、急性動態を示し、(8) モノクローナル抗体3A2に
結合する;ELAM−1抗原の抗原性断片からなる抗原
は次の同定特性をもつ: (1) ELAM−1抗原のN末端約31%からなる、(2)
ATCC寄託番号HB10135のハイブリドーマ細胞
株7A9により生産されるモノクローナル抗体7A9に
結合する、(3) ATCC寄託番号HB10391のハイ
ブリドーマ細胞株3B7により生産されるモノクローナ
ル抗体3B7に結合する、(4) 構成性またはトロンビン
刺激末梢血液単核細胞、顆粒球、血小板、繊維芽細胞ま
たはケラチノサイト上で発現されない、(5) IL−1活
性化内皮細胞上での発現が、大腸菌リポ多糖(lps)
および腫瘍壊死因子アルファ(TNF)により刺激され
るが、ガンマインターフェロン(IFNγ)によっては
刺激されない。
【0096】還元および非還元条件下でのSDS−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動による分子質量測定法は当
該技術分野では周知であり、たとえばボニー・エス・ダ
ンバー(Bonnie S.Dunber)、二次元電気泳動および
免疫学的技法(Two Dimensional Electrophoresis
and Immunological Techniques)、プレナムプレ
ス、ニューヨーク、1987年に記載されている。
【0097】分子質量を記述するに当っての「強いバン
ド」および「弱いバンド」とは、ある一定の実験におい
てのバンドの強度に基いた相対的な用語である。しか
し、当業者であれば、たとえば本出願書類中の図面を観
察することによって、あるバンドが強いバンドであるか
弱いバンドであるかを容易に決定できるのである。
【0098】該抗原の等電点も、ガレルズ(Garrel
s)、メソッズ・イン・エンジモロジー(Methods En
zymol.)、100巻411〜423頁、1983年およ
びボニー・エス・ダンバー、二次元電気泳動および免疫
学的技法、プレナムプレス、ニューヨーク、1987年
に記載されている2−Dゲル分析のような当該技術分野
で周知の諸方法によって測定する。
【0099】O−結合糖鎖は、実施例4(F) 記載の方法
などの既知の諸方法によって除去できる。
【0100】O−結合糖鎖除去のために使用できる他の
諸方法は、D.M.ウェア編「ハンドブック・オヴ・エ
クスペリメンタル・イムノロジー」、第4版、1986
年、1〜4巻、ブラックウェル・サイエンティフィック
・パブリケーションズ、オックスフォード、英国に記載
されている。
【0101】本発明の抗原が、休止状態のあるいはトロ
ンビンまたはIL−1で刺激された末梢血単核細胞、顆
粒球、血小板、繊維芽細胞またはケラチノサイト上で発
現されるかされないかを知るためのアッセイの特定の一
例を実施例4(J) および(M)に示した。
【0102】休止あるいはトロンビンまたはIL−1刺
激細胞上で該抗原が発現されるかされないかを知るため
に用いうる他の方法は、D.M.ウェア編ハンドブック
・オヴ・エクスペリメンタル・イムノロジー、第4版、
1986年、1〜4巻、ブラックウェル・サイエンティ
フィック・パブリケーションズ、オックスフォード、英
国に記載されている。
【0103】本発明の抗原の発現がIL−1活性化内皮
細胞上でlps、TNFおよび/またはIFNγによっ
て刺激されるかどうかを知るための特定の一方法を実施
例4(K) に示す。
【0104】本発明の抗原がインビトロで慢性動態およ
び/または急性動態を示すかどうかを知るための一方法
を実施例3(C) および4(I) に示す。
【0105】本発明の抗原がインビボで慢性動態および
/または急性動態を示すかどうかは、慢性あるいは急性
の炎症を経験している組織の血管中での該抗原の発現を
観測することによって知ることができる。これは、患者
の病歴を知っている熟練した病理学者により行われる常
法的な判断であり、湿潤白血球の数および本質ならびに
他の標準的判断基準に基くものである。
【0106】該抗原が特定のモノクローナル抗体に結合
するかどうかは、実施例2(B) に記載のようにフローサ
イトメトリーを行うことにより決定できる。
【0107】休止内皮細胞の細胞質内に抗原が存在する
かどうかを知るための特定の一方法を実施例4(P) に示
した。
【0108】要約すると、細胞を、たとえばアセトンま
たはエタノールにより、透過性とし、抗体が細胞質内に
存在する抗原と反応できるようにする。つぎに、細胞
を、該抗体と反応する間接的プローブと反応させたの
ち、常法により可視化する。たとえば、ヤギ抗マウス抗
体に結合させたアルカリホスファターゼを間接的プロー
ブとして用いたFig 26を参照されたい。
【0109】活性化内皮細胞表面での抗原の発現がシク
ロヘキシミドおよびアクチノマイシンDにより阻害され
るかどうかを知るための特定の一方法を実施例4(O) に
示す。
【0110】上記方法にかえて使用できる他の方法とし
ては、実施例2(B) に記載のようにして行われるフロー
サイトメトリーの採用があげられる。
【0111】抗原がワイベル−パラド体に局在するかど
うかの判定には、常法を使用できる。それらの方法は、
該抗原が、ワイベル−パラド体の主要成分であるフォン
−ウィリブラン(von-Willibrand)因子(vWF)と共
に局在するかどうかを判定する(光学顕微鏡により観察
して)ことを包含する。
【0112】要約すると、休止ヒト内皮細胞などの適当
な細胞を培養し、たとえばPBS−EDTAを用いては
がし、顕微鏡のガラススライド上へ吐き出す。細胞をア
セトンで固定し、乾燥して細胞を透過性にする。つぎに
細胞を、当該抗体および抗−vWF抗体(市販されてい
る)を用いて、実施例4(P)記載のように、二重染色プ
ロトコールによって染色する。染色された細胞について
vWFの二重染色を調べる。
【0113】なお、当該抗体のみによって染色された細
胞から、当業者ならば、その抗体がワイベル−パラド体
の中にあるかどうかを容易に判定できる。
【0114】抗原がIL−1刺激内皮細胞中のELAM
−1と細胞表面で会合するかどうかを知るための特定の
2方法を実施例4(Q) に記載する。
【0115】上記の方法にかえて使用できる他の方法
は、D.M.ウェア編,「ハンドブック・オヴ・エクス
ペリメンタル・イムノロジー」、第4版、1986年、
1〜4巻、ブラックウェル・サイエンティフィック・パ
ブリケーションズ、オックスフォード、英国に記載され
ているように、細胞表面での架橋試薬の使用および免疫
共沈を包含する。
【0116】新規な抗原および抗原性断片は常法によっ
て調製、精製でき、そのいくつかを実施例で詳細に記述
する。
【0117】ELAM−1断片の精製は、実施例4(B)
記載の免疫沈降プロトコールによって行いうる。より大
きいスケールでの精製には、1E7または2G7モノク
ローナル抗体(たとえば5mg)を、メーカー提供の標準
プロトコールによってアフィゲル−10ビーズ(たとえ
ば5ml)(市販品)に結合させ、抗体被覆ビーズに液体
(ELAM−1断片産生細胞の上澄み)を反応させるこ
とができる。ビーズをPBS−TWEENによって洗っ
て、非特異的に結合された物質を除き、マーリン(Mar
lin)ら、ネイチャー、344巻70〜72頁、1990
年にICAM−1断片について記載されているようない
くつかの標準的手法によって抗原断片を溶出する。
【0118】可溶性の形で使用するには、抗原または抗
原性断片を合成的に製造すべきである。抗原を、既知の
方法に従って(たとえばベヴィラクアら、サイエンス、
243巻1160〜1164頁、1989年参照)、ク
ローン化し、配列決定できる。活性部位(単数または複
数)の決定も、ペプチド断片の合成と同様に、標準的手
法〔たとえばピーターソン(Peterson)とシード(See
d)、セル、54巻65〜72頁、1988年参照〕によ
る。
【0119】新規な抗原および抗原性断片は、本発明の
モノクローナル抗体が白血球の活性内皮細胞への結合を
ブロックするかどうかを実証するために、そのような結
合のブロッキングをアッセイするのに使用できる。当業
者ならば、適当なアッセイ条件を容易に決定できる。
【0120】1例として、結合をアッセイしようとする
単核細胞を、抗原または抗原性断片と共に、適当な緩衝
液中で適当な濃度および温度で、全ての抗原結合部位が
飽和されるのに十分な時間、プレインキュベートする。
プレインキュベーションののち、それら単核細胞を、ひ
き続いてのペプチドの存在下に、活性内皮細胞に加え
る。非粘着性単核細胞を緩衝液で洗い去り、活性内皮細
胞に結合した細胞の数を求める。対照として、活性化し
ていない内皮細胞を用いて並行アッセイを実施できる。
【0121】結合を調べようとする細胞の細胞質中へ放
射トレーサー、たとえば51Crを、当業界に既知の諸方
法により導入し、細胞外カウントがあれば洗って除き、
これらの標識された細胞を内皮細胞の単層の上に置くこ
とによって、検出を定量的に行うことができる。
【0122】白血球の活性内皮細胞への結合のブロッキ
ングを検知するための本発明による一アッセイ法を実施
例4(U) に記載する。
【0123】本発明の新規抗原は、それらの可溶性の形
で、以下の「炎症性反応を処置するための医薬および方
法」と題した部分で詳述するように、白血球と活性内皮
細胞との相互作用をブロックするのに有用である。
【0124】炎症性反応を処置するための医薬および方
本発明はまた、活性化内皮細胞関連炎症性反応を処置す
るための医薬および方法を提供する。
【0125】一実施態様では、該薬剤は、(I) に先に記
載したものであるが、インビトロでのT細胞の活性内皮
細胞への結合を部分的に阻害する(A) 群のモノクローナ
ル抗体、または(C)群のモノクローナル抗体の少なくと
も1種またはその結合部位含有断片あるいはそのモノク
ローナル抗体または断片の医薬として許容しうる塩の医
薬としての有効量および(II)薬学的に許容しうる担体、
希釈剤または賦形剤を含有してなる。
【0126】第二の実施態様では、該薬剤は、(I) 前記
1E7/2G7抗原、CMP−170抗原およびELA
M−1の抗原性断片からなる群より選ばれた少なくとも
1種の実質的に純粋な抗原またはその抗原性断片あるい
は該抗原または断片の医薬として許容しうる塩の医薬と
しての有効量を含有してなる。
【0127】同様に、一実施態様では、該方法は、上記
のインビトロでT細胞の活性内皮細胞への結合を部分的
に阻害する(A) 群のモノクローナル抗体、または上記
(C) 群のモノクローナル抗体の少なくとも1種またはそ
の結合部位含有断片あるいはそのモノクローナル抗体ま
たは断片の医薬として許容しうる塩の医薬としての有効
量を処置の必要な患者に投与することからなる。
【0128】第二の実施態様では、該方法は、上記の1
E7/2G7抗原、CMP−170抗原、およびELA
M−1の抗原性断片から選ばれた少なくとも1種の実質
的に純粋な抗原またはその抗原性断片あるいはその抗原
または断片の医薬として許容しうる塩の医薬としての有
効量を処置の必要な患者に投与することからなる。
【0129】医薬として、また上記処置法において有用
なモノクローナル抗体は、インビトロで白血球のIL−
1活性内皮細胞への結合をブロックできる上記のものと
同じであり、好ましい実施態様では、該モノクローナル
抗体は、上記の2G7、7A9および3B7である。
【0130】本発明の抗体の相補性決定領域(CDR)
および適当なヒト免疫グロブリンの非CDR領域からな
るキメラ抗体も使用可能である〔クウィーン(Queen)
ら、プロシーディング・オヴ・ザ・ナショナル・アカデ
ミー・オヴ・サイエンシズ、USA、86巻10029
〜10033頁、1989年〕。
【0131】医薬として、また該処置法において有用な
抗原は、上記の新規抗原の全てである。しかしながら、
モノクローナル抗体2G7、7A9および3B7が特異
的に結合する上記抗原がとくに有用であると期待され
る。
【0132】適当な、医薬として許容しうる塩は、当業
者が容易に決定できる。
【0133】適当な、薬学的に許容しうる担体、希釈剤
または賦形剤は、当業者が容易に決定できる。例として
は、等張性食塩水(0.15M NaCl)およびリン
ゲルの静脈内注射用グルコース溶液がある。
【0134】該薬剤は、当業者により容易に決定される
方法により、たとえば静脈内に、投与できる。
【0135】投与すべき適当な用量は、炎症性疾患の性
格によっても異なりうるが、当業者が容易に決定できる
ところである。
【0136】一般には、ヒトへの静脈内注射に適した用
量は、モノクローナル抗体またはその結合部位含有断片
あるいは抗原またはその抗原性断片として約20〜50
mgである。
【0137】図1は、本発明の医薬および処置法がどの
ように作用すると考えられるかを、単純化して模式的に
示したものである。
【0138】該医薬および処置法は、いずれの活性内皮
細胞関連炎症性反応にも適用でき、急性ならびに慢性の
炎症に使用できる。
【0139】該新規抗原を一薬剤中でそれに対応するモ
ノクローナル抗体と組合せることをしない限り、種々の
薬物の組合せ使用が常に可能なことはもちろんである。
【0140】当業者ならば、本発明の医薬および処置法
が有用であろう炎症性反応を決定することは容易にでき
る。たとえば、腫瘍細胞介在血管障害、慢性関節リウマ
チ、再灌流後の心筋障害(顆粒球による障害)および成
人呼吸困難症候群(マクロファージおよび顆粒球)があ
る。シンプソン(Simpson)、P.J.ら、ジャーナル
・オヴ・クリニカル・インヴェスティゲイション、81
巻624〜629頁、1988年;ヴェダー(Vedde
r)、N.B.ら、ジャーナル・オブ・クリニカル・イン
ヴェスティゲイション;サイモン(Simon)とウォード
(Ward)、炎症;基礎原理および臨床上の相関(Infla
mmation:Basic Principles and Clinical Corre
lates)〔J.I.ガリン (Gallin)、I.M.ゴルド
スタイン(Goldstein)およびR.スナイダマン (S
nyderman)編、レイヴン(Raven)プレス、ニューヨー
ク、1988年〕中の「成人呼吸困難症候群」、815
頁;カジソン(Kadison)とバートン(Barton)「脈管
炎:血管損傷の機序」、同上、703頁;およびハリス
(Harris)「慢性関節リウマチの病因:機能不全性免疫
調節関連疾患」、同上、751頁にも、例が開示されて
いる。
【0141】T細胞サブセット及び付着分子 CD4+ T細胞は、免疫系を調節する鍵の役割を有す
る。マウスにおいて、CD4+ 細胞に対する細胞の相同
性は、T細胞及びB細胞の応答性のための“ヘルパー/
インデューサー”機能に役立ち、移植片拒絶(graf
t rejection)や遅延型過敏症のような1種
の効果器機能を補助し、“準備された(prime
d)”細胞のように、既往反応の引き金になる。
【0142】免疫監視(immunosurveill
ance)を提供するために、循環から組織空間へのC
D4+ 細胞の移動が、しばしば保証される。該移動は、
付着細胞経路の1種または組み合わせによる障害または
感染部位またはその近傍での循環しているリンパ球の血
管内皮細胞への付着により促進されまたは方向付けられ
ている。
【0143】望ましくないリンパ球−内皮細胞付着が発
生した場合には、移植片拒絶または自己免疫疾患中のよ
うに、付着分子に向けられた1または2以上の抗体を使
用して結合を妨害することなどにより細胞間結合を最小
にすることが有利であることを証明できる。例えば、グ
レーブス病(Graves´ disease)(自己
免疫甲状腺機能亢進症)において、正常な個人に見出さ
れるよりもかなり高い割合で患者の甲状腺組織中にヘル
パーT細胞が存在する。(イシカワ(Ishikaw
a)ら、ジェイ. クリン.エンド.メタブ.(J.Cl
in.Endo.Metab.),65:17−23,
1987)。慢性関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性
関節炎及びライター症侯群のような慢性滑膜炎の場合、
滑膜T細胞のほぼ90%がヘルパー−インデューサー
(CD4+ 4B4+ UCHL1+ )細胞である(キング
スレー(Kingsley)ら、スカンド.ジェイ.イ
ム. (Scand.J.Imm.),28:225−2
32,1988)。ハルシュテンセン(Halsten
sen)らは、セリアック病(celiac dise
ase)の未処置患者の空腸のバイオプシー(biop
sy)により得られた粘膜サンプルからの上皮内リンパ
球集団中のCD45RO+ メモリー細胞の割合の増加を
認めた(ユーロ.ジェイ.イム.(Eur. J.Im
m.),20:1825〜1830,1990)。
【0144】観察されたヘルパー−インデューサーTリ
ンパ球の選択的蓄積は、臓器特異的ではなく、炎症状態
での一般的特徴であることは明らかである。ろく膜(p
leural)及び腹膜の洗浄から得られたリンパ球
は、ほとんど内皮細胞付着能が亢進したヘルパー−イン
デューサー細胞である(ピツァリス(Pitzali
s)ら、ユーロ.ジェイ.イム.(Eur. J.Im
m.),18:1397−1404、1988)。免疫
−内皮細胞結合を最小にすることは、免疫細胞の応答性
を最小にすることもできる。
【0145】少なくとも4種の細胞表面分子/リガンド
相互作用が、末梢ヒトCD4+ T細胞の培養されたヒト
臍静脈内皮細胞(HUVEC)に対する付着性を媒介す
るようにみえる。T細胞リンパ球機能抗原(T−cel
l lymphocytefunction anti
gen)(LAF−1)は、細胞間付着分子(ICAM
−1)及び二者択一的なリガンド(“ICAM−X”)
と結合する;T細胞(VLA)は、血管細胞付着分子
(vascular cell adhesion m
olecule)(VCAM−1)と結合する;及び、
T細胞は、ELAM−1と結合する。細胞結合性は、T
細胞及びHUVEC両者の活性化の状態並びにT細胞の
分化の状態に依存する。
【0146】ELAM−1は、休止CD4+ T細胞の活
性化HUVECに対する付着の媒介に重要な役割を果た
す。もう一つの細胞表面分子であるLAF−1は、フォ
ルボール・ミリステート・アセテート(PMA)活性化
T細胞を支配するが、LAF−1リガンドの強度及び優
位性は、HUVECの活性化状態により決定される。I
CAM−1は、IL−1で誘導されたHUVECに対
し、優勢なリガンドであり、ICAM−Xは、誘導され
ていないHUVECに対する結合に優位である。VLA
−4を介する付着は、活性化されたHUVEC上でのそ
のリガンドVCAM−1の誘導に依存する。T細胞のT
MA活性化は、T/HUVEC結合モデル及びVCAM
−1で形質転換されたL−細胞に対する単純化されたT
細胞付着モデルの両方において、VLA−4で媒介され
た付着を増加させる。LAF−1及びVLA−4と異な
り、ELAM−1で媒介された付着は、T細胞の活性化
により増加しない。
【0147】ELAM−1は、顆粒球及びT細胞の内皮
細胞に対する結合を媒介するのに役立つ。しかし、免疫
細胞の2種のクラスのELAMリガンドは、区別可能で
ある。顆粒球(及び単球)のELAMリガンドは、シア
リル(sialyl)−Lex (スプリンガー・アンド
・ラスキー(Springer & Lasky),
ィチャー(Nature) 3 49:196−197、
1991中で検討される)からなるが、シアリル−Le
x はリンパ球上で発現されない(オオモリ(Ohmor
i)ら、ブラッド(Blood) 74:255−26
1,1989)。
【0148】CD4細胞がシアリル−Lex 構造を発現
しないことは、二重染色フロー・サイトメトリー(du
al staining flow cytometr
y)により決定された(シアリル−Lex 抗体,SNH
4,フィリップス(Phillips)ら、サイエンス
(Science) 250:1130〜1132,1
990に記載される)。にもかかわらず、CD4+ 細胞
は、プラスチック上に固定された可溶性ELAMに結合
し、その結合は、抗体7A9により阻害可能である。さ
らに、細胞のシアリダーゼ処理は、約75%結合性を減
少させ、残りは7A9により阻害可能である。最後に、
シアリルラクトースは固定化されたELAMに対するT
細胞の結合を阻害しない。
【0149】ナイーブおよびメモリー細胞であると理解
されるCD4+ T細胞サブセット上の付着分子の分化発
現は、T/HUVEC付着を調節する。ナイーブT細胞
のHUVECに対する付着は、VLA−4及びELAM
−1経路にはほとんど或いは全く関与しないLFA−1
により主として媒介される。これに対し、メモリーT細
胞のHUVECに対する結合は、4種のすべての経路を
利用する。
【0150】白血球表面分子のCD45のアイソフォー
ム(isoform)の分化発現は、CD4+ T細胞の
2種の相互サブセットで定義される。CD45RAアイ
ソフォームを発現するサブセットは、事前に活性化され
ていない(“ナイーブ”細胞)休止の末梢T細胞からな
る。該相互サブセットは、CD45ROアイソフォーム
を発現し、典型的には抗原に曝すことにより事前に活性
化され、および休止状態(“メモリー”細胞)に復帰し
た細胞を発現する。これらのサブセットの分析は、CD
45アイソフォームの分化発現に加えて、メモリーT細
胞上でのLFA−1及びVLA−4を含む多数の細胞表
面分子の増加された発現があることが示された。Fi
g.35A及び35Bは、メモリーT細胞上のある種の
細胞分子のより大きな発現がT/HUVEC相互作用に
関連することを示している。第1に、精製された休止ナ
イーブCD4+ T細胞よりも数多くの精製された休止メ
モリーCD4+ T細胞が、休止またはIL−1で誘導さ
れたHUVECに結合する。
【0151】第2に、精製されたナイーブ及びメモリー
T細胞のPMAによる急性活性化は、HUVECに対す
る両方の細胞型の付着の増加につながるが、PMA活性
化メモリーT細胞は、PMA活性化ナイーブT細胞より
もHUVECに対しより大きな付着性を示す。
【0152】ELAMは、免疫細胞−内皮細胞付着に初
期の役割を果たし、顆粒球及びT細胞のELAMリガン
ドは区別されるため、いずれかの細胞型の作用に起因す
る選択的炎症過程の調節が今や可能となり、例えば、顆
粒球は細菌感染の処置に非常に重要であり、T細胞はあ
る種の自己免疫疾患に非常に重要であることが知られて
おり、それはいずれかの免疫細胞型が活性化された内皮
細胞に影響を与えることによる。
【0153】そのような特異性の程度は、例えば免疫抑
制的治療における副作用を最小にする。ELAMリガン
ドをある生体部位に標的化するための好適な担体として
は、例えばその表面に適当なELAMリガンドを発現す
るリポソームが挙げられる。
【0154】特別な生体部位に対する薬物の担体の標的
化またはその中に含まれる薬物を輸送する担体を使用す
る概念は、当該技術分野において知られている(バイン
シュタイン(Weinstein)の“リポソーム(L
iposomes):生物物理学から治療学まで”、オ
ストロウ(Ostrow)編,デッカー(Dekke
r),ニューヨーク 1987;ヒース(Heath)
ら、プロシーディングズ・オヴ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オヴ・サイエンシズ(Proc.Natl.A
cad.Sci),80:1377〜1381,198
3)。担体の例としては、マイクロカプセル、マイクロ
グラニュール(microgranules)及びリポ
ソームが挙げられる。薬物送達(pharmaceut
ic delivery)のための標的化の特異性は、
担体の表面上に標的の細胞、組織または器官の近傍又は
表面に表現されている相補的な分子に親和性を有する結
合性分子を持つことにより得られる。結合性分子の例と
しては、抗体、ホルモン及び付着分子リガンドが挙げら
れ、関連する相補的な分子としては抗原、レセプター及
び付着分子が挙げられる。担体は、他の結合性分子の範
疇にあるステロイド、抗菌剤、サイトトキシンなどのよ
うな免疫抑制剤を含むように形成される。
【0155】リポソームは、局所放出能により他の幾つ
かの担体と同様に用途の広いものであり、それは標的細
胞との膜融合能が、例えば細胞周囲又は細胞内の送達及
び結合性分子の細胞表面発現となること、及びエンドサ
イトーシスを介する標的細胞による包み込み能による。
【0156】付着分子及び付着分子リガンドの結合性分
子としての使用は、これらの分子及びリガンドが“自
己”であり、通常免疫応答を誘導しないことのために特
別な利点がある。この様に、ELAMリガンド、VCA
Mリガンド及びICAMリガンドは、各々相補的付着分
子であるELAM、VCAM及びICAMが活性化され
た内皮細胞表面に発現されているために炎症部位への担
体の標的化ための特に好ましい結合性分子である。
【0157】炎症性反応検知法 本発明は、活性化内皮細胞関連炎症性反応を検知する方
法をも提供するものであり、該方法は、(I) 生体液を、
上記(A) 、(B) または(C) 群のモノクローナル抗体また
はその結合部位含有断片の少なくとも1種と接触させ、
(II)該生体液中の抗原への該モノクローナル抗体または
その結合部位含有断片の特異的結合をアッセイすること
からなる。
【0158】該モノクローナル抗体の製造および精製の
方法は、既に上で述べた。
【0159】「生体液」とは、血清、尿、滑液およびそ
の他の、炎症から生じる抗原を含有すると予想される体
液のすべてを意味する。
【0160】検知は、インビトロでもインビボでも行な
いうる。インビトロ検知は、ヤング、W.W.ら、ジャ
ーナル・オヴ・エクスペリメンタル・メディシン、15
0巻1008〜1019頁(1979年)およびカンナ
ギ(Kannagi)、R.ら、キャンサー・リサーチ、43
巻4997〜5005頁(1983年)に記載されてい
るものなどの、周知のインビトロ免疫アッセイ法のいず
れを用いても実施できる。さらに、インビボでの検知
は、バーチェル(Burchell)、J.ら、インターナショ
ナル・ジャーナル・オヴ・キャンサー、34巻763〜
768頁(1984年);エペネトス(Epenetos)、
A.A.ら、ランセット、2巻9 (I) 液を、上記(A) 、(B) または(C) 群のモノクローナ
ル抗体またはその結合部位含有断片の少なくとも1種と
接触させ、(II)該生体液中の抗原への該モノクローナル
抗体またはその結合部位含有断片の特異的結合をアッセ
イすることからなる。
【0161】該モノクローナル抗体の製造および精製の
方法は、既に上で述べた。
【0162】「生体液」とは、血清、尿、滑液およびそ
の他の、炎症から生じる抗原を含有すると予想される体
液のすべてを意味する。
【0163】検知は、インビトロでもインビボでも行な
いうる。インビトロ検知は、ヤング、W.W.ら、ジャ
ーナル・オヴ・エクスペリメンタル・メディシン、15
0巻1008〜1019頁(1979年)およびカンナ
ギ(Kannagi)、R.ら、キャンサー・リサーチ、43
巻4997〜5005頁(1983年)に記載されてい
るものなどの、周知のインビトロ免疫アッセイ法のいず
れを用いても実施できる。さらに、インビボでの検知
は、バーチェル(Burchell)、J.ら、インターナショ
ナル・ジャーナル・オヴ・キャンサー、34巻763〜
768頁(1984年);エペネトス(Epenetos)、
A.A.ら、ランセット、2巻999〜1004頁(1
982年);チャタル(Chatal)、J.−F.ら、ジャ
ーナル・オヴ・ニュクリアー・メディシン、26巻53
1〜537頁(1985年)に記載のものなどの、周知
のインビボ免疫アッセイ法のいずれを用いても実施でき
る。
【0164】生体液中の抗原を検知するためのとくに好
ましい一方法はサンドイッチELISA手法である。こ
の方法は、その好ましい形では、当該蛋白質の一エピト
ープに対するモノクローナル抗体をプラスチック製NU
NC ELISAディッシュに付着させることからな
る。これに続いて、生体液中の蛋白質の非特異的結合を
ブロックするために、ウシ血清アルブミンの1%溶液を
加える。ウェルを洗って未結合蛋白質を除いたのち、生
体液(血液、尿など)をディッシュに加えて1時間お
く。洗って未結合生体液を除去したのち、当該蛋白質の
他のエピトープに対する第二のモノクローナル抗体を加
える。第二のモノクローナル抗体は、アルカリホスファ
ターゼなどの適当なリポーター分子と結合させておく。
一定のインキュベーション期間ののち、ウェルを洗って
未結合蛋白質を除き、適当な酵素基質(リポーター分子
が酵素のとき)、たとえばアミノエチルカルバゾールを
加え、反応生成物をELISAプレートリーダーで定量
する。サンドイッチELISA法実施の一例がロケシュ
ワー(Lokeshwar)とリン(Lin)、ジャーナル・オヴ
・インムノロジカル・メソッズ、123巻123〜12
9頁(1989年)に記載されている。
【0165】該方法は、たとえば、初期移植片拒絶反応
あるいは無症状感染または脈管炎の検知に使用できる。
【0166】1E7/2G7抗原のcDNA配列とこの
cDNAを運ぶベクター 本発明はまた、抗原1E7/2G7をコードするcDN
A配列、またはその断片、ならびに該cDNA配列また
はその断片を運ぶベクターをも提供する。
【0167】該cDNA配列は、実質的にFig 34A〜
34Fに示す通りの配列からなる。ただし、塩基384
〜743は実質的にFig 34Bに示す通りに存在するも
のとする。
【0168】「実質的に示す通り」とは、Fig 34A〜
34Gに示されたcDNA配列が塩基の欠失、付加およ
び/または置換を含んでいてもよいことを意味する。た
だし、(1) 該cDNA配列が、抗原1E7/2G7また
はその抗原性断片の合成を指示するmRNAを単離する
ためのプローブとして依然として使用できるか、または
(2) 該cDNA配列がコードするリガンドのリガンド結
合性が維持される範囲内とする。
【0169】Fig 34A〜34Gに示された通りのまた
は実質的に示された通りのcDNA配列の断片とは、リ
ガンド結合性を維持する1E7/2G7抗原の断片をコ
ードする該cDNA配列の断片である。
【0170】cDNA配列またはその断片を、抗原1E
7/2G7またはその抗原性断片の合成を指示するmR
NAを単離するためのプローブとしてなお使用できるか
どうかは、当業者ならば、常法によって、必要以上の実
験を行わずに、容易に判定できる。
【0171】cDNA配列またはその断片が、リガンド
結合性を維持する蛋白質をコードしているかどうかは、
やはり当業者ならば、以下のように、とくに必要以上の
実験をせずに、常法によって容易に判断できる。
【0172】まず、当業者ならば、可溶化された形態の
1E7/2G7ができることおよびその形態でそれが細
胞に結合することを証明するであろう。可溶性形態は、
細胞質領域およびトランスメンブレン領域を欠失させる
ことによりつくられる。基本的には、コードする配列の
中へストップコドンを挿入して、これらの領域が翻訳さ
れるのを防ぐ。この欠失させた形のcDNAによってC
OS細胞を常法により、たとえばCa++ショックにより
トランスフェクトし、システインおよびメチオニンの35
Sアイソトープの存在下で生育させ、これを生育中のC
OS細胞内へ、従って翻訳された抗原の中へ取り込ませ
る。48時間後にこれら細胞の上澄みを集め、抗原の細
胞表面への結合を、模擬的にトランスフェクトした細胞
と比較して、次のように、測定する。
【0173】ATCCから入手しうる細胞株RAMOS
およびJURKATあるいは正常ヒト末梢血単核細胞群
(百万個)のような適当なタイプの細胞を、模擬または
トランスフェクトされた細胞の培養上澄み1mlと共に氷
上で約1時間インキュベートする。インキュベーション
細胞を、RIA級BSAを1%含有するダルベッコのP
BSと共に遠心して洗う。洗った細胞を、1%SDS洗
剤100μl中に置いて、室温で5分間溶解させる。つ
ぎに、溶解細胞ペレットの全体を適当なシンチレーショ
ン液に加え、結合放射能をシンチレーションカウンター
で測定する。模擬的にトランスフェクトした細胞から得
たcpmから上澄み存在下にインキュベートした細胞か
ら得たcpmを差引いて、特異的に結合したcpmを求
める。
【0174】つぎに、ストップコドンをN末端に次第に
近付けながら一連の欠失cDNA分子を構築し、蛋白質
を発現させ、その結合を上記アッセイでテストすること
により、最小寸法の結合断片を求める。
【0175】該cDNA配列は、実施例5記載のように
して、プラスミドpCDN−1に代えて、pEUK−C
1、pEUK−C2、pMAM−neoなどの市販の哺
乳動物用発現ベクターを用いて、調製できる。
【0176】該cDNA配列を運ぶベクターは、当該技
術分野で既知の多くのベクターのいずれであってもよ
い。
【0177】単にcDNA配列の増幅が目的のときは、
該ベクターは、いずれも市販されているpBR322、
pSP72、pUCなどの多くの既知ベクターのいずれ
であってもよい。
【0178】cDNA配列の発現を目的とするときは、
該ベクターは、いずれも市販されているpEUK− C
1、pEUK−C2、pMAM−neoなどの、発現制
御配列を含有する多くの既知の哺乳動物用発現ベクター
のいずれであってもよい。
【0179】cDNA配列は、常法によってベクターに
挿入でき、それらベクターは常法によって増殖、発現さ
せることができる。
【0180】
【実施例】以下、特定の実施例によって本発明を説明す
るが、それら実施例は本発明の範囲を限定するものでは
ない。
【0181】特に断わらない限り、パーセント、比、部
などは全て体積基準のものである。
【0182】実施例で使用した試薬の入手および/また
は処理の方法は下記の通りである:トライトンX−11
4はコダックから入手した。これを10mMトリス緩衝
液pH7.4、0.15M NaClで3回抽出して不
純物を除いた。トライトンX−100、ブタ腸ヘパリン
およびコラゲナーゼタイプ1はシグマから購入した。ト
ウィーン20はアルドリッチから購入した。フェニルメ
チルスルホニルフルオライド(PMSF)はカルビオケ
ムから購入した。ゼラチンはバイオラドから購入した。
ビオチニル化ヤギ抗マウス軽鎖試薬およびFITC−ヤ
ギ抗マウス試薬はジャクソン・ラボラトリーズから購入
した。アフィニティ精製ヤギ抗マウスIgGはカークガ
ード・アンド・ペリー・ラボラトリーズから、 125I−
ストレプトアビジンおよび35S−システインはアマーシ
ャムから入手した。組換えヒトIL−1ベータは、徳島
研究所のY.ヒライ博士からの恵贈品であった。この材
料は大腸菌から精製すると、還元条件下でのSDS−ポ
リアクリルアミドゲル(15%アクリルアミド)電気泳
動で、17kDaのところに単一のバンドを与えた。以
下の実施例に使用するのに適したIL−1は市販品を入
手することもできる。潰瘍壊死因子アルファ(TNF)
はジェンザイムから購入した。比活性3008U/mg蛋
白質のヒトαトロンビンは、ジョン・W.フェントン
(Fenton)の好意により入手した。大腸菌リポ多糖(l
ps)はデイフコから入手した。B2同族体としてのツ
ニカマイシンはベーリンガー・マンハイムから購入し
た。T4、T8、B1およびMo2モノクローナル抗体
は、コールター社から購入した。W6/32抗体は、ア
キュレット・ケミカル・アンド・サイエンティフィック
社から購入し、RR/1抗体はティモシ・スプリンガー
(Springer)博士からの恵贈品、10E5抗体はバリー
・コラー(Coller)博士からの恵贈品であり、MOPC
−21骨髄腫蛋白質はATCCから入手したP3×63
Ag8細胞株の培養上澄みから精製した。
【0183】実施例1 活性ヒト内皮細胞に特異的なモノクローナル抗体の調製 (A) 細胞培養:病院の検閲部の許可を得て入手した廃棄
臍帯を、ジャッフェ(Jaffe)(ジャーナル・オヴ・ク
リニカル・インヴェスティゲイション、52巻2745
〜2756頁、1973年)の操作法に従い、これを若
干改良して、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を得
た。要約すると、細胞をコラゲナーゼ処理によって血管
壁からはがし、ゼラチン被覆組織培養フラスコを用い、
下記の培地中で培養した。ワイベル−パラド体の存在お
よび生細胞によるアセチル化低密度リポ蛋白質の取込み
によって、細胞が95%以上内皮細胞であることを確認
した。細胞を、20%の低内毒素ウシ胎児血清(FC
S、ハイクローン)、90μg/mlの保存剤不含ブタヘ
パリン、20μg/mlの内皮細胞成長用補足物(ECG
S)(コラボラティヴ・リサーチから入手)、グルタミ
ンおよび抗生物質を含有するM199培地(以下「生育
培地」)中で培養した。ウシ視床下部から冷却ブレンダ
ー中での食塩水抽出、4℃での2時間撹拌および不溶物
除去のための14000gまでの遠心分離によってEC
GSを調製した。脂質の除去および0.45ミクロンフ
ィルターでの濾過ののち、アリコートを凍結乾燥した。
ヒト顆粒球を、フィコール−ハイパック(FICOLL−HYPA
QUE)を用いての遠心分離により単核細胞を除去したヘパ
リン化末梢血から取得した。顆粒球/赤血球ペレットを
3%デクストラン上で沈降させて赤血球の大部分を除去
した。残留赤血球は、必要により、低張食塩水で溶解さ
せた。顆粒球の純度は、ウェイト−ギームザ染色で求め
るとき、95%以上であった。フィコール−ハイパック
分離後の単核層からヒトT細胞を調製した。これらの細
胞から、ナイロン−羊毛カラムを通すことによってB細
胞および単球を除いた。得られた細胞は、市販のモノク
ローナル試薬を用いてのフローサイトメトリーで求めた
ところ、MolまたはB1陽性細胞含量5%未満であっ
た。正常ヒト表皮ケラチノサイトはクローネティック社
から入手した;繊維芽細胞はヒト包皮組織からの外植に
よって得、ヒト血小板は、正常供血者の酸−クエン酸塩
−デキストロース抗凝固性化血から得た。血小板は数回
洗い、1%BSA含有Ca++不含PBSに再懸濁した。
【0184】(B) ハイブリドーマ産生:8週令の雌性B
ALB/cマウスに、3×106 個のIL−1(4時
間)活性化HUVECを10日間おきに4回、腹腔内注
射した。最後の注射は融合の3〜4日前とした。脾臓を
無菌的に摘出し、注射器のプランジャーで細かくほぐ
し、洗い、融合相手のSP2/0細胞〔ファゼカス・デ
・セント・グロス(Faxekas de St.Groth)、S.と
シャイデッガー(Scheidegger)、D.、ジャーナル・
オヴ・インムノロジカル・メソッズ、35巻1〜21
頁、1980年〕と5:1の割合で混合した。これら細
胞を、前述〔コーラー、G.とミルステイン、C.、ネ
イチャー、256巻495〜497頁、1975年〕の
ように、ポリエチレングリコールを用いて融合させ、フ
ィーダー層としてBALB/cマウスからの内在腹膜滲
出液細胞を含む96ウェルマイクロタイタープレートに
植えた。やはり96ウェルプレート中の休止またはIL
−1活性化(1ng/mlのIL−1の添加により4時間活
性化)HUVECのコルフルエントな単層上で、スクリ
ーニングを行った。培養上澄みを単層のHUVECと4
℃で60分間反応させたのち、細胞を洗い、ビオチニル
化ヤギ抗マウス軽鎖抗体と共に4℃で30分間インキュ
ベートした。さらに3回洗ったのち、細胞を、ウェル当
り0.3μCiの 125I−ストレプトアビジンと共に4
℃で15分間インキュベートした。最後に洗ったのち、
細胞を、1%トライトンX−100洗剤溶液で溶解さ
せ、アリコートをガンマーカウンターで計測した。ハイ
ブリドーマを、IL−1処理HUVECとのみ反応し、
無処理HUVECとは反応しない抗体を分泌する能力に
基いて、選択した。
【0185】この方法により、所望のモノクローナル抗
体を生産するハイブリドーマ細胞株5株を得た。これら
のハイブリドーマ細胞株およびそれらが生産するモノク
ローナル抗体を1E7、2G7、3A2、7A9および
3B7と名付けた。それらハイブリドーマは、メリーラ
ンド州ロックヴィルのアメリカン・タイプ・カルチャー
・コレクションに寄託されていて、寄託番号はそれぞれ
HB10136、HB10137、HB10138、H
B10135およびHB10391である。
【0186】さらに、上記のプロトコールを、13回に
わたり、合計71枚のマイクロタイタープレートのハイ
ブリドーマ候補について実施した。最初の融合で、1E
7ハイブリドーマ細胞株を得た。8回目の融合で、2G
7および3A2ハイブリドーマ細胞株を得た。7A9ハ
イブリドーマ細胞株は10回目の、3B7ハイブリドー
マ細胞株は13回目の融合で得られた。それゆえ、13
回の実験のうち2回が、発明の詳細な説明に記載の(A)
群モノクローナル抗体の所望の特性を持つモノクローナ
ル抗体(1E7および2G7)を与えた;13実験のう
ちの1回が、詳細な説明に記載した(B) 群モノクローナ
ル抗体の望ましい特性をもつモノクローナル抗体(3A
2)を与えた;13実験のうちの2回が、詳細な説明に
記載した(C) 群モノクローナル抗体の所望特性をもつモ
ノクローナル抗体(7A9および3B7)を与えた。こ
れは、当業者にとっては不適当な実験ではなく、この実
験操作において決定的に重要な段階が欠けているという
こともない。かくして、上記および発明の詳細な説明に
記載した(A) 、(B) および(C) 群モノクローナル抗体製
造法は、再現性のある方法である。
【0187】特に断わらない限り、以下の実施例で使用
したモノクローナル抗体は全て、DEAEイオン交換カ
ラムでのHPLCまたはA蛋白−セファロースでのアフ
ィニティクロマトグラフィーにより、常法に従って精製
したものである。
【0188】実施例2 モノクローナル抗体1E7、2G7、3A2、7A9お
よび3B7の特性 (A) アイソタイプの決定:インディアナ州インディアナ
ポリスのベーリンガー・マンハイムから入手した、必要
な試薬を全て含んでいるキット「スクリーンタイプ」を
用いて、アイソタイプを決定した。アイソタイプ決定
は、メーカーの指示に従って実施した。
【0189】結果を第1表にまとめたが、次の通りであ
った:1E7−1gG2a;2G7−IgG1;3A2
−IgM;7A9−IgG1;3B7−IgG2a。
【0190】(B-1) 休止またはIL−1活性化内皮細胞
へのモノクローナル抗体1E7、2G7、7A9および
3B7の結合:抗体1E7、2G7、7A9および3B
7は、実施例1記載のようにして、IL−1処理対未処
理HUVECを用いたプレート結合アッセイで見出され
たものである。それらの対照またはIL−1内皮細胞と
の反応性を、下記のように、フローサイトメトリーによ
って解析し、抗HLAモノクローナル抗体W6/32お
よびICAM−1に対する抗体RR/1と比較した。抗
体は全て、予備実験で求めた飽和用量で使用した。
【0191】要約すると、IL−1で4時間活性化した
内皮細胞をマイクロタイターウェル中0.1〜10μg
/mlの濃度の抗体で処理し、洗い、つぎにFITC−ヤ
ギ抗マウス間接試薬と共にインキュベートした。細胞を
フローサイトメトリーによって解析し、極大蛍光が得ら
れる最小用量を飽和用量とした。
【0192】フローサイトメトリーは次のように行っ
た:内皮細胞を培養器から2mM EDTA含有PBS
を用いて37℃で5分間かけてはがした。脱着細胞を、
冷却した1%放射免疫アッセイ(RIA)用BSAおよ
び0.02%ナトリウムアジドを含有するPBS/ED
TAを用いておだやかにピペッティングして、単個細胞
懸濁液をつくった。丸底96ウェルプレートを用い、5
0万個の細胞を、1%BSAおよび0.02%ナトリウ
ムアジド含有PBS(洗浄緩衝液)中に飽和用量のモノ
クローナル抗体を含有する100μl中で、インキュベ
ートした。4℃で30分間のインキュベーションのの
ち、細胞を3回洗い、1.5μg/mlのFITC−ヤギ
抗マウス試薬(ジャクソン・インノリサーチ・ラボラト
リーズ)を含有する洗浄緩衝液100μl中でインキュ
ベートした。対照として、細胞を第2段階の試薬のみと
インキュベートした。さらに4℃で30分間のインキュ
ベーションののち、細胞を3回洗い、再懸濁して分析に
付した。実際には、FITC−ヤギ抗マウス試薬を用い
て、蛍光のバックグランウドレベルを見積る。FITC
−アビジンのみで処理された細胞の95%を含むように
カットオフ点を定める。特定のリガンド結合ののちに蛍
光強度増大方向へシフトした細胞の割合によって、陽性
細胞のパーセントが定まる。フローサイトメトリーは、
アルゴンレーザーおよび石英フローセルを備えたコール
ター541型で実施した。
【0193】結果を第2表に示すが、そこでは、上記F
ITC−ヤギ抗マウス(FGaM)試薬(Fig 2A
1)またはW6/32抗HLAプラスGaM(Fig 2A
2)あるいはモノクローナル抗体1E7(Fig 2
B)、2G7(Fig 2C)、7A9(Fig 2D)、3B
7(Fig 2E)またはRR1(ICAM−1)(Fig 2
F)に続いてFGaMで染色された脱着細胞が示されて
いる。試薬は全て飽和用量で使用した。各ヒストグラム
は25000細胞の分析結果を示す。横軸の各25チャ
ンネル当り、蛍光強度a.u.=任意単位がほぼ2倍に
なる。任意単位で表わした細胞数が縦軸に表わされてい
る。誘起なし(…)、IL−1誘起(−)HUVEC。
【0194】Fig 2は、刺激しなかったHUVEC上に
ICAM−1蛋白質が存在し、先に報告されているよう
に(ダスティンとスプリンガー、ジャーナル・オヴ・セ
ルラー・バイオロジー、107巻321〜331頁、1
988年)、IL−1刺激後に約8倍に増加するが、I
L−1刺激後にはHAL蛋白質は増加しないことを示し
ている。しかし、アッセイした4種の新規抗体のいずれ
もが無刺激細胞上には検出できず、刺激HUVEC母集
団内では弱いないし強い陽性の不均一な抗原分布を示し
ている。これらの抗原はいずれも、それらの極大蛍光強
度において、ほぼチャンネル150のところに平均蛍光
強度をもつHLA蛋白質(Fig 2A 2)に量的に匹敵
している。HUVECのこれら活性化抗原の発現の不均
質のため、意味のあるスキャッチャードの細胞当り部位
数の分析はできなかった。この不均一性は、カバースト
ップ上の単層中の細胞を調べたときにも確認され、IL
−1曝露の時間または用量には影響されなかった(デー
タは示されていない)。
【0195】(B-2) 1E7/2G7 cDNAでトラン
スフェクトされたCOS細胞へのモノクローナル抗体1
E7、2G7および3B7の結合:実施例5記載のよう
に調製された、1E7/2G7 cDNA形質転換又は
模擬形質転換COS細胞を用いて結合を実施した。CO
S細胞(2×104 /ウェル)を、アッセイの24時間
前、トランスフェクションの48時間後に、96ウェル
平底マイクロタイタープレートに植えた。細胞を、培地
のみと(対照)またはそれぞれ5μg/mlの各モノクロ
ーナル抗体と、4℃で60分間インキュベートした。3
回洗ったのち、細胞をビオチニル化ヤギ抗マウス抗体と
共に4℃で30分間インキュベートした。3回洗ったの
ち、細胞を、ウェル当り0.3μlの125I−ストレプ
トアビジンと共に、4℃で15分間インキュベートし
た。最後に洗浄後、1%トライトンX−100で細胞を
溶解し、アリコートをガンマーカウンターで計測した。
【0196】結果をFig 3に示す。Fig 3は、モノクロ
ーナル抗体1E7および2G7は、1E7/2G7 c
DNAでトランスフェクトされたCOS細胞に結合する
が、3B7(抗ELAM−1)は結合しないことを示し
ている。
【0197】(C) モノクローナル抗体のブロッキング活
性:廃棄臍帯から内皮細胞を実施例1記載のようにして
採取し、培養した。細胞は急速に増殖し、恐らくはイン
ビトロ生育条件の結果としてそれらを区別する性質が減
退するまでに、6回まで他のフラスコに分割(継代)し
た。2回目の植継ぎにより、ブロッキングアッセイを行
うのに十分な細胞が得られていた。組換えヒトIL−1
ベータを、濃度1ng/mlとなるように細胞に加え、通例
通り細胞を6%CO2 、94%空気を含有する加湿培養
室中に維持しながら4〜6時間培養した。対照は、IL
−1不存在下に内皮細胞を培養することからなってい
た。培養期間後、細胞を培地で洗って使われなかったI
L−1を除き、それぞれのモノクローナル抗体を0.0
016〜10μg/mlの範囲内の濃度で加え、37℃に
1時間保った。常法で得たモノクローナル抗体2G7の
F(ab′)2 断片もこのアッセイに使用した。結合を
調べんとする細胞を30〜60分間上にのせて付着させ
た。使用した細胞は、ヒト単球、顆粒球、またはT細
胞、B細胞およびNK細胞からなる単核細胞混合物であ
った。これらの細胞は当業界で既知の方法により単離、
精製した。非付着性細胞を生育培地で洗い落し、無処理
またはIL−1処理内皮細胞(EC)に結合された細胞
の数の差を観測した。
【0198】このアッセイを、放射性トレーサー、たと
えば51Crを当業界で既知の方法によって結合研究対象
細胞の細胞質内へ導入し、細胞外のカウントを洗い除
き、これらの標識細胞をECの単層上に置いた。この目
的で用いた51Cr標識は、30〜60分間の結合アッセ
イの間に極小の漏出しか示さなかった。洗って非付着性
細胞を除去したのち、単層を洗剤で可溶化した。各ウェ
ルからカウントされた放射能を結合細胞数の尺度とし
た。
【0199】モノクローナル抗体2G7のF(ab′)
2 断片の種々用量および10μg/mlのモノクローナル
抗体1E7による単核細胞結合の阻害を示す結果をFig
4に示す。それらの結果は、IL−1活性化内皮細胞の
前処理に使用するとき、モノクローナル抗体2G7は、
ヒト単核細胞の内皮細胞への結合の用量依存的部分阻害
を惹起するが、モノクローナル抗体1E7はそうでない
ことを示している。モノクローナル抗体7A9のF(a
b′)2 断片も、表1に示すように、用量依存的細胞阻
害を示した。
【0200】試験した4種のモノクローナル抗体全てに
ついての結果を表1にまとめた。
【0201】
【表1】
【0202】表1は、本発明のモノクローナル抗体の性
質を公表されている極めて近い抗体の性質と比較してい
る。H4/18は、IL−1刺激内皮細胞に対して報告
された最初の抗体である(ポーバーら、ジャーナル・オ
ヴ・イムノロジー、136巻1680〜1687頁、1
986年)。H18/7は、IL−1刺激内皮細胞に対
して生じるモノクローナル抗体で、IL−1刺激内皮細
胞への顆粒球の付着を部分的にブロックする(ベヴィラ
クアら、プロシーディングズ・オヴ・ザ・ナショナル・
アカデミー、オヴ・サイエンシズ、84巻 9238〜
9241頁、1987年)。S12は、活性血小板に結
合するモノクローナル抗体で、本発明のモノクローナル
抗体3A2に最も近いと考えられる〔マッケヴァー(M
cEver)とマーティン(Martin)、ジャーナル・オヴ・
バイオロジカル・ケミストリー、259巻9799〜9
804頁、1984年〕。しかし、予想外なことに、モ
ノクローナル抗体3A2はIgMのアイソタイプをも
ち、一方S12のアイソタイプはIgG1である。Ig
Mというアイソタイプは、モノクローナル抗体としては
若干異例である。KC4は、抗血小板モノクローナル抗
体である〔スー−リン(Hsu−Lin)ら、ジャーナル・
オヴ・バイオロジカル・ケミストリー、259巻,91
21〜9126頁、1984年〕。既発表のモノクロー
ナル抗体のうち、KC4は、本発明のモノクローナル抗
体3A2の特異性に最も近い特異性をもつ。しかし、モ
ノクローナル抗体KC4のアイソタイプはIgG1であ
るが、モノクローナル抗体3A2は予想外のアイソタイ
プIgMをもつ。4D10は、IL−1刺激内皮細胞に
対して特異性をもつラットモノクローナル抗体である
(ゲルトら、エクスペリメンタル・セル・バイオロジ
ー、55巻117〜126頁、1987年)。モノクロ
ーナル抗体4D10は、本発明のモノクローナル抗体と
は明白な関係を持ってはいない。しかし、モノクローナ
ル抗体4D10が結合する抗原が、モノクローナル抗体
7A9が結合する抗原と分子量において極めて近い。
【0203】表1の比較は、本発明のモノクローナル抗
体が、公表されている近似のモノクローナル抗体と比較
して、予想外の性質をもつことを明らかにしている。
【0204】(D) 顆粒球結合の阻害:IL−1活性化H
UVECへの未刺激顆粒球の付着における2種の蛋白質
1E7/2G7および3B7/7A9(ELAM−1)
の4つのエピトープの相対的重要性を、次のようにして
調べた。
【0205】第4代またはそれ未満のHUVECをゼラ
チンをプレコートした24ウエルプレートに植え、48
時間またはコンフルエントになるまで培養した。細胞培
養を、10%FCS含有RPMI−1640中で1ng/
mlのIL−1に曝露するか、または、細胞をRPMI−
1640プラス10%FCS(洗浄培地)のみで培養し
た。37℃で4時間のIL−1曝露ののち、培養を洗浄
培地で1回洗った。この時点で単層を、洗浄培地で希釈
した抗体のF(ab')2 断片と共に37℃で30分間イン
キュベートした。(予備実験の結果、HUVECと顆粒
球が後者のFCSレセプターを介して架橋するのを避け
るためにF(ab')2 断片を使用することの必要性が判明
していた。)対照ウエルは、洗浄培地のみまたは10μ
g/mlの精製骨髄腫蛋白質MOPC−21を含有してい
た。全ての実験を3回ずつ行った。単層を、抗体の存在
下に、0.5ml中の51Cr標識顆粒球約106 個と重ね
た。37℃で45分後、単層を、室温で洗浄培地により
2回静かに洗った。残った付着性顆粒球を、1%トライ
トンX−100のPBS溶液300μlにより溶解させ
た。この半量(150μl)をガンマーカウンターで計
算した。モノクローナル抗体による顆粒球結合阻害百分
率を次のように計算した:[(実験−基礎cpm)÷
(IL−1誘発cpm−基礎cpm)]×100。IL
−1−基礎の値は、誘発可能な結合度を表わす。106
個の洗った顆粒球によって取込まれる51Cr量を用い
て、データをcpm/ウエルから結合細胞数/ウエルに
換算した。溶解に先立って常に単層を点検して、HUV
ECの脱離が起っていないことを確認した。
【0206】F(ab')2 断片は、パーハム(Parham)の
方法(ジャーナル・オヴ・イムノロジー、131巻28
95〜2902頁、1983年)に従って調製した。ペ
プシンを0.1Mクエン酸緩衝液(pH4.1)中の精
製モノクローナル抗体にw/w比1:50で添加した。
消化は37℃で一夜進行させた。ペプシンの除去はイオ
ン交換クロマトグラフィーによって達成した。還元性お
よび非還元性SDS−ポリアクリルアミドゲル(10%
アクリルアミド)により消化をモニターし、IL−1活
性化HUVECの結合活性をフローサイトメトリー(上
述の通りに実施)で求めたところ、未消化抗体を用いて
得られたものと同等であることが証明された。
【0207】還元的および非還元的SDS−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動を実施するための方法および試薬
は、ボニー・S・ダンバー、「二次元電気泳動および免
疫学的手法」、プレナムプレス、ニューヨーク、198
7年中に記載されている。
【0208】代表的な一実験の結果をFig 5に示す。結
果は、ウエル当りの結合細胞数±s.e.m.(n=13)で
表わされている。
【0209】結果は、抗ELAM−1抗体が抗体1E7
および2G7よりもより阻害的であることを示してい
る。6つの実験の結果を要約すると、試験に用いた最大
容量(10μg/ml)で1E7および2G7は0%およ
び3%の顆粒球結合阻害を示したが、一方、3B7抗体
は平均81%の、7A9抗体は平均95%の、すなわち
完全な阻害を、共に10μg/mlで示した。3B7およ
び7A9抗体は、ELAM−1の重複しないエピトープ
を規定するものであるが、それらの作用は相加的とは思
われない(データは示さない)。7A9および3B7と
もに、0.4μg/mlという低用量で、有意の顆粒球結
合阻害が見られた。顆粒球は1E7/2G7抗原も3B
7/7A9(ELAM−1)抗原も発現しないので(表
4)、当業者ならば、観察されたそれらの作用は内皮細
胞レベルでの抗体の作用によるものである、と結論でき
る。
【0210】(E)T細胞結合の阻害:モノクローナル
抗体1E7、2G7、7A9および3B7がIL−1活
性化内皮細胞へのT細胞の結合を阻害する能力を、顆粒
球結合阻害について述べ方法によって求めた。ただし、
顆粒球に代えてナイロン−羊毛非付着性T細胞を用い、
各ウエルに0.9×106 個のT細胞を加えた。
【0211】これら4種のモノクローナル抗体について
IL−1活性化内皮細胞への無刺激、ナイロン−羊毛非
付着性T細胞の付着におけるブロック能をテストして得
られた結果を、代表的な一実験についてFig 6に示す。
Fig 6の右に示した併用実験において、各抗体の最終濃
度は10μg/mlであった。表現型解析の結果は、54
%CD4+、32%CD8+、2%Mo2+(CD1
4)および4%B1+(CD20)であった。結果は、
ウエル当り結合細胞数±s.e.m.(n=3)として表わさ
れている。
【0212】Fig 6は、顆粒球の場合と同様に、1E7
抗体は試験した最大用量(10μg/ml)で結合阻害を
示さないことを示している。MOPC−21骨髄腫蛋白
質(IgG1)も、別の実験で、T細胞結合阻害を示さ
なかった(データは示さない)。しかし、他の3種の抗
体の各々について、用量依存性の部分的阻害が一貫して
みられた。6実験においての平均阻害率は、2G7抗体
で34%であり、3B7および7A9抗体については、
それぞれ21%および37%という値が得られた。これ
らの抗体が異なる構造上の異なるエピトープを規定して
おり、4種のうちの3種が阻害性であるので、混合実験
を行った。代表的な一実験をFig 6の右方に示す。ここ
で、2種の抗ELAM−1抗体、3B7および7A9
は、各々10μg/mlで、31%の阻害を示したが、こ
れは3B7(19%)または7A9(40%)を用いて
個々に得られた結果を加算した値ではない。しかし、抗
ELAM−1抗体のいずれかを2G7抗体と組合せると
(各10μg/mlで)、相加的な値が得られた。すなわ
ち、2G7プラス7A9の組合せは68%の阻害を生じ
(2G7での29%および7A9での40%という個々
の結果に対し)、2G7プラス3B7は66%の阻害を
示した(2G7での29%、3B7での19%に対
し)。これらの結果は、さらに2回の実験で確認した。
IL−1に関してFig 6で個々の抗体について見られる
阻害を比較するためのp値は、2G7、3B7及び7A
9抗体が個々に統計上有意な阻害を与えることを示して
いる(それぞれのp値0.0009、0.01および0.002 )。2
G7と3B7または7A9との組合せは、それぞれ単独
の抗体よりも有意に優れている。(いずれの組合せのp
値も0.001 未満)。3B7プラス7A9の組合せは、各
抗体単独に比して有意に優れてはいない。1E7/2G
7抗原も3B7/7A9抗原も70%がT細胞である末
梢血リンパ球上には存在しないので、Fig 15に示され
た作用は、内皮細胞上の抗原の役割に帰することができ
る。
【0213】実施例3 本発明のモノクローナル抗体と公表されている抗体との
特異性比較 (A)抗原サイズ:植継ぎ回数の少ない(p6未満)の
ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)の100mm組織培養
皿中のコンフルエントな培養を一夜、低メチオニン含有
培地中に置いた。翌日、IL−1を1ng/mlとなるよう
加え、35S−メチオニン(アマーシャム)を、250μ
Ci/107 細胞の割合で加えた。対照にはIL−1を
加えなかった。37℃で6時間培養後、単層を氷冷した
ダルベッコのリン酸緩衝食塩水(D−PBS)で3回洗
い、1%トライトンX−100細胞溶解用緩衝溶液25
0μlで溶解させた。
【0214】ナンクEL1SA用96ウエルマイクロタ
イタープレートを、0.05M炭酸緩衝液(pH9.
5)100μl中のアフイニティ精製ヤギ抗マウス抗体
25μgと共に、室温で1時間インキュベートした。ウ
エルをPBS−0.05%トウィーン20で10回洗
い、続いて、1%BSA100μlを室温で1時間加え
た。各ウエルに、BSAの存在下に、精製モノクローナ
ル抗体5μgを室温で次の1時間加えた。PBS−トウ
ィーンで10回洗ったのち、細胞溶解物1〜3×106
cpmを各ウエルに4℃で2時間、ゆるやかに揺り動か
しながら加えた。ウエルをPBS−トウィーンで洗い、
乾燥し、還元性試料緩衝液で抽出し、還元性または非還
元性のSDS−ポリアクリルアミドゲル(SDS−PA
GE)にかけた。ゲルは、3A2および7A9試料の場
合は8%アクリルアミド、1E7および2G7試料の場
合は10%アクリルアミドとした。
【0215】結果をFig 7およびFig 8に示すと共に、
第3表にまとめた。結果は次の通りであった(カッコ内
の値は3回の実験の結果の平均値である): (1) モノクローナル抗体1E7およびモノクローナル抗
体2G7処理溶解物は、還元条件下で125(114)
kDaに強いバンドを、97(95)kDaに弱いバン
ドを、非還元条件下で99(100)kDaに強いバン
ドを、87(93)kDaに弱いバンドを示した(還元
条件下での結果は図面には示されていない); (2) モノクローナル抗体3A2処理溶解物は、還元およ
び非還元条件下で177(170)kDaに1本のバン
ドを示した; (3) モノクローナル抗体7A9処理溶解物は、還元条件
下で100kDaに1本のバンドを、非還元条件下で9
0kDaに1本のバンドを示した。
【0216】後述の実施例4に示したように、モノクロ
ーナル抗体1E7および2G7が特異的に結合する抗原
は、モノクローナル抗体7A9および3B7が特異的に
結合する抗原と同じ抗原である。
【0217】(B)抗原分布:一般的な結合アッセイを
次のように実施した:20,000HUVECを、96ウエル
マイクロタイタープレートの各ウエルのゼラチン被覆表
面上に植えた。培養を一夜生育培地(実施例1参照)中
に置いて十分に付着させた。次の日、細胞を1ng/mlの
IL−1に4時間曝露し、洗い、個々に5μg/mlの各
モノクローナル抗体と共にインキュベートした。対照
は、IL−1に曝露しないHUVECまたはIL−1に
曝露したが抗体には曝露しなかったHUVECからなっ
ていた。4℃で1時間のインキュベーションののち、細
胞を洗い、1/1000希釈のビオチニル化ヤギ抗マウ
ス試薬と共にインキュベートした。4℃で30分間のの
ち、細胞を洗い、1/10希釈の 125I−ストレプトア
ビジンに曝露した。4℃で15分間ののち、細胞を洗
い、トライトンX−100洗剤(1%)で溶解し、アリ
コートをガンマーカウンターで計測した。
【0218】T細胞、B細胞、顆粒球などの非付着性細
胞のアッセイには、培地除去前にプレートを遠心分離機
にかけて細胞をペレット化した。細胞を適当な培地に再
懸濁して次のインキュベーションに用いた。
【0219】結果をFig 9に示す。Fig 9は、4種のモ
ノクローナル抗体1E7、3A2、7A9および2G7
の全てがIL−1活性化ヒト内皮細胞(HEC)に結合
するが、正常な休止HECには有意には結合しないこと
を示している。このことは、モノクローナル抗体1E
7、3A2、7A9および2G7が結合する抗原が、実
施例2で報告した結果と合致して、IL−1活性化HE
C上に存在することを意味する。
【0220】4種のモノクローナル抗体の各々に対応す
る抗原の存在を、上記の一般的な結合アッセイと同様に
して調べた。ただし、内皮細胞に加えて、他の細胞タイ
プも使用し、IL−1とのインキュベーションの時間は
(上と同様)4時間とした。他の細胞タイプは、ヒト線
維芽細胞(MRHF)、ケラチノサイト(KHEK)お
よび内皮細胞(HUVEC)であった。
【0221】結果を下記表2に示す。
【0222】
【表2】
【0223】第2表のデータは、4種のモノクローナル
抗体1E7、3A2、7A9および2G7の全てがIL
−1活性化HECに結合するが、正常な休止またはIL
−1活性化表皮ケラチノサイトあるいは休止またはIL
−1活性化ヒト線維芽細胞には有意には結合しないこと
を示している。このデータは、モノクローナル抗体1E
7、3A2、7A9および2G7が結合する抗原がIL
−1活性化HEC上にあることを示す。
【0224】上記の一般的な結合アッセイと同じプロト
コールを用いた。ただし、内皮細胞を用いる代りに、顆
粒球および単核細胞(T細胞、B細胞および単球)を用
いた。顆粒球および単核細胞は、既知の方法に従って、
ヒトヘパリン化血からフィコール−ハイパック分離によ
って単離した。
【0225】結果をFig 10に示す。Fig 10は、4種
のモノクローナル抗体1E7、3A2、7A9および2
G7が、正常な休止またはIL−1活性化ヒト顆粒球ま
たは単核細胞の混合物に有意には結合しないことを示し
ている。
【0226】このデータは、Fig 9および表2のデータ
と共に、モノクローナル抗体1E7、3A2、7A9お
よび2G7がIL−1活性化HECに対して特異的であ
ることを示す。
【0227】(C)インビトロでの抗原動態:それぞれ
のペトリ皿(直径35mm)に、プラスチックをゼラチン
被覆したのち、HUVECを植えた。生育培地(実施例
1に記載)を加え、細胞を1ng/mlのIL−1を加えた
生育培地中で、実験期間中培養した。細胞を最初に植え
る時期を前後させて、IL−1添加の時期を異ならせて
細胞によってIL−1に最後の12時間だけ、または全
96時間中あるいは途中のある期間曝露させるようにし
たあとでも、同じ日に全ての細胞を採取するようにし
た。HUVECをペトリ皿からPBS/EDTAを用い
て脱離させ、PBS−BSAで2回洗い、丸底マイクロ
タイタープレートの各ウエルに75,000細胞ずつ入れた。
これらのウエルに個々に4種のモノクローナル抗体1E
7、2G7、3A2および7A9の各々を5μg/ml加
え、4℃に30分間おいた。3回洗ったのち、細胞を1
/40希釈のFITC−ヤギ抗マウス試薬に4℃で30
分間曝露した。さらに3回洗ったのち、細胞の蛍光度を
コールター541EPICS型フローサイトメーターに
よりメーカー指定の確立されたルーチンの操作法に従っ
て測定した。結果はFig 11に示したが、陽性(細胞)
%対IL−1曝露時間で表わされている。
【0228】Fig 11のデータは、モノクローナル抗体
1E7および2G7によって規定される抗原がIL−1
の存在下に増加し、IL−1の存在下に発現され続ける
ことを示している。これとは対照的に、モノクローナル
抗体3A2によって規定される抗原は経時的に消失す
る。この図にはゼロ時は示されておらず、最初の時点は
4種の抗原が極大を示すに至る4時間時点である。
【0229】モノクローナル抗体1E7および2G7に
よって規定される抗原が示す挙動を、これら抗原が慢性
の炎症と関連している可能性を示唆するために、「慢性
動態」と名付けた。一過性の発現を、これら抗原が急性
の炎症と関連している可能性を示唆するために、「急性
動態」と名付けた。
【0230】実施例3のデータは、本発明のモノクロー
ナル抗体および本発明の新規抗原を特徴付ける追加の特
性をなすものである。それらデータを表3にまとめ、極
めて近い既知の公表されているモノクローナル抗体につ
いての類似のデータと比較した。
【0231】
【表3】
【0232】表3のデータは、本発明のモノクローナル
抗体が、最も近い公表されている既知のモノクローナル
抗体と予想外に相異していることを明らかにしている。
【0233】実施例4 抗原1E7/2G7、1A7/3B7およびCMP−1
70の詳細な解析 (A)休止およびIL−1刺激HUVECからの膜蛋白
質の2−Dゲル分析:IL−1への短期曝露後の内皮細
胞によって合成される新規膜蛋白質の数を推定するため
に、トライトンX−114で溶解した細胞からの洗剤ペ
レットを、以下の通り、2−Dゲル分析によって調べ
た。
【0234】植継ぎ回数の少ない(p6未満)HUVE
Cを100mm組織培養皿でコンフルエントになるまで培
養したものを、システイン不含D−MEM(ギブコ)プ
ラス20%透析ウシ胎児血清およびその他の内皮細胞生
育培地成分を含有する生育培地中に一夜置いた。翌日、
1ng/mlのIL−1および250μCi/107 細胞の
割合の35S−システイン(アマーシャム)を加えた。3
7℃で6時間培養後、単層を氷冷ダルベツコリン酸緩衝
食塩水(D−PBS)で3回洗い、10mMトリス(p
H7.4)、0.15M NaCl、2mM PMSF
を含有する細胞溶解用1%トライトンX−114の緩衝
液溶液250μlで溶解させた。ボルディエ(Bordier
)、ジャーナル・オヴ・バイオロジカル・ケミストリ
ー、256巻1604〜1607頁、1981年の記載
に準じて、水相蛋白質からの疎水性蛋白質の分離を行っ
た。5分後、細胞溶解物を皿から1.5mlエッペンドル
フ管へかき取って集め、12,000g、4℃で10分間遠心
し、上澄みを6%スクロース蛋白質の分離を行った。5
分後、細胞溶解物を皿から1.5mlエッペンドルフ管へ
かき取って集め、12,000g、4℃で10分間遠心し、上
澄みを6%スクロース、10mMトリス(pH7.
4)、0.15M NaCl、0.06%トライトンX
−114からなる溶液300μl上に積層した。この勾
配を37℃に正確に1分間おいて相分離を起こさせたの
ち、850g、室温で10分間遠心分離した。上澄みの
水相を取出し、4℃で新しい10%トライトンX−11
4と合せて、洗剤濃度を1%とした。この再抽出上澄み
を、もとのスクロース勾配/トライトンX−114洗剤
ペレット上に置き、1分間37℃とし、先と同様に再遠
心分離した。この操作は、最終的には、最初の洗剤相と
水相との分離および続いての洗剤再添加による水相の3
回の再抽出からなっていた。各試料について集めた洗剤
ペレット1部に対し9部の緩衝液(10mMトリス、p
H7.4、0.15MNaCl)を加えることにより、
希釈した。この材料を、スクロースクッション上に置
き、37℃で1分間インキュベートし、上記の通り再遠
心分離することにより、再抽出した。最後の水相および
スクロースクッションを捨て、洗剤ペレットを、2−D
ゲル分析まで−70℃で凍結しておいた。
【0235】この操作法は、膜蛋白質は、それらが疎水
性トランスメンブレン領域をもつので、水相よりもむし
ろ疎水性(洗剤)相に分配されるのを助けることを示し
ている(ボルディエ、ジャーナル・オヴ・バイオロジカ
ル・ケミストリー、256巻1604〜1607頁、1
981年)。これは、ミトコンドア、血漿および他の膜
蛋白質についても言える。膜蛋白質が水相抽出液か洗剤
相抽出液かに見出される選択性の予備測定を、N−ヒド
ロキシースクシンイミドビオチン100μg/mlを含有
する蛋白質不含PBS中で107 個の細胞を氷上(4
℃)で30分間インキュベートして表面をビオチニル化
した細胞の分画によって行った。1%BSAのPBS溶
液を加え、遠心分離によって細胞を洗い、再懸濁して未
反応薬品を除くことによって、反応を停止させた。トラ
イトンX−100により細胞を溶解させ、10%還元性
SDS−ポリアクリルアミドゲル上で処理した。つぎ
に、このゲルを、2相からの等量の蛋白質を用いてのニ
トロセルロース上へのウェスタンブロッティングに付し
た。これに続いて、ストレプトアビジン−β−ガラクト
シダーゼを用いて検出を行った。これは、定量的ではな
いが、ビオチンの大部分が洗剤層と会合することを示し
た(データは示さない)。
【0236】先に記載されているように(ガレルス、ジ
ャーナル・オヴ・バイオロジカル・ケミストリー、25
4巻7961〜7977頁、1979年;ガレルス、メ
ソッズ・イン・エンザイモロジー、100巻411〜4
23頁、1983年)、プロティン・データベース・イ
ンク(PDI)により2−Dゲル分析が行われた。要約
すると、細胞蛋白質(5〜20μg)中へ導入された35
S−システイン400,000 dpmを含有する20μl以下
の試料を、LKBアンフォライトを用いたpH3.5〜
10の一次元勾配ゲルにかけた。二次元目は、アクリル
アミド10%のSDS−PAGEゲル上で還元条件下に
実施した。フィルムを乾燥したゲルおよび一連のデンシ
トメリー標準試料に時間を変えて曝露した。既知の値を
もつ蛋白質との比較で、分子量および等電点を決定し
た。ゲルのコンピューター解析を、文献記載通りに行な
った(カレルス、ジャーナル・オヴ・バイオロジカル・
ケミストリー、264巻5269〜5282頁、198
9年)。
【0237】結果をFig 12Aおよび12Bに示す。35
S−システイン標識内皮細胞からの膜蛋白質がFig 11
Aに、IL−1活性化内皮細胞からのものがFig 11B
に示されている。各ゲル当り、400,000 cpmを用い
た。この図では、フィルムを乾燥ゲルに22日間曝露し
ている。見掛けの分子量および等電点を、データベース
中の既知蛋白質との比較に基づいて示してある。
【0238】Fig 12Aは、6時間経過後の休止および
コンフルエント細胞中の35S−システイン取込み蛋白質
のパターンを示す。右側に、IL−1および35S−シス
テインに6時間曝露された細胞により合成された蛋白質
が示されている。Fig 12A左上方の3本の矢印は、未
誘発細胞には見られないが、誘発細胞には存在するスポ
ット群を指している。これらのパターンは、このような
6回の分析で極めて再現性がよく、代謝標識として35
−メチオニンを用いて得られた結果と本質的に均等であ
る。この代表的な実験では、コンピューター解析で2枚
のフィルムに計652のスポットが確認され、うち30
0が毎分当り崩壊数(dpm)が30を超えていた。こ
れら30dpmを超えるIL−1誘発2−Dゲルのスポ
ットのうち、19が、未誘発2−Dゲル中のレベルの2
倍以上のdpm値を示した。それら19スポットの大部
分を含む3つのクラスターが、全6回の実験での認めら
れる限りの主要誘発蛋白質であった。
【0239】(B)1E7/2G7抗原の特性:IL−
1活性化または未活性化HUVECのトライトンX−1
14溶解産物(上記と同様にして調製)を分画して、洗
浄ペレットを得た。IL−1活性化膜ペレットの一部を
用いて、1E7および2G7抗原の免疫沈降を行った。
【0240】免疫沈降は次のように行った。ヌンクEL
ISA用96ウエルプレートを、0.1M炭酸緩衝液
(pH9.5)100μl中のアフィニティ精製ヤギ抗
マウス抗体25μgと共に室温で1時間インキュベート
した。ウエルをPBS−0.05%トウィーン20で1
0回洗ったのち、1%BSA200μlを室温で1時間
加えておいた。各ウエルに、BSAの存在下に、精製モ
ノクローナル抗体5μgを次の1時間加えておいた。P
BS−トウィーンで5回洗ったのち、1〜3×106
pmの溶解産物を各ウエルに加え、ゆっくり揺り動かし
ながら4℃に2時間おいた。ウエルをPBS−トウィー
ンで洗い、過剰の液体を除去した。免疫沈降材料を2%
SDS、2%2−メルカプトエタノールで抽出し、これ
ら沈降物の各々の一部を、トライトンX−114溶解産
物膜画分と混合して2−Dゲル分析に付した。
【0241】Fig 13は、1E7および2G7免疫沈降
物単独および未誘発(−IL−1)および誘発(+IL
−1)HUVECからの総膜蛋白質との混合物の2−D
ゲル分析結果を示す。8個の正方形の各々に、Fig 12
で分析されたゲル全体の左上方4分の1に対応する2−
Dゲル部分が示されている。Fig 13Aおよび13B
は、1E7(上部)または2G7(下部)抗体のみとの
免疫沈降物である。これらのゲルの他の部分には、それ
以上のスポットは見られなかった。Fig 13Cおよび1
3Dは、免疫沈降物を添加しないときの未誘発(−IL
−1、上方)または誘発(IL−1、下方)HUVEC
からの総膜蛋白質を示す。Fig 13Eおよび13Fは、
未誘発HUVECの膜蛋白質への1E7(上方)または
2G7(下方)免疫沈降物の添加の影響を示す。Fig 1
3Gおよび13Hは、IL−1誘発HUVECからの膜
蛋白質への1E7(上方)または2G7(下方)免疫沈
降物の添加の影響を示す。プラス(+)は各ゲルの酸性
末端を、マイナス(−)は塩基性末端を示す。
【0242】Fig 13からいくつかの結論を導くことが
できる。まず、1E7および2G7抗原により免疫沈降
したスポットのパターンは区別できない(Fig 13A、
それぞれ上方および下方)。第二に、1E7または2G
7免疫沈降物との混合実験は、それらが、総膜溶解産物
の他のスポットと比較して、サイズおよび電荷に関して
同じ位置を占めることを示している。これは、1E7ま
たは2G7免疫沈降物を未誘発(−IL−1)溶解産物
に加えたときに極めて容易に見ることができる(Fig 1
3Eおよび13F)。第三に、1E7および2G7抗原
が同じであり、これらの免疫沈降物をIL−1誘発溶解
産物に加えたときにそれらが重なり合う誘発膜溶解産物
中に存在する蛋白質を規定する。(Fig 13Gおよび1
3H)。これらのスポットは、常にシステイン(または
メチオニン)標識細胞からの2−Dゲルの最も顕著な一
組のセットであるFig 11の中央の矢印に対応する。こ
れらの混合実験およびFig 12に示した2−Dゲルから
の、10%SDS−ポリアクリルアミド還元性ゲル上で
処理した既知蛋白質の分子質量および等電点に基づいて
の結論は、1E7/2G7抗原の分子質量はほぼ110
kDaを中心とし、等電点の範囲は4.8〜4.9であ
るということになる。
【0243】(C)3B7/7A9抗原と1E7/2G
7抗原との比較:3B7および7A9抗原の免疫沈降物
の2−Dゲル中での予備分析により、それらが同一で且
つ混合実験で重なるプロフィールをもつことが示され
た。免疫沈降、2−Dゲル電気泳動および混合実験は、
すぐ上に述べた通りに行った。各沈降物はほぼ10個の
スポットからなり、それらの分子質量範囲は約110〜
120kDa、等電点範囲は約4.3〜5.0であっ
た。それゆえ、仮説として、3B7および7A9抗体は
各々同じポリペプチドを規定すると結論できた。1E7
/2G7蛋白質と3B7/7A9およびICAM−1蛋
白質との関係を試験し、Fig 11に示したIL−1誘発
可能膜蛋白質との関係でこれらの各々を位置付けるため
に、異なる免疫沈降物の混合物の2−Dゲル分析を、上
記と同様にして行った。IL−1活性化、35S−システ
イン標識HUVECからの免疫沈降物の各等約104
pmを分析した。免疫沈降に用いた抗体は、RRI(抗
ICAM−1)、2G7、7A9、RRI+2G7、R
RI+7A9および2G7+7A9であった。
【0244】結果をFig 14に示す;Fig 14A−RR
I(抗ICAM−1);Fig 14B−2G7;Fig 14
C−7A9;Fig 14D−RRI+2G7;Fig 14E
−RRI+7A9;Fig 14F−2G7+7A9。6つ
の2−Dゲルの各々の左上4分の1のみを示した。他の
領域には他のスポットはなかった。
【0245】ICAM−1、2G7および7A9につい
ての個々の免疫沈降物をそれぞれFig 14A、14Bお
よび14Cに示す。Fig 14Dは、2G7およびICA
M−1両蛋白質の相異性およびそれらの相互関係を示し
ている。Fig 14Eは、7A9とICAM−1との比較
を、Fig 14Fは、2G7と7A9との比較を示す。最
後の場合にのみ、僅かに酸性度がより高く、分子量もよ
り高いプロフィールを示す7A9とのスポットの部分的
重なりがある。結果は、Fig 12の3本の矢印の同定を
可能にするものである。最も左の矢印は、3B7/7A
9蛋白質の酸性末端を、中央の矢印は1E7/2G7蛋
白質の領域を、右側の矢印は、ICAM−1領域を同定
するものである。対応する誘発蛋白質は、Fig 12に明
らかである(+IL−1)。1E7/2G7および3B
7/7A9蛋白質の差およびそれらと先に同定されたE
LAM−1構造(ベヴィラクアら、プロシーディングズ
・オヴ・ザ・ナショナル・アカデミー・オヴ・サイエン
シズ、84巻9238〜9242頁、1987年;ベヴ
ィラクアら、サイエンス、243巻1160〜1165
頁、1989年)との関係を、次の実験でテストした。
【0246】ポリメラーゼ連鎖反応によりクローン化さ
れたELAM−1 cDNAのコード配列をpCDN−
1発現ベクター(Fig 15)へ挿入し、COS細胞のト
ランスフェクションに用いた。
【0247】ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるE
LAM−1cDNAクローニングは次のように行った。
ELAM−1コード領域を増幅するために次のPCRプ
ライマーを用いた: プライマー 1 5'-GGGGGGCTCG AGTGAAGTCA TGATTGCTTC A
CAGTTTCTCTC-3'プライマー 2 5'-GGGGGGACGC GTAACTTAAA GGATGTAAGA AGGCTT
TTGGTA-3' これら2本のプライマーは、ELAM−1mRNAのコ
ード領域をかこみ、開始コドンまたは終止コドンを含む
ように選んだ。PCR増幅産物の発現ベクタへのクロー
ニングを容易にするために、これらプライマーに、制限
酵素部位Xho−IおよびMlu−Iも組込んだ。PC
R増幅ELAM−1cDNAを、2種の異なるアプロー
チ法により調製した。第1法では、IL−1活性化HU
VECからのポリA RNAを用い、インヴィトロゲン
コピーキットを使用してcDNAを作成した。HUVE
Cの総RNAを酸性フェノール抽出[コムチンスキ(Ch
omczyn-ski)とサクリ(Saccri)、アナリティカル・バ
イオケミストリー、152巻156〜159頁、198
7年]により単離した。ポリA RNAをオリゴdTセ
ルロースクロマトグラフィー[アヴィヴ(Aviv)とレダ
ー(Leder)、プロシーディングズ・オヴ・ザ・ナショナ
ル・アカデミー・オヴ・サイエンシズ、69巻1408
〜1412頁、1972年]により単離した。つぎにそ
のcDNAを用い、上記2種のプライマーおよびシータ
ス社から入手した遺伝子増幅キットを使用して、PCR
によるELAM−1コード配列の増幅[サイキ(Saiki)
ら、サイエンス、239巻487〜491頁、1988
年]を行った。PCR増幅は、次の条件を用いて30サ
イクル行った:変性:94℃、1分間;アニーリング:
50℃、2分間;伸長:72℃、3分間。最後のサイク
ルの間には、伸長時間を7分間とした。第2法では、I
L−1活性化HUVECからのポリA RNA500n
gを、PCRプライマー1およびBRLから入手したM
uLV逆転写酵素により販売者規定の条件を用いて全反
応体積20μl中で逆転写させた。このcDNAをつぎ
に、第1法の条件に従って、ELAM−1コード配列を
増幅するのに用いた。両方法からのPCR増幅産物をア
ガロースゲル電気泳動によって分離した。両場合共、E
LAM−1コード配列の予想される1.85Kb産物が
得られた。
【0248】この1.85Kbバンドを電気溶出し、D
NAポリメラーゼIのクレノー断片(BRL)で処理
し、プラスミドpSP72Aに連結し、ウシ腸アルカリ
ホスファターゼ(ベーリンガーマンハイム)で処理し
た。
【0249】プラスミドpSP72Aは、プロメガバイ
オテクから入手したプラスミドpSP72の修飾体であ
る。詳しくは、pSP72(プロメガバイオテク;カタ
ログ番号P2191)を、その多重クローニング部位
(MCS)を次の部位を含有する新しい多重クローニン
グ部位で置換えることによって修飾した:NdeI、N
otI、XhoI、HindIII 、NruI、Cla
I、MluI、BamHI、XbaI、EcoRI、S
maI、SacII、SnaBI、SalI、EagIお
よびBglII。修飾されたMCSをコードするオリゴヌ
クレオチドの合成は、標準的プロトコールを用いて遺伝
子合成機中で行った。このオリゴヌクレオチドを、Nd
eI/BglII消化pSP72に挿入して、ベクターp
SP72Aを導いた。
【0250】ELAM−1コード配列挿入片を含むクロ
ーンを、ELAM−1 cDNAのコード領域内の合成
オリゴマークローンを用いてのコロニーハイブリダイゼ
ーションによって得た。6クローンを単離し、ELAM
−1 cDNAのコード領域に沿って一定間隔で配置さ
れる8種の異なる合成オリゴマープローブを用いて配列
決定した。全てのクローンが、ELAM−1 cDNA
の公表されている配列(ベヴィラクア、サイエンス、2
43巻1160〜1165頁、1989年)とは異なる
ランダム分布の異種配列を含んでいた。これは、PCR
増幅の間の誤りによると考えることができた。しかし、
PCR増幅ELAM−1コード配列のクローンの全て
に、公表されている配列の1518位および1916位
のヌクレオチドにおける2種の変種が存在していた。そ
れゆえ、正しい配列はこの新しい配列であると信じられ
る。クローンの一つSPELAM−4は、1518位お
よび1916位のヌクレオチドにおける相違を除いて、
公表されている配列と同じ配列を含んでいた。このクロ
ーンから、NotIおよびSmaIによる消化に続い
て、ELAM−1コード配列挿入片をとり出し、発現ベ
クターpCDN−1中へクローン化した。
【0251】得られたELAM−1発現プラスミドをFi
g 15に示す。Fig 15は、pSV2NEO[サザン
(Southern)とバーグ(Berg)、ジャーナル・オヴ・モ
レキュラー・アンド・アプライド・ジェネティックス、
1巻327〜341頁、1982年]から導いたSV4
0初期プロモーター(斜線域)、SV40“t”スプラ
イス配列およびポリA付加配列(点領域)を含有するプ
ラスミドpCDN−1[T.V.ゴパル(Gopal)、未発
表業績]を示している。プラスミドの残りはpBR32
2(−)配列を含んでいる。重要な制限部位は図に示し
てある。MCSは多重クローニング部位を示す。COS
細胞におけるELAM−1の一過性発現の研究には、p
EUK−C1、pEUK−C2、pMAM−neo(ク
ロンテックラボラトリーズ、カリフォルニア)などの他
の普通に入手できる哺乳動物用発現ベクターをpCDN
−1に代えて使用できる。
【0252】4種のモノクローナル抗体の反応性の試験
に、模擬的にまたはELAM−1でトランスフェクトし
たCOS細胞を用いた。ここには示さない予備実験で、
ELAM−1でトランスフェクトした細胞の約2〜5%
がHL−60腫瘍標的に結合するが、模擬的にトランス
フェクトした細胞は時々しかHL−60への結合を示さ
ないことが示された。模擬的にトランスフェクトされた
およびELAM−1でトランスフェクトされた細胞を、
実施例1記載のものと同様のプレート結合アッセイでス
クリーニングした。
【0253】要約すると、COS細胞(2×104 /ウ
エル)を、アッセイ24時間前、トランスフェクション
48時間後に、マイクロタイターウエルに植えた。細胞
を、培地のみ(対照)または4種の精製モノクローナル
抗体の各々1μg/mlと共にインキュベートし、続いて
ビオチニル化ヤギ抗マウス抗体および 125I−ストレプ
トアビジンと共にインキュベートした。
【0254】トランスフェクション(形質転換)は次の
ように行った。pCDN ELAM−1プラスミドDN
A20μgで約1×106 COS細胞を、ウィグラー
(Wigler)ら(セル、16巻777〜785頁、197
9年)のDNA−CaPO4 共沈法によりトランスフェ
クトした。DNA−CaPO4 沈澱を添加してから4時
間後、細胞を15%グリセロールにより、パーカー(Pa
rker)とスターク(Stark)(ジャーナル・オヴ・ヴィロ
ロジー、31巻360〜396頁、1979年)の方法
に従い、室温で2分間処理した。挿入断片を有さないベ
クタープラスミドDNAを対照として同量用いて、1×
106 細胞をトランスフェクトして、模擬的にトランス
フェクトされた細胞を得た。グリセロールショックから
約48時間後に細胞を集め、抗体結合研究に用いた。E
LAM−1でトランスフェクトした細胞はHL60細胞
を効果的に結合したが、模擬的にトランスフェクトされ
た細胞はそうではなかった(データは示さない)。
【0255】同じ結果を与えた3回の実験の一つからの
データをFig 16に示す。この図で、結果は、ウエル当
りの総cpmの平均(±s.e.m.、n=3)として表わさ
れている。この図は、1E7抗体も2G7抗体もELA
M−1遺伝子産物と反応しないが、3B7および7A9
は共に反応することを示している。この反応性パターン
は、代謝性標識後のこれらと同じ細胞の免疫沈降解析に
よって確認された。3B7および7A9抗原のみが、E
LAM−1でトランスフェクトされた細胞からの約10
0kDaの分子質量の蛋白質を沈降させたが、模擬的に
トランスフェクトされた細胞からのそれは沈降させなか
った(データは示さない)。それゆえ、簡単化のため、
2G7および7A9抗体のみを、これら2種の蛋白質の
以下の比較の大部分で用いた。
【0256】(D)ツニカマイシン処理後のICAM−
1、2G7および7G9蛋白質の比較:N結合糖鎖の程
度についてICAM−1、2G7および7A9蛋白質を
さらに比較した。コンフルエントHUVECを、IL−
1 1ng/mlの存在下に、ツニカマイシンB2 1μg
/mlの存在下または不存在下に6時間処理した。ツニカ
マイシンは、IL−1および35S−システインの添加時
に添加した。トライトンX−100溶解産物を、上記と
同様に、ただしウエルを60℃の湯浴中還元性試料緩衝
液で5分間抽出して、免疫沈降させた。免疫沈降物を1
0%SDS−ポリアクリルアミド還元性ゲルで分析し
た。トライトンX−100溶解産物は、上記のトライト
ンX−114溶解産物の場合と同様にして調製した。た
だし、相分離操作は省略した。
【0257】結果をFig 17に示す。Fig 17は、IC
AM−1糖蛋白質が、ツニカマイシン処理後に、天然お
よびコア蛋白質構造の混合物として存在し、コア蛋白質
構造は50kDaのところにあることを示している。1
14kDaおよび95kDaの強いおよび弱いバンドを
有する2G7免疫沈降物は、ツニカマイシン処理後に、
天然の114kDaおよび80kDaのコア蛋白質の混
合物として存在していた。114kDaバンドの発現の
減少は、ツニカマイシンがこの蛋白質の合成を若干低下
させた可能性を示唆している。2−Dゲルに見られる複
雑なパターンと一致する7A9(ELAM−1)抗原
は、110kDa領域の幅広いバンドであり、これはツ
ニカマイシン処理後にほとんど完全に分子質量約67k
Daの蛋白質へと減成される。
【0258】(E)2G7および7A9(ELAM−
1)抗原のシアル酸含量:2G7および7A9(ELA
M−1)抗原の免疫沈降物の2−Dゲル分析で示された
スポットのパターン(Fig 12およびFig 13)は、シ
アル酸含量の相異によるのかもしれないところの電荷不
均一性を示唆する。それゆえ、HUVECを35S−シス
テインの存在下にIL−1で6時間活性化し、PBS/
EDTA(対照)またはノイラミニダーゼ処理によって
脱着させた。このような細胞の生育力は常に95%以上
であった。これらの細胞のトライトンX−100抽出物
(上記と同様にして得た)を2G7または7A9抗体に
より上記の方法で免疫沈降させた。これらの免疫沈降物
の2−Dゲル分析(上記と同様に実施)を行った。
【0259】HUVECのノイラミニダーゼ処理は次の
ように行った。細胞を1回D−PBSで洗い、0.05Uの
ノイラミニダーゼのPBS溶液を約3×106 個の細胞
に37℃で20分間加えておいた。脱離して完全に生育
力のある細胞を遠心分離で集め、上述のように1%トラ
イトンX−114の添加によって溶解させた。
【0260】Fig 18は、4つの2−Dゲルの各々の一
部を示す。両抗原について、検出可能なスポットの数に
有意の減少があり、同時に、分子量が約5kDa減少
し、等電点として約0.5だけ電荷の増大した新しいス
ポット(単数または複数)が出現した。これは、両蛋白
質が種々の置換度でシアル酸を含有することの証拠であ
る。
【0261】(F)2G7および7A9(ELAM−
1)抗原のO−結合糖含量:両抗原の35S−システイン
免疫沈降物(マイクロタイターウエル中で上記の通り調
製)をまず消化用緩衝液のみまたはノイラミニダーゼ
(ベーリンガーマンハイム)1U/ml含有緩衝液により
37℃で1時間処理した。消化用緩衝液は、1mM酢酸
カルシウムを含有する0.155Mリン酸ナトリウム、
pH6.0からなっていた。消化用緩衝液はこのほか
に、ロネットら[ロネット(Ronnett)ら、ジャーナル・
オヴ・バイオロジカル・ケミストリー、259巻456
6〜4575頁、1984年]記載通りのプロテアーゼ
インヒビターのカクテル(ロイペプチン、ベンズアミジ
ン、アプロチニン、アンチパイン、ペプスタチンおよび
キモスタチンからなる)を含んでいた。ノイラミニダー
ゼ処理後、ウエルを未処理のままでおくかまたはノイラ
ミニダーゼ処理に用いたのと同じ緩衝液中の25mU/
mlのエンド−アルファー−N−アセチルガラクトサミニ
ダーゼ(O−グリカナーゼ)で処理した。O−グリカナ
ーゼ処理は37℃で一夜続けた。翌日、ウエルをPBS
−トウィーンで2回洗い、試料緩衝液で上記と同様に抽
出し、抽出物を10%SDS−ポリアクリルアミド還元
性ゲルで分析した。
【0262】結果をFig 19に示す。Fig 19に示した
ように、無傷の細胞の処理によって得られた結果(Fig
18)と一致して、ノイラミニダーゼ処理後に2G7お
よび7A9(ELAM−1)両抗原について約5kDa
の質量減少があった。O−結合糖除去処理は、2回の実
験で、2G7および7A9両抗原について、約1〜2k
Daの僅かな質量減少を惹起しただけであった。
【0263】(G)抗原合成の動態:2G7および7A
9糖蛋白質の類似点および差をさらに示すため、それら
糖蛋白質を、HUVEC培養にIL−1を添加したのち
の種々の時点で上記と同様にして免疫沈降させた。IL
−1添加時に35S−システインを加えた。トライトンX
−100溶解物をつくり、2G7または7A9抗体によ
って免疫沈降物を形成させた。免疫沈降物を10%SD
S−ポリアクリルアミド還元性ゲルを用いて分析した。
【0264】Fig 20に示した結果は、1時間目にのみ
弱いながらも7A9(ELAM−1)抗原を検出できる
ことを示している。それは、この時点でのその質量が、
ツニカマイシン処理後の67kDaではなく、約79k
Daであるので、恐らく既にある程度のグリコシル化を
受けているのであろう。2時間後には、2G7免疫沈降
物は、約95kDaおよび114kDaのところに強度
の等しい2本のバンドを示し、一方、この時点で、7A
9(ELAM−1)抗原は95kDa付近の幅広いバン
ドという「成熟」形になっている。6時間後、2G7抗
原は114kDaに強いバンドを示す。
【0265】(H)競合結合アッセイ:これら2種の蛋
白質上で異なるモノクローナル抗体によって規定される
4つのエピトープの空間的関係を調べるために、精製モ
ノクローナル抗体の各々をFITCと結合させ、それら
の同種および異種の組合せにおける競合能をフローサイ
トメトリーによって調べる競合結合アッセイを行った。
【0266】各モノクローナル抗体1E7、2G7、7
A9、3B7のFITC結合物を、IL−1活性化内皮
細胞に作用させて、飽和を僅かに下まわる用量を求め
た。この用量のFITC抗体を未結合モノクローナル抗
体4種の各々の50倍過剰と予備混合した。この混合物
を次に、1%BSAおよび0.02%ナトリウムアジド
含有PBS中でIL−1活性化HUVECの単細胞懸濁
液に4℃で30分間加えておいた。細胞を同じ緩衝液で
3回洗い、再懸濁してフローサイトメトリー分析に用い
た。
【0267】pH9.5の0.1M炭酸緩衝液中4mg/
mlでのモノクローナル抗体(mAbs)のFITCとの
結合は文献記載通りに[ハーディ(Hardy)、ハンドブッ
ク・オヴ・エクスペリメンタル・インムノロジー第4版
1巻、1986年(D.M.ウエア(Weir)編、ブラッ
クウエル・サイエンティフィック・パブリケィション
ズ、オックスフォード、英国、3101〜3112頁]
行った。
【0268】結果をFig 21に示す。図に示した4実験
の各々に用いた特定のFITC−抗体は次の通りであっ
た:Fig 21A:1E7;Fig 21B:2G7;Fig 2
1C:3B7;Fig 21D:7A9。縦軸は陽性細胞%
を示す。
【0269】結果は、50倍過剰で1E7、2G7およ
び3B7は同種FITC−モノクローナル抗体の結合に
対してのみ競合することを示している。7A9抗体は、
2G7抗体の結合を再現性よく妨害し、2G7:7A9
モル比1:50のとき極大62%である点で、異なって
いる。
【0270】(I)細胞表面での抗原発現の動態:HU
VECを1ng/mlのIL−1中種々の時間培養し、本質
的にハイブリドーマスクリーニングアッセイのために行
ったと同様の96ウエルプレート結合アッセイ法により
2G7および7A9抗原について分析した。全ての細胞
を同時に分析した。
【0271】結果をFig 22に示す。図での黒丸は抗体
2G7を黒三角形は抗体7A9を表わす。結果は平均c.
p.m.±s.e.m.(n=3)として表わしてある。
【0272】Fig 22に示した結果は、2時間までに7
A9(ELAM−1)蛋白質が極大に発現され、一方2
G7抗原は極大の半分しか発現されないことを示してい
る。4時間後には、2G7抗原が極大レベルに達してい
る。この結果は、生合成標識実験(Fig 20)での7A
9(ELAM−1)蛋白質の若干早い発現と一致してい
る。興味あることには、ひき続いてのIL−1の存在下
で、両蛋白質が7日間まで細胞表面で高レベルに発現さ
れている。IL−1を除去すると、それらは24時間以
内に基線レベルへもどる(データは示さない)。
【0273】(J)2G7および7A9抗原の細胞分
布:種々の初代培養細胞を、IL−1処理を行いまたは
行わずに、2G7または7A9糖蛋白質の発現について
試験した。これらの実験は、実質的にハイブリッドーマ
スクリーニングアッセイで行った通りに、96ウエルプ
レート中で行った。すなわち、所定の細胞タイプを96
ウエルプレートに置いた。アッセイの24時間前に次の
細胞を記載の濃度で播いた:線維芽細胞、ケラチノサイ
トおよびHUVEC、2×104 /ウエル;アッセイの
日に、末梢血モノクローナル細胞を5×104 /ウエ
ル、顆粒球を105 /ウエル、血小板を105 /ウエル
接種した。血小板は、抗原発現アッセイ前の1時間にわ
たり1Uのヒトアルファートロンビンにより刺激した。
【0274】結果を表4に示す。
【0275】
【表4】
【0276】表4の結果は、線維芽細胞、顆粒球、未分
画末梢血単核細胞、ケラチノサイトまたは血小板(トロ
ンビン刺激ありまたはなし)上ではこれらの抗原が検出
可能なレベルでは発現されないことを示している。血小
板は、高レベルの非特異的 125I−ストレプトアビジン
結合を示すようであった。
【0277】(K)1E7/2G7および7A9/3B
7抗原発現に対するTNF、LPSおよびIFNγの影
響:4時間の1ps刺激、6時間のTNF刺激および長
期IFNγ刺激が1E7/2G7抗原および7A9/3
B7抗原の発現に及ぼす影響を検討した。すなわち、H
UVECを次の通り種々の誘発剤に曝露した:ガンマ−
IFN、100μg/ml、2.5日間;1ps、1μg
/ml、6時間;TNF、1μg/ml、4時間;IL−
1、1ng/ml、4時間。これらの誘発剤を洗い除いたの
ち、所定の抗体を飽和用量で用いてプレート結合アッセ
イでの抗原発現を調べた。
【0278】結果を表5に示した。平均±s.e.m.(n=
3)として表現されている。
【0279】
【表5】
【0280】先にELAM−1について示したように、
lpsおよびTNF刺激は1E7/2G7蛋白質の発現
をもたらした。しかし、IFNγは、2.5日間のイン
キューベーション後に、HLA−DRを予期通り発現さ
せたが、1E7/2G7誘発には無効であった。
【0281】(L)3A2抗原の表面発現:1ng/mlの
IL−1で4時間前処理し、50μg/mlの3A2抗体
で染色した内皮細胞のフローサイトメトリー分析を行っ
た。相対蛍光強度から任意単位での細胞数を求めた。比
較のため、HLAおよびICAM−1抗原の発現も、W
6/32抗HLA抗原および抗ICAM−1抗体RR/
1を用いて調べた。フローサイトメトリーは上記と同様
に行った。染色は、FITC標識抗体を用いて常法によ
り行った。
【0282】結果をFig 23に示す。Fig 23は、間接
試薬のみ(Fig 23A)、W6/32抗HLA抗原(Fi
g 23B)、抗ICAM−1抗体RR/1(Fig 23
C)および3A2抗体(Fig 23D)で染色した休止
(……)またはIL−1刺激(−)内皮細胞を示してい
る。
【0283】3A2抗体によって規定される抗原は、休
止内皮細胞の表面には検出されないが、IL−1に曝露
後は、2時間以内に検出可能となる。結果は、HLAま
たはICAM−1蛋白質とは異なり、3A2抗体がチャ
ンネル50からチャンネル150にわたる、蛍光強度約
8倍範囲の、不均一分布の抗原を検出することを示して
いる。最も強く陽性の細胞は、蛍光強度で、ICAM−
1よりは低いが、HLA抗原と同等である。先に報告さ
れているように(ダスティンとスプリンガー、ジャーナ
ル・オヴ・バイオロジカル・ケミストリー、107巻3
21〜331頁、1988年)、ICAM−1は、4時
間のIL−1曝露ののち内皮細胞上で約8倍の増加を示
している。
【0284】(M)3A2抗原の組織発現:顆粒球、末
梢血単核細胞(PBL)、ケラチノサイトおよび線維芽
細胞について、1ng/mlのIL−1に4時間曝露する前
および曝露後の3A2抗原の膜発現を調べた。使用した
方法は、1E7/2G7および7A9/3B7抗原につ
いて上記した方法である。ただし、細胞をトロンビンの
代りにIL−1で刺激した。結果を表6に示す。
【0285】
【表6】
【0286】表6は、内皮細胞のみが3A2抗原発現誘
発性を示したことを示している。
【0287】(N)3A2抗原の特性決定:初期継代内
皮細胞を、1ng/mlのIL−1および250μCiの35
S−システインの存在下または不存在下に、4時間培養
し、35S−システイン標識細胞を1%トライトンX−1
00で溶解し、上記と同様にして、内皮T細胞付着構造
指向性の抗体3A2、7A9(抗ELAM−1)または
2G7で免疫沈降させた。免疫沈降物を、還元条件下の
8%SDS−ポリアクリルアミドゲル上で泳動させた。
結果をFig 24に示す。図中、(−)は無処理の、
(+)はIL−1処理細胞を示す。結果は、IL−1未
処理細胞はELAM−1抗原を示さないが、IL−1処
理細胞は、予期通り7A9抗体と反応する110〜12
0kDaの分子および上記の通り2G7抗体と反応する
114kDaの蛋白質を沈降させることを示している。
3A2抗体は、IL−1の存在下および不存在下に17
0kDaの蛋白質を沈降させる。さらに、3A2抗体
は、IL−1処理細胞のみから、2G7および7A9蛋
白質の領域に弱い1本のバンドを沈降させる。この結果
は、3A2抗原複合体が2種の蛋白質またはサブユニッ
トからなり、そのうちの一方が構成性、他方が誘導性で
ある可能性を示唆する。細胞表面でのIL−1による3
A2抗原の発現は誘導性であるが(Fig 23)、細胞質
内での抗原の発現は構成性であるかもしれない。
【0288】(O)細胞膜での3A2、2G7および7
A9(ELAM−1)抗原の発現はRNAおよび蛋白質
の合成を必要とする:96ウエル平底プレート中の単層
培養中の内皮細胞を、1μg/mlのシクロヘキシミドで
30分間または1μg/mlのアクチノマイシンDで15
分間、IL−1の添加に先立って前処理した。
【0289】IL−1活性化の間、薬品を培養内に残し
ておいた。4時間後、培養物を洗い、上記通りのプレー
ト結合アッセイにおいて、相当するモノクローナル抗体
と共にインキュベートした。単層培養中の生細胞につい
て、これら3種の蛋白質の表面発現を調べた。
【0290】結果をFig 25に示す;Fig 25A:IL
−1±シクロヘキシミド;Fig 25B:IL−1±アク
チノマイシンD(act D)。
【0291】Fig 25は、試験した全ての抗原がRNA
および蛋白質合成への発現の依存性を示したことを示し
ている。
【0292】(P)3A2抗原の光学顕微鏡評価:休止
およびIL−1刺激内皮細胞について、3A2抗原の細
胞質発現を調べた。HUVECを1ng/mlの存在下また
は不存在下に4時間培養した。培養したHUVECは、
PBS−EDTAへの短時間曝露によって脱着され、ガ
ラス製顕微鏡スライド上に吐き出した。細胞をアセトン
により室温で10分間固定し、風乾して、細胞を透過性
とし、3A2および7A9抗体で染色した。
【0293】染色のためには、抗体0.1μgを含有す
る抗体溶液100μlを固定した細胞上に室温で30分
間置いた。細胞をPBS−1%BSAで洗い、アルカリ
ホスファターゼ結合ヤギ抗マウス抗体5μg/mlと共に
30分間インキュベートした。PBS−1%BSAで洗
ったのち、スライドを色素原AECと共にインキュベー
トして発色させ、ヘマトキシリンで対比染色した。カバ
ースリップをのせたのち、スライドを観察した。
【0294】結果をFig 26に示す。Fig 26A:IL
−1なし、抗体7A9で染色;Fig26B:+IL−
1、抗体7A9で染色;Fig 26C:IL−1なし、抗
体3A2で染色;Fig 26D:+IL−1、抗体3A2
で染色。Fig 26B、26Cおよび26Dの大きい斑点
は染色の赤色によるもので、この赤色は対応する抗原の
存在を示す。Fig 26Aの小さい暗色のスポットは青く
染色された核であるが、赤い細胞質染色によってとり囲
まれてはいない。
【0295】Fig 26に示したように、無処理およびI
L−1処理細胞の両者に3A2による染色が見られた
が、7A9(抗ELAM−1)による染色はIL−1処
理HUVECにのみ見られた。IL−1処理細胞と無処
理細胞とを比較しての3A2抗原の強度および分布の上
での差に注目されたい。IL−1処理細胞での染色はよ
り小斑点で、場合によって膜と関連しているのを認める
ことができる。追加の実験で、フォン・ウィレブラント
因子に対する抗体を、IL−1無処理内皮細胞上での3
A2抗体との二重染色プロトコール(2種のマウス一次
抗体用のザイメド(Zymed)二重染色キットを使用し、メ
ーカーの指示書に従う)に使用した;これらの抗原はワ
イベル・パラド体に共局在することがない。従って、Fi
g 24の免疫沈降実験により示唆されているように、3
A2抗原は170kDaのポリペプチドとして細胞内に
前から存在しているにちがいない。この理由から、この
蛋白質は細胞質−膜蛋白質170(CMP−170)と
名付けられている。
【0296】(Q)CMP−170共沈降構造の本質:
本実施例の目的は、IL−1処理内皮細胞中のCMP−
170と会合する110〜120kDaの物質を同定す
ることである。トライトンX−100、CHAPSO、
オクチルグルコシド、トライトンX−114、CHAP
S、デオキシコール酸塩などの一連の洗剤を用いての予
備研究により、IL−1処理細胞からの3A2抗原の可
溶化は通例的であるが、時によってはより低分子量のバ
ンドの共沈降を伴うことが示された。この共沈降は洗剤
トライトンX−114の存在下で最適かつ再現性のある
ことが見出された。従って、未処理またはIL−1処理
内皮細胞を1%トライトンX−114洗剤で溶解し、3
A2抗体または対照としてのヤギ抗マウスIgM試剤の
みを用いて、上記の方法により免疫沈降させた。これら
の免疫沈降物の一部を、非還元性または還元性条件下に
8%SDS−ポリアクリルアミドゲル上で泳動させた。
3A2免疫沈降物を含有する追加のウエルをトライトン
X−100で再抽出して3A2抗原複合体を解離させ、
7A9または2G7抗体を入れたウエルへ移し、第二の
免疫沈降を行わせた。これらの試料を、還元条件下に8
%SDS−ポリアクリルアミド上で泳動させた。
【0297】結果をFig 27に示す。ここに、(−)は
無処理の、(+)は処理した内皮細胞を示す。Fig 27
A:非還元条件下で操作したゲル;Fig 27B:還元条
件下で操作したゲル:Fig 27C、第一および第二レー
ン:IL−1活性化細胞からの7A9および2G7抗体
との免疫沈降物(対照として);Fig 27C、第三およ
び第四レーン:7A9または2G7抗体による第二の免
疫沈降。
【0298】Fig 27Aおよび27Bに示した結果は、
まず、3A2抗原の分子量が、非還元および還元条件下
で170kDaであることを示している。還元条件下で
3A2抗原がシャープになることは、この抗原の多量化
が若干起りうることを示唆する。溶解および試料用の緩
衝液中でのヨードアセトアミドの存在から、この効果が
人為的であるとは考えられない。第二に、Fig 27Aお
よび27Bの結果は、共沈降構造が、分子質量110〜
120kDaで、CMP−170と共有結合によって会
合しているのではないことを示す。何故なら、非還元条
件下でも還元条件下でもそれが現われるからである。
【0299】7A9(ELAM−1)および2G7抗原
のサイトカイン誘発性および分子量の類似性(110〜
120kDaの範囲内)から、それらを共沈降構造の候
補と考えた。該追加のバンドの本質を、それらの会合を
助長しないトライトンX−100で共沈降材料を抽出
し、2G7または7A9抗体で免疫沈降させることによ
り調べた。Fig 27Cに示した結果は、7A9(ELA
M−1)蛋白質が共沈降し、2G7蛋白質は共沈降しな
いことを示している。7A9および2G7抗原の免疫沈
降物をパネルCの最初の2レーンに比較のために示し
た。
【0300】CMP−170:ELAM−1会合を確認
するために、もう一つのアプローチも行った。これは、
予備実験で、未処理COS細胞の細胞質中にもCMP−
170が存在することが示されたために、可能となった
ものである。これにより、代謝的に標識され、トライト
ンX−114で溶解されたELAM−1トランスフェク
トCOS細胞がCMP−170とELAM−1との間の
会合(association)を示すかどうかについてテストでき
た。
【0301】すなわち、COS細胞(内因性CMP−1
70を有するサル腎細胞株)を模擬(mock)トランスフ
ェクションに付すかまたはCDNプラスミド中のELA
M−1 cDNAにより常法でトランスフェクトした。
トランスフェクションから48時間後に、3×106
胞を、250μCiの35S−システインで6時間代謝的
に標識し、上述の方法でトライトンX−114により溶
解し、抗体7A9または3A2により上述の方法で免疫
沈降させた。免疫沈降物を10%SDS−ポリアクリル
アミド還元ゲル上で泳動させた。
【0302】結果をFig 28に示す。図中、(−)は模
擬トランスフェクションを、(+)はELAM−1 c
DNAによるトランスフェクションを示す。
【0303】Fig 28に示した結果は、予期した通り、
ELAM−1蛋白質が、先行実験の通り(ベヴィラクア
ら、サイエンス、243巻1160〜1165頁、19
89年)、ELAM−1でトランスフェクトされたCO
S細胞からは沈降するが、模擬トランスフェクションの
細胞からは沈降しないことを示している。レーン5で
は、3A2抗体が、レーン3(対照レーン)では見られ
ない170kDa構造を免疫沈降させた。興味あること
に、対照レーンでは見られない約100kDaの顕著な
追加のバンドがある。右端のレーン(レーン6)では、
3A2抗体が、170kDa構造に加えて、ELAM−
1抗原を明瞭に共沈降させた。レーン5の100kDa
のところに見られる内因性3A2関連COS蛋白質が、
トランスフェクトされた細胞中のELAM−1によって
置換されているかどうかは、それらの分子量が近似して
いるため決定できなかった。レーン1から知りうる通
り、7頁、1989年)、ELAM−1でトランスフェ
クトされたCOS細胞からは沈降するが、模擬トランス
フェクションの細胞からは沈降しないことを示してい
る。レーン5では、3A2抗体が、レーン3(対照レー
ン)では見られない170kDa構造を免疫沈降させ
た。興味あることに、対照レーンでは見られない約10
0kDaの顕著な追加のバンドがある。右端のレーン
(レーン6)では、3A2抗体が、170kDa構造に
加えて、ELAM−1抗原を明瞭に共沈降させた。レー
ン5の100kDaのところに見られる内因性3A2関
連COS蛋白質が、トランスフェクトされた細胞中のE
LAM−1によって置換されているかどうかは、それら
の分子量が近似しているため決定できなかった。レーン
1から知りうる通り、7A9抗体は模擬的にトランスフ
ェクトされたCOS細胞からの蛋白質を沈降させなかっ
た。また、COS細胞(Fig 28のレーン2)および内
皮細胞(Fig 27Cのレーン1)からの7A9を用いて
の免疫沈降データも、170kDaで共沈降するバンド
を示さなかった。それゆえ、ELAM−1とCMP−1
70との共沈降は一方向性である。
【0304】(R) 3A2:ELAM−1会合の動態:3
×106 の内皮細胞を250μCiの35S−システイン
と共に45分間または120分間パルスに付し、直ちに
上記の方法でトライトンX−114により溶解するか、
その前に1または2時間チェイスした。溶解物を3A2
または7A9抗体により上記の方法で免疫沈降させ、免
疫沈降物を10%SDS−ポリアクリルアミド還元性ゲ
ル上で泳動させた。さらに、IL−1に4時間曝露した
内皮細胞をPBS−EDTAで脱着させ、下記のラクト
ペルオキシダーゼ法によって 125Iで標識した。細胞を
トライトンX−114洗剤によって溶解し、3A2また
は7A9抗体を用いて免疫沈降物を作成した。それら免
疫沈降物を10%SDS−ポリアクリルアミド還元性ゲ
ル上で泳動させた。
【0305】細胞表面沃素化には、500万の内皮細胞
をPBS−EDTA処理によって脱着し、2回洗い、4
℃で200μlのPBSに再懸濁させた。この管に、
0.5mCiの 125I、50μlのラクトペルオキシダ
ーゼ(0.2mg/ml)を加え、続いて、ハーディにより
記載された方法(R.R. Hardy、ハンドブック・オ
ヴ・エクスペリメンタル・イムノノジー、第1巻20.
8頁、D.M.ウェア編、ブラックウェル・サイエンテ
ィフィック・パブリケイションズ、オックスフォード、
英国)により、30%H2 2 20μlを1分間隔で、
1/27,000、1/9,000、1/ 3,000
および1/1,000の希釈率で、加えた。細胞を3回
洗い、0.15M NaCl、10mMトリス(pH
7.4)、2mMPMSFおよび1mMヨードアセトア
ミドを含有する1%トライトンX−114洗剤で溶解さ
せた。
【0306】結果をFig 29に示す。Fig 29Aは、4
5分間後に溶解させた35S−システインパルス標識細胞
(pulse 、最初の2レーン)またはさらに1または2時
間チェイス(chase)したもの(それぞれレーン3および
4またはレーン5および6)についての結果を示す。Fi
g 29Bは細胞表面沃素化の結果を示す。
【0307】Fig 29Aに示した結果は、IL−1添加
45分後に、免疫沈降可能な発生期の7A9(ELAM
−1)蛋白質があることを示している。同様に、同じ7
9kDa分子質量の蛋白質がCMP−170により共沈
降する。細胞を2時間パルスし、もう1または2時間チ
ェイスするとき、3A2抗体は、7A9(ELAM−
1)抗体により沈降する同じ分子質量の物質をひき続き
共沈降させる。それゆえ、CMP−170/ELAM−
1会合を、ELAM−1合成の最も早い時点からそれが
成熟サイズに達するまで、検出できる。Fig 29Bに示
した結果は、3A2抗体も細胞表面からの7A9(EL
AM−1)蛋白質を共沈降させるが、見られるように、
3A2抗原はそれ自身はあまりよく標識されないようで
ある。
【0308】(S) CMP−170および7A9(ELA
M−1)抗原の細胞表面での発現の動態:平底マイクロ
タイタープレート中でコンフルエントになるまで生育さ
せた内皮細胞を0〜48時間1ng/ml/IL−1に曝露
し、つぎにハイブリドーマによる生産について上記した
のと類似のプレート結合アッセイで、7A9および3A
2抗原の発現を調べた。
【0309】結果をFig 30に示す。Fig 30におい
て、白抜きの円は7A9抗原を、白抜きの三角形は3A
2抗原を表わす。Fig 30の結果からわかるように、両
蛋白質の発現が同時に起り、2〜4時間あたりにピーク
となる。しかし、7A9(ELAM−1)抗原は、IL
−1が存在する限り高いレベルに維持され、一方、3A
2抗原は48時間で基礎レベルまで低下する。追加の実
験(詳述しない)により、ELAM−1と同様に、CM
P−170が、TNFおよびリポ多糖への内皮細胞の曝
露によって誘発されるが、ガンマーインターフェロンへ
の曝露によっては誘発されないことが示されている。
【0310】(T) モノクローナル抗体7A9および3B
7が結合するELAM−1のエピトープの決定および可
溶形態のELAM−1の調製:Fig 31は、モノクロー
ナル抗体7A9および3B7が結合するエピトープを決
定すべく調製したELAM−1の種々の截頭形態(trun
cated versions)を示す。それらのELAM−1截頭形
は、ELAM−1 cDNAの欠失形の3′末端の終止
コドン、たとえばTAAまたはTAGを含むPCRプラ
イマーを用いて、この実施例の(C) で記載したようなP
CRプライマーによって構築した。かかるプライマーの
構築は常法に属する。COOH末端を、ELAM−1分
子の截頭形がレクチンドメイン(L−ELAM−1)、
レクチン+EGFドメイン(LE−ELAM−1)、レ
クチン+EGF+補体調節ドメイン(complement regul
atary domain)の一部(LEC−ELAM−1)および
レクチン+EGF+補体調節ドメインの全部マイナスE
LAM−1分子のトランスメンブレンおよび細胞質テイ
ル(ELAM−1Tm- )をそれぞれ含むように選択し
た。L−ELAM−1、LE−ELAM−1、LEC−
ELAM−1および成熟形ELAM−1を、外来遺伝子
(ELAM−1の截頭形)を駆動するRSVプロモータ
ーおよび別の優性選択マーカーSV2DHFRを含む発
現ベクター中へクローン化した。このようなベクター
は、ATCCから入手可能なプラスミド(pRSVne
o(ATCCNo. 37198)およびpSV2DHFR
(ATCCNo. 67110))を用いて常法により構築
できる。トランスメンブレン欠失形ELAM−1、すな
わちELAM−1Tm- はpCDN−1ベクター中へク
ローン化した。それらプラスミドを、本実施例の(C) に
記載したDNA−CaPO4 共沈法によってCOS細胞
へ導入した。DNAトランスフェクションから48時間
後に、トランスフェクトされた細胞の一部を用いて、E
LAM−1特異抗体7A9および3B7ならびに抗体3
A2との免疫沈降(本実施例の(C) に記載と同様)を行
った。トランスフェクトされた細胞の上澄みならびに細
胞溶解物を用いて、35S−システインによる細胞の代謝
性標識ののち、免疫沈降を行った。
【0311】これらの細胞の上澄みを用いた免疫沈降実
験の結果をFig 32に示す。結果は、レクチンおよびE
GF様ドメインにより規定される分子のN末端30.7
%という小さい断片(LE−ELAM−1)が7A9お
よび3B7抗体の両方と反応することを示している。
【0312】(U) 白血球の活性内皮細胞への結合のブロ
ッキングを検出するアッセイ:実施例1記載のようにし
て、廃棄臍帯から内皮細胞を得て、培養する。細胞は速
かに増殖し、それらの分化された性質が低減するまでに
6回まで他のフラスコへ分割(継代)する。2回目の植
継ぎにより、ブロッキングアッセイを行うのに十分な細
胞を入手できる。組換えヒトIL−1ベータを1ng/ml
濃度で細胞に加え、細胞を通常通り6%CO2 、94%
空気含有加湿培養室中に維持しながら4〜6時間培養す
る。対照は、IL−1の不存在下に内皮細胞を培養する
ものとする。培養期間後、細胞を培地で洗い、使用され
なかったIL−1を除く。
【0313】単核細胞、たとえば単球、顆粒球、または
T細胞、B細胞およびNK細胞を包含する単核細胞の混
合物をヒトから得て、当該技術分野で既知の方法により
単離、精製する。
【0314】単核細胞を、抗原1E7/2G7またはE
LAM−1の抗原性断片類の存在下に、37℃で30分
間プレインキュベートする。抗原は、単核細胞上のリガ
ンド結合部位を飽和させるのに十分な量だけ用いる。
【0315】単核細胞をつぎに、引続いて抗原の存在下
に、内皮細胞に30〜60分間加えておいて、付着させ
る。非付着性細胞を生育培地で洗い去り、未処理または
IL−1処理内皮細胞(EC)に結合した細胞の数の差
を調べる。
【0316】このアッセイは、放射性トレーサー、たと
えば51Crを既知の方法によって、結合研究対象細胞の
細胞質中へ導入し、細胞外カウントを洗い去り、これら
の標識した細胞をECの単層上にのせることによって、
定量的に行う。この目的で用いた51Cr標識は、30〜
60分間の結合アッセイの間は極小の漏出しか示さな
い。洗って非付着性細胞を除去したのち、単層を洗剤で
可溶化する。各ウェルからカウントされた放射能を結合
細胞数の尺度とする。
【0317】実施例5 1E7/2G7抗原のcDNA配列 最近、VCAM−1と呼ばれる付着分子が記述されてい
る〔オズボーン(Osborn)ら、セル、59巻1203〜
1211頁、1989年〕。cDNA発現クローニング
によって1E7/2G7抗原をクローン化する試みに先
立って、1E7/2G7抗原がVCAM−1と関係があ
るかないかを知る目的で、VCAM−1cDNAをクロ
ーン化した。VCAM−1cDNAは、IL−1活性化
HUVECからのポリA+ RNAを用いて、実施例4
(C) 記載のように、PCRプライマーによってクローン
化した。次のPCRプライマーを、約2.0kbの大き
さに対応するVCAM−1cDNAの公表されているコ
ード配列を増幅するだけの目的で選んだ:約2.0kb
のコード配列を得る代りに、PCR増幅の主産物とし
て、2.3kbバンドを、得た。この2.3kbバンド
を、実施例4(C) 記載の方法で、発現ベクターpCDN
−1中へクローン化し、いくつかのクローンを単離し
た。5クローンについて、実施例4(B-2) 記載の方法
で、COS細胞を用いる一過性発現アッセイにより1E
7/2G7抗体の結合を試験した。5クローン全てが、
モノクローナル抗体1E7および2G7に対して強い結
合を示した。
【0318】これらクローンの常法を用いて行った制限
分析により、PCR増幅クローンが発表されているVC
AM−1配列と同じ配列を含んでいるとすれば予想され
るバンドとは異なるパターンが示された。これらの研究
は、発表されている遺伝子のほぼ中央に約282bpの
挿入配列のあることも示唆した。1クローンをサンガー
法(Sanger ら、プロシーディングズ・オヴ・ザ・ナシ
ョナル・アカデミー・オヴ・サイエンシズ、USA、7
4巻5463〜5467頁、1977年)に従って配列
決定したところ、VCAM−1分子の308番アミノ酸
位置に94アミノ酸からなる挿入配列が示された(Fig
33)。かくして、1E7/2G7抗原は、発表されて
いるVCAM−1分子とは異なる。1E7/2G7抗原
をコードするcDNA配列および相当する分子のアミノ
酸配列をFig 34A〜34Gに示す。
【0319】実施例6 細胞、モノクローナル抗体及びT細胞サブ−ポピュレー
ション HUVECは、継代2以下の新鮮なものを用いた。マウ
スL−細胞が、5%FCS及び抗菌剤を含有するIME
M培地(バイオフルイズ(Biofluids),ロッ
クビル(Rockville),エムディー(MD))
中で標準の手順により培養された。休止ヒト抹消CD4
+ T細胞が、ホーガン・アンド・シャウ(Horgan
& Shaw)(クル.プロトコールズ イム.(C
urr.Proto cols Imm.)、コリガン
(Coligan)ら編、文献投稿中)のようにマグネ
ティック・ビーズ(magnetic beads)を
用いる厳格なネガティブ・イムノセレクション(neg
ative immunoselection)により
通常のドナーから単離された。ネガティブ・セレクショ
ンは、B細胞、活性化T細胞及び単球上のHLAクラス
II、B細胞上のCD20、エヌケイ(NK)細胞上の
CD16、単球上のCD11b、単球上のCD14、赤
血球及びCD8上のグリコフォリン(glycopho
rin)に対するmAbsのカクテル(cocktai
l)を用いて行われた。好ましい抗体は、腹水液の希釈
液として使用され且つ公に入手できる、以下のmAbs
を含む:CD20 mAb 1F5,CD16 mAb
3G8,CD14 mAb MMa、グリコフォリン
mAb 10F7及びCD8 mAb 39.8。以
下のmAb類は、精製されたIgGとして用いられる:
HLA クラスII mAb IVA12及びCD11
b mAb NIH11b−1(表7参照)。
【0320】実施例7 VCAM−1 L−細胞トランスフェクタントに対する
CD4+ T細胞の活性化−依存性結合 T細胞の、内皮細胞のVCAM−1に対するVLA−4
で媒介された結合は、T細胞の急性活性化により増加す
ることを確認するため、休止及びPMA活性化CD4+
T細胞のVCAM−1 cDNAクローンを用いてトラ
ンスフェクトされたマウスL−細胞に対する付着性が調
べられた。Fig36は、休止及びPMA活性化CD4
+ T細胞が、トランスフェクトされていないL−細胞コ
ントロールに対し最小に結合することを示す。休止T細
胞はまたVCAMトランスフェクタントに対し最小に結
合する一方、PMA活性化T細胞の付着は、明確に観察
された。該結合は特異的であり、それはVCAM−1、
VLA−4 α鎖及び共通のVLA β鎖に対し特異的
なmAbsによりブロックされるが、LAF−1、VA
L−5、ELAM−1及びICAM−1に対し特異的な
他の無関係のmAbsによってはブロックされないから
である(表8参照)。
【0321】VCAM−1トランスフェクタントに対す
るメモリーT細胞の付着は、PMA活性化により劇的に
増加する一方、ナイーブCD4+ T細胞のPMA活性化
は、結合に最小の変化を起こすのみである。これらの結
果は、さらにメモリー細胞は、ナイーブCD4+ T細胞
よりももっと大きな程度でPMAによる急性活性化後の
VLA−4/VCAM−1付着経路を利用することを示
唆する証拠を提供する(Fig37)。
【0322】インビボにおいてCD4+ 細胞の活性化を
媒介する抗原(PMAに対するものとして)は、抗原を
表示する細胞(例えば内皮細胞)と物質的な関係が要求
されるので、我々は、ELAM−1は内皮細胞に対する
メモリーCD4+ 細胞の最初の付着を媒介すると推測し
ている。そのような付着の阻害は、ELAM−1に対す
る7A9抗体のような薬物を障害する複合免疫過程のも
っとも感受性の高い相である。
【0323】ELAM−1に対するメモリーT細胞の結
合の増加の程度は、精製したELAM−1を用いた研究
で明確に示される(Fig.38及び39A〜D)。メ
モリーT細胞のELAM−1に対する結合とフィブロネ
クチンおよびICAM−1のようなインテグリン・リガ
ンドに対する結合との間に2種の重要な区別がある(F
ig.39A〜D)。第1に、ナイーブ及びメモリーT
細胞は、フィブロネクチンおよびICAM−1に付着す
ることができる一方、ELAM−1に対するT細胞の結
合は、完全にメモリー細胞特異的である。第2に、多く
の付着経路の強さは、T細胞の急性活性化により劇的に
制御されており、例えばフィブロネクチンのようなリガ
ンドに対するナイーブ及びメモリーT細胞のインテグリ
ン媒介付着は、TPA活性化により急速かつ劇的に増加
する。これに対し、メモリーT細胞は活性化なしに精製
されたELAM−1に対し十分に付着し、結合は、TP
A活性化によっては増加しない。この様に、ELAM−
1は、メモリーCD4+ 細胞の活性化非依存性の付着を
介在する。
【0324】精製されたELAM−1を使用すること
で:(1)T細胞は特異的にELAM−1に結合するこ
と;及び(2)ELAM−1に対するT細胞の付着は、
VLA−4およびLAF−1のようなインテグリンで媒
介されるものから区別されることが示された。ELAM
−1に対するナイーブT細胞ではなくメモリーT細胞に
特異的結合は、印象的なことであり、フィブロネクチン
およびICAM−1のようなインテグリン・リガンドに
対するメモリーT細胞のより大きな結合性がある一方、
ナイーブT細胞は急性活性化の後でさらに結合すること
ができる。ELAM−1に対するT細胞付着の活性化非
依存性はこの付着経路を他のものから区別するものであ
り、活性化は付着の増加または排除に重要な調節の役割
を果たす。
【0325】
【表7】
【0326】表7中の参考文献1〜9は以下のものであ
る。
【0327】1 ジェイイーエヌ(JEN) 170:
1133(1989) 2 ジェイ.イム.(J.Imm.)138:1510
(1987);イーエムビーオー・ジェイ.(EMBO
J.)8:1361(1989) 3 ユーロ.ジェイ.イム.(Eur.J.Imm.)
13:202(1983) 4 ピーエヌエイエス(PNAS)85:3095(1
988) 5 ヒューム.イム.(Hum.Imm.)15:30
(1989) 6 ユーロ.ジェイ.イム.(Eur.J.Imm.)
20:1111(1990) 7 イム.(Imm.)58:63(1986) 8 ネイチャー(Nature)(シミズ(Shimi
zu)ら、文献投稿中) 9 ネイチャー(Nature)331,86(198
8) 以下の表8に、VCAM−1+ L−細胞トランスフェク
タントLVE3に対するCD4+ T細胞付着の特異性に
ついての結果を示す。
【0328】
【表8】
【0329】PMA活性化CD4+ T細胞のVCAM−
+ L−細胞トランスフェクタントLVE3に対する結
合は、既述のようにして行った。付着は、15μg/m
lの飽和濃度で示されたmAbsの持続的な存在下に測
定された。トランスフェクトされていないL−細胞コン
トロールに対するPMA活性化CD4+ T細胞の付着の
結合のバックグラウンドは、特異的な結合から差し引か
れた;示されたmAbの存在下での示された結合阻害率
は、mAbの不存在下での結合に関連して計算された
(トップライン)。 以上、本発明を詳細に、また特定
の実施例を挙げて説明したが、当業者ならば、本発明の
精神および範囲を逸脱することなく、種々の変更、装飾
をなしうることは明らかであろう。
【0330】寄託の記述 ハイブリドーマ1E7、2G7、3A2および7A9
は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブ
ダペスト条約の条項に従い、1989年5月9日に、メ
リーランド州20582、ロックヴィル市パークローン
ドライヴ92301のアメリカン・タイプ・カルチャー
・コレクションに寄託され、ATCC寄託番号はそれぞ
れHB10136、HB10137、HB10138お
よびHB10135である。ハイブリドーマ3B7は、
1990年3月21日にアメリカン・タイプ・カルチャ
ー・コレクションに寄託され、ATCC寄託番号はHB
10391である。本出願に対して米国特許が付与され
たときは、入手に対する全ての制限が取消し不能的に除
かれるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】Fig 1は、本発明の新規モノクローナル抗体
(MAb)が白血球のIL−1活性化内皮細胞への結合
をブロックする機構および本発明の新規抗原(ペプチ
ド)が炎症をブロックするように働く機構を模式的に示
したものである。
【図2】Fig 2は、未誘導(…)およびIL−1誘導
(−)ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)のフローサイ
トメトリー分析を示す。横軸上の各25チャンネルは蛍
光強度a.u.=任意単位がほぼ2倍になることを意味す
る。任意単位での細胞数を縦軸に示す。Fig 2Aで、
は、間接蛍光ヤギ抗マウス試薬のみで染色した内皮細胞
上の蛍光強度を示す。は、以降の図と比較するための
標準であるW6/32抗HLA試薬の強度を示す。Fig
2Bで、実線は1E7抗体による染色を示す。Fig 2C
は、抗体2G7による染色を示す。Fig 2B及び2Cの
点線は未誘導HUVECの示されたモノクロナール抗体
をに寄る染色を意味する。
【図3】Fig 2D、2Eおよび2Fは、それぞれ抗体2
G7、7A9、3B7およびRR1(抗ICAM−1)
による染色を示す。Fig 2D〜2Fの点線は未誘導HU
VECの示されたモノクローナル抗体による染色を意味
する。
【図4】図4中、Fig 3は、モノクローナル抗体1E
7、2G7および3B7の1E7/2G7 cDNAト
ランスフェクトCOS細胞との反応性を示すヒストグラ
ムである。結果は、ビオチニル化ヤギ抗マウス抗体に続
いての 125I−ストレプトアビジンのCPM×10-3
表わされている。また、Fig 4は、モノクローナル抗体
2G7のF(ab') 2 断片の種々の用量で又は本発明のモ
ノクローナル抗体1E7の10μg/mlで前処理された
IL−1活性化内皮細胞(HUVEC)へのヒト単核細
胞の結合の阻害を示すグラフである。
【図5】Fig 5は、HUVECへの顆粒球の付着に対す
るモノクローナル抗体の影響を示すヒストグラムであ
る。結果は、ウェル当り結合細胞数±s.e.m.(n=3)
で表わされている。
【図6】Fig 6は、HUVECへのT細胞の付着に対す
るモノクローナル抗体の影響を示すヒストグラムであ
る。結果は、ウェル当り結合細胞数±s.e.m.(n=3)
で表わされている。
【図7】Fig 7は、本発明のモノクローナル抗体1E7
および2G7によって規定される抗原の非還元条件下で
のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−
PAGE)パターン(10%アクリルアミド)である。
分子量標準も示す。
【図8】Fig 8は、本発明のモノクローナル抗体3A2
および7A9によって規定される抗原の還元条件下(Fi
g 8B)および非還元条件下(Fig 8A)でのSDS−
ポリアクリルアミドゲル電気泳動パターン(8%アクリ
ルアミド)である。分子量標準も示す。
【図9】図9中、Fig 9は、正常な休止およびIL−1
活性化内皮細胞(EC)への本発明のモノクローナル抗
体の結合(EC抗原発現に対するIL−1の効果)を示
すグラフである。また、Fig 10は、IL−1不存在下
での正常なヒト白血球、顆粒球又は単核細胞(T細胞、
B細胞および単球)への本発明のモノクローナル抗体の
結合(白血球上での内皮抗原発現)を示すグラフであ
る。
【図10】Fig 11は、2〜96時間の種々の時間IL
−1に曝露された内皮細胞への本発明のモノクローナル
抗体の結合を示すグラフである。
【図11】Fig 12Aは、35S−システインで標識され
た休止内皮細胞の2−Dゲルパターンである。未誘起細
胞(−IL−1)2−Dゲル(Fig 12A)の左上方の
3本の矢印は、Fig 12B(+IL−1)の誘起ゲル中
で誘発蛋白質が現われる領域を示す。データベース中の
既知蛋白質との比較に基いて、見掛けの分子量および等
電点を示した。
【図12】Fig 12Bは、35S−システインで標識され
たIL−1活性化内皮細胞からのトライトンX−114
洗剤ペレット(膜蛋白質)の2−Dゲルパターンであ
る。
【図13】Fig 13は、1E7および2G7免疫沈降物
単独ならびに未誘起(−IL−1)および誘起(+IL
−1)HUVECからの総膜蛋白質と混合したときの1
E7および2G7免疫沈降物の2−Dゲルパターンであ
る。8つの正方形の各々には、Fig 12で分析された総
ゲルの左上方の4分の1に相当する2−Dゲルの部分が
示されている。Fig 13Aおよび13Bは、1E7(上
方)または2G7(下方)抗体による免疫沈降物のみで
ある。これらのゲルの他の部にはそれ以上のスポットは
見られなかった。Fig 13Cおよび13Dは、免疫沈降
物を加えていない、未誘起(−IL−1、上方)または
誘起(IL−1、下方)HUVECからの総膜蛋白質を
示す。Fig 13Eおよび13Fは、未誘起HUVECの
膜蛋白質への1E7(上方)または2G7(下方)免疫
沈降物添加の影響を示す。Fig13Gおよび13Hは、
IL−1誘起HUVECからの膜蛋白質への1E7(上
方)または2G7(下方)免疫沈降物添加の影響を示
す。プラス(+)は各ゲルの酸性末端を、マイナス
(−)は塩基性末端を意味する。
【図14】Fig 14は、免疫沈降物の単独および組合せ
の2−Dゲルパターンである。免疫沈降に用いたモノク
ローナル抗体は次の通りである:Fig 14A、RR1
(抗ICAM−1);Fig 14B、2G7;Fig 14
C、7A9;Fig 14D、RR1+2G7;Fig 14
E、RR1+7A9;Fig 14F、2G7+7A9。6
つの2−Dゲルの各々左上方4分の1のみを示した。他
の領域には、追加のスポットはなかった。
【図15】図15中、Fig 15は、pCDN−ELAM
−1発現プラスミドのダイアグラムである。ELAM−
1 cDNAを、pSV2 NEO(サザンとバーグ、
ジャーナル・オヴ・モレキュラー・アンド・アプライド
・ジェネティックス、1巻327〜341頁、1982
年)から導いた、SV40初期プロモーター(斜線部)
ならびにSV40“t”スプライス配列およびポリA付
加配列(点を打った領域)を含むプラスミド(pCDN
−1;T.V.ゴパル、未発表)中にクローン化した。
プラスミドの残余はpBR322( − )配列を含ん
でいた。重要な制限部位は図中に示してある。MCSは
多重クローニング部位を意味する。また、Fig 16は、
ELAM−1で、および模擬的にトランスフェクトされ
たCOS細胞のモノクローナル抗体結合アッセイのヒス
トグラムである。結果はウェル当り総cpmの平均(±
s.e.m.n=3)で表わされている。
【図16】Fig 17は、ツニカマイシンB2なしでまた
は用いてIL−1で処理され、2G7または7A9モノ
クローナル抗体で免疫沈降させられたコンフルエントH
UVECの10%SDS−ポリアクリルアミド還元性ゲ
ルパターンである。
【図17】Fig 18は、IL−1で活性化され、35S−
システインで代謝的に標識されたHUVECの2−Dゲ
ルパターンである。細胞は無処理のままか、溶解前に3
0分間ノイラミニダーゼ処理した。トライトンX−10
0溶解物を2G7(Fig 18A)または7A9(Fig 1
8B)抗体で免疫沈降させた。4つの2−Dゲルの各々
の一部を図に示した。
【図18】Fig 19は、7A9または2G7抗体で免疫
沈降させたIL−1活性化35S−システイン標識HUV
ECのトライトンX−100溶解物の10%SDS−ポ
リアクリルアミド還元性ゲルパターンである。免疫沈降
物は、緩衝液のみ、ノイラミニダーゼ(N′ase)または
ノイラミニダーゼおよびそれに続くエンド−α−N−ア
セチルガラクトサミニダーゼ(O−gly'case)により処
理した。
【図19】Fig 20は、指定の期間IL−1と共にイン
キュベートしたHUVECの10%SDS−ポリアクリ
ルアミド還元性ゲルパターンである。トライトンX−1
00溶解物の免疫沈降物は、2G7または7A9抗体を
用いて形成させた。
【図20】Fig 21は、フルオレセイン結合モノクロー
ナル抗体1E7、2G7、3B7または7A9を用いて
行った競合アッセイのヒストグラムを示す。Fig 21
A、1E7;Fig 21B、2G7;Fig 21C、3B
7;Fig 21D、7A9。縦軸に陽性細胞百分率をとっ
てある。データはフローサイトメトリーから導いたもの
である。
【図21】Fig 22は、指定の期間HUVECをIL−
1に曝露した結果を示すグラフである。抗体2G7
(●)または7A9(▲)を飽和濃度でサンドイッチ結
合アッセイに用いた。結果は、平均cpm ±s.e.m.(n=
3)として表わされている。
【図22】Fig 23は、間接試薬のみ(Fig 23A)、
W6/32抗HLA抗原(Fig 23B)、抗ICAM−
1抗体RR/1(Fig 23C)および3A2抗体(Fig
23D)で染色した休止(…)またはIL−1刺激
(−)内皮細胞のフローサイトメトリー分析を示す。
【図23】Fig 24は、無処理で(−)またはIL−1
で処理し(+)、1%トライトンX−100で溶解し、
指定の抗体で免疫沈降させた代謝標識内皮細胞からのS
DS−ポリアクリルアミド還元性ゲル(8%アクリルア
ミド)パターンを示す。図中、MAb7およびMAb3
はそれぞれモノクローナル抗体7A9および3B7を表
わす。
【図24】Fig 25は、IL−1およびアクチノマイシ
ンDまたはシクロヘキシミドで処理したのち、プレート
結合アッセイで2G7、7A9(抗ELAM−1)また
は3A2抗原の発現を調べた内皮細胞のヒストグラムを
示す。Fig 25A、IL−1±シクロヘキシミド;Fig
25B、IL−1±アクチノマイシンD(actD)。
【図25】Fig 26は、3A2抗原の光学顕微鏡評価を
示す。Fig 26A、生育培地のみで培養し、抗体7A9
で染色した内皮細胞;Fig 26B、IL−1で活性化
し、抗体7A9で染色した内皮細胞;26C、生育培地
のみで培養し、抗体3A2で染色した内皮細胞;Fig 2
6D、IL−1で活性化し、抗体3A2で染色した内皮
細胞。Fig 26B、26Cおよび26Dの大きい斑点
は、対応する抗原の存在を示す染色由来の赤色による。
Fig 26Aの小さい暗スポットは、青く染色されたが、
赤い細胞質染色には囲まれていない核である。
【図26】Fig 27は、3A2抗体(MAb3)または
対照のヤギ抗マウスIgM試薬のみ(MAb−)で免疫
沈降させた未処理(−)またはIL−1処理(+)内皮
細胞のSDS−ポリアクリルアミドゲルパターンを示
す。これらの免疫沈降物の一部を、非還元(Fig 27
A)または還元(Fig 27B)条件下に8%SDS−ポ
リアクリルアミドゲル上で泳動させた。Fig 27C、第
一および第二レーン:IL−1活性化細胞からのモノク
ローナル抗体7A9または2G7(それぞれmAb7、
MAb2)による免疫沈降物(対照として);Fig 27
C、第三および第四レーン:3A2免疫沈降物からの7
A9または2G7抗体による免疫沈降物。それゆえ、第
二のバンドは、Fig 27Aおよび27Bのモノクローナ
ル抗体3A2(170kDa)および7A9と共沈降し
たが、2G7抗原とはしなかった。
【図27】Fig 28は、模擬トランスフェクションに付
した(−)、またはCDNプラスミド中のELAM−1
cDNAによりトランスフェクトした(+)COS細胞
の7A9または3A2免疫沈降物のSDS−ポリアクリ
ルアミド還元性ゲル(10%アクリルアミド)パターン
である。モノクローナル抗体7A9はELAM−1蛋白
質を沈降させ、モノクローナル抗体3A2はCOS細胞
内因性170kDa抗原を沈降させ、ELAM−1を共
沈降させる。
【図28】Fig 29は、35S−システインと45または
120分間パルス(pulse)し、45分後に溶解するか
(Fig 29A、最初の2レーン)または溶解前に1また
は2時間さらにチェイス(chase)した(Fig 29A、残
りのレーン)内皮細胞の免疫沈降物のSDS−ポリアク
リルアミド還元性ゲル(10%アクリルアミド)パター
ンを示す。Fig 29Bの場合、内皮細胞をIL−1に4
時間曝露したのち、 125Iで表面標識しておいた。ゲル
は3A2:ELAM−1会合の動態を示す。図中、MA
b3およびMAb7はそれぞれモノクローナル抗体3A
2および7A9を意味する。
【図29】Fig 30は、CMP−170および7A9
(ELAM−1)抗原の細胞表面発現の動態を示すグラ
フである。白抜きの円は7A9抗原を、白抜きの三角形
は3A2抗原を表わす。
【図30】Fig 31は、抗原ELAM−1の種々の截頭
形態のダイアグラムを示す。
【図31】Fig 32Aは、抗原ELAM−1の種々の截
頭形のモノクローナル抗体3A2、3B7および7A9
との共沈降パターンを示す。抗原性断片は、所定のEL
AM−1構築物でトランスフェクトし、48時間後に、
35S−システインで14時間標識したCOS細胞の上澄
みのみから得た。截頭形の各構造をFig 31に示す。
【図32】Fig 32Bは、完全な(intact)ELAM−
1抗原のモノクローナル抗体3A2、3B7および7A
9との共沈降パターンを示す。抗原性断片は、所定のE
LAM−1構築物でトランスフェクトし、48時間後
に、35S−システインで14時間標識したCOS細胞の
上澄みのみから得た。截頭形の各構造をFig 31に示
す。
【図33】Fig 33は、VCAM−1抗原および1E7
/2G7抗原のダイアグラムである。
【図34】Fig 34Aは、1E7/2G7抗原をコード
する分子の24番目〜383番目塩基(コード領域)の
cDNA配列を示す。対応するアミノ酸配列も、アミノ
酸の標準的な1文字記号を用いて示した。
【図35】Fig 34Bは、1E7/2G7抗原をコード
する分子の384番目〜743番目塩基(コード領域)
のcDNA配列を示す。対応するアミノ酸配列も、アミ
ノ酸の標準的な1文字記号を用いて示した。
【図36】Fig 34Cは、1E7/2G7抗原をコード
する分子の744番目〜1103番目塩基(コード領
域)のcDNA配列を示す。対応するアミノ酸配列も、
アミノ酸の標準的な1文字記号を用いて示した。
【図37】Fig 34Dは、1E7/2G7抗原をコード
する分子の1104番目〜1463番目塩基(コード領
域)のcDNA配列を示す。対応するアミノ酸配列も、
アミノ酸の標準的な1文字記号を用いて示した。
【図38】Fig 34Eは、1E7/2G7抗原をコード
する分子の1464番目〜1751番目塩基(コード領
域)のcDNA配列を示す。対応するアミノ酸配列も、
アミノ酸の標準的な1文字記号を用いて示した。
【図39】Fig 34Fは、1E7/2G7抗原をコード
する分子の1752番目〜2039番目塩基(コード領
域)のcDNA配列を示す。対応するアミノ酸配列も、
アミノ酸の標準的な1文字記号を用いて示した。
【図40】Fig 34Gは、1E7/2G7抗原をコード
する分子の2040番目〜2243番目塩基(コード領
域)のcDNA配列を示す。対応するアミノ酸配列も、
アミノ酸の標準的な1文字記号を用いて示した。
【図41】Fig35A及び35Bは、ナイーブ(na
ive)及びメモリー(memory)CD4+ T細胞
の休止(resting)及びIL−1誘導HUVEC
への結合を示す棒グラフである。ナイーブ(CD4+
D45RA+ )及びメモリー(CD4+ CD45R
+ )T細胞は、代表的なドナーから単離され、休止及
び活性化されたHUVECへの結合について評価され
た。サブセット(subset)の純度は、フローサイ
トメトリー分析により測定された値として>95%であ
った。休止ナイーブ(塗り潰した棒(solid ba
rs))及びメモリー(内部が空白の棒(open b
ars))CD4+ T細胞並びにPMA活性化ナイーブ
(格子線を引いた棒(hatched bars))及
びメモリー(多数の点で影をつけた棒(shaded
bars))細胞が示される。異なるドナーから単離さ
れたナイーブ及びメモリー細胞を用いた、独立した2種
の実験結果が示される。
【図42】Fig36は、VCAM−1 L−細胞トラ
ンスフェクタント(transfectant)に対す
るCD4+ T細胞の活性化依存性結合を示す。休止(塗
り潰した棒)及びPMA活性化(多数の点で影をつけた
棒)CD4+ 細胞のL−細胞コントロール及びVCAM
−1+ L−細胞トランスフェクタントLVE3に対する
付着性が評価された。データは、3重のウエルからの平
均の細胞結合率として表された。
【図43】Fig37は、ナイーブ及びメモリーCD4
+ T細胞のVCAM−1トランスフェクタントに対する
異なる結合性を示す棒グラフである。同一のドナーから
単離された3世代のT細胞のVCAM−1 L−細胞ト
ランスフェクタントLVE3に対する結合が評価され
た:CD4+ 、CD4+ ナイーブ(CD4+ CD45R
+ )及びCD4+ メモリー(CD4+ CD45R
+ )。休止(塗り潰した棒)及びPMA活性化(多数
の点で影をつけた棒)T細胞の付着性が示される。すべ
てのCD4+ 細胞の形質転換されていないコントロール
L−細胞に対する結合性は、<10%であり、示された
値から差し引かれていない。データは、3重のウエルか
らの平均の細胞結合率として表される。
【図44】Fig38は、細胞のELAM−1に対する
結合を示すグラフである。精製されたELAM−1は、
96−ウエルのELISAプレート(ヌンク(Nun
c))に4℃で一夜適用された;プラスチックは、PB
S/2.5%BSAにより37℃で2〜3時間ブロック
され、次いで該ウエルは、100μlPBS/0.5%
ヒト血清アルブミン(HSA)の最終容量になるように
各ウエルに50000個の51CrでラベルされたCD4
+ T細胞を添加する前に、PBSで3回洗浄された。4
℃で1時間処理した後で、非付着細胞は洗い流された。
ウエルの内容物は1%トライトン エックス−100
(TRITON X−100)で分離され、ウエルの内
容物のガンマ放射が測定された。
【図45】Fig39Aおよび39Bは、ナイーブCD
+ T細胞ではなく精製されたメモリーCD4+ T細胞
が活性化依存性の態様で精製されたELAM−1に付着
することを示すグラフである。Fig39A及び39B
は、ある個体からの細胞を用いた結果を示す。CD4+
T細胞(正方形)、CD4+ CD45RA+ ナイーブ
(三角形)及びCD4+ CD45RA- メモリー(円
形)T細胞サブセットの、精製されたELAM−1(3
9A)またはフィブロネクチン(39B)の指示された
濃度に対する結合が評価された。休止のT細胞(塗り潰
した形(solid figures))と10ng/
mlのTPA(内部が空白の形(openfigure
s))により37℃で15分間活性化されたT細胞の結
合性が評価された。コントロール蛋白質タイプIIIコ
ラーゲンに対するCD4+ T細胞の結合は、<6%であ
り、示されたデータから差し引かれなかった。データ
は、3重のウエルからの平均の細胞結合率として表され
る。
【図46】Fig39Cおよび39Dは、ナイーブCD
+ T細胞ではなく精製されたメモリーCD4+ T細胞
が活性化依存性の態様で精製されたELAM−1に付着
することを示すグラフである。このことは、これらの細
胞のフィブロネクチン(Fig39B)及びICAM−
1(Fig39D)に対する結合と比較される。Fig
39C及び39Dは、もう一つの個体からの細胞を用い
た結果を示す。CD4+ T細胞(正方形)、CD4+
D45RA+ ナイーブ(三角形)及びCD4+ CD45
RA- メモリー(円形)T細胞サブセットの、精製され
たELAM−1(39C)またはフィブロネクチン(3
9D)の指示された濃度に対する結合が評価された。休
止のT細胞(塗り潰した形(solid figure
s))と10ng/mlのTPA(内部が空白の形(o
pen figures))により37℃で15分間活
性化されたT細胞の結合性が評価された。コントロール
蛋白質タイプIIIコラーゲンに対するCD4+ T細胞
の結合は、<6%であり、示されたデータから差し引か
れなかった。データは、3重のウエルからの平均の細胞
結合率として表される。
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:42 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列 GGGGGGCTCG AGTGAAGTCA TGATTGCTTC ACAGTTTCTC TC 42 配列番号:2 配列の長さ:42 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列 GGGGGGACGC GTAACTTAAA GGATGTAAGA AGGCTTTTGG TA 42 配列番号:3 配列の長さ:2220 配列の型:核酸 鎖の数:2本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 配列 ATG CCT GGG AAG ATG GTC GTG ATC CTT GGA GCC TCA AAT ATA CTT TGG 48 Met Pro Gly Lys Met Val Val Ile Leu Gly Ala Ser Asn Ile Leu Trp 5 10 15 ATA ATG TTT GCA GCT TCT CAA GCT TTT AAA ATC GAG ACC ACC CCA GAA 96 Ile Met Phe Ala Ala Ser Gln Ala Phe Lys Ile Glu Thr Thr Pro Glu 20 25 30 TCT AGA TAT CTT GCT CAG ATT GGT GAC TCC GTC TCA TTG ACT TGC AGC 144 Ser Arg Tyr Leu Ala Gln Ile Gly Asp Ser Val Ser Leu Thr Cys Ser 35 40 45 ACC ACA GGC TGT GAG TCC CCA TTT TTC TCT TGG AGA ACC CAG ATA GAT 192 Thr Thr Gly Cys Glu Ser Pro Phe Phe Ser Trp Arg Thr Gln Ile Asp 50 55 60 AGT CCA CTG AAT GGG AAG GTG ACG AAT GAG GGG ACC ACA TCT ACG CTG 240 Ser Pro Leu Asn Gly Lys Val Thr Asn Glu Gly Thr Thr Ser Thr Leu 65 70 75 80 ACA ATG AAT CCT GTT AGT TTT GGG AAC GAA CAC TCT TAC CTG TGC ACA 288 Thr Met Asn Pro Val Ser Phe Gly Asn Glu His Ser Tyr Leu Cys Thr 85 90 95 GCA ACT TGT GAA TCT AGG AAA TTG GAA AAA GGA ATC CAG GTG GAG ATC 336 Ala Thr Cys Glu Ser Arg Lys Leu Glu Lys Gly Ile Gln Val Glu Ile 100 105 110 TAC TCT TTT CCT AAG GAT CCA GAG ATT CAT TTG AGT GGC CCT CTG GAG 384 Tyr Ser Phe Pro Lys Asp Pro Glu Ile His Len Ser Gly Pro Leu Glu 115 120 125 GCT GGG AAG CCG ATC ACA GTC AAG TGT TCA GTT GCT GAT GTA TAC CCA 432 Ala Gly Lys Pro Ile Thr Val Lys Cys Ser Val Ala Asp Val Tyr Pro 130 135 140 TTT GAC AGG CTG GAG ATA GAC TTA CTG AAA GGA GAT CAT CTC ATG AAG 480 Phe Asp Arg Leu Glu Ile Asp Leu Leu Lys Gly Asp His Leu Met Lys 145 150 155 160 AGT CAG GAA TTT CTG GAG GAT GCA GAC AGG AAG TCC CTG GAA ACC AAG 528 Ser Gln Glu Phe Len Glu Asp Ala Asp Arg Lys Ser Leu Glu Thr Lys 165 170 175 AGT TTG GAA GTA ACC TTT ACT CCT GTC ATT GAG GAT ATT GGA AAA GTT 576 Ser Leu Glu Val Thr Phe Thr Pro Val Ile Glu Asp Ile Gly Lys Val 180 185 190 CTT GTT TGC CGA GCT AAA TTA CAC ATT GAT GAA ATG GAT TCT GTG CCC 624 Leu Val Cys Arg Ala Lys Leu His Ile Asp Glu Met Asp Ser Val Pro 195 200 205 ACA GTA AGG CAG GCT GTA AAA GAA TTG CAA GTC TAC ATA TCA CCC AAG 672 Thr Val Arg Gln Ala Val Lys Glu Leu Gln Val Tyr Ile Ser Pro Lys 210 215 220 AAT ACA GTT ATT TCT GTG AAT CCA TCC ACA AAG CTG CAA GAA GGT GGC 720 Asn Thr Val Ile Ser Val Asn Pro Ser Thr Lys Leu Gln Glu Gly Gly 225 230 235 240 TCT GTG ACC ATG ACC TGT TCC AGC GAG GGT CTA CCA GCT CCA GAG ATT 768 Ser Val Thr Met Thr Cys Ser Ser Glu Gly Leu Pro Ala Pro Glu Ile 245 250 255 TTC TGG AGT AAG AAA TTA GAT AAT GGG AAT CTA CAG CAC CTT TCT GGA 816 Phe Trp Ser Lys Lys Leu Asp Asn Gly Asn Leu Gln His Leu Ser Gly 260 265 270 AAT GCA ACT CTC ACC TTA ATT GCT ATG AGG ATG GAA GAT TCT GGA ATT 864 Asn Ala Thr Leu Thr Leu Ile Ala Met Arg Met Glu Asp Ser Gly Ile 275 280 285 TAT GTG TGT GAA GGA GTT AAT TTG ATT GGG AAA AAC AGA AAA GAG GTG 912 Tyr Val Cys Glu Gly Val Asn Leu Ile Gly Lys Asn Arg Lys Glu Val 290 295 300 GAA TTA ATT GTT CAA GAG AAA CCA TTT ACT GTT GAG ATC TCC CCT GGA 960 Glu Leu Ile Val Gln Glu Lys Pro Phe Thr Val Glu Ile Ser Pro Gly 305 310 315 320 CCC CGG ATT GCT GCT CAG ATT GGA GAC TCA GTC ATG TTG ACA TGT AGT 1008 Pro Arg Ile Ala Ala Gln Ile Gly Asp Ser Val Met Leu Thr Cys Ser 315 320 325 GTC ATG GGC TGT GAA TCC CCA TCT TTC TCC TGG AGA ACC CAG ATA GAC 1056 Val Met Gly Cys Glu Ser Pro Ser Phe Ser Trp Arg Thr Gln Ile Asp 330 335 340 AGC CCT CTG AGC GGG AAG GTG AGG AGT GAG GGG ACC AAT TCC ACG CTG 1104 Ser Pro Leu Ser Gly Lys Val Arg Ser Glu Gly Thr Asn Ser Thr Leu 345 350 355 ACC CTG AGC CCT GTG AGT TTT GAG AAC GAA CAC TCT TAT CTG TGC ACA 1152 Thr Leu Ser Pro Val Ser Phe Glu Asn Glu His Ser Tyr Leu Cys Thr 360 365 370 GTG ACT TGT GGA CAT AAG AAA CTG GAA AAG GGA ATC CAG GTG GAG CTC 1200 Val Thr Cys Gly His Lys Lys Leu Glu Lys Gly Ile Gln Val Glu Leu 375 380 385 390 TAC TCA TTC CCT AGA GAT CCA GAA ATC GAG ATG AGT GGT GGC CTC GTG 1248 Tyr Ser Phe Pro Arg Asp Pro Glu Ile Glu Met Ser Gly Gly Leu Val 395 400 405 AAT GGG AGC TCT GTC ACT GTA AGC TGC AAG GTT CCT AGC GTG TAC CCC 1296 Asn Gly Ser Ser Val Thr Val Ser Cys Lys Val Pro Ser Val Tyr Pro 410 415 420 CTT GAC CGG CTG GAG ATT GAA TTA CTT AAG GGG GAG ACT ATT CTG GAG 1344 Leu Asp Arg Leu Glu Ile Glu Leu Leu Lys Gly Glu Thr Ile Leu Glu 425 430 435 AAT ATA GAG TTT TTG GAG GAT ACG GAT ATG AAA TCT CTA GAG AAC AAA 1392 Asn Ile Glu Phe Leu Glu Asp Thr Asp Met Lys Ser Leu Glu Asn Lys 440 445 450 AGT TTG GAA ATG ACC TTC ATC CCT ACC ATT GAA GAT ACT GGA AAA CGT 1440 Ser Leu Glu Met Thr Phe Ile Pro Thr Ile Glu Asp Thr Gly Lys Ala 455 460 465 470 CTT GTT TGT CAG GCT AAG TTA CAT ATT GAT GAC ATG GAA TTC GAA CCC 1488 Leu Val Cys Gln Ala Lys Leu His Ile Asp Asp Met Glu Phe Glu Pro 475 480 485 AAA CAA AGG CAG AGT ACG CAA ACA CTT TAT GTC AAT GTT GCC CCC AGA 1536 Lys Gln Arg Gln Ser Thr Gln Thr Leu Tyr Val Asn Val Ala Pro Arg 490 495 500 GAT ACA ACC GTC TTG GTC AGC CCT TCC TCC ATC CTG GAG GAA GGC AGT 1584 Asp Thr Thr Val Leu Val Ser Pro Ser Ser Ile Leu Glu Glu Gly Ser 505 510 515 TCT GTG AAT ATG ACA TGC TTG AGC CAG GGC TTT CCT GCT CCG AAA ATC 1632 Ser Val Asn Met Thr Cys Leu Ser Gln Gly Phe Pro Ala Pro Lys Ile 520 525 530 CTG TGG AGC AGG CAG CTC CCT AAC GGG GAG CTA CAG CCT CTT TCT GAG 1680 Leu Trp Ser Arg Gln Leu Pro Asn Gly Glu Leu Gln Pro Lys Ser Glu 535 540 545 550 AAT GCA ACT CTC ACC TTA ATT TCT ACA AAA ATG GAA GAT TCT GGG GTT 1728 Asn Ala Thr Leu Thr Leu Ile Ser Thr Lys Met Glu Asp Ser Gly Val 555 560 565 TAT TTA TGT GAA GGA ATT AAC CAG GCT GGA AGA AGC AGA AAG GAA GTG 1776 Tyr Leu Cys Glu Gly Ile Asn Gln Ala Gly Arg Ser Arg Lys Glu Val 570 575 580 GAA TTA ATT ATC CAA GTT ACT CCA AAA GAC ATA AAA CTT ACA GCT TTT 1824 Glu Leu Ile Ile Gln Val Thr Pro Lys Asp Ile Lys Leu Thr Ala Phe 585 590 595 CCT TCT GAG AGT GTC AAA GAA GGA GAC ACT GTC ATC ATC TCT TGT ACA 1872 Pro Ser Glu Ser Val Lys Glu Gly Asp Thr Val Ile Ile Ser Cys Thr 600 605 610 TGT GGA AAT GTT CCA GAA ACA TGG ATA ATC CTG AAG AAA AAA GCG GAG 1920 Cys Gly Asn Val Pro Glu Thr Trp Ile Ile Leu Lys Lys Lys Ala Glu 615 620 625 630 ACA GGA GAC ACA GTA CTA AAA TCT ATA GAT GGC GCC TAT ACC ATC CGA 1968 Thr Gly Asp Thr Val Leu Lys Ser Ile Asp Gly Ala Tyr Thr Ile Arg 635 640 645 AAG GCC CAG TTG AAG GAT GCG GGA GTA TAT GAA TGT GAA TCT AAA AAC 2016 Lys Ala Gln Leu Lys Asp Ala Gly Val Tyr Glu Cys Glu Ser Lys Asn 650 655 660 AAA GTT GGC TCA CAA TTA AGA AGT TTA ACA CTT GAT GTT CAA GGA AGA 2064 Lys Val Gly Ser Gln Leu Arg Ser Leu Thr Leu Asp Val Gln Gly Arg 665 670 675 GAA AAC AAC AAA GAC TAT TTT TCT CCT GAG CTT CTC GTG CTC TAT TTT 2112 Glu Asn Asn Lys Asp Tyr Phe Ser Pro Glu Leu Leu Val Leu Tyr Phe 680 685 690 GCA TCC TCC TTA ATA ATA CCT GCC ATT GGA ATG ATA ATT TAC TTT GCA 2160 Ala Ser Ser Leu Ile Ile Pro Ala Ile Gly Met Ile Ile Tyr Phe Ala 695 700 705 710 AGA AAA GCC AAC ATG AAG GGG TCA TAT AGT CTT GTA GAA GCA CAG AAA 2208 Arg Lys Ala Asn Met Lys Gly Ser Tyr Ser Leu Val Glu Ala Gln Lys 715 720 725 TCA AAA GTG TAG 2220 Ser Lys Val - 729
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年10月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図23】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図16】
【図18】
【図19】
【図21】
【図29】
【図32】
【図20】
【図22】
【図27】
【図31】
【図24】
【図25】
【図26】
【図28】
【図30】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図40】
【図37】
【図38】
【図39】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヨージ シミズ アメリカ合衆国 48109 ミシガン アン アーバー ユニバーシティ オブ ミシ ガン オブ マイクロバイオロジー アン ド イムノロジー内 (72)発明者 ジェイ. ステファン ショウ アメリカ合衆国 20817 メリーランド グレンウッド ロード ベテスダ 5708

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】免疫細胞、内皮細胞またはこの両細胞に、
    (a)ELAM細胞に特異的に結合する抗体またはその
    結合部位含有断片、及び(b)VCAM、ELAM、I
    CAM、VCAMリガンド、ELAMリガンド及びIC
    AMリガンドからなる群から選ばれた分子に特異的に結
    合する抗体またはその結合部位含有断片を結合させるこ
    とからなる免疫応答調節方法。
  2. 【請求項2】前記免疫細胞が、T細胞、顆粒球または単
    球である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】前記免疫細胞が、T細胞である請求項2に
    記載の方法。
  4. 【請求項4】前記T細胞が、CD4+ 細胞である請求項
    3に記載の方法。
  5. 【請求項5】前記CD4+ 細胞が、メモリー細胞である
    請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】前記抗体(a)の結合部位含有断片または
    少なくとも1種の前記抗体(b)の1種、及び少なくと
    も1種の前記抗体(b)の結合部位含有断片が2重特異
    性(bispecific)抗体からなる請求項1に記
    載の方法。
  7. 【請求項7】少なくとも1種の前記抗体(b)、または
    その結合部位含有断片が、前記VCAM分子に特異的に
    結合する請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】少なくとも1種の前記抗体(b)、または
    その結合部位含有断片の第2成分が、ICAM分子に特
    異的に結合する請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】前記抗体、またはその結合部位含有断片
    が、同一の分子に特異的に結合しない請求項1に記載の
    方法。
  10. 【請求項10】前記抗体、またはその結合部位含有断片
    が、内皮細胞分子に特異的に結合し且つもう一つの抗
    体、またはその結合部位含有断片が、該内皮細胞分子の
    リガンドである免疫細胞分子に特異的に結合する請求項
    9に記載の方法。
  11. 【請求項11】抗体7A9またはその結合部位含有断
    片、或いは抗体2G7またはその結合部位含有断片から
    なる請求項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】さらに抗体、またはその結合部位含有断
    片が、VCAMリガンド分子に特異的に結合し、或いは
    抗体、またはその結合部位含有断片が、ELAMリガン
    ド分子に特異的に結合する請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】(A)ELAM分子に特異的に結合する
    抗体、またはその結合部位含有断片、或いは該抗体また
    は断片の薬学的に許容される塩; (B)VCAM、ELAM、ICAM、VCAMリガン
    ド、ELAMリガンド及びICAMリガンドからなる群
    から選ばれた分子に特異的に結合する少なくとも1種の
    抗体、またはその結合部位含有断片、或いは該抗体また
    は断片の薬学的に許容される塩;及び (C)薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤、
    からなる免疫細胞及び内皮細胞に関連する薬剤。
  14. 【請求項14】前記抗体(a)の結合部位含有断片また
    は少なくとも1種の抗体(b)の1種、及び少なくとも
    1種の抗体(b)の結合部位含有断片が、二重特異性抗
    体からなる請求項13に記載の薬剤。
  15. 【請求項15】抗体、またはその結合部位含有断片が、
    T細胞表面の分子に特異的に結合する請求項13に記載
    の薬剤。
  16. 【請求項16】抗体、またはその結合部位含有断片が、
    顆粒球表面の分子に特異的に結合する請求項13に記載
    の薬剤。
  17. 【請求項17】前記少なくとも1種の抗体(b)の1
    種、またはその結合部位含有断片が、VCAM分子に特
    異的に結合する請求項13に記載の薬剤。
  18. 【請求項18】前記少なくとも1種の抗体(b)または
    その結合部位含有断片の補助剤が、前記ICAM分子に
    特異的に結合する請求項17に記載の薬剤。
  19. 【請求項19】前記抗体、またはその結合部位含有断片
    が、同一の分子に特異的に結合しない請求項13に記載
    の薬剤。
  20. 【請求項20】前記抗体、またはその結合部位含有断片
    の1種が、内皮細胞分子に特異的に結合し且つもう一種
    の前記抗体、またはその結合部位含有断片が、該内皮細
    胞分子のリガンドである免疫細胞分子に特異的に結合す
    る請求項19に記載の薬剤。
  21. 【請求項21】抗体7A9またはその結合部位含有断
    片、或いは抗体2G7またはその結合部位含有断片から
    なる請求項13に記載の薬剤。
  22. 【請求項22】さらに抗体、またはその結合部位含有断
    片が、VCAMリガンド分子に特異的に結合し、或いは
    抗体、またはその結合部位含有断片が、ELAMリガン
    ド分子に特異的に結合する請求項21に記載の薬剤。
JP4039844A 1991-02-26 1992-02-26 免疫応答の制御方法並びに免疫細胞および内皮細胞に関連する薬剤 Pending JPH0753407A (ja)

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