JPH0750050B2 - 熱伝導率測定方法 - Google Patents

熱伝導率測定方法

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JPH0750050B2
JPH0750050B2 JP780288A JP780288A JPH0750050B2 JP H0750050 B2 JPH0750050 B2 JP H0750050B2 JP 780288 A JP780288 A JP 780288A JP 780288 A JP780288 A JP 780288A JP H0750050 B2 JPH0750050 B2 JP H0750050B2
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芳樹 土田
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、断熱材や保温材等の各種材料の特に高温下
における熱伝導率を測定する場合に採用して好適な熱伝
導率測定方法に関するものである。
「従来の技術」 一般に、断熱材や保温材として用いられる各種の材料の
熱伝導率の値は、常に一定ではなく温度条件によって変
化するものであって、第9図に示すように温度が高いほ
ど熱伝導率も大きくなる、すなわち熱を伝え易くなる傾
向にある。したがって、特にたとえば1,000℃を越える
ような温度条件で使用される断熱材や保温材のように高
温下における熱伝導率が問題とされる材料にあっては、
その熱伝導率の測定は試料を実際に使用温度まで加熱し
て行うことが必要となる。
そのような熱伝導率の測定を行う装置としては第10図に
示すものが知られている。この従来の熱伝導率測定装置
は、断熱性を有する保護円筒a内の上部、下部にそれぞ
れ主ヒータb、補助ヒータcを配して、保護円筒a内部
に下向きの定常的な熱流を生ぜしめるとともに、補助ヒ
ータcの上部にその定常熱流の熱流量を計測するための
熱流計測板dを備えたものである。
この熱伝導率測定装置によって測定を行うには、保護円
筒a内の中心位置に熱伝導率を測定するべき試料Sを配
するとともに、その上下に熱伝導率が既知の標準伝熱板
s1,s2を配し、主ヒータb、補助ヒータcを制御するこ
とによって保護円筒a内部に図中破線Aで示すような熱
平衡状態を作って、試料Sおよび標準伝熱板s1,s2に折
線Bのような温度勾配を形成させ、試料Sの平均内部温
度が熱伝導率を計測するべき温度T℃になるように保持
する。
そして、定常状態において試料Sの上面、下面の正確な
温度を温度計e,eによって計測して、それらの温度差
と、熱流計測板dによって計測される定常熱流の熱量す
なわち試料Sを透過した熱貫流量とから、試料Sのその
温度T℃(試料Sの平均内部温度)における熱伝導率を
算出するようにしている。
すなわち、計測された熱貫流量がQ(Kcal/h)、試料S
の上面温度、下面温度がそれぞれθ1,θ2(℃)であっ
たとし、試料Sの厚み寸法がδ(m)、試料Sの有効面
積がA(m2)であったとすると、試料Sの温度T℃にお
ける熱伝導率λ(Kcal/m・h・deg)は、 Q=(λ/δ)・A(θ1−θ2) の関係が成り立つから、この式から、 λ=Q・δ/A(θ1−θ2) ……(1) として求められる。
なお、上記従来の熱伝導率測定装置における標準伝熱板
s1,s2は、試料Sの温度を高温に保持するためのもので
あるとともに、それらの表面温度を温度計f…によって
計測することによって、それらの表面温度および上記の
熱貫流量Qとから求められる熱伝導率の値を既知の熱伝
導率の値と比較することによって、計測値を検証し、必
要に応じて補正するためのものである。
また、符号g…は壁面温度補償用のヒータであって、こ
れらのヒータg…は、保護円筒aの内部の温度勾配がA
の状態となるように保護円筒aの表面温度を制御し、こ
れにより保護円筒aとその内部空間との間の熱授受を無
くして熱流が保護円筒aの周面から放散してしまうこと
を防止するためのものである。
「発明が解決しようとする課題」 ところで、上記の場合、試料Sの上面温度θ1が熱伝導
率λを測定するべき温度Tより若干高くなるようにし、
かつ、下面温度θ2が測定温度Tより若干低くなるよう
にして、それら上面、下面での温度θ1,θ2の単純平均
温度を試料S全体の温度を代表する平均内部温度とみな
し、この平均内部温度をもって測定温度Tとしている。
つまり、 T=(θ1+θ2)/2 の関係を満たすように、θ1,θ2の値を保持するように
している。
しかしながら、上記のように、試料Sの上下両面の単純
平均温度をもって試料S全体の温度を代表させること
は、以下のような理由から必ずしも妥当ではない。
すなわち、試料Sの内部温度が、第10図にBで示されて
いるように上面温度θ1と下面温度θ2との間で直線的に
変化している場合には、上下両面の単純平均温度をその
まま試料Sの平均内部温度と見なして差し支えないが、
一般に試料Sの内部温度はそのように直線的に変化する
ことはなく、たとえば第11図にB′で示すように曲線的
に変化するものである。そして、この場合には、上下両
面の温度θ1,θ2の単純平均として算定される内部平均
温度Tと、実質的な内部平均温度T′との間に大きな誤
差が生じてしまい、上下両面の単純平均温度が試料S全
体の温度を代表するとはいえない場合がある、という問
題がある。
このような場合にあっても、上下両面の温度差が充分に
小さい場合には、温度変化曲線はほぼ直線とみなすこと
ができて上記の誤差はほぼ無視することができるので、
したがってその温度差はできるだけ小さくすることが望
まれるのであるが、温度差を充分に小さくした場合に
は、また別の問題を生じる。すなわち、試料Sの上下両
面での温度差を上記の誤差が無視できる程度に小さくす
ることは、試料Sの上下両面の温度を一定に保持するこ
とが著しく困難になるばかりでなく、それらの温度の計
測誤差が僅かであっても測定結果に大きな影響が及び、
得られる熱伝導率の値に大きな誤差が生じてしまうこと
になる。このことから、従来においては、上述したよう
な問題を内在しながらも、試料Sの上下両面にある程度
大きな温度差を確保せざるを得ないものであった。
この発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、試料の
所定温度における熱伝導率を、容易にかつ正確に測定す
ることのできる測定方法を提供することを目的としてい
る。
「課題を解決するための手段」 この発明は、所定の測定温度における試料の熱伝導率λ
を測定するに際し、試料の下面温度を測定温度Tより充
分に低い温度T0に保持しておき、試料の上面温度を測定
温度Tより温度差ΔTだけ低い温度に保持してその状態
における試料の熱伝導率λ1を測定するとともに、試料
の上面温度を測定温度差Tより前記温度差ΔTだけ高い
温度に保持してその状態における試料の熱伝導率λ2
測定し、それらの熱伝導率λ1,λ2の値に基づいて測定
温度Tにおける熱伝導率λを算出することを特徴として
いる。
「実施例」 以下、この発明方法の実施例を図面を参照して説明す
る。
まず、第1図を参照して、この発明方法を実施するに際
して用いて好適な熱伝導率測定装置について説明する。
第1図はその装置の概略構成を示す立断面図であって、
図中符号1は炉容器である。この炉容器1は、それぞれ
水冷ジャケットを有する本体2および本体2にヒンジ3
によって連結された蓋体4から構成されている。
その炉容器1内には、それぞれ円板錠の下部断熱材5、
上部断熱材6、および円筒状の側部断熱材7によって、
内部に試料Sが配される計測室8が形成されている。こ
の計測室8内の上部空間には計測室8内を所定の温度に
保持するための主ヒータ9が取り付けられているととも
に、下部断熱材中5にはこの下部断熱材5の内面温度を
熱流計測板15(後述)の温度と同等に保持するための補
償ヒータ10が埋め込まれており、それらの主ヒータ9、
補償ヒータ10には炉容器1の蓋体4および本体2を貫通
している電極11,12が接続されている。なお、符号13は
計測室8内の温度を計測するための放射温度計である。
また、計測室8の側壁を形成している上記の側部断熱材
7の内面は、充分な断熱性を有しかつ熱伝導性に優れた
材料、たとえば、グラファイト、耐熱鋼、モリブデン
等、によって筒状に形成された壁面温度補償板14によっ
て覆われている。この補償板14は、その優れた熱伝導性
によって計測室8の上部から下部に向かって熱を運び、
もって、側部断熱材7の内面温度を試料Sの各々の位置
の温度と同等に保持するためのものである。したがっ
て、この装置においては、従来の装置における壁面温度
補償用のヒータg…を設ける必要がなくなり、装置の簡
略化、小形化が実現されている。
また、下部断熱材5の上面中央部には円板形状の熱流計
測板15が配され、その周囲には環状の補償冷却板16が配
されている。熱流計測板15は、内部に熱貫流量を計測す
るための測温用ガスの流通路が渦巻き状に形成されてお
り、その流通路に測温用ガスを図中の矢印で示すように
流通させるためのガス導入管17およびガス導出管18がそ
れぞれ接続されている。また、補償冷却板16は、内部に
冷却ガスを流通させるための流通路が渦巻き状に形成さ
れていて、冷却用ガスを図中の矢印のように流通させる
ための冷却ガス導入管19、冷却ガス導出管20がそれぞれ
接続されている。上記の測温用ガス、冷却用ガスは、下
部断熱材5中に埋め込まれているガス予熱器21,22によ
って所定の温度とされた後に、それぞれ熱流計測板15、
補償冷却板16に導入されるようになっている。また、図
示は省略したが測温用ガスの入口温度と出口温度、冷却
用ガスの入口温度と出口温度を計測するための温度計が
それぞれ設けられている。
上記の熱流計測板15は、測温用ガスの入り口と出口での
温度を計測することによって、その温度差とガス流量と
から測温用ガスの受熱量、すなわち試料Sを透過した熱
貫流量を計測するためのものである。また、その周囲に
配された補償冷却板16は、熱流計測板15と同温度に保持
されることによりそれら相互間の熱授受を防ぐためのも
のである。
上記の熱流計測板15および補償冷却板16の上面には下部
測温板23が配され、その上面に熱伝導率を計測するべき
試料Sが配され、さらにその上面に上部測温板24が配さ
れるようになっている。また、試料Sの周囲には断熱材
25が配されるようになっている。下部測温板23、上部測
温板24にはそれぞれ熱電対温度計(図示略)が挿入され
ており、それらの熱電対温度計または放射温度計13によ
って試料Sの上面、下面の温度が計測できるようにされ
ている。
上記の熱伝導率測定装置を用いて熱伝導率の測定を行う
には、まず、計測室8内に試料Sを配してその上面に上
部計測板24を配し、上部断熱材6によって計測室8を密
閉するとともに炉容器1の蓋体4を閉じ、そして、従来
の装置と同様に主ヒータ9、補償ヒータ10を制御して計
測室8内に定常熱流を生ぜしめて、試料Sの上下両面の
温度と、熱流計測板15によって計測される定常熱流の熱
流量とから、上述の(1)式に基づいて熱伝導率を求め
るのであるが、その測定の手順を以下に説明する。
以下で説明する測定方法は、この発明方法の第1実施例
であって、測定温度がT℃における熱伝導率λ、すなわ
ち試料Sの平均内部温度がT℃における熱伝導率λを求
める場合の手順である。
この場合、まず、試料Sの下面温度を測定温度Tより充
分に低い温度T0に保持するとともに、試料Sの上面温度
TよりΔT(deg)だけ低い温度T1に保持されるように
制御する。そのΔTの値は充分に小さくし、たとえば、
測定温度T=2,000℃の場合には、下面温度T0=100℃と
するとともに、ΔT=50degとして上面温度T1=T−Δ
T=1,950℃となるように制御する。これにより、試料
Sの内部には、第2図にB″で示すような温度勾配が生
じる そして、その状態における試料Sの熱伝導率λ1を求め
る。すなわち、具体的には、従来の装置における場合と
同様に、測温用ガス、冷却用ガスをそれぞれ予熱器21,2
2によって所定温度に加熱して熱流計測板15、補償冷却
板16に流通させることによってそれらの温度を同等に保
持するようにし、計測室8内の温度、および試料Sの内
部温度が定常状態となったら、つまり温度変化が認めら
れなくなったら(より具体的には、温度変化がたとえ10
分間で±0.5degの範囲内に収まるか、あるいは許容値に
対して±0.1%の範囲内に収まったら)、熱流計測板15
内を流通する測温用ガスの入口、出口の温度を計測し、
測温用ガスの温度差とその流量とから受熱量すなわち試
料Sを透過した熱貫流量Q1を求め、その熱貫流量Q1と、
試料Sの上下両面の温度T1,T0および試料Sの厚み寸法
δとから、次の(2)式によってこの状態における試料
Sの熱伝導率λ1を求める。なお、この場合、試料Sの
有効面積Aは熱流計測板15の面積となる。
Q1=(λ1/δ)A(T1−T0) ……(2) T1=T−ΔT これにより、上面がT1、下面がT0における熱伝導率λ1
が求められる。
次に、試料Sの下面温度はそのままT0を保持し、上面温
度のみを上昇させてTよりΔTだけ高温のT2に保持する
ように制御する。つまり、T2=T+ΔTとする(上記の
例では、T2=2,050℃となる)。そして、定常状態とな
ったらその状態における熱貫流量Q2を上記と同様にして
求め、次の(3)式によりこの状態における熱伝導率λ
2を求める。
Q2=(λ2/δ)A(T2−T0) ……(3) T2=T+ΔT これにより、上面がT2、下面がT0における熱伝導率λ2
が求められる。
この状態において、試料Sの内部には第2図にBで示
すような温度勾配が生じるが、この温度勾配曲線Bか
ら、試料Sの内部温度がT1となっている部分の試料下面
からの距離がxであると仮定する。そして、試料Sの厚
みを下面からそのxまでの部分と、そのxの位置から上
面までの2つの部分に分割して考えると、定常状態にお
いてはいずれの部分も熱貫流量Q2は一定であることか
ら、上記(3)式は、次のように展開することができ
る。
Q2=(λ2/δ)A(T2−T0) ……(3) =(λ1/x)A(T1−T0) ……(3)′ ={λ/(δ−x)}A(T2−T1) ……(3)″ ここで、(3)′式は試料下面からxまでの部分の熱バ
ランスを示しており、この部分では上面温度(xの位置
における温度)T1、下面温度T0であるから、ここでの熱
伝導率の値は上記(2)式で求められたλ1となる。ま
た(3)″式は、xの位置から試料上面までの部分にお
ける熱バランスを示しており、この部分では上面温度
T2、下面温度(xの位置における温度)T1であるから、
ここでの熱伝導率λの値がすなわち最終的に求めるべき
熱伝導率の値となる。
したがって、(3)式=(3)′式とおいてこれを解く
と、 x=(λ1/λ2)・δ・(T1−T0)/(T2−T0) ……
(4) となり、(3)′式=(3)″式として(4)式を代入
してこれを解くと、 λ=λ2・(T2−T0)/(T2−T1)−λ1・(T1−T0)/
(T2−T1) ……(5) となる。あるいは、T2−T1=2ΔT=Δtとすると、T1
=T2−Δtであるから、これらを(5)式に代入する
と、 λ=λ2・(T2−T0)/Δt −λ1・{(T2−T0)/Δt−1} ……(5)′ となり、上記の(5)式、あるいは(5)′式により、
上面がT2、下面がT1の場合における熱伝導率λが求めら
れる。そして、この場合、T1,T2の差が充分に小さいこ
とから、それらの単純平均温度をそのまま試料Sの平均
内部温度と見なして差し支えなく、したがって、上記
(5)式、(5)′式で得られたλの値は、T=(T1
T2)/2における熱伝導率の値と見なすことができる。
このように、上記の測定方法によれば、試料下面を測定
温度より充分に低い温度T0に保持しておき、試料上面を
測定温度より若干低い温度T1、および若干高い温度T2
保持してそれぞれの状態における熱伝導率λ1,λ2の計
測を行い、それらの値から測定温度Tにおける熱伝導率
λを算定するようにしたので、所望の測定温度Tにおけ
る熱伝導率λの値を容易にかつ正確に求めることができ
る。そして、この場合、実際の測定は上下両面での温度
差が大きく確保されている状態で行うから、試料の温度
制御が容易であるし、また、測定誤差が大きくなること
もない。
以上でこの発明方法の第1実施例を説明したが、次に、
この発明方法の第2実施例を説明する。この第2実施例
の測定手順は、上記第1の実施例を基本としてその手順
を繰り返し行うようにしたものであって、試料Sの下面
温度を一定温度T0に保持したままで、上面温度を第3図
に示すようにそのT0からT1,T2,…とΔt(deg)ずつ
段階的に上昇させていくようにし、N回目において試料
上面温度がTn=T0+NΔtとなるように制御するもので
ある。このようにすることにより、試料S内部には、第
4図に示されるような温度勾配が順次生じることにな
る。
この場合、(N−1)回目の測定においては、第5図に
示されるように試料の下面温度はT0、上面温度はTn-1
T0+(N−1)Δtであるから、それらの温度差は(N
−1)Δtであり、そのときの熱貫流量をQn-1、熱伝導
率をλn-1とすると、次式が成り立つ。
Qn-1=(λn-1/δ)A・(N−1)Δt ……(6) また、N回目の測定においては、下面温度はそのまま
T0、上面温度はTn=T0+NΔtであるから、それらの温
度差はNΔtとなり、そのときの熱貫流量をQn、熱伝導
率をλnとすると、次式がが成り立つ。
Qn=(λn/δ)A・NΔt ……(7) このN回目の測定の状態において、試料の内部温度が前
回の(N−1)回目の測定時における上面温度つまりT
n-1となっている部分の下面からの距離をyとし、試料
の厚みを下面からこのyの部分までと、yの位置から上
面までの部分に2分割して考えると、この(7)式は上
述した(3)′式、(3)″式と同様に次のように展開
できる。
Qn=(λn/δ)A・NΔt ……(7) =(λn-1/y)A・(N−1)Δt ……(7)′ ={Λn/(δ−y)}A・Δt ……(7)″ ここで、Λnは、上面温度がTn=T0+NΔtであり、下
面温度(yの位置における温度)がT=T0+(N−1)
Δt、したがってそれらの温度差がΔt、単純平均温度
n=(Tn-1+Tn)/2における熱伝導率であり、これ
が求める値である。上式を解くと、 y=(λn/λn-1)(1−1/n)δ ……(8) 故に、 Λn=N・λn−(N−1)・λn-1 ……(9) となる。つまり上面温度がTn、下面温度がTn-1である場
合の熱伝導率Λnは、N回目の測定値λnと(N−1)回
目の測定値λn-1とから求めることができる。なお、n =(Tn-1+Tn)/2 =Tn-1+Δt/2 =Tn−Δt/2 であり、このnの値は、Tn-1とTnの差すなわちΔtを
充分小さくすることによって、試料の平均内部温度とみ
なすことができるものである。
この第2実施例の測定方法によれば、試料の各温度にお
ける熱伝導率を容易に求めることができ、Δtの値を充
分に小さくすることによって、熱伝導率と温度の関係を
表す第9図に示したような連続的なグラフを作成するこ
とができる。そして、この場合も、上述した第1実施例
の場合と全く同様に、試料下面温度T0を充分に低くして
実際の測定は大きな温度差を確保した状態で行うので、
試料の温度保持が容易であり、測定誤差も大きくなるこ
とがない。
以上で、この発明方法の第1、第2実施例を説明した
が、上記各実施例における各ステップの熱伝導率の計測
は、手動により逐次行っても良いが、熱伝導率測定装置
にマイクロコンピュータを備えておき、全ての手順を予
めプログラミングしておくとともに、そのマイクロコン
ピュータによって全ての制御を行うようにし、かつ、計
測値から直ちに演算を行って熱伝導率を算出するように
構成することが望ましい。
なお、上記の熱伝導率測定装置を用いて上記のような手
順で測定を行う場合、試料Sの側部から断熱材25(第1
図参照)を通して外部に放熱されることがあり、これに
より測定誤差が生じることが考えられる。したがって、
より正確な計測を行うためには、その断熱材25の内面温
度、外面温度を計測することによってその放熱量を把握
し、熱流計測板15によって得られた熱貫流量の測定値に
対して次のような補正を行うと良い。
すなわち、第6図に示すように、断熱材25の内面平均温
度がt1、外面平均温度t2であったとすると、この断熱材
25の熱伝導率λb、内径寸法R2、外形寸法R3、試料Sの
厚みδとすると、試料Sの側部から断熱材25を通して放
熱される熱量のうち、試料Sの有効半径R1の範囲に影響
する熱量Qbは、 Qb={λb/(R3−R2)}(R1/R24×2πRmδ(t1−t
2) 但しRm=(R3−R2)/1n(R3/R2) で表されるから、このQbの値を、熱流計測板15によって
得られた熱貫流量の値に対して補正すれば良い。この場
合、断熱材25の内面温度、外面温度は試料Sの厚み方向
で均一ではないので、断熱材25全体を代表する温度とし
て、試料の上面から試料厚み寸法の3分の2ないし4分
の3程度の位置、すなわちz=(2/3〜3/4)δにおける
内面温度、外面温度を測定し、これをもって内面平均温
度t1、外面平均温度t2とすることが良い。
さらに、より厳密には、第7図に示すように、断熱材25
を厚さ寸法がδ1,δ2,…,δnの複数の部分に分割し
て考えて、それぞれの部分における内面温度、外面温度
を計測し、それらの温度に基づいてQb′を求めると良
い。この場合、各部分の内面温度をt1n、外面温度をt2n
とすると、 Qb′={λb/(R3−R2)}(R1/R24×2πRm{Σδn
(t1n−t2n)} 但しRm=(R3−R2)/1n(R3/R2) で表される。
また、測定誤差が生じる他の原因として、熱流計測板15
と補償ヒータ10の温度差に起因してそれらの間に生じる
熱授受が考えられる。このような誤差が生じることを防
ぐには、測温用ガスの熱流計測板15への導入温度および
導出温度を測定して、それらの平均温度と補償ヒータ10
の温度とが同等になるように制御し、もってそれらの間
の熱授受を無くすようにすれば良いが、あるいは、次の
ような補正を行うことがでも良い。
すなわち、第8図に示すように、熱流計測板15と補償ヒ
ータ10との間で生じる熱授受量QCは、断熱材5の熱伝導
率がλc、その厚み寸法がC、熱流計測板15の半径がR1
であり、熱流計測板の下面温度がt3、補償ヒータの表面
温度がt4であったとすると、 Qc=(λc/C)πR1 2(t3−t4) として求められる。したがって、上記のt3,t4を計測し
てQcを算出し、このQcの値を熱流計測板15によって得ら
れた熱貫流量に対して補正してやれば良い。
さらになお、上記の実施例においては、試料Sの下面温
度T0を上面温度に関係なく常に一定に保持するのである
が、そのためには、熱流計測板15に導入する測温用ガス
の流量を可変とし、試料Sからの受熱に伴う測温用ガス
の温度上昇が過度にならないようにガス流量を制御する
ことが望ましい。この場合、その温度上昇は、計測誤差
が最も少なくなる5〜10deg程度の範囲に収めることが
良い。
「発明の効果」 以上で詳細に説明したように、この発明の熱伝導率測定
方法は、試料下面を測定温度より充分に低い温度に保持
しておき、試料上面を測定温度より若干低い温度、およ
び若干高い温度に保持してそれぞれの状態における熱伝
導率の計測を行い、それぞれから得られた熱伝導率の値
から測定温度における熱伝導率を算出するようにしたの
で、所望の測定温度における熱伝導率、すなわち上下両
面の温度差を充分に小さくした状態における熱伝導率を
容易にかつ正確に求めることができる。そして、この方
法によれば、実際の熱伝導率の測定は上下両面での温度
差が大きく確保されている状態で行うから、試料の温度
制御が容易であるし、また、測定誤差が大きくなること
もなく、特に高温下における熱伝導率の測定の際に採用
して好適である。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第7図はこの発明の実施例を説明するため
の図である。第1図はこの発明方法の実施に用いて好適
な熱伝導率測定装置の立断面図である。第2図はこの発
明方法の第1実施例を説明するための試料の内部温度状
態を示す図である。第3図ないし第5図はこの発明方法
の第2実施例を説明するための図であって、第3図は上
面温度の設定状態を示す図、第4図および第5図はそれ
ぞれ試料の内部温度状態を示す図である。第6図および
第7図はそれぞれ試料側部からの放熱による測定誤差に
対する補正を行う場合の説明図、第8図は熱流計測板と
補償ヒータとの間の熱授受による測定誤差に対する補正
を行う場合の説明図である。第9図は熱伝導率と温度と
の関係を示す図、第10図は従来の熱伝導率測定装置の概
略構成を示す立断面図、第11図は試料の内部温度状態を
示す図である。 S……試料、T……測定温度、T0……下面温度、λ……
熱伝導率、ΔT……温度差。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の測定温度Tにおける試料の熱伝導率
    λを測定するに際し、試料の下面温度を測定温度Tより
    充分に低い温度T0に保持しておき、試料の上面温度を測
    定温度Tより温度差ΔTだけ低い温度に保持してその状
    態における試料の熱伝導率λ1を測定するとともに、試
    料の上面温度を測定温度差Tより前記温度差ΔTだけ高
    い温度に保持してその状態における試料の熱伝導率λ2
    を測定し、それらの熱伝導率λ1,λ2の値に基づいて測
    定温度Tにおける熱伝導率λを算出することを特徴とす
    る熱伝導率測定方法。
JP780288A 1988-01-18 1988-01-18 熱伝導率測定方法 Expired - Lifetime JPH0750050B2 (ja)

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DE1989627938 DE68927938T2 (de) 1988-01-18 1989-01-18 Verfahren zur Messung der thermischen Konduktivität
US07/795,308 US5258929A (en) 1988-01-18 1991-11-21 Method for measuring thermal conductivity

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