JPH0749926Y2 - 開創器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、手術の際、切開部を拡げる器具すなわち、開
創器に係る。

（従来の技術及び考案が解決しようとする課題） 手術の際、切開部位を拡げて作業するが、この切開部位
を拡げるには普通助手が鈎のついた器具で切開部位を拡
げていた。しかし、助手には切開部位内部が見えないた
め手術者の思うとおりの視野が得られるように切開部位
を拡げるのはむずかしかった。そこで、手術者が自分で
操作して切開部位を拡げることも考えられている。

その器具の一つとして、治療のために鼻の中を拡げる器
具として知られているいわゆる鼻鏡を適用することが考
えられた。

この従来の鼻鏡は鋏形をしており、その把持部はバネの
作用で通常は開いている。そしてこの把持部を握って閉
じると、先端部は逆に開くようになっている。そして、
この先端部には鳥のクチバシ状の鈎部が形成されてい
る。

この従来の鼻鏡は、上記のとおり、把持部を手で握って
閉じると、鳥のクチバシ状の鈎部の先端部が開くように
なっているため、この先端部を手術の切開部位に当て、
把持部を握って閉じることによって、切開部位を拡げる
ことができる。しかし、従来の鼻鏡は、上記の鈎部が厚
く、細いため、開口部を視野広く見ることができない欠
点があった。また従来の鼻鏡は金属製であるため導電性
を有し、電気凝固処置を安心して行うことができない欠
点があった。

本考案は、上記従来の鼻鏡を改良し、優れた機能を有す
る開創器を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） すなわち本考案は、バネによって開かれた把持部を閉じ
ることによって先端部が開く鋏形の開創器であって、先
端部が電気絶縁性であり、その鉤部が間隙を有する枠体
で構成されていることを特徴とする開創器である。

本考案を図面を用いて説明する。第１、２図は本考案の
開創器の１例を示したものである。

第１図は正面図であり、第２図は側面図である。

１、１′は把持部、２は把持部を開いた状態に保持する
ためのバネである。３は把持部１、１′をとめるための
ネジである。４は先端部であり、５はこの先端部を開創
器に取付けるためのネジである。

第１図において、開創器は通常はバネ２によって把持部
１、１′は開かれた状態にあり、そのため、それぞれの
先端部４、４′は閉じられた状態になっている。そし
て、把持部１、１′を握ってこれを閉じると先端部４、
４′が開く。

したがって、把持部１、１′を片手で握って、先端部の
鉤部の先を切開部位に入れ、把持部１、１′を閉じる
と、先端部４、４′が開かれるので、切開部位を拡げる
ことができる。

しかして、本考案では特に先端部４、４′に特徴があ
る。すなわち、本考案の先端部は鉤部を有し、その鉤部
は間隙を有する枠体で構成されている。第３図はその１
例を示したものである。

41は先端部の開創器本体への取付部で、切り込みが設け
られている。この箇所をネジ５でもって開創器本体へ取
り付ける。42は腕部であり、その先端が鈎状に曲がって
おり鉤部を形成している。そして、この鈎部は枠体43で
構成され、その中は空間44になっている。この枠体の厚
さは薄くするのが好ましい。また先端部の鉤部の上部は
外側に張り出す丸味をもたせる（第１図参照）のが好ま
しい。また、枠体43には間隙45が設けられている。

さらに本考案においては、その先端部は金属性の場合に
は合成樹脂でコーティングされている。合成樹脂として
は、例えば弗素樹脂（ポリテトラフルオロエチレン、商
標名テフロン）などが好ましい。このように合成樹脂で
被覆することにより電気絶縁性が付与される。先端部全
体を合成樹脂などの絶縁性材料で構成してもよい。

本考案は上記のように構成したので、手術者は、自分で
この開創器を手術中に操作して切開部位の内部の見たい
箇所を適宜に拡げて観察、治療することができる。そし
て、本考案においては鈎部が枠体で形成されていて、空
間部があるため、開創した部分の視野が広い。また先端
部４、４′の大きさ、形状を変えることにより、開創部
を大きくしたり、また深い部分まで開創することができ
る。

また、深く狭い、術野での出血は止血しにくいが、本考
案の開創器におては、先端部を電気絶縁物質で構成した
から、漏電により他部位を焼灼する恐れがないので、開
創部の中に吸引器の金属管を入れ止血点を確認し、電気
凝固することができるので止血操作が容易である。

更に、本考案の開創器は、縫合の際に極めて有用であ
る。すなわち先端部の枠体で、縫合糸を通そうとする部
位を圧迫し、枠体の空間部内に盛り上がらせ、この盛り
上がり部位に縫合針、縫合糸を通すことによって、縫合
を容易に行うことができる。特に深部縫合に便利であ
る。そして、この縫合補助に用いる場合には、本考案で
は、第３図に示すように枠体43に間隙45を設けたから、
糸をこの間隙45を通して開創器の先端部から離すことが
できるので便利である。

本考案の開創器は、特に唇裂の二次修正手術、鼻の成型
手術、咽頭の手術などに有用である。

（考案の効果） 本考案の開創器は、手術者が自分で操作できるので、手
術者の所望とする視野に切開部位を拡げるのに便利であ
る。また開創器の先端部分が枠体で構成されているの
で、開創部の視野が広くなり、また深部まで開創するこ
とができる。また先端部を電気絶縁性にしたので電気凝
固による止血操作が容易になる。

更に縫合特に深部の縫合の際に縫合部位を先端部の枠体
で圧迫し盛り上げて縫合できるので便利である。また、
この枠体に縫合糸が通過する間隙を設けたので、縫合後
に縫合糸を開創器の先端部から離すのが容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の開創器の平断面であり、第２図はその
側面図である。第３図は本考案の先端部の１例を示した
ものである。 1,1′…把持部、２…バネ、３…留めネジ 4,4′…先端部、5,5′…ネジ、43…枠体 45…間隙

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】バネによって開かれた把持部を閉じること
   によって先端部が開く鋏形の開創器であって、先端部が
   電気絶縁性であり、その鉤部が間隙を有する枠体で構成
   されていることを特徴とする開創器。