JPH074762A - スターリング機関の熱損失低減構造 - Google Patents

スターリング機関の熱損失低減構造

Info

Publication number
JPH074762A
JPH074762A JP14348593A JP14348593A JPH074762A JP H074762 A JPH074762 A JP H074762A JP 14348593 A JP14348593 A JP 14348593A JP 14348593 A JP14348593 A JP 14348593A JP H074762 A JPH074762 A JP H074762A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat
regenerator
heater
high temperature
temperature space
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP14348593A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsutomu Ishino
勉 石野
Masahiro Kitamoto
正宏 北元
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Priority to JP14348593A priority Critical patent/JPH074762A/ja
Publication of JPH074762A publication Critical patent/JPH074762A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02GHOT GAS OR COMBUSTION-PRODUCT POSITIVE-DISPLACEMENT ENGINE PLANTS; USE OF WASTE HEAT OF COMBUSTION ENGINES; NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • F02G2243/00Stirling type engines having closed regenerative thermodynamic cycles with flow controlled by volume changes

Landscapes

  • Resistance Heating (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温シリンダのヒータキャップ側周部内に収
容された高温再生器(13H)の構造に改良を加えるこ
とで、高温空間からの熱伝導損失や作動ガスバイパスに
よる熱損失等の再生器に係る損失が低減できるように
し、もってヴィルミエヒートポンプ装置における実際効
率の向上を図る。 【構成】 高温再生器(13H)を、ヒータキャップ側
周部の内壁外周面に内周面を圧接させた内筒部材(13
Ha)と、外壁内周面に外周面を圧接させた外筒部材
(13Hb)との間にエレメント(13Hc)を充填
し、上記内外両筒部材(13Ha),(13Hb)を部
分安定ジルコニア系複合セラミックスで構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、スターリングエンジ
ンやヴィルミエヒートポンプ装置等に用いられるスター
リング機関の熱損失低減構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、スターリング機関の1つとし
て空気調和装置等に用いられるヴィルミエヒートポンプ
装置が知られている。該ヴィルミエヒートポンプ装置
は、例えば特開平4−203464号公報に示されてい
るように、往復動可能な高温ディスプレーサを内蔵し、
かつ該ディスプレーサにより高温空間(例えば700
℃)及び高温側中温空間(例えば50℃)が軸方向に区
画された高温シリンダと、往復動可能な低温ディスプレ
ーサを内蔵し、かつ該ディスプレーサにより低温空間
(例えば0℃)及び低温側中温空間が軸方向に区画され
た低温シリンダを備えており、上記高温シリンダは、高
温空間の側周側及び先端側を区画する有底筒状のヒータ
キャップを有する。高温シリンダ側の高温空間と中温空
間とは高温連通路により、また低温シリンダ側の低温空
間と中温空間とは低温連通路により、さらに両中温空間
同士は接続連通路によりそれぞれ連通されている。そし
て、上記両ディスプレーサを所定の位相差(例えば90
°)で往復動させて各空間の容積をそれぞれに変化させ
ることにより、作動ガスの圧力を変化させて熱サイクル
を形成するようになされている。このとき、高温シリン
ダ側では、上記高温連通路の高温空間側に位置しかつヒ
ータキャップ外に配設されたヒータ管がバーナ等の加熱
手段による発熱を受けて作動ガスに吸熱を、また中温空
間側に配設された高温側熱交換器が作動ガスに放熱を行
わせる。そして、ヒータ管と熱交換器との間の高温連通
路に配設された高温側再生器は、ヒータ管から熱交換器
に向かう作動ガスの温熱を蓄熱して該作動ガスを降温さ
せる一方、熱交換器からヒータ管に向かう作動ガスには
上記蓄熱した温熱を放熱して昇温させる。したがって、
上記再生器内の軸方向における温度分布の理想状態は、
図8に破線で示すように、ヒータ管との上側接続部
(T)から熱交換器との下側接続部(B)にかけて直線
的に低下するような状態である。
【0003】ところで、上記ヒータキャップ周りの高温
部で発生する熱損失(Ql,h )は、ヒータ入熱量(Qh
)をQh =5.2kWとすると、その半分以上のQl,h
=2.7kWにも達する。この高温部熱損失(Ql,h
)の内訳は、再生器に係る損失(Qrh* )、ヒータキ
ャップ側周部における軸方向の熱伝導損失(Ql,a )、
及びヒータキャップから外部への放熱損失(Ql,ra)等
であるが、これらのなかでは再生器に係る損失(Qr
h* )が約8割を占める。
【0004】上記再生器に係る熱損失(Qrh* )とは、
主に次の3つの損失からなる。
【0005】 高温空間からの熱伝導損失(Ql,re) 高温空間の高熱がヒータキャップ内壁を通じて再生器に
達し、該再生器のエレメントを加熱するため、再生器内
の軸方向における温度分布が図8に破線で示す理想的温
度分布とは異なり、同図に実線で示すように再生器の上
下中間部(M)から下側接続部(B)にかけて温度が高
くなる。この場合には、再生器を通過する作動ガスが十
分に降温せず、したがって上記高温空間からの熱量(Q
l,re)の分がロスとなる。
【0006】 作動ガスバイパスによる熱損失(Ql,
pass) ヒータキャップの側周部は内壁及び外壁の2重構造にな
っていて該内外壁間に再生器が収容されているのである
が、ヒータキャップは一般に耐熱ステンレス鋼からなっ
ていて熱応力によりその外壁が撓み易く、再生器と外壁
との間に隙間が生じる。この隙間がバイパスとなって作
動ガスの一部が再生器を通過しなくなり、再生器と熱交
換しないために熱損失が生じる。尚、ヒータキャップ自
体が熱応力により撓み易い(撓みの要因としては内部圧
力もあるが、その程度は熱応力に比べて極小さい)こと
から高温空間の上限温度を700℃程度に制限せざるを
得ないという事情があり、このことで、高温空間温度を
高めて効率や能力を増加させることが難しいということ
もある。因みに、高温空間が650℃で低温空間(中温
空間)が50℃の場合の熱応力による変形量は最も大き
い先端部で1.5mmであるのに比べて、内部圧力が1
2MPaの場合の変形量は先端部で0.3μmと極僅か
である。
【0007】 再生器熱損失(Qrh) これは、再生器エレメントと作動ガスとの間における熱
伝達抵抗や、エレメント内の伝熱抵抗、さらにはエレメ
ント同士の接触による軸方向熱伝導等の効率(εr )が
不十分であることによる熱損失で、一般には、 Qrh=(1−εr )・QR ......〔1〕 (QR :再生器交換熱量) εr =NTU/(NTU+2) NTU=hr・Amr/(m・Cp ) (hr:熱伝達率、Amr:伝熱面積、M:作動ガス質
量流量、Cp :作動ガス定圧比熱)で計算される。
【0008】このような高温部での熱損失(Ql,h )を
低減させるために、従来、特公平4−63226号公報
で知られているものがある。このものでは、ヒータキャ
ップの内壁を耐熱ステンレス鋼からなる内外2重の円筒
壁部材で構成してその内側円筒壁部材と外側円筒壁部材
との間に断熱用の間隙部を設けており、高温空間からの
熱伝導損失(Ql,re)や、ヒータキャップ側周部におけ
る軸方向の熱伝導損失(Ql,a )等を低減できるとされ
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では、ヒータキャップの構成材料と同じ耐熱ステン
レス鋼で円筒壁部材が構成されていて該耐熱ステンレス
鋼自体が高い熱伝導率を有するものであることから、ヒ
ータキャップの内壁における断熱効果が十分であるとは
いい難く、高温空間からの熱伝導損失(Ql,re)を低減
するには未だ改良の余地がある。
【0010】また、耐熱ステンレス鋼は熱膨張係数につ
いてもかなり大きな値を有するものであり、したがっ
て、外側円筒部材の熱膨張時に再生器エレメントの外周
部側に隙間が生じ易く、したがって、作動ガスバイパス
による熱損失(Ql,pass)を低減するのは困難である。
【0011】この発明は斯かる諸点に鑑みてなされたも
のであり、その主な目的は、再生器の構造に改良を加え
ることで、高温空間からの熱伝導損失や作動ガスバイパ
スによる熱損失等の再生器に係る損失がさらに低減でき
るようにし、もってスターリング機関における実際効率
の向上を図ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明では、各々がセラミックスからな
る内筒部材と外筒部材との間にエレメントを充填して再
生器を構成するようにした。
【0013】具体的には、この発明では、図2に示すよ
うに、往復動可能なディスプレーサ(3H)を内蔵し、
かつ該ディスプレーサ(3H)により内部に高温空間
(9H)及び低温空間(10H)が軸心方向に区画され
たシリンダ(1H)と、上記高温空間(9H)及び低温
空間(10H)を互いに連通する連通路(12H)の高
温空間(9H)側に配設され、加熱手段(17H)の発
熱を受けて作動ガスに吸熱させるヒータ管(14H)
と、上記連通路(12H)の低温空間(10H)側に配
設されて作動ガスに放熱させる熱交換器(16H)と、
上記ヒータ管(14H)と熱交換器(16H)との間の
連通路(12H)に配設され、ヒータ管(14H)から
熱交換器(16H)に向かう作動ガスの温熱を蓄熱して
該作動ガスを降温させる一方、熱交換器(16H)から
ヒータ管(14H)に向かう作動ガスには上記蓄熱した
温熱を放熱して昇温させる再生器(13H)とを備え、
上記シリンダ(1H)は、高温空間(9H)の側周側及
び先端側を区画する有底筒状のヒータキャップ(1H
a)を有し、該ヒータキャップ(1Ha)の側周部は内
壁(1Hai)及び外壁(1Hao)の2重構造になっ
ていて該内外両壁(1Hai),(1Hao)間に上記
再生器(13H)が収容されている一方、先端部にはヒ
ータキャップ(1Ha)外に配設された上記ヒータ管
(14H)がその一端を高温空間(9H)に、また他端
を再生器(13H)にそれぞれ連通させた状態で取り付
けられているスターリング機関が前提である。
【0014】そして、図1に示すように、上記再生器
(13H)は、ヒータキャップ(1Ha)側周部の内壁
(1Hai)外周面に内周面を圧接させた内筒部材(1
3Ha)と、外壁(1Hao)内周面に外周面を圧接さ
せた外筒部材(13Hb)と、該内外両筒部材(13H
a),(13Hb)間の隙間に充填されたエレメント
(13Hc)とを有するものとする。その上で、上記内
筒部材(13Ha)及び外筒部材(13Hb)を、断熱
性を具備しかつ熱膨張係数の小さいセラミックスで構成
する。
【0015】請求項2の発明では、上記請求項1の発明
において、内筒部材(13Ha)及び外筒部材(13H
b)を、部分安定ジルコニア系複合セラミックスで構成
する。
【0016】請求項3の発明では、上記請求項1の発明
において、エレメント(13Hc)は連通路(12H)
の高温空間(9H)側では高空隙率で、また低温空間
(10H)側では低空隙率でそれぞれ充填されているも
のとする。
【0017】請求項4の発明では、上記請求項1の発明
において、図4に示すように、再生器(13H)は、ヒ
ータ管(14H)の再生器(13H)側端部と該再生器
(13H)との間の連通路(12H)に、ヒータ管(1
4H)から内筒部材(13Ha)と外筒部材(13H
b)との間に流入する作動ガスを内外両筒部材(13H
a),(13Hb)間の隙間方向に拡散させる整流部材
(13Hd)を有するものとする。
【0018】請求項5の発明では、上記請求項1の発明
において、ヒータキャップ(1Ha)を、高強度を有し
かつ熱膨張係数の小さいセラミックスで構成する。
【0019】請求項6の発明では、上記請求項5の発明
において、ヒータキャップ(1Ha)を、ジルコニア系
複合セラミックスで構成する。
【0020】請求項7の発明では、上記請求項5の発明
において、図5に示すように、ヒータ管(14H)をヒ
ータキャップ(1Ha)のセラミックスよりも熱膨張係
数の大きな耐熱鋼で構成する。そして、その端部外周に
おいて同じ耐熱鋼からなりかつヒータキャップ(1H
a)先端部の貫通孔(1Hap)に圧接状態で取り付け
られた取付スリーブ(14Ha)に溶着固定する。
【0021】
【作用】以上の構成により、請求項1の発明では、高温
空間(9H)からヒータキャップ(1Ha)の内壁(1
Hai)を通って再生器(13H)の内部に侵入しよう
とする熱は、セラミックスからなる内筒部材(13H
a)により断熱されてエレメント(13Hc)への伝達
が抑制される。これにより、高温空間(9H)からの熱
伝導損失(Ql,re)を低減することができる。一方、ヒ
ータキャップ(1Ha)から外壁(1Hao)を通って
外部に逃げようとする熱は、セラミックスからなる外筒
部材(13Hb)により断熱されて外壁(1Hao)へ
の伝達が抑制される。これにより、ヒータキャップ(1
Ha)から外部への放熱損失(Ql,ra)を低減すること
ができる。また、外筒部材(13Hb)は熱膨張時の変
形量が小さく、したがってエレメント(13Hc)の外
周部に隙間が生じるのを抑制でき、作動ガスバイパスに
よる熱損失(Ql,pass)を低減できる。
【0022】請求項2の発明では、再生器(13H)の
内外両筒部材(13Ha),(13Hb)を構成するジ
ルコニア系複合セラミックスは、シリンダ(1H)の材
料として一般に用いられているSUS310系の耐熱鋼
と比較した場合に、熱伝導率では約1/5であり、した
がって高温空間(9H)からの熱伝導に対する断熱性能
を大きく向上させることができ、その損失(Ql,re)を
具体的に低減することができる。また、熱膨張係数では
約7割であり、したがって、作動ガスバイパスによる熱
損失(Ql,pass)を具体的に低減することができる。
【0023】請求項3の発明では、ヒータ管(14H)
の再生器(13H)側開口端から該再生器(13H)の
内筒部材(13Ha)と外筒部材(13Hb)との間に
流入した作動ガスは、整流部材(13Hd)により内外
両筒部材(13Ha),(13Hb)間の隙間方向に拡
散される。このことで、エレメント(13Hc)の隙間
方向の温度分布を均一化することができ、再生器(13
H)の効率(εr )を高めて再生器熱損失(Qrh)を低
減することができる。
【0024】請求項4の発明では、高温空間(9H)か
らヒータキャップ(1Ha)の内壁(1Hai)及び内
筒部材(13Ha)を介して再生器(13H)内に侵入
した熱は、内筒部材(13Ha)と外筒部材(13H
b)との間の高温空間(9H)側に配置されたエレメン
ト(13Hc)が高空隙率であることにより該エレメン
ト(13Hc)への熱伝達が妨げられる。このことで、
高温空間(9H)からの熱伝導損失(Ql,re)を抑制す
ることができる。そして、上記エレメント(13Hc)
は、連通路(12H)の高温空間(9H)側に位置して
いて高温の作動ガスと接触するので、高空隙率であるこ
とから熱伝達面積が小さいにも拘らず作動ガスから十分
な蓄熱を行って昇温させることができ、エレメントとし
ての機能を維持することができる。一方、低空隙率のエ
レメント(13Hc)は高空隙率エレメント(13H
c)の断熱作用により上記侵入熱の影響が防止され、か
つ低空隙率であることにより十分な熱伝達面積を有する
ので、作動ガスとの間での熱の授受を効率よく行うこと
ができる。したがって、これらのことで、再生器(13
H)の軸方向における温度分布を理想的な状態に近付け
ることができ、再生器(13H)の効率(εr )を高め
て再生器効率(Qrh)を低減することができる。
【0025】請求項5の発明では、ヒータキャップ(1
Ha)は、高強度を有しかつ熱膨張係数の小さいセラミ
ックスからなっているので、肉厚寸法を低減しても熱応
力や内部圧力に抗することができ、したがって該薄肉化
により断面積を小さくして軸方向での熱伝導損失(Ql,
a )を低減することができ、さらには軽量化を図ること
もできる。また、熱応力による変形の度合が小さいの
で、熱膨張時における外壁(1Hao)の撓みが極めて
小さく、したがって作動ガスバイパスによる熱損失(Q
l,pass)の低減に寄与することができる。
【0026】請求項6の発明では、ヒータキャップ(1
Ha)を構成するジルコニア系複合セラミックスは、従
来のヒータキャップ材料として一般に用いられているS
US310系の耐熱鋼と比較した場合、曲げ強さでは約
5.5倍であり、かつ熱膨張係数では約半分であるの
で、上記請求項5の発明の作用を具体的に営むことがで
きる。
【0027】請求項7の発明では、ヒータ管(14H)
はヒータキャップ(1Ha)のセラミックスよりも熱膨
張係数の大きな耐熱鋼からなるので、熱膨張時には取付
スリーブ(14Ha)と共にヒータキャップ(1Ha)
の貫通孔(1Hap)にさらに圧接するようになり、こ
のことで、作動ガスを確実にシールすることができる。
尚、ヒータ管(14H)及び取付スリーブ(14Ha)
は同じ量だけ熱膨張するので、両者間に隙間は生じな
い。
【0028】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図2はこの実施例に係るヴィルミエヒートポン
プ装置の全体構成を示している。該ヴィルミエヒートポ
ンプ装置は、互いに例えば90°の交差角度で交差する
シリンダとしての高温シリンダ(1H)と低温シリンダ
(1L)とをそれぞれクランクケース(2)の隔壁で一
体に接合してなり、各シリンダ(1H),(1L)は略
密閉状態に閉塞されている。そして、高温シリンダ(1
H)内にはディスプレーサとしての高温ディスプレーサ
(3H)が、また低温シリンダ(1L)内には低温ディ
スプレーサ(3L)がそれぞれ往復動可能に嵌挿されて
いる。
【0029】上記両ディスプレーサ(3H),(3L)
は例えば90°の位相差で往復動するように連結機構
(4)により連結されている。該連結機構(4)はクラ
ンクケース(2)に水平方向の回転中心をもって支持さ
れたクランク軸(5)を有し、このクランク軸(5)に
はクランクケース(2)内に位置するクランクピン(5
a)が設けられている。クランク軸(5)の一端は起動
用モータ(図示せず)に駆動連結されている。上記クラ
ンクピン(5a)には略L字状のリンク(5b)がその
屈曲部において枢支され、該リンク(5b)の一方のア
ーム端には高温ロッド(7H)の基端が連結されてい
る。このロッド(7H)は上記隔壁のロッド挿通孔を貫
通し、その先端は高温ディスプレーサ(3H)の基端に
結合されている。また、上記リンク(5b)の他方のア
ーム端には2つのリンク(6La),(6Lb)を介し
て低温ロッド(7L)の基端が連結され、該ロッド(7
L)は上記隔壁のロッド挿通孔を貫通してその先端は低
温ディスプレーサ(3L)の基端に結合されている。そ
して、これらにより、両ディスプレーサ(3H),(3
L)はシリンダ(1H),(1L)の交差により所定の
位相差(90°)で往復動するようになっている。
【0030】上記高温シリンダ(1H)内は、高温ディ
スプレーサ(3H)により先端側の高温空間(9H)と
基端側の低温空間としての高温側中温空間(10H)と
に区画されている。該中温空間(10H)は高温空間
(9H)に対し、シリンダ(1H)周囲に形成した円筒
状の周壁内空間を一部とする連通路としての高温連通路
(12H)により連通されている。一方、低温シリンダ
(1L)内は、低温ディスプレーサ(3L)により先端
側の低温空間(9L)と基端側の低温側中温空間(10
L)とに区画されている。該中温空間(10L)は低温
空間(9L)に対し、シリンダ(1L)周囲に形成した
円筒状の低温連通路(12L)により連通されている。
そして、高温シリンダ(1H)側の中温空間(10H)
と低温シリンダ(1L)側の中温空間(10L)とは中
温部接続管(11)により接続され、これら高温、低温
及び中温空間(9H),(9L),(10H),(10
L)にはヘリウム等の作動ガスが充填されている。
【0031】上記高温連通路(12H)には、蓄熱式熱
交換器からなる再生器としての高温再生器(13H)
と、該再生器(13H)の高温空間(9H)側に位置す
るヒータ管(14H)と、上記再生器(13H)の中温
空間(10H)側に位置する熱交換器としてのシェルア
ンドチューブ式の高温側中温部熱交換器(16H)とが
配設されている。また、シリンダ(1H)の上部には略
密閉状態の燃焼空間(18a)を有する燃焼ケース(1
8)が一体的に取り付けられている。該燃焼ケース(1
8)内の燃焼空間(18a)において上記ヒータ管(1
4H)に対面する部位には、燃料を燃焼させて該ヒータ
管(14H)内の作動ガスを加熱する加熱手段としての
バーナ(17H)が配設されている。
【0032】一方、上記低温連通路(12L)には、蓄
熱式熱交換器からなる低温再生器(13L)と、該再生
器(13L)の低温空間(9L)側に位置するシェルア
ンドチューブ式の熱交換器からなるクーラ部(17L)
と、上記再生器(13L)の中温空間(10L)側に位
置するシェルアンドチューブ式の低温側中温部熱交換器
(16L)とが配設されている。この熱交換器(16
L)の伝熱管は上記高温側中温部熱交換器(16H)の
伝熱管に直列に接続されている。また、図示はしない
が、上記クーラ部(17L)には室内を冷房するための
室内機が循環水の循環配管を介して接続されている。
【0033】以上のように構成されたヴィルミエヒート
ポンプ装置において、このヴィルミエヒートポンプサイ
クルでは、作動ガスの温度(T)とエントロピー(s)
との関係を示すT−s線図は図3に示すようになる。す
なわち、高温側サイクルでは、作動ガスは過程1→2で
バーナ(17H)によって加熱されるヒータ管(14
H)から吸熱して等温膨張し、次の過程2→3では熱を
高温再生器(13H)に与えて等積冷却される。さら
に、過程3→4で、高温側中温部熱交換器(16H)を
介して放熱して等温圧縮し、過程4→1では、上記再生
器(13H)に与えた熱により等積加熱される。一方、
低温側サイクルでは、作動ガスは過程1′→2′で熱を
低温再生器(13L)に与えて等積冷却され、過程2′
→3′ではクーラ(17L)から吸熱して等温膨張し、
次の過程3′→4′では、上記再生器(13L)に与え
た熱により等積加熱され、過程4′→1′で、低温側中
温部熱交換器(16L)を介して放熱して等温圧縮す
る。尚、同図において、(Th )は高温空間(9H)
の、また(Tm )は高温側及び低温側中温空間(10
H),(10L)の、さらに(Tc )は低温空間(9
L)の各々の作動ガスの温度をそれぞれ示している。
【0034】ここで、上記高温シリンダ(1H)の高温
空間(9H)周りについて、さらに詳しく説明する。上
記高温シリンダ(1H)は、高温空間(9H)の側周側
及び先端側を区画する有底筒状のヒータキャップ(1H
a)を有する。該ヒータキャップ(1Ha)はジルコニ
ア系複合セラミックスで構成されている。そして、その
側周部は内壁(1Hai)及び外壁(1Hao)の2重
構造になっていて、該内壁(1Hai)の外周面と外壁
(1Hao)の内周面との間の周壁内空間に、上記高温
再生器(13H)が収容されている。一方、先端部には
上記ヒータ管(14H)がヒータキャップ(1Ha)外
に配設されており、該ヒータ管(14H)はその一端を
高温空間(9H)に、また他端を高温再生器(13H)
にそれぞれ連通させた状態で取り付けられている。
【0035】上記高温再生器(13H)は、図1に示す
ように、ヒータキャップ(1Ha)側周部の内壁(1H
ai)外周面に内周面を圧接させた内筒部材(13H
a)と、外壁(1Hao)内周面に外周面を圧接させた
外筒部材(13Hb)と、該内外両筒部材(13H
a),(13Hb)間の隙間に充填されたエレメント
(13Hc)とを有する。上記内外両筒部材(13H
a),(13Hb)は部分安定ジルコニア系複合セラミ
ックスで構成されている。ここで、上記ヒータキャップ
(1Ha)のジルコニア系複合セラミックス及び内外筒
部材(13Ha),(13Hb)の部分安定ジルコニア
複合セラミックスについて、各々の機械的性質及び熱的
性質を従来のヒータキャップ材料であるSUS310系
耐熱鋼と併せて、次表1にそれぞれ示しておく。
【0036】
【表1】
【0037】上記高温再生器(13H)のエレメント
(13Hc)は空隙としての網目を有するステンレス金
網からなり、高温連通路(12H)の高温空間(9H)
側(図1の上側)では高空隙率で、また高温側中温空間
(10H)側(同図下側)では低空隙率でそれぞれ充填
されている。空隙率の調整については、ステンレス金網
の場合では、その番数、線径及び単位寸法当りの積層枚
数等により行う。具体的には、連通路(12H)の高温
空間(9H)側でかつ内周側(同図右側)にかけての空
間部分には、線径の太いステンレス線材からなる網目の
大きいエレメント(13Hc)が、また中温空間側でか
つ外周側(同図左側)にかけての空間部分には、線径の
細いステンレス線材からなる網目の小さいエレメント
(13Hc)がそれぞれ充填されている。ここでは、高
空隙率エレメント(13Hc)の空隙率は80〜85%
に、また低空隙率エレメント(13Hc)は一般的な空
隙率である65〜70%にそれぞれ設定されている。
【0038】さらに、上記再生器(13H)は、ヒータ
管(14H)の再生器(13H)側端部と該再生器(1
3H)との間の高温連通路(12H)に、ヒータ管(1
4H)から内筒部材(13Ha)と外筒部材(13H
b)との間に流入する作動ガスを内外両筒部材(13H
a),(13Hb)間の隙間方向に拡散させる整流部材
としての上部整流板(13Hd)を有する。また、高温
側熱交換器(16H)と再生器(13H)との間の高温
連通路(12H)にも同様の下部整流板(13He)を
有する。具体的には、該整流板(13Hd),(13H
e)は、図4に示すように多数の小孔(13Hi)がプ
レートに設けられたパンチングメタル等の多孔板からな
り、ここでは、各整流板(13Hd),(13He)の
外面側には作動ガスの流通可能な隙間を確保するように
なされている。また、これら両整流板(13Hd),
(13He)はその周方向の複数箇所で連結棒(13H
f)により上下方向に互いに連結され、このことで内外
両筒部材(13Ha),(13Hb)間に充填されたエ
レメント(13Hc)を上下から挟圧保持して、再生器
(13H)を1つにパッキングするようになされてい
る。上記連結棒(13Hf)の端部と各整流板(13H
d),(13He)とは、ろう付け又はティグ溶接で固
定されている。
【0039】上記ヒータ管(14H)はヒータキャップ
(1Ha)のセラミックスよりも熱膨張係数の大きな耐
熱鋼、例えばSUS310系耐熱鋼からなるものであ
り、図5に示すように、その端部外周において同じ耐熱
鋼からなりかつヒータキャップ(1Ha)先端部の貫通
孔(1Hap)に圧接状態で取り付けた取付スリーブ
(14Ha)に溶着固定されている。具体的には、上記
取付スリーブ(14Ha)はその内径寸法がヒータ管
(14H)の外径寸法よりも僅かに大きく、かつヒータ
管(14H)の開口端側端部には半径方向外方に向けて
突出するフランジ(14Hb)が形成されている。ま
た、該フランジ(14Hb)の背面とヒータキャップ
(1Ha)の段付き受け面との間にはメタルOリング
(14Hc)が介装されている。そして、ヒータ管(1
4H)をヒータキャップ(1Ha)に取り付ける際に
は、先ず、上記取付スリーブ(14Ha)をヒータキャ
ップ(1Ha)に設けられている貫通孔(1Hap)に
メタルOリング(14Hc)と共にセットして冷間で拡
管圧着するか又は圧入する。次いで、該取付スリーブ
(14Ha)にヒータ管(14H)の端部を挿入し、両
者をろう付け又はティグ溶接する。
【0040】したがって、以上のように構成されたヴィ
ルミエヒートポンプ装置では、高温シリンダ(1H)内
の高温ディスプレーサ(3H)と低温シリンダ(1L)
内の低温ディスプレーサ(3L)とが互いに所定の位相
差をもって往復動されると、高温空間(9H)、高温側
中温空間(10H)、低温側中温空間(10L)及び低
温空間(9L)の作動ガスの各圧力が変化して熱サイク
ルが形成され、高温シリンダ(1H)側のバーナ(17
H)の発熱を受けるヒータ部(14H)及び低温シリン
ダ(1L)側のクーラ部(17L)では吸熱が、また高
温側及び低温側中温部熱交換器(16H),(16L)
では放熱がそれぞれ行われる。
【0041】上記運転時において、高温シリンダ(1
H)側では、高温空間(9H)の高熱がヒータキャップ
(1Ha)の内壁(1Hai)を介して高温再生器(1
3H)内に侵入しようとするが、この侵入熱は内筒部材
(13Ha)により断熱されてエレメント(13Hc)
への伝達が抑制される。一方、ヒータキャップ(1H
a)から外壁(1Hao)を介して外部に逃げようとす
る熱があるが、この放熱は外筒部材(13Hb)により
断熱されて外壁(1Hao)への伝達が抑制される。す
なわち、上記内外両筒部材(13Ha),(13Hb)
を構成するジルコニア系複合セラミックスは、SUS3
10系の耐熱鋼と比較した場合に、熱伝導率〔cal/
cm・s・℃〕では0.034に対し0.0074と約
1/5であり、したがって伝熱に対する断熱性能を大き
く向上させることができ、高温空間(9H)からの熱伝
導損失(Ql,re)及びヒータキャップ(1Ha)から外
部への放熱損失(Ql,ra)を大幅に低減することができ
る。
【0042】また、上記ジルコニア系複合セラミックス
は、熱膨張係数〔℃-1〕ではSUS310系耐熱鋼の1
4.4×10-6に対し10.0×10-6と約7割であ
り、したがって、外筒部材(13Hb)は熱膨張時の変
形量が小さいのでエレメント(13Hc)の外周部に隙
間が生じるのを抑制でき、作動ガスバイパスによる熱損
失(Ql,pass)を低減することができる。
【0043】さらに、高温再生器(13H)内におい
て、高温連通路(12H)の高温空間(9H)側では高
温空間(9H)からヒータキャップ(1Ha)内壁を伝
わって侵入してくる伝導熱等の熱侵入に対し、高空隙率
のエレメント(13Hc)により該エレメント(13H
c)自体への熱伝達が抑えられ、またこのことで、中温
空間(10H)側に位置する低空隙率エレメント(13
Hc)の加熱も抑えられる。これらのことにより、再生
器(13H)内の軸方向での温度分布を、図6に示すよ
うに直線状の理想状態に近付けることができる。さら
に、ヒータ管(14H)の高温再生器(13H)側開口
端から該再生器(13H)に向かって流入した作動ガス
は、上部整流板(13Hd)により内外両筒部材(13
Ha),(13Hb)間の隙間方向に拡散され、このこ
とでエレメント(13Hc)の隙間方向の温度分布を均
一化することができる。したがって、これらのことによ
り、再生器(13H)の効率(εr )を向上させて、再
生器熱損失(Qrh)を低減することができる。すなわ
ち、再生器(13H)の効率(εr )は従来では一般に
εr =97%程度であるが、それをεr =99%に高め
ることが見込め、その場合には上述の式〔1〕により再
生器熱損失(Qrh)を約1/3に低減できる。
【0044】したがって、以上のことを奏合すると、再
生器(13H)の効率(εr )がεr =99%に高まっ
た場合における再生器に係る損失(Qrh* )を、次表2
に示すようにQrh* =2.2kWからQrh* =0.7k
Wに低減することができるようになる。
【0045】
【表2】
【0046】一方、ヒータキャップ(1Ha)を構成す
るジルコニア系複合セラミックスは、従来の耐熱鋼と比
較した場合に、曲げ強さ〔MPa〕では常温時の520
及び700℃時の343に対し1900と約3.3倍〜
5.5倍であり、かつ熱膨張係数〔℃-1〕では14.4
×10-6に対し7.0×10-6と約半分である。これら
のことにより、肉厚寸法を低減しても熱応力や内部圧力
に抗することができ、したがって該薄肉化により断面積
を小さくして軸方向での熱伝導損失(Ql,a )を低減す
ることができ、さらには薄肉化に伴って軽量化を図るこ
ともできる。具体的には、薄肉化により断面積を例えば
従来の50%に小さくした場合に、軸方向における熱伝
導損失(Ql,a )は、熱伝導率については耐熱鋼の0.
034に対して0.039と約15%程度大きいが、そ
れでも全体としては、0.5×1.15=0.6と約6
0%程度になり、次表3に示すように、軸方向における
熱伝導損失(Ql,a )を従来のQl,a =0.5kWから
Ql,a =0.3kWに低減することができる。また、上
記ヒータキャップ(1Ha)はその外壁の撓みが小さい
ので、作動ガスバイパスによる熱損失(Ql,pass)の低
減にも寄与することができる。
【0047】
【表3】
【0048】以上のことから、上記ヴィルミエヒートポ
ンプ装置における高温部熱損失(Ql,h)は、次表4に示
すように、従来のQl,h =2.7kWからQl,h =1.
0kWに低減することができる。これにより、冷房能力
(Qc )がQc =2.2kWの場合に、そのヒータ入熱
量(Qh )を従来のQh =5.2kWからQh =3.5
に減らすことができ、冷房COPは従来の0.42から
0.63に向上することになる。
【0049】
【表4】
【0050】さらに、ヒータキャップ(1Ha)の耐熱
性を利用して、高温空間温度(Th)を従来のTh =7
00℃程度から例えばTh =1000℃(1273K)
に高めることもできるようになる。このときの、スター
リングエンジン(STEG)の理論効率(ηth)及びヴ
ィルミエヒートポンプ装置(VMHP)の理論効率(C
OP)を、従来の場合と比較して次表5に示す。尚、ス
ターリングエンジンの理論効率は、 ηth=(Th −Tm )/Th により、またヴィルミエヒートポンプ装置の理論効率
は、 冷房COP=(Th −Tm )/Th ・Tc /(Tm −T
c ) 暖房COP=(Th −Tc )/Th ・Tm /(Tm −T
c ) によりそれぞれ算出できる。また、温度条件は、中温空
間(10H),(10L)の温度(Tm )をTm =50
℃(323K)、低温空間(9L)の温度(Tc)をTc
=0℃(273K)としている。
【0051】
【表5】
【0052】また、上記効果の他に、ヒータキャップ
(1Ha)の撓み量が小さいことから、高温空間(9
H)における高温ディスプレーサ(3H)とヒータキャ
ップ(1Ha)との間の死容積を小さくすることがで
き、このことで能力の向上を図ることができる。さら
に、ヒータキャップ(1Ha)の優れた断熱性能によ
り、高温空間(9H)における作動ガスの断熱変化を抑
えることができ、この断熱損失低減による図示効率の改
善を図ることもできる。尚、ヒータ管(14H)はヒー
タキャップ(1Ha)のセラミックスよりも熱膨張係数
の大きな耐熱鋼からなるので、熱膨張時には取付スリー
ブ(14Ha)と共にヒータキャップ(1Ha)の貫通
孔(1Hap)にさらに圧接するようになり、このこと
で、上記のような場合においても作動ガスを確実にシー
ルすることができる。
【0053】尚、上記実施例では、再生器(13H)の
整流板(13Hd)を連結棒(13Hf)に取り付ける
のにろう付けやティグ溶接を行っているが、図7に示す
ように、連結棒を長軸の六角ボルト(13Hg)で構成
し、該六角ボルトのねじ部を一方の整流板(13He)
に設けた雌ねじ部(13Hh)に螺着するようにしても
よい。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、シリンダ先端のヒータキャップ側周部における
内外壁間に収容される再生器を、内筒部材と外筒部材と
の間にエレメントを充填し、該内外両筒部材を断熱性を
具備しかつ熱膨張係数の小さいセラミックスで構成した
ので、高温空間の高熱がヒータキャップ内壁を通して再
生器に侵入するのを上記内筒部材の断熱性により抑えて
高温空間からの熱伝導損失を低減できるとともに、ヒー
タキャップから外壁を通って外部に逃げようとする熱を
外筒部材の断熱性により抑えてヒータキャップから外部
への放熱損失を低減することができ、かつ外筒部材の熱
変形量が小さいことによりヒータキャップの熱膨張時に
再生器の外周部側における隙間の発生を抑えて作動ガス
バイパスによる熱損失を低減できる結果、スターリング
機関の高温部における熱損失を大幅に低減して効率の向
上を図ることができる。
【0055】請求項2の発明によれば、上記内外両筒部
材を、従来のヒータキャップ材料として一般に用いられ
ているSUS310系耐熱鋼に比べて優れた断熱性能を
具備しかつ熱膨張率の小さい部分安定ジルコニア系複合
セラミックスで構成したので、上記請求項1の発明によ
る効果を具体的に得ることができる。
【0056】請求項3の発明によれば、ヒータ管の再生
器側開口端と該再生器との間の連通路に整流部材を配設
し、ヒータ管から再生器の内外両筒部材間に向けて流入
した作動ガスを両筒部材間の隙間方向に拡散するように
したので、エレメントの隙間方向の温度分布を均一化す
ることができ、再生器の効率を高めて再生器熱損失を低
減することができる結果、スターリング機関の高温部に
おける熱損失を低減して効率の向上を図ることができ
る。
【0057】請求項4の発明によれば、再生器のエレメ
ントを、連通路の高温空間側では高空隙率で、また低温
空間側では低空隙率でそれぞれ充填し、高温空間からの
熱侵入に対しては高空隙率のエレメントでそれを抑える
一方、再生器を通過する作動ガスとの間の熱の授受につ
いては低空隙率のエレメントで十分に行うことができる
ようにしたので、高温空間からの熱伝導損失を低減でき
るのみならず、再生器内の軸方向の温度分布を理想的な
状態に近付けることができ、再生器の効率を高めて再生
器熱損失を低減することができる。
【0058】請求項5の発明によれば、ヒータキャップ
を高強度でかつ熱膨張係数の小さいセラミックスから構
成し、熱応力による変形を小さくすることができるよう
にしたので、肉厚寸法を低減して熱伝導断面積を小さく
することができ、軸方向での熱伝導損失を低減できる結
果、スターリング機関の高温部における熱損失を低減し
て効率の向上を図ることができる。また、ヒータキャッ
プ外壁の変形量が小さいことで、再生器エレメントの外
周側における隙間の発生を抑えることができ、作動ガス
バイパスによる熱損失の低減にも寄与できる。さらに、
ヒータキャップを高強度なものにしたことにより、ヒー
タキャップとディスプレーサとの間の死容積を低減する
ことができ、このことでスターリング機関の能力向上を
図ることができる。
【0059】請求項6の発明によれば、上記ヒータキャ
ップを、従来のヒータキャップ材料として一般に用いら
れているSUS310系耐熱鋼に比べて優れた曲げ強さ
を具備しかつ熱膨張率の小さいジルコニア系複合セラミ
ックスで構成したので、上記請求項5の発明による効果
を具体的に得ることができる。
【0060】請求項7の発明によれば、ヒータ管をヒー
タキャップのセラミックスよりも熱膨張係数の大きな耐
熱鋼で構成し、その端部外周において同じ耐熱鋼からな
りかつヒータキャップ先端部の貫通孔に圧接状態で取り
付けられた取付スリーブに溶着固定するようにしての
で、ヒータキャップの熱膨張時には上記ヒータ管及び取
付スリーブをその熱膨張を利用して貫通孔にさらに圧接
させることができ、高圧の作動ガスを十分にシールする
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例に係るヴィルミエヒートポン
プ装置の高温再生器を部分的に示す縱断面図である。
【図2】ヴィルミエヒートポンプ装置の全体構成を示す
縱断面図である。
【図3】ヴィルミエヒートポンプサイクルのT−s線図
である。
【図4】高温再生器における整流板の部分を示す平面図
である。
【図5】ヒータ管のヒータキャップへの取付構造を示す
縱断面図である。
【図6】高温再生器内の軸方向における温度分布を示す
グラフ図である。
【図7】高温再生器における整流板の別の取付構造を部
分的に示す縱断面図である。
【図8】従来例における図6相当図である。
【符号の説明】
(1H) 高温シリンダ(シリンダ) (1Ha) ヒータキャップ (1Hai) 内壁 (1Hao) 外壁 (3H) 高温ディスプレーサ(ディスプレーサ) (9H) 高温空間 (10H) 高温側中温空間(低温空間) (12H) 高温連通路(連通路) (13H) 高温再生器(再生器) (13Ha) 内筒部材 (13Hb) 外筒部材 (13Hc) エレメント (13Hd) 整流板(整流部材) (14H) ヒータ管 (14Ha) 取付スリーブ (16H) 高温側中温部熱交換器(熱交換器) (17H) バーナ(加熱手段)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 往復動可能なディスプレーサ(3H)を
    内蔵し、かつ該ディスプレーサ(3H)により内部に高
    温空間(9H)及び低温空間(10H)が軸心方向に区
    画されたシリンダ(1H)と、 上記高温空間(9H)及び低温空間(10H)を互いに
    連通する連通路(12H)の高温空間(9H)側に配設
    され、加熱手段(17H)の発熱を受けて作動ガスに吸
    熱させるヒータ管(14H)と、 上記連通路(12H)の低温空間(10H)側に配設さ
    れて作動ガスに放熱させる熱交換器(16H)と、 上記ヒータ管(14H)と熱交換器(16H)との間の
    連通路(12H)に配設され、ヒータ管(14H)から
    熱交換器(16H)に向かう作動ガスの温熱を蓄熱して
    該作動ガスを降温させる一方、熱交換器(16H)から
    ヒータ管(14H)に向かう作動ガスには上記蓄熱した
    温熱を放熱して昇温させる再生器(13H)とを備え、 上記シリンダ(1H)は、高温空間(9H)の側周側及
    び先端側を区画する有底筒状のヒータキャップ(1H
    a)を有し、該ヒータキャップ(1Ha)の側周部は内
    壁(1Hai)及び外壁(1Hao)の2重構造になっ
    ていて該内外両壁(1Hai),(1Hao)間に上記
    再生器(13H)が収容されている一方、先端部にはヒ
    ータキャップ(1Ha)外に配設された上記ヒータ管
    (14H)がその一端を高温空間(9H)に、また他端
    を再生器(13H)にそれぞれ連通させた状態で取り付
    けられているスターリング機関において、 上記再生器(13H)は、ヒータキャップ(1Ha)側
    周部の内壁(1Hai)外周面に内周面を圧接させた内
    筒部材(13Ha)と、外壁(1Hao)内周面に外周
    面を圧接させた外筒部材(13Hb)と、該内外両筒部
    材(13Ha),(13Hb)間の隙間に充填されたエ
    レメント(13Hc)とを有し、 上記内筒部材(13Ha)及び外筒部材(13Hb)
    は、断熱性を具備しかつ熱膨張係数の小さいセラミック
    スからなるものであることを特徴とするスターリング機
    関の熱損失低減構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のスターリング機関の熱損
    失低減構造において、 内筒部材(13Ha)及び外筒部材(13Hb)は部分
    安定ジルコニア系複合セラミックスからなるものである
    ことを特徴とするスターリング機関の熱損失低減構造。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のスターリング機関の熱損
    失低減構造において、 エレメント(13Hc)は連通路(12H)の高温空間
    (9H)側では高空隙率で、また低温空間(10H)側
    では低空隙率でそれぞれ充填されていることを特徴とす
    るスターリング機関の熱損失低減構造。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のスターリング機関の熱損
    失低減構造において、 再生器(13H)は、ヒータ管(14H)の再生器(1
    3H)側端部と該再生器(13H)との間の連通路(1
    2H)に、ヒータ管(14H)から内筒部材(13H
    a)と外筒部材(13Hb)との間に流入する作動ガス
    を内外両筒部材(13Ha),(13Hb)間の隙間方
    向に拡散させる整流部材(13Hd)を有するものであ
    ることを特徴とするスターリング機関の熱損失低減構
    造。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のスターリング機関の熱損
    失低減構造において、 ヒータキャップ(1Ha)は、高強度を具備しかつ熱膨
    張係数の小さいセラミックスからなるものであることを
    特徴とするスターリング機関の熱損失低減構造。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のスターリング機関の熱損
    失低減構造において、 ヒータキャップ(1Ha)はジルコニア系複合セラミッ
    クスからなるものであることを特徴とするスターリング
    機関の熱損失低減構造。
  7. 【請求項7】 請求項5記載のスターリング機関の熱損
    失低減構造において、 ヒータ管(14H)はヒータキャップ(1Ha)のセラ
    ミックスよりも熱膨張係数の大きな耐熱鋼からなるもの
    であり、その端部外周において同じ耐熱鋼からなりかつ
    ヒータキャップ(1Ha)先端部の貫通孔(1Hap)
    に圧接状態で取り付けた取付スリーブ(14Ha)に溶
    着固定されていることを特徴とするスターリング機関の
    熱損失低減構造。
JP14348593A 1993-06-15 1993-06-15 スターリング機関の熱損失低減構造 Withdrawn JPH074762A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14348593A JPH074762A (ja) 1993-06-15 1993-06-15 スターリング機関の熱損失低減構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14348593A JPH074762A (ja) 1993-06-15 1993-06-15 スターリング機関の熱損失低減構造

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH074762A true JPH074762A (ja) 1995-01-10

Family

ID=15339806

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14348593A Withdrawn JPH074762A (ja) 1993-06-15 1993-06-15 スターリング機関の熱損失低減構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH074762A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6779342B2 (en) 2000-11-30 2004-08-24 Sharp Kabushiki Kaisha Stirling engine
US6945043B2 (en) 2000-12-13 2005-09-20 Sharp Kabushiki Kaisha Stirling engine, and stirling refrigerator
JP2014129940A (ja) * 2012-12-28 2014-07-10 Sumitomo Heavy Ind Ltd スターリング冷凍機

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6779342B2 (en) 2000-11-30 2004-08-24 Sharp Kabushiki Kaisha Stirling engine
US6945043B2 (en) 2000-12-13 2005-09-20 Sharp Kabushiki Kaisha Stirling engine, and stirling refrigerator
JP2014129940A (ja) * 2012-12-28 2014-07-10 Sumitomo Heavy Ind Ltd スターリング冷凍機

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8181461B2 (en) Coolant penetrating cold-end pressure vessel
US5214923A (en) Vuilleumier heat pump
JP3857587B2 (ja) 周期的に作動する冷凍機
JP2009236456A (ja) パルス管型蓄熱機関
JPH07293334A (ja) 外燃機関
JPH074762A (ja) スターリング機関の熱損失低減構造
US7114334B2 (en) Impingement heat exchanger for stirling cycle machines
JP3593713B2 (ja) パルス管冷凍機
JPH09152211A (ja) 外燃機関のピストン
US5109673A (en) Relative gas spring configuration free-piston stirling cycle system
JP2941558B2 (ja) スタ−リング冷凍装置
JP3357774B2 (ja) 外燃機関のピストン
JP2828948B2 (ja) 再生熱交換器
JP2941108B2 (ja) パルス管式冷凍機
JP2942045B2 (ja) パルス管式冷凍機
JP2941109B2 (ja) パルス管式冷凍機
JPH0213143B2 (ja)
JPH09152214A (ja) 外燃機関のピストン
JP2941110B2 (ja) パルス管式冷凍機
JPH06147669A (ja) ヴィルミエヒートポンプ装置
JP2877733B2 (ja) ガス圧縮機
JPH09152213A (ja) 外燃機関のピストン
JPH0552661U (ja) スターリング機関の加熱装置
JPS63246450A (ja) スタ−リングエンジン
JP2581250Y2 (ja) 冷凍装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20000905