JPH0742378U - 高速型除塵機用キャリアチェーン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】除塵能力を増加するために高速運転しても振動
等の問題を起こすことのないバー回転式スクリーン，ト
ラベリングスクリーン等に適用できる構造簡単で経済的
な高速型除塵機用キャリアチェーン、特に慣用の除塵機
の性能を改善するための経済的な換装用キャリアチェー
ンを提供する。 【構成】塵芥捕捉用の濾過体を備えたバスケットを、上
下のスプロケットホイールに掛け回されて循環的に回動
する無端リンクチェーンに連結し、上昇行程のバスケッ
トにて取水路中の塵芥を捕捉する除塵機において、前記
各バスケットを連結するリンクチェーンを、バスケット
の全高にほぼ等しいその単位長さＬの前端から４分の１
と後端から４分の１の位置でそれぞれ折り曲げ自在のピ
ン構造にするとともに、その各連結ピンに上記スプロケ
ットホイールの歯の当接凹面に歯合するローラーをそれ
ぞれ軸着したことを特徴とする高速型除塵機用キャリア
チェーン。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、原子力発電所，火力発電所等における大量冷却水取水用の高速型除塵 機用キャリアチェーンに関する。

【０００２】

【従来の技術】

原子力発電所，火力発電所等においては、大量冷却水の取水用除塵機としてリン クチェーン駆動のスクリーンが広く採用されている。この種の除塵機では、図４ の側面図に示すように、取水路の水中に浸漬されたフートスプロケット０１と、 その水面上方に配設されたヘッドスプロケット０２との間にキャリアチェーン０ ３をエンドレスにかけ回し、キャリアチェーン０３のリンク０８には枠体により 形成された金網製濾過体を有するバスケット０４を等間隔で配設し、ヘッドスプ ロケット０２をモーター０５で駆動する。そうすると、バスケット０４は取水路 中の塵芥を捕捉して矢印方向に上昇し、ヘッドスプロケット０２により反転する 際、バスケット０４により捕捉された塵芥は自然落下し、固定シュート０６を経 て塵芥トラフ０７に集められる。

【０００３】 ところで、この種の除塵機が臨海発電所の冷却水取水口で使用される場合、近年 、夏期の電力ピーク需要期と、くらげの多量発生期とが重なり、くらげがバスケ ットの濾過体を閉塞し、取水能力を大巾に低下する問題が発生している。そこで 対策として、バスケットの移動速度を大にして除塵機の処理能力を増加すること が考えられている。

【０００４】 現在の発電所で多く使用されているこの種の除塵機のスプロケットは、図５に図 示される歯数が６個の正六角形のものであり、塵芥処理能力の増加のために回転 数を高めると、チェーンの進行方向と直角のスプロケット軸との水平距離（図５ のＲ）が変動するため、発生する速度変動による衝撃力がチェーンリンクやスプ ロケットの歯に加わり、関係部材の疲労破損，振動騒音及び摩耗等の問題を起こ す。

【０００５】 そこで前記の水平距離Ｒの変動を少なくするため、スプロケットの歯数を１２個 に増やした構造が実開平５−４７０２９号により提案されている。この構造では 、一端同士が枢着された等長の上下１対よりなる２つ折り自在のリンクの各央部 をそれぞれバスケットの左右のエンドプレートの上部，下部にピンで枢支してい る。そして、バスケットが上部スプロケットで反転時には、２つ折りリンクがス プロケットに沿って２つ折り可能となるように、上部リンクの央部には円形孔が 、下部リンクの央部には長円孔がそれぞれピン孔としてあけられ、これらのピン 孔を通してピンでバスケットの各エンドプレートに枢支されている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような構造では、リンク同士の枢着点，各リンクとバスケッ トエンドプレートとの枢支点における多数個所のクリアランスの相乗効果のため に、摩耗及び騒音が大となり、その結果、スプロケットの回転数を上げて集塵能 力を増加すると、バスケット及びチェーンリンク全体が大きく振動する恐れがあ る。本考案は、このような事情に鑑みて提案されたもので、除塵能力を増加する ために高速運転しても振動等の問題を起こすことのないバー回転式スクリーン， トラベリングスクリーン等に適用できる構造簡単で経済的な高速型除塵機用キャ リアチェーンを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

そのために本考案は、塵芥捕捉用の濾過体を備えたバスケットを、上下のスプロ ケットホイールに掛け回されて循環的に回動する無端リンクチェーンに連結し、 上昇行程のバスケットにて取水路中の塵芥を捕捉する除塵機において、前記各バ スケットを連結するリンクチェーンを、その単位長さの前端から４分の１と後端 から４分の１の位置でそれぞれ折り曲げ自在のピン構造にするとともに、その各 連結ピンに上記スプロケットホイールに歯合するローラーをそれぞれ軸着したこ とを特徴とする。

【０００８】

【作用】

このような構成によれば、図１及び図２に示すように、各バスケットの両エンド プレートをそれぞれ支持する長さＬ／２のアウタリンク２は、その上下端位置で それぞれホローピン４を介してエンドプレート７に強固に固着され、各ホローピ ン４にそれぞれローラー５が回動自在に嵌挿されている。アウタリンク２の上下 端はそれぞれ縦列的に枢着された前部インナリンク３Ａ，後部インナリンク３Ｂ は、昇降時にも反転時にも一直線状に引張られてアウタリンク２の長さと等しい Ｌ／２の長さのリンクとして作用するので、１２歯のスプロケット８に沿って折 線的に嵌合し、図５に示したスプロケットの約２倍の回転数にもかかわらず、前 記のチェーンの進行方向と直角のスプロケット軸との水平距離Ｒの変動が少ない ため、衝撃少なく円滑に移動する。

【０００９】

【実施例】

本考案をトラベリングスクリーンに適用した一実施例を図面について説明すると 、図１はそのバスケットの側面図、図２は図１の矢視正面図、図３は上部スプロ ケットを示す側面図である。

【００１０】 本考案が図５に示した従来のトラベリングスクリーンの構造に比べて大きく異な る点は、バスケットを連結する各チェーンリンクの構造にあり、図４に示したよ うなバスケット０４の全高に等しい長さＬのチェーンリンク０８の代わりにこれ を央部の長リンク（長さＬ／２）とその前後端に対称的に枢着された等長の短リ ンク（長さＬ／４）により構成された３つ折り自在のリンクを採用した点にある 。

【００１１】 すなわち、図１〜図３において、１は各バスケットのエンドプレートを支持する ３つ折り自在のリンクで、リンク１は各バスケットの全高に対応するリンク長（ 長さＬ）の１／２に等しい央部の長リンク２（以下、アウタリンクという）と、 その前後端にそれぞれ一端がそれぞれ上下対称的にホローピン４で枢着された、 それぞれ長さＬ／４の１対の短リンク（以下、インナリンクという）３Ａ，３Ｂ とで構成されている。ここで、ホローピン４はアウタリンク２とインナリンク３ とをそれぞれ枢着するとともに、図３に示すように、アウタリンク２の両端をバ スケットのエンドプレート７に固着している。

【００１２】 ５はホローピン４に外挿され、スプロケットによる反転の際にスプロケットの歯 の先端凹面と当接するローラーであり、６は先行するバスケットを支持するアウ タリンク２の後部インナリンク３Ｂの後端と、後続するバスケットを支持するア ウタリンク２の前部インナリンク３Ａの前端とを連結するリンクピンである。

【００１３】 このようなバスケット及びそのチェーンリンクにおいて、直線的昇降を行う部分 では、各バスケットをそれぞれ支持するアウタリンク２及びその前後のインナリ ンク３Ａ，３Ｂは、図１に示すように一直線となり、その上下方向の全高はＬで あり、このＬは図４〜図５に示したリンクのＬと等長である。また、スプロケッ トに沿って移動するバスケットの反転部では、図３に示すように、隣接する２つ のインナリンク３Ａ，３Ｂは張力で引っぱられて一直線となり、その長さはアウ タリンク２の長さと同一となる。

【００１４】 ここで、図３と図５とを比較すると明らかなように、本考案では図３に示すよう に、隣接する２つのインナリンク３Ａ，３Ｂは、バスケットの昇降時，反転時と もに、それぞれリンク長（Ｌ／２）のリンクとして作用し、スプロケットは１２ 歯である。このようなキャリアチェーンの構造によれば、慣用のスプロケットと 同径のスプロケットであって、歯数が２倍のスプロケットを使用することにより 、２倍の回転数でスプロケットを回転しても、慣用の同径の６歯スプロケットの 場合と同様に、大きな振動を発生することなく、バスケットを循環的に移動する ことが可能となる。

【００１５】 ここで、インナリンク３Ａ，３Ｂの長さをＬ／４としたのは、リンクピン６の位 置に、図示はされないガイドローラを軸着するためである。ガイドローラは、バ スケットをヘッドスプロケットで反転後に捕捉した塵芥の排出を容易にするため 、キャリアチェーンを軌道を介してカーブさせる作用を有する慣用の手段である 。

【００１６】 これはスプロケットの回転数は図５のそれの約２倍であるが、チェーンリンクは 図５の単一リンクとは異なり、反転時にはアウタリンク，２枚のインナリンクと もそれぞれＬ／２の等価リンクとして作用することによる。また本実施例では、 図５のスプロケットと同径のスプロケットを使用して約２倍の回転数でバスケッ トを昇降及び反転できることは、スプロケットを６歯から１２歯に増加したこと と、アウタリンクの長さをＬ／２，インナリンク２枚の全長をＬ／２としたこと による反転時の少ない衝撃力によるものである。

【００１７】 なお、このような３つ折りリンクの採用によれば、アウタリンクの両端はそれぞ れ強固にバスケットのエンドプレートの上下部に固着されるので、前記の実開平 ５−４７０２９号で提案された２つ折り枢着リンクとは振動に対して比較になら ない大きな耐振性を発揮する。さらに、本考案の３つ折りリンクは、図４に示し た既設の除塵機を同径の１２歯のスプロケット及び３つ折りリンクの取換作業に より、低コストかつ短期交換工事でその除塵能力を倍増することができる。

【００１８】

【考案の効果】

以上の構成と作用を有する本考案によれば、従来の除塵機に用いられている同じ 大きさのスプロケット及びバスケットを用いて高速運転しても、振動，疲労破損 等の問題を起こすことなく駆動でき、従って除塵能力を大巾に向上することがで きるから、本考案は産業上極めて有益である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案をトラベリングスクリーンに適用した一
実施例のバスケットの側面図。

【図２】図１の矢視正面図。

【図３】上部スプロケットを示す側面図。

【図４】従来のトラベリングスクリーン型除塵機を示す
全体側面図。

【図５】図４のヘッドスプロケットの拡大図。

【符号の説明】

１；３つ折りリンク、２；アウタリンク、３Ａ；前部イ
ンナリンク、３Ｂ；後部インナリンク、４；ホローピ
ン、５；ローラー、６；リンクピン、７；エンドプレー
ト、８；スプロケット。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】塵芥捕捉用の濾過体を備えたバスケット
   を、上下のスプロケットホイールに掛け回されて循環的
   に回動する無端リンクチェーンに連結し、上昇行程のバ
   スケットにて取水路中の塵芥を捕捉する除塵機におい
   て、前記各バスケットを連結するリンクチェーンを、そ
   の単位長さの前端から４分の１と後端から４分の１の位
   置でそれぞれ折り曲げ自在のピン構造にするとともに、
   その各連結ピンに上記スプロケットホイールに歯合する
   ローラーをそれぞれ軸着したことを特徴とする高速型除
   塵機用キャリアチェーン。