JPH0741354A - 珪酸カルシウム板の製造方法 - Google Patents

珪酸カルシウム板の製造方法

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JPH0741354A
JPH0741354A JP18617093A JP18617093A JPH0741354A JP H0741354 A JPH0741354 A JP H0741354A JP 18617093 A JP18617093 A JP 18617093A JP 18617093 A JP18617093 A JP 18617093A JP H0741354 A JPH0741354 A JP H0741354A
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正人 崎山
Takuya Asami
琢也 浅見
Tomoki Iwanaga
朋来 岩永
Yasuhide Oshio
泰英 尾塩
Morimitsu Shiromoto
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、軽量、高強度の珪酸カルシ
ウム板の生産性に優れた製造方法を提供するものであ
る。 【構成】 本発明に係る珪酸カルシウム板の製造方法
は、石灰質原料、珪酸質原料及び水からCa/(Si+
Al)モル比が0.6〜1.1の範囲内のスラリーを調製
する際に、まず、後述のスラリー(A)中の全固形分量の
3〜10%の非晶質珪酸原料と、その2〜7倍量の石灰
質原料を常圧下で加熱処理し、次に、珪酸質原料と石灰
質原料の残部を加えて得られるスラリー(A)と、Ca/
(Si+Al)モル比が0.8〜1.1の範囲内にある石灰
質原料、珪酸質原料及び水よりなるスラリーを水熱合成
することにより得られるスラリー(B)を、図1に示す座
標a、b、c及びdで囲まれる範囲内の割合で混合し、
更に、スラリー(A)と(B)の合計固形分量に対し外割で
3〜7%のセルロース繊維及び外割で5〜12%のウォ
ラストナイトを添加し、抄造法により成形し、水熱処理
後、乾燥することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、珪酸カルシウム板の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術・課題】従来、抄造法により製造されてい
るノンアスベスト珪酸カルシウム板の多くは、石灰質原
料、珪酸質原料及び軽量骨材等の充填材とセルロース繊
維等の補強材を抄造後に水熱反応を行うことにより製造
されており、かさ比重は通常0.7〜1.2の範囲であ
る。しかし、珪酸カルシウム板の用途は、天井材、壁材
等の内装材であり、更に、軽量、高強度の材料が望まれ
ているが、上述の方法では、かさ比重を0.50〜0.7
0と軽量化するためには、かなりの軽量充填材を配合す
る必要があり、比強度も低下するので、曲げ強度が著し
く低下するという問題があった。また、特開昭52−1059
26号公報に例示されているように石灰質原料と珪酸質原
料のスラリーを加熱してゲル化スラリーとし軽量化を図
る方法もある。しかし、この方法もかさ比重は低くなる
が、曲げ強度の低下は避けられず、更に抄造時の生産性
及び板表面の地合が悪くなるという欠点を有していた。
【0003】また、他の方法としては特開昭52−105926
号公報及び特開昭52−135390号公報では、珪酸カルシウ
ム水和物の一種であるゾノトライトスラリーあるいは珪
酸カルシウム結晶スラリーを添加することにより比強度
に優れた珪酸カルシウム板が得られることが開示されて
いる。しかし、この方法についても抄造時の生産性が著
しく低下し、安価に大量生産を必要とする建築材料とし
て生産に支障があった。
【0004】従って、本発明の目的は、上述の問題点を
解決し、軽量、高強度の珪酸カルシウム板の生産性に優
れた製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明に係る珪酸
カルシウム板の製造方法は、石灰質原料、珪酸質原料及
び水からCa/(Si+Al)モル比が0.6〜1.1の範
囲内のスラリーを調製する際に、まず、後述のスラリー
(A)中の全固形分量の3〜10%の非晶質珪酸原料と、
その2〜7倍量の石灰質原料を常圧下で加熱処理し、次
に、珪酸質原料と石灰質原料の残部を加えて得られるス
ラリー(A)と、Ca/(Si+Al)モル比が0.8〜1.
1の範囲内にある石灰質原料、珪酸質原料及び水よりな
るスラリーを水熱合成することにより得られるスラリー
(B)を、図1に示す座標a、b、c及びdで囲まれる範
囲内の割合で混合し、更に、スラリー(A)と(B)の合計
固形分量に対し外割で3〜7%のセルロース繊維及び外
割で5〜12%のウォラストナイトを添加し、抄造法に
より成形し、水熱処理後、乾燥することを特徴とする。
【0006】
【作用】本発明の珪酸カルシウム板の製造方法において
使用する石灰質原料としては、消石灰、生石灰等が挙げ
られ、また、珪酸質原料としては珪砂、焼成珪藻土等、
非晶質珪酸原料としては、珪藻土、シリカヒューム、ニ
ップシール等が挙げられる。
【0007】本発明方法におけるスラリー(A)は、石灰
質原料、珪酸質原料及び水からなるスラリーであり、ま
ず、所定量の水、スラリー(A)の全固形分量の3〜10
%の非晶質珪酸原料並びにその2〜7倍の石灰質原料を
加熱処理し、次に、石灰質原料の残部と珪酸質原料を加
えてCa/(Si+Al)モル比を0.6〜1.1の範囲内
に調整したものである。スラリー(A)の調製の際に、加
熱処理を非晶質珪酸原料と一部の石灰質原料だけで行う
のは、非晶質珪酸原料は活性度が高いため、全量の石灰
質原料を加えると急激な反応となり、ゲル化が均一に行
われないため、抄造時の地合形成が均一にならないため
である。加熱処理は75〜95℃、好ましくは80〜9
0℃の温度範囲で行われる。更に、スラリー(A)のCa
/(Si+Al)モル比が0.6未満であったり、1.1を
越えると得られる珪酸カルシウム板の曲げ強度及び寸法
安定性が低下する。なお、該モル比は好適には0.8〜
1.0の範囲内である。
【0008】本発明方法におけるスラリー(B)は、石灰
質原料と珪酸質原料をCa/(Si+Al)モル比0.8
〜1.1の割合で配合し、更に水を加え、慣用の操作に
て水熱合成を行ったものである。なお、スラリー(B)中
の未反応石灰量は5%以下であることが好ましい。ここ
で、スラリー(B)のCa/(Si+Al)モル比が0.8
未満では、未反応珪酸質原料が多くなり、珪酸カルシウ
ム板の軽量化すなわち低比重化には不適であり、また、
該モル比が1.1を越えると、未反応石灰量が5%を越
えるために好ましくない。なお、スラリー(B)は珪酸カ
ルシウム板の低比重化、高強度化及び寸法安定性の向上
に寄与する。
【0009】上記スラリー(A)とスラリー(B)の配合割
合について、スラリー(A)と(B)の合計量に対するスラ
リー(A)中の非晶質珪酸原料の配合割合とスラリー(B)
の割合の関係として図1の座標a、b、c及びdで囲ま
れる範囲内である。ここで、図1の座標aとbを結ぶ線
よりも左側では、スラリー(A)中の非晶質珪酸原料が少
ないため、加熱処理によるゲル化が少なく、スラリー
(B)を加えるとろ水性が低下し、抄造時にゾウハダやタ
ネノビという現象が起こり、生産性が悪くなる。また、
図1の座標cとdを結ぶ線よりも右側では、スラリー
(A)の加熱処理においてかさ高となるため、低比重とな
り過ぎ、スラリー(B)の割合を少なくする必要があるた
め、高強度が得られない。なお、図1の座標bとcを結
ぶ線より下では、スラリー(B)の割合が少ないため、各
々の比重に対する必要な強度が得られず、寸法安定性も
悪くなる。座標dとaを結ぶ線より上では、スラリー
(B)の割合が多いため、ろ水性が低下し、生産性が悪く
なる。
【0010】ウォラストナイトは抄造後、養生前の珪酸
カルシウム板の保形性及び寸法安定性に効果があるが、
その添加量がスラリー(A)と(B)の合計固形分量に対し
て外割で5%未満では、その影響が少なく、10%を越
えると曲げ強度が低下する。ここで、使用するウォラス
トナイトは沈降体積が25cc以上であることが好まし
い。なお、沈降体積は200ccのメスシリンダーに水
200ccとウォラストナイト3gを加え、転倒撹拌3
時間後に測定したものである。
【0011】また、セルロース繊維は、スラリー(A)と
(B)の合計固形分量に対して外割で3%未満では補強効
果が少なく、抄造時の粉体原料のロスが多くなる。ま
た、7%を越えると不燃性が得られなくなる。
【0012】なお、上述のようにして得られたスラリー
を使用して慣用の方法により抄造し、水熱処理し並びに
乾燥することにより本発明の珪酸カルシウム板を得るこ
とができる。抄造には、丸網式、長網式のいずれも使用
できる。また、抄造により得られた珪酸カルシウム生板
の水熱処理は、140〜170℃程度の温度で行うこと
が好ましく、更に、乾燥雰囲気は100〜160℃が適
している。
【0013】
【実施例】 スラリー(A)の調製 下記の表1に示すように非晶質珪酸原料と石灰質原料を
各々の加熱条件で処理した後、石灰質原料及び珪酸質原
料の2次添加を行ってスラリー(A)を得た。
【0014】
【表1】
【0015】スラリー(B)の調製 下記の表2に示すCa/(Si+Al)モル比及び条件に
てスラリーを水熱合成することによりスラリー(B)を調
製した。
【0016】
【表2】
【0017】実施例 表3に、本発明による珪酸カルシウム板の製造条件、配
合及び得られた珪酸カルシウム板の諸特性を記載する。
なお、抄造は、丸網式の実験用マシンで行い、350×
1200×6mmに成形し、180℃・10時間の条件
で水熱処理後、撹拌機付乾燥機を用い、105℃の雰囲
気で乾燥し、含水率を8〜12%に調整した。その後、
JIS A5418に準じて試験を行ったが、曲げ強度
のサイズのみ4号試験片に変更した。また、図2は実施
例1〜4における非晶質珪酸原料の割合とスラリー(B)
の割合の関係を示した。
【0018】
【表3】
【0019】比較例 表4には、比較例による珪酸カルシウム板の製造条件、
配合及び得られた珪酸カルシウム板の諸特性を記載す
る。また、図3には、比較例1〜10における非晶質珪
酸原料の割合とスラリー(B)の割合の関係を示した。
【0020】
【表4】
【0021】
【発明の効果】本発明方法によれば、上述のように2種
類のスラリーを併用し、更に、ウォラストナイトを使用
することにより、軽量、高強度で寸法安定性に優れた珪
酸カルシウム板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スラリー(A)の非晶質珪酸原料の全配合に対す
る割合と、スラリー(B)の割合の関係を示すグラフであ
る。
【図2】実施例1〜4におけるスラリー(A)の非晶質珪
酸原料の全配合に対する割合とスラリー(B)の割合の関
係を示すグラフである。
【図3】比較例1〜10におけるスラリー(A)の非晶質
珪酸原料の全配合に対する割合とスラリー(B)の割合の
関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅見 琢也 茨城県石岡市大字柏原6番1号 株式会社 アスク中央研究所内 (72)発明者 岩永 朋来 茨城県石岡市大字柏原6番1号 株式会社 アスク中央研究所内 (72)発明者 尾塩 泰英 茨城県石岡市大字柏原6番1号 株式会社 アスク中央研究所内 (72)発明者 白本 盛光 茨城県石岡市大字柏原6番1号 株式会社 アスク中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 珪酸カルシウム板の製造方法において、
    石灰質原料、珪酸質原料及び水からCa/(Si+Al)
    モル比が0.6〜1.1の範囲内のスラリーを調製する際
    に、まず、後述のスラリー(A)中の全固形分量の3〜1
    0%の非晶質珪酸原料と、その2〜7倍量の石灰質原料
    を常圧下で加熱処理し、次に、珪酸質原料と石灰質原料
    の残部を加えて得られるスラリー(A)と、Ca/(Si
    +Al)モル比が0.8〜1.1の範囲内にある石灰質原
    料、珪酸質原料及び水よりなるスラリーを水熱合成する
    ことにより得られるスラリー(B)を、図1に示す座標
    a、b、c及びdで囲まれる範囲内の割合で混合し、更
    に、スラリー(A)と(B)の合計固形分量に対し外割で3
    〜7%のセルロース繊維及び外割で5〜12%のウォラ
    ストナイトを添加し、抄造法により成形し、水熱処理
    後、乾燥することを特徴とする珪酸カルシウム板の製造
    方法。
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