JPH0735301B2 - メカニカルシ−ル用摺動材料の製造法 - Google Patents

メカニカルシ−ル用摺動材料の製造法

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JPH0735301B2
JPH0735301B2 JP61138353A JP13835386A JPH0735301B2 JP H0735301 B2 JPH0735301 B2 JP H0735301B2 JP 61138353 A JP61138353 A JP 61138353A JP 13835386 A JP13835386 A JP 13835386A JP H0735301 B2 JPH0735301 B2 JP H0735301B2
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芳夫 大沢
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、耐食性のよいメカニカルシール用炭化ケイ素
質摺動材料を反応焼結法により製造する方法に関するも
のである。
従来の技術 ポンプなどの軸封装置として用いられるメカニカルシー
ルの摺動材料には、耐摩耗性、摩擦係数、耐熱衝撃性、
耐食性、強度などの特性が重視される。したがって、メ
カニカルシール用摺動材料としては従来から自己潤滑性
のある炭素質材料と耐摩耗性の焼入鋼、セラミックス、
超硬合金などの硬質材料とを組合せて使用することが多
かったが、近年、炭化ケイ素を主成分とする焼結体から
なるものが使われるようになった。これは、炭化ケイ素
質焼結体がきわめて高い硬度、すぐれた耐熱性と耐食
性、更にはセラミックスとしては異例の、高い耐熱衝撃
性を有しているからである。
炭化ケイ素質焼結体を製造する方法の代表的なものとし
ては、特殊な焼結助剤を添加して炭化ケイ素をホットプ
レス焼結する方法(例:特開昭50-34608号)、無加圧で
焼結する方法(例:特開昭50-78609号)および炭化ケイ
素と炭素の混合粉末成形体中に外部からケイ素の融液ま
たは蒸気を浸透させて炭素粒子を炭化ケイ素に変換する
反応焼結法(例:特公昭45-38061号)などがあるが、そ
れぞれ一長一短あることは周知のとおりである。
これを反応焼結法についてみると、反応焼結法は焼結工
程における寸法収縮がきわめて僅かであるから製品の寸
法精度がよく、また強度等の物性のバラツキが少なく、
耐熱性、耐摩耗性等もすぐれた製品が得られるという特
長があるが、耐食性の点では、無加圧焼結法など他の製
法による炭化ケイ素質焼結体と比べてやや劣るものしか
得られないことが問題点として指摘されている。すなわ
ち、反応焼結法による炭化ケイ素質焼結体は酸やアルカ
リなど化学作用の強い薬液と接触する苛酷な条件で使わ
れるメカニカルシールの摺動材料に用いると、やや不充
分な耐食性を示す。これは、製品中に未反応のケイ素が
10〜30%程度残ることによるものである。したがって、
未反応ケイ素の量がより少なくなるように製造条件を選
べば耐食性が改善されることは明らかであるが、それは
決して容易なことではない。たとえばケイ素の溶浸処理
を行う成形体をより緻密なものにして過剰量のケイ素が
浸透しないようにする方法は、ケイ素融液を成形体の芯
部まで均一に浸透させることが難しく、製品強度の低下
を招き易い。
発明が解決しようとする問題点 本発明は、反応焼結法によってメカニカルシール用炭化
ケイ素質摺動材料を製造する場合における上記問題点を
解決し、耐食性の点でも他の製法によるもののそれに匹
敵する性能を有する摺動材料を製造する方法を提供しよ
うとするものである。
問題点を解決するための手段 本発明によるメカニカルシール用炭化ケイ素質摺動材料
の製造法は、ケイ素融液が芯部まで浸透可能な程度の密
度を有する成形体を炭化ケイ素粉末および炭素粉末より
製造し、その表層部に熱硬化性樹脂を含浸させたのち非
酸化性雰囲気で焼成して熱硬化性樹脂を炭化させ、熱硬
化性樹脂炭化物が存在する成形体表層部をメカニカルシ
ール用摺動材料の接液部とする部分以外の部分(その全
部でなくてもよい)において削除し、次いで成形体中に
ケイ素融液を浸透させてこれを成形体中の炭素と反応さ
せ炭化ケイ素を生成させることを特徴とするものであ
る。
以下、第1図に示したような断面形状を有し摺動面1よ
り外周側の表面(位置XからYまでの領域)が接液部2
となる環状のメカニカルシール用摺動材料を製造する具
体例について、図面を示しながら本発明の製造法を説明
する。
最初に、反応焼結法の常法に従い炭化ケイ素粉末および
炭素粉末を適量の有機質結合剤(たとえばフェノール樹
脂のような熱硬化性樹脂)を用いて成形する。各成分の
配合比は、炭化ケイ素粉末60〜90重量%、炭素粉末10〜
40重量%、有機質結合剤5〜40重量%程度とする。炭素
粉末および有機質結合剤が多すぎると焼結体中の未反応
炭素量が多くなり、また少なすぎると焼結体中の未反応
ケイ素量が増え、いずれも好ましくない。
成形圧は、後のケイ素溶浸工程でケイ素融液が成形体芯
部まで浸透し得るよう、成形後仮焼成して得られる成形
体の密度が1.4〜2.6g/cm3程度(この密度範囲は従来の
常法による反応焼結性におけるものと同じである)にな
るように選ぶことが望ましい。
成形形状は、製造しようとするメカニカルシール用摺動
材料の形状にほぼ合致させるが、後に削除することにな
る部分には、“削りしろ"3を用意する(第2図の状
態)。
成形後、約800〜1600℃で仮焼成して結合剤を炭化さ
せ、切削加工に耐える成形体とする。次いで、メカニカ
ルシール用摺動材料の接液部2とする部分に、その形状
を整えるための切削加工を施し、第3図の状態にする
(但し、この部分の形状が成形段階ですでに仕上げられ
ている場合には、この切削加工は不要である。)。
得られた成形体の表層部に熱硬化性樹脂を含浸させる
が、樹脂としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポ
キシ樹脂など、炭化収率の高いものが適当である。含浸
処理は、たとえば真空含浸装置を用いて真空中で脱気し
てから含浸する方法により行うことができる。樹脂含浸
は、成形体の表層部のみに、望ましくは表面から約0.5
〜3mmの深さまで、施すことが必要である(この樹脂含
浸層は最終的には未反応ケイ素含有率の低い高耐食性層
となるものであるから、充分な効果を挙げるには約0.5m
m以上とすることが必要である。しかしながら、あまり
深くまで含浸させても、その炭化物をケイ素融液と反応
させることが難しいだけでなく、メカニカルシール用摺
動材料の接液部とする部分以外の部分の削除量が増える
という無駄を生じるので、通常約3mmが上限とな
る。)。
含浸処理済み成形体(第4図)の焼成は、非酸化性雰囲
気で、熱硬化性樹脂の炭化が完了するまで800〜1600℃
に加熱することにより行う。これにより、成形体の表層
部4は、熱硬化性樹脂炭化物が他の部分よりも高率で存
在し、且つそれにより他の部分よりも緻密な組織のもの
になる。
この後、成形体のうち接液部2とする部分以外の部分の
うち回転軸挿通孔となる部分5の表層部4を削除する。
この削除のための切削とあわせて、接液部2とする部分
以外の部分の形状の仕上加工を行い、第5図の状態とす
る。
以上の処理を終わった成形体中にケイ素融液を浸透させ
る処理は、反応焼結法の常法に従って行えばよい。すな
わち、成形体を真空中または不活性ガス中で約1450〜21
00℃に加熱し、成形体の全表面にケイ素融液を接触させ
る。不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、水素な
どが利用できる。この処理により成形体中に浸透したケ
イ素融液は、成形体中の炭素と反応して炭化ケイ素を生
じる。反応する炭素としては、原料の炭素、有機質結合
剤の炭化により生じた炭素、および表層部に含浸された
熱硬化性樹脂の炭化により生じた炭素の三種類がある
が、これらのうち最後のものがある未削除の表層部4は
他の部分よりも炭素の比率が高く且つ緻密であるから、
反応せずに残る過剰のケイ素は少なくなり、通常、10重
量%以下にとどまる。他の部分6には、さきに表層部を
削除しておいた部分からケイ素融液が浸透し、従来の反
応焼結法の常法による場合と同様の焼結体がそこに形成
される。
以上のようにして、摺動面1を含む接液部2がケイ素含
有率の低い、高度の耐食性を有する焼結体層で覆われた
摺動材料を得る。
実施例 以下、実施例および比較例を示して本発明をさらに具体
的に説明する。
実施例 図面を示して説明した前記メカニカルシール用摺動材料
の製法において、成形原料として平均粒径約7μのα型
炭化ケイ素粉末70重量%、平均粒径6μの人造黒鉛粉末
25重量%、フェノール樹脂5重量%およびパラフィン1
重量%からなるものを用い、これにメタノールを加えて
混合し、乾燥後、金型に移して1.5ton/cm2の圧力で加圧
成形した。次いで非酸化性雰囲気で1200℃に加熱する仮
焼成を行い、得られた成形体(密度1.95g/cm3)に、接
液部となる部分の整形加工を施した。
この後、成形体を真空含浸装置に入れて真空脱気してか
ら、液状のフラン樹脂を含浸した。樹脂含浸層の厚さ
は、平均2mmであった。次いで非酸化性雰囲気で1200℃
に加熱して樹脂を炭化させてから、熱硬化性樹脂炭化物
が存在する成形体表層部4の一部(密封流体と接触しな
い、回転軸挿通孔5の部分)の削除を行なった。この
後、1600℃でケイ素融液と接触させて反応焼結を生じさ
せた。
得られた炭化ケイ素質摺動材料の接液部2における表層
部4(深さ2mmまで)および芯部6について、平均的な
組成および密度を調べた結果は第1表のとおりであっ
た。
第1表 表層部 芯部 SiC(重量%) 90 82 Si(重量%) 8 16 C (重量%) 2 2 密度(g/cm3) 3.08 2.99 比較例 フラン樹脂含浸を行わないほかは実施例と同様にして、
メカニカルシール用摺動材料を製造した。得られた摺動
材料の表層部は、SiC81重量%、Si17重量%、C2重量
%、密度2.98g/cm3であった。
次に上記2例による摺動材料の接液部2の耐食性を、下
記の方法により調べた。その結果を第2表に示す。
試験方法:実施例製品において低ケイ素含有率の表面層
4を持たない部分を耐食性の治具で覆い、70℃の腐食性
試験液中に100時間浸漬する。比較例製品についても同
じ治具を装着して、同様の浸漬試験を行う。浸漬前後の
試料重量を測定し、重量減少率の大小から耐食性の良否
を判定する。
第2表 浸漬試験重量減少率(%) 試験液 実施例製品 比較例製品 50%NaOH 0.032 0.71 50% KOH 0.041 0.78 HNO3(20%)‐HF(5%) 1.03 12.9 発明の効果 本発明の製法によれば、従来の反応焼結法による場合よ
りも接液部の耐食性が向上するだけでなく、接液部表層
部が緻密になることにより機械的な強度も増すという効
果がもたらされる。したがって本発明によれば、高温の
酸やアルカリなど腐食性の強い密封流体と接する苛酷な
条件で使用する摺動材料も反応焼結法によって製造する
ことが可能になり、前述のような反応焼結法の利点を従
来よりも広い範囲で活用することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第5図:本発明の製造法の説明図(断面図) 1:摺動面、2:接液部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケイ素融液が芯部まで浸透可能な程度の密
    度を有する成形体を炭化ケイ素粉末および炭素粉末より
    製造し、その表層部に熱硬化性樹脂を含浸させたのち非
    酸化性雰囲気で焼成して熱硬化性樹脂を炭化させ、熱硬
    化性樹脂炭化物が存在する成形体表層部をメカニカルシ
    ール用摺動材料の接液部とする部分以外の部分において
    削除し、次いで成形体中にケイ素融液を浸透させてこれ
    を成形体中の炭素と反応させ炭化ケイ素を生成させるこ
    とを特徴とする反応焼結法によるメカニカルシール用炭
    化ケイ素質摺動材料の製造法。
  2. 【請求項2】炭化ケイ素粉末および炭素粉末より製造す
    る成形体を、炭化ケイ素含有率60〜90重量%、密度1.4
    〜2.6g/cm3のものとする特許請求の範囲第1項記載の製
    造法。
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