JPH07331124A - 発泡耐火塗料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 火災発生時に加熱により発泡層を形成し、建
築物の鉄骨等の温度上昇を遅延させる発泡耐火塗料。 【構成】 発泡剤、炭化層形成剤、無機質粉末、メラミ
ン樹脂からなる発泡耐火塗料において、アクリル樹脂を
添加してなる発泡耐火塗料。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、火災発生時に加熱によ
り発泡層を形成し、建築物の鉄骨等の温度上昇を遅延す
る発泡耐火塗料に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、発泡剤、炭化層生成剤、無機質粉
末及びメラミン樹脂からなる発泡耐火塗料が知られてい
る。該塗料は乾燥し硬化することにより鉄骨等の表面に
塗膜を形成し、該塗膜が火災時に分解し不燃ガスを発生
して発泡し、多孔質の炭化層を形成する。該塗料が断熱
性の良い被覆層として鉄骨等を火焔から保護する役目を
する。塗膜は薄いため軽量であり、着色も容易なため意
匠性に優れる等の利点があるため最近徐々に普及しつつ
ある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
発泡耐火塗料は種々の問題点が有る。すなわち、従来の
該塗料は、鉄骨等に塗布した場合、加熱前に塗膜にひび
割れが発生し、加熱によりこのひび割れ部分から火炎が
進入して断熱効果を低下させる欠点があった。又、塗膜
のひび割れ発生を防止するためにメラミン樹脂の添加量
を多くした場合、塗膜のひび割れは防止できるが、加熱
時に火炎との接触により着火し燃焼するという欠点があ
った。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この様な問題点を解決す
るために、本発明者らは鋭意研究の結果、発泡耐火塗料
に特定の樹脂を添加することにより、塗膜のひび割れを
防止できることを見出し本発明を完成させた。

【０００５】すなわち、従来の発泡耐火塗料にアクリル
樹脂を配合してなる発泡耐火塗料である。本発明に用い
るアクリル樹脂としては、アクリル酸及びそのエステ
ル、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸
及びそのエステル等の重合体及び共重合体が使用でき
る。特にアクリル酸とエチレン等から生成されるオレフ
ィンアクリル樹脂が良い。

【０００６】アクリル樹脂の軟化点は３０〜８０℃が好
ましい。軟化点が３０℃未満では、塗膜の十分な硬度が
得られず、８０℃より高いと加熱時に塗膜が適度に軟化
しないため発泡層の膨張に追随できず発泡が不十分とな
ったり、発泡層に割れが発生する。

【０００７】アクリル樹脂の配合割合は、固形分換算で
メラミン樹脂１００重量部に対してアクリル樹脂５〜５
００重量部の比率が好ましい。メラミン樹脂１００重量
部に対してアクリル樹脂を５００重量部より多く配合し
た場合、加熱時に発泡層が着火し十分な耐火性能が得ら
れない。メラミン樹脂１００重量部に対してアクリル樹
脂を５重量部未満配合した場合、発泡層は着火しない
が、火災前に塗膜のひび割れが発生する。アクリル樹脂
を上記比率で添加することにより、加熱前の塗膜のひび
割れが防止でき、優れた耐火性能を有し、塗膜表面が滑
らかで美しいものとなる。

【０００８】発泡剤としては、ジシアンジアミド、リン
酸塩、ポリオール等が使用されるが、好ましくは火災時
にルイス酸と不燃性のアンモニアガスを発生するリン酸
塩系が良い。リン酸塩系とは、第一リン酸アンモニウ
ム、第二リン酸アンモニウム、第三リン酸アンモニウ
ム、ポリリン酸アンモニウム等である。また、２種類以
上の発泡剤を混合して使用しても良い。発泡剤の平均粒
径は４５μｍ未満で使用することが望ましい。

【０００９】炭化層生成剤としては、多糖類、多価アル
コール、グラファイト等が使用できるが、好ましくはモ
ノ、ジ、トリペンタエリスリトールの多価アルコールが
良い。また、２種類以上の炭化層生成剤を混合して使用
しても良い。炭素生成剤の平均粒径は45μｍ未満で使用
することが望ましい。

【００１０】無機質粉末としては、酸化チタン、酸化ア
ルミニウム、ジルコニア、酸化珪素、粘土鉱物等が使用
できる。このような無機質粉末は、合成されたもの、ま
た、天然のものでも良いがいずれも微粉末であることが
好ましい。又、２種類以上の無機質粉末を混合して使用
しても良い。無機質粉末の平均粒子径は45μｍ未満で使
用することが望ましい。

【００１１】従来品の耐火塗料の配合は、例えば発泡
剤、炭化層生成剤及び固形分換算でメラミン樹脂の配合
割合が重量比で５０：２０：２０で、無機粉末の配合割
合は、発泡剤、炭化層生成剤、メラミン樹脂の合計１０
０重量部に対し５０重量部である。上記塗材中に必要に
応じて適当量の着色顔料、染料等の着色剤、各種添加剤
等を配合することができる。

【００１２】

【実施例】表−１及び２に示すように各例の配合成分
（重量部）を攪拌機を用いて均一に混合し発泡耐火塗料
を調整し、Ｈ形鋼（呼称寸法３００×３００ｍｍ、長さ
２５００ｍｍ）に厚さ１ｍｍでハケにて塗布し、２週
間、２０℃で自然乾燥した後、塗膜のひび割れの有無を
目視により確認後、ＪＩＳ Ａ １３０４に準じて加熱標
準曲線に基づいて、加熱試験を行なった。Ｈ形鋼の温度
はＫ熱電対を用いて測定をし、Ｈ形鋼の温度が３５０℃
に達するまで加熱した経過時間を耐火時間とし、加熱中
の塗膜の着火の有無についても観察した。

【００１３】このようにして評価した結果を表−１及び
２に示した。表−１及び２において、実施例１はメラミ
ン樹脂１００重量部に対してオレフィンアクリル樹脂を
５００重量部加えた場合、実施例２はメラミン樹脂１０
０重量部に対してオレフィンアクリル樹脂を１００重量
部加えた場合、実施例３はメラミン樹脂１００重量部に
対してオレフィンアクリル樹脂を１０重量部加えた場
合、実施例４はメラミン樹脂１００重量部に対してアク
リル樹脂を１０重量部加えた場合、実施例５はメラミン
樹脂１００重量部に対してアクリル樹脂とオレフィンア
クリル樹脂を合せて１０重量部加えた場合をそれぞれ示
す。これらの実施例はいずれも塗布乾燥後の塗膜のひび
割れが無く、加熱による発泡層の着火も無いため優れた
耐火性能が得らることが判明した。

【００１４】又、比較例１はオレフィンアクリル樹脂を
加えない場合、比較例２はメラミン樹脂１００重量部に
対してオレフィンアクリル樹脂を５重量部より少なく配
合した場合、比較例３はメラミン樹脂１００重量部に対
してオレフィンアクリル樹脂を５００重量部より多く配
合した場合をそれぞれ示す。比較例１及び２は塗布乾燥
後の塗膜のひび割れが発生し、比較例３は加熱による発
泡層の着火が発生して、優れた耐火性能が得られないこ
とが判明した。

【００１５】

【発明の効果】本発明の発泡耐火塗料は、鉄骨等に塗布
し乾燥した後に塗膜のひび割れが発生しないため、耐火
性能に優れビル等の耐火被覆用塗料として有用である。

【表１】

【表２】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ０９Ｄ 133/08 ＰＧＧ 161/28 ＰＨＫ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 発泡剤、炭化層生成剤、無機質粉末、メ
   ラミン樹脂からなる発泡耐火塗料においてアクリル樹脂
   を添加してなる発泡耐火塗料。
2. 【請求項２】 アクリル樹脂がオレフィンアクリル樹脂
   である請求項第１項に記載の発泡耐火塗料。
3. 【請求項３】 アクリル樹脂が固形分換算でメラミン樹
   脂１００重量部に対して５〜５００重量部である請求項
   第１項又は第２項に記載の発泡耐火塗料。